JP2008266569A - ポリウレタンフォーム製造用の添加剤及びポリウレタンフォーム用組成物並びにポリウレタンフォームの製造方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】
ポリウレタンフォーム製造の原料として使用した際に、酸価と塩基触媒量のバランスを調整し、効果的に反応性とキュア性を制御することができるポリウレタンフォーム製造用の添加剤と、それを配合したポリウレタンフォーム用組成物ならびにそれを用いたポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】
2価カルボン酸無水物成分/2価アルコール成分が1/1.05〜2.50の組成比からなり、酸価が50〜300mgKOH/gの範囲である開環反応生成物(g)からなるポリウレタンフォーム用組成物の添加剤を用いる。
【選択図】 なし
ポリウレタンフォーム製造の原料として使用した際に、酸価と塩基触媒量のバランスを調整し、効果的に反応性とキュア性を制御することができるポリウレタンフォーム製造用の添加剤と、それを配合したポリウレタンフォーム用組成物ならびにそれを用いたポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】
2価カルボン酸無水物成分/2価アルコール成分が1/1.05〜2.50の組成比からなり、酸価が50〜300mgKOH/gの範囲である開環反応生成物(g)からなるポリウレタンフォーム用組成物の添加剤を用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、主に断熱材等に使用されるポリウレタンフォーム製造用の添加剤及びポリウレタンフォーム用組成物並びにポリウレタンフォームの製造方法に関する。詳しくは、ポリウレタンフォーム製造の原料として使用した際に、酸価と塩基触媒量のバランスを調整し、効果的に反応性とキュア性を制御することができるポリウレタンフォーム製造用の添加剤及び当該添加剤を配合したポリウレタンフォーム用組成物並びにそれを用いたポリウレタンフォームの製造方法に関する。 尚、ここで述べる反応性とは、ポリウレタンフォーム製造時のイソシアネート基と活性水素基との反応速度のことを指す。
ポリウレタンフォームは一般に優れた断熱特性、難燃性を有することから、冷蔵室、冷蔵庫、冷凍室、冷凍庫、一般建造物の断熱材等に広く用いられている。ポリウレタンフォームは、一般にポリイソシアネート成分液(A液)と、ポリエーテルポリオール及び/またはポリエステルポリオールからなるポリオール成分、発泡剤、さらに必要に応じて触媒や界面活性剤等を混合した混合液(ポリオールプレミックス液:B液)を用意し、それらを混合して、短時間で発泡、硬化させる方法で製造される。
ウレタンフォーム製造時、その反応性は塩基触媒の量及び/または活性に大きく依存する。工業的、産業的な製造において、例えば一般建造物で用いられるスプレー工法ではその発泡速度は一般的に非常に速く、高活性の塩基触媒や多量の塩基触媒を用いる。また、電気冷蔵庫やパネル成形等のいわゆる注入発泡等では、一般に注型可使時間を長くとる必要があることから、特に初期の反応速度を落とす必要がある。このため低活性の触媒を用いたり、添加量を減らしたりする等の措置がとられている。
しかしながら注入発泡等で初期の反応速度を抑えるために塩基触媒を減らした場合、中盤以降の反応性も低下し、例えば未反応のイソシアネートが多く残り、ポリウレタンフォームの硬化性や初期寸法安定性、接着性等のいわゆるキュア性に悪影響を与える場合がある。このために低活性の塩基触媒を多く用いる等の工夫が一般に行われているが、塩基触媒には泡化触媒、樹脂化触媒、イソシアヌレート化触媒等の種類があり、通常、様々な目的で何種類かを組み合わせて使用されるため、単に低活性の塩基触媒を用いたり、触媒量を減らしたりすることが難しい場合もある。
触媒量をあまり減らさずに初期反応性を落としつつキュア性を維持する方法として、例えば触媒の3級アミン成分が部分的または全体的にカルボン酸で中和された酸ブロック触媒、いわゆる遅延作用触媒を用いる方法が提案されている。(特開平7−97472) しかしながらこれらのブロック触媒は前述の泡化、樹脂化、イソシアヌレート化等の様々な種類に対応しないことや、一般に高価であるといった欠点がある。
こういった酸ブロック触媒は問題点もあるものの、やはり反応性とキュア性の調整という面においては有用な方法の1つであり、様々な改良も行われてきた。例えば、3級アミンとヒドロキシル官能性を有するカルボン酸との塩を使用する方法(特開平7−233234)や、3級アミンとハロ官能性有するカルボン酸との塩を使用する方法(特開2000−204134)等が挙げられるが、こういったブロック触媒は他の成分との相溶性に乏しく、さらにはコスト的に不利になったり、ハロゲン化合物を用いた場合には環境的にも好ましくない。
一方で、ポリウレタンフォームの難燃性や耐熱性、機械強度等の向上のため、芳香族及び./または脂肪族の各種ポリエステルポリオールがポリオール成分の一部として一般に用いられるが、それらポリエステルポリオールは酸価を指標とする未反応のカルボキシル基を有する。それら未反応のカルボキシル基は先述した塩基触媒を失活及び/又は低活性化し、発泡速度に影響を及ぼす場合がある。逆に先述のブロック触媒を用いず、ポリエステルポリオール中の若干量の未反応カルボキシル基を利用し、塩基触媒の活性を落とすことで反応性とキュア性を調整することも可能である。
しかしながら、ポリエステルポリオールの製造において、通常、酸価は徹底的に落とされる。その理由としては、1)ポリエステルポリオールの需要はスプレー工法での使用が圧倒的に多く、低酸価品が望まれること 2)ポリエステルポリオールの保存安定性のため 3)工程的に中途半端な酸価(エステル化反応率)で制御して反応を止めることや、様々な種類の酸価の在庫品を持つことが難しいこと等が挙げられる。
低酸価のポリエステルポリオールを用い、何らかの酸成分をさらに添加して酸価を調整することも可能であるが、例えば脂肪族カルボン酸の酢酸、プロピオン酸等では蒸気圧、臭気が問題になり、芳香族カルボン酸の安息香酸、フタル酸等では相溶性に欠けるといった問題があるほか、コストを考えた場合に好ましくない。
いわゆる酸価の高いポリエステルポリオールの極端な例として、5〜100mgKOH/gの酸価を有するカルボン酸末端化ポリエステルが提案されている。(特開平6−220236) これは水酸基を持たないエステル化合物であり、イソシアネートとの反応性に問題があるほか、製造が比較的難しくコストがかかる欠点がある。
よって、ポリエステルポリオールの酸価、ひいてはポリウレタンフォーム用組成物の酸価と塩基触媒量のバランスを安価、かつ効果的に調整できるような材料があれば、これまで述べた課題、問題点の解決につなげることができる。
特開平7−97472
特開平7−233234
特開2000−204134
特開平6−220236
従って、本発明の目的は、ポリウレタンフォーム用組成物において、酸価と塩基触媒量のバランスを調整し、効果的に反応性とキュア性を制御することのできる、ポリウレタンフォーム製造用の添加剤を提供すること、それを用いたポリウレタンフォーム用組成物及びポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
これらの目的を達成すべく、鋭意検討した結果、特定の構造的特徴を備えた特定の液状エステル化合物をポリウレタンフォーム製造用の添加剤として用いることにより、上記課題を解決できるとの知見を得た。即ち、2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)として得られる特定の液状エステル化合物をポリウレタンフォーム製造用の添加剤として用いることで、酸価と塩基触媒量のバランスを調整し、効果的に反応性とキュア性を制御することができることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下を特徴とする要旨を有するものである。
(1) 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)からなるポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
(2) 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)が、2価カルボン酸無水物成分をA、2価アルコール成分をBとした場合に、A−B型またはA−B−A型で表されるものを主成分とすることを特徴とする(1)に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
(3) 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)が、2価カルボン酸無水物成分に対する2価アルコール成分のモル比が1.05〜2.50の条件で2価カルボン酸無水物成分を開環反応して得られたものであり、開環反応生成物(g)の酸価が50〜300mgKOH/gの範囲であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
(4) 2価カルボン酸無水物成分が無水フタル酸であり、2価アルコール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上のグリコールであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
(5) (a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、(c)発泡剤、(d)触媒、(e)界面活性剤及び(f)その他助剤からなるポリウレタンフォーム用組成物において、(1)乃至(4)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤をさらに含むことを特徴とするポリウレタンフォーム用組成物。
(6) ポリウレタンフォーム製造用の添加剤の配合量が、(b)ポリオール成分100重量部に対し、0.01〜20重量部であることを特徴とする(5)に記載のポリウレタンフォーム用組成物。
(7) (1)乃至(4)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤を用いたポリウレタンフォームの製造方法。
(8) (5)又は(6)に記載のポリウレタンフォーム用組成物を用いたポリウレタンフォームの製造方法。
(1) 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)からなるポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
(2) 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)が、2価カルボン酸無水物成分をA、2価アルコール成分をBとした場合に、A−B型またはA−B−A型で表されるものを主成分とすることを特徴とする(1)に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
(3) 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)が、2価カルボン酸無水物成分に対する2価アルコール成分のモル比が1.05〜2.50の条件で2価カルボン酸無水物成分を開環反応して得られたものであり、開環反応生成物(g)の酸価が50〜300mgKOH/gの範囲であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
(4) 2価カルボン酸無水物成分が無水フタル酸であり、2価アルコール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上のグリコールであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
(5) (a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、(c)発泡剤、(d)触媒、(e)界面活性剤及び(f)その他助剤からなるポリウレタンフォーム用組成物において、(1)乃至(4)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤をさらに含むことを特徴とするポリウレタンフォーム用組成物。
(6) ポリウレタンフォーム製造用の添加剤の配合量が、(b)ポリオール成分100重量部に対し、0.01〜20重量部であることを特徴とする(5)に記載のポリウレタンフォーム用組成物。
(7) (1)乃至(4)のいずれかに記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤を用いたポリウレタンフォームの製造方法。
(8) (5)又は(6)に記載のポリウレタンフォーム用組成物を用いたポリウレタンフォームの製造方法。
本発明によれば、ポリウレタンフォーム製造の原料として使用した際に、酸価と塩基触媒量のバランスを調整し、効果的に反応性とキュア性を制御することができるポリウレタンフォーム製造用の添加剤と、それを配合したポリウレタンフォーム用組成物ならびにそれを用いたポリウレタンフォームの製造方法を提供することができる。また、例えば、本発明の添加剤を用いることでイソシアヌレート化触媒を増量することができ、その結果、ポリイソシアネートの3量化率が上がることでポリウレタンフォームの難燃性や強度を向上させることも可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明におけるポリウレタンフォーム製造用の添加剤は、2価カルボン酸無水物成分と2価アルコール成分からなる特定の液状エステル化合物であり、具体的には、2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)からなるものである。
本発明における開環反応生成物(g)の原料であるカルボン酸成分としては、2価カルボン酸無水物成分を用いることが必須である。2価カルボン酸無水物成分の具体例としては、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等の脂肪族又は芳香族のカルボン酸無水物が挙げられ、2種類以上の2価カルボン酸無水物を組み合わせて用いてもよい。好ましい2価カルボン酸無水物成分としては、無水フタル酸、無水マレイン酸が挙げられるが、反応を開環反応だけに留めやすいという点と、一般的な芳香族ポリエステルポリオールの主原料であることから物性をあまり大きく変えないという観点より、無水フタル酸が最も好ましい。カルボン酸無水物ではなく、例えばコハク酸のような通常の2価カルボン酸を用いてもいいが、エステル化反応時に副生水が生成することが問題となる場合があり、また、トリメリット酸無水物のような3価以上のカルボン酸無水物を用いてもいいが、コスト的に不利となる。1価カルボン酸無水物を用いることもできるが、例えば酢酸無水物を用いた場合、臭気や腐食性が問題となる場合があるので、注意が必要である。悪影響の少ない範囲で、2価カルボン酸無水物と1価及び/または3価以上のカルボン酸無水物を併用してもいい。
本発明における開環反応生成物(g)の原料であるアルコール成分として、2価アルコール成分を用いる。用いられる2価アルコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられるほか、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン/オキシプロピレン共重合グリコール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等の長鎖ポリエーテルポリオールを用いても構わないし、これら2価アルコールのうち2種類以上を組み合わせて用いてもいい。これらの中で最も好ましい2価アルコール成分としては、コスト面と一般的なポリエステルポリオールにおいて無水フタル酸との組み合わせで用いられるため、物性をあまり大きく変えることがない面で、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが挙げられる。本発明の妨げにならない範囲で、例えばメタノール、2−エチルヘキサノールのような1価アルコールや、グリセリン、トリメチロールプロパンのような3価以上のアルコール成分を併用してもよい。
本発明における開環反応生成物(g)の製造時、2価カルボン酸無水物成分と2価アルコール成分の組成比は、2価カルボン酸無水物成分の1モルに対し、2価アルコール成分を1.05〜2.50モルの範囲で用いることが好ましい。2価カルボン酸無水物成分に対する2価アルコール成分のモル比が1.05未満の場合、さらに反応の進んだオリゴマー状エステル化合物が多い分子量分布となり、得られる製品の粘度が著しく高くなってしまうほか、反応条件によっては未反応の2価カルボン酸無水物成分が未反応で多く残り好ましくない。一方、2価カルボン酸無水物成分に対する2価アルコール成分のモル比が2.50を超える場合、逆に未反応の2価アルコール成分が多く残ってしまい好ましくない。さらに好ましい2価カルボン酸無水物成分に対する2価アルコール成分のモル比は、1.10〜2.30であり、特に好ましくは1.20〜2.00である。2価以外のカルボン酸成分、アルコール成分を用いる場合にも全カルボキシル基に対する全水酸基のモル比が1.05〜2.50の範囲で用いることが好ましい。
本発明における開環反応生成物(g)の酸価としては、50〜300mgKOH/gの範囲であり、好ましくは70〜270mgKOH/g、さらに好ましくは100〜250mgKOH/gの範囲である。酸価が50mgKOH/gより小さくても構わないが、ポリウレタンフォーム用組成物の酸価及び/または反応性の調整剤としての効果が小さくなる。一方、300mgKOH/gより大きいと保存安定性が悪くなったり、腐食性が大きくなる可能性がある。
本発明における開環反応生成物(g)は、2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物を主成分とする。ここでいう開環反応生成物は、2価カルボン酸無水物成分をA、2価アルコール成分をBとした場合に、A−B型またはA−B−A型で表されるものをいう。例えば、無水フタル酸とジエチレングリコールを原料として用いた場合、以下の構造式で表されるものを指し、A−B型はヒドロキシカルボン酸であり、A−B−A型はジカルボン酸となる。
本発明における開環反応生成物(g)は、上記の開環反応生成物のほかに、未反応の2価カルボン酸無水物成分及び2価アルコール成分、さらに反応の進んだオリゴマー状エステル化合物の混合物となる。これらの組成比(分子量分布)はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)等で分析できる。開環反応生成物の好ましい含有量は、A−B型及び/またはA−B−A型の合計で、全体の50重量%以上であり、さらに好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重量%以上である。50重量%より小さくても構わないが、ポリウレタンフォーム用組成物の酸価及び/または反応性の調整剤としての効果が小さくなるほか、さらに反応の進んだオリゴマー状エステル化合物が多い場合には粘度が高くなって取り扱いが困難になる場合もある。
次に本発明における開環反応生成物(g)の製造方法について述べる。反応においては、通常、エステル化触媒は用いない。エステル化触媒を用いた場合、反応が2価カルボン酸無水物成分の開環反応だけで止まらず、さらにエステル化、オリゴマー化が進んでしまい好ましくない。もちろん用いる原料や反応の条件によっては少量の触媒を用いることもでき、その際は一般的な酸触媒が用いられる。ルイス酸としては、例えば、テトラ−iso−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のオルトチタン酸エステルや、ジエチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド等の錫系化合物や、酸化亜鉛等の金属化合物が用いられる。また、ルイス酸の他には、パラトルエンスルホン酸等のブレンステッド酸を用いても構わない。
反応温度は、通常、100℃以上、好ましくは130℃以上で、通常、200℃以下、好ましくは170℃以下の範囲で行われる。反応を2価カルボン酸無水物成分の開環反応のみで留めるため、あまり温度を上げ過ぎないことが重要である。例えば、無水フタル酸を原料として用いた場合、130〜140℃程度で無水フタル酸の開環エステル化による発熱のため160℃程度まで温度が上昇することがあるため、場合によっては除熱も必要となる。また、2価アルコール成分に2価カルボン酸無水物成分を少しずつ添加していく等、急激な発熱を抑えるような反応条件で行うことも必要である。一方、反応圧力は、通常、88kPa程度の微減圧、好ましくは常圧、場合によっては115kPa程度の微加圧でも可能である。やはり反応を開環反応のみで留めるため、あまり減圧度を上げ過ぎないことが重要である。例えばエチレングリコールのような比較的に反応性の高い2価アルコールを用いた場合、反応を開環反応のみで留めるためには温度、圧力にさらに注意する必要がある。もちろん使用する原料の種類や、目標とする酸価、分子量分布によっては、温度、圧力が上記の範囲を超えても構わない。反応時間としては、通常、5〜30分程度で終了する。あまり長時間反応させるとさらにエステル化反応やオリゴマー化反応が進行してしまうことがあり、好ましくない。尚、エステル化反応に伴う副生水の留出が開環反応以外のエステル化、オリゴマー化反応の進行の目安になるが、あまりエステル化、オリゴマー化反応を進めると得られる製品中の水分が高くなってしまうことあり、加水分解による保存安定性の悪化等の悪影響が出る場合もある。
反応開始時には、製品の着色を防ぐために反応容器の空間部を窒素置換し、さらに反応液中の溶存酸素も除去することが好ましい。また反応形式は、通常のバッチ設備あるいは連続設備で適用できるが、得られる製品の粘度が原料に用いられた2価アルコール成分に比べてかなり高くなる場合があること等から、バッチ反応の方が好ましい。
本発明により得られる開環反応生成物(g)は、好適には、(a)ポリイソシアネート成分と(b)ポリオール成分とを反応させて得られるポリウレタンフォームの製造用の添加剤として使用され、酸価と塩基触媒量のバランスを調整し、効果的に反応性とキュア性を制御することができるポリウレタンフォーム用組成物の酸価及び/または反応性の調整剤としての作用を有する。なお、本発明のポリウレタンフォームの製造用の添加剤は、上記の開環反応生成物(g)を有効成分として含有するものであり、開環反応生成物(g)そのものをポリウレタンフォームの製造用の添加剤として用いることはもちろん、ポリウレタンフォームの製造に用いられるその他の助剤や希釈剤等の他の成分と混合したものであっても良い。
本発明におけるポリウレタンフォーム用組成物としては、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、(c)発泡剤、(d)触媒、(e)界面活性剤及び(f)その他助剤からなる組成物であり、さらに上記の開環反応生成物(g)を用いるものである。実用的には、ポリウレタンフォームは、(a)ポリイソシアネート成分からなるA液と、ポリエーテルポリオール及び/またはポリエステルポリオール等からなる(b)ポリオール成分、(c)発泡剤、(d)触媒、(e)界面活性剤、必要に応じて(f)その他の助剤、さらに上記の開環反応生成物(g)を含むB液とを、短時間で混合、発泡、硬化させる方法で製造される。
本発明により得られる開環反応生成物(g)は、A液の一部として用いても、B液の一部として用いてもよい。(b)ポリオール成分の一部として、例えばポリエステルポリオールと一緒に取り扱っても構わない。
例えば、酸価:180の本発明の開環反応生成物(g)を用いて、酸価:0.5の無水フタル酸系ポリエステルポリオールを酸価:2.5の同ポリエステルポリオールと同等の酸価にする場合、その添加量は計算で求めることができ、無水フタル酸系ポリエステルポリオール:開環反応生成物(g)=100:1.13(重量部)となる。一方、同様に酸価:180の本発明の開環反応生成物(g)を用いて、酸価:0.5の無水フタル酸系ポリエステルポリオールを酸価:2.5の同ポリエステルポリオールと同等の反応性にする場合、一般的な無水フタル酸系ポリエステルポリオールの残存カルボキシル基は、その分子量から立体障害の影響を受けるが、本発明の開環反応生成物(g)は立体障害の程度が比較的小さく、カルボキシル基の酸性度がより高いと考えられる。そのため、同等の反応性にするためにはその添加量を酸価の計算で求めた量よりも少なくする必要があることもある。
(a)ポリイソシアネート成分としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する有機化合物であれば特に限定されるものではない。例えば、脂肪族系、脂環族系、及び芳香族系ポリイソシアネート、またはこれらの変性物が挙げられる。具体的には、脂肪族系及び脂環族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。芳香族系ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート等が挙げられ、さらにこれらのカルボジイミド変性物やプレポリマー等の変性物も包含される。
本発明における好ましい(a)ポリイソシアネート成分は、芳香族ポリイソシアネート、またはその変性物であり、特に好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、及びこれらの変性物であり、単独でもそれらを混合して用いてもよい。ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートとしては、イソシアネート基含有率が通常、29〜32重量%、粘度が通常、250mPa・s(25℃)以下のものが使用される。また、これらの変性物のうち、カルボジイミド変性物は、公知のリン系触媒等を用いてカルボジイミド結合を導入したものである。プレポリマーは、上記のポリイソシアネートとポリオールとを反応させ、末端にイソシアネート基を残したものである。その際用いるポリオール成分は、ポリウレタンを製造する際に使用するポリオール成分が通常使用できる。
実用的には、A液として、これらのポリイソシアネートの他に、用途に応じて、添加剤、助剤をポリイソシアネート成分に混合して用いてもよい。例えば、B液との混合性を向上させる目的で、B液でも用いられる界面活性剤を相溶化剤として併用する場合がある。その際には、通常、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤がよく用いられる。また、難燃性の向上及び粘度の調整を目的として、難燃剤を併用する場合がある。ポリウレタンフォームの用途においては、通常、クロロアルキルホスフェート類、例えば、トリス(ベータクロロエチル)ホスフェートやトリス(ベータクロロプロピル)ホスフェート等がよく用いられる。上記以外の添加剤、助剤については、特に限定されるものではなく、通常の樹脂において物性向上や操作性向上等の目的で用いられるもので、ウレタン化反応に著しい悪影響を及ぼすものでなければ何を用いても構わない。
(b)ポリオール成分としては、一般に、水酸基価が通常、50〜800、官能基数が通常、2.0〜8.0のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等を用いることができ、また、これらを2種類以上混合して用いても構わない。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド及びテトラヒドロフラン等の単独、または併用によるアルキレンオキシドの重合物、ショ糖やソルビトール、及びグリセリン等の3官能以上のアルコール類と上記アルキレンオキシドの付加物、脂肪族アミン、及び芳香族アミンと上記アルキレンオキシドの付加物等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、カルボン酸成分としてフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸及びトリメリット酸等の芳香族あるいは脂肪族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン及びトリメチロールプロパン等の2〜3価のアルコールを単独、または混合しエステル化反応により得られる、水酸基価が、通常、100〜500、官能基数が、通常、1.5〜3.0程度のポリエステルポリオールが挙げられる。
本発明においては、これらのポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールと組み合わせて、前記した本発明の開環反応生成物(g)を添加剤として用いることができる。開環反応生成物(g)の使用量としては、開環反応生成物(g)に含まれる前記のA−B型及び/又はA−B−A型のエステルの含有量や酸価に応じて適宜選択しうるが、ポリオール100重量部に対し、A−B型及び/又はA−B−A型のエステルの合計で0.01〜10重量部となる添加量であることが好ましい。実用的には、開環反応生成物(g)の使用量としてはポリオール成分100重量部に対し、通常、0.01〜20重量部の範囲、好ましくは0.05〜10重量部の範囲、さらに好ましくは0.1〜5重量部の範囲である。使用量が0.01重量部より小さいと反応性とキュア性を制御する効果が小さくなる。一方、20重量%より大きくても構わないが、逆に触媒の活性を落としすぎたり、ウレタンフォームの強度や寸法安定性等の物性に悪影響を与える可能性があることから、反応性やポリウレタンフォームの物性等を考慮し、実用上問題とならない範囲で使用することが好ましい。
また、この他に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等のアルコールやジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等、活性水素を1分子中に2個以上有する化合物も併用することができる。
本発明のポリウレタンフォームに用いる(c)発泡剤としては水や低沸点有機溶剤等の通常用いられる発泡剤を使用することができる。水以外には、例えば、HCFC−141bのようなHCFC系発泡剤の他に、HFC−245fa、HFC−365mfc等のHFC系発泡剤、ペンタン、シクロペンタン等のHC系発泡剤等が用いられ、その他にも今後用いられる発泡剤を使用しても構わない。
(d)触媒としては、通常のポリウレタンフォームの製造に使用される公知の触媒が使用できる。例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン等のアミン系触媒の他に、四級アンモニウム塩やオクチル酸カリウム等のカリウム系、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等の錫系、及びオクチル酸鉛等の鉛系等の金属系触媒等が挙げられる。
(e)界面活性剤としては、例えば界面活性剤としてノニオン系、アニオン系、カチオン系界面活性剤を用いることができるが、ノニオン系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤がよく用いられる。
(f)その他助剤としては、用途に応じて様々な化合物が、添加剤、助剤として用いことができる。例えば、代表的な添加剤として難燃剤が挙げられる。ポリウレタンフォームの用途においては、通常、クロロアルキルホスフェート類、例えば、トリス(ベータクロロエチル)ホスフェートやトリス(ベータクロロプロピル)ホスフェート等がよく用いられる。上記以外の添加剤、助剤については、特に限定されるものではなく、通常の樹脂において物性向上や操作性向上等の目的で用いられるもので、本発明及びウレタン化反応に著しい悪影響を及ぼすものでない限りにおいて使用することができる。
本発明におけるポリウレタンフォームの製造方法は、(a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、(c)発泡剤、(d)触媒、(e)界面活性剤及び(f)その他助剤からなる組成物を発泡硬化させるというものであるが、実用的には、(a)ポリイソシアネート成分をA液、(b)ポリオール成分をB液として、(c)発泡剤、(d)触媒、(e)界面活性剤、及び(f)その他助剤、開環反応生成物(g)等はあらかじめA液及び/またはB液に適宜混合させ、後述する装置を用いて2液を混合し、発泡、硬化させるという方法である。尚、発泡剤、触媒、界面活性剤は通常、B液に混合しておくほうが好ましいが、場合によってはA液に混合させたり、それぞれの成分をウレタン化反応の直前まで混合せずに3種類以上の原料液として取り扱う場合もある。
本発明によって得られたポリウレタンフォームは、ウレタン結合やウレア結合とイソシアヌレート結合等を有するものである。イソシアヌレート結合は、イソシアネート基を触媒により三量化させて生成され、機械的強度や耐熱性を向上させることができる。
本発明において、好ましいイソシアネートインデックス(全イソシアネート基のモル数/全活性水素基のモル数×100)は、70以上であり、通常100〜600、好ましくは130〜500、さらに好ましくは150〜400である。イソシアネートインデックスが70未満になると、得られたウレタンフォームが十分な強度を有しないことがあり、収縮し易くなる可能性がある。また、600を超えると、得られるウレタンフォームの脆性が高くなり、接着強度が低下する傾向にあるので好ましくない。
ポリウレタンフォームを製造するにあたっては、A液とB液を均一に混合可能であればいかなる装置でも使用することができる。例えば、小型ミキサーや、一般のウレタンフォームを製造する際に使用する、注入発泡用の低圧、または高圧発泡機、スラブ発泡用の低圧、または高圧発泡機、連続ライン用の低圧、または高圧発泡機、吹き付け工事用のスプレー発泡機等を使用することができる。尚、ポリウレタンフォームを製造するに際し、A液、B液それぞれの液温は20〜60℃に調節しておくことが好ましい。
以下に、実施例により本発明の具体的態様をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。尚、特に断りのないかぎり、実施例中の「部」、及び「%」はそれぞれ「重量部」、及び「重量%」を意味する。
[開環反応生成物(g)の合成]
以下に示す方法で、開環反応生成物(g)の合成及び評価を行った。(実施例1〜5、比較例1、2)
以下に示す方法で、開環反応生成物(g)の合成及び評価を行った。(実施例1〜5、比較例1、2)
<合成方法>
攪拌機、還流冷却機、温度計、圧力計、加熱装置などを装備した、容積が2リットルのガラス製反応器に、2価カルボン酸無水物成分、2価アルコール成分を「表1」に記載の目的とする組成比に応じて仕込み、反応器の空間部を窒素ガス置換した後、反応器の加熱を開始した。反応器内温が140〜150℃程度に達した時点で、開環エステル化反応に開始に伴う発熱が観測された。その後反応温度を160℃に保ちながら15分間反応を続けた。一方、反応器内の圧力は反応終了まで88kPaに維持した。反応終了後、加熱を停止して100℃付近まで冷却し、反応生成物を抜き出した。ここで得られた開環反応生成物(g)を「開環反応生成物−1〜7」として、それぞれ酸価、水酸基価、粘度、開環反応生成物の割合及び分子量分布を測定し、「表1」に示した。
攪拌機、還流冷却機、温度計、圧力計、加熱装置などを装備した、容積が2リットルのガラス製反応器に、2価カルボン酸無水物成分、2価アルコール成分を「表1」に記載の目的とする組成比に応じて仕込み、反応器の空間部を窒素ガス置換した後、反応器の加熱を開始した。反応器内温が140〜150℃程度に達した時点で、開環エステル化反応に開始に伴う発熱が観測された。その後反応温度を160℃に保ちながら15分間反応を続けた。一方、反応器内の圧力は反応終了まで88kPaに維持した。反応終了後、加熱を停止して100℃付近まで冷却し、反応生成物を抜き出した。ここで得られた開環反応生成物(g)を「開環反応生成物−1〜7」として、それぞれ酸価、水酸基価、粘度、開環反応生成物の割合及び分子量分布を測定し、「表1」に示した。
<評価方法>
(1)酸価
JIS K15571970に準拠して測定した。
(2)水酸基価
JIS K15571970に準拠して測定した。
(3)粘度
JIS K15571970に準拠して回転粘度計(B型粘度計)を使用し、25℃で測定した。
(4)分子量分布
GPC法で測定した。カラムには、東ソー製「TSK−GEL G1000 HXL」、「TSK−GEL G2000 HXL」、「TSK−GEL G3000 HXL」(何れも、直径7.8mm、長さ300mm)を3本直列に接続して使用した。溶離液はTHF(流速1.0ml/min)、カラム温度は40℃、検出器はRIの条件で測定した。
(1)酸価
JIS K15571970に準拠して測定した。
(2)水酸基価
JIS K15571970に準拠して測定した。
(3)粘度
JIS K15571970に準拠して回転粘度計(B型粘度計)を使用し、25℃で測定した。
(4)分子量分布
GPC法で測定した。カラムには、東ソー製「TSK−GEL G1000 HXL」、「TSK−GEL G2000 HXL」、「TSK−GEL G3000 HXL」(何れも、直径7.8mm、長さ300mm)を3本直列に接続して使用した。溶離液はTHF(流速1.0ml/min)、カラム温度は40℃、検出器はRIの条件で測定した。
[プレミックス液の調製]
「表−2」に示す原料、配合でポリオールプレミックス、「プレミックス−1〜9」を調製した。(実施例6〜11、比較例3〜5)
尚、それぞれの配合において添加剤−1〜5の使用量は、ポリオール−1の酸価がポリオール−2と同等になる量として計算で求めた。
「表−2」に示す原料、配合でポリオールプレミックス、「プレミックス−1〜9」を調製した。(実施例6〜11、比較例3〜5)
尚、それぞれの配合において添加剤−1〜5の使用量は、ポリオール−1の酸価がポリオール−2と同等になる量として計算で求めた。
尚、「表2」の配合例において、原料は以下のものを用いた。
添加剤−1〜5 : 先に合成した開環反応生成物1〜5(実施例1〜5)をそれぞれ対応する番号の添加剤として用いた。
ポリオール−1 : 「MAXIMOL RDK−133(L)」 無水フタル酸系ポリエステルポリオール 酸価:0.44 (川崎化成工業株式会社製)
ポリオール−2 : 「MAXIMOL RDK−133(H)」 無水フタル酸系ポリエステルポリオール 酸価:2.33 (川崎化成工業株式会社製)
ポリオール−3 : 「MAXIMOL SDK−163」 コハク酸系ポリエステルポリオール (川崎化成工業株式会社製)
ポリオール−4 : 「GR−04」 エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール (三井化学ウレタン株式会社製)
ポリオール−5 : 「GR−17」 ソルビトール系ポリエーテルポリオール (三井化学ウレタン株式会社製
発泡剤 : HFC−245fa (セントラル硝子株式会社製)
水 : イオン交換水
触媒 : 「KAOライザーNo10」 アミン系触媒 (花王株式会社製)
界面活性剤 : 「SZ−1717」 シリコーン系界面活性剤 (東レ・ダウ コーニング・シリコーン株式会社製)
難燃剤 : 「TMCPP」 リン系難燃剤 (大八化学株式会社製)
添加剤−1〜5 : 先に合成した開環反応生成物1〜5(実施例1〜5)をそれぞれ対応する番号の添加剤として用いた。
ポリオール−1 : 「MAXIMOL RDK−133(L)」 無水フタル酸系ポリエステルポリオール 酸価:0.44 (川崎化成工業株式会社製)
ポリオール−2 : 「MAXIMOL RDK−133(H)」 無水フタル酸系ポリエステルポリオール 酸価:2.33 (川崎化成工業株式会社製)
ポリオール−3 : 「MAXIMOL SDK−163」 コハク酸系ポリエステルポリオール (川崎化成工業株式会社製)
ポリオール−4 : 「GR−04」 エチレンジアミン系ポリエーテルポリオール (三井化学ウレタン株式会社製)
ポリオール−5 : 「GR−17」 ソルビトール系ポリエーテルポリオール (三井化学ウレタン株式会社製
発泡剤 : HFC−245fa (セントラル硝子株式会社製)
水 : イオン交換水
触媒 : 「KAOライザーNo10」 アミン系触媒 (花王株式会社製)
界面活性剤 : 「SZ−1717」 シリコーン系界面活性剤 (東レ・ダウ コーニング・シリコーン株式会社製)
難燃剤 : 「TMCPP」 リン系難燃剤 (大八化学株式会社製)
[ポリウレタンフォームの製造]
以下に示す方法で、ポリウレタンフォームの製造、評価を行った。評価結果を「表3」に示す。(実施例12〜17、比較例6〜8)
以下に示す方法で、ポリウレタンフォームの製造、評価を行った。評価結果を「表3」に示す。(実施例12〜17、比較例6〜8)
<製造方法>
A液(ポリイソシアネート液)と「表2」に記載のB液(ポリオールプレミックス)を混合した後、注入ボックスに流し込んでフリー発泡させ、ポリウレタンフォームを製造した。尚、ポリイソシアネート液は下記のものを用いた。
イソシアネート(MDI) : 「ミリオネート MR−200」 ポリメリックMDI (日本ポリウレタン工業株式会社製)
A液(ポリイソシアネート液)と「表2」に記載のB液(ポリオールプレミックス)を混合した後、注入ボックスに流し込んでフリー発泡させ、ポリウレタンフォームを製造した。尚、ポリイソシアネート液は下記のものを用いた。
イソシアネート(MDI) : 「ミリオネート MR−200」 ポリメリックMDI (日本ポリウレタン工業株式会社製)
<発泡条件>
イソシアネートインデックス : 110
室温 : 23〜25℃
液温 : 15℃
注入ボックス : 木製 20cm×20cm×20cm 上部開放(フリーフォーム)
脱型時間 : 混合後30分
イソシアネートインデックス : 110
室温 : 23〜25℃
液温 : 15℃
注入ボックス : 木製 20cm×20cm×20cm 上部開放(フリーフォーム)
脱型時間 : 混合後30分
得られたポリウレタンフォームの評価は、下記の方法で行い、結果を「表3」に示した。
<評価方法>
<評価方法>
(1)反応性
CT(クリームタイム) : A液とB液を混合後、発泡高さ1%に達するまでの時間を測定した。
GT(ゲルタイム) : A液とB液を混合後、触針にて糸を引き始めるまでの時間を測定した。
RT(ライズタイム) : A液とB液を混合後、発泡高さ95%に達するまでの時間を測定した。
硬化時間 : 発泡後1分ごとにフォームを触診し、ある程度まで硬化するまでの時間を測定した。
CT(クリームタイム) : A液とB液を混合後、発泡高さ1%に達するまでの時間を測定した。
GT(ゲルタイム) : A液とB液を混合後、触針にて糸を引き始めるまでの時間を測定した。
RT(ライズタイム) : A液とB液を混合後、発泡高さ95%に達するまでの時間を測定した。
硬化時間 : 発泡後1分ごとにフォームを触診し、ある程度まで硬化するまでの時間を測定した。
(2)コア密度
JIS A95112003に準拠して測定した。
JIS A95112003に準拠して測定した。
(3)自己消火性
JIS A95112003に準拠して測定した。
JIS A95112003に準拠して測定した。
(4)炭化性
切り出したウレタンフォームを燃焼させて、元のウレタンフォームの重量に対して残った炭化物の重量の割合を測定し、以下の基準で評価した。
◎ : 30重量%以上
○ : 25重量%以上
△ : 20重量%以上
× : 20重量%未満
切り出したウレタンフォームを燃焼させて、元のウレタンフォームの重量に対して残った炭化物の重量の割合を測定し、以下の基準で評価した。
◎ : 30重量%以上
○ : 25重量%以上
△ : 20重量%以上
× : 20重量%未満
(5)圧縮強度
JIS A95112003に準拠して測定した。
JIS A95112003に準拠して測定した。
(6)寸法安定性
コア密度を測定したサンプルの−20℃における24時間後の寸法変化率(発泡に水平方向、垂直方向)を測定し、以下の基準で評価した。
◎ : 水平、垂直ともに−1%未満
○ : 水平、垂直ともに−2%未満
△ : 水平、垂直ともに−3%未満
× : 水平、垂直いずれかが−3%以上
コア密度を測定したサンプルの−20℃における24時間後の寸法変化率(発泡に水平方向、垂直方向)を測定し、以下の基準で評価した。
◎ : 水平、垂直ともに−1%未満
○ : 水平、垂直ともに−2%未満
△ : 水平、垂直ともに−3%未満
× : 水平、垂直いずれかが−3%以上
(7)接着性
クラフト紙面材を用いてフリーフォームを作成し、中央部を5x10x3cmに切り出して試験片を作成。クラフト紙面材の長さ方向端部を引き剥がした後に引張試験機で厚み方向に引っ張り、その剥離強度(N/5cm)を測定して、以下の基準で評価した。
◎ : 12N/5cm以上
○ : 10N/5cm以上
△ : 8N/5cm以上
× : 8N/5cm未満
クラフト紙面材を用いてフリーフォームを作成し、中央部を5x10x3cmに切り出して試験片を作成。クラフト紙面材の長さ方向端部を引き剥がした後に引張試験機で厚み方向に引っ張り、その剥離強度(N/5cm)を測定して、以下の基準で評価した。
◎ : 12N/5cm以上
○ : 10N/5cm以上
△ : 8N/5cm以上
× : 8N/5cm未満
(8)脆性
ポリウレタンフォームの表面及び底部を触診、定性観察して、以下の基準で評価した。
◎ : 全く脆さがない
○ : ほとんど脆さがない
△ : 若干の脆さがある
× : 脆い
ポリウレタンフォームの表面及び底部を触診、定性観察して、以下の基準で評価した。
◎ : 全く脆さがない
○ : ほとんど脆さがない
△ : 若干の脆さがある
× : 脆い
「表1」〜「表3」より、主に次のことが明らかである。
(1)実施例1、3、5の比較結果
本発明の開環反応生成物(g)において、2価カルボン酸無水物成分が無水フタル酸、2価アルコール成分がエチレングリコール及び/またはジエチレングリコール及び/またはトリエチレングリコールを用いた実施例1、3、5を比べると、エチレングリコールからトリエチレングリコールまで炭素鎖が伸びるごとに未反応アルコールの多い分子量分布となっていき、次第に粘度が下がる。
(1)実施例1、3、5の比較結果
本発明の開環反応生成物(g)において、2価カルボン酸無水物成分が無水フタル酸、2価アルコール成分がエチレングリコール及び/またはジエチレングリコール及び/またはトリエチレングリコールを用いた実施例1、3、5を比べると、エチレングリコールからトリエチレングリコールまで炭素鎖が伸びるごとに未反応アルコールの多い分子量分布となっていき、次第に粘度が下がる。
(2)実施例2〜4と比較例1、2の比較結果
本発明の開環反応生成物(g)において、2価カルボン酸無水物成分が無水フタル酸、2価アルコール成分がジエチレングリコールを用いた実施例2〜4と比較例1、2では、2価アルコール成分の仕込モル比が1.05〜2.50の実施例2〜4は粘度、分子量分布ともに問題ないが、仕込モル比が1.0の比較例1は高粘度、且つオリゴマー等の多い分子量分布となり、仕込モル比が3.0の比較例2は未反応のアルコールが多い分子量分布となり、それぞれ好ましくない。
本発明の開環反応生成物(g)において、2価カルボン酸無水物成分が無水フタル酸、2価アルコール成分がジエチレングリコールを用いた実施例2〜4と比較例1、2では、2価アルコール成分の仕込モル比が1.05〜2.50の実施例2〜4は粘度、分子量分布ともに問題ないが、仕込モル比が1.0の比較例1は高粘度、且つオリゴマー等の多い分子量分布となり、仕込モル比が3.0の比較例2は未反応のアルコールが多い分子量分布となり、それぞれ好ましくない。
(3)比較例6〜8の比較結果
本発明の開環反応生成物(g)を用いなかった比較例6〜8において、酸価:0.44のポリエステルポリオールを用いた比較例6と比べ、酸価:2.33のポリエステルポリオールを用いた比較例8は反応性が低下しており、酸価:0.44のポリエステルポリオールを用いて触媒量を減らした比較例7も同様に反応性が低下する。硬化時間は触媒量を減らした比較例7の場合が最も悪化する。
本発明の開環反応生成物(g)を用いなかった比較例6〜8において、酸価:0.44のポリエステルポリオールを用いた比較例6と比べ、酸価:2.33のポリエステルポリオールを用いた比較例8は反応性が低下しており、酸価:0.44のポリエステルポリオールを用いて触媒量を減らした比較例7も同様に反応性が低下する。硬化時間は触媒量を減らした比較例7の場合が最も悪化する。
(4)実施例12〜16と比較例6〜8の比較結果
本発明の開環反応生成物(g)を用いた実施例12〜16の場合、用いなかった比較例6と比べ反応性が低下する。ポリエステルポリオールの酸価を比較例8同等に調整しているが、比較例8よりもさらに反応性が低下している。触媒量を減らした比較例7と同等となる。
本発明の開環反応生成物(g)を用いた実施例12〜16の場合、用いなかった比較例6と比べ反応性が低下する。ポリエステルポリオールの酸価を比較例8同等に調整しているが、比較例8よりもさらに反応性が低下している。触媒量を減らした比較例7と同等となる。
(5)実施例17と比較例6、8の比較結果
本発明の開環反応生成物(g)を用い、且つ触媒量を増やした実施例17の場合、用いなかった比較例6と反応性は同等で、硬化時間が短縮している。また、酸価:2.33のポリエステルポリオールを用いた比較例8と比べ、初期の反応性は同等だが、中盤以降(GT、RT)の反応性が向上し、硬化時間も改善している。
本発明の開環反応生成物(g)を用い、且つ触媒量を増やした実施例17の場合、用いなかった比較例6と反応性は同等で、硬化時間が短縮している。また、酸価:2.33のポリエステルポリオールを用いた比較例8と比べ、初期の反応性は同等だが、中盤以降(GT、RT)の反応性が向上し、硬化時間も改善している。
本発明によれば、ポリウレタンフォーム用組成物において、酸価と塩基触媒量のバランスを調整し、効果的に反応性とキュア性を制御することのできる、ポリウレタンフォーム製造用の添加剤を提供し、それを用いたポリウレタンフォーム用組成物及びポリウレタンフォームの製造方法を提供することができる。
Claims (8)
- 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)からなるポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
- 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)が、2価カルボン酸無水物成分をA、2価アルコール成分をBとした場合に、A−B型またはA−B−A型で表されるものを主成分とすることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
- 2価カルボン酸無水物成分の2価アルコール成分による開環反応生成物(g)が、2価カルボン酸無水物成分に対する2価アルコール成分のモル比が1.05〜2.50の条件で2価カルボン酸無水物成分を開環反応して得られたものであり、開環反応生成物(g)の酸価が50〜300mgKOH/gの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
- 2価カルボン酸無水物成分が無水フタル酸であり、2価アルコール成分が、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールからなる群から選ばれた1種又は2種以上のグリコールであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤。
- (a)ポリイソシアネート成分、(b)ポリオール成分、(c)発泡剤、(d)触媒、(e)界面活性剤及び(f)その他助剤からなるポリウレタンフォーム用組成物において、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤をさらに含むことを特徴とするポリウレタンフォーム用組成物。
- ポリウレタンフォーム製造用の添加剤の配合量が、(b)ポリオール成分100重量部に対し、0.01〜20重量部であることを特徴とする請求項5に記載のポリウレタンフォーム用組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム製造用の添加剤を用いたポリウレタンフォームの製造方法。
- 請求項5又は6に記載のポリウレタンフォーム用組成物を用いたポリウレタンフォームの製造方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009096959A (ja) * | 2007-10-19 | 2009-05-07 | Kawasaki Kasei Chem Ltd | ポリウレタンフォームの注入発泡用組成物およびポリウレタンフォームパネルの製造方法 |
-
2007
- 2007-12-28 JP JP2007338646A patent/JP2008266569A/ja active Pending
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JP2009096959A (ja) * | 2007-10-19 | 2009-05-07 | Kawasaki Kasei Chem Ltd | ポリウレタンフォームの注入発泡用組成物およびポリウレタンフォームパネルの製造方法 |
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