JP5231114B2 - ポリウレタンビーズの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料や化粧品等に配合されるポリウレタンビーズを製造する方法に関する。
塗料、プラスチック、接着剤、化粧品等のフィラーとしてポリウレタンビーズを使用することがある。このポリウレタンビーズを製造する方法としては、ポリオール成分とイソシアネート成分とを水等の分散媒中で直接反応させる方法(特許文献1,2参照)、ポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させて得た末端イソシアネートプレポリマーを水中で反応させる方法(特許文献3参照)が広く知られている。
ところで、ポリウレタンビーズの用途によっては高い柔軟性が求められ、特に、一部の用途では低温域まで高い柔軟性を維持できるものが求められる。
特許第3151884号公報 特許第3334305号公報 特許第3100977号公報
低温域まで高い柔軟性を維持するためには、ポリウレタンビーズのガラス転移温度を低くすればよい。しかしながら、これまでに実用化されているポリウレタンビーズのガラス転移温度は、最も低いものでも−35℃であり、充分に低いとはいえなかった。
得られるポリウレタンのガラス転移温度をより低くする方法としては、ポリウレタンビーズを製造する際のポリオール成分としてポリエーテルポリオールを用いる方法が考えられる。しかしながら、ポリオール成分としてポリエーテルポリオールを用いたポリウレタンビーズは耐熱性が不充分であるため、用途が限られるという問題があった。
そこで、本発明は、低温域でも柔軟性に優れる上に耐熱性にも優れるポリウレタンビーズを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1] ポリオール成分およびイソシアネート成分を含むビーズ原材料を、懸濁安定剤を含む水中に粒子状に分散し、反応させて、ポリウレタンビーズ懸濁液を調製する工程と、該ポリウレタンビーズ懸濁液を固液分離する工程とを有するポリウレタンビーズの製造方法において、
ポリオール成分が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得たポリエステルポリオール(A)を含有し、
イソシアネート成分として、ヘキサメチレンジイソシアネートから形成されたイソシアヌレート化合物またはウレトジオン化合物を用いることを特徴とするポリウレタンビーズの製造方法。
本発明のポリウレタンビーズの製造方法によれば、低温域でも柔軟性に優れる上に耐熱性にも優れるポリウレタンビーズを製造できる。
<ポリウレタンビーズの製造方法>
(第1の実施形態例)
本発明のポリウレタンビーズの製造方法の第1の実施形態例について説明する。
第1の実施形態例のポリウレタンビーズの製造方法は、ビーズ原材料を水中に粒子状に分散し、反応させてポリウレタンビーズ懸濁液を調製する工程(以下、ビーズ調製工程という。)と、該ポリウレタンビーズ懸濁液を固液分離する工程(以下、後処理工程という。)とを有する方法である。
[ビーズ調製工程]
ビーズ調製工程におけるビーズ原材料は、ポリオール成分およびイソシアネート成分を含み、さらに、ポリオール成分は、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得たポリエステルポリオール(A)を含む。
ポリエステルポリオール(A)は、具体的には、下記式(I)で表される化合物である(式(I)におけるnは2以上の整数である。)。
ポリエステルポリオール(A)は主として2官能のものが用いられるが、3官能以上のものを併用してもよい。3官能以上のものを併用した場合には、ポリウレタンビーズの架橋度を高くできる。
Figure 0005231114
ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は2000以上であることが好ましい。ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量が2000以上であれば、ガラス転移温度が明瞭になり、また、OH価が低くなるため、配合量を増やすことができる。そのため、柔軟性がより高いポリウレタンビーズを得ることができる。
また、ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は10000以下であることが好ましく、6000以下であることがより好ましい。数平均分子量が10000以下であれば、容易にポリエステルポリオール(A)が得られる。
また、ポリオール成分には、得られるポリウレタンビーズのガラス転移温度が過度に高くならない範囲(ガラス転移温度が−50℃を超えない範囲)で、ポリエステルポリオール(A)以外のポリオールが含まれても構わない。
ポリエステルポリオール(A)以外のポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール(A)以外のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、芳香族系ポリオール(フタル酸系ポリオール)などが挙げられる。これらのうち、耐加水分解性が向上する点では、ポリカーボネートポリオールまたは芳香族系ポリオールが好ましい。
また、ポリエステルポリオール(A)以外のポリオールとしては、ポリウレタンビーズの架橋度を高くし、弾性回復性が高くなる点では、多官能ポリオールが好ましい。
多官能ポリオールとしては、例えば、3官能ポリカプロラクトン系ポリオールなどが挙げられる。
多官能ポリオールは質量平均分子量が大きい程、柔軟性が高くなる。
イソシアネート成分は、黄変型、無黄変型、難黄変型のいずれでもよい。
具体的なイソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。
上記ジイソシアネートモノマーから形成したイソシアヌレート化合物(3官能)またはウレトジオン化合物(2官能)を用いることもできる。
また、イソシアネート成分として、末端イソシアネート基ポリイソシアネート(例えば、アダクト型ポリイソシアネート、ビウレット型ポリイソシアネート等)を用いることもできる。
上記イソシアネート成分の中でも、水系の懸濁重合を行うことを考慮すると、揮発性が低く、しかも適度な反応性を有している点で、イソシアヌレート化合物またはウレトジオン化合物が好ましい。さらには、無黄変型のジイソシアネートモノマーから形成されたイソシアヌレート化合物またはウレトジオン化合物(2官能)がより好ましく、分子量が小さいために添加量を少なくできる点で、HDIから形成されたイソシアヌレート化合物またはウレトジオン化合物が特に好ましい。
また、イソシアネート成分としては、架橋度を低くして、ポリウレタンビーズの柔軟性をより高くできる点では、ウレトジオン化合物が好ましい。
イソシアネート成分とポリオール成分とのモル比(NCO/OH)は1〜20であることが好ましい。イソシアネート成分とポリオール成分とのモル比が1以上であれば、未反応のポリオール成分が残留しにくく、20以下であれば、ポリウレタンビーズ中のソフトセグメントの量が多くなり、ガラス転移温度が明確に現れる。
また、ビーズ原材料には、染料、顔料などの着色剤が含まれてもよい。ただし、ここで用いる着色剤はウレタン化反応を阻害しないものである。
着色剤が含まれると、着色したポリウレタンビーズを得ることができる。着色したポリウレタンビーズを塗料に添加すれば、ビロード調やスウェード調などの意匠性を有する塗膜が得られる。
また、懸濁液の粘度が高く、取り扱いにくくなる場合には、ビーズ原材料に希釈溶剤を配合することが好ましい。希釈溶剤としては、重合反応を阻害しないものであればよい。
また、ビーズ原材料に触媒が含まれてもよい。触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレートなどが挙げられる。
また、得られるポリウレタンビーズの諸物性を改良するために、ビーズ原材料に、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属粉、香料等が含まれてもよい。
上記ビーズ原材料を添加する水には懸濁安定剤が含まれる。
懸濁安定剤としては、懸濁重合で一般に用いられているものであれば特に制限されず、有機系、無機系を問わない。懸濁安定剤の具体例としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系水溶性樹脂,ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩類、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド系、第三燐酸塩類などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、懸濁安定剤に界面活性剤を併用してもよい。懸濁安定剤に併用する界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれであってもよい。
懸濁安定剤の添加量はビーズ原材料100質量部に対して0.5〜30質量部が好ましい。懸濁安定剤の添加量が前記範囲であれば、ポリウレタンビーズの平均粒子径がフィラーとして適切な1〜1000μmの範囲になりやすい。
これに対し、懸濁安定剤の量が30質量部より多くなると、平均粒子径が1μmより小さくなる傾向があり、しかも懸濁液の粘度が高くなり、固液分離や洗浄が困難になる傾向にある。また、懸濁安定剤の量が1質量部より少ないと粒子同士の凝集がおこりやすく、しかも粒子径が1000μmより大きくなる傾向にある。
懸濁安定剤を溶解または分散させる水の量は、ビーズ原材料100質量部に対して水30〜1000質量部であることが好ましい。水の量が30質量部以上であれば、ビーズ原材料を安定に分散させることができ、1000質量部以下であれば、一回の懸濁重合あたりのポリウレタンビーズの製造量を充分に確保することができる。
ビーズ原材料を、懸濁安定剤を含む水中に添加した後、粒子状に分散するためには、通常、攪拌する方法が採られる。その際の攪拌速度は、ポリオール成分およびイソシアネート成分を含む液滴が所定の粒子径になるように適宜調節することが好ましい。
液滴の粒子径の調整が終了した後、温度30〜90℃に加熱し、1〜6時間、ポリオール成分または水とイソシアネート成分とを反応させて懸濁重合する。この懸濁重合により、ポリウレタンビーズ懸濁液が得られる。
[後処理工程]
後処理工程における固液分離では、例えば、ろ過や遠心分離などが適用される。
固液分離後には、洗浄、乾燥を行うことが好ましい。
洗浄では、分離回収されたポリウレタンビーズを、さらに水等で洗浄して、ポリウレタンビーズに残留している懸濁安定剤を取り除く。
乾燥では、例えば、加熱乾燥法、気流乾燥法、真空乾燥法、赤外線乾燥法などが適用される。例えば、加熱乾燥法を適用した場合には、乾燥温度は40〜110℃とすることが好ましく、乾燥時間は2〜40時間とすることが好ましい。
懸濁液を固液分離、洗浄する際は、懸濁安定剤を分解するセルロース分解酵素、ポリビニルアルコール分解酵素などの酵素、次亜塩素酸塩などの試薬等で懸濁液を処理してもよい。前記試薬で処理することにより、懸濁液の粘度を下げて固液分離作業を容易にでき、また、洗浄もしやすくなる。
ポリオール成分としてポリエーテルポリオール以外のポリオールを用いた場合には、得られるポリウレタンビーズのガラス転移温度が−35℃以上であり、低温域での柔軟性が不充分であった。また、ポリオール成分としてポリエーテルポリオールを用いた場合には、耐熱性が低かった。
これに対し、ポリオール成分として上記ポリエステルポリオール(A)を用いる本実施形態例のポリウレタンビーズの製造方法では、ガラス転移温度が低く(具体的にはガラス転移温度が−50℃以下)、低温域でも柔軟性に優れたポリウレタンビーズを得ることができる。また、本実施形態例の製造方法により得たポリウレタンビーズは、ガラス転移温度が低いにもかかわらず耐熱性に優れる。
(第2の実施形態例)
本発明のポリウレタンビーズの製造方法の第2の実施形態例について説明する。
第2の実施形態例のポリウレタンビーズの製造方法は、ポリオール成分にイソシアネート成分を反応させて末端イソシアネート基プレポリマーを得る工程(以下、プレポリマー調製工程という。)と、末端イソシアネート基プレポリマー含むビーズ原材料を、懸濁安定剤を含む水中に粒子状に分散し、反応させて、ポリウレタンビーズ懸濁液を調製する工程(以下、ビーズ調製工程という。)と、ポリウレタンビーズ懸濁液を固液分離する工程(以下、後処理工程という。)とを有する方法である。
[プレポリマー調製工程]
本実施形態例におけるポリオール成分は、第1の実施形態例と同様に、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得たポリエステルポリオール(A)を含有する。
プレポリマー調製工程において、ポリエステルポリオール(A)以外のポリオール、イソシアネート成分、組成比、重合条件は、第1の実施形態例と同様である。特に、イソシアネート成分とポリオール成分とのモル比(NCO/OH)を2とすれば、ポリマーの両末端にイソシアネート基を有する末端イソシアネート基プレポリマーを容易に得ることができる。
[ビーズ調製工程および後処理工程]
本実施形態例におけるビーズ調製工程においても、ビーズ原材料を添加する水に懸濁安定剤が含まれる。懸濁安定剤としては第1の実施形態例と同様のものを使用でき、懸濁安定剤の量および水の量も第1の実施形態例と同様である。
ビーズ原材料を、懸濁安定剤を含む水中に添加した後、粒子状に分散するためには、通常、攪拌する方法が採られる。その際の攪拌速度は、末端イソシアネート基プレポリマーを含む液滴が所定の粒子径になるように適宜調節することが好ましい。
液滴の粒子径の調整が終了した後、温度30〜90℃に加熱し、1〜6時間、末端イソシアネート基プレポリマーと水とを反応させて、懸濁重合する。この懸濁重合では、末端イソシアネート基プレポリマーと水とが反応することにより尿素結合が形成するため、ポリウレタンを得ることができる。したがって、この懸濁重合によれば、ポリウレタンビーズ懸濁液を得ることができる。
上記ビーズ調製工程の後、第1の実施形態例と同様にして後処理工程を行って、ポリウレタンビーズを回収する。
ポリオール成分として上記ポリエステルポリオール(A)を用いて得たプレポリマーを重合する本実施形態例のポリウレタンビーズの製造方法では、ガラス転移温度が低く、低温域でも柔軟性に優れたポリウレタンビーズを得ることができる。また、本実施形態例の製造方法により得たポリウレタンビーズは、ガラス転移温度が低いにもかかわらず耐熱性に優れる。
<ポリウレタンビーズ>
ポリウレタンビーズの平均粒子径は使用する目的に応じて適宜選択されるが、フィラーとして適した1〜1000μmであることが好ましい。ポリウレタンビーズの平均粒子径は、上述したように、懸濁安定剤の量を調節することにより簡便に調整できる。具体的には、懸濁安定剤の量を多くする程、平均粒子径が小さくなり、少なくする程、平均粒子径が大きくなる。
ポリウレタンビーズのガラス転移温度は−50℃以下である。ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移が起こる温度範囲の中点の温度のことである。
ポリウレタンビーズの用途としては、例えば、塗料、化粧品、プラスチック、接着剤などが挙げられる。
ポリウレタンビーズを用いた塗料によれば、低温の環境下、高温の環境下のいずれにおいても、塗膜の柔軟性を高くできる。
ポリウレタンビーズを用いた化粧品では、低温の環境下、高温の環境下のいずれにおいても、柔軟性を高くできる。
(実施例1)
2L攪拌機付きセパラブルフラスコに水800gを仕込み、この中にメトローズ90SH−100(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社製)32gを溶解して分散媒を調製した。
これとは別に、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得たポリエステルポリオール(A)としてクラレポリオールP−6010(数平均分子量6000、2官能、株式会社クラレ製)187.5g、イソシアネート成分としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート112.5g、希釈溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)100g、および触媒としてジブチル錫ジラウレート0.003gを混合して、ビーズ原材料を調製した。このビーズ原材料中のイソシアネート成分とポリオール成分のモル比(NCO/OH)は9.8であった。
前記分散媒を600rpmで攪拌しながら、前記ビーズ原材料を加え、懸濁液を調製した。次いで、攪拌継続下に懸濁液を60℃に昇温し、4時間反応させた後、室温まで冷却し、固液分離し、水で充分洗浄した後、70℃で20時間乾燥して、平均粒子径10μmのポリウレタンビーズを得た。
得られたポリウレタンビーズのガラス転移温度は−54℃、分解開始温度は330℃であった。
ここで、分解開始温度とは、熱重量測定(TG)において、基線の外挿線と、下降線の最大傾斜点における接線とが交わる点の温度である。この分解開始温度が高い程、耐熱性が高いことを意味する。
(実施例2)
実施例1において、クラレポリオールP−6010を172.5g、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネートを127.5gとした(イソシアネート成分とポリオール成分のモル比(NCO/OH)は12.0)以外は実施例1と同様にしてポリウレタンビーズを得た。
得られたポリウレタンビーズのガラス転移温度は−55℃、分解開始温度は330℃であった。
(実施例3)
実施例1において、ポリエステルポリオール(A)としてクラレポリオールP−6010を160gおよびクラレポリオールF−3010(数平均分子量3000、3官能、株式会社クラレ製)を80g、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン型ポリイソシアネートを60.0gとした(イソシアネート成分とポリオール成分のモル比(NCO/OH)は2.4)以外は実施例1と同様にしてポリウレタンビーズを得た。
得られたポリウレタンビーズのガラス転移温度は−54℃、分解開始温度は330℃であった。
(実施例4)
実施例1において、ポリエステルポリオール(A)としてクラレポリオールP−6010を160g、ポリエステルポリオール(A)以外のポリオールとしてプラクセル320(3官能ポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール、数平均分子量2000、ダイセル化学工業株式会社製)80.0g、イソシアネート成分としてヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン型ポリイソシアネートを60.0gとした(イソシアネート成分とポリオール成分のモル比(NCO/OH)は1.8)以外は実施例1と同様にしてポリウレタンビーズを得た。
得られたポリウレタンビーズのガラス転移温度は−52℃、分解開始温度は330℃であった。
(実施例5)
実施例1において、クラレポリオールP−6010の代わりに、クラレポリオールP−2010(数平均分子量2000、2官能、株式会社クラレ製)に置き換えた(イソシアネート成分とポリオール成分のモル比(NCO/OH)は1.3)以外は実施例1と同様にしてポリウレタンビーズを得た。
得られたポリウレタンビーズのガラス転移温度は−51℃、分解開始温度は330℃であった。
(実施例6)
窒素ガスで充分に置換し、乾燥させた2Lオートクレーブに、クラレポリオールP−6010を1420g、ヘキサメチレンジイソシアネートを80g、ジブチル錫ジラウレート0.15gを仕込んだ。さらに窒素ガスにて前記オートクレーブ内を充分に置換した後、密閉し、60℃で12時間攪拌・混合して反応させた。その後、MEKを加えて、ポリエステルポリオール(A)を含有する末端イソシアネート基プレポリマーを含み、不揮発分70質量%のMEK溶液である合成物(I)を得た。
合成物(I)と同様に、1200gのプラクセル320と、300gのヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させて、ポリエステルポリオール(A)を含有する末端イソシアネート基プレポリマーを含み、不揮発分70質量%のMEK溶液である合成物(II)を得た。
2L攪拌機付きセパラブルフラスコに水800gを仕込み、この中にメトローズ90SH−100(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業株式会社製)32gを溶解して分散媒を調製した。
これとは別に、合成物(I)241.4gと合成物(II)142.9g、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン型ポリイソシアネート31.0gを混合して、ビーズ原材料を調製した。
前記分散媒を600rpmで攪拌しながら、前記ビーズ原材料を加え、懸濁液を調製した。次いで、攪拌継続下に懸濁液を60℃に昇温し、4時間反応させた後、室温まで冷却し、固液分離し、水で充分洗浄した後、70℃で20時間乾燥して、平均粒子径10μmのポリウレタンビーズを得た。
得られたポリウレタンビーズのガラス転移温度は−57℃、分解開始温度は330℃であった。
(比較例1)
実施例1において、ポリオール成分である187.5gのクラレポリオールP−6010を208.0gのプラクセル320に置き換え、イソシアネート成分である112.5gのヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネートを92.0gのヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン型ポリイソシアネートに置き換えた(イソシアネート成分とポリオール成分のモル比(NCO/OH)は1.5)こと以外は実施例1と同様にしてポリウレタンビーズを得た。
得られたポリウレタンビーズのガラス転移温度は−43℃、分解開始温度は310℃であった。
(比較例2)
実施例1において、ポリオール成分として、187.5gのクラレポリオールP−6010を240.0gのPTMG2000(ポリテトラメチレングリコール、数平均分子量2000、三菱化学株式会社製)に置き換え、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネートの量を60.0gに変更した(イソシアネート成分とポリオール成分のモル比(NCO/OH)は1.3)こと以外は実施例1と同様にしてポリウレタンビーズを得た。
得られたポリウレタンビーズのガラス転移温度は−78℃、分解開始温度は200℃であった。
以上のように、ポリオール成分としてポリエステルポリオール(A)を用いて得た実施例1〜6のポリウレタンビーズはガラス転移温度が低く、分解開始温度が高かった。したがって、低温域での高い柔軟性および耐熱性を有している。
これに対し、ポリオール成分としてポリエステルポリオール(A)以外のポリエステルポリオールを用いて得た比較例1のポリウレタンビーズは、ガラス転移温度が高くなっており、低温域で高い柔軟性が得られない。
ポリオール成分としてポリエーテルポリオールを用いて得た比較例2のポリウレタンビーズは、分解開始温度が低くなっており、耐熱性が低かった。

Claims (1)

  1. ポリオール成分およびイソシアネート成分を含むビーズ原材料を、懸濁安定剤を含む水中に粒子状に分散し、反応させて、ポリウレタンビーズ懸濁液を調製する工程と、該ポリウレタンビーズ懸濁液を固液分離する工程とを有するポリウレタンビーズの製造方法において、
    ポリオール成分が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得たポリエステルポリオール(A)を含有し、
    イソシアネート成分として、ヘキサメチレンジイソシアネートから形成されたイソシアヌレート化合物またはウレトジオン化合物を用いることを特徴とするポリウレタンビーズの製造方法。
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