JP5234388B2 - タイヤ用ゴム組成物、ベーストレッドおよびタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物、ベーストレッドおよびタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物、ベーストレッドおよびタイヤに関し、特に、石油資源に由来する材料の使用量を抑えることができるとともにタイヤの臭いも抑えることができ、タイヤの製造コストも抑えることができるタイヤ用ゴム組成物、このタイヤ用ゴム組成物を用いて形成されたベーストレッドおよびタイヤに関する。
タイヤはゴム成分独自の臭いが強いために、タイヤの販売店においては、芳香剤を置くこと、若しくはタイヤを販売店の外に置くことによって、販売店内にタイヤの臭いが充満するのを防いでいる。
しかしながら、販売店内に芳香剤を設置した場合には、販売店内の臭いに気を使う必要があり、タイヤを販売店の外に置いた場合には、タイヤが劣化するという問題があった。
そこで、たとえば特許文献1には、天然ゴム(NR)とブタジエンゴム(BR)との混合ゴムをゴム成分とし、充填剤としてカーボンブラックを配合したタイヤ用ゴム組成物に香料および中空多孔質球状シリカ粒子を配合することにより、香料の効力の持続性を増したタイヤ用ゴム組成物が開示されている(特許文献1の表1参照)。
また、たとえば特許文献2には、天然ゴム(NR)をゴム成分とし、充填剤としてカーボンブラックを配合したタイヤ用のゴム組成物に香料を配合することにより、ゴム成分の臭いに対するマスキング効果を有するタイヤ用ゴム組成物が開示されている(特許文献2の表1参照)。
特開2004−203954号公報 特開2007−8225号公報
近年、環境問題が重視されるようになり、地球温暖化抑制のために炭酸ガス排出の抑制の規制が強化されてきている。また、石油資源は有限であり、石油資源の枯渇の問題から、石油資源に由来する材料の使用量を抑え、石油資源に由来しない材料をできるだけ多く使用する必要がある。
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2に開示されているタイヤ用ゴム組成物には、充填剤として石油資源に由来する材料であるカーボンブラックが多量に配合されている。また、特許文献1および特許文献2には、石油資源に由来する材料の使用量を抑え、石油資源に由来しない材料の使用量をできるだけ多くするという観点が完全に欠落している。
さらに、石油資源に由来する材料の使用量を抑えながら、タイヤの製造コスト自体もなるべく低く抑えることも要求されている。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、石油資源に由来する材料の使用量を抑えることができるとともにタイヤの臭いも抑えることができ、さらにはタイヤの製造コストも抑えることができるタイヤ用ゴム組成物、このタイヤ用ゴム組成物を用いて形成されたベーストレッドおよびタイヤを提供することにある。
本発明は、タイヤの形成に用いられるタイヤ用ゴム組成物であって、天然ゴムからなるゴム成分と、ゴム成分100質量部に対して25質量部以上35質量部以下のシリカと、タイヤ用ゴム組成物の0.2質量%以上0.9質量%以下の天然香料と、を含み、充填剤としてはシリカのみが含まれるタイヤ用ゴム組成物である。
また、本発明は、上記のタイヤ用ゴム組成物を用いて形成された、ベーストレッドである。
さらに、本発明は、上記のベーストレッドを用いて形成された、タイヤである。
本発明によれば、石油資源に由来する材料の使用量を抑えることができるとともにタイヤの臭いも抑えることができ、さらにはタイヤの製造コストも抑えることができるタイヤ用ゴム組成物、このタイヤ用ゴム組成物を用いて形成されたベーストレッドおよびタイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<ゴム成分>
本発明においては、ゴム成分として、天然ゴムが用いられる。ここで、天然ゴムとしては、従来から公知のものを使用することができ、たとえば、KR7またはTSR等のタイヤ工業において一般的に用いられている天然ゴムを用いることができる。
また、本発明においては、ゴム成分に天然ゴムが含まれていれば、たとえば、エポキシ化天然ゴム(ENR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)またはブチルゴム(IIR)等の少なくとも1種の他のゴムが含まれていてもよい。ただし、石油資源に由来する材料の使用量を抑える観点からは、天然ゴム以外のゴムの含有量は、ゴム成分全体の20質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、全く含まれていないことが最も好ましい。
<シリカ>
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、上記のゴム成分100質量部に対してシリカが25質量部以上80質量部以下含まれる。このような構成とすることによって、充填剤としてのカーボンブラックの使用量を低減することができるため、石油資源に由来する成分の使用量を低減することができるとともに、シリカによる十分な補強効果を得ることができる。なお、シリカとしては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、無水シリカおよび/または含水シリカ等を用いることができる。
ここで、ゴムの強度の観点からは、シリカの含有量は、上記のゴム成分100質量部に対して、25質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましい。
また、加工性の観点からは、シリカの含有量は、上記のゴム成分100質量部に対して、80質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましい。
また、シリカのBET法による窒素吸着比表面積(以下、「BET比表面積」という。)は、40m2/g以上であることが好ましく、50m2/g以上であることがより好ましい。シリカのBET比表面積が40m2/g以上、特に50m2/g以上である場合には、加硫後のゴムの強度が高くなる傾向にある。
また、シリカのBET比表面積は、350m2/g以下であることが好ましく、300m2/g以下であることがより好ましい。シリカのBETが350m2/g以下、特に300m2/g以下である場合には、ゴムの混練り加工性が良好となる傾向にある。
<天然香料>
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、天然香料が含まれており、天然香料の含有量は本発明のタイヤ用ゴム組成物の0.2質量%以上0.9質量%以下である。天然香料の含有量が本発明のタイヤ用ゴム組成物の0.2質量%以上0.9質量%以下である場合には、タイヤの臭いを抑えることができるとともにタイヤの製造コストも抑えることができる。
また、天然香料の含有量は、本発明のタイヤ用ゴム組成物の0.2質量%以上であることが好ましく、0.4質量%以上であることがより好ましい。天然香料の含有量が本発明のタイヤ用ゴム組成物の0.2質量%以上である場合、特に0.4質量%以上である場合には、タイヤ表面から天然香料の香りを発することができる傾向にある。
また、天然香料の含有量は、本発明のタイヤ用ゴム組成物の0.9質量%以下であることが好ましく、0.7質量%以下であることがより好ましい。天然香料の含有量が本発明のタイヤ用ゴム組成物の0.9質量%以下である場合、特に0.7質量%以下である場合には、タイヤ表面からの天然香料の香りが適度に薄くなり、不快感がなくなる傾向にある。
また、天然香料としては、その少なくとも一部が天然資源に由来する成分から作製された香料であれば特に限定なく用いることができ、たとえば香栄興業株式会社製のラベンダー油、ジャスミン油またはユーカリ油等の天然資源由来の香料を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
<シランカップリング剤>
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物には、シランカップリング剤が含まれることが好ましい。ここで、シランカップリング剤としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系が挙げられる。なお、上記のシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、4質量部以上であることが好ましく、8質量部以上であることがより好ましい。
<カーボンブラック>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、石油資源に由来する従来から公知のカーボンブラックを含んでいてもよいが、石油資源に由来する成分の使用量を低減する観点からは、カーボンブラックの含有量は、上記のゴム成分100質量部に対して25質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、全く含まれていないことが最も好ましい。
また、カーボンブラックとしては、たとえば、SAF、ISAF、HAF、FEF等の従来から公知のカーボンブラックを用いることができる。
<その他成分>
本発明のタイヤ用ゴム組成物には、上記の成分以外にも、たとえば、タイヤ工業において一般的に用いられているワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、オイル、硫黄または加硫促進剤等の各種成分が適宜配合されていてもよい。
ワックスとしては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、大内新興化学株式会社製のサンノックワックス等を用いることができる。
老化防止剤としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、アミン系、フェノール系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤を用いることができる。
ステアリン酸としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、日本油脂(株)製のステアリン酸等を用いることができる。
また、酸化亜鉛としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号等を用いることができる。
オイルとしては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、プロセスオイル、植物油脂、またはこれらの混合物等を用いることができる。プロセスオイルとしては、たとえば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等を用いることができる。植物油脂としては、たとえば、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油等を用いることができる。
硫黄としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、鶴見化学(株)製の粉末硫黄を用いることができる。
加硫促進剤としては、従来から公知のものを用いることができ、たとえば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系加硫促進剤のうち少なくとも一つを含有するもの等を用いることができる。スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物等を使用することができる。チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール等のチアゾール系化合物を用いることができる。チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物を用いることができる。チオウレア系としては、たとえばチアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などを使用することができる。グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレート等のグアニジン系化合物を用いることができる。ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデシル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウム等のジチオカルバミン酸系化合物を用いることができる。アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物等のアルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系化合物等を用いることができる。イミダゾリン系としては、たとえば2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系化合物等を用いることができる。キサンテート系としては、たとえばジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物等を用いることができる。これらの加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<タイヤ>
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、少なくとも、上記の天然ゴムからなるゴム成分と、シリカと、天然香料とを混練り等により混合することによって作製することができる。ここで、混練り工程が複数ある場合には、天然香料は、最後の混練り工程時に配合されることが好ましい。この場合には、天然香料が混練り中に揮発しにくい傾向にある。
上記の本発明のタイヤ用ゴム組成物を未加硫の状態で押出し加工等することによって、たとえばベーストレッドが形成される。
そして、本発明のタイヤ用ゴム組成物から形成されたベーストレッド等のタイヤ部材を所定の位置に配置すること等によってグリーンタイヤを作製し、その後、グリーンタイヤの各部材を構成するゴム組成物を加硫すること等によって、本発明のタイヤが製造される。
図1に、本発明のタイヤの一例の左上部半分の模式的な断面図を示す。ここで、タイヤ1は、タイヤ1の接地面となるキャップトレッド2aと、キャップトレッド2aのタイヤ半径方向内方に位置するベーストレッド2bと、ベーストレッド2bの両端からタイヤ半径方向内方に延びてタイヤ1の側面を構成する一対のサイドウォール3と、各サイドウォール3の内方端に位置するビードコア5とを備える。また、ビードコア5,5間にはプライ6が架け渡されるとともに、このプライ6の外側かつベーストレッド2bの内側にはベルト7が設置されている。
プライ6は、たとえば、タイヤ赤道CO(タイヤ1の外周面の幅の中心をタイヤ1の外周面の周方向に1回転させて得られる仮想線)に対してたとえば70°〜90°の角度を為す複数のコードがゴム組成物中に埋設されたゴムシートから形成することができる。また、プライ6は、ベーストレッド2bからサイドウォール3を経てビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折り返されて係止される。
ベルト7は、たとえば、タイヤ赤道COに対してたとえば40°以下の角度を為す複数のコードがゴム組成物中に埋設されたゴムシートから形成することができる。
また、タイヤ1には、必要に応じてベルト7の剥離を抑止するためのバンド(図示せず)が設けられていてもよい。ここで、バンドは、たとえば、複数のコードがゴム組成物中に埋設されたゴムシートからなり、タイヤ赤道COとほぼ平行にベルト7の外側に螺旋巻きすることによって設置することができる。
また、タイヤ1には、ビードコア5からタイヤ半径方向外方に延びるビードエイペックス8が形成されているとともに、プライ6の内側にはインナーライナー9が設置されており、プライ6の折返し部の外側はサイドウォール3およびサイドウォール3からタイヤ半径方向内方に延びるクリンチ4で被覆されている。
なお、図1に示すタイヤ1は乗用車用のタイヤとなっている、本発明はこれに限定されず、たとえば、乗用車用、トラック用、バス用、重車両用等の各種タイヤに適用される。
以上の構成を有するタイヤ1のように、ベーストレッド2bを本発明のタイヤ用ゴム組成物から形成した場合には、トレッドの内側に天然香料を添加することにより、トレッドの内側から外側への天然香料の移行速度により、長期間、香りを保つことができる点で優れている。したがって、本発明のタイヤ用ゴム組成物は、タイヤのベーストレッドの形成に用いられることが好ましい。
また、上記構成のタイヤ1には、カーボンブラック等の石油資源に由来する材料の使用量が抑えられたベーストレッド2bが用いられていることから、環境に配慮することも、将来の石油の供給量の減少に備えることもできるエコタイヤとすることができる。
また、石油資源に由来する成分の使用量を抑制する観点からは、ベーストレッド2b以外のタイヤの部位についても石油資源に由来する成分以外の成分をできるだけ用いて作製することが好ましいことは言うまでもない。
<加硫ゴムシートの作製>
表1に示す配合に従って、天然香料、硫黄および加硫促進剤以外の成分を神戸製鋼製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、150℃で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に天然香料、硫黄および加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、約80℃で5分間混練りして、未加硫ゴム組成物を得た。その後、得られた未加硫ゴム組成物をそれぞれ150℃で30分間加硫することによって実施例1〜2および比較例1〜3のそれぞれの加硫ゴムシートを得た。
なお、表1の配合の欄に記載されている数値は、天然ゴムの配合量を100質量部としたときの、各成分の配合量が質量部で表わされている。また、表1の香料比率(質量%)の欄には、実施例1〜2および比較例1〜3のそれぞれのゴム組成物の全質量に対する天然香料の配合量が質量%で表わされている。
Figure 0005234388
(注1)天然ゴム:TSR20
(注2)シリカ:デグッサ社製のVN3(BET比表面積:180m2/g)
(注3)シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69
(注4)天然香料:香栄興業(株)製のラベンダー油
(注5)ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
(注6)老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
(注7)ステアリン酸:日本油脂(株)製
(注8)酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
(注9)硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
(注10)加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS
<臭いの評価>
任意に選ばれた31名の各パネラーが、上記のようにして作製した実施例1〜2および比較例1〜3のそれぞれの加硫ゴムシートの臭いを嗅ぎ、快適または不快の2種類で評価して、人数が多かった方の評価を加硫ゴムシートの臭いの評価とした。その結果を表1に示す。
なお、表1のにおい評価の欄において、Aは快適の評価を表わし、Bは不快の評価を表わしている。
<製造コストの評価>
上記のようにして作製した実施例1〜2および比較例1〜3のそれぞれの加硫ゴムシートの製造コストを算出し、一定の基準コストに達しているか否かについて評価した。その結果を表1に示す。
なお、表1の製造コストの欄において、Aは上記の基準コストに達していないことを表わし、Bは上記の基準コストに達していることを表わしている。すなわち、表1の製造コストの欄の評価がAの場合には製造コストが低く、Bの場合には製造コストが高くなることを示している。
<評価結果>
表1に示すように、天然香料の含有量がゴム組成物全体の0.2質量%である実施例1の加硫ゴムシートは、におい評価で快適と評価するパネラーの数が多く、製造コストが一定の基準に達していないため、製造コストも低くすることができることが確認された。
また、天然香料の含有量がゴム組成物全体の0.7質量%である実施例2の加硫ゴムシートは、におい評価で快適と評価するパネラーの数がさらに多くなり、製造コストも一定の基準に達していないため、製造コストを低くすることができることが確認された。
一方、比較例1の加硫ゴムシートには天然香料が配合されていないため、ゴムの臭いが強く、不快と評価するパネラーの数が圧倒的に多かった。
また、比較例2の加硫ゴムシートには天然香料が配合されているが、天然香料の含有量がゴム組成物全体の0.1質量%と少なく、天然香料によるゴムの臭いのマスキング効果が不十分であったため、不快と評価するパネラーの数が多かった。
また、比較例2の加硫ゴムシートにおいては、天然香料の含有量がゴム組成物全体の1質量%と多かったために、ゴムの臭いのマスキング効果は十分であったが、天然香料は高コストであることから、製造コストが基準コストを上回り、製造コストを低くすることができない結果となった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば、石油資源に由来する材料の使用量を抑えることができるとともにタイヤの臭いも抑えることができ、さらにはタイヤの製造コストも抑えることができるタイヤ用ゴム組成物、このタイヤ用ゴム組成物を用いて形成されたベーストレッドおよびタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤの一例の左上部半分の模式的な断面図である。
符号の説明
1 タイヤ、2a キャップトレッド、2b ベーストレッド、3 サイドウォール、4 クリンチ、5 ビードコア、6 プライ、7 ベルト、8 ビードエイペックス、9 インナーライナー。

Claims (3)

  1. タイヤの形成に用いられるタイヤ用ゴム組成物であって、
    天然ゴムからなるゴム成分と、前記ゴム成分100質量部に対して25質量部以上35質量部以下のシリカと、前記タイヤ用ゴム組成物の0.2質量%以上0.9質量%以下の天然香料と、を含み、充填剤としてはシリカのみが含まれるタイヤ用ゴム組成物。
  2. 請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて形成された、ベーストレッド。
  3. 請求項2に記載のベーストレッドを用いて形成された、タイヤ。
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