以下、本発明の実施の形態におけるコージェネレーションシステムについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るコージェネレーションシステムの概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、コージェネレーションシステム100は、燃料電池(発電機)11、蓄熱器12、温度センサ13a、13b、13c、電力負荷検出器26、熱負荷検出器27、操作器6、運転計画器7、及び運転制御装置10を備えている。
燃料電池11には、燃料ガス供給装置(図示せず)と酸化剤ガス供給装置(図示せず)が接続されており、これらの供給装置から供給される燃料ガスと酸化剤ガスを電気化学反応させることにより、電気と熱を発生させる。また、燃料電池11には、電気化学反応により発生した排熱を回収するための一次熱媒体(ここでは、水)流路11aが設けられている。一次熱媒体流路11aには、一次熱媒体循環路51が接続されている。そして、一次熱媒体循環路51は、熱交換器17に接続されている。
また、熱交換器17には、二次熱媒体循環路52が接続されており、二次熱媒体循環路52の下流端は、蓄熱器12の上端部に接続されている。蓄熱器12の下端部には、二次熱媒体循環路52の上流端が接続されている。また、二次熱媒体循環路52の途中には、燃料電池11で発電した電力のうちの余剰電力を消費するための余剰ヒータ18及び流量調節可能なポンプ(図示せず)が設けられている。なお、ここでは、流量調節が可能なポンプを用いているが、流量調整可能なポンプに代えて、ポンプと流量調節弁等の流量調節器を用いてもよい。
これにより、燃料電池11の排熱を回収した一次熱媒体は、熱交換器17を通流する間に、蓄熱器12の下端部から熱交換器17に供給された二次熱媒体と熱交換して、冷却される。冷却された一次熱媒体は、一次熱媒体循環路51を通流して、燃料電池11の一次熱媒体流路11aの入口に供給される。一方、蓄熱器12の下端部から熱交換器17に供給された二次熱媒体(ここでは、貯湯水)は、熱交換器17を通流する間に、加熱される。加熱された二次熱媒体は、二次熱媒体循環路52を通流して、蓄熱器12の上端部に供給される。なお、加熱された二次熱媒体は、二次熱媒体循環路52を通流する間に、必要に応じて、余剰ヒータ18によりさらに加熱される。
蓄熱器12は、ここでは、鉛直方向に延びるように形成されていて、いわゆる沸き上げ積層型の貯湯タンクを使用している。蓄熱器12の下端部には、市水を供給するための水供給路53が接続されており、蓄熱器12の上部には、貯湯水を利用者に供給するための貯湯水供給路54が接続されている。貯湯水供給路54には、貯湯水を利用する熱負荷(熱利用機器)19が接続されている。熱負荷19としては、例えば、給湯機器、暖房機器や空調機器が挙げられ、ここでは、給湯機器を想定している。
また、貯湯水供給路54の途中には、混合器28が設けられており、当該混合器28には、水供給路53から分岐された混合用水供給路55が接続されている。混合器28は、熱負荷19で使用する貯湯水の温度を、ユーザーが所望する温度に調整するように構成されている。また、貯湯水供給路54の混合器28の下流側には、補助熱源器29が設けられていて、当該補助熱源器29は、蓄熱器12内の高温の貯湯水が不足した場合に、メタン等の原料ガスを燃焼させて得た熱を利用して、貯湯水供給路54を通流する低温の貯湯水を加熱して、熱負荷19にユーザーが所望する温度に調整した貯湯水を供給することができるように構成されている。
さらに、貯湯水供給路54の補助熱源器29の下流側には、熱負荷検出器27が設けられており、該熱負荷検出器27は、熱負荷19で使用された熱量を検出し、検出した熱量を実熱負荷として運転制御装置10に入力するように構成されている。なお、熱負荷検出器27は、ここでは、温度センサと流量計から構成されており、貯湯水供給路54を通流する貯湯水の流量と温度を検出して、検出した貯湯水の流量と温度を運転制御装置10に出力する。
また、蓄熱器12の側面には、温度センサ13a〜13cが、蓄熱器12の鉛直方向における温度分布を検出することができるように配設されている。具体的には、温度センサ13a〜13cは、蓄熱器12の上層12a、中層12b、及び下層12cの各表面の中央にそれぞれ位置するように設けられている。温度センサ13a〜13cは、例えば、サーミスタや熱電対で構成されており、その出力(温度検出信号)は運転制御装置10に入力される。なお、蓄熱器12の内部には、貯湯水の水位を検出するための水位センサ(図示せず)が設けられており、水位センサで検出した貯湯水の水位は、運転制御装置10に入力される。一方、運転制御装置10は、水位センサから入力された水位検出信号によって検出した水位が下がると、蓄熱器12に市水を補充する。
また、燃料電池11の出力端子(図示せず)には、適宜な配線により、DC/DCコンバータ20の入力端子(図示せず)が接続されている。DC/DCコンバータ20の出力端子(図示せず)には、適宜な配線により、DC/DCコンバータ21の入力端子(図示せず)が接続されている。また、DC/DCコンバータ21の出力端子(図示せず)には、適宜な配線により、コージェネレーションシステム100に含まれる図示されないポンプや弁のアクチュエータ、余剰ヒータ18等の補機が接続されている。DC/DCコンバータ20は、ここでは、燃料電池11で発生した直流電力を昇圧するように構成されており、一方、DC/DCコンバータ21は、余剰ヒータ18等の補機に電力(電圧)を調整しながら直流電力を供給するように構成されている。
また、DC/DCコンバータ20の出力端子には、インバータ22の入力端子(図示せず)が接続されている。インバータ22の出力端子(図示せず)には、系統連繋点23を介して、系統電源24が接続されている。すなわち、インバータ22と系統電源24が、系統連繋点23で系統連繋されている。また、系統連繋点23には、適宜な配線により電力負荷25が接続されており、系統連繋点23と電力負荷25との間には、電力負荷検出器26が設けられている。電力負荷検出器26は、ここでは、カレントトランス等の電流センサで構成されており、電流の大きさを検出し、検出した電流量を運転制御装置10に出力している。なお、電力負荷検出器26として、例えば、シャント抵抗を用いた電流センサ、カレントトランスを系統電線にクランプし、1次電流に比例した2次巻き線電流から電流検知するクランプ式交流電流センサ、交流電流を直接計測する交流電流計等を使用してもよい。
これにより、DC/DCコンバータ20で昇圧された直流電流が、インバータ22で交流電流に変換され、系統電源24と系統連繋しながら、電力負荷25に電力が供給される。そして、電力負荷25で消費された電力量(電力負荷25に供給された電力量)を電力負荷検出器26が検出し、検出した電力量(実電力負荷)が運転制御装置10に出力される。
運転制御装置10は、マイコン等のコンピュータによって構成されており、コージェネレーションシステム100の運転を制御する。運転制御装置10は、発電量制御器1、判定器2、記憶器3、計時器4、及び取得器5を備えている。
ここで、本明細書において、制御装置とは、単独の制御装置だけでなく、複数の制御装置が協働して制御を実行する制御装置群をも意味する。このため、運転制御装置10は、単独の制御装置から構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置され、それらが協働してコージェネレーションシステム100を制御するように構成されていてもよい。
操作器6は、CRT(Cathode-Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部や、ボタンやタッチパネル等の入力部を備え、運転制御装置10と使用者とが対話する等のために用いられる。また、操作器6は、使用者の操作により、燃料電池11が起動を予定している時刻である起動予定時刻及び燃料電池11が停止を予定している時刻である停止予定時刻を設定する。
運転計画器7は、運転計画期間(例えば、00時00分01秒〜24時00分00秒まで)における燃料電池11の発電計画を含むコージェネレーションシステム100の運転計画を作成し、運転制御装置10は、運転計画器7が作成した運転計画に基づいて、コージェネレーションシステム100全体を制御する。また、運転計画器7は、記憶器3が記憶している電力需要量及び/または熱需要量の過去の履歴に基づいて、燃料電池11が起動を予定している時刻である起動予定時刻及び燃料電池11が停止を予定している時刻である停止予定時刻を設定する。
具体的には、運転計画器7は、需要家の電力の使用量と熱の使用量との実績から、運転を計画する運転計画期間での最も一次エネルギー使用量が少ない運転パターンである最適運転パターンを作成する。
つまり、運転計画器7は、需要家の電力負荷の電力需要と熱負荷の熱需要とを計測し、時刻に対する変化を需要履歴として記憶し、この記憶内容に基づき、運転計画期間である翌日の0時から24時間の電力需要及び熱需要の予測値である予測エネルギー需要を算出する。そして、運転計画器7は、運転計画期間の最初の時刻である翌日0時での燃料電池11の起動状態もしくは停止状態を示す運転状態を運転計画初期運転状態として取得する。また、運転計画器7は、翌日0時での蓄熱器12の蓄熱量を運転計画初期蓄熱量として取得する。そして、運転計画器7は、運転計画期間で取り得る運転パターンの起動時刻と停止時刻との組み合わせを、先の運転パターンの停止時刻よりも遅い時刻を次の停止時刻とした組み合わせとし、それぞれの運転パターンでの燃料電池11の運転を想定した演算である運転シミュレーションを行った結果の一次エネルギーの使用量が最も少ない運転パターンである最適運転パターンを作成する。
取得器5は、温度センサ13a〜13cから蓄熱器12の温度を取得する。また、取得器5は、電力負荷検出器26から電力需要を、熱負荷検出器27から熱需要を取得し、これらの値は計時器4で計測された時刻データと対応付けした状態で蓄熱履歴及び需要履歴として記憶器3に記憶される。
記憶器3は、データ等を記憶する不揮発性メモリ等である。記憶器3は、上記蓄熱履歴や需要履歴だけでなく、運転計画器7により予め設定されたコージェネレーションシステム100の起動予定時刻及び停止予定時刻とを記憶する。また、記憶器3は、コージェネレーションシステム100を制御するために必要な各閾値や発電指示データ3a等を記憶している。
計時器4は、カレンダー機能を有し、現在時刻を計測する機器である。
判定器2は、蓄熱器12に蓄熱可能な容量である最大蓄熱量と蓄熱器12に蓄熱された蓄熱量との差である判定蓄熱量を算定するとともに、判定蓄熱量が算定された時刻から燃料電池11が停止する予定の停止時刻までの時間である判定時間を算定する。そして、判定器2は、判定蓄熱量の大きさ及び判定時間の大きさに応じて、燃料電池11の出力について制限を行わない運転方法である通常運転、及び、燃料電池11の出力が最大発電量よりも小さくなるよう出力を制限する運転方法である制限運転のいずれの運転方法を行うかを判定する。
具体的には、判定器2は、取得器5から温度センサ13a〜13cによる蓄熱器12の温度を取得して、蓄熱器12の蓄熱量を算出する。また、判定器2は、計時器4から現在時刻を、記憶器3から停止時刻としての停止予定時刻と各閾値とをそれぞれ取得する。そして、判定器2は、蓄熱器12の蓄熱量と最大蓄熱量とから判定蓄熱量を算出し、現在時刻と停止時刻とから判定時間を算出する。
さらに、具体的には、判定器2は、通常運転を行っている場合において、判定蓄熱量が第5の閾値以下(蓄熱器12の蓄熱量が、最大蓄熱量より小さい第1の閾値以上)で、判定時間が第2の閾値以上ある場合は、制限運転を行うと判定する。一方、通常運転を行っている場合において、判定蓄熱量が第5の閾値よりも大きい(蓄熱器12の蓄熱量が第1の閾値未満)、もしくは、判定時間が第2の閾値未満の場合は、判定器2は通常運転を継続すると判定する。一方、制限運転を既に行っている場合において、判定蓄熱量が第6の閾値以上で、判定時間が第2の閾値よりも小さい第4の閾値以上である場合は、判定器2は、制限運転を継続すると判定する。一方、制限運転を行っている場合において、判定蓄熱量が第6の閾値未満、もしくは、判定時間が第4の閾値未満の場合は、判定器2は、通常運転を行うと判定する。また、判定器2は、通常運転を行うか制限運転を行うかの判定結果を示すフラグである貯湯完回避フラグを生成する。
なお、判定器2の判定蓄熱量や判定時間を用いた上記判定手法は、一例に過ぎず、蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量に近づいて、蓄熱量が第1の閾値(または第3の閾値)以上であるときに、停止時刻までの残り時間がどの程度であるか(第2閾値[または第3の閾値]以上であるか否か)という状態を判定可能であればどのような手法であっても良い。従って、例えば、蓄熱器12の蓄熱量が第1の閾値以上である状況を判定するために上記のように最大蓄熱量と蓄熱器12の蓄熱量との差分が第5の閾値(これは、最大蓄熱量―第1の閾値に等しい)以上であるか否かでなく、直接的に蓄熱量が第1の閾値以上であるか否かを判定してもよい。また、停止時刻までの残り時間が第2の閾値以上であるか否かを判定するのに、上記手法を用いずに現在時刻が、停止時刻よりも第2の閾値だけ前の時刻よりも以前かどうかで判定しても構わない。
また、例えば、請求の範囲の「蓄熱器に蓄熱された蓄熱量が最大蓄熱量より小さい第1の閾値以上になったときに予め設定された停止時刻までの残り時間が第2の閾値以上である場合」の記載は、「蓄熱器に蓄熱された蓄熱量が最大蓄熱量より小さい第1の閾値以上になったときに予め設定された停止時刻までの残り時間が第2の閾値以上である」という状態を意味するもので、判定器2が、本状態を判定可能であれば、上記の通りその判定手法を限定するものではない。また、「蓄熱量が最大蓄熱量より小さい第1の閾値以上になったときに予め設定された停止時刻までの残り時間が第2の閾値未満である場合」、「蓄熱量が第3の閾値以上で、かつ予め設定された停止時刻までの残り時間が前記第2の閾値よりも小さい第4の閾値未満である場合」等の請求の範囲の記載についても同様である。
次に、発電量制御器1は、判定器2が判定した運転方法に従って、燃料電池11の発電量を制御し、需要家に電力と熱とを供給するための制御命令を出力する。
具体的には、発電量制御器1は、需要家の電力負荷の電力需要と、運転計画器7が作成した最適運転パターンと、判定器2が生成した貯湯完回避フラグとを取得する。そして、発電量制御器1は、貯湯完回避フラグが通常運転を示すフラグである場合は、需要家の電力需要に追従した運転を行うための制御命令を燃料電池11に出力する。また、発電量制御器1は、貯湯完回避フラグが制限運転を示すフラグである場合は、需要家の電力需要に応じて省エネルギー性を一定の低下幅に抑えるように考慮した蓄熱器12の増加を抑える運転を行うための制御命令を燃料電池11に出力する。
従って、発電量制御器1は、蓄熱器12に蓄熱された蓄熱量が最大蓄熱量より小さい第1の閾値以上になったときに予め設定された停止時刻までの残り時間が第2の閾値以上である場合、燃料電池11の出力が最大発電量よりも小さくなるよう出力を制限し、蓄熱量が最大蓄熱量より小さい第1の閾値以上になったときに予め設定された停止時刻までの残り時間が第2の閾値未満である場合、燃料電池11の出力について制限を行わない。
また、発電量制御器1は、燃料電池11の出力の制限中において、蓄熱量が第3の閾値以上で、かつ予め設定された停止時刻までの残り時間が第2の閾値よりも小さい第4の閾値未満である場合は、制限を解除する。さらに、発電量制御器1は、燃料電池11の出力を制限中において、蓄熱量が第3の閾値未満である場合は、制限を解除する。
またここで、制限とは、制限を行っているときの燃料電池の最大出力が、制限を行わない場合の燃料電池11の最大出力よりも小さくなるよう、少なくともその最大出力を制限することであり、制限された最大出力以下の範囲において、どのように出力を制御するかはシステム設計により様々であるが、本実施の形態のコージェネレーションシステムにおけるその一例について、以下に、詳しく説明する。
図2は、発電指示データ3aの一例を示す図である。
発電指示データ3aは、制限運転を行う場合の燃料電池11の発電出力の指示値を示す情報の集まりである。この発電指示データ3aは、非制限発電指示値、及び制限発電指示値などからなる。ここで、非制限発電指示値は、燃料電池11が電力を供給する需要家の電力負荷の電力需要に基づき、所定の手法(例えば、移動平均法(特許文献:特開2002−198080号公報))で決定された値である。また、制限発電指示値は、需要家の電力需要から当該所定の手法に基づき算出された非制限発電指示値の値が属する範囲に応じた燃料電池11の発電出力の指示値である。なお、発電指示データ3aは、予め作成され、記憶器3に予め記憶されている。
ここで、制限発電指示値について説明する。
図3は、制限発電指示値を説明するための図である。
同図は、発電出力と単位時間あたりの一次エネルギー削減量との関係を示すグラフである。つまり、横軸が燃料電池11の発電出力であり、縦軸が単位時間あたりの燃料電池11に供給される一次エネルギーの削減量である。
同図に示すように、燃料電池11が定格出力で発電したときの運転が、一次エネルギー削減量が最も大きく、省エネルギー性がよい。また、燃料電池11の発電出力が下がるほど、一次エネルギー削減量が小さくなり、省エネルギー性が低下する。
このため、制限運転による省エネルギー性の低下を一定の割合に抑えるために、定格出力で単位時間発電を行った場合の一次エネルギー削減量を100として、そこから一定値(例えば10%)一次エネルギー削減量が減少したときの発電出力W1以下の値を制限発電指示値WL1とする。つまり、需要家の電力需要に基づく非制限発電指示値が発電出力W1から定格負荷の間であれば、制限発電指示値は発電出力WL1となる。
また、同様に、発電出力W1で単位時間発電を行った場合の一次エネルギー削減量を100として、そこから一定値(例えば10%)一次エネルギー削減量が減少したときの発電出力W2以下の値を制限発電指示値WL2とする。つまり、需要家の電力需要に基づく非制限発電指示値が発電出力W2から発電出力W1の間であれば、制限発電指示値は発電出力WL2となる。このようにして、需要家の電力需要に応じた制限発電指示値が設定される。
以下、コージェネレーションシステム100の動作の一例について説明する。
図4、図5及び図7は、本実施の形態におけるコージェネレーションシステム100の動作の一例を示すフローチャートである。
コージェネレーションシステム100が起動され、初期化等初期設定に必要な処理が終了した後に、単位時間毎に燃料電池11の運転制御処理の開始指示が出される。
図4に示すように、まず、運転計画器7は、毎日決まった時刻に先24時間分のコージェネレーションシステム100の運転計画を作成するため、現在時刻が運転計画作成時刻(例えば0時)であるかどうか判断する(S102)。
運転計画器7は、現在時刻が運転計画作成時刻であると判断した場合(S102でYES)、最適運転パターンを作成する(S104)。
具体的には、運転計画器7は、記憶器3から、1分毎に需要家の電力負荷の電力需要と熱負荷の熱需要とを取得し、電力需要と熱需要とを計測した時刻と関連付けて需要履歴として保持する。そして、運転計画器7は、現在時刻に保持している需要履歴から、電力需要と熱需要との予測値である予測エネルギー需要を算出する。また、運転計画器7は、現在時刻の燃料電池11の起動状態もしくは停止状態を示す運転状態である運転計画初期運転状態、及び現在時刻の蓄熱器12の蓄熱量である運転計画初期蓄熱量を取得する。そして、運転計画器7は、予測エネルギー需要と運転計画初期運転状態と運転計画初期蓄熱量とから、取り得る運転パターンについて運転シミュレーションを行って、最適な運転パターンを算出することで、最適運転パターンを作成する。
ここで、運転計画器7が最適運転パターンを作成する処理を以下に詳細に説明する。
運転計画器7は、1分毎に需要家の電力需要と熱需要とを取得して、それぞれを30分単位で積算する。そして、運転計画器7は、積算された電力需要及び熱需要と、電力需要及び熱需要が計測された時刻とを関連付けて、7日前までの各日の電力需要及び熱需要の24時間分を30分単位に需要履歴として記憶する。これにより、運転計画器7は、記憶された需要履歴を用いて、将来の電力需要及び熱需要の予測を行う。
例えば、運転計画器7は、需要履歴の直近の負荷7日分から各時刻の電力需要及び熱需要を平均することによって、翌日の電力需要及び熱需要の予測値である24時間先までの予測エネルギー需要を算出する。すなわち、0時0分から0時30分までの電力需要の予測値は、過去7日間の0時0分から0時30分までの計測された電力需要の平均値である。
次に、運転計画器7は、現在時刻の燃料電池11の起動状態もしくは停止状態を示す運転状態を運転計画初期運転状態として取得し、試験運転パターンを算出する。
以下、燃料電池11の運転パターンを、一般的に、一対の起動時刻と停止時刻とを用いて、[起動時刻、停止時刻]と表すものとする。また、1日のうちで2回以上の起動、停止がある運転パターンを、[1回目の起動時刻、1回目の停止時刻],[2回目の起動時刻、2回目の停止時刻]などと表すものとする。また、運転をしない場合の運転パターンを[0時0分、0時0分]と表す。
運転計画器7は、運転計画を行う期間で取り得る運転パターンの中で運転状態の合計時間が短いものから先に、さらに、運転状態の合計時間が同一となる複数の運転パターンについては、それらの運転パターンの中で起動時刻が早いものから先に、試験運転パターンとして算出する。
例えば、最初に算出される試験運転パターンは、運転を行わない運転パターンである[0時0分、0時0分]であり、次に算出される試験運転パターンは、運転状態の合計時間が30分である[0時0分、0時30分]であり、その次に算出される試験運転パターンは[0時30分、1時0分]である。
ただし、0時での運転計画初期運転状態が起動状態を示す値である場合は、試験運転パターンの起動時刻の1つとして0時0分を含むものとし、1回目の起動時刻が0時0分ではない[0時30分、24時0分]や[1時0分、24時0分]などは、試験運転パターンとして算出されない。
運転計画器7は、試験運転パターンが算出されると、先に算出された予測エネルギー需要、運転計画初期運転状態、及び現在時刻の蓄熱器12の蓄熱量である運転計画初期蓄熱量とから、運転シミュレーションを行う。
なお、この運転シミュレーションには、予め設定された燃料電池11の燃料である天然ガスなどのガスの使用量に対する発電量を示す発電効率、蓄熱量を示す排熱回収効率、及び1分毎に発電量の変化可能な量を示す発電追従性などのハードウェア特性が用いられる。
次に、運転計画器7は、試験運転パターンにおける各時刻での発電量及び蓄熱量に基づく運転シミュレーションの結果、燃料電池11が使用したガス使用量と、燃料電池11による蓄熱では不足した熱を補うためガス会社から購入するガス使用量との総和である買ガス量を算出する。また、運転計画器7は、燃料電池11の発電では不足した電力を補うため電力会社から購入する電力量である買電量を算出する。
さらに、運転計画器7は、予め設定されたガス及び電力の単位使用量当たりの一次エネルギー使用量を用いて、買ガス量と買電量とから運転シミュレーションで使用された一次エネルギー使用量を算出する。
運転計画器7は、すべての試験運転パターンにおける一次エネルギー使用量が算出されれば、最も一次エネルギー使用量が小さくなる試験運転パターンを最適運転パターンとして算出することで、最適運転パターンを作成する。
なお、運転計画器7は、運転計画作成時刻(例えば0時)だけでなく、蓄熱器12の蓄熱量にあわせて一定の時間毎に最適運転パターンを作成し直すことにしてもよい。
運転計画器7は、現在時刻が運転計画作成時刻でないと判断した場合(S102でNO)、5分毎に蓄熱器12の蓄熱量の比較を行うために、現在時刻の分の部分が5の倍数かどうかを判断する(S106)。
ここでは、後述する蓄熱器12の蓄熱量と最大蓄熱量との差である判定蓄熱量を所定の値と比較する際の判断の誤差を10%程度に抑えるために、判定蓄熱量と比較する所定の値の約10%の熱量を定格運転で蓄熱するのに要する時間であり、60分の約数である5分という値を用いている。なお、正確性を重視するために1分などの小さい値にしてもよいし、常に定格運転を行うなど誤差要因が少ない場合は、10分などの大きい値にしてもよい。また、蓄熱量の代わりに蓄熱器12の温度センサ13a〜13cを用いて、蓄熱器12の温度センサ13a〜13cが所定の温度になったかどうかを判断することにしてもよい。
運転計画器7が現在時刻の分の部分が5の倍数であると判断した場合(S106でYES)、判定器2は、貯湯完回避フラグを生成する(S108)。判定器2が貯湯完回避フラグを生成する処理の詳細については、後述する。
運転計画器7が最適運転パターンを作成した場合(S104)、判定器2が貯湯完回避フラグを生成した場合(S108)、又は、運転計画器7が現在時刻の分の部分が5の倍数でないと判断した場合(S106でNO)、発電量制御器1は制御命令を行う(S110)。発電量制御器1が制御命令を行う処理の詳細については、後述する。
次に、判定器2が貯湯完回避フラグを生成する処理(図6のS108)の詳細を説明する。
図7は、判定器2が貯湯完回避フラグを生成する処理(図6のS108)の詳細を示すフローチャートである。
まず、判定器2は、現在時刻における燃料電池11の運転状況が起動中か否かを判断する(S202)。
具体的には、判定器2は、現在時刻における燃料電池11の起動状態もしくは停止状態を示す運転状態を取得する。そして、判定器2は、取得された燃料電池11の運転状態から、燃料電池11が起動中か停止中かを判断する。
次に、判定器2が、現在時刻における燃料電池11の運転状態が起動中であると判断した場合(S202でYES)、判定器2は、判定蓄熱量と判定時間とを算定する(S203)。
具体的には、判定器2は、現在時刻の蓄熱器12の蓄熱量と蓄熱器12に蓄熱可能な最大蓄熱量とを取得する。そして、判定器2は、取得した最大蓄熱量から蓄熱量を減じた値を判定蓄熱量として算出することで、判定蓄熱量を取得する。
また、判定器2は、記憶器3から停止時刻を取得し、現在時刻から停止時刻までの時間を判定時間として算出することで、判断時間を取得する。ここで、停止時刻は、燃料電池11が停止する予定の時刻である。
次に、判定器2は、現在設定されている貯湯完回避フラグがONかOFFかを判断する(S204)。ここで貯湯完回避フラグは、初期化処理において初期状態はOFFに設定されているものとする。
ここで、貯湯完回避フラグは、通常運転を行うか制限運転を行うかの判定結果を示すフラグである。具体的には、判定器2が通常運転を行うと判定した場合は、貯湯完回避フラグがOFFに設定され、判定器2が制限運転を行うと判定した場合は、貯湯完回避フラグがONに設定される。また、通常運転は、需要家の電力負荷の電力需要に応じた発電出力である通常出力を燃料電池11が発電する運転方法である。そして、制限運転は、通常出力が予め定められた範囲内にある場合、当該範囲の下限値以下の発電出力である制限出力を燃料電池11が発電する運転方法である。当該範囲は、燃料電池11が発電するために燃料電池11に供給される一次エネルギーの削減量に基づいて定められる。具体的には、図2の左欄に示されるような制限運転をしない場合の非制限発電指示値の範囲として規定される。
判定器2は、現在の貯湯完回避フラグがOFFに設定されていると判断した場合は(S204でYES)、判定蓄熱量が予め定められた第5の閾値以下か否かを判断する(S206)。
ここで、第5の閾値は、請求の範囲に記載の「蓄熱器12の蓄熱量が第1の閾値以上である」という状態であるか否かを判定するための判定蓄熱量の値である。具体的には、第5の閾値は、現在の蓄熱器12の蓄熱量と最大蓄熱量の熱量差により燃料電池11の発電量の制御を変えるか否かを判断するための境界値であり、予め定められた値である。この第5の閾値の値が大きすぎると、貯湯完回避フラグが早めにONになり、蓄熱器12の蓄熱量増加を抑えるための省エネルギー性のよくない制限運転が長く続くことになる。また、第5の閾値の値が小さすぎると、蓄熱量の増加を抑えるための制限運転の効果を得る期間が少なくなり、蓄熱器12の蓄熱量の増加に伴う燃料電池11の運転停止を回避できない可能性が高くなる。従って、上記第5の閾値は、制限運転による省エネルギーの低下を抑制しつつ蓄熱器が最大蓄熱量になることを回避可能な値として適宜設定される。
例えば、第5の閾値は、蓄熱量が最大蓄熱量になることによるシステムの運転停止の回避のために最も安全側になるよう、運転計画器7が予測エネルギー需要を算出する際の単位時間(ここでは30分)の間に、各熱負荷の熱需要が全く発生せず、燃料電池11が定格運転を行うことによって蓄熱器12に蓄熱される熱量とすることが好ましい。つまり、各熱負荷の熱需要の予測値が実際に発生する熱需要の値と同じであったとしても、実際には、30分間の最初の1分間に全ての熱負荷の熱需要が発生する場合や、単位時間内には熱需要が全く発生せず30分後の1分間に全ての熱負荷の熱需要が発生する場合、30分間において離散的に熱負荷の熱需要が発生する場合等が想定され、任意の時刻における蓄熱量を予測することは困難であるため、第5の閾値は、上述のように当該単位時間に蓄熱可能な最大蓄熱量とする。なお、誤差を考慮して、第5の閾値は余裕をもたせた値にすることも可能である。
判定器2は、判定蓄熱量が第5の閾値以下であると判断した場合(S206でYES)、判断時間が予め定められた第2の閾値以上であるか否かを判断する(S208)。
ここで、第2の閾値について、以下に詳細に説明する。
蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量に近くなる要因として、予測より多く電力が使われたり、予測より熱需要の発生が遅れたりすることにより、蓄熱器12の蓄熱量が運転計画作成時のシミュレーションと異なった状態になっている場合や、この後に大きな熱負荷があると予測されている場合がある。
最適運転パターンの作成は、予測エネルギー需要を用いて行っているため、電力や給湯の使用量の多い時間が、最適運転パターンでの燃料電池11の起動時刻と停止時刻との間に含まれる可能性が高い。
すなわち、現時点においては、蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量に近づいていても、最適運転パターンでの燃料電池11の停止時刻までの時間が長ければ、制限運転をし最大蓄熱量になるまでの時間を延長することで、相当量の熱負荷が発生して、蓄熱余力が向上し、最大蓄熱量になるまでの時間延長効果がさらに得られる可能性が高い。一方、燃料電池11の停止時刻までの時間が短ければ制限運転をして最大蓄熱量になる時間を延長を図っても、すぐに停止時刻を迎えて停止してしまい制限運転によるエネルギー効率の低下による影響で却って省エネルギー性が低下してしまう可能性がある。
このため、第2の閾値は、燃料電池11の制限運転を実行しても、制限運転によるエネルギー効率の低下よりも、蓄熱量が最大蓄熱量になるまでの時間延長効果による省エネルギー効果の方が優位になる現時点から停止時刻までの残り時間として設定される。
なお、第2の閾値は、上記のような蓄熱器の蓄熱量が最大蓄熱量になる時間を延長することによる省エネルギー効果を考慮して設定されるだけでなく、次のような因子も考慮して設定しても構わない。具体的には、上記制限運転を実行しても、実際の熱需要が予測と異なりあまり発生せず、蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量になって燃料電池11が停止した場合、その後の熱需要の発生により蓄熱器の蓄熱余力が回復し、かつ電力需要が発生した場合に、停止時刻前であれば再度燃料電池11が起動する場合がある。このような場合においても、燃料電池11が起動した後、停止時刻を直ぐに迎えて起動エネルギーを無駄にする可能性が低減するよう再起動した場合の起動エネルギーが、起動後の燃料電池11の発電運転により生じる省エネルギー量により賄えることも考慮して第2の閾値を設定しても構わない。
つまり、最も省エネルギー性の高い運転が燃料電池11を再起動せずに運転することであるため、蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量になって停止時刻より早い時間に止まった後に燃料電池11が再起動することを避けるために、停止時刻よりも第2の閾値手前の時刻までは多少省エネルギー性が悪くなっても蓄熱器12の蓄熱量増加を抑えるための制限運転を続けるようにする。そして、停止時刻よりも第2の閾値手前の時刻以降に蓄熱器12の蓄熱量と最大蓄熱量の差が第5の閾値以下になった場合は、燃料電池11を再起動しても燃料電池11の起動エネルギー分の回収ができないため、燃料電池11の再起動はすべきではない。また、この時刻以降に熱負荷が発生しても燃料電池11が停止時刻に停止するのが最適であると計画されていることから、蓄熱量の増加を抑えるための省エネルギー性のよくない制限運転を行うより、省エネルギー性のよい通常運転を行って、最適運転パターンでの停止時刻より若干早くに蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量に達して、燃料電池11が停止することにしてもよい。
なお、第2の閾値は、予測と実測における熱負荷のピークとなる時間のずれを調べて、予測の特性を考慮して設定することも可能である。
判定器2は、判定時間が第2の閾値以上であると判断した場合(S208でYES)、制限運転を行うと判定し、ONの貯湯完回避フラグを生成する(S210)。つまり、貯湯完回避フラグはONに設定される。
また、判定器2は、判定時間が第2の閾値以上でないと判断した場合(S208でNO)、通常運転を行うと判定し、OFFの貯湯完回避フラグを生成する(S212)。つまり、貯湯完回避フラグはOFFに設定される。
判定器2は、判定蓄熱量が第5の閾値以下でないと判断した場合(S206でNO)、通常運転を行うと判定し、OFFの貯湯完回避フラグを生成する(S212)。つまり、貯湯完回避フラグはOFFに設定される。蓄熱器12への蓄熱は十分可能な状態であり、通常運転を行うためである。
判定器2は、現在の貯湯完回避フラグがONに設定されていると判断した場合は(S204でNO)、判定蓄熱量が予め定められた第6の閾値以下か否かを判断する(S214)。
ここで第6の閾値は、請求の範囲に記載の「蓄熱器12の蓄熱量が第3の閾値以上である」という状態か否かを判定するための判定蓄熱量の値である。また、第6の閾値は、蓄熱器12の蓄熱量増加を抑えるための制限運転を続けるか通常運転に戻すかの判断をする閾値であり、ここでは、第6の閾値は第5の閾値と同じ値であることとする。
判定器2は、判定蓄熱量が第6の閾値以下であると判断した場合(S214でYES)、判定時間が予め定められた第4の閾値以上であるか否かを判断する(S216)。
ここで、第4の閾値は、制限運転を継続して蓄熱器12が最大蓄熱量になる時間延長による省エネルギー性の向上を図ろうとしても停止時刻までの残り時間が短いために、制限運転を継続するよりも制限運転を解除して、制限運転によるエネルギー効率の低下を解消する方が、省エネルギー性が向上すると判断される時間である。なお、第4の閾値は第2の閾値よりも小さい値となる。
判定器2は、判定時間が第4の閾値以上であると判断した場合は(S216でYES)、蓄熱器12の蓄熱量増加を抑えるための制限運転を引き続き行うよう、貯湯完回避フラグをONに設定したままとする(S218)。
また、判定器2は、判定時間が第4の閾値以上ではないと判断した場合は(S216でNO)、通常運転を行うと判定し、OFFの貯湯完回避フラグを生成する(S220)。つまり、貯湯完回避フラグはOFFに設定される。
また、判定器2は、判定蓄熱量が第6の閾値以下でないと判断した場合(S214でNO)、通常運転を行うと判定し、OFFの貯湯完回避フラグを生成する(S220)。つまり、貯湯完回避フラグはOFFに設定される。蓄熱器12への蓄熱は十分可能な状態であり、通常運転を行うためである。
また、判定器2は、現在時刻における燃料電池11の運転状態が停止中であると判断した場合(S202でNO)、OFFの貯湯完回避フラグを生成することで、貯湯完回避フラグはOFFに設定される(S222)。
このようにして、判定器2は、通常運転及び制限運転のいずれの運転方法を行うかを判定する。そして、判定器2は、図5に示したフローチャートに従い、時間の経過とともにこのような運転方法の判定を繰り返し行っていく。
ここで、判定器2が、時間の経過とともに繰り返し通常運転及び制限運転のいずれの運転方法を行うかを判定していく一例を、以下に具体的に説明する。
図6は、判定器2が、時間の経過とともに繰り返し運転方法の判定を行っていく一例を説明する図である。
まず、判定器2は、判定蓄熱量が第5の閾値よりも大きいと判断した場合(図5のS206でNO)、通常運転(A)を行うと判定する(図5のS212)。
次に、判定器2は、判定蓄熱量が予め定められた第5の閾値以下になったときの判定時間が、予め定められた第2の閾値以上であれば制限運転を行うと判定する。つまり、判定器2は、通常運転(A)の状態で時間が経過して、判定蓄熱量が第5の閾値以下になったと判断し(図5のS206でYES)、かつ、判定時間が第2の閾値以上であると判断した場合は(図5のS208でYES)、制限運転(B)を行うと判定する(図5のS210)。
また、判定器2は、判定蓄熱量が予め定められた第5の閾値以下になったときの判定時間が、予め定められた第2の閾値よりも小さければ通常運転を行うと判定する。つまり、判定器2は、通常運転(A)の状態で時間が経過して、判定蓄熱量が第5の閾値以下になったと判断しても(図5のS206でYES)、判定時間が第2の閾値未満になった場合は(図5のS208でNO)、通常運転(C)を継続して行うと判定する(図5のS212)。
次に、判定器2は、さらに、制限運転を行うと判定した後に取得された判定蓄熱量が予め定められた第6の閾値よりも大きければ通常運転を行うと判定する。つまり、判定器2は、制限運転(B)の状態で時間が経過して、判定蓄熱量が第6の閾値よりも大きくなったと判断した場合は(図5のS214でNO)、通常運転(D)を行うと判定する(図5のS220)。
また、判定器2は、さらに、制限運転を行うと判定した後に取得された判定蓄熱量が予め定められた第6の閾値以下になったときの判定時間が、予め定められた第2の閾値よりも小さい第4の閾値より小さければ通常運転を行うと判定する。つまり、判定器2は、制限運転(B)の状態で時間が経過して、判定蓄熱量が第6の閾値以下になったと判断し(図5のS214でYES)、かつ、判定時間が第4の閾値未満になった場合(図5のS216でNO)、通常運転(E)を行うと判定する(図5のS220)。
次に、発電量制御器1が制御命令を行う処理(図4のS110)の詳細を説明する。
図7は、発電量制御器1が制御命令を行う処理(図4のS110)の詳細を示すフローチャートである。
まず、発電量制御器1は、需要家の電力負荷の電力需要と、運転計画器7が作成した最適運転パターンと、判定器2が生成した貯湯完回避判定フラグとを取得する。そして、発電量制御器1は、最適運転パターンでの起動時刻から停止時刻までの時間帯である燃料電池11の起動時間帯に、現在時刻が含まれるか否かを判断する(S302)。
発電量制御器1は、現在時刻が燃料電池11の起動時間帯に含まれると判断した場合(S302でYES)、貯湯完回避フラグがOFFに設定されているか否かを判断する(S304)。
発電量制御器1は、貯湯完回避フラグがOFFに設定されていると判断した場合は(S304でYES)、制限運転でない通常運転を行い、需要家の電力負荷の電力需要に応じて定められた非制限発電指示値データから適切な発電指示値を取得する(S306)。
ここで取得される発電指示値は、燃料電池11に制御命令を出力することにより、燃料電池11が現在需要家に使用されている電力需要に応じた発電出力を発電するためのものである。
発電量制御器1は、貯湯完回避フラグがONに設定されていると判断した場合は(S304でNO)、制限運転を行うように、電力負荷の電力需要をもとに図4に示された発電指示データ3aである制限発電指示値データから適切な発電指示値を取得する(S308)。
これにより、直前の電力負荷を発電指示値とする電力負荷追従運転の場合に比べて、省エネルギー性の低下が限定され、かつ、蓄熱器12の蓄熱量増加を抑えた制限運転を行うための発電指示値を取得することができる。
そして、発電量制御器1は、制御命令として、起動指示と発電指示値とを燃料電池11に出力する(S310)。
また、発電量制御器1は、現在時刻が燃料電池11の起動時間帯に含まれないと判断した場合(S302でNO)、制御命令として、停止指示を燃料電池11に出力する(S312)。
以下、本実施の形態における効果について説明する。
本実施の形態では、1日の決まった時刻(例えば0時)に運転計画器7が作成した省エネルギー性の最も優れた最適運転パターンと、所定の時間毎に判定器2が生成した貯湯完回避フラグに従って、発電量制御器1が燃料電池11への制御命令を出力する。
判定器2は、最適運転パターンでの起動時刻と停止時刻との間で燃料電池11が起動中か否かと、判定蓄熱量と、判定時間とから、省エネルギー性を重視した通常運転を行うか、蓄熱器12の蓄熱量増加を抑えるための制限運転を行うかを判定する。
これらの処理により、判定器2は、蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量に達して燃料電池11が停止することによって余分な再起動エネルギーが必要となることを防ぎ、最適運転パターンの省エネルギー性からの損失を少なくする運転方法を簡単に判定することができる。また、蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量に近づいた場合に、停止時刻までの時間が短い場合には、発電出力の制限を行わずに燃料電池11の運転を継続させることで、従来よりも省エネルギー性が向上する可能性を高めることができる。
例えば、0時に作成された最適運転パターンの起動時刻と停止時刻が[10時0分、24時0分](24時は、翌日の0時まで起動を続けることを示す)であったとする。10時0分に燃料電池11が起動した後、電力負荷追従運転が行われ、5分毎に蓄熱器12の蓄熱量のチェックが行われる。例えば、15時5分に判定蓄熱量が第5の閾値以下になった場合、判定時間である8時間55分が第2の閾値以上であれば、貯湯完回避フラグがONに設定され、蓄熱器12の蓄熱量増加を抑えるための制限運転が行われる。その後、制限運転が続けられ、18時20分に熱負荷が発生して判定蓄熱量が第6の閾値よりも大きくなった場合、貯湯完回避フラグがOFFに設定され、通常運転である電力負荷追従運転が行われる。
ここで、制限運転が行われなければ、18時20分にお湯が使われるまでに蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量となって燃料電池11が停止し、その後、夜に発生するであろう照明、TV等の電力負荷の電力需要及び風呂などの熱負荷の熱需要のために燃料電池11の再起動が行われる可能性が高い。この再起動には、大きな起動エネルギーが必要となるため、熱負荷の発生を見越して、制限運転によって運転を継続する方が、省エネルギー性の高い運転となる。
また、0時に作成された最適運転パターンの起動時刻と停止時刻が[4時0分、10時30分]、[15時0分、23時30分]であったとする。4時0分に燃料電池11が起動した後、電力負荷追従運転が行われ、5分毎に蓄熱器12の蓄熱量のチェックが行われる。例えば、8時20分に判定蓄熱量が第5の閾値以下になった場合に、判定時間である2時間10分が第2の閾値未満であった場合、貯湯完回避フラグはONに設定されず、通常運転である電力負荷追従運転が行われる。どれだけ予測エネルギー需要が実際の使われ方に近い値に予測されているかにもよるが、省エネルギー性のよくない制限運転を行って10時30分まで運転するより、通常運転である電力負荷追従運転を行って予測通りに熱負荷が発生すれば、10時30分に停止時刻で停止し、予測通りには熱負荷が発生しなければ停止時刻より前(例えば10時)に蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量となって停止する運転の方が省エネルギー性の高い運転となる可能性が高い。
また、15時0分に燃料電池11が起動した後、電力負荷追従運転が行われ、5分毎に蓄熱器12の蓄熱量のチェックが行われる。例えば、18時30分に判定蓄熱量が第5の閾値以下になった場合に、判定時間である5時間0分が第2の閾値以上であった場合、貯湯完回避フラグはONに設定され、制限運転が行われる。
その後、21時30分まで制限運転が続けられ、熱負荷が発生せずに判定蓄熱量が第5の閾値以下で、判定時間である2時間0分が第4の閾値未満となった場合、貯湯完回避フラグがOFFに設定され、制限運転から通常運転である電力負荷追従運転に切り替えられる。燃料電池11は、通常運転が行われて熱負荷が発生すれば、10時30分に停止時刻で停止し、熱負荷が発生しなければ停止時刻より前(例えば10時)に蓄熱器12の蓄熱量が最大蓄熱量となって停止する。どれだけ予測エネルギー需要が実際の使われ方に近い値に予測されているかにもよるが、省エネルギー性のよくない制限運転で10時30分まで運転が行われるよりも、省エネルギー性の高い運転となる可能性がある。
以上、本発明に係るコージェネレーションシステム100について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、本実施の形態では、コージェネレーションシステム100は、発電機として燃料電池11を備えていることとしたが、コージェネレーションシステム100は、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、又はガスタービンなどの原動機によって駆動される発電機を備えていてもよい。
また、本実施の形態では、発電量制御器1は、単位時間あたりの燃料電池11に供給される一次エネルギーの削減量から設定される制限発電指示値に基づいて、制限運転の制御を行うこととした。しかし、発電量制御器1は、単位時間あたりの蓄熱器12に蓄熱される蓄熱量の増加量から設定される制限発電指示値に基づいて、制限運転の制御を行うことにしてもよい。
また、本実施の形態では、第1の閾値、第2の閾値、第3の閾値、第4の閾値、第5の閾値、及び第6の閾値は、予め定められた所定の値であることとした。しかし、第1の閾値、第2の閾値、第3の閾値、第4の閾値、第5の閾値、及び第6の閾値は、種々の負荷データでシミュレーションを行って省エネルギー性が最も大きくなる熱量差や、時間として求めることも可能である。
また、本実施の形態では、通常運転は電力負荷追従運転であることとしたが、通常運転は、燃料電池11が定格出力で発電する定格運転としてもよい。その場合は、第1の閾値、第2の閾値、第3の閾値、第4の閾値、第5の閾値、及び第6の閾値を運転方法にあわせた設定値にして用いることが望ましい。