JP5235262B2 - 液晶組成物および液晶表示素子 - Google Patents

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Description

本発明は、AM(active matrix)素子などに適する液晶組成物およびこの組成物を含有するAM素子などに関する。
液晶表示素子において、液晶の動作モードに基づいた分類は、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などである。素子の駆動方式に基づいた分類は、PM(passive matrix)とAM(active matrix)である。PMはスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。TFTの分類は非晶質シリコン(amorphous silicon)および多結晶シリコン(polycrystal silicon)である。後者は製造工程によって高温型と低温型とに分類される。光源に基づいた分類は、自然光を利用する反射型、バックライトを利用する透過型、そして自然光とバックライトの両方を利用する半透過型である。
これらの素子は適切な特性を有する液晶組成物を含有する。良好な一般的特性を有するAM素子を得るには組成物の一般的特性を向上させる。2つの一般的特性における関連を下記の表1にまとめる。組成物の一般的特性を市販されているAM素子に基づいてさらに説明する。ネマチック相の温度範囲は、素子の使用できる温度範囲に関連する。ネマチック相の好ましい上限温度は70℃以上であり、そしてネマチック相の好ましい下限温度は−20℃以下である。組成物の粘度は素子の応答時間に関連する。素子で動画を表示するためには短い応答時間が好ましい。したがって、組成物における小さな粘度が好ましい。低い温度における小さな粘度はより好ましい。
Figure 0005235262
組成物の光学異方性は、素子のコントラスト比に関連する。素子におけるコントラスト比を最大にするために、組成物の光学異方性(Δn)と素子のセルギャップ(d)との積(Δn・d)を約0.45μmに設計する。したがって、組成物における光学異方性は主に0.08〜0.12の範囲である。組成物における低いしきい値電圧は素子における小さな消費電力と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、低いしきい値電圧が好ましい。組成物における大きな比抵抗は、素子における大きな電圧保持率と大きなコントラスト比に寄与する。したがって、初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。長時間使用したあと、室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有する組成物が好ましい。
望ましいAM素子は、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、などの特性を有する。1ミリ秒でもより短い応答時間が望ましい。したがって、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性を有する組成物が特に望まれる。従来の組成物および素子は、次の特許文献に開示されている。
特開平8−239665号公報(US 5,723,069) 特開平9−71779号公報 特開平9−87626号公報 特開平9−87627号公報 特開平9−87628号公報 特開平9−176645号公報(EP 781,826 A)
本発明の目的は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性において、複数の特性を充足する液晶組成物を提供することである。この目的は、複数の特性に関して適切なバランスを有する液晶組成物を提供することでもある。この目的は、この組成物を含有する液晶表示素子を提供することでもある。この目的は、小さな粘度、0.08〜0.12の光学異方性および低いしきい値電圧を有する組成物を含有し、そして短い応答時間、大きな電圧保持率などの特性を有するAM素子を提供することでもある。なかでも重要な目的は素子の短い応答時間である。
本発明は、第一成分は10〜35重量%の範囲にある式(1)で表される少なくとも1つの化合物であり、第二成分は20〜40重量%の範囲にある式(2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第三成分は式(3)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分は式(4)で表される少なくとも1つの化合物であり、これらの成分を含有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子である。
Figure 0005235262
ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;Yはフッ素または−OCFであり;Yは炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、フッ素、塩素、または−OCFであり;Xは水素またはフッ素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−(CH−であり;Zは単結合、−(CH−、−COO−または−CFO−であり;そしてZは単結合または−COO−である。
本発明の組成物は、ネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧、大きな比抵抗などの特性において、複数の特性を充足した。この組成物は、複数の特性に関して適切なバランスを有した。本発明の素子は、この組成物を含有する。小さな粘度、0.08〜0.12の光学異方性および低いしきい値電圧を有する組成物を含有する素子は、短い応答時間および大きな電圧保持率を有し、そしてAM素子に適した。素子は、特に短い応答時間を有した。
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。本発明の液晶組成物または本発明の液晶表示素子をそれぞれ「組成物」または「素子」と略すことがある。液晶表示素子は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。液晶組成物の主成分は液晶性化合物である。この液晶性化合物は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有さないが組成物の成分として有用な化合物の総称である。式(1)で表される少なくとも1つの化合物を「化合物(1)」と略すことがある。「式(3−1)または式(3−2)で表される少なくとも1つの化合物」の句は、式(3−1)および式(3−2)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を意味する。
化合物(1)の同族体は、下記の式においてnが1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である化合物を意味する。
Figure 0005235262
ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。「比抵抗が大きい」は、組成物が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな比抵抗を有することを意味する。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなく高い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。光学異方性などの特性を説明するときは、実施例に記載した方法で測定した値を用いる。組成物における液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。
本発明は下記の項のように記載される。ここで記載された重量%は、第一成分(または第二成分など)の成分化合物を合計した量である。
1.第一成分は10〜35重量%の範囲にある式(1)で表される少なくとも1つの化合物であり、第二成分は20〜40重量%の範囲にある式(2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第三成分は式(3)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分は式(4)で表される少なくとも1つの化合物であり、これらの成分を含有する液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;Yはフッ素または−OCFであり;Yは炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、フッ素、塩素、または−OCFであり;Xは水素またはフッ素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−(CH−であり;Zは単結合、−(CH−、−COO−または−CFO−であり;そしてZは単結合または−COO−である。
2.第三成分が10〜45重量%の範囲であり、第四成分が10〜55重量%の範囲である項1に記載の液晶組成物。
3.第二成分が20〜30重量%の範囲にあり、第三成分が10〜45重量%の範囲にあり、第四成分が10〜55重量%の範囲にあり、そして第五成分として1〜20重量%の範囲にある式(5)または式(6)で表される少なくとも1つの化合物をさらに含有する項1に記載の液晶組成物。

Figure 0005235262
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルコキシメチルであり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Z単結合または−(CH−であり;そしてZは単結合または−COO−である。
4.化合物(1)の同族体を含有しない項1から3のいずれか1項に記載の液晶組成物。
5.第一成分は10〜35重量%の範囲にある式(1)で表される少なくとも1つの化合物であり、第二成分は20〜30重量%の範囲にある式(2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第三成分は10〜45重量%の範囲にある式(3−2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分は10〜55重量%の範囲にある式(4−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(4−2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分は1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物または式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物であり、これらの成分を含有する液晶組成物。


Figure 0005235262
ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;Yはフッ素または塩素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−COO−であり;そしてZは単結合または−CFO−である。
6.第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物である項5に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルである。
7.第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である項5に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルである。
8.第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である項5に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルである。
9.第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(3−2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である項5に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、−COO−または−CFO−であり;そしてZは単結合または−CFO−である。
10.第二成分が26〜30重量%の範囲にある項5〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物。
11.化合物(1)の同族体を含有しない項5から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
12.第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である項5に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルである。
13.第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−7)で表される少なくとも1つの化合物および式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物である項5に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルである。
14.第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−7)で表される少なくとも1つの化合物および式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である項5に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルである。
15.第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−1−8)で表される少なくとも1つの化合物、式(3−2−7)で表される少なくとも1つの化合物、および式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である項5に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;そしてRは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルである。
16.化合物(1)の同族体を含有しない項12から15のいずれか1項に記載の液晶組成物。
17. 第一成分は10〜35重量%の範囲にある式(1)で表される少なくとも1つの化合物であり、第二成分は26〜40重量%の範囲にある式(2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第三成分は10〜45重量%の割合である式(3)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分は10〜55重量%の範囲にある式(4)で表される少なくとも1つの化合物であり、実質的にこれらの成分のみからなる液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;Yはフッ素または−OCFであり;Yは炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、フッ素、塩素、または−OCFであり;Xは水素またはフッ素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−(CH−であり;Zは単結合、−(CH−、−COO−または−CFO−であり;そしてZは単結合または−COO−である。
18. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分が10〜55重量%の範囲にある式(4−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(4−2)で表される少なくとも1つの化合物である項17に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;Yはフッ素または塩素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−COO−であり;そしてZは単結合または−CFO−である。
19.第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−7)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分が10〜55重量%の範囲にある式(4−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(4−2)で表される少なくとも1つの化合物である項17に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;Yはフッ素または塩素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;そしてZは単結合または−COO−である。
20.第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分が10〜55重量%の範囲にある式(4−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(4−2)で表される少なくとも1つの化合物である項17に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;Yはフッ素または塩素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;そしてZは単結合または−COO−である。
21.酸化防止剤をさらに含有する項1〜20のいずれか1項に記載の液晶組成物。
22.酸化防止剤が式(9)で表される化合物である項21に記載の液晶組成物。
Figure 0005235262
ここでmは、1〜9の整数である。
23.液晶性化合物の全重量に基づいて、酸化防止剤が50〜600ppmの範囲である項21または22に記載の液晶組成物。
24.項1から23のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
本発明は、次の項も含む。1)光学異方性が0.08〜0.12の範囲である上記の組成物、2)ネマチック相の上限温度が70℃以上であり、そしてネマチック相の下限温度が−20℃以下である上記の組成物、3)光学活性な化合物をさらに含有する上記の組成物、4)上記の組成物を含有するAM素子、5)上記の組成物を含有し、そしてTN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子、6)上記の組成物を含有する透過型の素子、7)上記の組成物をネマチック相を有する組成物としての使用、8)上記の組成物に光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
本発明の目的は上に記載したとおりである。なかでも重要な目的は素子の短い応答時間である。応答時間を短くするためには小さな粘度を有する組成物が好ましい。そこで、化合物(2)を必須成分として選択した。粘度を下げるには、組成物における化合物(2)の割合は大きい方が好ましい。しかし、大き過ぎる割合は組成物の下限温度を上げる。これを防止するために化合物(1)を組み合わせることが極めて有効であることを見出した。化合物(1)は、その同族体と比較して、組成物における低い下限温度、短い応答時間などの特性に効果的であることも見出した。このような知見を基に、大きな誘電率異方性を有する化合物(3)、上限温度が高い化合物(4)などをさらに組み合わせた。その結果、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、短い応答時間、適切な光学異方性、低いしきい値電圧などの特性に関して適切なバランスを有する組成物を得ることができた。
参考のために、化合物(1)およびその同族体を比較した。比較のためにこれらの化合物を含有する組成物を調製し、その特性を測定した。結果を表2にまとめる。2つの組成物において、上限温度、光学異方性、およびしきい値電圧の特性が同一になるように成分化合物の割合を調整した。化合物(1)は、その同族体と比較して、組成物における低い下限温度、短い応答時間などの特性に優れている。化合物(1)の同族体は、大きな比抵抗を有する組成物を調製するのに適している。しかし、同族体は、さらに低い下限温度およびさらに小さな粘度を有する組成物を調製するのに最適ではない。

Figure 0005235262
本発明の組成物を次の順で説明する。第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。第三に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第五に、成分化合物の具体的な例を示す。第六に、成分化合物の合成法を説明する。最後に、組成物の用途を説明する。
第一に、組成物における成分化合物の構成を説明する。本発明の組成物は組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aはその他の化合物をさらに含有してもよい。「その他の化合物」は、液晶性化合物、添加物、不純物などである。この液晶性化合物は化合物(1)〜化合物(6)とは異なる。化合物(1)の同族体はその他の化合物である。このような液晶性化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。この添加物は光学活性な化合物、色素、酸化防止剤などである。液晶のらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性な化合物が組成物に混合される。GH(Guest host)モードの素子に適合させるために色素が組成物に混合される。大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するため、または、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を有するために、酸化防止剤が組成物に混合される。酸化防止剤は、式(9)で表される化合物などである。不純物は成分化合物の合成などの工程において混入した化合物などである。
組成物Bは、実質的に化合物(1)〜(4)から選択された化合物のみからなる。組成物Bは、実質的に化合物(1)〜化合物(6)から選択された化合物のみからなってもよい。「実質的に」は、これらの化合物と異なる液晶性化合物を組成物が含有しないことを意味する。「実質的に」は、添加物、不純物などを組成物がさらに含有してもよいことも意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。組成物Bはコストの観点から組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって物性をさらに調整できるので、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。
Figure 0005235262
化合物(1)〜化合物(6)とは異なる液晶性化合物には、シアノ基を有する化合物が含まれる。この化合物は式(7−1)〜式(7−3)のような部分構造を有する。このような液晶性化合物はIPSなどのモードを有する素子に用いる組成物には混合されてもよい。しかし、この化合物は組成物の比抵抗を下げるので、TN−TFT素子などに用いる組成物には好ましくない。光学活性な化合物の例は式(8−1)〜式(8−4)である。
第二に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の目的に従って表3にまとめる。表3の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。0は誘電率異方性がほぼゼロである(または極めて小さい)ことを意味する。
Figure 0005235262
この組成物の特徴は、化合物(1)〜化合物(4)を組み合わせた点にある。化合物(1)は組成物の下限温度を下げる効果が大きい。化合物(2)は、組成物の粘度を下げる効果が大きい。化合物(3)は、組成物の誘電率異方性を上げる効果が大きい。化合物(4)は、組成物の上限温度を上げる効果が大きい。表4に代表的な成分化合物の誘電率異方性をまとめる。表4から、素子を駆動させるための低いしきい値電圧は、化合物(3)に主に依存していることが分かる。化合物の名称は表5の表記法に基づいて表す。
Figure 0005235262
成分化合物が組成物に及ぼす主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は上限温度を下げ、粘度を下げ、光学異方性を下げ、そしてしきい値電圧を上げる。化合物(1)は、組成物が低温でネマチック相からスメクチック相(または結晶)に変化するのを防ぐ。化合物(2)は上限温度を下げ、粘度を特に下げ、光学異方性を下げ、そしてしきい値電圧を上げる。化合物(3)は上限温度を上げ、粘度を上げ、光学異方性を上げ、そしてしきい値電圧を特に下げる。化合物(4)は、上限温度を特に上げ、粘度を下げ、光学異方性を上げ、そしてしきい値電圧を上げる。化合物(3)は化合物(3−1)および化合物(3−2)を含む。化合物(3−1)は光学異方性を上げる。化合物(3−2)は光学異方性を特に上げる。化合物(4)は化合物(4−1)および化合物(4−2)を含む。化合物(4−1)は粘度を特に下げる。化合物(4−2)は下限温度を特に下げる。組成物の特性をさらに調整するとき、化合物(5)および化合物(6)の一方または両方を混合する。化合物(5)は上限温度を特に上げ、そして光学異方性を上げる。化合物(6)は上限温度特に上げ、そしてしきい値電圧を下げる。
第三に、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。好ましい割合は組成物AおよびBにおいて同一である。第一成分の好ましい割合は、下限温度を下げるために10%以上であり、上限温度を上げるために35%以下である。さらに好ましい割合は10〜25%である。この割合は、さらに高い上限温度を有する組成物に適する。第二成分の好ましい割合は、組成物の粘度を下げるために20%以上であり、そして下限温度を下げるために40%以下である。さらに好ましい割合は20〜30%または26〜40%である。前者の割合は、さらに大きな光学異方性を有する組成物または低いしきい値電圧を有する組成物に適する。後者の割合は、さらに小さな粘度を有する組成物に適する。特に好ましい割合は26〜30%である。この割合は、さらに小さな粘度および低いしきい値電圧を有する組成物に適する。
第三成分の好ましい割合は、しきい値電圧を下げるために10%以上であり、そして下限温度を下げるために45%以下である。さらに好ましい割合は、10〜35%である。この割合は、さらに低い下限温度およびさらに小さい粘度を有する組成物に適する。第四成分の好ましい割合は、上限温度を上げるために10%以上であり、下限温度を下げるために55%以下である。さらに好ましい割合は、15〜45%である。この割合は、さらに高い上限温度およびさらに低い下限温度を有する組成物に適する。第五成分を混合するとき、この成分の好ましい割合は、上限温度をさらに上げるために1%以上であり、下限温度をさらに下げるために20%以下である。さらに好ましい割合は、1〜15%である。この割合は、さらに低い下限温度またはさらに小さな粘度を有する組成物に適する。
組成物を大気中で加熱したときに比抵抗が低下するのを防止する目的で、酸化防止剤を組成物に添加してもよい。酸化防止剤は素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。組成物に酸化防止剤を添加するとき、酸化防止剤の好ましい割合は、効果を発揮させるために50ppm以上である。好ましい割合は、組成物の上限温度を上げるために、または下限温度を下げるために600ppm以下である。さらに好ましい割合は、100ppmから300ppmである。この添加量は液晶性化合物の全重量に基づいた割合である。
上記の組成物Aにおいて、第一成分から第四成分(または第五成分)の合計の好ましい割合は、良好な特性を得るために70%以上である。さらに好ましい割合は90重量%以上である。
第四に、成分化合物の好ましい形態を説明する。成分化合物の化学式において、Rの記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、Rの意味は同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2)のRがエチルであり、化合物(4)のRがエチルであるケースがある。化合物(2)のRがエチルであり、化合物(4)のRがプロピルであるケースもある。このルールは、R、A、Z、X、Y、mなど記号についても適用される。
およびRは独立して炭素数1〜12のアルキルである。Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルである。好ましいRは、安い製造コストの観点からアルキルである。Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシである。Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルコキシメチルである。Yは、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、フッ素、塩素、−OCFである。
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度などの観点からエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、またはヘプチルである。
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。さらに好ましいアルコキシは、粘度などの観点からメトキシまたはエトキシである。
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度などの観点からビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度などの観点から1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。
好ましいアルコキシメチルは、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル、またはペンチルオキシメチルである。さらに好ましいアルコキシメチルは、化合物の粘度などの観点からメトキシメチルである。
は1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンである。Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。Aは1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンである。Aは1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンである。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度の観点からシスよりもトランスが好ましい。2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンのフッ素は化合物の誘電率異方性を大きくするように位置している。例えば、化合物(3−2−5)、化合物(3−2−14)などを参照。2−フルオロ−1,4−フェニレンのフッ素は、環の右側に位置してもよいし、または左側に位置してもよい。好ましい位置は、化合物(5−1)、化合物(5−4)などのように、右側である。
は単結合または−(CH−である。粘度などの観点から、好ましいZは単結合である。Zは単結合、−(CH−、−COO−、または−CFO−である。粘度などの観点から、好ましいZは単結合または−CFO−である。Zは単結合または−COO−である。粘度などの観点から、好ましいZは単結合である。Zは単結合、−COO−または−CFO−である。粘度などの観点から、好ましいZは単結合である。Zは単結合または−CFO−である。粘度の観点から、好ましいZは単結合である。誘電率異方性の観点から、好ましいZは−CFO−である。−COO−または−CFO−の結合基は化合物の誘電率異方性を大きくするように位置している。例えば、化合物(3−1−5)、化合物(3−1−7)などを参照。
第五に、成分化合物の具体的な例を示す。下記の好ましい化合物において、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり、Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルである。Rは炭素数1〜12のアルキルである。さらに好ましいアルキルおよびアルケニルは、すでに記載したとおりである。これらの好ましい化合物において1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度の観点からシスよりもトランスが好ましい。
化合物(2)におけるRおよびRの好ましい組み合わせは、粘度の観点からエチルおよびプロピル、エチルおよびペンチル、プロピルおよびブチル、プロピルおよびペンチルである。好ましい化合物(3)は、化合物(3−1)および化合物(3−2)である。好ましい化合物(3)は、化合物(3−1−1)〜化合物(3−2−14)でもある。さらに好ましい化合物(3)は、しきい値電圧を下げる観点から化合物(3−1−8)、化合物(3−1−11)、化合物(3−1−12)、化合物(3−2−7)、化合物(3−2−10)、化合物(3−2−11)、および化合物(3−2−14)である。特に好ましい化合物(3)は、粘度を下げる観点から化合物(3−1−8)および化合物(3−2−7)であり、しきい値電圧をさらに下げる観点から化合物(3−2−14)である。化合物(3−1−8)と化合物(3−2−7)とでは、光学異方性を大きくする観点から化合物(3−2−7)が好ましい。これらの化合物のRは、安い製造コストの観点からアルキルが好ましい。
好ましい化合物(4)は、化合物(4−1)である。好ましい化合物(4)は、化合物(4−1−1)〜化合物(4−2−5)でもある。さらに好ましい化合物(4)は、粘度下げる観点から化合物(4−1−1)および化合物(4−1−2)であり、下限温度を下げる観点から化合物(4−2−1)、化合物(4−2−2)、化合物(4−2−4)、および化合物(4−2−5)である。特に好ましい化合物(4)は、粘度をさらに下げる観点から化合物(4−1−1)であり、下限温度をさらに下げる観点から化合物(4−2−1)、化合物(4−2−2)、化合物(4−2−5)である。好ましい化合物(5)は、化合物(5−1)〜化合物(5−5)である。さらに好ましい化合物(5)は、下限温度を下げるので化合物(5−1)、化合物(5−4)および化合物(5−5)である。特に好ましい化合物(5)は、光学異方性を上げるので化合物(5−1)である。好ましい化合物(6)は、化合物(6−1)および化合物(6−2)である。さらに好ましい化合物(6)は、粘度を下げる観点から化合物(6−1)である。
Figure 0005235262
Figure 0005235262
Figure 0005235262
Figure 0005235262
Figure 0005235262
組成物に酸化防止剤を添加する場合、好ましい酸化防止剤は、化合物(9)である。
Figure 0005235262
mは1〜9の整数である。好ましいmは、1、3、5、7、9である。さらに好ましいmは1および7である。mが1である化合物(9)は、揮発性が大きいので、大気中での加熱による比抵抗の低下を防止するときに有効である。mが7である化合物(9)は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく高い温度でも大きな電圧保持率を保つのに有効である。
第六に、成分化合物の合成法を説明する。これらの化合物は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(1)は、特開昭58−126823号公報に記載された方法で合成する。化合物(2)は、特開昭59−70624号公報に記載された方法で合成する。化合物(3−1−8)および化合物(3−2−7)は、特開平2−233626号公報に記載された方法で合成する。化合物(4−1−1)は、特開昭57−165328号公報に記載された方法で合成する。化合物(4−2−2)は、特開昭57−114531号公報に記載された方法で合成する。化合物(5−1)は、特開平2−237949号公報に記載された方法で合成する。化合物(6−1)は、特開平2−233626号公報に記載された方法を修飾することによって合成する。
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。式(9)のnが1である化合物は、市販されている。この化合物は、例えばアルドリッチ(Aldrich)社から販売されている。式(9)のnが7である化合物などは、米国特許3660505号明細書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分である化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させる。
最後に、組成物の用途を説明する。大部分の組成物は、−30℃以下の下限温度、70℃以上の上限温度、そして0.08〜0.12の光学異方性を有する。この組成物を含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この組成物はAM素子に適する。この組成物は透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、0.07〜0.18の光学異方性を有する組成物、さらには0.06〜0.20の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性な化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
この組成物はAM素子への使用が可能である。さらにPM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、VAなどのモードを有する素子への使用も可能である。TN、ECB、OCB、またはIPSのモードを有する素子への使用は好ましい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。透過型の素子への使用は好ましい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子にも使用できる。
実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例によって限定されない。比較例および実施例における化合物は、下記の表5の定義に基づいて記号により表した。
表5において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。−CH=CH−の結合基に関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は好ましい化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。
Figure 0005235262
組成物は、液晶性化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。しかし、組成物をガスクロマト分析することによって成分の割合を正確に算出するのは容易でない。補正係数が液晶性化合物の種類に依存するからである。幸いなことに補正係数はほぼ1である。さらに、成分化合物における1重量%の差異が組成物の特性に与える影響は小さい。したがって、本発明においてはガスクロマトグラフにおける成分ピークの面積比を成分化合物の重量%と見なすことができる。つまり、ガスクロマト分析の結果(ピークの面積比)は、補正することなしに液晶性化合物の重量%と等価であると考えてよいのである。
試料が組成物のときはそのまま測定し、得られた値を記載した。試料が化合物のときは、15重量%の化合物および85重量%の母液晶を混合することによって測定用の試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法よって化合物の特性値を算出した。外挿値=(試料の測定値−0.85×母液晶の測定値)/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
母液晶の組成は下記のとおりである。
Figure 0005235262
特性値の測定は下記の方法にしたがった。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
ネマチック相の下限温度(T;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、Tを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):測定にはE型粘度計を用いた。
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧である。
電圧保持率(VHR;25℃と100℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は6μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。25℃で測定して得られた電圧保持率をVHR−1で表した。100℃で測定して得られた電圧保持率をVHR−2で表した。次に、このTN素子を100℃、250時間加熱した。VHR−3は、加熱後の素子を25℃で測定して得られた電圧保持率である。VHR−4は、加熱後の素子を100℃で測定して得られた電圧保持率である。VHR−1およびVHR−2は、初期段階における評価に相当する。VHR−3およびVHR−4は、素子を長時間使用した後の評価に相当する。
応答時間(τ;25℃で測定;ms):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である。立上がり時間(τr:rise time)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立下がり時間(τf:fall time)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立上がり時間と立下がり時間との和である。
ガスクロマト分析:測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2ml/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μlを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。成分化合物の重量%は各ピークの面積比と完全には同一ではない。しかし、本発明においては、これらのキャピラリカラムを用いるときは、成分化合物の重量%は各ピークの面積比と同一であると見なしてよい。成分化合物における補正係数に大きな差異がないからである。
比較例1
特開平8−239665号公報に開示された組成物の中から実施例17を選んだ。根拠は、この組成物が本発明の化合物(1)および化合物(2)を含有し、そして最も小さな粘度を有するからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物において、下限温度は高く、粘度は大きく、そして応答時間は長い。
5−H4HB(F,F)−F 5%
5−H2B(F)−F 10%
2−HHB(F)−F 3.3%
3−HHB(F)−F 3.3%
5−HHB(F)−F 3.4%
2−HBB(F)−F 1.2%
3−HBB(F)−F 1.2%
5−HBB(F)−F 2.6%
5−HH2B(F,F)−F 5%
3−HBB(F,F)−F 5%
5−HBB(F,F)−F 5%
3−HBEB(F,F)−F 10%
3−HHEB(F,F)−F 10%
5−HHEB(F,F)−F 5%
3−HH2BB(F,F)−F 10%
3−HB−CL 5%
5−HHB−CL 5%
3−HH−5 5%
3−HB(F)VB−4 5%
NI=94.4℃;Tc≦−10℃;Δn=0.103;η=22.9mPa・s;Vth=1.82V;VHR−1=98.9%;VHR−2=97.3%;τ=32.2ms.
比較例2
特開平9−71779号公報に開示された組成物の中から実施例5を選んだ。根拠は、この組成物が最も小さな粘度を有するからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物において、粘度は大きく、しきい値電圧は高く、そして応答時間は長い。
5−HB−CL 8%
7−HB−CL 5%
3−HHEB(F,F)−F 6%
2−HBEB(F,F)−F 2%
3−HBEB(F,F)−F 2%
3−HH−4 11%
3−HH−5 4%
3−HHB−1 8%
3−HHB−F 4%
2−HHB(F)−F 10%
3−HHB(F)−F 11%
5−HHB(F)−F 11%
2−HBB(F)−F 4%
3−HBB(F)−F 5%
5−HBB(F)−F 9%
NI=91.1℃;Tc≦−40℃;Δn=0.088;η=17.6mPa・s;Vth=2.08V;VHR−1=99.4%;VHR−2=97.5%;τ=21.3ms.
比較例3
特開平9−87626号公報に開示された組成物の中から実施例14を選んだ。根拠は、この組成物が本発明の化合物(1)および化合物(2)を含有するからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物において、下限温度は高く、粘度は大きく、VHR−2は小さく、そして応答時間は長い。
5−B−COOH 12%
3−HB−COOH 3%
5−H2B(F)−F 10%
2−HHB(F)−F 3.3%
3−HHB(F)−F 3.3%
5−HHB(F)−F 3.4%
2−HBB(F)−F 1.25%
3−HBB(F)−F 1.25%
5−HBB(F)−F 2.5%
5−HH2B(F,F)−F 5%
3−HBB(F,F)−F 5%
5−HBB(F,F)−F 5%
3−HBEB(F,F)−F 10%
3−HHEB(F,F)−F 5%
5−HHEB(F,F)−F 5%
3−HH2BB(F,F)−F 5%
3−HB−CL 5%
5−HHB−CL 5%
3−HB(F)VB−4 5%
3−HH−5 5%
NI=104.5℃;Tc≦−10℃;Δn=0.115;η=34.7mPa・s;Vth=2.00V;VHR−1=98.2%;VHR−2=93.5%;τ=43.7ms.
比較例4
特開平9−87627号公報に開示された組成物の中から実施例15を選んだ。根拠は、この組成物が本発明の化合物(1)および化合物(2)を含有するからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物において、下限温度は高く、粘度は大きく、しきい値電圧は高く、VHR−2は小さく、そして応答時間は長い。
5−HH−COOH 9%
2−HB(F)−COOH 11%
7−HB(F,F)−F 10%
2−HH2B(F,F)−F 7%
3−HH2B(F,F)−F 10%
5−H2HB−OCF3 5%
2−HBB(F,F)−F 8%
5−H2BB(F,F)−F 3%
7−HB−F 10%
3−HB−CL 8%
3−HH−4 10%
3−HHB−3 2%
3−H2BTB−3 2%
3−H2BTB−4 2%
3−HHEBB−F 3%
NI=105.9℃;Tc≦−20℃;Δn=0.089;η=32.5mPa・s;Vth=2.40V;VHR−1=98.8%;VHR−2=92.9%;τ=34.1ms.
比較例5
特開平9−87628号公報に開示された組成物の中から実施例5を選んだ。根拠は、この組成物が本発明の化合物(1)および化合物(2)を含有するからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物において、下限温度は高く、粘度は大きく、Vthは高く、VHR−2は小さく、そして応答時間は長い。
7−HB(F)−F 2%
5−H2B(F)−F 4%
3−HHB−F 10%
3−HHB−CL 2%
3−HH2B(F)−F 2%
5−H2HB(F)−CL 2%
3−HBB−F 2%
3−HB−CL 2%
4−H2BB(F)−F 2%
5O−B−COOH 2%
4−B−COOH 4%
5−B−COOH 4%
3−HH−4 2%
1O1−HH−5 2%
3−HB(F)VB−2 2%
3−HB(F)TB−2 2%
1O1−HBBH−3 2%
2−HHB(F)−F 8.632%
3−HHB(F)−F 8.684%
5−HHB(F)−F 8.684%
2−H2HB(F)−F 5.2%
3−H2HB(F)−F 2.6%
5−H2HB(F)−F 5.2%
2−HBB(F)−F 3.25%
3−HBB(F)−F 3.25%
5−HBB(F)−F 6.5%
NI=108.0℃;Tc≦−10℃;Δn=0.104;η=22.9mPa・s;Vth=2.27V;VHR−1=98.4%;VHR−2=93.1%;τ=25.4ms.
比較例6
特開平9−176645号公報に開示された組成物の中から実施例24を選んだ。根拠は、この組成物が本発明の化合物(1)および化合物(2)を含有するからである。この組成物の成分および特性は下記のとおりである。この組成物において、下限温度は高く、粘度は大きく、そして応答時間は長い。
5−H4HB−OCF3 5%
4−H2BB(F)−F 5%
5−H2BB(F)−F 5%
3−HHB−OCF3 5%
3−HBB(F,F)−OCF2CFHCF3 5%
3−HBB−OCF2CFHCF3 5%
3−HBB(F,F)−F 10%
5−HBB(F,F)−F 10%
3−HBEB−F 15%
3−HBEB(F,F)−F 10%
3−HB−CL 10%
3−HHB−CL 5%
3−HH2BB(F,F)−F 5%
3−HH−4 5%
NI=99.1℃;Tc≦−10℃;Δn=0.119;η=28.2mPa・s;Vth=1.73V;VHR−1=98.8%;VHR−2=97.1%;τ=41.0ms.
実施例1
3−HB−CL (1) 16%
2−HH−5 (2) 5%
3−HH−4 (2) 17%
3−HH−5 (2) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 29%
3−HHB−3 (4−1−1) 9%
2−HHB−CL (4−2−2) 5%
3−HHB−CL (4−2−2) 7%
5−HHB−CL (4−2−2) 7%
NI=80.4℃;Tc≦−30℃;Δn=0.093;η=14.3mPa・s;Vth=1.98V;VHR−1=99.5%;VHR−2=97.8%;τ=12.4ms.
実施例2
3−HB−CL (1) 15%
3−HH−4 (2) 20%
3−HH−5 (2) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 18%
3−HHB−1 (4−1−1) 4%
3−HHB−O1 (4−1−2) 5%
3−HHB−F (4−2−1) 3%
2−HHB−CL (4−2−2) 5%
3−HHB−CL (4−2−2) 6%
5−HHB−CL (4−2−2) 4%
2−HBB−F (4−2−5) 5%
3−HBB−F (4−2−5) 5%
5−HBB−F (4−2−5) 4%
NI=78.6℃;Tc≦−30℃;Δn=0.097;η=14.2mPa・s;Vth=1.77V;VHR−1=99.3%;VHR−2=97.5%;τ=13.8ms.
実施例3
3−HB−CL (1) 20%
3−HH−4 (2) 17%
3−HH−5 (2) 7%
3−HHB(F,F)−F (3−1−8) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 10%
3−HHB−1 (4−1−1) 7%
3−HHB−F (4−2−1) 4%
3−HHB−CL (4−2−2) 6%
5−HHB−CL (4−2−2) 6%
2−HHBB(F,F)−F (6−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (6−1) 4%
NI=79.9℃;Tc≦−30℃;Δn=0.093;η=14.6mPa・s;Vth=1.76V;VHR−1=99.5%;VHR−2=97.7%;τ=14.3ms.
実施例4
3−HB−CL (1) 14%
2−HH−5 (2) 3%
3−HH−4 (2) 16%
3−HH−5 (2) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 15%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 18%
3−HHB−3 (4−1−1) 4%
3−HHB−F (4−2−1) 4%
3−HHB−CL (4−2−2) 5%
2−HBB−F (4−2−5) 2%
3−HBB−F (4−2−5) 2%
5−HBB(F)B−2 (5−1) 6%
5−HBB(F)B−3 (5−1) 6%
NI=80.4℃;Tc≦−30℃;Δn=0.113;η=15.2mPa・s;Vth=1.77V;VHR−1=99.2%;VHR−2=97.5%;τ=14.8ms.
実施例5
3−HB−CL (1) 19%
2−HH−5 (2) 3%
3−HH−4 (2) 20%
3−HH−5 (2) 5%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 13%
3−HHB−3 (4−1−1) 2%
3−HHB−O1 (4−1−2) 3%
2−HHB−CL (4−2−2) 6%
3−HHB−CL (4−2−2) 7%
5−HHB−CL (4−2−2) 7%
2−HBB−F (4−2−5) 4%
3−HBB−F (4−2−5) 4%
5−HBB−F (4−2−5) 4%
3−HHBB(F,F)−F (6−1) 3%
NI=80.1℃;Tc≦−30℃;Δn=0.095;η=14.4mPa・s;Vth=1.94V;VHR−1=99.3%;VHR−2=97.6%;τ=12.8ms.
実施例6
3−HB−CL (1) 21%
2−HH−5 (2) 3%
3−HH−4 (2) 16%
3−HH−5 (2) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 12%
3−HHB−1 (4−1−1) 4%
3−HHB−3 (4−1−1) 4%
3−HHB−CL (4−2−2) 5%
5−HHB−CL (4−2−2) 5%
2−HBB−F (4−2−5) 3%
3−HBB−F (4−2−5) 4%
5−HBB(F)B−2 (5−1) 2%
2−HHBB(F,F)−F (6−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (6−1) 3%
4−HHBB(F,F)−F (6−1) 3%
NI=81.0℃;Tc≦−30℃;Δn=0.100;η=14.9mPa・s;Vth=1.90V;VHR−1=99.4%;VHR−2=97.8%;τ=13.5ms.
実施例7
3−HB−CL (1) 14%
2−HH−5 (2) 3%
3−HH−4 (2) 16%
3−HH−5 (2) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 15%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 18%
3−HHB−3 (4−1−1) 4%
3−HHB−F (4−2−1) 4%
3−HHB−CL (4−2−2) 5%
2−HBB−F (4−2−5) 2%
3−HBB−F (4−2−5) 2%
1O1−HBBH−5 (5−3) 3%
5−HB(F)BH−3 (5−4) 3%
3−HHEBH−3 (5−5) 3%
3−HHEBH−4 (5−5) 3%
NI=80.1℃;Tc≦−30℃;Δn=0.101;η=14.8mPa・s;Vth=1.75V;VHR−1=99.3%;VHR−2=97.5%;τ=14.6ms.
実施例8
3−HB−CL (1) 20%
3−HH−4 (2) 17%
3−HH−5 (2) 7%
3−HHXB(F)−OCF3 (3−1−7) 3%
3−HHXB(F,F)−F (3−1−12) 2%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 10%
3−BB(F,F)XB(F)−OCF3 (3−2−13) 2%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 8%
3−HHB−1 (4−1−1) 7%
3−HHB−F (4−2−1) 4%
3−HHB−CL (4−2−2) 6%
5−HHB−CL (4−2−2) 6%
2−HHBB(F,F)−F (6−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (6−1) 2%
3−HH2BB(F,F)−F (6−2) 2%
NI=80.3℃;Tc≦−30℃;Δn=0.094;η=14.9mPa・s;Vth=1.74V;VHR−1=99.2%;VHR−2=97.4%;τ=14.8ms.
実施例9
3−HB−CL (1) 20%
3−HH−4 (2) 17%
3−HH−5 (2) 7%
3−HHB(F,F)−F (3−1−8) 2%
3−HHEB(F,F)−F (3−1−11) 3%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 10%
3−HHB−1 (4−1−1) 7%
3−HHB−F (4−2−1) 2%
3−HHB−CL (4−2−2) 6%
5−HHB−CL (4−2−2) 6%
3−HHB−OCF3 (4−2−3) 2%
2−HHBB(F,F)−F (6−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (6−1) 4%
NI=80.3℃;Tc≦−30℃;Δn=0.093;η=14.9mPa・s;Vth=1.73V;VHR−1=99.5%;VHR−2=97.5%;τ=14.8ms.
実施例10
3−HB−CL (1) 20%
3−HH−4 (2) 17%
3−HH−5 (2) 7%
V−HHB(F,F)−F (3−1−8) 2%
3−H2HB(F,F)−F (3−1−9) 2%
3−HH2B(F,F)−F (3−1−10) 1%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 10%
3−HHB−1 (4−1−1) 7%
3−HHB−F (4−2−1) 4%
3−HHB−CL (4−2−2) 6%
5−HHB−CL (4−2−2) 6%
2−HHBB(F,F)−F (6−1) 4%
3−HHBB(F,F)−F (6−1) 4%
NI=81.2℃;Tc≦−30℃;Δn=0.093;η=15.0mPa・s;Vth=1.80V;VHR−1=99.4%;VHR−2=97.6%;τ=14.4ms.
実施例11
3−HB−CL (1) 16%
2−HH−5 (2) 4%
3−HH−4 (2) 17%
3−HH−5 (2) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 29%
3−HHB−3 (4−1−1) 7%
2−HHB−CL (4−2−2) 5%
3−HHB−CL (4−2−2) 7%
5−HHB−CL (4−2−2) 7%
3−HHEB−F (4−2−4) 2%
5−HH−O1 (−) 1%
NI=80.1℃;Tc≦−30℃;Δn=0.092;η=15.2mPa・s;Vth=1.99V;VHR−1=99.4%;VHR−2=97.7%;τ=13.2ms.
実施例12
3−HB−CL (1) 19%
2−HH−5 (2) 3%
3−HH−4 (2) 20%
3−HH−5 (2) 3%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 13%
3−HHB−3 (4−1−1) 2%
3−HHB−O1 (4−1−2) 3%
2−HHB−CL (4−2−2) 6%
3−HHB−CL (4−2−2) 7%
5−HHB−CL (4−2−2) 7%
2−HBB−F (4−2−5) 4%
3−HBB−F (4−2−5) 4%
5−HBB−F (4−2−5) 4%
3−HHBB(F,F)−F (6−1) 3%
5−HH−O1 (−) 2%
NI=79.7℃;Tc≦−30℃;Δn=0.095;η=14.9mPa・s;Vth=1.96V;VHR−1=99.3%;VHR−2=97.4%;τ=13.1ms.
実施例13
3−HB−CL (1) 16%
2−HH−5 (2) 5%
3−HH−4 (2) 17%
3−HH−5 (2) 5%
3−HBB(F,F)−F (3−2−7) 29%
3−HHB−3 (4−1−1) 9%
2−HHB−CL (4−2−2) 5%
3−HHB−CL (4−2−2) 7%
5−HHB−CL (4−2−2) 7%
この組成物に、式(9)のmが1である化合物を300ppm添加した。このときの組成物の特性は次のとおりであった。NI=80.4℃;Tc≦−30℃;Δn=0.093;η=14.3mPa・s;Vth=1.98V;VHR−1=99.5%;VHR−2=97.8%;τ=12.4ms.
実施例14
3−HB−CL (1) 15%
3−HH−4 (2) 20%
3−HH−5 (2) 6%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (3−2−14) 18%
3−HHB−1 (4−1−1) 4%
3−HHB−O1 (4−1−2) 5%
3−HHB−F (4−2−1) 3%
2−HHB−CL (4−2−2) 5%
3−HHB−CL (4−2−2) 6%
5−HHB−CL (4−2−2) 4%
2−HBB−F (4−2−5) 5%
3−HBB−F (4−2−5) 5%
5−HBB−F (4−2−5) 4%
この組成物に、式(9)のmが7である化合物を200ppm添加した。このときの組成物の特性は次のとおりであった。NI=78.6℃;Tc≦−30℃;Δn=0.097;η=14.2mPa・s;Vth=1.77V;VHR−1=99.3%;VHR−2=97.5%;τ=13.8ms.

Claims (24)

  1. 第一成分は10〜35重量%の範囲にある式(1)で表される少なくとも1つの化合物であり、第二成分は20〜40重量%の範囲にある式(2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第三成分は式(3)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分は式(4)で表される少なくとも1つの化合物であり、これらの成分を含有する液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;Yはフッ素または−OCFであり;Yは炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、フッ素、塩素、または−OCFであり;Xは水素またはフッ素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−(CH−であり;Zは単結合、−(CH−、−COO−または−CFO−であり;そしてZは単結合または−COO−である。
  2. 第三成分が10〜45重量%の範囲であり、第四成分が10〜55重量%の範囲である請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 第二成分が20〜30重量%の範囲にあり、第三成分が10〜45重量%の範囲にあり、第四成分が10〜55重量%の範囲にあり、そして第五成分として1〜20重量%の範囲にある式(5)または式(6)で表される少なくとも1つの化合物をさらに含有する請求項1に記載の液晶組成物。

    Figure 0005235262
    ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルコキシメチルであり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−(CH−であり;そしてZは単結合または−COO−である。
  4. 化合物(1)の同族体を含有しない請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  5. 第一成分は10〜35重量%の範囲にある式(1)で表される少なくとも1つの化合物であり、第二成分は20〜30重量%の範囲にある式(2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第三成分は10〜45重量%の範囲にある式(3−2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分は10〜55重量%の範囲にある式(4−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(4−2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分は1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物または式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物であり、これらの成分を含有する液晶組成物。
    Figure 0005235262


    ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;Yはフッ素または塩素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−COO−であり;そしてZは単結合または−CFO−である。
  6. 第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物である請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262


    ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルである。
  7. 第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルである。
  8. 第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルである。
  9. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(3−2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合、−COO−または−CFO−であり;そしてZは単結合または−CFO−である。
  10. 第二成分が26〜30重量%の範囲にある請求項5〜9のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  11. 化合物(1)の同族体を含有しない請求項5から10のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  12. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルである。
  13. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−7)で表される少なくとも1つの化合物および式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物である請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルである。
  14. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−7)で表される少なくとも1つの化合物および式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(5−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルである。
  15. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−1−8)で表される少なくとも1つの化合物、式(3−2−7)で表される少なくとも1つの化合物、および式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物であり、第五成分が1〜20重量%の範囲にある式(6−1)で表される少なくとも1つの化合物である請求項5に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;そしてRは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルである。
  16. 化合物(1)の同族体を含有しない請求項12から15のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  17. 第一成分は10〜35重量%の範囲にある式(1)で表される少なくとも1つの化合物であり、第二成分は26〜40重量%の範囲にある式(2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第三成分は10〜45重量%の割合である式(3)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分は10〜55重量%の範囲にある式(4)で表される少なくとも1つの化合物であり、実質的にこれらの成分のみからなる液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、RおよびRは独立して炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数2〜12のアルケニルであり;Yはフッ素または−OCFであり;Yは炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、フッ素、塩素、または−OCFであり;Xは水素またはフッ素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−(CH−であり;Zは単結合、−(CH−、−COO−または−CFO−であり;そしてZは単結合または−COO−である。
  18. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分が10〜55重量%の範囲にある式(4−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(4−2)で表される少なくとも1つの化合物である請求項17に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;Yはフッ素または塩素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;Aは1,4−フェニレンまたは2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Zは単結合または−COO−であり;そしてZは単結合または−CFO−である。
  19. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−7)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分が10〜55重量%の範囲にある式(4−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(4−2)で表される少なくとも1つの化合物である請求項17に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;Yはフッ素または塩素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;そしてZは単結合または−COO−である。
  20. 第三成分が10〜45重量%の範囲にある式(3−2−14)で表される少なくとも1つの化合物であり、第四成分が10〜55重量%の範囲にある式(4−1)で表される少なくとも1つの化合物および式(4−2)で表される少なくとも1つの化合物である請求項17に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここで、Rは炭素数1〜12のアルキルであり;Rは炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシであり;Yはフッ素または塩素であり;Aは1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり;そしてZは単結合または−COO−である。
  21. 酸化防止剤をさらに含有する請求項1〜20のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  22. 酸化防止剤が式(9)で表される化合物である請求項21に記載の液晶組成物。
    Figure 0005235262
    ここでmは、1〜9の整数である。
  23. 液晶性化合物の全重量に基づいて、酸化防止剤が50〜600ppmの範囲である請求項21または22に記載の液晶組成物。
  24. 請求項1から23のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
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