以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における可動鉄心およびこれを用いたソレノイド装置の構成を示す図である。図1(A)は、シャフト4の復帰状態を示し、図1(B)は、シャフト4の突出状態を示す。図1の破線は、磁束線を示す。
本実施形態における可動鉄心を用いたソレノイド装置は、長尺な導体部材を絶縁しつつ巻回したコイルと、前記コイルの励磁により生じる磁束線を通す固定鉄心と、前記コイルの前記励磁により生じる前記磁束線を通し、前記磁束線に起因して生じる前記固定鉄心に向かう吸引力によって前記コイルの軸方向に沿って移動する可動鉄心と、前記可動鉄心に連結され、前記可動鉄心の移動に伴って移動する出力部材とを備える。このようなソレノイド装置Dは、より具体的には、例えば、図1に示すように、コイル1と、固定鉄心2(2−1、2−2)と、可動鉄心3と、シャフト4と、ハウジング5と、上部キャップ部6と、上部軸受け部7−1と、下部軸受け部7−2と、図略の付勢部材とを備える。
コイル1は、長尺な導体部材を絶縁しつつ巻回した巻線である。前記長尺な導体部材は、断面丸形や正方形等の線材であって良いが、コイル1での渦電流を低減する観点から、断面長方形の帯状の線材であることが好ましい。このような帯状の長尺な導体部材は、シート形状、リボン形状あるいはテープ形状であり、幅(幅方向の長さ、軸方向の長さ)Wに対する厚さ(前記幅方向に直交する厚さ方向の長さ、径方向の長さ)tが1未満である(0<t/W<1)。このようなコイル1は、帯状の長尺な導体部材を、該導体部材の幅方向がコイル1の軸方向に沿うように絶縁部材(図略)を挟んで巻回することによって構成される(フラットワイズ巻線構造)。
ハウジング5は、コイル1、固定鉄心2(2−1、2−2)および可動鉄心3等を収容する円筒状の部材である。
固定鉄心2(2−1、2−2)は、コイル1の励磁により生じる磁束線を通す部材であり、例えば、コイル1の軸方向に互いに離間するように配置された1対の上部固定鉄心2−1および下部固定鉄心2−2を備える。上部固定鉄心2−1は、円筒状の上部固定鉄心本体と、上部固定鉄心本体における前記軸方向の一方端(上部端)の全外周を囲むとともに、前記軸方向の一方端から、前記軸方向と直交する径方向外側に延びる円環板状の上部固定鉄心フランジ部とを備える。下部固定鉄心2−2は、円筒状の下部固定鉄心本体と、下部固定鉄心本体における前記軸方向の他方端(下部端)に連結される円板状の下部固定鉄心底板部とを備える。下部固定鉄心底板部における下部固定鉄心本体と連結される底面(下部固定鉄心本体の筒内に臨む内面)には、その中央に円柱状の凹所が形成されている。そして、この凹所に、ベアリング等を備える円環状の下部軸受け部7−2が、互いに中心(軸心)を一致させて嵌め込まれ固定されている。
これら上部固定鉄心2−1および下部固定鉄心2−2は、上部固定鉄心本体の他方端面と下部固定鉄心本体の一方端面とが互いに対向して軸方向に離間し、かつ、それらの中心(軸心)が互いに一致するように配置されることで、コイルボビンを形成する。なお、上部固定鉄心本体の他方端面と下部固定鉄心本体の一方端面とは、互いに平行であって軸方向に交差するテーパ面(斜め面)に形成されている。このように配置された上部固定鉄心本体および下部固定鉄心本体の外周面に、コイル1が配置される。すなわち、上部固定鉄心本体および下部固定鉄心本体の前記外周面に、長尺な帯状の導体部材を絶縁部材を介して巻き回すことによってコイル1が形成されている。
これらコイル1および固定鉄心2は、上部固定鉄心フランジ部の外周面が前記軸方向の一方端面より内側に寄った位置でハウジング5の内周面に連結し、下部固定鉄心底板部でハウジング5における軸方向の他方端面を閉塞するように、下部固定鉄心底板部の外周面が前記軸方向の他方端面の位置でハウジング5の内周面に連結することによって、ハウジング5に取り付けられる。
可動鉄心3は、コイル1の前記励磁により生じる前記磁束線を通し、前記磁束線に起因して生じる固定鉄心2に向かう吸引力によってコイル1の前記軸方向に沿って移動する部材である。可動鉄心3は、例えば、固定鉄心2における上部固定鉄心本体部の前記軸方向の一方端面から下部固定鉄心本体部の前記軸方向の他方端までの長さ(固定鉄心2の高さ)より短い長さ(高さ)を持つ円柱状の部材である。
シャフト4は、可動鉄心3の駆動力を外部に取り出すために、可動鉄心3に連結され、可動鉄心3の移動に伴って移動する部材である。シャフト4は、例えば、ハウジング5における軸方向の一方端から軸方向の他方端までの長さ(ハウジングの高さ)より長い長さ(高さ)を持つロッド状(長尺な円柱状)の軸体である。可動鉄心3には、軸心を前記軸方向に沿って貫通するように貫通孔が形成されており、可動鉄心3の両端面(上下面)から軸方向外側に延びるように前記貫通孔に挿通され固定されることによって、シャフト4は、互いに軸心を一致させて可動鉄心3に取り付けられて固定されている。
可動鉄心3の外径は、固定鉄心2における上部固定鉄心本体部および下部固定鉄心本体部から構成される筒部の内径よりやや短く、シャフト4における前記軸方向の他方端(下端)が下部軸受け部7−2で軸受けされ、可動鉄心3が固定鉄心2における上部固定鉄心本体部および下部固定鉄心本体部から構成される前記筒部内を摺動可能となるよう、可動鉄心3およびシャフト4は、固定鉄心2における上部固定鉄心本体部および下部固定鉄心本体部から構成される前記筒部内に配置される。
これら固定鉄心2、可動鉄心3およびハウジング5は、例えば、炭素鋼や電磁ステンレス鋼等の軟磁性材料で形成され、ハウジング5は、バックヨークとして機能している。なお、可動鉄心3を形成する軟磁性材料は、後に詳述される。
上部キャップ部6は、円板状の部材であり、その中央には、貫通孔が形成され、この貫通孔に、ベアリング等を備える円環状の上部軸受け部7−1が、互いに中心(軸心)を一致させて嵌め込まれ固定されている。そして、上部キャップ部6は、シャフト4における前記軸方向の一方端側で上部軸受け部7−1を挿通して上部軸受け部7−1で軸受けされ、上部キャップ部6の外周面でハウジング5における軸方向の一方端面を閉塞するように、上部キャップ部6の外周面が前記軸方向の一方端面の位置でハウジング5の内周面に連結することによって、ハウジング5に取り付けられる。
前記図略の付勢部材は、例えばコイルバネ等を備えて構成され、いわゆる復帰ばねであり、前記軸方向における一方端から他方端に向けて(下向きに)可動鉄心3を付勢するように、配設される。
そして、このような構成のソレノイド装置Dが電磁弁に利用される場合、シャフト4が弁の駆動機構に接続され、シャフト4によって出力されるソレノイド装置Dの駆動力が弁の駆動力に用いられ、また、ソレノイド装置Dが接点装置に利用される場合、シャフト4が可動接点の駆動機構に接続され、シャフト4によって出力されるソレノイド装置Dの駆動力が可動接点の駆動力に用いられる。
このようなソレノイド装置Dは、交流やPWM方式でコイル1が励磁され、磁場(磁界)が生成される。この磁場の磁束線は、図1(A)に破線で示すように、上部固定鉄心2−1から、ギャップG(図中、破線の○で示す箇所)、可動鉄心3、下部固定鉄心2−2およびハウジング5を介して上部固定鉄心2−1に戻る閉ループを形成する。ここで、前記ギャップGは、短いほどエネルギー的には安定するので、前記磁束線に起因して固定鉄心2の上部固定鉄心2−1に向かう吸引力が可動鉄心3に働く。可動鉄心3は、この吸引力によって図1(B)に示すように、コイル1の軸方向に沿って移動し、これに伴ってシャフト4も前記軸方向に沿って移動する(突出状態)。一方、コイル1の通電を停止すると、コイル1の励磁によって生成された前記磁場が消失し、前記図略の付勢部材によって可動鉄心3は、図1(B)に示す位置から図1(A)に示す位置に復帰する(復帰状態)。
上記可動鉄心3を形成する軟磁性材料について説明する。本実施形態では、次に表1に示す成分を持つ磁性材料から成る可動鉄心3について渦電流が形状別に検討され、可動鉄心3の磁性材料、形状および駆動周波数がより最適化された。さらに、可動鉄心3の磁性材料におけるフェライト結晶粒の大きさが表2に示すように最適化された。なお、表1には、成分だけでなく、最大比透磁率、微分比透磁率および比抵抗(電気抵抗率、[μΩcm])も示されている。同様に、表2には、減面率、熱処理の有無およびフェライト結晶粒度番号だけでなく、最大比透磁率、微分比透磁率および比抵抗(電気抵抗率、[μΩcm])も示されている。
試料番号No1〜No6の磁性材料は、株式会社神戸製鋼所製の磁性鋼ELCH2であり、主成分の鉄(Fe)に、0.02質量%以下の炭素(C)、0.03質量%以下のシリコン(Si)、0.3質量%以下のマンガン(Mn)、0.03質量%以下のリン(P)、0.03質量%以下の硫黄(S)、0.01質量%以下の銅(Cu)、0.01質量%以下のニッケル(Ni)、0.01質量%以下のアルミニウム(Al)、0.01質量%以下のクロム(Cr)および0.005質量%以下の窒素(N)を成分として含む材料である。なお、試料番号No1〜No6の磁性材料は、不可避不純物を含んで良い。このELCH2は、例えば、千葉政道、鹿礒正人、「純鉄系軟磁性材料」、R・D KOBE STEEL ENGINEERING REPRTS、Vol.52 No.3、2002年12月に開示されている。
より詳しくは、試料番号No1〜No6の磁性材料は、磁性鋼ELCH2の製法で製造されているが、その原材料の成分比率を変えることで、次の成分になっている。
試料番号No1の磁性材料は、主成分の鉄(Fe)に、0.008質量%の炭素(C)、0.03質量%のシリコン(Si)、0.28質量%のマンガン(Mn)、0.025質量%のリン(P)、0.03質量%の硫黄(S)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.01質量%のアルミニウム(Al)、0.01質量%のクロム(Cr)および0.005質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No2の磁性材料は、主成分の鉄(Fe)に、0.005質量%の炭素(C)、0.01質量%のシリコン(Si)、0.27質量%のマンガン(Mn)、0.004質量%のリン(P)、0.01質量%の硫黄(S)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.01質量%のアルミニウム(Al)、0.01質量%のクロム(Cr)および0.004質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No3の磁性材料は、主成分の鉄(Fe)に、0.005質量%の炭素(C)、0.01質量%のシリコン(Si)、0.11質量%のマンガン(Mn)、0.004質量%のリン(P)、0.01質量%の硫黄(S)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.01質量%のアルミニウム(Al)、0.01質量%のクロム(Cr)および0.004質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No4の磁性材料は、主成分の鉄(Fe)に、0.006質量%の炭素(C)、0.01質量%のマンガン(Mn)、0.004質量%のリン(P)、0.01質量%の硫黄(S)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.01質量%のアルミニウム(Al)、0.01質量%のクロム(Cr)および0.004質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No5の磁性材料は、主成分の鉄(Fe)に、0.005質量%の炭素(C)、0.10質量%のマンガン(Mn)、0.003質量%のリン(P)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.01質量%のアルミニウム(Al)、0.01質量%のクロム(Cr)および0.004質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No6の磁性材料は、主成分の鉄(Fe)に、0.003質量%の炭素(C)、0.01質量%のマンガン(Mn)、0.004質量%のリン(P)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.01質量%のアルミニウム(Al)、0.01質量%のクロム(Cr)および0.004質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
大略、試料番号No1〜No3は、シリコンを成分として含む一方、試料番号No4〜No6は、シリコンを成分として含まない。また、大略、試料番号No1〜No4は、硫黄を成分として含む一方、試料番号No5、No6は、硫黄を成分として含まない。
試料番号No7の磁性材料は、東北特殊鋼株式会社製の電磁ステンレスK−M35FLであり、主成分の鉄(Fe)に、0.010質量%の炭素(C)、0.77質量%のシリコン(Si)、0.29質量%のマンガン(Mn)、0.031質量%のリン(P)、0.02質量%の硫黄(S)、0.10質量%のクロム(Cr)、0.01質量%の銅(Cu)、0.19質量%のニッケル(Ni)、0.27質量%のアルミニウム(Al)、13.99質量%のクロムおよび0.008質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No8の磁性材料は、快削鋼SUM24L(JIS鋼)であり、主成分の鉄(Fe)に、0.150質量%の炭素(C)、1.00質量%のマンガン(Mn)、0.050質量%のリン(P)、0.30質量%の硫黄(S)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.02質量%のアルミニウム(Al)、0.01質量%のクロム(Cr)および0.004質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No9の磁性材料は、低炭素鋼S10C(JIS鋼)であり、主成分の鉄(Fe)に、0.1質量%の炭素(C)、0.25質量%のシリコン(Si)、0.50質量%のマンガン(Mg)、0.020質量%のリン(P)、0.02質量%の硫黄(S)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.01質量%のアルミニウム(Al)、0.01質量%のクロム(Cr)および0.005質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No10の磁性材料は、電磁ステンレスSUS430(JIS鋼)であり、主成分の鉄(Fe)に、0.050質量%の炭素(C)、0.40質量%のシリコン(Si)、0.50質量%のマンガン(Mn)、0.010質量%のリン(P)、0.01質量%の硫黄(S)、0.01質量%の銅(Cu)、0.01質量%のニッケル(Ni)、0.01質量%のアルミニウム(Al)、17.00質量%のクロム(Cr)および0.005質量%の窒素(N)を成分として含む材料である。
試料番号No11〜No14の磁性材料は、試料番号No1の磁性材料と同じ成分を含む。これら試料番号No11〜No14の磁性材料では、減面率や熱処理の有無が異なっている。より詳しくは、試料番号No11は、減面率が0%であり、下記の熱処理を実施していない。試料番号No12は、減面率が35%であり、下記の熱処理を実施していない。試料番号No13は、減面率が0%であり、下記の熱処理を実施した。試料番号No14は、減面率が35%であり、下記の熱処理を実施した。試料番号No13は、試料番号No1そのものである。したがって、試料番号No14は、試料番号No13(No1)に対し、減面率の点で変え、減面率を有している。試料番号No11、No12は、試料番号No13(No1)に対し、熱処理の点で変え、熱処理を実施していない。また、試料番号No12は、試料番号11に対し、減面率の点で変え、減面率を有している。
減面率は、伸線加工の前後における棒材や線材の断面積の変化率(減少率)である((減面率(%))={(加工前の断面積)−(加工後の断面積)}/(加工前の断面積)×100)。伸線加工は、棒またはコイル状の棒鋼や鋼線の径を細くする加工であり、例えば、鋼材の径よりも僅かに細い(小さい)径のダイス(金型)に前記鋼材を通過させることにより、前記鋼材を塑性変形させ、その径を細くする加工である。この減面率は、伸線加工における加工度の目安として用いられる指標である。
熱処理は、水素雰囲気中において、850℃で3時間保持した後、100℃/h程度の降温速度で除冷することによって実施された。この熱処理により、磁性材料の結晶粒が成長し、磁性特性が変化する。
なお、これら試料番号No7〜No14の磁性材料も不可避不純物を含んで良い。
これら各試料について、まず、渦電流損失(ジュール損失)が検討された。渦電流分布は、可動鉄心が円柱形状である場合について計算された。図2は、渦電流分布計算に用いられた可動鉄心モデル(円柱鉄心)を説明するための図である。図2(A)は、可動鉄心モデルの諸元を説明するための斜視図であり、図2(B)は、渦電流分布の計算方法を説明するための上面図である。
この可動鉄心モデルの渦電流分布の計算では、円柱形状の可動鉄心モデルにおける中心軸と一致するようにZ軸が設定され、このZ軸に直交する径方向にX軸が設定され(中心点(中心軸のZ軸とX軸との交点)がX軸の座標原点0)、可動鉄心モデルの高さ(Z軸方向の長さ)がhとされ、その半径(X軸方向の長さ)がRとされた。
このような可動鉄心モデルにおいて、Z軸方向に変動する交流磁界が作用すると、この交流磁界の磁界変動により、図2(B)に示す灰色部分の閉回路に印加される鉄心円柱方向の電圧(誘導起電力)Vは、電磁誘導の法則から、式1のように表される。
ここで、Ψ(x)は、閉回路より内部の鉄心中を通過する磁束であり、B(x)は、磁束密度であり、鉄心の軸方向に印加されているとする。磁束密度は、表皮効果によって表面付近を中心に流れるため、交流磁界の角周波数をω(ω=2πf、fは周波数である)とし、鉄心表面における磁束密度をBmとすると、鉄心内部の磁束密度分布は、式2のように示される。
ここで、kは、表皮深さをδとした場合、1/δである(k=1/δ)。表皮効果を考慮した誘導起電力は、式2を式1に代入することによって次式のように表される。
閉回路内を電流が流れることによって発生するジュール損失△Pは、△P=V2/Rである。閉回路の電気抵抗は、閉回路の幅をΔxとし、高さをhとし、鉄心材料の電気抵抗率をρ(Ωcm)とすると、式4のように表される。
式3、4より閉回路におけるジュール損失は、式5で表される。
これを鉄心全体で積分し、鉄心全体の体積で割ることによって最終的に単位体積あたりのジュール損失、すなわち渦電流損失が式7のように算出される。
Pvは、単位体積あたりの渦電流損失を示しており、Bm=μ0μdHmの式7から表面磁界振幅Hmに変換している。μ0は、真空透磁率(=4π×10−7H/m)であり、μdは、微分比透磁率であり、μ0μd=dB/dHと定義される。
表皮効果を考慮した渦電流による単位体積当たりのジュール損失Pvは、式7から分かるように、様々なパラーメータに依存しているが、まず、可動鉄心を形成する磁性材料の磁気特性が前記ジュール損失Pvに与える影響を検討すると、式7から分かるように、微分比透磁率と電気抵抗率(比抵抗)とが前記ジュール損失Pvに影響を与える。この微分比透磁率は、可動鉄心に印加される磁界における磁束密度Bの磁界微分値(=(1/μ0)×(dB/dH)、μ0は、真空の透磁率))であるから、上記各試料番号No1〜No10、No13、No14それぞれについて、B−H曲線が図3に示すように求められ、それら各B−H曲線が磁界Hで微分されることで、微分比透磁率が図4に示すように求められた。
図3は、各試料番号No1〜No10、No13、No14のB−H曲線を示す図である。図3の横軸は、磁界H[A/m]であり、その縦軸は、磁束密度B[T]である。図4は、各試料番号No1〜No10、No13、No14の微分比透磁率を示す図である。図4の横軸は、磁界H[A/m]であり、その縦軸は、微分比透磁率μdである。図3および図4において、●は、試料番号No1の値を示し、◇は、試料番号No2の値を示し、−は、試料番号No3の値を示し、×は、試料番号No4の値を示し、*は、試料番号No5の値を示し、+は、試料番号No6の値を示し、▲は、試料番号No7の値を示し、○は、試料番号No8の値を示し、■は、試料番号No9の値を示し、◆は、試料番号No10の値を示し、▽は、試料番号No13の値を示し、そして、□は、試料番号No14の値を示す。
各試料番号No1〜No10、No13、No14における各B−H曲線は、図3に示すように、磁界0から約1000[A/m]まで、磁界強度の増加に従って比較的急激に増加し、磁界約1000から約2000[A/m]まで、磁界強度の増加に従って急激であるが若干緩やかに増加し(磁界約1000から約2000[A/m]まで、磁界強度の増加に従って磁界0から約1000[A/m]までの増加率に較べて相対的に低下した増加率で増加し)、磁界約2000[A/m]以上では磁界強度の増加に従って徐々に増加または飽和するプロファイルを持つ。そして、磁界Hが同じ値では、磁束密度Bは、大略、試料番号No10から試料番号No1の順で大きくなっている。試料番号No13、No14の磁束密度Bは、試料番号No1〜No6と略同等になっている。また、各試料番号No1〜No10、No13、No14における各微分比透磁率は、図4に示すように、上記図3に示す各B−H曲線に対応したプロファイルを持つ。
試料番号No.1と試料番号No.7とでは、微分比透磁率は、80で同じであるが、電気抵抗率が大きく異なる。このため、図12に示すように渦電流損失などで差が生じる。より詳細には、試料番号No.7は、電気抵抗が大きいため表皮深さが大きくなり、渦電流が鉄心の内部まで侵入しやすくなるために損失が大きくなる。試料番号No.1は、電気抵抗が低く表皮効果のため表面部分しか渦電流が流れないため、或る条件下(鉄心のサイズと周波数によっては)では損失が小さくなる。微分透磁率に関しても、微分比透磁率が80である試料番号No.1と微分比透磁率が140である試料番号No.9を比較すると、式7より微分比透磁率が低いほど損失が小さくなるため、この点から試料番号No.1の方が試料番号No.9より損失は、低くなる。すなわち、電気抵抗率に関しては、電気抵抗が大き過ぎると、渦電流が鉄心の内部まで侵入しやすくなるため損失が大きくなるため、電気抵抗率は、11.5μΩ以下であることが好ましい。微分透磁率に関しては、式7より微分透磁率が低いほど損失が小さくなるため、微分比透磁率が80以下であることが好ましい。
上述したように、各試料番号No1〜No10、No13、No14における各B−H曲線は、磁界約1000[A/m]以上で緩やかに増加するようになるので、例えば電磁弁や接点装置等に好適に用いられるアクチュエータのソレノイド装置でも、磁界1000[A/m]付近の磁界領域で使用されることが一般的である。このため、微分比透磁率μdは、磁界1000[A/m]の値とし、次に、可動鉄心の形状および表皮効果が前記ジュール損失Pvに与える影響が、検討された。式5から分かるように、可動鉄心の半径RとPWMの周波数(または交流電流の周波数)fとが前記ジュール損失Pvに影響を与える。このため、可動鉄心の半径Rを2[mm]、5[mm]および10[mm]に振り、周波数fを100[Hz]、1[kHz]および10[kHz]に振り、前記ジュール損失Pvが計算された。その各結果がρ−μd渦電流損失マップで図5ないし図9に示されている。ρ−μd渦電流損失マップは、電気抵抗率(比抵抗)ρおよび微分比透磁率μdそれぞれを可変変数として渦電流損失を表した図である。
図5は、可動鉄心の半径Rが5[mm]であって周波数fが1[kHz]である場合における、ρ−μd渦電流損失マップを示す図である。図6は、可動鉄心の半径Rが2[mm]であって周波数fが1[kHz]である場合における、ρ−μd渦電流損失マップを示す図である。図7は、可動鉄心の半径Rが10[mm]であって周波数fが1[kHz]である場合における、ρ−μd渦電流損失マップを示す図である。図8は、可動鉄心の半径Rが5[mm]であって周波数fが100[Hz]である場合における、ρ−μd渦電流損失マップを示す図である。図9は、可動鉄心の半径Rが5[mm]であって周波数fが10[kHz]である場合における、ρ−μd渦電流損失マップを示す図である。図5ないし図9における各横軸は、微分比透磁率μdであり、それら各縦軸は、[μΩcm]で示す電気抵抗率(比抵抗)ρである。また、図5ないし図9における各破線(等ジュール損失Pv線)は、前記ジュール損失Pvが同値な点を結ぶことによって形成された曲線である。そして、図5ないし図9における各矢符は、前記ジュール損失Pvが低減する方向を示している。すなわち、図5、図7および図9の場合では、微分比透磁率μdが低くなるとともに電気抵抗率ρが低くなると、前記ジュール損失Pvは、より低減する。図6および図8の場合では、微分比透磁率μdが低くなるとともに電気抵抗率ρが高くなると、前記ジュール損失Pvは、より低減する。
上記表1および図4に示すように、磁界1000[A/m]において、試料番号No1〜No6は、微分比透磁率μdが80以下であり、電気抵抗率(比抵抗)ρが11.5[μΩcm]以下であり、試料番号No7は、微分比透磁率μdが80であり、電気抵抗率ρが72[μΩcm]であり、試料番号No8は、微分比透磁率μdが280であり、電気抵抗率ρが20[μΩcm]であり、試料番号No9は、微分比透磁率μdが140であり、電気抵抗率ρが17[μΩcm]であり、そして、試料番号No10は、微分比透磁率μdが280であり、電気抵抗率ρが61[μΩcm]である。これら各値が図5ないし図9にプロットされている。
これら図5ないし図9から分かるように、試料番号No1〜No7は、渦電流損失が試料番号No8〜No10より小さい。一方、試料番号No1〜No6は、図3から分かるように、磁束密度が試料番号No7を含めて他の試料より高く、このため、ソレノイド装置において、最も強い電磁力を発揮するので、より好ましい磁性材料であると言える。そこで、試料番号No1〜No6の渦電流損失が試料番号No7〜No10よりも小さくなる可動鉄心の半径RとPWMの周波数(または交流電流の周波数)fとが、より詳細に検討された。その結果がR−f渦電流損失マップで図10に示されている。R−f渦電流損失マップは、可動鉄心の半径Rおよび周波数fそれぞれを可変変数として渦電流損失を表した図である。
図10は、R−f渦電流損失マップを示す図である。図10の横軸は、周波数[Hz]であり、その縦軸は、可動鉄心の半径R[mm]である。図10において、○は、試料番号No1〜No6の渦電流損失が他の試料番号No7〜No10より小さい場合(ケース)を示し、×は、試料番号No1〜No6の渦電流損失が他の試料番号No7〜No10より小さくない場合(ケース)を示す。図10から、試料番号No1〜No6で可動鉄心を形成する場合、周波数fを高く、可動鉄心の半径Rを大きくすると、渦電流損失が低減することが分かる。これは、周波数を高くするほど表皮深さが小さくなり(表面に電流が集中する傾向)、可動鉄心の半径Rを大きくするほど可動鉄心全体に対する表皮深さの割合が小さくなるため、すなわち、可動鉄心全体に対する渦電流の流れる領域が狭くなるため、渦電流損失が低減すると考えられる。そこで、○がプロットされる領域と×がプロットされる領域の境界線が図10からフィッティングされ、前記境界線は、R=250/((logf)4)であった。この結果、○がプロットされる領域は、R≧250/((logf)4)である。
以上より、ソレノイド装置の可動鉄心は、渦電流損失をより低減する観点から、好ましくは、電気抵抗率11.5[μΩcm]以下であって磁界1000[A/m]において微分比透磁率80以下である磁性材料から成り、コイルに通電される電流の周波数をf[Hz]とし、当該可動鉄心の半径をR[mm]とする場合に、R≧250/((logf)4)の関係を満たす形状を持つ。
一方、材料組織が適切であることも重要である。結晶粒界は、磁壁の移動を妨げるため、印加磁界に対する磁気的な応答性を劣化し、磁気特性を低下させる要因となる。このため、結晶粒界密度は、小さいほど好ましく、したがって、フェライト結晶粒度番号が小さいほど好ましい。フェライト結晶粒の大きさは、熱処理によって調整できる。表2に示すように、試料番号No11〜No14は、試料番号No1と同様に、電気抵抗率(比抵抗)ρが11.5[μΩcm]であるが、熱処理の有無によって、微分比透磁率μdが異なっている。すなわち、熱処理を実施しない試料番号No11は、フェライト結晶粒度番号が6.2で微分比透磁率μdが180であり、熱処理を実施しない試料番号No12は、フェライト結晶粒度番号が6.5で微分比透磁率μdが220である一方、熱処理を実施した試料番号No13(すなわち試料番号No1)は、フェライト結晶粒度番号が3.5で微分比透磁率μdが80であり、熱処理を実施した試料番号No14は、フェライト結晶粒度番号が5.2で微分比透磁率μdが68となっている。なお、フェライト結晶粒は、JIS−G0551に準拠した手法で測定された。このように熱処理を実施することによって、フェライト結晶粒の大きさが最適化され、微分比透磁率μdが80以下となっている。このため、試料番号No13、No14は、試料番号No11、No12より有利になっている。これは、図5ないし図9を参照すると、試料番号No14が試料番号No1〜No6の近傍にプロットされていることからも理解される。
ここで、フェライト結晶粒の大きさは、伸線加工によっても影響を受けると考えられるが、試料番号No11と試料番号No12との比較、および、試料番号No13と試料番号No14との比較それぞれから分かるように、伸線加工は、余り影響せず、その結果、微分比透磁率μdにも余り影響していない。
また、フェライト結晶粒の大きさが小さすぎると、例えば、冷間鍛造加工の際にいわゆる割れを生じるなどの加工性が低下し、好ましくない。
したがって、フェライト結晶粒の大きさ(フェライト結晶粒度番号)をさらに最適化することが好ましい。
一例では、前記磁性材料は、主成分の鉄(Fe)に、0.001質量%以上、0.01質量%以下の炭素(C)、0より多く、0.1質量%以下のシリコン(Si)、0.1質量%以上、0.5質量%以下のマンガン(Mn)、0より多く、0.03質量%以下のリン(P)、0より多く、0.02質量%以下の硫黄(S)、0より多く、0.1質量%以下の銅(Cu)、0より多く、0.1質量%以下のニッケル(Ni)、0より多く、0.04質量%以下のアルミニウム(Al)、および、0より多く、0.007質量%以下の窒素(N)、の各成分を含有し、フェライト結晶粒の大きさがフェライト結晶粒度番号で2以上、6以下であることが好ましい。
炭素を含むことで、機械強度を向上させる効果があって好ましい。炭素が0.001質量%未満になっても前記改善効果が飽和するため、下限値は、0.001質量%が好ましい。一方、炭素は、磁性材料の鋼中に固溶して鉄結晶格子を歪ませる。このため、炭素が0.01質量%を越えると、高磁界での磁気特性を著しく劣化させるため、好ましくない。この観点から、炭素は、0.0015質量%以上、0.008質量%以下であることがより好ましく、炭素は、0.002質量%以上、0.006質量%以下であることがさらにより好ましい。
シリコンは、溶製時に脱酸として作用でき、また電気抵抗を増加させて渦電流による磁気特性の低下を抑制できるため、前記磁性材料は、シリコンを含むことが、好ましい。しかしながら、シリコンが増加すると、飽和磁束密度が小さくなると共に冷間鍛造性が阻害される。このため、シリコンが0.1質量%を越えると、前記飽和磁束密度が確保できなくなって好ましくない。上記観点から、シリコンは、0より多く、0.07質量%以下であることがより好ましい。
マンガンは、脱酸剤として作用でき、鋼中の硫黄と結合することによって前記硫黄による熱間脆化を抑制できる。またマンガンは、鋼中の硫黄がFeSとして粒界に析出することで生じる磁気特性のバラツキや熱間延性の低下(すなわち、製造性の低下)も抑制できる。さらにマンガンは、切削加工の際に、析出したMnSがチップブレーカーとして作用し、切り屑処理性の向上や工具摩耗量の改善効果を奏する。これらのため、前記磁性材料は、マンガンを含むことが、好ましく、マンガンMnが0.1質量%未満になると、これらの効果が不充分となって好ましくなく、一方、マンガンMnが0.5質量%を越えると、磁気特性が低下してしまい好ましくない。上記観点から、マンガンは、0.2質量%以上、0.5質量%以下であることがより好ましい。
粒界偏析を起すことによって冷間鍛造性の低下と磁気特性の低下を生じさせる。このため、リンPが0.03質量%を越えると、前記磁気特性を確保できず、好ましくない。なお、リンは、不可避的不純物として残る。上記観点から、リンは、0より多く、0.02質量%以下であることがより好ましい。
硫黄を含むことで、硫黄は、Mnと結合してMnS析出物を形成することで切削加工性向上の効果が期待できる。一方、硫黄は、鋼中に固溶して飽和磁束密度を低下させる。硫黄Sが0.02質量%を越えると、通常の低炭素鋼(JIS S10C)を凌ぐレベルの磁束密度を安定的に確保することができず、好ましくない。上記観点から、硫黄は、0より多く、0.01質量%以下であることがより好ましい。
銅を含むことで、フェライト相の電気抵抗を増加でき、渦電流の減衰時定数を低減できる。一方、銅Cuが0.1質量%を越えると、磁気モーメントが低下して鋼材の磁気特性が劣化するため、好ましくない。ニッケルも銅と同様である。上記観点から、銅は、0.02質量%以上、0.1質量%以下であることがより好ましく、ニッケルも、0.02質量%以上、0.1質量%以下であることがより好ましい。なお、同様の観点から、前記磁性材料は、0.02%以上、0.1質量%以下のクロム(Cr)を含有することが好ましい。
アルミニウムは、固溶NをAlNの形で固定し、AlNは、結晶粒を微細化させる作用を有する。このため、アルミニウムが0.04質量%を越えると、前記結晶粒の微細化による結晶粒界の増加によって、磁気特性が低下し易くなるため、好ましくない。なお、アルミニウムは、不可避的不純物として残る。上記観点から、アルミニウムは、0より多く、0.02質量%以下であることがより好ましい。
窒素は、上述したように、アルミニウムと結合して窒化物を形成する。このとき、アルミニウムと結合できない窒素は、フェライト相に固溶して磁気特性を低下させる。このため、窒素Nが0.007質量%を越えると、前記磁気特性を確保できず、好ましくない。なお、窒素は、不可避的不純物として残る。上記観点から、窒素は、0より多く、0.005質量%以下であることがより好ましい。
フェライト結晶粒の大きさがフェライト結晶粒度番号で2未満であると、伸線加工や冷間鍛造時に鋼材が結晶粒界から破断するなど製造時のトラブルとなるため好ましくなく、6を越えると、磁気特性の低下を招く結晶粒界が増加するため好ましくない。
また、試料番号No1、試料番号No7および試料番号No10について、市販の磁場解析アプリケーション(JSOL社製、JMAG ver13.0)を用いて、各渦電流心損失を比較する検証が行われた。図11は、検証に用いられたソレノイドインジェクタ装置の構成を示す図である。図12は、試料番号No1および試料番号No7における検証結果を示す図である。図12(A)は、可動鉄心の渦電流損失を示し、その縦軸は、渦電流損失[W]である。図12(B)は、ソレノイドインジェクタ装置全体の損失を示し、その縦軸は、損失[W]である。
検証に用いられたソレノイドインジェクタ装置は、JSOLから提供されているJAC066INJECTOR−03dであり、固定鉄心(Core)とヨーク(Yoke)とから形成される収容空間内に200ターンのコイル(Coil)が収容され、固定鉄心と可動鉄心のプランジャー(Plunger)とは、各端面で互いに対向するように配置されている。このような構成のソレノイドインジェクタ装置における固定鉄心、プランジャおよびヨークに、試料番号No1、試料番号No7および試料番号No10それぞれが用いられた。プランジャ(可動鉄心)の直径は、5[mm]とされ、PWMの周波数は、10[kHz]とされ、その中心電流は、1.2[A]とされ、そして、その電流振幅は、0.2[A]とされた。この場合における試料番号No1および試料番号No7の結果が図12に示されている。なお、試料番号No10の結果は、これらより劣るので、ここでは、省略する。図12から分かるように、可動鉄心(プランジャ)の渦電流損失およびソレノイドインジェクタ装置全体の損失共に、試料番号No1の場合が試料番号No7より低く、試料番号No1の優位性が確認された。
以上のように、本実施形態における可動鉄心3は、電気抵抗率11.5[μΩcm]以下であって微分比透磁率80以下である磁性材料から成り、R≧250/((logf)4)の関係を満たす形状を持つので、渦電流の観点から、より適切な材料が選択され、より適切な形状が選択されているので、発熱や電力損失をより低減できる。
そして、本実施形態におけるソレノイド装置Dは、このような可動鉄心を用いるので、発熱や電力損失をより低減できる。さらに,可動鉄心だけでなく、ヨークや固定鉄心においても適切な材料、形状を選択することで発熱や損失の低減が可能である。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。