JP2009251357A - パッチ中間転写記録媒体、及びそれを用いた偽造防止媒体 - Google Patents
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Abstract
画像をインクジェット方式で画像が滲まず、乾燥が早く印画でき、被転写体に容易に転写でき、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有するパッチ中間転写記録媒体、及びそれを用いた偽造防止媒体を提供する。
【解決手段】
(1)透明基材11の一方の面に、電離放射線硬化樹脂と蛍光発光性の希土類錯体とを含み、かつ前記電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域が前記蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域と異なるホログラム層15、反射層17及び、少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含み、かつインクジェット方式で情報が印画できる受容層23からなる転写材10の転写部をハーフカット処理を施してパッチ21とし、該パッチ21が支持基材31へ剥離性樹脂層33を設けた支持材30の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、インクジェット方式で画像を印画し、特異な意匠性やセキュリティ性に優れるホログラム層を転写性よく転写でき、転写後は耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光を有する用途であれば、特に限定されるものではない。
これらの要求に応えるために、通常の白色光源下においては目視不能であるが、赤外線または紫外線照射下で可視領域の蛍光を生じる蛍光顔料からなる蛍光潜像の画像などをカードなどの表面に形成することが考えられる。しかしながら、上記蛍光顔料からなる画像は容易に書き換え可能であるとともに、身分証明書やキャッシュカードなどはその使用頻度が高くまたカードリーダーなどにより表面に多くの摩擦力が加えられることから、蛍光顔料印刷層が容易に剥落してしまうという課題がある。また、蛍光を形成する方法として、各種の画像を簡単に形成できる為、簡便な熱転写法が広く用いられている。蛍光像は、熱転写層に蛍光剤を含有させてなる熱転写箔を用いて、サーマルヘッドやレーザー等の加熱手段により、カード等の被転写体に記録することができる。従来、蛍光像は蛍光染料又は蛍光増白剤を用いており、耐熱性、耐光性や耐候性などの耐久性に欠ける当欠点がある。
また、インクリボンを使用せず、インクジェット方式で画像を形成する中間転写記録媒体もあるが、インクジェット方式による画像では乾燥が遅いため画像形成速度が遅くなったり、また印画が滲んだり、さらに画像形成後の乾燥も遅いので、直ちに被転写体へ転写できないという問題点もあった。
従って、個人情報などの痕跡が残るインクリボンを使用せず、パッチ中間転写記録媒体のパッチ部分へ、個人情報を印画できて、印画する際には画像が滲まず、乾燥が早く、かつ、カードなどの媒体(被転写体)へ容易に転写できるパッチ中間転写記録媒体が求められ、転写後の媒体(偽造防止媒体)においては、パッチが保護層となって、多数回の繰り返し使用などの過酷な使用条件においても、偽造防止媒体の表面を保護して耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、セキュリティ性に優れ、かつ、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有する偽造防止媒体が求められている。
また、本出願人は、基材フィルム上に、剥離層または、離型層と保護層、ホログラム形成層、ホログラム効果層および接着層からなるホログラム転写箔において、上記剥離層または、離型層と保護層と、ホログラム形成層との間、または上記ホログラム効果層と接着層との間に無色または白色の蛍光顔料を含む蛍光顔料印刷層が設けられていることを特徴とするホログラム転写箔を開示している(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、従来の蛍光顔料では耐光性や耐候性などの耐久性に欠け、かつ、ホログラム効果層と蛍光顔料印刷層の2層とせねばならず、製造が複雑で高コストとなるという問題点がある。
さらに、多種の物品に、転写箔やラベルによって形成することができる識別マークとしては、光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層を有する識別マークであって、該希土類錯体がジアステレオ選択性を有する配位子を持つ。前記光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層が、特定波長領域で円偏光性の蛍光を放出するため、左右円偏光の強度の差、またはg値を測定することによって真偽判定をおこなうことができる識別マークが知られている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、仮支持体フィルム上に、光学活性希土類錯体を含有する蛍光発光層(識別マーク)、及び接着剤層をこの順に積層したことを特徴とする転写箔であって、媒体の表面へ転写されて最表面となり、多数回の繰り返し使用されると、耐擦傷性や耐溶剤性などに欠けて、耐久性に欠けるという欠点がある。
さらにまた、本出願人は樹脂層を設けたシート基材と、ホログラム形成層と受容層を設けた透明シートが積層され、ホログラム形成層及び受容層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施され、樹脂層と透明シートの間で剥離する中間転写記録媒体を開示している(例えば、特許文献5〜6参照。)。しかしながら、ホログラムのみで、蛍光発光層がなく、セキュリティ性に欠けるという欠点がある。
さらにまた、受像層に昇華性熱転写、溶融性熱転写、インクジェット、または電子写真により画像形成し、基材上に熱転写により転写されたカードが知られている(例えば、特許文献7参照。)。しかしながら、インクジェットによる画像は文字などの画像であり、特段のセキュリティ性は有していないという問題点がある。
さらにまた、支持体上の片面に、剥離層、ホログラムパターンを有する第1のホログラム形成層、透過性薄膜層、前記第1のホログラム形成層とは異なるホログラムパターンを有する第2のホログラム形成層、反射性薄膜層、接着層を順次積層してなるホログラム転写箔において、前記透過性薄膜層及び前記第2のホログラム形成層の間に当該透過性薄膜層の少なくとも一部を覆うように印刷層を形成し、前記印刷層は少なくとも一部が蛍光インキで印刷されているホログラム転写箔が知られている(例えば、特許文献8参照。)。しかしながら、蛍光インキはインクジェット方式ではなく、公知の印刷によるもので少ロット対応できず、ましてや、個人情報やオンデマンドで可変情報である画像の印画は極めて困難であるという欠点がある。
さらにまた、本出願人は、樹脂層を設けたシート基材と、受容層とホログラム形成層が積層されている設けた透明シートが積層され、受容層を含めて透明シート部にハーフカット処理が施され、樹脂層と透明シートの間で剥離する中間転写記録媒体の、受容層に転写画像を形成し、該画像形成された部分のみを被転写体へ再転写して画像を形成する画像形成方法が知られている(例えば、特許文献9参照。)。しかしながら、画像は溶融転写又は昇華タイプの熱転写インクリボンを用いる熱転写方法による転写画像であって、残渣インクリボンに個人情報などの痕跡が残り、セキュリティ性に劣るという欠点がある。
請求項2の発明に係わる偽造防止媒体は、請求項1に記載のパッチ中間転写記録媒体のパッチが被転写体へ転写された偽造防止媒体において、前記パッチの受容層にインクジェット方式で印画された情報印字層103を有するように、したものである。
請求項2の本発明によれば、個人情報がインクジェット方式で印画され、かつ、パッチが保護層となって、多数回の繰り返し使用などの過酷な使用条件においても、偽造防止媒体の表面を保護して耐擦傷性や耐溶剤性などに加えて、耐熱性や耐光性に優れる蛍光発光性のホログラムを有するセキュリティ性に優れる偽造防止媒体が提供される。
図1は、本発明の1実施例を示すパッチ中間転写記録媒体の断面図である。
図2は、本発明のパッチ中間転写記録媒体を用いて転写した本発明の1実施例を示す偽造防止媒体の断面図である。
カチオン性フィックス剤としては、ポリアミン誘導体や第4級アンモニウム塩などの染料固着剤が例示できる。
フィラーとしては、箔切れ性を良くし、透明性を害さない程度に含有させ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、プラスチックピグメント等の透明性の高い微粒子やワックス等で、マイクロシリカが好ましい。
・<ホログラム層組成物>
MHX405ニス(ザ・インクテック社製、電離放射線硬化性樹脂、商品名)
25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社製、赤発光性の希土類錯体商品名)
0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
次に、該層面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。
該ホログラム層15のレリーフ面へ、厚さ50nmの酸化チタンを真空蒸着法で形成して、透明反射層17とした。
該透明反射層17面へ、下記のプライマ層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が0.5μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた後に、該プライマ層面へ下記の受容層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が1μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、受容層23を形成して、透明基材11/剥離層13/ホログラム層15/透明反射層17/プライマ層/受容層23の層構成からなる転写材10を得た。
・<プライマ層組成物途工液>
ポリエステル樹脂 20部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1部
溶媒(トルエン:メチルエチルケトン=1:1)40部
・<受容層組成物>
第4級アンモニウム塩型ポリカーボネート系ポリウレタン 20部
ダンフィックス505RE(日東紡績社製;ポリカチオン性フィックス剤)2部
マイクロシリカ(平均粒子径0.5μ) 1部
溶媒(水) 80部
別途、支持体31として厚さ38μmのPETフィルムを用い、該支持体31と先に製造した転写材10とを積層する。支持体31面へ下記剥離性樹脂層組成物を、乾燥後の塗布量が3μmになるように、塗工し100℃で乾燥させた後に、転写材10の透明基材11面とを加圧するドライラミネーション法により積層品を得た。
・<剥離性樹脂層組成物(簡易接着層タイプ)>
アクリル系樹脂ラテックス(日本ゼオン(株)製、LX874) 30部
溶媒(水:イソプロピルアルコール=1:1) 70部
上記の積層品に対して、転写材10部分に角丸の矩形状のカッター刃を取り付けた上型と台座とのプレス方式でハーフカット処理を行い、カス取りを行って、パッチが剥離可能に積層された連続巻取状の実施例1のパッチ中間転写記録媒体20を得た。
まず、透明なハードコート層組成物を用いて、グラビアリバースコーターで乾燥後の塗布厚さが6μmになるように塗工し100℃で乾燥させて、ハードコート層を形成した。
該ハードコート層面へ、赤発光性のホログラム層組成物、緑発光性のホログラム層組成物、青発光性のホログラム層組成物を用いて、グラビア印刷法で顔写真を印刷した後に、該層面へ、立体の社章の2光束干渉法によるホログラムから、2P法で複製した絵柄(立体の社章像を再生するレリーフ)と、該絵柄毎にホログラムマークが設けて一対とし、該一対を複製の流れ方向へ順次羅列して複数絵柄としたプレス型を複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、ホログラム層15を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例3のパッチ中間転写記録媒体20を得た。
・<ハードコート層組成物>
MHX405ニス(前出) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
・<赤発光性のホログラム層組成物>
MHX405ニス(前出) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
ルミシスR−600(セントラルテクノ社製、赤発光性の希土類錯体商品名)
0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
・<緑発光性のホログラム層組成物>
MHX405ニス(前出) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
ルミシスG−900(セントラルテクノ社製、緑発光性の希土類錯体商品名)
0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
・<青発光性のホログラム層組成物>
MHX405ニス(前出) 25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
ルミシスYB−1200(セントラルテクノ社製、青発光性の希土類錯体商品名)
0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
・<ホログラム層組成物>
MHX405ニス(ザ・インクテック社製、電離放射線硬化性樹脂、商品名)
25部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.15部
蛍光増白剤 0.3部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70部
実施例1〜3及び比較例1のパッチ中間転写記録媒体20は、転写時の剥離性もよく、正常に転写することができた。実施例4〜6の偽造防止媒体100のインクジェット方式での会社名、氏名及び顔写真の画像は、滲みもなく、正常に印画できていた。
耐光性に関しては、実施例1〜3及び比較例1のパッチ中間転写記録媒体20、並びに実施例4〜6及び比較例2の偽造防止媒体100を用いて、JIS−B−7753(サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機)に準拠して測定を行い、500時間の耐光性試験後における蛍光画像の色の変化を照射前と比較して目視で評価した。耐光性試験500時間後の実施例1〜3のパッチ中間転写記録媒体20、実施例4〜6の偽造防止媒体100に、波長365nmのブラックライトで紫外線を照射すると、耐光性試験前と著しい変化はなく、良好に蛍光発光し、ホログラム画像の輪郭も見え、良好な耐光性であった。このことは、ホログラム層へ含ませる蛍光発光剤の材料を希土類錯体と限定することで、得られた耐光性であり、意匠性やセキュリティ性の向上を図ることができた。
しかしながら、耐光性試験500時間後の比較例1のパッチ中間転写記録媒体、及び比較例2の偽造防止媒体では、波長365nmのブラックライトで紫外線を照射すると、耐光性試験前の蛍光画像と比較して極めて弱く蛍光発光するのみで、蛍光層の蛍光増白剤の劣化が著しく、不良であった。また、ホログラム画像の輪郭も認められなかった。
11:基材
15:ホログラム層
17:反射層
20:パッチ中間転写記録媒体
21:パッチ
23:受容層
30:支持材
31:支持基材
33:剥離性樹脂層
100:偽造防止媒体
101:被転写体
103:情報印字層
Claims (2)
- (1)透明基材、該透明基材の一方の面にホログラム層、反射層及び受容層からなる転写材と、(2)支持基材へ剥離性樹脂層を設けた支持材とからなり、前記転写材の転写部をハーフカット処理を施してパッチとし、該パッチが前記支持材の剥離性樹脂層面へ剥離可能に積層されているパッチ中間転写記録媒体において、前記ホログラム層が電離放射線硬化樹脂と蛍光発光性の希土類錯体とを含み、前記電離放射線硬化樹脂の吸収波長領域が前記蛍光発光性の希土類錯体の吸収波長領域と異なり、前記受容層が少なくともカチオン性ウレタン系樹脂、カチオン性フィックス剤及びフィラーとを含み、該受容層へインクジェット方式で情報が印画できることを特徴とするパッチ中間転写記録媒体。
- 請求項1に記載のパッチ中間転写記録媒体のパッチが被転写体へ転写された偽造防止媒体において、前記パッチの受容層にインクジェット方式で印画された情報印字層103を有することを特徴とする偽造防止媒体。
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