JP5231509B2 - 電動ポンプ - Google Patents
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本発明の目的とするところは、効率を向上可能な電動ポンプを提供することを目的とする。
本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。図1は実施例1の電動ポンプの正面図、図2は実施例1の電動ポンプの側面図、図3は実施例1の電動ポンプのB−B断面図、図4は実施例1の電動ポンプの分解斜視図、図5は実施例1の電動ポンプのA−A断面図である。実施例1の電動ポンプは、アイドルストップ機能を備えた車両の自動変速機用に搭載されるポンプである。この自動変速機はベルト式無段変速機であり、エンジンにより駆動されるメインポンプを別途備えている。そして、アイドルストップ制御によるエンジンの停止時には、メインポンプによる油圧が確保できず、また、ベルト式無段変速機内の摩擦締結要素やプーリからのリーク等によって油圧が低下すると、再発進時に必要な油圧を確保するまでに時間がかかるため、運転性の低下を招く。そこで、メインポンプとは別に、エンジンの作動状態に関わらず油圧を吐出可能な電動ポンプを備え、摩擦締結要素やプーリからのリーク分の油圧を担保することで、エンジン再始動及び再発進時の運転性を向上している。
電動ポンプは、モータ要素の駆動によりロータ駆動軸32が駆動され、ポンプ要素のポンプロータ22が回転することで、流体吐出が行われる。このとき、モータ要素ではモータロータ33の永久磁石とステータ3のコイル35との間で脈動(コギングトルク)が発生する。また、ポンプ要素では吸入と吐出を繰り返す際に脈動が発生する。図7は、モータ要素の脈動周波数とポンプ要素の脈動周波数とがばらばらの構成におけるトルク変動の様子を表す特性図である。
このモータ脈動周波数とポンプ脈動周波数は以下のように表される。
モータ脈動周波数fm:(磁極数Nmとスロット数Nsの最小公倍数)×回転数N
ポンプ脈動周波数fr:歯数Nr×回転数N
例えば、
N=50rps(3000rpm),Nm=6,Ns=9のとき、fm=18×50=900Hz
Nr=7のとき、fr=7×50=350Hz
このように、モータ脈動周波数fmとポンプ脈動周波数frとが異なり、更に、ポンプロータ22が最もトルクを必要とするピークで、モータの発生するトルクピークがずれていると、効率的にトルク伝達ができない。すなわち、モータの出力トルクを全体的に高くしなければ、ポンプロータ22が必要とするトルクを付与できないため、無駄な電力を供給しなければならない。
そこで、実施例1では、
n=50rps(3000rpm)のとき、Nm=4,Ns=6とし、
fm=12×50=600Hz
また、Nr=12とすると、
fr=12×50=600Hz
となり、fm/fr=600Hz/600Hz=1(整数)を達成する。これにより、ポンプ要素において大きいトルクが必要なタイミングと、モータのトルクピークが一致させた場合には、最も高い効率が得られる。
しかしながら、ポンプ要素とモータ要素の脈動周波数を一致させた状態で、ポンプ要素が最も大きいトルクが必要なタイミングで、モータ要素が最も小さいトルクを出力する位相となった場合には、やはり、モータ要素の最も小さいトルクがポンプ要素の最も大きいトルクを上回る必要があり、不要な電力が要求されることになる。言い換えると、モータ要素が最も小さいトルクを出力するタイミングと、ポンプ要素が最も大きいトルクを必要とするタイミングとがずれていれば、その分、効率は向上し、モータ要素が最も小さいトルクを出力するタイミングと、ポンプ要素が最も小さいトルクを必要とするタイミングとが一致したときに最高効率が得られる。
尚、本発明を逸脱しない範囲で、ポンプの最大トルクが必要なタイミングと、モータの最大トルクピーク、又はポンプの最小トルクが必要なタイミングとモータの最小トルクピークがずれていても構わない(例えば、1/4位相)。
以下、実施例1から把握される電動ポンプの効果を列挙する。
(1)複数の磁極を有するモータロータ33と、複数のスロットを有するステータ3とを有する永久磁石モータと、モータロータ33と接続されたロータ駆動軸32と、ロータ駆動軸32に接続された複数の歯を有するポンプロータ22を有し、伝達されたトルクを流体吐出仕事に変換するポンプと、を備え、磁極数Nm(=4)とスロット数Ns(=6)の最小公倍数(=12)が、歯数Nr(=12)の整数倍(=1)となるようにNm,Ns,Nrを設定し、かつ、ポンプの脈動による必要最大トルクタイミングと、モータの脈動による最小トルク出力タイミングと、を一致しないように、モータロータ33とポンプロータ22との相対角度θを設定した。
よって、効率の高い電動ポンプを提供することができる。
(2)ポンプの脈動による必要最大トルクタイミングと、モータの脈動による最大トルク出力タイミングとが一致するように相対角度θを設定した。よって、脈動トルクのピーク位置を一致させることができ、モータ出力トルクを効率よくポンプ駆動トルクとして使用することができるため、高い効率を得ることができる。
(3)磁極数Nmとスロット数Nsの最小公倍数と歯数とを一致するように設定した。よって、ポンプで必要とするトルクとモータから出力されるトルクとを一致させることができ、更に高い効率でポンプを駆動することができる。
2a ポンプ収容部
2b モータ収容部
3 ステータ
4 モータカバー
5 ボルト
11 吐出ポート
12 吸入ポート
21 アウタロータ
22 ポンプロータ
22a,33a 連結孔
33 モータロータ
33a 連結孔
34 ステータコア
35 コイル
103 吐出油路
331,332 永久磁石
fm モータ脈動周波数
fr ポンプ脈動周波数
N 回転数
Nm 磁極数
Nr 外歯数
Nr 歯数
Ns スロット数
θ 相対角度
Claims (3)
- 複数の磁極を有するモータロータと、複数のスロットを有するステータとを有する永久磁石モータと、
前記モータロータと接続された駆動軸と、
前記駆動軸に接続された複数の歯を有するポンプロータを有し、伝達されたトルクを流体吐出仕事に変換するポンプと、
を備え、
前記磁極数と前記スロット数の最小公倍数が、前記歯数の整数倍となるように前記磁極数,前記スロット数及び前記歯数を設定し、かつ、ポンプの脈動による必要最大トルクタイミングと、モータの脈動による最小トルク出力タイミングとが一致しないように、前記モータロータと前記ポンプロータとの相対角度を設定したことを特徴とする電動ポンプ。 - 請求項1に記載の電動ポンプにおいて、
ポンプの脈動による必要最大トルクタイミングと、モータの脈動による最大トルク出力タイミングとが一致するように前記相対角度を設定したことを特徴とする電動ポンプ。 - 請求項1または2に記載の電動ポンプにおいて、
前記最小公倍数と前記歯数とを一致するように設定したことを特徴とする電動ポンプ。
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