JP5167871B2 - 伝搬遅延時間推定器、プログラム及び方法、並びにエコーキャンセラ - Google Patents

伝搬遅延時間推定器、プログラム及び方法、並びにエコーキャンセラ Download PDF

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Description

本発明は、伝搬遅延時間推定器、方法及びプログラム、並びに、エコーキャンセラに関し、例えば、回線エコーを消去するエコーキャンセラに適用し得る。
エコー発生点までの往復伝搬遅延時間(以下、単に「伝搬遅延時間」ともいう)が大きな回線エコーキャンセラの配備例を、図6に示す。なお、図6においては、2線伝送路401、402、403、404を便宜上1本の線で描いている。
伝送路401は、電話機408に対向する図示しない対向側の電話機から送信されてくる音声信号x(n)の伝搬経路であり、回線エコーキャンセラ405並びに中継網406を介して2線/4線変換器407に接続されている。音声信号x(n)は、2線/4線変換器407を介して電話機408に到達し、また、これと同時に、2線/4線変換器407でのインピーダンス不整合のため、その一部が反射し、信号y(n)として2線伝送路403及び中継網406を介して、回線エコーキャンセラ405に与えられる。このエコー信号y(n)は、回線エコーキャンセラ405で消去されるが、一般には、完全消去することは不可能なので残留エコー信号e(n)が2線伝送路404を介して、対向側の電話機に戻っていく。
次に、回線エコーキャンセラ405で一般的に実用されている代表的なエコー消去アルゴリズムである学習同定法について説明する。なお、これ以降、特に断らない限り、信号は、ある標本化レートで量子化された離散値系信号と見なし、時間は標本化周期を1単位時間とする離散時間nで表記することとする。
エコー消去アルゴリズムにおいて、回線エコーキャンセラ405から見た電話機408側のエコー経路を線形シフト不変システムと見なし、具体的には、N次の有限インパルス応答型フィルタと見なす。当該フィルタのタップ係数をh(k)、また、回線エコーキャンセラ405が推定する当該フィルタの時刻nの時点でのタップ係数をg(k)、回線エコーキャンセラ405が推定するエコー信号をy’(n)と表すと、当該アルゴリズムは(1)式で表すことができる。
Figure 0005167871
(1)式において、μはg(k)の収束速度を決定するパラメータであり、通常、0<μ<2の範囲に設定される。
次に、回線エコーキャンセラ405とエコー発生点である2線/4線変換器407との間の往復伝搬距離は長く、また、中継網406の内部に配置されている各種ネットワーク装置による処理遅延により、回線エコーキャンセラ405と2線/4線変換器407との間の往復伝搬遅延時間Trtは十分に大きいものとする。ここで、Trtは、離散時間換算でNDLY単位時間に相当するものとし、この遅延をz関数による伝達関数HDLY(z)で表すと、(2)式に示すようになる。
また、2線/4線変換器407を有限インパルス応答型フィルタと見なしたときのフィルタ次数をNHYB、当該フィルタのタップ係数をh(0)、h(1)、…、h(NHYB)とし、当該フィルタのz関数による伝達関数をHHYB(z)で表すと、(3)式に示すようになる。
Figure 0005167871
従って、このときのエコー経路のz関数による伝達関数をHEP(z)と表すと、(4)式に示すようになる。(4)式で表されるエコー経路の伝達関数の入出力信号をそれぞれx(n),y(n)とし、これらのz変換をX(z)、Y(z)とすると、(5)式に示す関係が成立する。(5)式において、z−NDLYX(z)は時間領域において、入力信号x(n)をNDLY単位時間だけ遅延させることを意味する。実際、(5)式を逆z変換により時間領域に変換すると(6)式を得る。
Figure 0005167871
図7は、HEP(z)を逆z変換した離散時間領域の信号hEP(n)の具体例について示した説明図である。
EP(n)の時間的な振る舞いは上述した説明に従っており、(7)式で表される。
Figure 0005167871
ここで、(1)式に従ってエコー推定を実施する回線エコーキャンセラ405の推定器のフィルタ次数Nとし、NDLY、NHYBとの関係を(8)式のように想定し、(6)式で表されるエコー信号y(n)と(1)式で表せるエコー推定信号y’(n)とを、(9)式に示すように比較する。
Figure 0005167871
(9)式において、推定エコー信号y’(n)の右辺のx(n)の係数g(k)は、学習によりエコー信号y(n)の右辺のx(n)の係数h(k)に(10)式に示すように収束する。
Figure 0005167871
(10)式は、次のことを示唆している。仮に、前もって、エコー経路の伝搬遅延時間が判明しているならば、回線エコーキャンセラ405はフィルタ係数g(0)〜g(NDLY−1)の算出を省略できると同時にg(0)〜g(NDLY−1)を格納するメモリ領域も節約することができる。実際のところ、2線/4線変換器407のインパルス応答時間は、非特許文献1による実測結果によると16msec以内となることが判明しているに対して、エコー経路の伝搬遅延時間はネットワークトポロジー、並びに、通信事業者の設備運用方針に依存することとなり、前もって知ることは不可能である。従って、この場合、エコー経路の遅延を推定できる機能を回線エコーキャンセラに具備することが望ましい。これにより、回線エコーキャンセラのエコー推定に関する処理量の低減を可能とし、とりわけ、通信事業者向けVoIP(Voice over IP)ゲートウェイ装置のように多数の音声呼を収容する装置にとっては大きなメリットとなる。
[従来技術による伝搬遅延時間推定]
従来の、エコー経路の遅延時間を推定する方法としては以下のようなものがある。
第1の従来方法は、特許文献1などに開示されているものであり、この方法は音声パケットの中に時刻情報を付加し、これにより、伝搬遅延時間を算出するものである。この方法について、IP(Internet Protocol)においては、非特許文献2によってさらに汎用的に往復伝搬遅延時間を算出するメカニズムが規定されている。これにより、回線エコーキャンセラに伝搬遅延時間推定器を具備しなくても良いことになる。
第2の従来方法は、特許文献2、特許文献3、特許文献4などに開示されているものであり、伝搬遅延時間推定専用の機能を具備することなく、通常のエコー推定処理を実施する。つまり、エコー経路を線形シフト不変システムと見なし、上述した学習同定法などのアルゴリズムを利用してエコー経路の伝達関数を推定し、具体的には(10)式に示す伝達関数の推定係数g(k)を算出し、例えば、0≦k≦dの範囲でg(k)≒0に収束するならば、このdをエコー経路の伝搬遅延時間と見なす。純粋遅延と見なされた推定係数はエコー推定処理から排除することで、エコーキャンセラの処理量の低減を図るものである。
第3の従来方法は、特許文献5、特許文献6に開示されているものであり、エコーキャンセラが電話機側に送信する音声信号と電話機側から反射されて戻ってくるエコー信号の相互相関を取り伝搬遅延時間を決定するものである。
特開2001−333000号公報 特開平9−55687号公報 特表2001−501413号公報 特開平7−283859号公報 特開平7−303061号公報 特表2005−528039号公報 ITU−T勧告G.168 Appendix II IETF RFC 3550,RTP/RTCP
エコー経路の伝搬遅延時間の推定においては、例えば、ダブルトーク状態など、誤った時間を推定結果としてしまう誤動作が起きる可能性のある要因がある。一方、従来の方法(特許文献1〜6参照)においては、近端信号と遠端信号の電力値を監視することにより、ダブルトーク状態発生による誤動作を防止しているが、例えば、電力値を監視するだけでは検出できないダブルトーク状態が発生した場合や、他の誤動作の要因が発生した場合には、それによる誤動作を防止できないという問題があった。
本発明は、以上の点に鑑みなされたものであり、伝搬遅延時間の推定において、誤った時間を推定結果としてしまう頻度を低減することを目的としている。
第1の本発明の伝搬遅延時間推定器は、(1)当初は同一信号であった第1の離散的時間信号と、第2の離散的時間信号との時間差である伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延時間推定器において、(2)一定時間内における、上記第1の離散的時間信号と、上記第2の離散的時間信号との相関度合いが最も大きくなる相関最大時間差を算出する時間差算出手段と、(3)上記相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性を判定する有意性判定手段と、()上記時間差算出手段が、過去に算出した相関最大時間差の履歴を利用して、上記時間差算出手段が最新に算出した相関値最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有するか否かを判定する統計的信頼性判定手段と、()上記有意性判定手段により有意と判定され、さらに、上記統計的信頼性判定手段により統計的信頼性を有すると判定された、相関値最大時間差だけを上記伝搬遅延時間とみなす伝搬遅延時間判定手段とを有し、(6)上記統計的信頼性判定手段は、直近に上記有意性判定手段から出力された複数の相関最大時間差のそれぞれについて、当該相関最大時間差の直前に上記優位性判定手段から出力された直前相関最大時間差との関係が一致であるか不一致であるかを求め、一致の出現回数が不一致の出現回数よりも第1の回数多い場合、又は、第2の回数連続して一致が出現する場合に、上記有意性判定手段から最新に出力された相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有すると判定することを特徴とする。
第2の本発明の伝搬遅延時間推定プログラムは、(1)当初は同一信号であった第1の離散的時間信号と、第2の離散的時間信号との時間差である伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延時間推定器に搭載されたコンピュータを、(2)一定時間内における、上記第1の離散的時間信号と、上記第2の離散的時間信号との相関度合いが最も大きくなる相関最大時間差を算出する時間差算出手段と、(3)上記相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性を判定する有意性判定手段と、(4)上記時間差算出手段が、過去に算出した相関最大時間差の履歴を利用して、上記時間差算出手段が最新に算出した相関値最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有するか否かを判定する統計的信頼性判定手段と、(5)上記有意性判定手段により有意と判定され、さらに、上記統計的信頼性判定手段により統計的信頼性を有すると判定された、相関値最大時間差だけを上記伝搬遅延時間とみなす伝搬遅延時間判定手段として機能させ、(6)上記統計的信頼性判定手段は、直近に上記有意性判定手段から出力された複数の相関最大時間差のそれぞれについて、当該相関最大時間差の直前に上記優位性判定手段から出力された直前相関最大時間差との関係が一致であるか不一致であるかを求め、一致の出現回数が不一致の出現回数よりも第1の回数多い場合、又は、第2の回数連続して一致が出現する場合に、上記有意性判定手段から最新に出力された相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有すると判定ることを特徴とする。
第3の本発明の伝搬遅延時間推定方法は、(1)当初は同一信号であった第1の離散的時間信号と、第2の離散的時間信号との時間差である伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延時間推定方法において、(2)時間差算出手段、有意性判定手段、統計的信頼性判定手段、伝搬遅延時間判定手段を有し、(3)上記時間差算出手段は、一定時間内における、上記第1の離散的時間信号と、上記第2の離散的時間信号との相関度合いが最も大きくなる相関最大時間差を算出し、(4)上記有意性判定手段は、上記相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性を判定し、(5)上記統計的信頼性判定手段は、上記時間差算出手段が、過去に算出した相関最大時間差の履歴を利用して、上記時間差算出手段が最新に算出した相関値最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有するか否かを判定し、(6)上記伝搬遅延時間判定手段は、上記有意性判定手段により有意と判定され、さらに、上記統計的信頼性判定手段により統計的信頼性を有すると判定された、相関値最大時間差だけを上記伝搬遅延時間とみなし、(7)上記統計的信頼性判定手段は、直近に上記有意性判定手段から出力された複数の相関最大時間差のそれぞれについて、当該相関最大時間差の直前に上記優位性判定手段から出力された直前相関最大時間差との関係が一致であるか不一致であるかを求め、一致の出現回数が不一致の出現回数よりも第1の回数多い場合、又は、第2の回数連続して一致が出現する場合に、上記有意性判定手段から最新に出力された相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有すると判定することを特徴とする。
第4の本発明のエコーキャンセラは、(1)第1の本発明の伝搬遅延時間推定器を搭載し、(2)上記伝搬遅延時間推定器を用いて、エコー経路に送出する信号とエコーとの時間差である伝搬遅延時間を推定し、推定した伝搬遅延時間を利用して、エコーを消去することを特徴とする。
本発明によれば、伝搬遅延時間の推定において、誤った時間を推定結果としてしまう頻度を低減することができる。
(A)第1の実施形態
以下、本発明による伝搬遅延時間推定器、プログラム及び方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)第1の実施形態の構成
以下では、第1の実施形態の伝搬遅延時間推定器が、回線エコーキャンセラと関連して電話通信システムに設けられているものとして説明する。
図1は、第1の実施形態の伝搬遅延時間推定器の詳細構成及び電話通信システムにおける位置づけを示すブロック図である。図1において、実施形態に係る電話通信システム1は、伝搬遅延時間推定器10、エコーキャンセラ11及び擬似遅延器12を有している。
なお、以降の説明において、図1において図示は省略しているが、エコー経路13に接続されている電話端末の話者を、「近端話者」という。これに対して、同様に図1において図示は省略しているが、近端話者の対向者を「遠端話者」というものとする。また、2線伝送路14を介してエコー経路13に送出される信号を「遠端信号」ともいう。
回線エコーキャンセラ11は、遠端信号が2線伝送路14を介してエコー経路13に送出され、エコー経路13において反射され、2線伝送路15を介してもどってきたエコーを除去するものである。回線エコーキャンセラ11は、後述する擬似遅延器12を介して与えられた遠端信号に基づいて、適応フィルタなどを用いて擬似エコーを生成し、生成した擬似エコーを用いてエコーを除去する。
伝搬遅延時間推定器10は、遠端信号が、2線伝送路14を介してエコー経路13に送出され、エコーが反射されて、2線伝送路15を介して戻ってきた場合の時間差、すなわち、エコー経路13の往復伝搬遅延時間を推定する。そして、伝搬遅延時間推定器10は、推定した伝搬遅延時間に係る情報を、後述する擬似遅延器12に通知する。
伝搬遅延時間推定器10は、復号化器111、112、絶対値化器121、122、低域ろ波器131、132、高域ろ波器141、142、間引器151、152、一時記憶部161、162、相関器170、有意性判定器180、判定保護器190を有している。また、伝搬遅延時間推定器10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、ハードディスクなどのプログラムの実行構成(1台に限定されず、複数台を分散処理し得るようにしたものであっても良い。)に、実施形態の伝搬遅延時間推定プログラム等をインストールすることにより構築しても良く、その場合でも機能的には図1により示すことができる。また、伝搬遅延時間推定器10は、全ての構成要素をハードウェアにより実現しても良いし、一部の構成要素を上述のようにプログラム(ソフトウェア)を用いて実現するようにしても良い。
次に、復号化器111、112について説明する。復号化器111は、2線伝送路14を介して与えられる遠端信号を、ディジタル信号処理において頻繁に実施されることになる加減乗除演算に適用可能な線形符号に変換し、変換したものを絶対値化器121に与えるものである。復号化器112は、2線伝送路15を介して与えられるエコーを、復号化器111と同様に、線形符号に変換し、変換したものを絶対値化器122に与えるものである。
既存電話網では音声信号を伝送する際には、ITU−T勧告G.711に準拠したPCM(パルス符号変調)符号で伝送することが一般的である。復号化器111、112は、この符号化された音声信号を加減乗除演算が可能な線形符号、例えば、2の補数の固定小数点などに変換するものである。復号化器111、112における復号化処理としては、例えばITU−T勧告G.711のPCM符号は8ビット符号程度であるので、256ワードの変換テーブル、すなわち、変換ROMを用意し、PCM符号をアドレスとし、当該アドレスに線形符号を格納しておくことで、復号化処理は、単なる変換ROMのリードだけで完了することとなる。復号化アルゴリズムに従って計算して求めても良いが、今日のハードウェアの集積技術およびゲートあたりのコストからすれば、変換ROMを用意するほうが、低コストであると考えられる。
また、復号化器111、112は、ITU−T勧告G.711以外の符号化の場合は、復号化処理は当該符号化で規定されているアルゴリズムに準拠した処理を実施しても良い。
次に、絶対値化器121、122について説明する。絶対値化器121、122は、復号化器111、112から与えられた信号を絶対値化、すなわち、与えられた信号が負数のときに限り、大きさが等しく符号を反転させた正数に変換し、与えられた信号が正数の場合には特に変換は行わない。そして、絶対値化器121、122は、絶対値化した信号を、低域ろ波器131、132に与える。
第1の実施形態では、遠端信号の包絡線信号と、エコー経路13から、反射されて戻ってくるエコーの包絡線信号の相互相関を、後述する相関器171により取ることで往復伝搬遅延時間を算出する。音声信号の包絡線の簡易な算出法としては、音声信号の局所的極大値を抽出してこれらを接続することで得られる。これは、音声信号の絶対値を取り、低域ろ波器を通すことで実現されるものであるため、伝搬遅延時間推定器10では、包絡線を抽出するために絶対値化器121、122と、後述する低域ろ波器131、132を備えている。
次に、低域ろ波器131、132について説明する。低域ろ波器131、132は、絶対値化器121、122から与えられた絶対値化された信号について、信号の高域周波数成分を遮断し、高域ろ波器141、142に与える。
低域ろ波器131、132は、予め設定された遮断周波数よりも低い信号は通過させ、当該周波数よりも高い信号は遮断する。上述した絶対値化器121、122と共に包絡線信号を抽出するために具備されているものである。
次に、高域ろ波器141、142について説明する。高域ろ波器141、142は、絶対値化器121、122で重畳された直流成分を除去するために、予め設定された遮断周波数よりも高い信号は通過させ、当該周波数よりも低い信号は遮断する。低域ろ波器131、132から、高域ろ波器141、142に与えられる包絡線信号には、絶対値化器121、122での絶対値化に伴い直流分が重畳されているため、これを除去するものである。後述する相関器170では正規化相互相関係数を算出しており、相関器170における計算では、入力信号には直流成分が重畳されていないことを前提としているため、高域ろ波器141、142により直流成分を除去する。
次に、間引器151、152について説明する。間引器151、152は、高域ろ波器141、142から与えられた信号の一部を間引きし、標本化周波数(標本化速度)を低下させた信号を生成して、一時記憶部161、162に与える。
包絡線信号は元の信号と比較して、高域周波数成分が除去されているため、標本化周波数が実効的に低くなっており、間引器151、152により、幾つかの標本毎に1つの標本に間引くことができる。一般的に、音声の包絡線信号の帯域は100Hz程度であり、実効的な標本化周波数は低減しているので,複数の包絡線信号を1つの包絡線信号に間引くことが可能となる。例えば、電話の音声信号の標本化周波数は一般的に8kHz程度であり、包絡線信号の実効標本化周波数を最大200Hzと想定すると,40個の包絡線信号を1つの包絡線信号に間引くことが可能となる。
次に、一時記憶部161、162について説明する。一時記憶部161、162は、間引器151、152から与えられた信号に係る情報を、一定時間記憶し、記憶した情報(信号)を、それぞれ相関器170に与える。
次に、相関器170について説明する。相関器170は、一時記憶部161に一定時間記憶されている、エコーの包絡線信号と、一時記憶部162に一定時間記憶されている、遠端信号の包絡線信号の相互相関係数を、時間差を変数にして算出し、算出した結果を有意性判定器180に与えるものである。なお、相互相関係数を最大とするときの時間差が、伝搬遅延時間推定器10から見たときのエコー経路13の往復伝搬遅延時間に相当することになる。
なお、以降の説明においては、一時記憶部162に記憶されているエコーの包絡線信号を、「X(n)」と表すものとする。又、一時記憶部161記憶されている遠端信号の包絡線信号を、「Y(n)」と表すものとする。そして、X(n)とY(n−k)の類似度を表す正規化相互相関係数Corr(n,k)は、以下の(11)式で定義される。なお、kはX(n)とY(n)の時間差を表す変数であり、0≦k<Mとする。Mは、Corr(n,k)を算出する際のX(n)とY(n−k)の参照区間である。
Figure 0005167871
次に、上記の(11)式の定性的な意味について説明する。時刻nを固定するとき、Nサンプルで構成される信号X(n−i)、0≦i<NとY(n−k−i)、0≦i<Nの類似度を算出している。そして、その探索範囲は、0≦k<Mとしている。すなわち、現時刻nにおいてM個の正規化相互相関係数Corr(n,0)、Corr(n,1)、Corr(n,0)、…、Corr(n,M−1)が得られるので,その中からCorr(n,k)の絶対値|Corr(n,k)|が最も大きくなるときのkをkmaxとすると、X(n−i)、0≦i<Nに対して最も類似度が高い信号は、Y(n−kmax−i)、0≦i<Nである。以上の手順を、時刻nが更新されるごとに繰り返す。
又、上記の(11)式を、演算量を低減するように変更して、相関器170に適用しても良い。まず、上記の(11)式において平方根演算を省略することが可能である。例えば、上記の(11)式の両辺を自乗すると以下の(12)式が得られる。
Figure 0005167871
そして、上記の(12)式において、正規化相互相関係数Corr(n,k)の最大値を探索するに際しては、Corr(n,k)は、Corr(n,k)で代用可能である。なお、正規化相互相関係数は−1から1までの範囲の値を取り得るが、音声信号の包絡線の相互相関においては相関係数が負値となる場合は類似性がないと見なす必要があるので、上記の(12)式において分子を自乗する前に分子の値が負値ならCorr(n,k)の最大値探索の候補から排除されなければならない。言い換えると、上記の(12)式の分子の相関演算である以下の(13)式の結果を自乗する前に、その極性をチェックし、負値であるならば、分母の計算、すなわち正規化処理はスキップし、最大値探索候補から排除すればよいことになる。もしくは、上記の(12)式の分子の相関演算である、以下の(13)式の結果が負値の場合、このときのCorr(n,k)を強制的に零としても良い。
Figure 0005167871
次に、上記の(12)式の分母に現れる自乗和の演算を高速化する例について説明する。上記(12)式のうち、以下の(14)式で示される部分は、nが更新される毎に自乗和をN回繰り返さなくても、例えば、SUM=SUM+X(n)−X(n−(N−1))という2回の自乗和に置換することができる。ここで、変数SUMは零で初期化されており、X(n)ならびにX(n)の過去の値を一定時間保持している一時記憶部161も零で初期化されているものとする。また、上記(12)式のうち、以下の(15)式で示される部分についても同様にして演算量の低減が可能である。
Figure 0005167871
他には、上記(12)式の分子の相関演算である、上記の(13)式で示される部分を高速フーリエ変換を利用して高速化を図る手法を適用しても良いが、例えば、相関演算の参照区間を250ms、包絡線信号の実効標本化速度を200Hzとした場合、N=50となり、この程度のデータ標本数では高速フーリエ変換を利用するメリットは少ないが、Nが大きな値になるほど有用と考えられる。
そして、相関器170は、時間nが更新される毎に、上記の(12)式を0≦k<Mについて演算し、M個のCorr(n,k)を有意性判定器180に与える。
次に、有意性判定器180について説明する。有意性判定器180は、相互相関係数の大きさや被測定信号の電力などを監視し、相関器170の出力が有意であるか否かを判定している。
有意性判定器180は、相関器170から相関演算の結果が与えられると、その相関演算の有意性を判定するものである。相関演算の有意性を低下させる要因には、以下の第1〜第5の要因が想定される。有意性判定器180は、以下の第1〜第5の要因に係る有意性検査の全部に合格したときに、相関器170による演算結果を有意とみなし、このときのエコー経路13の往復伝搬遅延時間に対応するk_maxを判定保護器190に与える。また、有意性判定器180は、以下の第1〜第5の要因に係る有意性検査以外に他の検査を行うようにしても良い。なお、第1の実施形態では、有意性判定器180は、第1〜第5の要因に係る有意性検査の全部に合格したときに、相関器170による演算結果を有意とみなすものとするが、以下の第1〜第5の要因に係る有意性検査の一部に合格したときに演算結果を有意とみなすようにしても良い。
有意性判定器180において判定される第1の要因としては、近端話者の音声包絡線信号電力(近端信号の包絡線信号電力)がある。図1の2線伝送路15を介して伝搬遅延時間推定器10に入力される近端話者の音声包絡線信号の電力、すなわち、上記の(12)式のうち、上記の(14)式で表される部分の値が閾値よりも小さいときは、近端話者包絡線信号の信号対雑音比(SN比)が悪くなり、相関器170の演算結果の信頼性が劣化するので、このときの演算結果は無効化される必要がある。
有意性判定器180において判定される第2の要因としては、遠端話者の音声包絡線信号電力(遠端信号の包絡線信号電力)がある。図1の2線伝送路14を介して伝搬遅延時間推定器10に入力される遠端話者の音声包絡線信号の電力つまり、上記の(12)式のうち、上記の(15)式で表される部分の値が閾値よりも小さいときは、遠端話者包絡線信号の信号対雑音比(SN比)が悪くなり、相関器170の演算結果の信頼性が劣化するので、このときの演算結果は無効化される必要がある。
有意性判定器180において判定される第3の要因としては、ダブルトーク状態がある。
ダブルトーク状態とは、遠端話者と近端話者が同時に話中状態にあることをいう。当然のことながら、この場合、エコー経路13の遅延時間を算出するための相関演算は意味をなさないので、相関器170の演算結果は無効化される必要がある。ダブルトーク状態の検出は、上述の近端話者包絡線信号電力(上記の(12)式のうち、上記の(14)式で表される部分の値)と、遠端話者包絡線信号電力(上記の(12)式のうち、上記の(15)式で表される部分の値)との比率に適当な閾値を設けて判定するようにしても良い。例えば、ITU−T勧告G.168ではエコー経路のエコー反射減衰量は6db以上であることを想定しているので、音声の包絡線信号にもこの関係が適用できると想定すると、この場合以下の(16)式が成立するならば、ダブルトーク状態とみなすことができる。なお、この間値として実際に採用する値に関しては、各通信事業者が加入者回路で規定しているエコー反射減衰量に応じた値に設定しても良い。
Figure 0005167871
有意性判定器180において判定される第4の要因としては、相互相関係数値がある。
相関器170は時間nが更新される毎に,上記の(12)式を0≦k<Mについて演算し、M個のCorr(n,k)を、有意性判定器180に与える。この中からCorr(n,k)を最大化するkの値をk_maxとすると、k_maxが求めようとしている遅延時間に相当する。ただし、Corr(n,k_max)が闇値を超過していないときは、相関性が不十分とみなして相関器170の演算結果は廃棄しても良い。
有意性判定器180において判定される第5の要因としては、包絡線信号の周期性がある。音声信号の包絡線に繰り返し波形が現れると、上記の(12)式で演算されるM個の相互相関係数Corr(n,k)、0≦k<Mも同一の繰り返し周期で高い相関係数値を複数持つことになり、遅延時間を算出する観点からは有意性が無いと見なさなければならない。これを検出するには、例えば、以下の(17)式を計算し、この値がある閾値よりも大きいとき有意性があると見なしても良い。
Figure 0005167871
次に、判定保護器190の詳細について説明する。電話網の回線エコーキヤンセラに採用される伝搬遅延時間推定器は、通信中の遠端信号を試験信号として用いて遅延時間を推定しなければならない。このため、話者信号自身の非定常性、話者周辺の環境騒音、ダブルトークなどの影響により、上述した有意性判定器180だけでは完璧な有意性判定を下すことは不可能である。このため、伝搬遅延時間推定器10では、判定保護器190を設けて、有意性判定器180から与えられたk_maxの統計的信頼性の評価を行う。判定保護器190では、実用的で簡易な統計的信頼性評価として、例えば、多数決論理を適用しても良い。
図2は、判定保護器190において、統計的信頼性の評価を多数決論理に基づいて行う場合の第1の方式、及び、第2の方式の状態遷移について示した説明図である。
図2(a)は、判定保護器190において、統計的信頼性の評価を多数決論理に基づいて行う第1の方式における状態遷移の例について示した説明図である。
図2(a)の状態遷移図において、まず最初に、各種変数を初期化した後に、有意性判定器180から遅延時間k_maxが報告されるのを待つ(S100)。そして、有意性判定器180からk_maxが報告されると、これを変数Delayに格納し、次の報告を待つ(S101)。
上述のステップS101の状態において、有意性判定器180からk_maxが報告されると、Delayとk_maxの値を比較し、同一なら次のステップ(後述するステップS102)に遷移する。なお、図2(a)では、Delay=k_maxが成立し、次のステップへ進む場合には「Yes」と表記している。
上述のステップS101の状態において、有意性判定器180から報告されたk_maxとDelayの値が異なっているときは、一つ前のステップ(上述のステップS100)に戻って動作する。なお、図2(a)では、Delay=k_maxが成立せず、一つ前のステップへ戻る場合には「No」と表記している。
以下同様に処理を進めていき、ステップSm(「m1」は、予め設定された所定の値)に到達した時点で、統計的信頼性は得られたと想定し、擬似遅延器12にエコー経路までの推定伝搬遅延時間を報告すると同時に、上述のステップS100に戻って動作し、以後、上述した処理を繰り返す。
図2(b)は、判定保護器190において、統計的信頼性の評価を多数決論理に基づいて行う第2の方式における状態遷移の例について示した説明図である。
図2(b)において、判定保護器190は、まず各種変数を初期化した後に、有意性判定器180から遅延時間k_maxが報告されるのを待つ(S200)。そして、有意性判定器180からk_maxが報告されるとこれを変数Delayに格納し、次の報告を待つ(S201)。
上述のステップS201の状態において、有意性判定器180からk_maxが報告されると、Delayとk_maxの値を比較し、同−なら次のステップ(後述するステップS202)に遷移する。なお、図2(b)では、Delay=k_maxが成立し、次のステップへ進む場合には「Yes」と表記している。
上述のステップS201の状態において、有意性判定器180から報告されたk_maxとDelayの値が異なっているときは、最初のステップ(上述のステップS200)に戻って動作する。なお、図2(b)では、Delay=k_maxが成立せず、一つ前のステップへ戻る場合には「No」と表記している。
以下同様に処理を進めていき、ステップSm(「m2」は、予め設定された所定の値)に到達した時点で、統計的信頼性は得られたと想定し、擬似遅延器12にエコー経路までの推定伝搬遅延時間を報告すると同時に、上述のステップS200から動作し、以後、上述した処理を繰り返す。
なお、上述の図2(a)及び、図2(b)において示した2種類の保護論理において、Yesの条件は、Delay=k_max、すなわち、Delayと今回報告されたk_maxが同一であることにしたが、同一でない場合でも、差異が閾値以下であれば同一とみなすようにしてもよい。例えば、実際の遅延時間が、k_maxと、k_maxに1を加算した値(k_max+1)の中間の値であるときは、有意性判定器180が、判定保護器190に報告する推定遅延時間はk_maxの値とk_max+1の値が、例えば50%の頻度で現われる可能性がある。この場合、Yesの条件をDelay≦k_max≦Delay+1としてもよい。
次に、擬似遅延器12について説明する。擬似遅延器12は、2線伝送路14を介してエコー経路13に送出されてから、エコー経路13を経由して、2線伝送路15を介して回線エコーキャンセラ11に戻ってくるまでに要する往復伝搬遅延時間に相当する遅延時間を遠端信号に与えたあとで、その信号を回線エコーキャンセラ11に提供するものである。
擬似遅延器12は、既存のシフトレジスタを用いて実現してもよいし、汎用メモリ空間上に循環キューを作成して論理シフトレジスタにより実現してもよい。擬似遅延器12において設定される遅延量は、伝搬遅延時間推定器10から与えられる推定値に従うものとする。ただし、伝搬遅延時間推定器10の推定値には時間分解能、すなわち、包絡線信号の標本化間隔に相当する誤差を含むので、当該擬似遅延器で作成する遅延時間は、伝搬遅延時間推定器10が報告する値よりも少なくとも1単位時間分解能だけ短い遅延時間に設定するようにしても良い。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する、第1の実施形態の伝搬遅延時間推定器の動作(第1の実施形態の伝搬遅延時間推定方法)及び第1の実施形態に係る電話通信システムの全体の動作を説明する。
まず、復号化器111に2線伝送路14を介して、遠端信号が与えられると、加減乗除演算に適用可能な線形符号に変換され、変換されたものを絶対値化器121に与える。一方、絶対値化器122には、2線伝送路15を介してエコーが与えられ、エコーは同様に線形符号に変換され、絶対値化器122に与えられる。
復号化器111、112から変換された信号が与えられると、絶対値化器121、122では、その信号が絶対値化され、低域ろ波器131、132に与えられる。
次に、絶対値化器121から絶対値化された信号が与えられると、低域ろ波器131、132では、与えられ信号の高域周波数成分が遮断され、高域ろ波器141、142に与えられる。
低域ろ波器131、132から、低域周波数成分が遮断された信号が、高域ろ波器141、142に与えられると、低域周波数成分が遮断されることにより、絶対値化器121、122で重畳された直流成分が除去され、間引器151、152に与えられる。
高域ろ波器141、142から、直流成分が除去された信号が与えられると、間引器151、152では、その与えられた信号の一部が間引きされ、標本化周波数が低下さされた信号が生成され、一時記憶部161、162に与えられる。
間引器151、152から標本化周波数が低下さされた信号が与えられると、一時記憶部161、162では、その信号に係る情報が、一定時間記憶され、記憶された情報(信号)が相関器170に与えられる。
一時記憶部161、162に記憶された情報(信号)が、相関器170に与えられると、一時記憶部161から与えられたエコーの包絡線信号と、一時記憶部162から与えられた遠端信号の包絡線信号の相互相関係数が、時間差を変数にして算出され、算出された相互相関係数がそれぞれ有意性判定器180に与えられる。
相関器170において算出された相互相関係数が、有意性判定器180に与えられると、有意性判定器180では、相互相関係数が最大となるときの時間差(k_max)について、有意性の検査が上述の第1〜第5の要因について行われ、有意と判定されたk_maxのみが、判定保護器190に与えられる。
有意性判定器180からk_maxが与えられると、判定保護器190では、そのk_maxの統計的信頼性の評価が上述の図2に示す多数決論理に基づいて行われ、統計的信頼性を有すると判定された場合のみ、そのk_maxが、擬似遅延器12に通知される。
そして、擬似遅延器12では、伝搬遅延時間推定器10(判定保護器190)から報告されたk_maxにより示される時間に相当する遅延時間が遠端信号に与えられ、その信号が回線エコーキャンセラ11に提供される。そして、回線エコーキャンセラ11では、擬似遅延器12を介して与えられた遠端信号に基づいて、適応フィルタなどを用いて擬似エコーが生成され、生成された擬似エコーを用いてエコーが除去される。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態では、音声信号からその振る舞いが元の音声信号に対して緩慢な包路線信号を抽出し、間引器151、152により信号を間引きすることで、標本化速度を包路線信号を抽出する前の信号よりも低減することができ、エコー経路の往復伝搬遅延時間推定に要する相関演算の処理量とメモリ容量を、低減することができる。例えば、標本化周波数が8kHzの電話の音声信号の包絡線信号の実効標本化周波数を、最大200Hzと想定すると、40個の包絡線信号を1つの包絡線信号に間引くことが可能となる。このように、第1の実施形態では、音声信号から包絡線信号を抽出し間引くことにより、標本化速度を音声信号の数十分の1程度に低減し、エコー経路の往復伝搬遅延時間推定に要する相関演算の処理量とメモリ容量を音声信号自身を使用して実施する場合と比較して、数十分の1程度に低減することができる。
また、相関器170では、音声信号の包絡線の相互相関演算に基づいた遅延時間推定を実施しているが、包絡線信号はその振る舞いが音声信号自身と比較して緩慢であり、可聴な環境雑音の影響を受けにくいという効果を奏することができる。
さらに、相関器170における相互相関演算には正規化相互相関演算を採用しているので、相似波形の相関性を正確に評価でき、エコー経路のエコー反射減衰量の影響を受けないという効果を奏することができる。
さらにまた、相関器170では、正規化相互相関係数の自乗を算出すること、すなわち、上記の(12)式を適用することによる平方根演算の回避により、演算量の低減をすることができる。また、相関器170では、上記の(12)式の分母に現れる自乗和の演算において、ある演算区間の自乗和演算を、当該演算区間に入ってくるデータの自乗の加算と出ていくデータの自乗の減算とすること、言い換えると、例えば、上述のSUM=SUM+X(n)−X(n−(N−1))を適用することによりnが更新される毎に自乗和をN回繰り返さなくてもよくなるため、演算量の低減をすることができる。
また、有意性判定器180では、上述第1〜第5の要因に係る有意性検査の全部又は一部に合格したときに、相関器170による演算結果を有意とみなし、このときのエコー経路13の往復伝搬遅延時間に対応するk_maxを判定保護器190に与えているため、誤動作により、誤った時間を遅延時間として推定する頻度の低減を図ることができる。例えば、近端話者包絡線電力と遠端話者包絡線電力を監視することで、遠端話者のみが話中状態にあり、かつ、そのエコーが戻ってきているときのみ相関演算を有意とみなすことがきる。また、近端話者包絡線電力と遠端話者包絡線電力を監視するだけではその検出が不完全となるダブルトーク状態での誤動作を回避するため、正規化相互相関係数に閥値を設け、当該聞値を超過する相関係数のみを有意とみなしている。さらに、値の大きな相互相関係数の乱立を検出し、乱立を検出した際には相関演算結果を無効化することで、例えば、音声包絡線信号への空調設備などの低周波雑音の重畳に対する誤動作を防止している。
さらに、有意性判定器180による短時間的な有意性評価だけでは防御しきれない誤動作に対して、判定保護器190において、有意性評価に長時間的な多数決論理の保護をとることで、推定結果の信頼性を高めている。
さらにまた、伝搬遅延時間推定器10では、エコー経路までの往復伝搬遅延時間の推定を通話中も実施することで、転送サービスなどのように、通話中にエコー経路が別の特性のエコー経路に切り替わっても、新しいエコー経路までの往復伝搬遅延時間の推定を可能とし、擬似遅延器での遅延量を再設定することで、回線エコーキヤンセラでのエコー消去動作を維持可能とし、その結果、通話品質の劣化を最小化することができる。
(B)第2の実施形態
以下、本発明による伝搬遅延時間推定器、プログラム及び方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(B−1)第2の実施形態の構成
図3は、第2の実施形態の伝搬遅延時間推定器の詳細構成及び電話通信システムにおける位置づけを示すブロック図であり、上述した図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。図3において、実施形態に係る電話通信システム1Aは、伝搬遅延時間推定器10A、回線エコーキャンセラ11A及び擬似遅延器12を有している。以下、第2の実施形態の構成について第1の実施形態との差異について説明する。
擬似遅延器12については、上述の図1に示す第1の実施形態のものと同様であるので詳しい説明を省略する。
伝搬遅延時間推定器10Aは、上述の図1に示す伝搬遅延時間推定器10のうち、有意性判定器180が、有意性判定器180Aに置き換わっている点以外は、同様のものであるので詳しい説明を省略する。
また、第2の実施形態では、図1に示す第1の実施形態における回線エコーキャンセラ11が、回線エコーキャンセラ11Aに置き換わっている。回線エコーキャンセラ11Aは、上述の図1に示す回線エコーキャンセラ11とほぼ同様のものであるので詳しい説明を省略するが、後述する有意性判定器180Aから与えられる、フィルタ係数の適応動作を行うか否かを制御する信号(以下、「適応on/off信号」という)に基づいて、回線エコーキャンセラ11Aが備える適応ディジタルフィルタにおけるフィルタ係数の更新を制御する点で異なっている。
有意性判定器180Aは、上述の図1に示す有意性判定器180と同様の方法により、相関器170から与えられる値の有意性を判定し、判定の結果有意性があると判定した場合には、相関器170に、適応動作を行う(On)旨の信号を、適応on/off信号として与え、有意性が無いと判定した場合には、適応動作を行わない(off)旨の信号を、適応on/off信号として与える。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する、第2の実施形態の伝搬遅延時間推定器の動作(第2の実施形態の伝搬遅延時間推定方法)及び第2の実施形態に係る電話通信システムの全体の動作を説明する。
伝搬遅延時間推定器10Aにおける復号化器111、112、絶対値化器121、122、低域ろ波器131、132、高域ろ波器141、142、間引器151、152、一時記憶部161、162、判定保護器190、及び擬似遅延器12の動作については第1の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
有意性判定器180Aにおいて、有意性有り/無しの判定結果に応じて、適応制御on/off信号が、回線エコーキャンセラ11Aに通知され、回線エコーキャンセラ11Aでは、適応制御on時のみ適応制御が行われる。なお、有意性判定器180A、回線エコーキャンセラ11Aにおけるその他の動作については、それぞれ第1の実施形態における、有意性判定器180、回線エコーキャンセラ11と同様であるので詳しい説明を省略する。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
回線エコーキヤンセラの適応制御は、遠端話者が通話中のみ実施されなければならない。このため、通常の適応エコーキヤンセラはダブルトーク制御と称して、遠端信号の電力と近端話者信号の電力を監視し、遠端話者のみが通話状態にあるときのみ、適応制御を実施するようになっているが、遠端信号と近端話者信号の電力監視だけでは完全なダブルトーク制御は不可能である。これは特に、近端話者の通話レベルが小さいときは、ダブルトーク制御回路はこの信号が遠端信号のエコーであるのか、それとも、近端話者信号であるのかどうか区別が困難となるからである。しかしながら、有意性判定器180Aでは、上述の第1〜第5の要因に係る有意性検査により、電力監視に基づいたダブルトーク状態監視以外に、遠端信号と近端話者信号と正規化相互相関係数の大きさ、ならびに、低周波雑音の混入も監視することにより、回線エコーキャンセラ11Aにおいて、ダブルトーク監視としての信頼性を向上させることができる。
また、有意性判定器180Aの判定結果である有意性有り/無しを、適応制御on/off信号として、回線エコーキャンセラ11Aに引き渡すことにより、回線エコーキャンセラ11Aでは、適応制御on時のみ適応制御すればよく、回線エコーキャンセラ11Aにおいて、ダブルトーク状態を検出する手段を省略することができる。
(C)第3の実施形態
以下、本発明による伝搬遅延時間推定器、プログラム及び方法の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(C−1)第3の実施形態の構成
図4は、第3の実施形態の伝搬遅延時間推定器の詳細構成及び電話通信システムにおける位置づけを示すブロック図であり、上述した図3との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。図4において、第3の実施形態に係る電話通信システム1Bは、伝搬遅延時間推定器10B、回線エコーキャンセラ11A及び擬似遅延器12を有している。以下、第3の実施形態の構成について第2の実施形態との差異について説明する。
回線エコーキャンセラ11A、擬似遅延器12については、上述の図3に示す第2の実施形態のものと同様であるので詳しい説明を省略する。
図4において、第3の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Bは、間引器151と一時記憶部161の間に2値符号化器201が挿入され、間引器152と一時記憶部162の間に2値符号化器202が挿入されている点において、図3に示す第2の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Aと異なっている。
また、図4に示す第3の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Bは、有意性判定器180A及び相関器170が、それぞれ有意性判定器180B及び相関器170Bに置き換わっている点において、図3に示す第2の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Aのでも異なっている。
次に、2値符号化器201、202の詳細について説明する。第2の実施形態では、間引器151、152において間引きされた信号は、そのまま一時記憶部161、162に与えられ、X(n)、Y(n)として記憶されていたが、第3の実施形態では、2値符号化器201、202により、X(n)、Y(n)が、それぞれ「+1」又は「−1」のいずれかの値(以下、「2値」という)に符号化されて、一時記憶部161、162に記憶される。
2値符号化器201、202は、離散値系の時間信号X(n)、Y(n)を、±1の2値に符号化し、その符号化した信号を、一時記憶部161、162に与える。なお、以降の説明において、2値符号化器201、202により、±1の2値に符号化された信号をそれぞれXsgn(n)、Ysgn(n)と表すものとする。また、X(n)とXsgn(n)の関係は以下の(18)式、Y(n)とYsgn(n)の関係は以下の(19)式により定義されるものとする。
Figure 0005167871
なお、伝搬遅延時間推定器10Bの動作開始直後にX(n)=0であるときは、X(n−1)とXsgn(n−1)がまだ存在していないので、Xsgn(n)の値は、+1、−1のどちらの値としても良い。これは、Ysgn(n)に関しても同様とする。
次に、相関器170Bの詳細について説明する。第2の実施形態の相関器170では、上記(11)、(12)式などにより正規化相互相関係数Corr(n,k)を求めていたが、第3の実施形態では、一時記憶部161、162から相関器170Bに与えられるのは、X(n)、Y(n)ではなく2値に符号化されたXsgn(n)、Ysgn(n)であるため、上記(11)、(12)式を変形して適用しても良い。なお、以降の説明において、Xsgn(n)、Ysgn(n)の正規相互相関係数は、Corrsgn(n,k)と表すものとする。
例えば、上記の(11)式を以下の(20)式のように変形して適用しても良い。また、以下の(20)式において、1/Nは定数であるため、実際の応用上で除算処理を行う意味はないため、以下の(20)式の両辺にNをかけて、以下の(21)を適用するようにしても良い。なお、以下の(20)式、(21)式において、0≦k<Mとし、kが更新されるごとにiは0≦i<Nの範囲で変動するものとする。
Figure 0005167871
次に、有意性判定器180Bの詳細について説明する。
第1の実施形態の有意性判定器180では、上述第1〜第5の要因に係る有意性検査のうち、第1の要因(近端話者の音声包絡線信号電力)、第2の要因(遠端話者の音声包絡線信号電力)、第3の要因(ダブルトーク)の3つの要因に係る有意性検査については、その判定に、一時記憶部161、162から与えられた信号の自乗和を判定に用いる電力として使用している。しかし、第3の実施形態の有意性判定器180Bでは、一時記憶部161、162には、2値符号(Xsgn(n)、Ysgn(n))が保持されているが、これを上述の第1〜第3の要因の判定に用いることは適切でないため、低域ろ波器131、132から出力される信号を用いるものとする。有意性判定器180Bは、その他の構成については、第1の実施形態の有意性判定器180と同様であるため詳しい説明を省略する。
また、有意性判定器180Bにおいて、上述の第1〜第3の要因の判定に用いる信号として、高域ろ波器141、142、又は、間引器151、152から出力される信号を用いても良い。
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する、第3の実施形態の伝搬遅延時間推定器10の動作(第3の実施形態の伝搬遅延時間推定方法)及び第3の実施形態に係る電話通信システムの全体の動作を説明する。
伝搬遅延時間推定器10Bにおける復号化器111、112、絶対値化器121、122、低域ろ波器131、132、高域ろ波器141、142、間引器151、152の動作については第2の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
間引器151、152から、一部が間引きされた信号が与えられると、2値符号化器201、202では、与えられた信号が2値に符号化されて、一時記憶部161、162に与えられる。
2値符号化器201、202から2値に符号化された信号が与えられると、一時記憶部161、162では、その信号に係る情報が、一定時間記憶され、記憶された情報(信号)が相関器170Bに与えられる。
一時記憶部161、162に記憶された情報(信号)が、相関器170Bに与えられると、一時記憶部161にから与えられたエコーの包絡線信号と、一時記憶部162から与えられた遠端信号の包絡線信号の相互相関係数が、上述の(21)式に基づいて、時間差を変数にして算出され、算出された相互相関係数がそれぞれ有意性判定器180Bに与えられる。
次に、相関器170Bにおいて算出された相互相関係数が、有意性判定器180Bに与えられると、有意性判定器180Bでは、第1の実施形態の有意性判定器180と同様に上述の相互相関係数が最大となるときの時間差(k_max)について、有意性の検査が、上述の第1〜第5の要因について行われるが、第1〜第3の3つの要因については、その判定に低域ろ波器131、132から出力される信号が用いられる。そして、有意性判定器180Bにおいて有意と判定されたk_maxのみが、判定保護器190に与えられる。
以降の伝搬遅延時間推定器10B、回線エコーキャンセラ11A、擬似遅延器12以降の動作については、第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第1の実施形態において正規化相互相関係数Corr(n,k)を求めるための上記の(12)式に必要な演算量と、第3の実施形態における正規相互相関係数N・Corrsgn(n,k)を求めるための上記の(21)式に必要な演算量とを比較すると、上記の(12)式では、包絡線信号をもとに相互相関係数を演算するのに対して、上記の(21)式では2値符号をもとに相互相関係数を求めるため、ダイナミックレンジを小さく取ることができ、第1の実施形態に比べて、ハードウェア規模/処理時間/消費電力を大幅に低減することができる。
また、第1の実施形態における上記の(12)式では、相互相関係数の演算1回につきN回の除算を実施するが、第3の実施形態の上記の(21)式では、除算を一切実施しないため、第1の実施形態に比べて、ハードウェア規模/処理時間/消費電力を大幅に低減することができる。
(D)第4の実施形態
以下、本発明による伝搬遅延時間推定器、プログラム及び方法の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(D−1)第4の実施形態の構成
図5は、第4の実施形態の伝搬遅延時間推定器の詳細構成及び電話通信システムにおける位置づけを示すブロック図であり、上述した図4との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。図5において、第4の実施形態に係る電話通信システム1Cは、伝搬遅延時間推定器10C、回線エコーキャンセラ11A及び擬似遅延器12を有している。以下、第4の実施形態の構成について第3の実施形態との差異について説明する。
回線エコーキャンセラ11A、擬似遅延器12については、上述の図4に示す第3の実施形態のものと同様であるので詳しい説明を省略する。
図5において、第4の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Cは、第3の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Bから、高域ろ波器141、142が省かれている。第4の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Cでは、図5に示すように、低域ろ波器131、132から出力された信号は、そのまま間引器151、152に与えられている。
また、図5に示す第4の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Cは、2値符号化器201、202、有意性判定器180Bが、それぞれ2値符号化器201C、202C、有意性判定器180Cに置き換わっている点において、図4に示す第3の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Bと異なっている。
次に、2値符号化器201C、202Cの詳細について説明する。第3の実施形態において、2値符号化器201、202は、間引器151、152から出力された包絡線信号の正負の極性を2値符号に変換していた。一方、第4の実施形態の2値符号化器201C、202Cは、間引器151、152から出力された包絡線の極性の代わりに、包絡線の微係数の極性を2値符号に変換する。微係数の算出は、包絡線の高域成分を算出することと同等であるため、包絡線の直流成分を除去する必要がなくなる。そのため、第4の実施形態では、第3の実施形態で、高域成分の除去に用いている高域ろ波器141、142を省略している。
2値符号化器201C、202Cは、離散値系の時間信号X(n)、Y(n)の微係数の極性を、±1の2値に符号化し、その符号化した信号を、一時記憶部161、162に与える。なお、以降の説明において、2値符号化器201、202により、2値に符号化された信号をそれぞれXdif(n)、Ydif(n)と表すものとする。また、X(n)とXdif(n)の関係は以下の(22)式、Y(n)とYdif(n)の関係は以下の(23)式により定義されるものとする。
Figure 0005167871
なお、伝搬遅延時間推定器10Cの動作開始直後にX(n)=0であるときは、X(n−1)とXdif(n−1)がまだ存在していないので、Xdif(n)の値は、+1、−1のどちらの値としても良い。これは、Ydif(n)に関しても同様とする。
次に、有意性判定器180Cの詳細について説明する。第3の実施形態の有意性判定器180Bでは、上述第1〜第5の要因に係る有意性検査のうち、第1〜第3の3つの要因に係る有意性検査については、その判定に、低域ろ波器131、132から与えられた信号の自乗和を判定に用いる電力として使用している。しかし、第4の実施形態の有意性判定器180Cでは、第1〜第3の3つの要因に係る有意性検査について、間引器151、152に記憶されている情報(信号)を用いるものとする。有意性判定器180Cは、その他の構成については、第3の実施形態の有意性判定器180Bと同様であるため詳しい説明を省略する。
なお、有意性判定器180Cにおいて、上述の第1〜第3の要因の判定に用いる信号として、低域ろ波器131、132から出力される信号を用いても良い。
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する、第4の実施形態の伝搬遅延時間推定器10の動作(第4の実施形態の伝搬遅延時間推定方法)及び第4の実施形態に係る電話通信システムの全体の動作を説明する。
伝搬遅延時間推定器10Cにおいて、復号化器111、112、絶対値化器121、122、低域ろ波器131、132の動作については第3の実施形態と同様であるので詳しい説明を省略する。
第4の実施形態では、高域ろ波器が省かれた構成となっているため、低域ろ波器131、132において、低域周波数成分が遮断された信号が、そのまま間引器151、152に与えられる。
低域ろ波器131、132から低域周波数成分が遮断された信号が与えられると、間引器151、152では、その信号の一部が間引きされて、標本化周波数が低下さされた信号が生成され、2値符号化器201C、202Cに与えられる。
間引器151、152から一部が間引きされた信号が与えられると、2値符号化器201C、202Cでは、その信号(包絡線)の微係数の極性に基づいて2値符号に変換され、一時記憶部161、162に与えられる。
2値符号化器201C、202Cから2値に符号化された信号が与えられると、一時記憶部161、162では、その信号に係る情報が、一定時間記憶され、記憶された情報(信号)が相関器170Bに与えられる。
一時記憶部161、162に記憶された情報(信号)が、相関器170Bに与えられると、第3の実施形態と同様に相互相関係数が時間差を変数にして算出され、算出された相互相関係数がそれぞれ有意性判定器180Cに与えられる。
相関器170Bにおいて算出された相互相関係数が、有意性判定器180Cに与えられると、有意性判定器180Cでは、第1の実施形態の有意性判定器180と同様に上述の相互相関係数が最大となるときの時間差(k_max)について、有意性の検査が、上述の第1〜第5の要因について行われるが、第1〜第3の3つの要因については、その判定に間引器151、152に記憶された情報(信号)が用いられる。そして、相関器170Cにおいて有意と判定されたk_maxのみが、判定保護器190に与えられる。
以降の伝搬遅延時間推定器10C、回線エコーキャンセラ11A、擬似遅延器12以降の動作については、第3の実施形態と同様であるので説明を省略する。
(D−3)第4の実施形態の効果
第4の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
第4の実施形態の2値符号化器201C、202Cでは、X(n)、Y(n)の包絡線の微係数の極性を、±1の2値に符号化しているため、X(n)、Y(n)の包絡線の直流成分を除去しなくても、その直流成分による影響を受けなくなる。そのため、第3の実施形態において配置されている高域ろ波器141、142が必要なくなるため、第3の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Bと比較して、第4の実施形態の伝搬遅延時間推定器10Cは、必要な演算量を少なくし、ハードウェア規模/処理時間/消費電力を大幅に低減することができる。
(E)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
(E−1)上記の各実施形態では、本発明の伝搬遅延時間推定器を、電話回線における回線エコーを消去するエコーキャンセラに適用した例について説明したが、音響エコー(例えば、会議システムなどでスピーカとマイク間の音響結合で発生するエコー)を消去するエコーキャンセラに適用しても良い。
(E−2)上記の各実施形態では、伝搬遅延時間推定器を、エコーキャンセラに適用した例について説明したが、探査信号を発射し目標物で反射されて戻ってくるまでの往復伝搬遅延時間を測定するシステムなどにも適用可能である。例えばこのようなシステムには、レーダやソナーを使用した遠隔探査システムなどがある。
(E−3)上記の各実施形態においては、伝搬遅延時間推定器とエコーキャンセラは、別の装置として説明しているが、伝搬遅延時間推定器をエコーキャンセラ自体に搭載するようにしても良い。
(E−4)上記の各実施形態においては、絶対値化器、低域ろ波器などを用いて、遠端信号及び近端信号の包絡線信号を生成し、その包絡線信号を用いて、相関器における相関係数の算出や、有意性判定器における有意性判定などを行っているが、包絡線信号ではなく元の信号をそのまま、相関係数の算出や有意性判定に用いても良い。
例えば、第1の実施形態において、上述の図1に示す絶対値化器121、122、低域ろ波器131、132、高域ろ波器141、142、間引器151、152を省き、復号化器111、112から出力された信号を、そのまま一時記憶部161、162に入力するようにしても良い。第2の実施形態においても、同様に絶対値化器121、122、低域ろ波器131、132、高域ろ波器141、142、間引器151、152を省いた構成としても良い。
また、例えば、第3の実施形態においても同様に、絶対値化器121、122、低域ろ波器131、132、高域ろ波器141、142、間引器151、152を省き、復号化器111、112から出力された信号を、そのまま2値符号化器201、202に入力するようにしても良い。また、その際、有意性判定器180Bにおいて、上述の第1〜第3の要因にかかる判定には、復号化器111、112から出力される信号を用いるようにしても良い。第4の実施形態においても、同様に、絶対値化器121、122、低域ろ波器131、132、間引器151、152を省いた構成としても良い。
(E−5)上記の各実施形態においては、絶対値化器や低域ろ波器などを用いて、遠端信号及び近端信号の包絡線信号を抽出することにより、より低い周波数帯域の信号を生成しているが、より低い周波数帯域の信号を生成する構成は、包絡線信号を抽出することに限定されないものである。例えば、帯域通過フィルタを用いて、遠端信号及び近端信号の一部の周波数帯域を抽出することで、より低い周波数帯域の信号を生成し、間引器により間引きするようにしても良い。
第1の実施形態に係る電話通信システムの全体構成を示すブロック図である。 第1の実施形態に係る判定保護器における統計的信頼性の判断に関する状態遷移について示した説明図である。 第2の実施形態に係る電話通信システムの全体構成を示すブロック図である。 第3の実施形態に係る電話通信システムの全体構成を示すブロック図である。 第4の実施形態に係る電話通信システムの全体構成を示すブロック図である。 従来の、エコー発生点までの往復伝搬遅延時間が大きな回線エコーキャンセラの配備例を示したブロック図である。 従来の、エコー反射点までの往復伝搬遅延時間が大きな回線エコーキャンセラにおけるインパルス応答の例について示した説明図である。
符号の説明
1…電話通信システム、10…伝搬遅延時間推定器、111、112…復号化器、121、122…絶対値化器、131、132…低域ろ波器、141、142…高域ろ波器、151、152…間引器、161、162…一時記憶部、170…相関器、180…有意性判定器、190…判定保護器、11…エコーキャンセラ、12…擬似遅延器、13…エコー経路、14、15…2線伝送路。

Claims (13)

  1. 当初は同一信号であった第1の離散的時間信号と、第2の離散的時間信号との時間差である伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延時間推定器において、
    一定時間内における、上記第1の離散的時間信号と、上記第2の離散的時間信号との相関度合いが最も大きくなる相関最大時間差を算出する時間差算出手段と、
    上記相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性を判定する有意性判定手段と、
    上記時間差算出手段が、過去に算出した相関最大時間差の履歴を利用して、上記時間差算出手段が最新に算出した相関値最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有するか否かを判定する統計的信頼性判定手段と、
    上記有意性判定手段により有意と判定され、さらに、上記統計的信頼性判定手段により統計的信頼性を有すると判定された相関値最大時間差だけを、上記伝搬遅延時間とみなす伝搬遅延時間判定手段とを有し、
    上記統計的信頼性判定手段は、直近に上記有意性判定手段から出力された複数の相関最大時間差のそれぞれについて、当該相関最大時間差の直前に上記優位性判定手段から出力された直前相関最大時間差との関係が一致であるか不一致であるかを求め、一致の出現回数が不一致の出現回数よりも第1の回数多い場合、又は、第2の回数連続して一致が出現する場合に、上記有意性判定手段から最新に出力された相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有すると判定する
    ことを特徴とする伝搬遅延時間推定器。
  2. 上記有意性判定手段は、上記一定時間内における、上記第1の離散的時間信号の値の自乗和、又は、上記第2の離散的時間信号の値の自乗和のいずれかが閾値以下の場合には、上記時間差算出手段が算出した相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性は無いと判定することを特徴とする請求項1に記載の伝搬遅延時間推定器。
  3. 上記第1の離散的時間信号は、電話通信システムにおける遠端信号であり、
    上記第2の離散的時間信号は、上記電話通信システムにおける近端信号であり、
    上記有意性判定手段は、上記遠端信号、上記近端信号においてダブルトーク状態が発生していると判定した場合には、上記時間差算出手段が算出した相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性は無いと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の伝搬遅延時間推定器。
  4. 上記有意性判定手段は、上記時間差算出手段により算出された相関最大時間差の相関係数値が閾値以下の場合には、上記時間差算出手段が算出した相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性は無いと判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の伝搬遅延時間推定器。
  5. 上記有意性判定手段は、上記一定時間において、上記第1の離散的時間信号と、上記第2の離散的時間信号との相関度合いが、複数の時間差について閾値以上であった場合には、上記時間差算出手段が算出した相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性は無いと判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の伝搬遅延時間推定器。
  6. 上記第1及び第2の離散的時間信号のそれぞれを、より低い周波数帯域の第3及び第4の信号に変換する帯域低域化手段と、
    上記第3及び第4の信号のそれぞれを、より低い標本化速度の第5及び第6の信号に変換する標本化速度低速化手段とをさらに有し、
    上記時間差算出手段は、一定時間内における、上記第5の信号と、上記第6の信号との相関度合いが最も大きくなる時間差を、上記相関最大時間差として求める
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の伝搬遅延時間推定器。
  7. 上記帯域低域化手段では、上記第3及び第4の信号は、上記第1及び第2の離散的時間信号の包絡線信号であることを特徴とする請求項に記載の伝搬遅延時間推定器。
  8. 上記有意性判定手段における、上記相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性があるか否かの判定結果を、その判定結果に応じて動作する外部のエコーキャンセラに通知することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の伝搬遅延時間推定器。
  9. 上記第1及び第2の離散的時間信号に係る信号を、その信号の値の正負の極性に応じて2値符号に変換し、第7及び第8の信号を生成する2値符号化手段をさらに有し、
    上記時間差算出手段は、上記相関最大時間差として、一定時間内における、上記第7の信号と、上記第8の信号との相関度合いが最も大きくなる時間差を求める
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の伝搬遅延時間推定器。
  10. 上記第1及び第2の離散的時間信号に係る信号を、その信号の値の微係数の極性に応じて2値符号に変換し、第7及び第8の信号を生成する2値符号化手段をさらに有し、
    上記時間差算出手段は、上記相関最大時間差として、一定時間内における、上記第7の信号と、上記第8の信号との相関度合いが最も大きくなる時間差を求める
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の伝搬遅延時間推定器。
  11. 当初は同一信号であった第1の離散的時間信号と、第2の離散的時間信号との時間差である伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延時間推定器に搭載されたコンピュータを、
    一定時間内における、上記第1の離散的時間信号と、上記第2の離散的時間信号との相関度合いが最も大きくなる相関最大時間差を算出する時間差算出手段と、
    上記相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性を判定する有意性判定手段と、
    上記時間差算出手段が、過去に算出した相関最大時間差の履歴を利用して、上記時間差算出手段が最新に算出した相関値最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有するか否かを判定する統計的信頼性判定手段と、
    上記有意性判定手段により有意と判定され、さらに、上記統計的信頼性判定手段により統計的信頼性を有すると判定された、相関値最大時間差だけを上記伝搬遅延時間とみなす伝搬遅延時間判定手段として機能させ、
    上記統計的信頼性判定手段は、直近に上記有意性判定手段から出力された複数の相関最大時間差のそれぞれについて、当該相関最大時間差の直前に上記優位性判定手段から出力された直前相関最大時間差との関係が一致であるか不一致であるかを求め、一致の出現回数が不一致の出現回数よりも第1の回数多い場合、又は、第2の回数連続して一致が出現する場合に、上記有意性判定手段から最新に出力された相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有すると判定する
    ことを特徴とする伝搬遅延時間推定プログラム。
  12. 当初は同一信号であった第1の離散的時間信号と、第2の離散的時間信号との時間差である伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延時間推定方法において、
    時間差算出手段、有意性判定手段、統計的信頼性判定手段、伝搬遅延時間判定手段を有し、
    上記時間差算出手段は、一定時間内における、上記第1の離散的時間信号と、上記第2の離散的時間信号との相関度合いが最も大きくなる相関最大時間差を算出し、
    上記有意性判定手段は、上記相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの有意性を判定し、
    上記統計的信頼性判定手段は、上記時間差算出手段が、過去に算出した相関最大時間差の履歴を利用して、上記時間差算出手段が最新に算出した相関値最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有するか否かを判定し、
    上記伝搬遅延時間判定手段は、上記有意性判定手段により有意と判定され、さらに、上記統計的信頼性判定手段により統計的信頼性を有すると判定された、相関値最大時間差だけを上記伝搬遅延時間とみなし、
    上記統計的信頼性判定手段は、直近に上記有意性判定手段から出力された複数の相関最大時間差のそれぞれについて、当該相関最大時間差の直前に上記優位性判定手段から出力された直前相関最大時間差との関係が一致であるか不一致であるかを求め、一致の出現回数が不一致の出現回数よりも第1の回数多い場合、又は、第2の回数連続して一致が出現する場合に、上記有意性判定手段から最新に出力された相関最大時間差を上記伝搬遅延時間とみなすことの統計的信頼性を有すると判定する
    ことを特徴とする伝搬遅延時間推定方法。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の伝搬遅延時間推定器を搭載し、
    上記伝搬遅延時間推定器を用いて、エコー経路に送出する信号とエコーとの時間差である伝搬遅延時間を推定し、推定した伝搬遅延時間を利用して、エコーを消去する
    ことを特徴とするエコーキャンセラ。
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