JP5235226B2 - エコー消去装置及びそのプログラム - Google Patents
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Description
第一実施形態に係るエコー消去装置は、遅延推定装置100とエコー消去部90とを含む。エコー消去部90は従来技術を用いてエコーを消去すればよいので、主に、図1及び図2を用いて第一実施形態に係る遅延推定装置100を説明する。遅延推定装置100は遅延推定部110と信号蓄積部180とを含む。
図3及び図4を用いて遅延推定部110を説明する。遅延推定部110は、フレーム化部111と、ベクトル化部112と、無音区間判定部113と、相関値算出部115と、遅延値算出部117と、遅延出力部119とを含む。
フレーム化部111は、時間領域のディジタル再生信号x(n)を受け取り、ある離散時刻tから始まる連続するr個(rは複数)のサンプルによる列をフレーム化し(s111)、フレーム単位の再生信号xmをベクトル化部112に出力する。以下ではr=2L(Lは正の整数)として説明する。なお、mはフレーム番号及びそのフレーム番号に対応する時刻(以下「フレーム時刻」という)を表す。
xm=[x(mL-2L+1),x(mL-2L+2),…,x(mL)]T
ym=[y(mL-2L+1),y(mL-2L+2),…,y(mL)]T
なお、・Tは行列・の転置行列を表す。
ベクトル化部112は、フレーム単位の再生信号xmを受け取り、再生信号xmの前半L個を切り出して、ベクトル
x'm T=[x(mL-2L+1),x(mL-2L+2),…,x(mL-L)]
を生成し(s112)、無音区間判定部113と相関値算出部115に出力する。
無音区間判定部113は、再生信号xmを用いて、再生信号xmが無音区間か否かを判定する(s113a)。例えば、無音区間判定部113は、再生信号xmから得られるベクトルx’mを受け取り、ベクトルx’mのパワー||x’m||2を算出し、閾値Tx以上か否かを判定する。なお、||・||は・のL2ノルムを表す。閾値Tx以上の場合には、無音区間ではないと判定し、閾値Tx未満の場合には、無音区間であると判定する。無音区間判定部113は、パワー||x’m||2が閾値Tx以上の場合、そのときのmをm0として相関値算出部115に出力する(s113b)。閾値Txは再生信号に含まれるノイズの影響を小さくするために用いる。無音か小さな声では閾値Txを下回り、通常の音量の音声で閾値Txを超えるように閾値Txを設定する。
相関値算出部115は、再生信号x’m Tと収音信号ymとを受け取り、その相関値cf(n)を、収音信号ymのフレーム番号とサンプル番号を変化させながら、各フレームmの各サンプルnに対して算出する(s115)。
遅延値算出部117は、相関値が最大となるときの収音信号のフレーム番号fmaxとサンプル番号nmaxを受け取り、これを用いて、例えば以下の式により遅延値dmaxを算出し、遅延出力部119へ出力する(s117)。
遅延出力部119は、所定数の遅延値を受け取り、最も頻度の高い遅延値を遅延推定値として出力する(s119e)。
信号蓄積部180は、遅延推定値destに応じて、再生信号x(n)を遅延させて、遅延再生信号x(n’)を出力する。例えば、信号蓄積部180は、信号格納部181と信号バッファ183と第一信号出力部185とを含む(図8、図9参照)。
エコー消去部90は、例えば、従来技術を用いてエコーを消去すればよい。エコー消去部90は、遅延再生信号x(n’)を用いて、収音信号y(n)から反響信号を消去し、送話信号e(n)を送話端4に出力する。再生信号x(n)ではなく、遅延再生信号x(n’)を用いる点が従来技術と異なるが、その他の点は従来技術と同様である。例えば、図10のようにエコー推定部を用い、非特許文献1記載の適応フィルタによって収音信号から疑似エコー信号を差し引いてエコー消去をする方法や、特許3420705号公報のように収音信号にエコー抑圧ゲインをかけてエコーを抑圧する方法がある。
本実施形態は、遅延推定部において、反響信号を用いて再生信号の遅延量を推定することができる。さらに、信号蓄積部では、推定した遅延量に基づき、再生信号と遅延させて出力することができる。
遅延推定装置100が受信する再生信号及び収音信号がアナログ信号の場合には、図示しないAD変換部において、アナログ再生信号x(t)及びアナログ収音信号y(t)(tは時刻を表す)を、それぞれ所定のサンプリング周波数(例えば16kHz)でサンプリングし、各サンプルを量子化し、ディジタル受話信号サンプルx(n)及びディジタル収音信号y(n)に変換する構成としてもよい。
第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図1及び図2を用いて第二実施形態に係る遅延推定装置200を説明する。
相関値算出部215は、無音区間判定部113において無音区間でないと判定された再生信号x’m Tを所定の範囲I毎に合算し、収音信号ymを所定の範囲I毎に合算する(s215b)。例えば、以下の式により合算する(x^m、y^mについては式(1)、式(2)参照)。
このような構成とすることで、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、1フレームあたり第一実施形態ではLタップの相関計算がL回必要だったのが、LIタップの相関計算がLI回(式(10)参照)とLタップの相関計算が2M+1回(式(3)参照)で済むようになる。例えばL=320、I=10、M=50のとき、その計算量はおおよそ1/3となる。
第一実施形態と異なる部分のみ説明する。第三実施形態に係るエコー消去装置は、遅延推定装置100とエコー消去部94とを含む。エコー消去部94は従来技術を用いてエコーを消去すればよいので、主に、図13及び図14を用いて第三実施形態に係る遅延推定装置300を説明する。遅延推定装置300は遅延推定部310と信号蓄積部380とを含む。遅延推定装置300は、周波数領域変換部81及び82、エコー消去部94、時間領域変換部83を備えるエコー消去装置の内部に組込まれているものとする。
図15及び図16を用いて遅延推定部310を説明する。遅延推定部310は、無音区間判定部313と相関値算出部315と遅延値算出部117と遅延出力部319とを含む。
無音区間判定部313は、再生信号Xmを受け取り、再生信号Xmが無音区間か否かを判定する(s313a)。例えば、無音区間判定部313は、再生信号Xmのパワー||Xm||を算出し、閾値Tx以上か否かを判定する。無音区間判定部313は、パワー||Xm||が閾値Tx以上の場合、そのときのフレーム番号mをm0とし、再生信号XmをXm0として相関値算出部315に出力する(s313b)。
相関値算出部315は、無音区間判定部において無音区間でないと判定された再生信号Xm0と収音信号Ymと受け取り、これらの値を用いて、相関値を求める(s315)。その際、収音信号のフレーム番号を変化させながら相関値を求めることで、各フレームの各サンプルに対して相関値を求める。例えば以下の式により相関値を求める。
c〜 f(但し、記号〜は直前の文字の頭上に附されるものとする)の前半L個を
遅延出力部319は、遅延値算出部117から所定数の遅延値を受け取り、遅延出力部119と同様の方法により、最も頻度の高い遅延値を遅延推定値destとして求める(s119a〜s119e)。
信号蓄積部380は、遅延推定値destに応じて、再生信号Xmを遅延させて、周波数領域の遅延再生信号Xm’(但し、m’=m−dest/L)を出力する(s380)。再生信号x(n)に代えて再生信号Xmを用いる以外は、信号蓄積部180と同様である。
エコー消去部94は、遅延された再生信号を用いて、収音信号Ymから反響信号を消去し(s94)、送話信号Emを時間領域変換部83に出力する。例えば、図17に示すように、エコー消去部94は、エコー抑圧ゲイン計算部95と乗算部97を含む構成であってもよい。エコー抑圧ゲイン計算部95において、特許3420705号公報記載の従来技術を用いて、遅延再生信号Xm’と収音信号Ymによりエコー抑圧ゲインGmを求める。次に乗算部97において収音信号Ymにエコー抑圧ゲインGmを乗じてエコーを抑圧し、抑圧後の送話信号Emを出力する。
このような構成とすることで、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、エコー消去装置で用いる周波数領域の再生信号及び収音信号を利用することで、遅延推定時の相関計算の演算量を低く抑えることができる。
周波数領域変換部81及び82において、式(1)、式(2)を用いて、以下の式により、得られる周波数領域の再生信号及び収音信号であってもよい。
第三実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図18及び図19を用いて第四実施形態に係る遅延推定装置400を説明する。
信号蓄積部480は、遅延推定値destに応じて、再生信号Xmを遅延させて、出力する(s480)。信号蓄積部480は、例えば、信号格納部481と信号バッファ483と第一信号出力部485と第二信号出力部487とを含む(図20参照)。
遅延推定部410は、相関値算出部415と遅延値算出部117と遅延出力部319とを含む。相関値算出部415の構成及び処理内容(図22のs415)が第三実施形態と異なる。
相関値算出部415は、過去DF個の再生信号Xm,Xm-1,…,Xm-DF+1と収音信号Ymとを用いて、DF個の再生信号Xm,Xm-1,…,Xm-DF+1のフレーム番号と収音信号Ymのフレーム番号を変化させながら、各再生信号と各収音信号の各組合せの各サンプルに対して相関値を求める(s415)。相関値算出部415は、図23に示す各処理を行う。
i=m-f
for f=0〜m-1
if cf(nf)>ctmp(i)
ctmp(i)=cf(nf)
ntemp(i)=nf
ftemp(i)=f
end
end
mがDF以上となるまで上記の処理を繰り返す(s415p)。
for f=0〜DF-1
if cf(nf)>ctmp(i)
ctmp(i)=cf(nf)
ntemp(i)=nf
ftemp(i)=f
end
end
過去DF回の相関計算と比較が終了したインデックスr+1を用いて、
nmax=ntemp(r+1)
fmax=ftemp(r+1) (19)
として、遅延値算出部117に出力する(s415m)。図24は、m=DF(r=0)のときのctmpのcf、ctmp(i)、ntemp(i)、ftemp(i)を記憶する記憶部の状態を示す。このとき、c0とctmp(0)とを比較し、c1とctmp(DF−1)とを比較し、c2とctmp(DF−2)とを比較し、…、cDF−1とctmp(1)とを比較する。比較の結果、cfのほうが大きい場合には、ctmpを更新する。全ての比較、更新を終えると、r+1に対応するntemp(i)、ftemp(i)を出力する。この例では、r=0なので、ntemp(1)、ftemp(1)をnmax、fmaxとして出力する。本実施形態ではDF回の比較処理を行ったctmpに対応するfmaxとnmaxを出力したいので、r+1のときのctmp(i)に対応するntemp(i)、ftemp(i)を出力する。次のフレームを受け取った場合には、上記処理を行い、ntemp(2)、ftemp(2)をnmax、fmaxとして出力する。
このような構成とすることで、第三実施形態と同様の効果を得ることができる。ctmpの各要素は一つのXmに対応しており、あるXm”を固定したままYm”,Ym”+1,…,Ym”+DF-1との相関を計算する、という第三実施形態の演算を同時並行でDF回行うことができる。よって、第三実施形態よりも高速に遅延推定値が得られる。
第四実施形態において、遅延推定装置400は、無音区間判定部413(図21において破線で示す)を含んでもよい。無音区間判定部413は、DF個の再生信号Xm,Xm-1,…,Xm-DF+1を受け取り、再生信号Xiのパワーが閾値以下か否かを判定し、閾値以上の再生信号のみ遅延推定部410に出力する(s413、図22において破線で示す)。再生信号Xiのパワーが小さい、つまり再生信号が無音もしくはある閾値以下のパワーしかない場合に、対応する相関値cfの計算を行わない構成となる。Xiのパワーが小さい場合は相関値cfがノイズの影響を受けやすくなるが、このような構成とすることで、頑強な推定が可能となる。閾値は例えば信号の定格レベルの−10dBなどと設定する。
第四実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第五実施形態に係る遅延推定装置500を説明する。遅延推定部510内の相関値算出部515の処理内容が遅延推定装置400とは異なる(s510、s515、図18、図19、図21、図22参照)。図25のs515h−2、s515d−2に示すように、相関を計算するXiをA(Aは2以上の整数)フレーム毎にしか用いない。例えばA=3の時、m番目のフレームの時刻においてXmとYmの相関、Xm-AとYmの相関、Xm-2AとYmの相関というように計算し、m+1番目のフレームの時刻においてはXmとYm+1の相関、Xm-AとYm+1の相関、Xm-2AとYm+1の相関というように計算する。このようにしても、相関計算に用いられるXiは間引かれるが、同一のXiに対する異なる遅延に対応する相関値は間引かれない(図26参照)。
このような構成とすることで、第四実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、Aフレームに1回しかdmaxの計算がされないため、第四実施形態に比べてTsum個の遅延値を推定するためにA倍の時間がかかるが(言い換えると、遅延推定値destの推定速度が1/Aに減少する)、その分演算量も相関計算部分に関しては1/Aに減少する。遅延推定装置の処理能力に応じて適宜設定すればよい。
第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図1、図2、図3、図27を用いて第六実施形態に係る遅延推定装置600を説明する。遅延推定装置600内の遅延推定部610の構成及び処理内容(s610)が第一実施形態とは異なる。さらに詳しくいうと、遅延推定部610内の遅延出力部619の処理内容(s619)が異なる。
dest=(1-α)dmax+αd’est (20)
として出力する(図27のs619)。なお、d’estは前回推定したdestの値である。αは減衰係数で、0.9程度の値を用いる。
このような構成により第一実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この場合、遅延出力部119のようにTsum回の推定が行われるまで待たずに、真値に近い値を維持することができる。第二〜五実施形態の遅延出力部を同様の構成としてもよい。
第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図1、図2、図28、図29を用いて第七実施形態に係る遅延推定装置700を説明する。遅延推定装置700内の遅延推定部710の構成及び処理内容(s710)が第一実施形態とは異なる。さらに詳しくいうと、遅延推定部710内の遅延値算出部717と遅延出力部719の処理内容(図29のs717、s719a、s719e)が異なる。
dest=imaxL (21)
を出力する。
このような構成とすることで第一実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、遅延推定値の正確な値は求まらないが、フレーム内の細かい誤差を無視してフレームごとに集約することで、推定が安定するメリットがある。第二〜六実施形態の遅延値算出部、遅延出力部を同様の構成としてもよい。
第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図1、図2、図30、図31を用いて第八実施形態に係る遅延推定装置800を説明する。遅延推定装置800内の遅延推定部810の構成及び処理内容(s810)が第一実施形態とは異なる。さらに詳しくいうと、遅延推定部810は相関蓄積部816をさらに含み、遅延値算出部817の処理内容(図31のs817)が異なる。相関蓄積部816は、前回算出した相関値c− f oldを蓄積する。
このような構成とすることによって、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、時間平滑化によって外乱音声等によるcfの値の一時的な乱れを防ぐことができる。第二〜七実施形態の遅延値算出部を同様の構成としてもよい。なお、第四実施形態のように相関値を毎時刻計算する場合には、平滑化した相関値c− foldは1フレーム前の値であるが、そうでない場合は、数フレーム前の値となることもある。
第三実施形態に係る遅延推定装置300と異なる部分についてのみ説明する。遅延推定部910の相関値算出部915の処理内容が異なる(図13、図14のs910、図15及び図32参照)。
このような構成とすることで第三実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、あまり大きすぎる再生信号の周波数成分に関しては、時間領域へ戻したときの相関値に影響が大きすぎるため低減し、小さい再生信号の周波数成分に関してもSN比が悪く外乱の影響を受けやすいため、寄与を低くすることができ、より精度の高い推定が可能となる。第四実施形態の遅延値算出部を同様の構成としてもよい。
なお、時間領域で相関を計算する場合でも、x(n)の周波数領域の値を求め、ゲインGm0を設計した後、同様の特性を持つ時間領域のフィルタを求めてxをフィルタリングすることで同様の効果が得られる。
第八実施形態に係る遅延推定装置800と異なる部分についてのみ説明する。本実施形態では、第八実施形態の遅延値算出部で用いていたβの値を可変とする。図1、図2、図30、図31を用いて第十実施形態に係る遅延推定装置1000を説明する。遅延推定装置1000内の遅延推定部1010の構成及び処理内容(s1010)が第八実施形態とは異なる。さらに詳しくいうと、遅延推定部1010内部の遅延値算出部1017の処理内容(s1017)が第八実施形態と異なる。遅延値算出部1017は図示しない相関差分計算部と平滑係数切替部とを含む。
β2=1-γ(1-β) (36)
γは1以上の実数で、βの値が小さくなることで平滑化の効果が小さくなり、遅延変動への追随が速くなる。例えば、γ=5.0とする。なお、平滑係数切替部は、βをβ2に置き換えた後に、上記条件を満たさなくなった場合には、β2をβに戻す。遅延値算出部817は、βまたはβ2を用いて、式(22)を計算し、c− fを求める。他の処理は第八実施形態と同様である。
このような構成とすることで第八実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第八実施形態において、cfの時間変化を平滑化すると述べているが、平滑化をかければかけるほど遅延変動に対して追随が遅くなるというデメリットがあるが、本実施形態であれば、遅延が変動した際に追随を速くし、遅延が変動していない場合は平滑化を強めにして外乱に強くするという処理を遅延値算出部に追加している。
図33、図34に第五、七、八、十実施形態を組み合わせた構成の遅延推定装置(但し、γ=1.0とし、第四実施形態の変形例で説明した無音区間判定部413を備える)の計算機上のシミュレーション結果を示す。再生信号は16kHzサンプリングの音声データで、L=160(=10ms)、DF=20、A=5(第五実施形態の間引き)、Tsum=6、β=0.95(平滑係数)とした。遅延を12.5秒と42秒の位置で変動させ、相関の変化と推定遅延の推移をプロットした。図34の推定遅延のグラフは、図33の各時刻で最大である相関から現在の遅延値を計算したものである。図33は3通りの遅延に対応する相関値の変動を表し、c1、c6、c11、はそれぞれ10ms、60ms、110msの遅延に対応する相関値の変動を表す。0秒から12.5秒までは遅延は10ms程度であり、c1の値(太線)が最大になれば正しい遅延が推定されることになる。図33のプロットもそのようになっている。また図34プロットも遅延真値と推定遅延値が一致している。同様に、12.5秒から42秒は遅延が110ms程度、42秒から60秒までは遅延が60ms程度であり、それぞれ正しい遅延(極太線、太点線)が推定されている。ただし、推定遅延値が遅延の推定値になるには10秒程度の推定時間がかかっている。
上述した遅延推定装置は、コンピュータにより機能させることもできる。この場合はコンピュータに、目的とする装置(各種実施例で図に示した機能構成をもつ装置)として機能させるためのプログラム、またはその処理手順(各実施例で示したもの)の各過程をコンピュータに実行させるためのプログラムを、CD−ROM、磁気ディスク、半導体記憶装置などの記録媒体から、あるいは通信回線を介してそのコンピュータ内にダウンロードし、そのプログラムを実行させればよい。
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
Claims (10)
- 収音信号に含まれる反響信号を用いて再生信号の遅延量を推定するエコー消去装置であって、
時間領域の前記再生信号と時間領域の前記収音信号との相関値を、前記収音信号のフレーム番号とサンプル番号を変化させながら各フレームの各サンプルに対して求める相関値算出部と、
前記相関値が最大となるときの収音信号のフレーム番号とサンプル番号を用いて、遅延値を算出する遅延値算出部と、
前記遅延値に基づき前記再生信号を遅延させる信号蓄積部と、
前記遅延された再生信号を用いて、前記収音信号から反響信号を消去するエコー消去部と、
を含み、
前記相関値算出部は、
時間領域の前記再生信号を所定の範囲毎に合算し、時間領域の前記収音信号を前記所定の範囲毎に合算し、
合算した前記再生信号と合算した前記収音信号とのエリア相関値を、各フレームの各前記所定の範囲に対して求め、
時間領域の前記再生信号と時間領域の前記収音信号との相関値を、前記収音信号のフレーム番号を変化させ、かつ、前記エリア相関値が最大となるときの所定の範囲を中心とする前後数サンプルの範囲内でサンプル番号を変化させながら、各フレームの各サンプルに対して求める、
エコー消去装置。 - 収音信号に含まれる反響信号を用いて再生信号の遅延量を推定するエコー消去装置であって、
周波数領域の前記再生信号と周波数領域の前記収音信号とを用いて、前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各フレームの各サンプルに対して相関値を求める相関値算出部と、
前記相関値が最大となるときの収音信号のフレーム番号とサンプル番号を用いて、遅延値を算出する遅延値算出部と、
前記遅延値に基づき前記再生信号を遅延させる信号蓄積部と、
前記遅延された再生信号を用いて、前記収音信号から反響信号を消去するエコー消去部と、
信号バッファに蓄積されている前記再生信号の内、現フレームを含めて過去数フレームを出力する第二信号出力部と、を含み、
前記相関値算出部は、過去数フレームの前記再生信号と前記収音信号とを用いて、過去数フレームの前記再生信号のフレーム番号と前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各再生信号と各収音信号の各組合せの各サンプルに対して相関値を求める、
エコー消去装置。 - 収音信号に含まれる反響信号を用いて再生信号の遅延量を推定するエコー消去装置であって、
周波数領域の前記再生信号と周波数領域の前記収音信号とを用いて、前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各フレームの各サンプルに対して相関値を求める相関値算出部と、
前記相関値が最大となるときの収音信号のフレーム番号とサンプル番号を用いて、遅延値を算出する遅延値算出部と、
前記遅延値に基づき前記再生信号を遅延させる信号蓄積部と、
前記遅延された再生信号を用いて、前記収音信号から反響信号を消去するエコー消去部と、
信号バッファに蓄積されている前記再生信号の内、現フレームを含めて過去数フレームを出力する第二信号出力部と、
前記相関値を蓄積する相関蓄積部とを含み、
前記相関値算出部は、過去数フレームの前記再生信号と前記収音信号とを用いて、過去数フレームの前記再生信号のフレーム番号と前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各再生信号と各収音信号の各組合せの各サンプルに対して相関値を求め、
βを0以上1以下の実数とし、前記遅延値算出部は、前記相関値が最大となるときの収音信号のサンプル番号nmaxと蓄積された相関値c− foldを用いて、前記相関値cfを
エコー消去装置。 - 収音信号に含まれる反響信号を用いて再生信号の遅延量を推定するエコー消去装置であって、
周波数領域の前記再生信号と周波数領域の前記収音信号とを用いて、前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各フレームの各サンプルに対して相関値を求める相関値算出部と、
前記相関値が最大となるときの収音信号のフレーム番号とサンプル番号を用いて、遅延値を算出する遅延値算出部と、
前記遅延値に基づき前記再生信号を遅延させる信号蓄積部と、
前記遅延された再生信号を用いて、前記収音信号から反響信号を消去するエコー消去部と、を含み、
前記相関値算出部は、周波数領域の前記再生信号Xmの大きさに応じて、ゲインを生成し、当該ゲインと前記再生信号Xmと前記収音信号とを用いて、前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各フレームの各サンプルに対して相関値を求める、
エコー消去装置。 - 収音信号に含まれる反響信号を用いて再生信号の遅延量を推定するエコー消去装置であって、
周波数領域の前記再生信号と周波数領域の前記収音信号とを用いて、前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各フレームの各サンプルに対して相関値を求める相関値算出部と、
前記相関値が最大となるときの収音信号のフレーム番号とサンプル番号を用いて、遅延値を算出する遅延値算出部と、
前記遅延値に基づき前記再生信号を遅延させる信号蓄積部と、
前記遅延された再生信号を用いて、前記収音信号から反響信号を消去するエコー消去部と、
信号バッファに蓄積されている前記再生信号の内、現フレームを含めて過去数フレームを出力する第二信号出力部と、を含み、
前記相関値算出部は、過去数フレームの前記再生信号と前記収音信号とを用いて、過去数フレームの前記再生信号のフレーム番号と前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各再生信号と各収音信号の各組合せの各サンプルに対して相関値を求め、
さらに、前記相関値算出部は、周波数領域の前記再生信号Xmの大きさに応じて、ゲインを生成し、当該ゲインと前記再生信号Xmと前記収音信号とを用いて、前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各フレームの各サンプルに対して相関値を求める、
エコー消去装置。 - 収音信号に含まれる反響信号を用いて再生信号の遅延量を推定するエコー消去装置であって、
周波数領域の前記再生信号と周波数領域の前記収音信号とを用いて、前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各フレームの各サンプルに対して相関値を求める相関値算出部と、
前記相関値が最大となるときの収音信号のフレーム番号とサンプル番号を用いて、遅延値を算出する遅延値算出部と、
前記遅延値に基づき前記再生信号を遅延させる信号蓄積部と、
前記遅延された再生信号を用いて、前記収音信号から反響信号を消去するエコー消去部と、
信号バッファに蓄積されている前記再生信号の内、現フレームを含めて過去数フレームを出力する第二信号出力部と、を含み、
前記相関値算出部は、過去数フレームの前記再生信号と前記収音信号とを用いて、過去数フレームの前記再生信号のフレーム番号と前記収音信号のフレーム番号を変化させながら、各再生信号と各収音信号の各組合せの各サンプルに対して相関値を求め、
前記第二信号出力部は、信号バッファに蓄積されている前記再生信号の内、現フレームを含めて過去数フレームを出力する際に、Aフレーム毎の過去のフレームを出力する、
エコー消去装置。 - 請求項1から6の何れかに記載のエコー消去装置であって、
所定数の前記遅延値を受け取り、最も頻度の高い遅延値を遅延推定値として出力する遅延出力部をさらに含み、
前記信号蓄積部は、前記遅延値に基づき得られる前記遅延推定値に応じて前記再生信号を遅延させる、
エコー消去装置。 - 請求項1から6の何れかに記載のエコー消去装置であって、
αを減衰係数とし、前記遅延値dmaxと前回推定した遅延推定値d’estとを用いて、今回の遅延推定値destを
dest=(1-α)dmax+αd’est (20)
として出力する遅延出力部をさらに含む、
エコー消去装置。 - 請求項7記載のエコー消去装置であって、
前記遅延値算出部は、前記相関値が最大となるときの収音信号のフレーム番号を遅延値として算出する、
エコー消去装置。 - 請求項1から9の何れかに記載のエコー消去装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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