JP5231109B2 - 高周波誘導加熱焼戻装置および高周波誘導加熱焼戻方法 - Google Patents

高周波誘導加熱焼戻装置および高周波誘導加熱焼戻方法 Download PDF

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Description

本発明は、車輪用軸受装置のハブ輪や等速自在継手の外側継手部材等の外径面に径が異なる円筒面を有するワークに形成された硬化層を焼戻するための高周波誘導加熱焼戻装置および高周波誘導加熱焼戻方法に関する。
外径面に径が異なる円筒面を有するワークとしては、図5に示すような等速自在継手の外側継手部材(外輪)1や図7に示すような車輪用軸受装置に用いられるハブ輪10等がある。これらにおいては、小径部の外径面に大径部との間の段付部乃至段付部近傍に至る硬化層が形成されることになる。硬化層は、焼入れ・焼戻しの熱処理を行うことによって形成する。ここで、焼入れとは、鋼をオーステナイト組織の状態に加熱した後、水または油で急冷することによって、マルテンサイト組織の状態に変化させる熱処理である。このように、焼入れは鋼の硬さを増大させる目的で行われるが、靭性が低下するので、粘り強さを得るために、焼入れ後には焼戻しを行う。焼戻しは、マルテンサイト組織の状態から鋼を再加熱し、一定時間保持した後に徐冷する作業をいう。
図5に示す外輪1は、内面2aにトラック溝(図示省略)が形成されたマウス部2と、このマウス部2の底壁から突設されるステム部3とからなる。ステム部3は、大径の基部3aと、基部3aに連設される中径の本体部3bと、本体部3bに連設される先端部3cとからなる。そして、熱硬化処理層Sが基部3aから先端部3cにわたって形成される。すなわち、熱硬化処理層Sは、小径部としてのステム部3の外径面に、段付部(マウス部2の底壁から延びるステム部3の付け根部9)近傍にいたる熱硬化処理層Sが形成されている。また、マウス部2の内面2aにも熱硬化処理層S1が形成される。
ステム部3の熱硬化処理層Sは、従来から高周波誘導加熱を用いた焼戻しを行う方法が知られている(特許文献1)。高周波誘導加熱焼戻装置としては、図5に示すような丸形のソレノイドコイル5が用いられる。すなわち、外輪1をそのマウス部2の開口部が下方に開口する状態として、下治具6と上治具7とで支持する。この状態で、ソレノイドコイル5にこの外輪1が内嵌される。
次に、コイル5に高周波電流を流すことで、電磁誘導によって外輪1の表面に高周波磁束による誘導電流が流れ、この電流により外輪1のもつ抵抗によってエネルギーを損失して熱が発生する。そして、外輪1の表面が所定温度に上昇したところで、その加熱を停止して、その温度を一定時間保持した後、冷却水で冷却することによって焼戻しを行って、この熱処理が終了する。
また、図7に示すように、車輪用軸受装置の用いられるハブ輪10においても熱硬化処理層を形成することになる。すなわち、ハブ輪10は、軸部11と、この軸部11の一端側において外径側へと突出するフランジ部12とを備える。軸部11の外表面に熱硬化処理層S2が形成される。すなわち、熱硬化処理層S2は、小径部としての軸部11の外径面に、段付部(フランジ部12から延びる軸部11の付け根部14)近傍にいたる熱硬化処理層S2が形成されている。なお、軸部11のフランジ部12側端面にはホイールおよびブレーキロータが装着される短筒状のパイロット部13が突設されている。
軸部11は、フランジ部12側のボス部11aと、ボス部11aに連設される小径の本体部11bとを備える。ボス部11aは、大径部15と中径部16と小径部17とを有し、小径部17と本体部11bとの間に段差18が設けられている。そして、ボス部11aから本体部11bにわたって熱硬化処理層S2が形成されている。なお、ボス部11aの中径部16は、軸受装置の転動体(ボール)20の転走面(転走溝)を構成する。
この場合の高周波誘導加熱焼戻装置も、図5に示した高周波誘導加熱焼戻装置と同様、ソレノイドコイル5を備えたものを使用する。ハブ輪10をそのパイロット部の開口部が下方に開口する状態として、下治具6と上治具7とで支持する。この状態で、ソレノイドコイル5にハブ輪10の軸部11が内嵌される。そして、コイル5に高周波電流を流すことになる。
図5に示すような外輪1では、ステム部3およびマウス部2に硬化層S、S1を形成する必要があるため、この両者側において焼戻しを行うことになる。しかしながら、図5に示すようなものでは、ソレノイドコイル5の内部にワーク(外輪)を置き、外輪全体を加熱している。この場合、コイル5に近接しているマウス部2側に磁束が集中するため、ステム部3の付け根部(根元部分)9では加熱され難い。このため、図9に示すように、焼戻しに必要な温度域にまで上昇しない問題がある。なお、図9において、グラフAは図5におけるA部の温度変化であり、グラフBは図5におけるB部の温度変化であり、グラフCは図5におけるC部の温度変化である。
また、ハブ輪10の場合、転走溝が大径のフランジ部12近傍に配置されるので、焼戻しが必要な転走溝に対しての温度上昇が不十分となる。なお、図9において、グラフA1は図7におけるA1部の温度変化であり、グラフB1は図7におけるB1部の温度変化であり、グラフC1は図7におけるC1部の温度変化である。なお、図9において、T1とT2との間が焼戻しに必要な温度である。
特開平5−9584号公報
そこで、外輪1においては、図6に示すように、ステム部の付け根部(根元部分)9近傍において、ソレノイドコイル5の径を小さくした小径部位5aを形成する。ハブ輪10においては、図8に示すように、フランジ部12の近傍において、ソレノイドコイル5の径を小さくした小径部位5bを形成する。
これによって、図10に示すように、図6におけるA部、B部、C部の温度変化が図10に示すグラフのように変化し、図8におけるA1部、B1部、C1部の温度変化が図10に示すグラフのように変化する。このように、各部位において、焼戻しに必要な温度に上昇させることができる。なお、図10において、T1とT2との間が焼戻しに必要な温度である。
図6や図8に示すようにソレノイドコイル5において、小径部位5a、5bを形成した場合、コイル径は、この小径部位5a、5bと他の部位とマウス部対応部等との温度バランスを考慮する必要がある。このため、例えば、過去の経験にもとづいて決定することになり、最適な温度制御が困難であった。
また、図6や図8に示すうようなソレノイドコイル5を形成する場合、小径部位5a、5bと、他の部位とをそれぞれ別個に製造し、これらを例えばロウ付け等にて接合することになる。このため、多大な製作工数を有し、作業性に劣ると共に、コスト高となる。また、製品のサイズやステム部の形状、長さ等により、最適なコイルの径は種々ある。このため、製品毎にコイルを必要とし、コイルの管理性に劣るとともに、コスト高を招くことになる。
本発明は、上記課題に鑑みて、外径面に径が異なる円筒面を有するワークの形成すべき熱硬化層全体に対して、焼戻しに必要な温度域に上昇させて焼戻処理性能の向上を図ることができる高周波誘導加熱焼戻装置および高周波誘導加熱焼戻方法を提供する。
本発明の高周波誘導加熱焼戻装置は、外径面に径が異なる円筒面を有するワークにおいて、その小径部の外径面に大径部との間の段付部乃至段付部近傍に至る部分に形成した硬化層を焼戻すための高周波誘導加熱焼戻装置であって、硬化層が形成される小径部の少なくとも全体を包囲する第1誘導加熱コイルと、段付部に近接してこの段付部を包囲する第2誘導加熱コイルとを備え、第1誘導加熱コイルはその外径及び内径がそれぞれ軸方向に沿って略同一設定されるとともに、第1誘導加熱コイルと第2誘導加熱コイルとが電気的に非接触とされ、第1誘導加熱コイルへの高周波電流の印加にて第2誘導加熱コイルに交流磁界を発生させるものである。
本発明の高周波誘導加熱焼戻装置によれば、第1誘導加熱コイルに高周波電流を印加すれば、この第1誘導加熱コイルに交流磁界が発生する。第1誘導加熱コイルの交流磁界によって、第2誘導加熱コイルに誘導電圧が発生する。第2誘導加熱コイルに誘導電圧が発生することによって、第2誘導加熱コイルに交流電流が流れる。このため、第2誘導加熱コイルに交流磁界が発生し、第2誘導加熱コイルにて包囲されている段付部乃至段付部近傍を誘導加熱することができる。
すなわち、第1誘導加熱コイルに高周波電流を印加することによって、第1誘導加熱コイル及び第1誘導加熱コイル内に配置される第2誘導加熱コイルにそれぞれ交流磁界が発生することになる。このように、第1誘導加熱コイルに交流磁界が発生すれば、この第1誘導加熱コイルに包囲されている範囲においてそのワーク外表面を誘導加熱することができ、第2誘導加熱コイルにて包囲されている段付部乃至段付部近傍を誘導加熱することができる。
第2誘導加熱コイルの径を大きくすれば、第1誘導加熱コイルとの間の距離(寸法)が小さくなり、第2誘導加熱コイルに生じる誘導電圧が大きくなる。逆に第2誘導加熱コイルの径を小さくすれば、第1誘導加熱コイルとの間の距離(寸法)が大きくなり、第2誘導加熱コイルに生じる誘導電圧が小さくなる。
第1誘導加熱コイルと第2誘導加熱コイルとは電気的に接続されていないので、各コイルを別個に交換したりすることができる。
前記第2誘導加熱コイルは、その内部を冷却水が流通するのが好ましい。第2誘導加熱コイルを断面矩形のパイプ材の一つのリング状体からなるものであれば、この第2誘導加熱コイルを配置する際に、載置テーブル等に安定して設置することができる。
ワークとしては、車輪用軸受装置のハブ輪である場合や等速自在継手の外側継手部材である場合がある。
本発明の高周波誘導加熱焼戻方法は、外径面に径が異なる円筒面を有するワークにおいて、その小径部の外径面に大径部との間の段付部乃至段付部近傍に至る部分に形成した硬化層を焼戻すための高周波誘導加熱焼戻方法であって、前記小径部を包囲する第1誘導加熱コイルに高周波電流を印加して、この第1誘導加熱コイルに交流磁界を発生させ、これによって、段付部乃至段付部近傍を包囲する第2誘導加熱コイルに交流電流を流して、この第2誘導加熱コイルに交流磁界を発生させるものである。
本発明の高周波誘導加熱焼戻方法によれば、第1誘導加熱コイルに高周波電流を印加することによって、第1誘導加熱コイル及び第1誘導加熱コイル内に配置される第2誘導加熱コイルにそれぞれ交流磁界が発生することになる。
本発明では、第1誘導加熱コイルに交流磁界を発生させることによって、この第1誘導加熱コイルに包囲されている範囲においてそのワーク外表面を誘導加熱することができ、第2誘導加熱コイルにて包囲されている段付部乃至段付部近傍を誘導加熱することができる。このため、段付部乃至段付部近傍においても、焼戻しに必要な温度域に上昇させて焼戻処理性能の向上を図ることができる。
第1誘導加熱コイルと第2誘導加熱コイルとは電気的に接続されていないので、各コイルを別個に交換等することができる。このため、サイズ(大きさ)や形状の異なるワークに対して、第2誘導加熱コイルを交換することにより、このワークに形成される熱硬化層に対して最適な加熱温度で加熱することができる。したがって、条件導出の工数をソレノイドコイルに小径部位を形成する従来のものと比較して大幅に短縮できる。
第1誘導加熱コイル用のコイルを製造し、このコイルから第2誘導加熱コイルをワークの形状に合わせて入れ替えすることができる。このため、各コイルを低コストにて製造できる利点がある。
前記第2誘導加熱コイルがその内部を冷却水が流通するものであれば、この冷却水によって、このコイルの温度上昇を抑えることができる。すなわち、第2誘導加熱コイルは、ヒステリシス損や渦電流損により発熱するため、冷却水を流すことによって、第2誘導加熱コイルの温度上昇を防止する。これによって、温度制御の安定化を図ることができ、焼戻処理性能の向上を一層図ることができる。
第2誘導加熱コイルを断面矩形のパイプ材の一つのリング状体からなるものであれば、この第2誘導加熱コイルを配置する際に、載置テーブル等に安定して設置することができ、配置性に優れる。
このように、本発明では、外径面に径が異なる円筒面を有するワークにおいて、その小径部の外径面に段付部乃至段付部近傍に至る硬化層を高精度に形成することができる。このため、ワークとしては、車輪用軸受装置のハブ輪や等速自在継手の外側継手部材が最適となる。
以下本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。ワークとしての等速自在継手の外側継手部材(外輪)31に高周波誘導加熱焼戻を行う高周波誘導加熱焼戻装置を示している。外輪31は、内面32aにトラック溝(図示省略)が形成されたマウス部32と、このマウス部32の底壁から突設されるステム部33とからなる。ステム部33は、大径の基部33aと、基部33aに連設される中径の本体部33bと、本体部33bに連設される先端部33cとからなる。そして、熱硬化処理層Sが基部33aから先端部33cにわたって形成される。すなわち、熱硬化処理層Sは、小径部としてのステム部33の外径面に、段付部39(マウス部32の底壁から延びるステム部33の付け根部)近傍にいたる熱硬化処理層Sが形成されている。また、マウス部32の内面32aにも熱硬化処理層S1が形成される。
高周波誘導加熱焼戻装置は、外輪1全体を包囲する第1誘導加熱コイル35と、外輪1の段付部39に近接してこの段付部39を包囲する第2誘導加熱コイル38とを備える。第1誘導加熱コイル35は、導線(断面円形の導線)34をらせん状に巻いた円筒状のコイル(ソレノイドコイル)である。すなわち、第1誘導加熱コイル35はその外径及び内径がそれぞれ軸方向に沿って略同一設定される。
第2誘導加熱コイル38は、図2に示すように、導電体からなる断面矩形のパイプ材40の一つのリング状体からなる。すなわち、断面矩形のパイプ材40を円形となるように配置し、端面を仕切片41を介して連結する。そして、仕切片41近傍に、冷却水流入管42および冷却水流出管43を接続する。このため、第2誘導加熱コイル38は、矢印Eのように冷却水流入管42から入った冷却水が、矢印Fのように冷却水流出管43から流出するように矢印Gのように円環状に流れる流路44が形成される。前記仕切片41は絶縁体にて構成される。これは、仕切片41を絶縁体にて構成すると、非加熱物に流れる電流は、第1誘導加熱コイル35と第2誘導加熱コイル38をながれる電流が重畳されたものとなり、仕切片41を導電体にて構成すると、非加熱物に流れる電流は、第1誘導加熱コイル35と第2誘導加熱コイル38に拠り発生する電流の向きが相殺される方向の電流となるからである。
第2誘導加熱コイル38は、絶縁材(絶縁体)からなるテーブル45に載置保持される。なお、テーブル45は、円筒体からなる本体部45aと、本体部45aの上方開口部に配置されるコイル受け台部45bとを備える。そして、コイル受け台部45b上に第2誘導加熱コイル38が載置保持される。
また、外輪31をそのマウス部32の開口部が下方に開口する状態として、下治具36と上治具37とで支持する。下治具36はマウス部32の開口部を塞ぐ程度の大きさの絶縁性円盤体46を備える。上治具37は外輪31のステム部33の端面47と略同一径の絶縁性円柱体48を備える。
コイル受け台部45bの開口部50が外輪31の段付部39に対応する。このため、第2誘導加熱コイル38はステム部33の基部33aを包囲することになる。なお、第2誘導加熱コイル38の内径はステム部33の基部33aの外径よりも僅かに大きく設定され、第2誘導加熱コイル38の内周面38aが基部33aの外径面49に近接配置され、外輪31の段付部39近傍を包囲することになる。
テーブル45は、その外径が第1誘導加熱コイル35の内径よりも僅かに小さく、その内径が外輪31のマウス部32の外径よりも僅かに大きい。
次に前記高周波誘導加熱焼戻装置を使用した高周波誘導加熱焼戻方法を説明する。高周波誘導加熱焼戻を行う前に、このワーク(外輪31)に対して焼入れ(この高周波誘導加熱焼入れ)が行われる。この場合、この高周波誘導加熱焼戻装置を用いることができる。高周波誘導加熱焼入れを行った後、この高周波誘導加熱焼戻装置を使用した高周波誘導加熱焼戻を行う。
この際、図1に示す状態に高周波誘導加熱焼戻装置にワーク(外輪31)をセットする。すなわち、マウス部32がテーブル45内に収納された状態の外輪31を第1誘導加熱コイル35内に収容する。また、テーブル45のコイル受け台部45bに第2誘導加熱コイル38を載置保持する。そして、外輪31と第1誘導加熱コイル35と第2誘導加熱コイル38とを同一軸心L上に配置する。この実施形態において、本発明の小径部がステム部33にて構成し、段付部39がステム部33とマウス部32との間の付け根部にて構成することになる。
この状態で、第1誘導加熱コイル35に高周波電流を印加する。これによって、第1誘導加熱コイル35に交流磁界が発生し、この第1誘導加熱コイル35の交流磁界によって、第2誘導加熱コイル38に誘導電圧が発生する。第2誘導加熱コイル38に誘導電圧が発生することによって、第2誘導加熱コイル38に交流電流が流れる。このため、第2誘導加熱コイル38に交流磁界が発生し、第2誘導加熱コイル38にて包囲されている段付部39乃至段付部近傍を誘導加熱することができる。
すなわち、第1誘導加熱コイル35に高周波電流を印加することによって、第1誘導加熱コイル35及び第1誘導加熱コイル38内に配置される第2誘導加熱コイル38にそれぞれ交流磁界が発生することになる。このように、第1誘導加熱コイル35に交流磁界が発生すれば、この第1誘導加熱コイル35に包囲されている範囲においてそのワーク外表面を誘導加熱することができ、第2誘導加熱コイル38にて包囲されている段付部39乃至段付部近傍を誘導加熱することができる。このため、段付部39乃至段付部近傍においても、焼戻しに必要な温度域に上昇させて焼戻処理性能の向上を図ることができる。すなわち、図1におけるA部、B部、C部の温度変化が図4に示すグラフのように変化し、各部位において、焼戻しに必要な温度に上昇させることができる。なお、図4において、T1とT2との間が焼戻しに必要な温度である。
この誘導加熱中においては、第2誘導加熱コイル38の内部を冷却水が流通させる。これによって、ヒステリシス損や渦電流損により発熱する第2誘導加熱コイル38の温度上昇を防止する。
第2誘導加熱コイル38の径を大きくすれば、第1誘導加熱コイル35との間の距離(寸法)が小さくなり、第2誘導加熱コイル38に生じる誘導電圧が大きくなる。逆に第2誘導加熱コイル38の径を小さくすれば、第1誘導加熱コイル35との間の距離(寸法)が大きくなり、第2誘導加熱コイル38に生じる誘導電圧が小さくなる。このため、形成される熱硬化処理層Sの段付部乃至段付部近傍に対する温度制御を安定して行うことができる。
第1誘導加熱コイル35と第2誘導加熱コイル38とは電気的に接続されていないので、各コイル35,38を別個に交換等することができる。このため、サイズ(大きさ)や形状の異なるワークに対して、第2誘導加熱コイル38を交換することにより、このワークの形成される熱硬化処理層Sに対して最適な加熱温度で加熱することができる。したがって、条件導出の工数を、図6や図8に示すように、ソレノイドコイル5に小径部位5a、5bを形成するものと比較して大幅に短縮できる。
第1誘導加熱コイル用のコイルを製造し、このコイルから第2誘導加熱コイル38をワークの形状に合わせて入れ替えすることができる。このため、各コイルを低コストにて製造できる利点がある。
第2誘導加熱コイル38がその内部を冷却水が流通するものであれば、この冷却水によって、このコイルの温度上昇を抑えることができる。これによって、温度制御の安定化を図ることができ、焼戻処理性能の向上を一層図ることができる。
第2誘導加熱コイル38は断面矩形のパイプ材の一つのリング状体からなるので、第2誘導加熱コイル38を配置する際に、この実施形態のようにテーブル(載置テーブル)45等に安定して設置することができ、配置性に優れる。
次に、図3はワークが車輪用軸受装置のハブ輪60の場合を示している。ハブ輪60は、軸部61と、この軸部61の一端側において外径側へと突出するフランジ部62とを備える。軸部61の外表面に熱硬化処理層S2が形成される。すなわち、熱硬化処理層S2は、小径部としての軸部61の外径面に、段付部(フランジ部62から延びる軸部61の付け根部64)近傍にいたる熱硬化処理層S2が形成されている。なお、軸部61のフランジ部62側端面にはホイールおよびブレーキロータが装着される短筒状のパイロット部63が突設されている。
軸部61は、フランジ部62側のボス部61aと、ボス部61aに連設される小径の本体部61bとを備える。ボス部61aは、大径部65と中径部66と小径部67とを有し、小径部67と本体部61bとの間に段差68が設けられている。そして、ボス部61aから本体部61bにわたって熱硬化処理層S2が形成されている。なお、ボス部61aの中径部66は、軸受装置の転動体(ボール)70の転走面(転走溝)を構成する。
この場合もハブ輪60はそのパイロット部63の開口部が下方に開口する状態として、下治具6と上治具7とで支持する。この状態で、第2誘導加熱コイル88にて段付部64乃至段付部近傍を包囲する。すなわち、この実施形態において、本発明の小径部が、本体部61bとボス部61aの小径部67とで構成し、段付部64がボス部61aの中径部66にて構成することになる。
第1誘導加熱コイル85は、前記図1に示す第1誘導加熱コイル35と同様の導線(断面円形の導線)84をらせん状に巻いた円筒状のコイル(ソレノイドコイル)である。すなわち、第1誘導加熱コイル85はその外径及び内径がそれぞれ軸方向に沿って略同一設定される。
第2誘導加熱コイル88は、図2に示すように、断面矩形のパイプ材90の一つのリング状体からなり、冷却水流入管(図示省略)から入った冷却水が、冷却水流出管から流出するように円環状に流れる流路94が形成される。
この際、第2誘導加熱コイル88は絶縁材(絶縁物)からなるテーブル71に載置保持される。この場合のテーブル71は、ハブ輪60の上方位置に配置される水平台71aの載置部72に第2誘導加熱コイル88が載置される。すなわち、水平台71aは、ハブ輪60のボス部61aが挿通される孔部を有し、この孔部の周縁部に厚肉部から載置部72を有する。
テーブル71には第1誘導加熱コイル85が載置保持される。すなわち、第1誘導加熱コイル85の内径が載置部72より僅かに大きく設定され、第2誘導加熱コイル88の外径が第1誘導加熱コイル85の内径よりも小さく設定され、さらに第2誘導加熱コイル88の内径がボス部61aの中径部66よりも僅かに大きく設定される。なお、下治具86はパイロット部63の開口部を塞ぐ程度の大きさの絶縁性円盤体76を備える。上治具87は軸部61の端面77と略同一径の絶縁性円柱体78を備える。
この場合も、図3に示した状態にセット(ハブ輪60と、第1誘導加熱コイル85と、第2誘導加熱コイル88とが同一軸心L1上に配設される状態)して、第1誘導加熱コイル85に高周波電流を印加する。これによって、前記図1に示す高周波誘導加熱焼戻装置と同様、第1誘導加熱コイル85及び第1誘導加熱コイル85内に配置される第2誘導加熱コイル88にそれぞれ交流磁界が発生することになる。このように、第1誘導加熱コイル85に交流磁界が発生すれば、この第1誘導加熱コイル85に包囲されている範囲においてそのワーク外表面を誘導加熱することができ、第2誘導加熱コイル88にて包囲されている段付部64乃至段付部近傍を誘導加熱することができる。
このため、この図3に示す高周波誘導加熱焼戻装置は、図3におけるA1部、B1部、C1部の温度変化が図4に示すグラフのように変化し、各部位において、焼戻しに必要な温度に上昇させることができる。すなわち、図3に示す高周波誘導加熱焼戻装置は、前記図1に示す高周波誘導加熱焼戻装置と同様の作用効果を奏することができる。
このように、本発明では、外径面に径が異なる円筒面を有するワークにおいて、その小径部の外径面に段付部乃至段付部近傍に至る硬化層を高精度に形成することができる。このため、ワークとしては、車輪用軸受装置のハブ輪や等速自在継手の外側継手部材が最適となる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、第1誘導加熱コイル35、85の巻き数、巻きピッチ、径寸法、導線の径寸法とは、ワークの大きさや形状等に応じて種々変更できる。また、第1誘導加熱コイル35、85においても、使用する導線を中空状として、冷却水が流れるようにしてもよい。第2誘導加熱コイル38、88としては、使用するパイプ材が円筒体であってもよく、第1誘導加熱コイル35、85のようにらせん状に巻いた円筒状のコイルであってもよい。また、第2誘導加熱コイル38、88として、冷却水が流れない中実体にて構成してもよく、この場合の断面形状も矩形状であっても円形であってもよい。第1誘導加熱コイル35,85及び第2誘導加熱コイル38、88の材質としては、高周波電流が流れて交流磁界を発生させるものであればよいので、従来から高周波熱誘導装置に用いられる種々のものを使用することができる。また、ワークとしては、車輪用軸受装置のハブ輪や等速自在継手の外側継手部材に限るものではなく、外径面に径が異なる円筒面を有する種々のワークを用いることができる。
本発明の実施形態を示す高周波熱誘導加熱装置の簡略断面図である。 前記高周波熱誘導加熱装置の第2誘導加熱コイルを示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。 本発明の実施形態を示す他の高周波熱誘導加熱装置の簡略断面図である。 加熱時間と加熱温度との関係を示すグラフ図である。 従来の高周波熱誘導加熱装置の簡略断面図である。 前記図5の高周波熱誘導加熱装置の変形例を示す簡略断面図である。 従来の他の高周波熱誘導加熱装置の簡略断面図である。 前記図7の高周波熱誘導加熱装置の変形例を示す簡略断面図である。 加熱時間と加熱温度との関係を示すグラフ図である。 加熱時間と加熱温度との関係を示すグラフ図である。
符号の説明
S 熱硬化処理層
31 外側継手部材
35 第1誘導加熱コイル
38 第2誘導加熱コイル
39 段付部
40 パイプ材
60 ハブ輪
64 段付部
85 第1誘導加熱コイル
88 第2誘導加熱コイル

Claims (6)

  1. 外径面に径が異なる円筒面を有するワークにおいて、その小径部の外径面に大径部との間の段付部乃至段付部近傍に至る部分に形成した硬化層を焼戻するための高周波誘導加熱焼戻装置であって、硬化層が形成される小径部の少なくとも全体を包囲する第1誘導加熱コイルと、段付部に近接してこの段付部を包囲する第2誘導加熱コイルとを備え、第1誘導加熱コイルはその外径及び内径がそれぞれ軸方向に沿って略同一設定されるとともに、第1誘導加熱コイルと第2誘導加熱コイルとが電気的に非接触とされ、第1誘導加熱コイルへの高周波電流の印加にて第2誘導加熱コイルに交流磁界を発生させることを特徴とする高周波誘導加熱焼戻装置。
  2. 前記第2誘導加熱コイルは、その内部を冷却水が流通することを特徴とする請求項1に記載の高周波誘導加熱焼戻装置。
  3. 前記第2誘導加熱コイルは、断面矩形のパイプ材の一つのリング状体からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高周波誘導加熱焼戻装置。
  4. 前記ワークは、車輪用軸受装置のハブ輪であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の高周波誘導加熱焼戻装置。
  5. 前記ワークは、等速自在継手の外側継手部材であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の高周波誘導加熱焼戻装置。
  6. 外径面に径が異なる円筒面を有するワークにおいて、その小径部の外径面に大径部との間の段付部乃至段付部近傍に至る部分に形成した硬化層を焼戻するための高周波誘導加熱焼戻方法であって、前記小径部を包囲する第1誘導加熱コイルに高周波電流を印加して、この第1誘導加熱コイルに交流磁界を発生させ、これによって、段付部乃至段付部近傍を包囲する第2誘導加熱コイルに交流電流を流して、この第2誘導加熱コイルに交流磁界を発生させることを特徴とする高周波誘導加熱焼戻方法。
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