JP6432384B2 - エコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム及びエコー抑圧方法 - Google Patents

エコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム及びエコー抑圧方法 Download PDF

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本発明は、エコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム及びエコー抑圧方法に関し、例えば、テレビ会議システムや電話会議システム等において用いられるエコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム及びエコー抑圧方法に適用し得るものである。
例えば、テレビ会議システムや電話会議システム等の拡声通話システムでは、スピーカから放音された音(ここで、「音」は音響や音声等を含む。)がマイクに回り込んで送話側に戻る音響エコー信号が発生する。音響エコー信号は、通話の著しい妨げとなるため、音響エコー抑圧方法に関して、これまでも多くの研究、開発が行なわれている。
音響エコー信号を抑圧する1つの手法として、エコーサプレッサー(エコー抑圧装置)を使用する手法がある。エコーサプレッサーとは、遠端信号と近端入力信号とからエコーパス特性、推定エコー信号、エコーサプレスゲインを求めて、近端入力信号とエコーサプレスゲインを乗算することで音響エコー信号を抑圧する手法である。このエコーサプレッサーを使用して音響エコー信号を抑圧することができる。
エコーサプレッサーでエコーパス特性を算出し、更新するときに、重要になるのが遅延量推定である。例えば、遅延量が既知で一定の場合は、遠端信号を遅延量だけ遅延させることで、音響エコー信号を抑圧することができる。
しかし、例えば、ソフトフォン(Softphone)やスマートフォン(Smartphone)などの音入出力部に、処理待ちデータを一時保持し出力するバッファを備える装置では遅延量が大きくなる。また、ソフトフォンやスマートフォンはエコー抑圧処理以外にも様々な処理(例えば、アプリケーション、プログラム、制御信号処理等)が動作しており、負荷が大きくなるとバッファに音データを記録する処理やバッファから音データを出力する処理が停止するため、遅延量が大きくなり、かつ遅延量の変動が大きくなる。
このような、ソフトフォンやスマートフォンのエコーサプレッサーは遅延量を推定する必要があり、遅延量を推定する手法が特許文献1によって提案されている。
特許文献1に開示される遅延量推定手法は、スピーカからパルス音や報知音を出力し、近端側の空間を伝達してマイクで受音され、スピーカに出力したパルス音や報知音と受音した応答パルス音や報知音応答を解析することで遅延量を推定している。
特開2013−225747号公報
しかしながら、特許文献1の遅延量推定では、パルス音や報知音と似たような音が近端側から入力されると遅延量が正しく推定できない。さらに、遅延量を推定するのにパルス音や報知音を出力すると、非常に耳障りであり、通話の著しい妨げとなる。
パルス音や報知音を出力しない場合は、シングルトーク時に、遠端側から入力されスピーカから出力した過去の遠端信号と、マイクで受音される近端入力信号を例えば相関係数を計算して、相関の高いところがマイクに音響エコー信号として入力されているとし、相関が高い時刻と現時刻との差を遅延量することで遅延量を推定できる。しかし、比較する過去の遠端信号で、同じ音や似た音(例えば同じ母音など)が入力されていると、相関係数がともに高くなるため、遅延量を誤推定し、音響エコー信号を抑圧できない。
そのため、パルス音や報知音などの音を出力しないで、遠端側から同じ音や似た音が入力し、スピーカから出力され近端側の空間を伝達し、音響エコー信号として入力されても、音響エコー信号の遅延量を推定できるエコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム及びエコー抑圧方法が望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、遅延量が大きい機器や遅延量の変動が大きい機器でもパルス音や報知音などの音を出力せずに、遠端側から同じ音や似た音が入力されても、相関が高いフレームから遅延量の候補値を計算し、その遅延量の候補値から過去の信号をと過去の近端入力信号を比較することで、遅延量の候補値から過去の信号を比較して音響エコー信号の遅延量を決定する遅延量推定を提供しようとするものである。
第1の本発明のエコー抑圧装置は、近端入力信号と遠端信号に基づく音響エコー信号を抑圧するエコー抑圧装置において、(1)過去の複数フレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとに基づいてフレーム誤差を計算するフレーム誤差計算手段と、(2)フレーム誤差計算手段で計算したフレーム毎の誤差に基づいて、1又は複数のフレーム遅延量の候補値を計算するフレーム遅延量候補値計算手段と、(3)フレーム遅延量候補値計算手段で判定された各フレーム遅延量の候補値に基づいて、所定フレーム離れたフレームの推定エコー信号と所定フレーム離れたフレームの近端入力信号とを用いて、フレーム遅延量を推定して出力するフレーム遅延量推定手段とを有することを特徴とする。
第2の本発明のエコー抑圧プログラムは、近端入力信号から遠端出力信号に基づく音響エコー信号を抑圧するエコー抑圧プログラムにおいて、コンピュータを、(1)過去の複数フレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとに基づいてフレーム誤差を計算するフレーム誤差計算手段と、(2)フレーム誤差計算手段で計算したフレーム毎の誤差に基づいて、1又は複数のフレーム遅延量の候補値を計算するフレーム遅延量候補値計算手段と、(3)フレーム遅延量候補値計算手段で判定された各フレーム遅延量の候補値に基づいて、所定フレーム離れたフレームの推定エコー信号と所定フレーム離れたフレームの近端入力信号とを用いて、フレーム遅延量を推定して出力するフレーム遅延量推定手段として機能させることを特徴とする。
第3の本発明のエコー抑圧方法は、近端入力信号から遠端出力信号に基づく音響エコー信号を抑圧するエコー抑圧方法において、フレーム誤差計算手段、フレーム遅延量候補値計算手段、及びフレーム遅延量推定手段を有し、(1)フレーム誤差計算手段は、過去の複数フレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとに基づいてフレーム誤差を計算し、(2)フレーム遅延量候補値計算手段は、フレーム誤差計算手段で計算したフレーム毎の誤差に基づいて、1又は複数のフレーム遅延量の候補値を計算し、(3)フレーム遅延量推定手段は、フレーム遅延量候補値計算手段で判定された各フレーム遅延量の候補値に基づいて、所定フレーム離れたフレームの推定エコー信号と所定フレーム離れたフレームの近端入力信号とを用いて、フレーム遅延量を推定して出力することを特徴とする。
本発明によれば、遠端信号に同じ音や似た音が入力されても、その同じ音や似た音の過去の信号を比較し、遅延量を推定し、推定した遅延量を推定エコー信号、推定エコーパス特性、サプレスゲインを算出することで、音響エコー信号を抑圧することができる。
第1の実施形態のエコー抑圧装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態のフレーム遅延量推定部の処理を示す処理フロー図である。 第2の実施形態のフレーム遅延量推定部の処理を示す処理フロー図である。 第1及び第2の実施形態のフレーム遅延量推定処理の説明図である。 第3の実施形態のフレーム遅延量推定処理の説明図である。 従来のエコー抑圧装置を説明するためのブロック図である。
(A)第1の実施形態
以下では、本発明に係るエコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム及びエコー抑圧方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施形態は、例えば、テレビ会議システムや電話会議システム等の拡声通話システムの音声送受信装置のエコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム及びエコー抑圧方法に本発明を適用する場合を例示する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係るエコー抑圧装置100の構成を示すブロック図である。
第1の実施形態に係るエコー抑圧装置100は、上述した本発明の遅延量推定装置をエコー抑圧装置に実装したものであり、遠端信号が音響エコー信号として近端側のマイクに回り込んで入力されたときに遅延量を推定し、近端入力信号に対してエコー抑圧処理を行い、音響エコー信号を適切に抑圧するものである。
第1の実施形態のエコー抑圧装置100は、例えば専用ボードとして構築されるようにしても良いし、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)へのエコー抑圧プログラムの書き込みによって実現されたものであっても良く、CPUと、CPUが実行するソフトウェア(エコー抑圧プログラム)によって実現されたものであっても良いが、機能的には、図1で表すことができる。
図1において、第1の実施形態に係るエコー抑圧装置100は、遠端信号入力端子101、出力バッファ102、DA変換器103、スピーカ104、マイク105、AD変換器106、入力バッファ107、遠端信号周波数領域変換部108、遠端信号振幅スペクトル計算部109、エコーパス特性更新部110、推定エコー信号計算部111、推定エコー信号保持部112、近端入力信号周波数領域変換部113、近端入力信号振幅スペクトル計算部114、フレーム遅延量推定部115、推定エコー信号遅延部116、エコーサプレスゲイン計算部117、エコーサプレス部118、近端出力信号時間領域変換部119、近端信号出力端子120、遠端信号保持部121、シングルトーク判定部123を有する。
遠端信号入力端子101は、例えば、インターネットプロトコル(IP)網等のネットワークや、携帯電話等の無線ネットワークの電波等に接続されており、接続されている回線を介して遠端側(相手側)の遠端信号が入力される。
遠端信号入力端子101に入力された遠端信号は、出力バッファ102において一時保持され、DA変換器103の処理準備ができ次第、DA変換器103に遠端信号を出力し、DA変換器103において、デジタル音信号からアナログ音信号に変換され、スピーカ104を通して近端側に出力される。
出力バッファ102は、エコー抑圧装置100の処理待ち用のバッファである。
一方、近端側の話者が発した音声等の音信号や、環境音、音響エコー信号(例えば、スピーカ104から出力されたアナログ音信号が近端側の空間を伝達して回り込んだ信号)等が重畳したアナログ音信号は、マイク105において受音され、AD変換器105おいてデジタル音信号に変換され、入力バッファ107おいて一時保持され、エコー抑圧装置100の準備ができ次第、デジタル音信号を近端入力信号としてエコー抑圧装置100に入力される。
入力バッファ107は、エコー抑圧装置100の処理待ち用のバッファである。
遠端信号周波数領域変換部108は、例えば、高速フーリエ変換(FFT)等により、遠端信号を周波数領域の信号に変換し、遠端信号の周波数スペクトルを出力する。
遠端信号振幅スペクトル計算部109は、遠端信号の周波数スペクトルに基づいて、遠端信号の振幅スペクトルを算出し、算出した遠端信号の振幅スペクトルを出力する。
エコーパス特性更新部110は、前フレームに推定したエコーパス特性を保持しており、保持している推定エコーパス特性に出力する。
さらに、エコーパス特性更新部110は、シングルトーク判定部123でシングルトークと判定されると、推定したフレーム遅延量だけ遅延させた遠端信号の振幅スペクトルと近端入力信号の振幅スペクトルに基づいて、現フレームのエコーパス特性を算出し、算出した現フレームのエコーパス特性とエコーパス特性更新部110に保持している推定エコーパス特性に基づき、推定エコーパス特性を更新し、更新したエコーパス特性をエコーパス特性更新部110に保持する。
推定エコー信号計算部111は、遠端信号の振幅スペクトルと推定エコーパス特性とを乗じて推定エコー信号の振幅スペクトルを算出し、算出した推定エコー信号の振幅スペクトルを出力する。
推定エコー信号保持部112は、推定エコー信号の振幅スペクトルを所定時間保持し、フレーム遅延量推定部115でフレーム遅延量を推定するために過去の推定エコー信号を複数フレーム出力する。さらに、推定エコー信号保持部112は、後述するフレーム遅延量推定部115で求まったフレーム遅延量だけ遅延させた推定エコー信号を出力する。
近端信号周波数領域変換部113は、例えば、高速フーリエ変換等により、近端入力信号を周波数領域の信号に変換し、近端入力信号の周波数スペクトルを出力する。
近端入力信号振幅スペクトル計算部114は、近端入力信号の周波数スペクトルに基づいて、近端入力信号の振幅スペクトルを算出し、算出した近端入力信号の振幅スペクトルを出力する。
フレーム遅延量推定部115は、過去の複数フレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、過去の複数フレームの近端入力信号の振幅スペクトルでフレーム遅延量を推定し、推定した遅延量を出力する。
推定エコー信号遅延部116は、フレーム遅延量を用いて推定エコー信号保持部112から当該フレーム遅延量だけ遅延させたフレームの推定エコー信号の振幅スペクトルを読み出し、遅延推定エコー信号の振幅スペクトルとして出力する。
エコーサプレスゲイン計算部117は、近端入力信号の振幅スペクトルと遅延推定エコー信号の振幅スペクトルとを用いて、近端入力信号に重畳されている音響エコー信号を抑圧するエコーサプレスゲインを算出し、算出したエコーサプレスゲインを出力する。
エコーサプレス部118は、エコーサプレスゲインと近端入力信号の周波数スペクトルを乗じることにより、近端入力信号に重畳されている音響エコー信号が抑圧した周波数スペクトルを求め、近端出力信号の周波数スペクトルとして出力する。
近端出力信号時間領域変換部119は、近端出力信号の周波数スペクトルを、例えば、逆高速フーリエ変換(InverseFFT)等により、時間領域のデジタル音信号に変換し、近端出力信号として出力する。
遠端信号保持部121は、遠端信号の振幅スペクトルを推定エコー信号保持部112と同じ所定時間保持する。そして、遠端信号保持部121は、推定したフレーム遅延量だけ遅延させた遠端信号の振幅スペクトルを出力する。
近端出力信号振幅スペクトル計算部122は、近端出力信号の周波数スペクトルに基づいて、近端出力信号の振幅スペクトルを算出し、算出した近端出力信号の振幅スペクトルを出力する。
シングルトーク判定部123は、近端入力信号の振幅スペクトルと近端出力信号の振幅スペクトル等を用いてシングルトークかシングルトーク以外かを判定を行い、シングルトーク判定結果を出力する。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係るエコーサプレス装置100におけるエコー抑圧処理及び遅延量推定処理の動作を詳細に説明する。
(A−2−1)エコー抑圧処理
まず、エコー抑圧装置100の動作開始後、例えば、インターネットプロトコル(IP)網等のネットワークや、携帯電話等の無線ネットワークの電波等に接続されている回線を介して、遠端側の遠端信号が遠端信号入力端子101に入力される。
遠端信号入力端子101に入力された遠端信号は、出力バッファ102において一時保持され、DA変換器103の処理準備ができ次第、DA変換器103に遠端信号を出力される。DA変換器103において、遠端信号はデジタル音信号からアナログ音信号に変換され、スピーカ104を通して近端側に出力される。
一方、近端側の話者が発した音声等の音信号や、環境音、音響エコー信号(例えば、スピーカ104から出力されたアナログ音信号が近端側の空間を伝達して回り込んだ信号)等が重畳したアナログ音信号は、マイク105において受音され、AD変換器105おいてデジタル音信号に変換される。デジタル音信号は、入力バッファ107おいて一時保持され、エコー抑圧装置100の準備ができ次第、デジタル音信号が近端入力信号としてエコー抑圧装置100に入力される。
遠端信号周波数領域変換部108では、例えば、高速フーリエ変換(FFT)等により、遠端信号を周波数領域の信号に変換し、変換された遠端信号の周波数スペクトルROUT(i,ω)を遠端信号振幅スペクトル計算部109に出力する。
遠端信号振幅スペクトル計算部109では、周波数スペクトルROUT(i,ω)を用いて、(1)式に従い、遠端信号の振幅スペクトル|ROUT(i,ω)|が求められる。
Figure 0006432384
ここで、iはフレーム、ωは周波数ビン、ROUT_real(i,ω)とROUT_image(i,ω)は、フレームiにおける周波数ビンωの遠端信号の周波数スペクトルの実数部と虚数部を示しており、遠端信号の周波数スペクトルR0UT(i,ω)は、(2)式で表すことができる。
Figure 0006432384
(2)式のjは虚数を表している。そして、遠端信号振幅スペクトル計算部109により求められた遠端信号の周波数スペクトル|ROUT(i,ω)|は、推定エコー信号計算部111、遠端信号保持部121に出力する。
エコーパス特性更新部110は、保持している前フレームに推定したエコーパス特性|H(i−1,ω)|を推定エコー信号計算部111に出力する。
推定エコー信号計算部111では、保持しているエコーパス特性|H(i−1,ω)|と、遠端信号の振幅スペクトル|ROUT(i,ω)|とを用いて、(3)式により、推定エコー信号の振幅スペクトル|ECHO(i,ω)|が求められる。
Figure 0006432384
(3)式は遠端信号の振幅スペクトル|ROUT(i,ω)|に、エコーパス保持部110に保持しているエコーパス特性|H(i−1,ω)|の対応する周波数ビンを乗じて、当該周波数ビンの推定エコー信号の振幅スペクトル|ECHO(i,ω)|を求める。そして、推定エコー信号計算部109により求められた推定エコー信号の振幅スペクトル|ECHO(i,ω)|を推定エコー信号保持部112に出力する。
推定エコー信号保持部112では、推定エコー信号計算部111から出力された推定エコー信号の振幅スペクトル|ECHO(i,ω)|が書き込まれる。
Figure 0006432384
書込みが完了すればフレーム遅延量推定部115に推定エコー信号保持部112が保持している過去の推定エコー信号の振幅スペクトルを複数フレーム出力する。
一方、近端入力信号周波数領域変換部113では、入力バッファ107から出力されたデジタル音信号を近端入力信号として、例えば、高速フーリエ変換(FFT)等により、近端入力信号を周波数領域の信号に変換する。変換された近端入力信号の周波数スペクトルSIN(i,ω)は、近端入力信号振幅スペクトル計算部114及びエコーサプレス部118に出力される。
近端入力信号振幅スペクトル計算部114は、近端入力信号の周波数スペクトルSIN(i,ω)を用いて、(5)式に従い、近端入力信号の振幅スペクトル|SIN(i,ω)|を求める。
Figure 0006432384
ここで、SIN_rea1(i,ω)とSIN_image(i,ω)は、フレームiにおける周波数ビンωの近端入力信号の周波数スペクトルの実数部と虚数部を示しており、近端入力信号の周波数スペクトルSIN(i,ω)は、式(6)で表すことができる。
Figure 0006432384
(6)式のjは虚数を表している。そして、近端入力信号振幅スペクトル計算部114により求められた近端入力信号の振幅スペクトル|SIN(i,ω)|は、フレーム遅延量推定部115、エコーサプレスゲイン計算部117、シングルトーク判定部123、及びエコーパス特性更新部110に出力される。
フレーム遅延量推定部115は、過去の複数フレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、過去の複数フレームの近端入力信号の振幅スペクトルでフレーム遅延量delay(i)を推定し、推定したフレーム遅延量delay(i)を推定エコー信号遅延部116、及び遠端信号保持部121に出力する。
推定エコー信号補正部116では、フレーム遅延量delay(i)を用いて、推定エコー信号保持部112に保持されている過去の推定エコー信号の振幅スペクトルを当該フレーム遅延量だけ遅延させたフレームを読出し、遅延した推定エコー信号とする。この遅延した推定エコー信号は、(7−A)式で表すことができる。
Figure 0006432384
遅延した推定エコー信号の振幅スペクトル|ECHO_De1ay(i、ω)|をエコーサプレスゲイン計算部117に出力する。
エコーサプレスゲイン計算部117では、近端入力信号の振幅スペクトル|SIN(i,ω)|と、遅延した推定エコー信号の振幅スペクトル|ECHO_De1ay(i、ω)|とを取得して、式(7−B)を用いて、エコーサプレスゲインG(i,ω)を求める。
Figure 0006432384
(7−B)式は、周波数ビン毎に近端入力信号の振幅スペクトル|SIN(i,ω)|から、遅延した推定エコー信号の振幅スペクトル|ECHO_De1ay(i,ω)|を差し引いた振幅スペクトルを、近端入力信号の振幅スペクトル|SIN(i,ω)|で除することで、エコーサプレスゲインG(i,ω)を求めている。エコーサプレスゲイン計算部117により求められたエコーサプレスゲインG(i,ω)は、エコーサプレス部118に出力する。
エコーサプレス部118では、近端入力信号のスペクトルSIN(i,ω)とエコーサプレスゲインG(i,ω)とを用いて、(8)式、(9)式に従い、近端入力信号のスペクトルSIN(i,ω)に重畳されている音響エコー信号を抑圧する。
Figure 0006432384
ここで、SOUT_real(i,ω)とSOUT_image(i,ω)は、フレームiにおける周波数ビンωの近端出力信号の周波数スペクトルの実数部と虚数部を示しており、近端出力信号の周波数スペクトルSOUT(i,ω)は、(10)式で表すことができる。
Figure 0006432384
(10)式のjは虚数を表している。(8)式と(9)式では、周波数スペクトルの実数部、虚数部にエコーサプレスゲインG(i,ω)を周波数ビン毎に乗じて、音響エコー信号を抑圧した近端出力信号の周波数スペクトルを求める。そして、エコーサプレス部118により求められた音響エコー信号が抑圧された近端出力信号の周波数スペクトルSOUT(i,ω)を近端出力信号時間領域変換部119、及び近端出力信号振幅スペクトル計算部122に出力する。
近端出力信号時間領域変換部119では、近端出力信号のスペクトルSOUT(i,ω)を、例えば逆高速フーリエ変換(InverseFFT)等により、時間領域のデジタル音信号に変換し、近端出力信号を近端信号出力端子120に出力する。
近端信号出力端子120は、例えば、インターネットプロトコル(IP)網等のネットワークや、携帯電話等の無線ネットワークの電波等に接続されており、近端出力信号を接続されている回線を介して通話相手である遠端側に出力する。
遠端信号保持部121は、遠端信号振幅スペクトル計算部109から出力された遠端信号の振幅スペクトル|RIN(i,ω)|を、推定エコー信号保持部112と同じ書込みフレームに書込む。
Figure 0006432384
そして、遠端信号保持部121は、(12)式に従って、フレーム遅延量delay(i)だけ遅延させた遠端信号の振幅スペクトル|ROUT_De1ay(i,ω)|をエコーパス特性更新部110に出力する。
Figure 0006432384
近端出力信号振幅スペクトル計算部122では、近端出力信号の周波数スペクトルSOUT(i,ω)を用いて、(13)式に従い、近端出力信号の振幅スペクトル|SOUT(i,ω)|が求められる。
Figure 0006432384
そして、近端出力信号振幅スペクトル計算部122により求められた近端入力信号の振幅スペクトル|SOUT(i,ω)|は、シングルトーク判定部123に出力される。
シングルトーク判定部123では、近端入力信号がシングルトークか又はシングルトーク以外かを、近端入力信号の振幅スペクトルと近端出力信号の振幅スペクトルとを用いて判定する。シングルトークか又はシングルトーク以外かを判定する手法は、例えば、(14)式に従い、判定する手法がある。
Figure 0006432384
(14)式の Fsはサンプリング周波数、TH1は閾値である。つまり、(14)式の条件が真のときはシングルトークと判定し、偽のときはシングルトーク以外として判定する。閾値TH1は、(14)式の場合、シングルトーク時は(14)式の左辺が小さい値になるので、小さい固定値(例えばTH1=0.3等)やフレームで変化する変数などにしても良い。なお、シングルトークか又はシングルトーク以外かの判定の手段は、種々の方法を広く適用することができ、例えば、推定したフレーム遅延量だけ遅延させた遠端信号の振幅スペクトルと、近端信号の振幅スペクトルとの相関を求め、その相関値が高いときはシングルトークとする方法で判定しても良い。シングルトーク判定部123は、シングルトーク判定結果をエコーパス特性更新部110に出力する。
エコーパス特性更新部110では、シングルトーク判定部123でシングルトークと判定されたフレームで(15)式に従い、現フレームの推定エコーパス特性|H1(i,ω)|を遠端信号保持部121からの遅延させた遠端信号の振幅スペクトル|RIN_De1ay(i,ω)|と、近端出力信号振幅スペクトル計算部114からの近端出力信号の振幅スペクトル|SIN(i,ω)|を用いて求める。
Figure 0006432384
現フレームのエコーパス特性|H1(i,ω)|が求まれば、エコーパス特性更新部110に保持されている1フレーム前の推定エコーパス特性|H(i−1,ω)|を読み出し、|H(i−1,ω)|と、|H1(i,ω)|とを用いてエコーパス特性を更新する。具体的には、エコーパス特性更新部110は、(16)式に従って、エコーパス特性|H(i,ω)|を更新する。
Figure 0006432384
(16)式において、aは時定数フィルタの係数であり、aは、0以上1より小さい値であって、エコーパス特性の更新を遅くしたい場合、aは1に近い値が望ましく(例えばa=0.99等の値)、更新を早くしたい場合、aは0に近い値が望ましい(例えばa=0.01等の値)。更新した推定エコーパス特性はエコーパス特性更新部110に保持される。
(A−2−2)フレーム遅延量推定処理
次に、第1の実施形態に係るフレーム遅延量推定部115におけるフレーム遅延量推定処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、第1の実施形態に係るエコー抑圧装置100のフレーム遅延量推定部115の処理フローを示す処理フロー図である。
図2において、本発明のエコー抑圧装置100のフレーム遅延量推定部115は、フレーム誤差計算201、フレーム遅延量候補計算202、フレーム遅延量推定203を行う。
フレーム誤差計算201では、近端入力信号の振幅スペクトルと過去の複数の推定エコー信号の振幅スペクトルとの誤差をフレーム毎に計算し、フレーム毎の誤差を出力する。
フレーム遅延量候補値計算202では、フレーム毎の誤差から、フレーム遅延量の候補値を計算して出力する。
フレーム遅延量推定203では、入力されたフレーム遅延量の候補値から推定エコー信号遅延部と遠端信号保持部121で使用するフレーム遅延量を推定し、推定したフレーム遅延量を出力する。
(A−2−3)フレーム遅延量推定の詳細な処理
フレーム誤差計算201において、フレーム遅延量推定部115は、推定エコー信号保持部112から出力される過去の推定エコー信号の振幅スペクトルの複数フレームECHO_Buffer(n−k,ω)と近端入力信号の振幅スペクトル|SIN(i,ω)|とのフレーム誤差Error(k)がフレーム毎に(17)式に従い求められる。
Figure 0006432384
Fsはサンプリング周波数、Nは探索フレーム数である。そして、計算されたフレーム誤差Error(k)をフレーム遅延量候補値計算202に出力される。
フレーム遅延量候補値計算202では、フレーム誤差計算201で求められたフレーム誤差Error(k)に基づきフレーム遅延量の候補値が計算される。フレーム遅延量の候補値の計算手法は、例えば、(18)式と(19)式に従って、フレーム誤差Error(k)が最小になるフレーム遅延量と、2番目に最小になるフレーム遅延量の候補値とする。
Figure 0006432384
(18)式と(19)式のargmin(x(k))という関数は、x(k)が最小になる引数を出力する関数であり、(18)式はフレーム誤差Error(k)が最小になるフレーム遅延量を出力し、delayl(i)に代入するという式であり、(19)式はフレーム誤差Error(k)が2番目に小さくになるフレーム遅延量を出力し、delay2(i)に代入するという式である。なお、フレーム遅延量の候補値計算の手法は、種々の方法を広く適用することができ、例えば、現フレームまでのフレーム遅延量の候補値の平均値を計算し、フレーム誤差Error(k)が小さく平均値に近い値をフレーム遅延量の候補値とする方法でも良い。フレーム遅延量候補値計算202では、計算したフレーム遅延量の候補値delay1(i)、delay2(i)をフレーム遅延量推定203に出力する。
フレーム遅延量推定203では、フレーム遅延量の候補値から推定エコー信号の算出やエコーパス特性の算出に使用するフレーム遅延量を推定し出力する。
図4は、第1の実施形態に係るフレーム遅延量を推定する方法を説明する説明図である。フレーム遅延量の推定方法は、図4に示すようにフレーム遅延量の候補値であるフレームからLフレーム過去のフレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、Lフレーム過去のフレームの近端入力信号の振幅スペクトルとのフレーム誤差を、(20)式と(21)式に従い求める。
Figure 0006432384
(20)式と(21)式は、フレーム遅延量の候補値からLフレーム過去のフレームのフレーム誤差を計算するという式である。図4において、フレーム誤差が最小となるフレーム遅延量の候補値(図4では遅延量候補値1と表記)と、2番目にフレーム誤差が小さくなるフレーム遅延量の候補値(図4では遅延量候補値2と表記)としている。
この場合、フレーム遅延量候補値1のフレームからLフレーム過去のフレーム(実線部分)の推定エコー信号の振幅スペクトルと、現フレームからLフレーム過去のフレームの近端入力信号の振幅スペクトルとのフレーム誤差Error1を計算する。同様に、遅延量候補値2のフレームからLフレーム過去フレーム(実線部分)の推定エコー信号の振幅スペクトルと、現フレームからLフレーム過去のフレームの近端入力信号の振幅スペクトルとの誤差を計算する。
ここで、Lは、例えば、約1音素分の長さが望ましい。つまり、フレーム遅延量の候補値のフレームからLフレーム離れたフレーム(換言すると、非連続のフレーム)である。これは、フレーム遅延量の候補値から所定長(例えば1音素分の長さ程度)離れたフレームの振幅スペクトルの誤差を見ることでフレーム遅延量を精度良く推定することができるからである。
遅延量候補値1のフレームからLフレーム過去のフレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと現フレームからLフレーム過去のフレームの近端入力信号の振幅スペクトルとのフレーム誤差Error1と、遅延量候補値2のフレームからLフレーム過去のフレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと現フレームからLフレーム過去のフレームの近端入力信号の振幅スペクトルとのフレーム誤差Error2とを用いて、(22)式でフレーム遅延量を決定する。
Figure 0006432384
(22)式は、Error1と、Error2とを比較し、Error1<Erorr2の場合、遅延量候補値1をフレーム遅延量として決定し、そうでない場合、遅延量候補値2をフレーム遅延量として決定する。これは、Lフレームだけ過去のフレームの近端入力信号の振幅スペクトルと推定エコー信号の振幅スペクトルとの誤差を求めることで、より高い確度でフレーム遅延量の候補値を決定し、精度の高いフレーム遅延量を決定している。
そして、フレーム遅延量推定部203は、決定したフレーム遅延量を推定エコー信号遅延部116と遠端信号保持部121に出力する。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、パルス音や報知音などの音を出力しなくてもフレーム遅延量を推定でき、音響エコー信号を抑圧することができ、エコー抑圧性能を維持する。
(B)第2の実施形態
次に、本発明に係るエコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム及びエコー抑圧方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態では、フレーム遅延量推定部115の処理が、第1の実施形態に係るエコー抑圧装置100と異なるのみであり、それ以外の構成要素は第1の実施形態に係る図1のエコー抑圧装置100の構成要素と同一又は対応するものである。
(B−2)第2の実施形態の動作
(B−2−1)フレーム遅延量推定処理
第2の実施形態のフレーム遅延量推定部の処理フローを、図面を参照しながら詳細に説明する。
図3は、第2の実施形態に係るエコー抑圧装置200のフレーム遅延量推定部115の処理フローを示す処理フロー図である。
図3において、第2の実施形態に係るエコー抑圧装置200のフレーム遅延量推定部115は、フレーム誤差計算201、フレーム遅延量候補計算202、フレーム遅延量推定判定301、フレーム遅延量推定203、フレーム遅延量決定302を行う。
フレーム遅延量推定判定301は、入力されたフレーム遅延量の候補値からフレーム遅延量を推定するかしないかを判定する。
フレーム遅延量決定302は、フレーム遅延量推定判定301による結果に基づいて、推定しないと判定すると近端入力信号の振幅スペクトルと当該フレーム遅延量の候補値のフレーム誤差に基づいてフレーム遅延量の候補値から推定エコー信号の算出やエコーパス特性の算出に使用するフレーム遅延量を決定し、決定したフレーム遅延量を出力する。
(B−2−2)フレーム遅延量推定処理の詳細な動作
フレーム遅延量推定判定301では、入力されたフレーム遅延量の候補値からフレーム遅延量を推定するかしないかを判定する。フレーム遅延量を推定するかしないかを判定する手法は、例えば、(21)式に従い、判定する。
Figure 0006432384
(23)式のTH2は閾値である。(23)式の条件が真のとき、フレーム遅延量の候補値が近い値であることを意味しているので、フレーム遅延量の推定は行わないと判定する。一方、(23)式の条件が偽のとき、フレーム遅延量の候補値がまったく異なる値であることを意味しているので、どちらを用いるかフレーム遅延量を推定する必要があると判定する。閾値TH2は固定閾値(例えばTH2=5やTH2=Lなど)としても良く、変動閾値(例えば、現フレームまでの推定したフレーム遅延量の推定値の平均値)としても良い。なお、フレーム遅延量を推定するかしないかを判定の手段は、種々の方法を広く適用することができ、例えば、現フレームまで推定したフレーム遅延量の平均値を求め、その平均値にフレーム遅延量の候補値が近いかどうかを判定し、両方とも近い値になったときはフレーム遅延量を推定しないと判定し、どちらか一方、または両方ともまったく異なる値になったときはフレーム遅延量を推定する方法で判定しでも良い。そして、フレーム遅延量推定判定301は判定結果に基づいてフレーム遅延量推定203かフレーム遅延量決定302を行う。
フレーム遅延量決定302は、フレーム遅延量推定判定301でフレーム遅延量を推定しないと判定されると、フレーム遅延量の候補値から推定エコー信号の算出やエコーパス特性の算出に使用するフレーム遅延量を決定し出力する。フレーム遅延量を決定する手法は、例えば、フレーム誤差計算部201で算出した当該フレーム遅延量の候補値のフレーム誤差に基づいて(24)式に従い決定する手法がある。
Figure 0006432384
(22)式は、当該フレーム遅延量の候補値の誤差が小さいフレーム遅延量を推定エコー信号遅延部と遠端信号保持部121で使用するフレーム遅延量とするという式である。フレーム遅延量推定判定301でフレーム遅延量を推定しないと判定されるということは、当該フレーム遅延量の候補値の誤差が小さい値になっているということなので、フレーム誤差Error(k)が小さいほうをフレーム遅延量としている。なお、フレーム遅延量を決定する手法は、種々の方法を広く適用することができ、例えば,当該フレーム遅延量の候補値の平均値を計算しフレーム遅延量とする方法で判定しでも良い。そして、フレーム遅延量決定302は、決定したフレーム遅延量を推定エコー信号遅延部116と遠端信号保持部121に出力する。
フレーム遅延量推定203は、フレーム遅延量推定判定301でフレーム遅延量を推定すると判定されると、第1の実施形態と同様にフレーム遅延量の候補値から推定エコー信号の算出やエコーパス特性の算出に使用するフレーム遅延量を推定し出力する。
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、パルス音や報知音などの音を出力しなくてもフレーム遅延量を推定でき、フレーム遅延量の候補値が大きく異なっているときにのみ、フレーム遅延量を推定し、音響エコー信号を抑圧することができ、エコー抑圧性能を維持する。
(C)第3の実施形態
次に、本発明に係るエコー抑圧装置、エコー抑圧プログラム、及びエコー抑圧方法の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態では、フレーム遅延量推定部115のフレーム遅延量推定203が、第1及び第2の実施形態に係るエコー抑圧装置100及び200と異なるのみであり、それ以外の構成要素は、第1及び第2の実施形態に係る図1のエコー抑圧装置100及び200の構成要素と同一又は対応するものである。
(C−2)第3の実施形態の動作
(C−2−1)フレーム遅延量推定処理
第3の実施形態のフレーム遅延量推定部115の処理フローを、図面を参照しながら詳細に説明する。
図5は、第3の実施形態に係るエコー抑圧装置300のフレーム遅延量推定部115のフレーム処理量推定を示す図である。
図5において、本発明のエコー抑圧装置300のフレーム遅延量推定部115のフレーム遅延量推定は、フレーム遅延量の候補値から過去の複数フレームの推定エコー信号と過去の複数フレームの近端入力信号を用いて入力されたフレーム遅延量の候補値からフレーム遅延量を推定し、推定したフレーム遅延量を出力する。
(C−2−2)フレーム遅延量推定処理の詳細な動作
フレーム遅延量推定203は、フレーム遅延量の候補値から推定エコー信号の算出やエコーパス特性の算出に使用するフレーム遅延量を推定し出力する。推定方法は、図5に示すようにフレーム遅延量の候補値であるフレームからLmフレーム過去のフレームの推定エコー信号と過去の近端入力信号の振幅スペクトルとのフレーム誤差を式(25)と(26)に従い求める。
Figure 0006432384
(25)式と(26)式はフレーム遅延量の候補値からLmフレーム過去のフレームのフレーム誤差を計算するという式である。Lmは、例えば、約m音素分の長さ(すなわち、Lm=m×L)が望ましい。フレーム遅延量の候補値であるフレームからLmフレーム過去のフレーム誤差Error1(m)とError2(m)を用いて、例えば(27)式でフレーム遅延量を決定する。
Figure 0006432384
(27)式はフレーム遅延量の候補値のうちフレーム誤差Error1(m)とError2(m)の合計値が小さいほうをフレーム遅延量として使用するという式である。なお、フレーム遅延量の推定の手法は、種々の方法を広く適用することができ、例えば、フレーム誤差Error1(m)とError2(m)を1≦m≦Mで比較し、小さい回数が多かったほうをフレーム遅延量とするとする方法で判定しでも良い。そして、フレーム遅延量推定部203は、決定したフレーム遅延量を推定エコー信号遅延部116と遠端信号保持部121に出力する。
(C−3)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、パルス音や報知音などの音を出力しなくてもフレーム遅延量を推定でき、複数のフレームでフレーム遅延量を推定することで、音響エコー信号を抑圧することができ、エコー抑圧性能を維持する。
(D)他の実施形態
上述した各実施形態においても、種々の変形実施形態を説明したが、本発明は以下の変形実施形態についても適用することができる。
(D−1)上述した各実施形態で説明したエコー抑圧装置は、例えば、テレビ会議システムや電話会議システム等に用いられる音声通信装置を含む装置に搭載されるようにしても良い。また、携帯電話機やスマートフォン等の携帯端末に本発明のエコー抑圧装置は搭載されるようにしても良い。
(D−2)上述した第1の実施形態では、フレーム遅延量推定部115が、候補値のフレームからLフレーム過去のフレームの、推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとの誤差を求めて、フレーム遅延量を決定する場合を例示した。しかし、近端入力信号を一時的に保持することができるのであれば、候補値のフレームからLフレーム未来のフレームの、推定エコー信号の振幅スペクトルと、現フレームからLフレーム未来のフレームの近端入力信号の振幅スペクトルとの誤差に基づいて、フレーム遅延量を決定するようにしてもよい。
(D−3)上述した第1〜第3の実施形態では、候補値のフレームからLフレーム過去のフレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとの誤差を、所定の演算式を用いて求めて、候補値を決定してフレーム遅延量を求める場合を例示した。しかし、候補値のフレームからLフレーム過去のフレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、現フレームの近端入力信号の振幅スペクトルとの相関を求めて遅延量の候補値を決定するようにしても良い。
(D−4)上述した第1〜第3の実施形態では、候補値のフレームからLフレーム過去のフレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとの誤差を求めるようにしたが、近端入力信号を一時的に保持することができるのであれば、候補値のフレームからLフレーム未来のフレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、現フレームからLフレーム未来のフレームの近端入力信号の振幅スペクトルとの誤差を求めるようにしても良い。
100…エコー抑圧装置、101…遠端信号入力端子、102…出力バッファ103…DA変換器、104…スピーカ、105…マイク、106…AD変換器、107…入力バッファ、108…遠端信号周波数領域変換算部、109…遠端信号振幅スペクトル計算部、110…エコーパス特性更新部、111…推定エコー信号計算部、112…推定エコー信号保持部、113…近端入力信号周波数領域変換部、114…近端入力信号振幅スペクトル計算部、115フレーム遅延量推定部、116推定エコー信号遅延部、117…エコーサプレスゲイン計算部、118…エコーサプレス部、119…近端出力信号時間領域変換部、120…近端信号出力端子、121…遠端信号保持部、122…近端出力信号振幅スペクトル計算部、123…シングルトーク判定部、201…フレーム誤差計算、202…フレーム遅延量候補値計算、203…フレーム遅延量推定、301…フレーム遅延量推定判定、302…フレーム遅延量決定部、400…エコーキャンセラ、401…スピーカ、402…マイク、403…適応フィルタ部、404…エコー抑圧処理部、405…遅延量推定部、406…遅延処理部。

Claims (5)

  1. 近端入力信号と遠端信号に基づく音響エコー信号を抑圧するエコー抑圧装置において、
    過去の複数フレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとに基づいてフレーム誤差を計算するフレーム誤差計算手段と、
    上記フレーム誤差計算手段で計算したフレーム毎の誤差に基づいて、1又は複数のフレーム遅延量の候補値を計算するフレーム遅延量候補値計算手段と、
    上記フレーム遅延量候補値計算手段で判定された上記各フレーム遅延量の候補値に基づいて、上記遅延量候補値から所定フレーム離れたフレームの推定エコー信号と現フレームから所定フレーム離れたフレームの近端入力信号とを用いて、フレーム遅延量を推定して出力するフレーム遅延量推定手段と
    を有することを特徴とするエコー抑圧装置。
  2. 上記フレーム遅延量推定手段が、上記各フレーム遅延量の候補値を用いて、フレーム遅延量を推定するか推定しないかを判定し、フレーム遅延量を推定しないと判定されたとき上記フレーム遅延量の候補値のうち上記フレーム誤差計算手段で計算したフ上記フレーム誤差が小さいほうをフレーム遅延量として決定して出力し、フレーム遅延量を推定する判定されたとき上記フレーム遅延量候補値計算手段でフレーム遅延量の候補値を用いてフレーム遅延量を推定して出力することを特徴とする請求項1に記載のエコー抑圧装置。
  3. 上記フレーム遅延量推定手段が、フレーム遅延量を推定するとき上記フレーム遅延量候補値計算手段によるフレーム遅延量の候補値に基づいて、過去又は未来の複数フレームの推定エコー信号と、過去又は未来の複数フレームの近端入力信号とを用いてフレーム遅延量を推定して出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のエコー抑圧装置。
  4. 近端入力信号から遠端出力信号に基づく音響エコー信号を抑圧するエコー抑圧プログラムにおいて、
    コンピュータを、
    過去の複数フレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとに基づいてフレーム誤差を計算するフレーム誤差計算手段と、
    上記フレーム誤差計算手段で計算したフレーム毎の誤差に基づいて、1又は複数のフレーム遅延量の候補値を計算するフレーム遅延量候補値計算手段と、
    上記フレーム遅延量候補値計算手段で判定された上記各フレーム遅延量の候補値に基づいて、上記遅延量候補値から所定フレーム離れたフレームの推定エコー信号と現フレームから所定フレーム離れたフレームの近端入力信号とを用いて、フレーム遅延量を推定して出力するフレーム遅延量推定手段と
    して機能させることを特徴とするエコー抑圧プログラム。
  5. 近端入力信号から遠端出力信号に基づく音響エコー信号を抑圧するエコー抑圧方法において、
    フレーム誤差計算手段、フレーム遅延量候補値計算手段、及びフレーム遅延量推定手段を有し、
    上記フレーム誤差計算手段は、過去の複数フレームの推定エコー信号の振幅スペクトルと、近端入力信号の振幅スペクトルとに基づいてフレーム誤差を計算し、
    上記フレーム遅延量候補値計算手段は、上記フレーム誤差計算手段で計算したフレーム毎の誤差に基づいて、1又は複数のフレーム遅延量の候補値を計算し、
    上記フレーム遅延量推定手段は、上記フレーム遅延量候補値計算手段で判定された上記各フレーム遅延量の候補値に基づいて、上記遅延量候補値から所定フレーム離れたフレームの推定エコー信号と現フレームから所定フレーム離れたフレームの近端入力信号とを用いて、フレーム遅延量を推定して出力する
    ことを特徴とするエコー抑圧方法。
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