JP5233564B2 - カードの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気カード、ICカード、クレジットカード、会員証などのカードに関するものであり、特に表面保護層の接着性の改良およびホログラム層の転写性の改良を図ったカードに関する。
近年、例えば銀行、クレジット会社、金融関係の企業、等のサービス産業分野では特に各種のカード、例えばキャッシュカード、従業員証、社員証、会員証、学生証、免許証等を発行する場合が非常に多くなっている。
従来のカードの構造は、例えば図1の断面図に示すように、カード基材1の上にスクリーン印刷による隠蔽層2、スクリーン印刷による絵柄や文字3、オフセット印刷による絵柄や文字4が形成され、それらを覆うように全面に表面保護層5が形成され、さらにホログラム層6が熱転写法によって形成された構造である。隠蔽層2は、図示してないがその下に例えば磁気記録層等があり、それを隠蔽するための層である。
カード基材1にはポリ塩化ビニル樹脂が多用されるが、その他ポリエチレンテレフタレート(PET)やPETの共重合樹脂も使用される。
スクリーン印刷はインキの膜厚を厚くすることができるので、下地の色に影響されずに所定の色を出すことができる。隠蔽層の形成や、重量感のある色が必要な絵柄の印刷に使用される。一方、オフセット印刷はカードの製造において最も頻繁に使用され、絵柄や文字の印刷に使用される。カードの製造には、通常、スクリーン印刷とオフセット印刷が併用されている。
ホログラム層6は偽造防止効果が高く、また、人目に付きやすく、意匠性も高いので、カードのセキュリティ対策として好んで採用されるようになっている。
表面保護層5は、摩擦、引っ掻きなどによって、カード基材、印刷された絵柄や文字、隠蔽層が傷つき、剥がれてしまうことを防止するために設けられている。表面保護層として、通常はアクリル系の樹脂が使用されている。しかし、カード基材、スクリーン印刷部、オフセット印刷部との接着性が完全でなく、セロファンテープ剥離テストを行うと、僅かであるが表面保護層が剥離する状態であり、改良が必要であった。
本発明者はアクリル系樹脂表面保護層の接着性の改良方法として、カード基材とカード表面保護層の間に中間層を設けることを試み、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル−EVA系樹脂、EVA系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂等を検討した。その際、エンボス時にクラックが発生しないこと、薬品耐性が良好であることを条件とした。その結果、中間層の材料として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を使用すると、上記の条件を満足するとともに、表面保護層の剥離を防止できることを見いだした。
さらに、予期せぬ効果として、中間層に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を使用すると、ホログラム層の転写時の不良発生に対しても効果があることに気づいた。この点について検討を続けた結果、本発明に到った。
先ずホログラム層の転写時の不良発生について述べる。通常、ホログラム層は、別途作
成したホログラム転写箔上のホログラム層を、表面保護層を形成したカードの所定部に、ホットスタンプ法等の熱転写法によって形成している。
図2はホログラム転写箔の構造を説明するための断面説明図である。ホログラム転写箔20の構造は、支持フィルム21の一面に剥離層22があり、その下にホログラムの表面保護層23があり、さらにホログラム形成層24があり、さらに接着剤層25がある構造である。ホログラム層6として熱転写される部分はホログラムの表面保護層23、ホログラム形成層24、接着剤層25である。接着剤としては通常熱転写を可能とするために、感熱接着剤が使用されている。
ホットスタンプによるホログラム層の熱転写の方法を、図3に基づいて、以下に述べる。図3は、図1に示したカードの表面へホットスタンプ法によってホログラム層を転写する方法の説明図である。図3(a)において、カード基材1に隠蔽層や絵柄等を形成し、さらにカード表面保護層5形成した状態のカードが、ホットスタンプ台31の上にセットされ、その上方にホログラム転写箔20が接着剤層をカードの表面保護層5に相対するように軽く伸張された状態でセットされている。さらにその上方にホットスタンプ金型32がカードの所定位置をプレスするようにセットされている。ホットスタンプの金型32のサイズが転写されるホログラム層のサイズである。また、金型32の内部には、電気ヒータ、温度センサーが埋め込まれ、外部の自動制御装置によって、金型が所定の温度になるように、制御されている。図3(a)は金型32が下方へ降りる直前の状態である。
図3(b)は、金型32が降り、所定の条件(圧力、温度、時間)でホログラム層6をカードの表面保護層5の所定部分に接着し、金型32が再び元の位置に復帰した状態を示す図である。この状態の後、ホログラム転写箔20は左方へ所定の距離送られ、新規のカードがセットされ、ホットスタンプがくり返される。
ホットスタンプの条件は、通常、圧力20〜100×MPa、時間0.1〜1.0秒である。また、ホットスタンプの金型の温度は、本来はホログラム転写箔に接する部位の温度を測定して、制御すべきであるが、実際は金型の内部の温度を測定していること、および金型の熱容量が大きいこともあり、連続してホットスタンプしていても、金型の表面温度には数℃の変動幅がある。この数℃の変動幅は、通常の自動温度制御システムの温度管理幅の限界に近く、変動幅を小さくすることはかなり困難である。
ホットスタンプ時にホログラム転写箔を加熱加圧する金型32の表面温度が低いと、ホログラム層の接着剤層25が不十分にしか融解せず、カードの表面保護層5への接着力が低下し、ホログラム層6の端部等が転写されない事故が発生する。
図4(a)はカード表面に転写されたホログラム層6の外観が良好な状態を示し、図4(b)はホログラム層6に転写されない部分が発生した状態を示す。生産時に転写されない部分が発生した場合には、目視検査等によって、不良を発見することができる。しかし、一見すると、端部まで完全に転写されているように見えても、カード表面との接着力が不足していて、カードを使用している間にホログラム層の一部が剥離してしまうという事故が発生することがある。この問題に対しては、後に述べるセロファンテープ剥離テストを行って、可否を判定している。
ホログラム転写箔の接着剤として接着温度の低い感熱接着剤を使用すれば、転写温度が低温であっても接着力を高くすることができる。しかし、カードの仕様として、真夏の自動車の中に加圧状態で放置されるという厳しい使用条件でも変形しないこと、剥がれが発生しないこと、他の物とのブロッキングがないことなどの厳しい仕様があるので、感熱接着剤として接着温度、ガラス転位点、軟化点が現用の接着剤より低いものを使用すること
は難しい(特許文献1参照)。
また、カードに要求される特性として、保管時に裏写りしないこと、表面の傷つき難さがある程度以上であることが求められている。保管時の裏写りとは、製造されたカードは、100〜500枚単位で、カード面を揃えて、帯掛けやストレッチフィルムによるシュリンク包装を行って、輸送中に表面に傷が付くことを防止し、縦置き状態で箱詰めにして、出荷される。しかし、この状態で長期に保管されると、カード面に多少の凹凸がある場合、カードに柔軟な部分があると、隣接するカード面に食い込み、凹凸模様が転写されることをいう(裏写り現象)。ひどい場合にはブロッキングが発生してしまう。
また、カード表面保護層を変更して転写温度を低下する方法は、上記のホログラム転写箔の接着剤を低温接着できるものに変更することが難しい理由と同じ理由で難しい。通常、転写温度の最低値は140℃であり、これより低いと上記の仕様を満足するようにすることが難しい。実際には、140℃で転写する場合には、ホットスタンプの加熱加圧時間を長くしないと、転写不良が発生する。150℃にすれば、実用的な加熱加圧時間で転写することができる。
一方、金型の表面温度が高すぎると、接着不良の問題は発生しないが、転写されたホログラム層が白濁する現象が発生し、偽造防止効果が低下すると共に、見栄えが悪くなる。通常のホログラム転写箔では、160℃付近で白濁が発生する。対策として、ホログラム層に使用する材料を変更して、白濁が発生する温度を高くする方法が考えられる。ホログラム層の白濁については、特許文献2に記載があり、ホログラム形成層に使用される樹脂の動的貯蔵弾性率が120℃から180℃において5.0×107Pa以上であり、100℃以上の温度域にガラス転移点がある樹脂が好ましいとしている。そして、この条件を満たす新規の材料を使用することによって180℃で転写しても、白濁が発生しなかったと述べている。
しかし、160℃で白濁するホログラム転写箔が、得意先から供給される場合があり、その場合には金型の設定温度を150℃から白濁が発生しないぎりぎりの温度範囲内に設定する必要がある。通常、金型で加熱加圧する時間は、0.1〜0.5秒程度であり、生産性向上のため、できるだけ短時間にすることが求められている。そのため、金型の温度を限度まで高くすることが求められている。
このため、接着不良が発生しない下限温度と、ホログラム層に白濁が発生しない上限温度の幅が、ホットスタンプの金型の設定温度幅としてほとんどなくなり、接着不良と白濁の両方の不良が同時に発生する状況で生産せざるを得ない場合がある。
なお、特許文献3には、ホログラム層の上に形成した受像層に昇華熱転写記録を行うと、記録用ヘッドの加圧・加熱によってホログラム層の像の鮮明度が低下するが、これを防止するためホログラム層の下にクッション層を形成することが記載されている。クッション層としてポリオレフィン層、湿気硬化型ホットメルト接着剤層が挙げられている。しかし、昇華熱転写記録の際にどの程度の圧力、温度がホログラム層に印加されるのかの記載がない。また加熱・加圧によってホログラム層がどのように不鮮明になるのかについての記載がない。さらに、クッション層の引っ張り弾性率が196×107Pa以下、破断伸びが100%以上と規定されているが、その裏付けとなるデータ、テスト結果が記載されていない。
公知文献を以下に示す。
特開2006−88524号公報 特開2002−268523号公報 特開20001−30668号公報 特開平10−863号公報 特開平10−187046号公報 特開2001−152052号公報
カード基材として通常使用されるPVC等を使用し、表面保護層としてアクリル系樹脂を使用したカードにおいて、第一の課題はアクリル系樹脂表面保護層の剥離を防止することであり、第二の課題は、前記カードのアクリル系樹脂表面保護層の上にホログラム転写層が形成されているカードを製造する際に、現用のホログラム転写箔の感熱接着剤およびカードの表面層を変更せずに、ホットスタンプの金型の温度設定幅を広くして、転写不良と白濁の同時発生を防止することである。また、たとえ転写不良と白濁発生が同時発生しても、それらを合計した不良率が従来法より減少するようにすることである。
請求項に係わる発明は、少なくとも表面が塩化ビニル樹脂、易接着処理を施したポリエチレンテレフタレート、PET−G(非結晶性ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレンテレフタレート−ポリカーボネートのポリマーアロイ、ポリエチレンテレフタレート−ポリアリレートのポリマーアロイのいずれかであるフィルムをカード基材とし、該カード基材上に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層を形成する工程、中間層上にアクリル系表面保護層を形成する工程、表面保護層上の少なくとも一部にホログラム層を熱転写する工程を有し、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂の加重平均分子量が50000〜60000の範囲であることを特徴とするカードの製造方法である。
請求項に係わる発明は、前記中間層の厚さが0.1〜3.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項に記載のカードの製造方法である。
請求項に係わる発明は、前記中間層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項に記載のカードの製造方法である。
請求項1の効果は、表面保護層として通常使用されるアクリル系樹脂を使用する場合に、カード基材との接着性が不足して剥離が発生することがある。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層を設けることによって、該表面保護層が剥離しないようにすることができる点である。
また、請求項1の効果は、中間層に使用する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂の加重平均分子量を50000〜60000の範囲とすることによって、カード表面の傷つき難さ、および保管時の裏写り難さが実用的な範囲内であり、しかもホログラム層の接着力が十分なカードとその製造方法を提供することができる点である。
請求項において、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層の厚さを0.1μm〜3.0μmとしているが、0.1μm以下ではホログラム層の転写不良の減少に効果がなく、またホログラム層の白濁発生減少にも効果がない。一方3.0μm以上では保管時の裏写りなしの基準を満足しなくなり、キズが発生し易くなる。また、製造時に乾燥し難くなる。
さらに好ましくは、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層の厚さは、請求項において限定しているように、0.5〜2.0μmである。傾向として、中間層の厚さを増すと、ホログラム層の接着性が向上し、また白濁の発生が減少するが、カード表面の傷つき難さとカードの保管性が低下する。0.5〜2.0μmの範囲でバランスのよいカード特性を得ることが容易になり、また製造時の問題が少なくなり、不良発生率が減少する。
図5は、本発明において、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂の中間層を形成するタイミングを説明するためのカードの断面説明図である。図5(a)は、スクリーン印刷2、3、オフセット印刷4を行った後に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層7を、形成し、さらに表面保護層5を形成した場合の断面構造である。また、図5(b)は、スクリーン印刷2、3とオフセット印刷4の間に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層を形成し、さらに表面保護層5を形成した場合の断面構造である。図5(c)は、カード基材1に中間層7を形成した後に、スクリーン印刷2、3、オフセット印刷4を行い、次ぎに表面保護層5を形成した場合の断面構造である。
中間層を上記のいずれのタイミングで形成しても、後のテストの項で示すように、エンボス適性、表面保護層剥離、ホログラム層接着性、ホログラム層の白濁、カード保管安定性、カード表面傷つき難さについて、同一の結果を得た。すなわち、本発明において、中間層を形成するタイミングは、図5(a)、(b)、(c)のいずれであってもよい。
本発明において中間層に使用することができる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂は塩化ビニル/酢酸ビニル=85:15のものである。中間層には、この塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とし、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を合計20質量%まで含有させてもよい。
本発明が対象としているカード基材は基本的にはポリ塩化ビニル(PVC)製のものであるが、その他のカード基材、例えばポリエチレンテレフタレートに易接着処理を施したもの、PET−G(テレフタル酸とグリコールと1,4シクロヘキサンジメタノールの共重合体)、さらにはポリエチレンテレフタレート樹脂の表面にポリエチレンテレフタレート−ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート−ポリアリレートなどの層を形成したのもの、を用いることができる。
まずエンボス時にクラックが発生しない塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂中間層の加重平均分子量の範囲を調べた。厚さを0.1〜3.0μmとした場合に加重平均分子量が30000〜80000の範囲で、正常なエンボスパターンを形成することができた。
本発明が対象としているアクリル系樹脂の表面保護層としては、UV硬化型アクリル系樹脂、イソシアネート使用2液反応硬化型アクリル系樹脂、両者の混合型のアクリル系樹脂がある。具体的には、例えば特許文献4に記載されている分子中に2個以上のアクリロイル基やメタクリロイル基を有するモノマーやオリゴマーに重合開始剤を添加したもの、特許文献5に記載されているウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートに、単官能、多官能モノマーを添加し、光反応硬化剤や増感剤を添加したもの、特許文献6に記載されている紫外線硬化型ウレタンアクリレートの水性エマルションタイプなどがある。
これらアクリル系樹脂の表面保護層の厚さは0.5〜4μmであり、通常グラビアコート、ロールコート、スクリーン印刷、オフセット印刷を使用して塗布、形成されている。
アクリル系樹脂の表面保護層の剥離は、カード基材がPVCである場合にも、またポリエチレンテレフタレート系である場合にも発生し、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層として形成することによって、防止することができる。後に示すテスト結果において、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂の中間層の厚さを0.1〜3.0μmとした場合に表面保護層が全く剥離しないという効果があった。(表1参照)。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層を形成することによる、ホログラム層の熱転写時の適正転写温度範囲を広げる効果は、PVC以外のカード基材においても同様に発揮される。
中間層を図5(a)、(b)、(c)に示す3種のタイミングで形成すると共に、以下の条件で中間層に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂単体を使用し、その分子量を変えてカードを作成し、ホログラムの転写性(接着性)、ブロッキングの発生程度、表面の傷つき易さ、を比較検討した。
・カード基材:カード用塩化ビニル樹脂。厚さ0.65mm
・隠蔽層、絵柄印刷層(1):スクリーン印刷。スクリーンインキの樹脂分は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体。
・絵柄印刷層(2):オフセット印刷。オフセットインキの樹脂分は塩酢ビ樹脂:アクリル系樹脂=1:1
・中間層:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂単体をスクリーン印刷(版のメッシュ=
300線)で乾燥厚さ1.0μmに塗布した。
・透明保護層:UV硬化型アクリル系樹脂(乾燥膜厚1μm)。ロールコートで形成した。
・ホログラム層の転写:ホットスタンプの金型の設定温度150℃、加圧加熱時間0.3秒、圧力60MP。
<ホログラム層の接着強度の評価方法>
JIS K 5600に準拠した方法を使用した。すなわち、2.54mm幅のセロファンテープをカード上のホログラム層に貼り付け、1分間放置した後、セロファンテープを90度剥離して、ホログラム層がカードから剥離した部分を目視で検査。
<カード基材からのアクリル系樹脂の保護層の剥離の評価>
ホログラム層の接着強度の評価方法と同じ方法で評価した。
<カード保管時の裏写り、ブロッキング性の評価方法>
5枚のカードを同一面方向にして上下に重ね、上から2.5kPaの加重をかけ、恒温槽(40℃、90%RH)に48時間放置。取り出して、隣接するカード同士間の張り付きの有無、絵柄の転移の有無、ホログラムなどの凹凸の移りの有無、を目視で検査した。
<カード表面の傷つき難さの評価方法>
ネールスクラッチ(法)すなわち、カード面(塩酢ビ層を形成した面)に爪を当てて擦る方法で検査。擦る強さは毎回同じになるようにした。傷の程度は目視で検査した。
評価結果を表1に示す。
Figure 0005233564
表1に見られるように、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂(85:15)で加重平均分子量が5〜6万の場合に、アクリル系樹脂の表面保護層の剥離がなく、ホログラム転写箔の接着性が良好であり、またブロッキングも発生せず、さらに表面に傷がつき難い、という良好な結果であった。
アクリル系樹脂の表面保護層の剥離については、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を用いた場合、第一にカード基材である塩化ビニル樹脂、易接着処理を施したPET−G樹脂に対して中間層は接着性がよい。また、アクリル系カード表面保護層に対して、元来塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂は接着性が良好である。またスクリーン印刷の部分では、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂はスクリーンインキのビヒクルとして使用されているので、接着性は極めて良好である。また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂は、オフセットインキの樹脂分は塩酢ビ樹脂:アクリル系樹脂=1:1なので、接着性は良好である。このため、このテストにおいてアクリル系樹脂の接着性が良好であったと考えられる。
この結果をもとに、実生産において、中間層として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂(85:15)で加重平均分子量が52000のものを使用した。その結果、中間層を設けない従来の場合は、不良発生率が転写不良・白濁合わせて、1〜3%であったものが、0.5%以下に減少するという良好な結果を得た。
あるメーカのホログラム転写箔の場合、ホログラム層の転写において、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂の中間層がない場合に160℃で白濁が発生する。しかし、本実施形態のごとく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂の中間層を形成すると、160℃では白濁が発生しなくなるという効果が得られる。すなわち白濁が発生するホットスタンプ温度が上昇する。なぜそうなるのかについて明確な理由を見いだしていない。しかし、加重平均分子量が52000の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂のガラス転位点が65℃〜75℃であり、この中間層がホットスタンプ時の一瞬の熱圧衝撃を吸収するクッション層として作用して、ホログラム層のダメージを少なくする効果を発揮すると考えている。
なお従来技術の項で述べたが、特許文献3には、ホログラム層の下にクッション層を形成することが記載されている。目的は、ホログラム層の上に形成した受像層に昇華熱転写記録を行うと、記録用ヘッドの加圧・加熱によってホログラム層の像の鮮明度が低下するが、これを防止するためであるとしている。そして、クッション層としてポリオレフィン層、湿気硬化型ホットメルト接着剤層が挙げている。しかし、昇華熱転写記録の際にどの程度の圧力、温度がホログラム層に印加されるのかの記載がない。また、加熱・加圧によってホログラム層がどのように不鮮明になるのかについての記載がない。さらに、本発明の中間層の材料である塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂についての記載がない。
従来のカードの構造の1例を説明するための断面説明図である。 ホログラム転写箔の構造を説明するための断面説明図である。 ホットスタンプ法によるホログラム層の熱転写を説明するための図である。 カード上へのホログラム層の転写状態を説明するための図である。 カード上に中間層を設けるタイミングを説明するための断面説明図である。
符号の説明
1:カード基材
2:隠蔽層
3:スクリーン印刷による絵柄、文字
4:オフセット印刷による絵柄、文字
5:表面保護層
6:ホログラム層
7:中間層
10:カード
20:ホログラム転写箔
21:支持フィルム
22:剥離層
23:ホログラム表面保護層
24:ホログラム形成層
25:接着剤層
31:ホットスタンプ台
32:ホットスタンプ金型

Claims (3)

  1. 少なくとも表面が塩化ビニル樹脂、易接着処理を施したポリエチレンテレフタレート、PET−G(非結晶性ポリエチレンテレフタレート)、ポリエチレンテレフタレート−ポリカーボネートのポリマーアロイ、ポリエチレンテレフタレート−ポリアリレートのポリマーアロイのいずれかであるフィルムをカード基材とし、該カード基材上に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂を主体とする中間層を形成する工程、中間層上にアクリル系表面保護層を形成する工程、表面保護層上の少なくとも一部にホログラム層を熱転写する工程を有し、前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂の加重平均分子量が50000〜60000の範囲であることを特徴とするカードの製造方法。
  2. 前記中間層の厚さが0.1〜3.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項に記載のカードの製造方法。
  3. 前記中間層の厚さが0.5〜2.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項に記載のカードの製造方法。
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