JP5233240B2 - ポリウレタンフォーム製造用添加剤、ポリウレタンフォームの注入発泡用組成物およびポリウレタンフォームパネルの製造方法 - Google Patents

ポリウレタンフォーム製造用添加剤、ポリウレタンフォームの注入発泡用組成物およびポリウレタンフォームパネルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリウレタンフォーム製造用添加剤、ポリウレタンフォームの注入発泡用組成物およびポリウレタンフォームパネルの製造方法に関する。
一般に、ポリウレタンフォームは、優れた断熱特性、難燃性を有することから、冷蔵室、冷蔵庫、冷凍室、冷凍庫、一般建造物の断熱材などに広く使用されている。一般に、ポリウレタンフォームは、ポリイソシアネート液(A液)と、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールから成るポリオール、発泡剤、更に必要に応じて触媒や界面活性剤などを混合した混合液(ポリオールプレミックス液:B液)を用意し、それらを混合して、短時間で発泡、硬化させる方法で製造される。
ポリウレタンフォーム製造時の反応性は塩基触媒の量及び/又は活性に大きく依存する。工業的な製造、例えば、一般建造物で使用されるスプレー工法の場合、一般的に発泡速度は非常に速く、高活性の塩基触媒や多量の塩基触媒を使用する。また、電気冷蔵庫やパネル成形等のいわゆる注入発泡では、一般に的に注型可使時間(注型作業できる時間)を長くとる必要があることから、特に初期の反応速度を落とす必要がある。このため低活性の触媒を使用したり、添加量を減らしたりする等の措置が採られている。
しかしながら、注入発泡、例えば、ポリウレタンフォームパネルの製造において、初期の反応速度を抑えるために塩基触媒を減らした場合、中盤以降の反応性も低下し、例えば未反応のイソシアネートが多く残り、ポリウレタンフォームパネルの硬化性、寸法安定性、接着性などの所謂キュア性に悪影響を与える場合がある。特に、脱型時の膨張は問題であり、触媒を減らすことで硬化時間が長くなると短時間での脱型では膨張率が上がってしまい、それを抑えるために脱型時間を長く取ると生産性を悪化させてしまう。このために低活性の塩基触媒を多く使用する等の工夫が一般に行われているが、塩基触媒には泡化触媒、樹脂化触媒、イソシアヌレート化触媒などの種類があり、通常、様々な目的で何種類かを組み合わせて使用するため、単純に低活性の塩基触媒を使用したり、触媒量を減らしたりすることが難しい場合もある。
触媒量を余り減らさずに初期反応性を落としつつキュア性を維持する方法として、例えば触媒の3級アミンが部分的または全体的にカルボン酸で中和された酸ブロック触媒、いわゆる遅延作用触媒を使用する方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、これらの酸ブロック触媒は、前述の泡化、樹脂化、イソシアヌレート化などの様々な種類に対応しないことや、一般に高価であるといった欠点がある。
酸ブロック触媒は問題点があるものの、やはり反応性とキュア性の調節という面においては有用な方法の1つであり、様々な改良が行われてきた。例えば、3級アミンとヒドロキシル官能性を有するカルボン酸との塩を使用する方法(特許文献2)、3級アミンとハロ官能性有するカルボン酸との塩を使用する方法(特許文献3)等が挙げられるが、こういった酸ブロック触媒は、他との相溶性に乏しく、更にはコスト的な不利を招く。しかも、ハロゲン化合物を使用した場合には環境的にも好ましくない。
一方で、ポリウレタンフォームパネルの難燃性、耐熱性、機械強度などの向上のため、一般に芳香族及び/又は脂肪族の各種ポリエステルポリオールがポリオールの一部として使用されるが、それらポリエステルポリオールは酸価を指標とする未反応のカルボキシル基を有する。それら未反応のカルボキシル基は、先述した塩基触媒を失活あるいは低活性化し、発泡速度に影響を及ぼす場合がある。逆に先述の酸ブロック触媒を使用せず、ポリエステルポリオール中の若干量の未反応カルボキシル基を利用し、塩基触媒の活性を落とすことで反応性とキュア性を調節することも可能である。
しかしながら、ポリエステルポリオールの製造において、通常、酸価は徹底的に落とされ、その理由としては次の様な点が挙げられる。
(1)ポリエステルポリオールの需要はスプレー工法での使用が圧倒的に多く、低酸価品が望まれる。
(2)ポリエステルポリオールの保存安定性のために必要である。
(3)製造工程的に中途半端な酸価(エステル化反応率)で制御して反応を止めることが困難であり、また、様々な種類の酸価の在庫品を持つことが困難である。
低酸価のポリエステルポリオールを使用し、何らかの酸を更に添加して酸価を調節することも可能であるが、例えば、脂肪族カルボン酸(酢酸、プロピオン酸など)では蒸気圧、臭気が問題になり、芳香族カルボン酸(安息香酸、フタル酸など)では相溶性に欠けるといった問題がある他、コスト高となる。
いわゆる酸価の高いポリエステルポリオールの極端な例として、5〜100mgKOH/gの酸価を有するカルボン酸末端化ポリエステルが提案されている(特許文献4)。これは、水酸基を持たないエステル化合物であり、イソシアネートとの反応性に問題がある他、製造が比較的難しくコストが掛かる欠点がある。
よって、ポリオールの酸価、ひいてはポリウレタンフォーム用組成物の酸価と塩基触媒量のバランスを、安価かつ効果的に調節できるような材料があれば、これまで述べた問題点を解決することが出来る。
特開平7−97472号公報 特開平7−233234号公報 特開2000−204134号公報 特開平6−220236号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、酸価と塩基触媒量のバランスを調節し、つまり、注型可使時間を維持したまま触媒の増量を可能にし、結果的にキュア性を改善して脱型膨張や寸法安定性を改善することが出来るポリウレタンフォーム製造用添加剤、それを使用したポリウレタンフォームの注入発泡用組成物およびそれを使用したポリウレタンフォームパネルの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリウレタンフォーム製造用の添加剤として特定の構造的特徴を備えた特定の液状エステル化合物を使用することにより、上記課題を解決できるとの知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その第1の要旨は、2価カルボン酸無水物をA、2価アルコールをBとした場合、A−B型及び/又はA−B−A型で表される、2価アルコールによる2価カルボン酸無水物の開環反応生成物から成ることを特徴とするポリウレタンフォーム製造用添加剤に存し、その第2の要旨は、少なくとも、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、触媒、界面活性剤を含有するポリウレタンフォームの注入発泡用組成物であって、更に、ポリオール100重量部に対し上記のポリウレタンフォーム製造用添加剤0.005〜10重量部を含有して成ることを特徴とするポリウレタンフォームの注入発泡用組成物に存する。
そして、本発明の第3の要旨は、少なくとも、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、触媒、界面活性剤を含有し、更に、ポリオール100重量部に対し前記のポリウレタンフォーム製造用添加剤0.005〜10重量部を含有して成るポリウレタンフォームの注入発泡用組成物をポリウレタンフォームパネル製造用の型枠に注入して発泡させることを特徴とするポリウレタンフォームパネルの製造方法に存する。
本発明によれば、酸価と塩基触媒量のバランスを調節し、つまり、注型可使時間を維持したまま触媒の増量を可能にし、結果的にキュア性を改善して脱型膨張や寸法安定性を改善することが出来るポリウレタンフォーム製造用添加剤、それを使用したポリウレタンフォームの注入発泡用組成物およびそれを使用したポリウレタンフォームパネルの製造方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明において、ポリウレタンフォーム製造用添加剤として使用される、2価アルコールによる2価カルボン酸無水物の開環反応生成物について説明する。この化合物は液状エステル化合物である。
2価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸などの脂肪族または芳香族のカルボン酸無水物が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。好ましい2価カルボン酸無水物は、無水フタル酸または無水マレイン酸である。反応を開環反応だけに留めやすいという点と、一般的な芳香族ポリエステルポリオールの主原料であることから物性を余り大きく変えないという観点より、無水フタル酸がより好ましい。カルボン酸無水物ではなく、例えば、コハク酸のような通常の2価カルボン酸を使用してもよいが、開環反応(エステル化反)応時に副生水が生成することが問題となる場合がある。また、トリメリット酸無水物のような3価以上のカルボン酸無水物を使用してもよいが、コスト的に有利ではない。1価カルボン酸無水物を使用することも出来るが、例えば酢酸無水物を使用した場合、臭気や腐食性が問題となる場合があるので、注意が必要である。悪影響の少ない範囲で、2価カルボン酸無水物と1価及び/又は3価以上のカルボン酸無水物を併用してもいい。
2価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン/オキシプロピレン共重合グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等の長鎖ポリエーテルポリオールが挙げられる。2価アルコールは2種類以上を併用してもよい。一般的なポリエステルポリオールにおいて無水フタル酸との組み合わせで使用されるため、物性をあまり大きく変えることがないと点とコスト面から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、メタノール、2−エチルヘキサノールのような1価アルコールや、グリセリン、トリメチロールプロパンのような3価以上のアルコールを併用してもよい。
開環反応生成物の製造時、2価カルボン酸無水物と2価アルコールの使用割合(モル比)は、2価カルボン酸無水物の1モルに対する2価アルコールの割合として、通常1.05〜2.50モルの範囲である。2価カルボン酸無水物に対する2価アルコールのモル比が1.05未満の場合、更に反応の進んだオリゴマー状エステル化合物が多い分子量分布となり、得られる製品の粘度が著しく高くなる他、反応条件によっては未反応の2価カルボン酸無水物が未反応で多く残る。一方、2価カルボン酸無水物に対する2価アルコールのモル比が2.50を超える場合、逆に未反応の2価アルコールが多く残る。2価カルボン酸無水物と2価アルコールの使用割合(モル比)は、好ましくは1.10〜2.30、更に好ましくは1.20〜2.00である。2価以外のカルボン酸およびアルコールを使用する場合にも全カルボキシル基に対する全水酸基のモル比は、通常1.05〜2.50の範囲である。
開環反応生成物の酸価は、通常50〜300mgKOH/g、好ましくは70〜270mgKOH/g、更に好ましくは100〜250mgKOH/gの範囲である。酸価が50mgKOH/gより小さい場合は、ポリウレタンフォーム用組成物の酸価や反応性の調節剤としての効果が小さくなる。一方、300mgKOH/gより大きい場合は保存安定性が悪くなったり、腐食性が大きくなる可能性がある。
本発明で使用する開環反応生成物は、2価カルボン酸無水物をA、2価アルコールをBとした場合に、以下に示すA−B型またはA−B−A型で表される。例えば、無水フタル酸とジエチレングリコールを原料として使用した場合、A−B型はヒドロキシカルボン酸であり、A−B−A型はジカルボン酸となる。
Figure 0005233240
開環反応生成物には、上記の開環反応生成物の他に、未反応の2価カルボン酸無水物および2価アルコールとオリゴマー状エステル化合物の混合物がある。これらの組成比(分子量分布)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)等で分析できる。A−B型及び/又はA−B−A型の合計量は、開環反応生成物全体の中の割合として、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。A−B型及び/又はA−B−A型の含有量が50重量%より小さくい場合は、ポリウレタンフォーム用組成物の酸価や反応性の調節剤としての効果が小さくなる他、オリゴマー状エステル化合物が多い場合は粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合がある。
開環反応生成物の製造においてはエステル化触媒を使用しないのが好ましい。エステル化触媒を使用した場合、反応が2価カルボン酸無水物の開環反応だけで止まらず、更に、エステル化、オリゴマー化することがある。勿論、原料や反応条件によっては少量の触媒を使用することが出来る。その際は一般的な酸触媒が使用される。ルイス酸としては、例えば、テトラ−iso−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のオルトチタン酸エステル、ジエチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド等の錫系化合物、酸化亜鉛などの金属化合物が使用される。また、ルイス酸の他には、パラトルエンスルホン酸などのブレンステッド酸が使用できる。
反応温度は、通常100〜200℃、好ましくは130〜170℃である。反応を2価カルボン酸無水物の開環反応のみで留めるため、余り温度を上げ過ぎないことが重要である。例えば、130〜140℃で無水フタル酸の開環エステル化を行った場合、発熱のため160℃程度まで温度が上昇し、場合によっては除熱も必要となる。また、2価アルコールに2価カルボン酸無水物を少しずつ添加する等、急激な発熱を抑えるような反応条件で行うことも必要である。
一方、反応圧力は、通常88kPa程度の微減圧、好ましくは常圧、場合によっては115kPa程度の微加圧でも可能である。やはり反応を開環反応のみで留めるため、余り減圧度を上げ過ぎないことが重要である。例えば、エチレングリコールのような比較的に反応性の高い2価アルコールを使用した場合、反応を開環反応のみで留めるためには、温度、圧力に更に注意する必要がある。勿論、原料の種類、目標とする酸価、分子量分布によっては、温度や圧力が上記の範囲を超えてもよい。
反応時間は、通常5〜30分である。余り長時間反応させると更にエステル化反応やオリゴマー化反応が進行することがある。なお、エステル化反応に伴う副生水の留出が開環反応以外のエステル化やオリゴマー化反応の進行の目安になるが、余りエステル化やオリゴマー化反応を進めると得られる製品中の水分が多くなり、加水分解による保存安定性の低下を来す場合もある。
反応開始時には、製品の着色を防ぐために反応容器の空間部を窒素置換し、更に反応液中の溶存酸素も除去することが好ましい。また、反応形式は、通常のバッチ形式または連続形式の何れも適用できるが、製品粘度が原料の2価アルコールに比べてかなり高くなる場合があること等から、バッチ形式の方が好ましい。
次に、本発明のポリウレタンフォームの注入発泡用組成物について説明する。
本発明のポリウレタンフォームの注入発泡用組成物は、少なくとも、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、触媒、界面活性剤を含有する。更に、その他助剤を含有していてもよい。この点は、従来の組成物と同じである。
本発明のポリウレタンフォームの注入発泡用組成物の特徴は、ポリオール100重量部に対し2価アルコールによる2価カルボン酸無水物の開環反応生成物0.005〜10重量部を含有して成る点にある。開環反応生成物は、ポリウレタンフォームの注入発泡用組成物の酸価や反応性の調節剤としての作用を有する。その結果、開環反応生成物を添加剤として使用することにより、酸価と塩基触媒量のバランスを調節することが出来、注型可使時間を維持したまま触媒の増量を可能にし、結果的にキュア性を改善して脱型膨張や寸法安定性を改善することが出来る。
実用的には、ポリイソシアネートをA液、ポリオールをB液として、発泡剤、触媒、界面活性剤、その他助剤、開環反応生成物などは予めA液及び/又はB液に適宜混合させる。なお、発泡剤、触媒、界面活性剤は、B液に混合するのが好ましい。また、それぞれの成分をウレタン化反応の直前まで混合せずに3種類以上の原料液として取り扱う場合もある。
また、開環反応生成物は、ポリオールの一部として、例えばポリエステルポリオールと一緒に取り扱ってもよい。例えば、酸価180の開環反応生成物を使用して、酸価0.5の無水フタル酸系ポリエステルポリオールを酸価2.5の同ポリエステルポリオールと同等の酸価にする場合、その添加量は計算で求めることが出来、無水フタル酸系ポリエステルポリオール:開環反応生成物=100:1.13(重量部)となる。一方、反応性の観点からは、一般的な無水フタル酸系ポリエステルポリオールの残存カルボキシル基は、その分子量から立体障害の影響を受けるが、開環反応生成物は立体障害の程度が比較的小さく、カルボキシル基の酸性度がより高いと考えられる。そのため、例えば、酸価180の開環反応生成物を使用して、酸価0.5の無水フタル酸系ポリエステルポリオールを酸価2.5の同ポリエステルポリオールと同等の反応性にするためには、その添加量を酸価の計算で求めた量よりも少なくする必要があることもある。
ポリイソシアネートとしては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する有機化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、脂肪族系、脂環族系、芳香族系の各ポリイソシアネート又はこれらの変性物が挙げられる。具体的には、脂肪族系および脂環族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。芳香族系ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート等が挙げられ、更に、これらのカルボジイミド変性物やプレポリマー等の変性物も包含される。
本発明において好ましいポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート又はその変性物であり、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びこれらの変性物が特に好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートとしては、イソシアネート基含有率が通常29〜32重量%、粘度が通常250mPa・s(25℃)以下のものが好適に使用される。また、これらの変性物のうち、カルボジイミド変性物は、公知のリン系触媒などを使用してカルボジイミド結合を導入したものである。プレポリマーは、上記のポリイソシアネートとポリオールとを反応させ、末端にイソシアネート基を残したものである。その際、使用するポリオールとしては、ポリウレタンを製造する際に使用するポリオールが使用できる。
実用的には、A液として、これらのポリイソシアネートの他に、用途に応じて、添加剤、助剤をポリイソシアネートに混合して使用してもよい。例えば、B液との混合性を向上させるために、B液でも使用される界面活性剤を相溶化剤として併用する場合がある。その際には、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。また、難燃性の向上や粘度の調節を目的として、難燃剤を併用する場合がある。ポリウレタンフォームの用途においては、通常、クロロアルキルホスフェート類、例えば、トリス(ベータクロロエチル)ホスフェート、トリス(ベータクロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。上記以外の添加剤や助剤については、特に限定されず、通常の樹脂において物性向上や操作性向上などの目的で使用されるものであり、ウレタン化反応に著しい悪影響を及ぼすものでなければ何を使用してもよい。
ポリオールとしては、水酸基価が通常50〜800、官能基数が通常2.0〜8.0のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することが出来、また、これらを2種類以上を併用してもよい。ポリオールの使用量は、通常、ポリオールの全量を100重量部とし、例えば、ポリエーテルポリオールが30〜80重量部、ポリエステルポリオールが70〜20重量部の範囲から、目的に応じて種々配合される。例えば、芳香族系のポリエステルポリオールの配合量が多い場合、難燃性の高いポリウレタンフォームが得られる。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド及びテトラヒドロフラン等の単独または併用によるアルキレンオキシドの重合物;ショ糖、ソルビトール、グリセリン等の3官能以上のアルコール類と上記アルキレンオキシドの付加物;脂肪族アミン及び芳香族アミンと上記アルキレンオキシドの付加物などが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、カルボン酸成分と2〜3価のアルコールのエステル化反応により得られる、水酸基価が通常100〜500、官能基数が通常1.5〜3.0程度のポリエステルポリオールが挙げられる。カルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、トリメリット酸などの芳香族または脂肪族カルボン酸が使用され、2〜3価のアルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
また、この他に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等の活性水素を1分子中に2個以上有する化合物も併用することが出来る。
発泡剤としては、オゾン破壊係数が通常0.8以下の発泡剤、例えば、「HCFC−141b」の他に、「HFC−245fa」、「HFC−365mfc」等のHFC系発泡剤、ペンタン、シクロペンタン等のHC系発泡剤、HFE系発泡剤などが挙げられる。もちろん水を使用してもよい。水は、ポリイソシアネート成分との反応で炭酸ガスを発生させることにより、発泡剤として作用する。これらの発泡剤は2種以上を併用してもよい。発泡剤の使用量は、目的とするポリウレタンフォームの密度により異なるが、例えば、「HFC−245fa」と水を併用して密度25kg/mのポリウレタンフォームを得る場合、ポリオール100重量部に対し、「HFC−245fa」が20〜50重量部、水が3〜0.5重量部の範囲から適宜選択される。
触媒としては、通常のポリウレタンフォームの製造に使用される公知の触媒が使用できる。例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン等のアミン系触媒の他、四級アンモニウム塩;オクチル酸カリウム等のカリウム系;ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫などの錫系:オクチル酸鉛などの鉛系などが挙げられる。触媒の使用量は、目的とするポリウレタンフォームの物性や反応速度により異なるが、例えば、現場発泡のスプレー工法の場合、ポリオール100重量部に対し、アミン系触媒、四級アンモニウム塩、カリウム系触媒、鉛系触媒は、夫々1〜5重量部の範囲から適宜選択される。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の各界面活性剤を使用することが出来るが、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。界面活性剤の使用量は、ポリオール100重量部に対し、通常0.5〜3重量部である。
その他助剤としては、用途に応じて様々な化合物が挙げられる。例えば、代表的な添加剤として難燃剤が挙げられる。ポリウレタンフォームの用途においては、通常、クロロアルキルホスフェート類、例えば、トリス(ベータクロロエチル)ホスフェート、トリス(ベータクロロプロピル)ホスフェート等がよく使用される。この他、通常の樹脂において物性向上や操作性向上などの目的で使用されるものであり、ウレタン化反応に著しい悪影響を及ぼすものでなければ何を使用してもよい。難燃剤の使用量は、目的とする難燃性によって異なるが、ポリオール100重量部に対し、通常10〜40重量部である。
次に、本発明に係るポリウレタンフォームパネルの製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、少なくとも、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、触媒、界面活性剤を含有し、更に、ポリオール100重量部に対し2価アルコールによる2価カルボン酸無水物の開環反応生成物0.005〜10重量部を含有して成るポリウレタンフォームの注入発泡用組成物をポリウレタンフォームパネル製造用の型枠に注入して発泡させることを特徴とする。各成分の具体例、配合処方などは前述の通りである。
ポリウレタンフォームパネルを製造するにあたっては、サンドイッチパネル等の製造に通常使用される如何なる方法でも使用することが出来、公知の連続生産法やバッチ式生産法を採用し得る。
例えば、連続生産法は、原反から巻き戻して供給される下面材上に発泡原液組成物をミキサーより供給撒布し、次いで上面材を原反から巻き戻して供給し、ニップロールにより発泡原液組成物を上面材と下面材とになじませると共に厚さを均一化し、その後発泡硬化させた後に所定寸法に裁断することによりポリウレタンフォームパネルを製造するものである。中間枠材を有するポリウレタンフォームパネルの製造は、裁断して得られるパネルと中間枠材とを接着することにより行われる。
例えば、バッチ式生産法は、上面材と下面材との間に所定形状の枠材を配設して成形キャビティーを形成し、この枠材の一つの中央部、通常は矩形の枠体の短辺中央部に設けられた注入口から射出成形機にて発泡原液組成物を該成形キャビティーに注入して発泡硬化させることにより周囲に枠材を接着して一体化したポリウレタンフォームパネルを製造するものである。中間枠材を有するポリウレタンフォームパネルの製造においては、中間枠材により区画された2つの成形空間にそれぞれ発泡原液組成物が注入される。
本発明によって得られたポリウレタンフォームは、ウレタン結合やウレア結合とイソシアヌレート結合などを有するものである。イソシアヌレート結合は、イソシアネート基を触媒により三量化させて生成され、機械的強度や難燃性、耐熱性を向上させることが出来る。
本発明において、イソシアネートインデックス(全イソシアネート基のモル数/全活性水素基のモル数×100)は、通常70〜600、好ましくは100〜600、更に好ましくは130〜500、特に好ましくは150〜400である。イソシアネートインデックスが70未満の場合は、得られたポリウレタンフォームが十分な強度を有しないことがあり、しかも、収縮し易くなる可能性がある。また、600を超える場合は、得られるポリウレタンフォームの脆性が高くなり、接着強度が低下する傾向にある。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、実施例中の「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
製造例1(開環反応生成物の合成):
ここで採用した測定法は以下の(1)〜(4)に示す通りである。
(1)酸価の測定:
JIS K15571970に準拠して測定した。
(2)水酸基価の測定:
JIS K15571970に準拠して測定した。
(3)粘度の測定:
JIS K15571970に準拠して回転粘度計(B型粘度計)を使用し、25℃で測定した。
(4)分子量分布の測定:
GPC法で測定した。カラムには、東ソー製「TSK−GELG1000HXL」、「TSK−GELG2000 HXL」、「TSK−GELG3000HXL」(何れも、直径7.8mm、長さ300mm)を3本直列に接続して使用した。溶離液はTHF(流速1.0ml/min)、カラム温度は40℃、検出器はRIの条件で測定した。
<合成方法>
攪拌機、還流冷却機、温度計、圧力計、加熱装置などを装備した、容積が2リットルのガラス製反応器に、表1に記載の2価カルボン酸無水物、2価アルコールを同表に示す組成比にて仕込み、反応器の空間部を窒素ガス置換した後、反応器の加熱を開始した。反応器内温が140〜150℃程度に達した時点で、開環エステル化反応に開始に伴う発熱が観測された。その後も反応温度を160℃に保ちながら15分間反応を続けた。一方、反応器内の圧力は反応終了まで88kPaに維持した。反応終了後、加熱を停止して100℃付近まで冷却し、反応生成物を抜き出した。ここで得られた開環反応生成物の酸価、水酸基価、粘度および分子量分布を測定し、表1に示した。
Figure 0005233240
実施例1〜4及び比較例1〜4:
[プレミックス液の調製]
表2に示す原料を使用し、表3に示す配合により、ポリオールプレミックス液、「プレミックス液1〜8」を調製した。
Figure 0005233240
Figure 0005233240
[ポリウレタンフォームの製造]
A液(ポリイソシアネート液)と表3に記載のB液(ポリオールプレミックス液)を所定の密度になるように所定量混合した後、パネル成形の型枠に流し込んで硬化させ、ポリウレタンフォームパネルを製造した。なお、イソシアネート(MDI)としてはポリメリックMDI(日本ポリウレタン工業株式会社製「ミリオネート MR−200」)を使用した。発泡条件は以下の表4に示す通りである。
Figure 0005233240
上記で得られたポリウレタンフォームパネルの評価は下記の方法で行い、結果を表5に示した。
(1)密度:
成形したポリウレタンフォームパネルの重量を測定し、型枠の体積から密度を計算した。
(2)脱型膨張:
脱型直後にポリウレタンフォームパネルの中央部を切断して厚みを測定し、型枠の厚みから計算して膨張率を求めた。
(3)寸法安定性け
ポリウレタンフォームパネルの中央部を10x10cmに切り出し、60℃/95%RHにおける24時間後の厚みを測定し、脱型時の厚みから計算して寸法変化率(厚み方向)を求めた。
(4)接着性:
下面にクラフト紙面材を使用してポリウレタンフォームパネルを作成し、中央部を5x10cmに切り出して試験片を作成。クラフト紙面材の長さ方向端部を1cm引き剥がした後に引張試験機で厚み方向に引っ張り、その剥離強度(N/5cm)を測定して、以下の基準で評価した。
◎ : 15N/5cm以上
○ : 13N/5cm以上
△ : 10N/5cm以上
× : 10N/5cm未満
(5)脆性:
ポリウレタンフォームパネルの表面触診と定性観察を行って、以下の基準で評価した。
◎ : 全く脆さがない。
○ : ほとんど脆さがない。
× : 若干の脆さがある。
(6)注型可使時間:
別途、内寸20×20発20cmの上部開放木箱(内面にポリエチレン製シート貼付)でフリー発泡させ、発泡高さが1%に到達する時間を測定して、注型可使時間の目安とした。
Figure 0005233240
表5より、主に次のことが明らかである。
(1)実施例1〜4と比較例1及び2との比較結果:
開環反応生成物を低酸価のポリエステルポリオールと組み合わせた場合、注型可使時間を維持したままでの触媒の増量が可能であり、結果的に脱型膨張、寸法安定性、接着性、脆性などの物性も改善される。
(2)実施例1及び2と比較例1及び2との比較結果:
開環反応生成物を使用する場合、添加量を増やすことにより更に触媒の増量が可能であり、結果的に、脱型膨張、寸法安定性、接着性、脆性などの物性も改善される。

Claims (5)

  1. 2価カルボン酸無水物をA、2価アルコールをBとした場合、A−B型及び/又はA−B−A型で表される、2価アルコールによる2価カルボン酸無水物の開環反応生成物から成ることを特徴とするポリウレタンフォーム製造用添加剤。
  2. 2価アルコールによる2価カルボン酸無水物の開環反応生成物が、2価カルボン酸無水物に対する2価アルコールのモル比が1.05〜2.50の反応条件下で得られたものであり、その酸価が50〜300mgKOH/gの範囲である請求項1に記載の添加剤。
  3. 2価カルボン酸無水物が無水フタル酸であり、2価アルコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールの群から選ばれた1種または2種以上のグリコールである請求項1又は2に記載の添加剤。
  4. 少なくとも、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、触媒、界面活性剤を含有するポリウレタンフォームの注入発泡用組成物であって、更に、ポリオール100重量部に対し請求項1〜の何れかに記載のポリウレタンフォーム製造用添加剤0.005〜10重量部を含有して成ることを特徴とするポリウレタンフォームの注入発泡用組成物。
  5. 少なくとも、ポリイソシアネート、ポリオール、発泡剤、触媒、界面活性剤を含有し、更に、ポリオール100重量部に対し請求項1〜の何れかに記載のポリウレタンフォーム製造用添加剤0.005〜10重量部を含有して成るポリウレタンフォームの注入発泡用組成物をポリウレタンフォームパネル製造用の型枠に注入して発泡させることを特徴とするポリウレタンフォームパネルの製造方法。
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