JP6404149B2 - 可動鉄心およびソレノイド装置 - Google Patents

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本発明は、例えば電磁弁や接点装置等に好適に用いられるソレノイド装置の可動鉄心および該可動鉄心を用いた前記ソレノイド装置に関する。
従来、電磁弁(ソレノイドバルブ)や接点装置(例えば電磁開閉器や電磁リレー等)等には、電磁弁の弁を駆動するためや接点装置の可動接点を駆動するために、駆動装置(アクチュエータ)として電磁力を利用したソレノイド装置が利用されている。電磁弁は、例えば自動車、建設機械および産業機械等における油圧や空圧の制御に広く用いられ、また、接点装置は、例えば電力系統や制御回路等の電気回路に広く用いられている。このような電磁弁や接点装置等に利用されるソレノイド装置は、一般に、固定鉄心と、コイルと、前記コイルの励磁により生じる磁界によって固定鉄心に対し軸方向に離接する可動鉄心と、前記可動鉄心の移動に伴って軸方向に移動する出力軸とを備えている。
そして、このようなソレノイド装置は、交流電流による駆動だけでなく、近年では、半導体技術の進展により、例えば特許文献1や特許文献2等に開示されているように、PWM(Pulse Width Modulation)方式で駆動されるようになってきている。
前記特許文献1に開示された比例ソレノイドバルブは、PWM信号に応じてオンオフするスイッチング手段を介して電源に接続されるソレノイド、および、前記ソレノイドの通電電流に応じて変位する可動体を有している。
また、前記特許文献2に開示されたアクチュエータは、ソレノイドへの通電電流に応じて変位するプランジャを有するものであり、その制御手段は、供給される電源電圧の大きさに基づいて、前記ソレノイドへの通電電流に対して、PWMパルスのキャリア周波数を変動させると共にディザを付与するためのディザ振幅電流値を変動させるものである。
特開平10−95216号公報 特開2014−69677号公報
ところで、電磁力を利用したソレノイド装置は、コイルを励磁する励磁電流に交流電流やPWM方式の電流が用いられると、鉄心に、いわゆる渦電流が生じる。この結果、この渦電流によってジュール熱が生じ、電力損失が生じてしまう。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、発熱や電力損失をより低減できる可動鉄心および該可動鉄心を用いたソレノイド装置を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる可動鉄心は、コイルの励磁によって生じた電磁力を利用したソレノイド装置の可動鉄心であって、電気抵抗率11.5[μΩcm]以下であって磁界1000[A/m]において微分比透磁率80以下である磁性材料から成り、前記コイルに通電される電流の周波数をf[Hz]とし、当該可動鉄心の半径をR[mm]とする場合に、R≧250/((logf))の関係を満たす形状を持つことを特徴とする。そして、上述の可動鉄心において、前記磁性材料は、主成分の鉄に、炭素0.02重量%以下で、0.03重量%のシリコン、0.30重量%のマンガン、0.03重量%のリンおよび0.03重量%の硫黄を成分として含む材料であるである。
このような可動鉄心は、電気抵抗率11.5[μΩcm]以下であって微分比透磁率80以下である磁性材料から成り、R≧250/((logf))の関係を満たす形状を持つので、渦電流の観点から、より適切な材料が選択され、より適切な形状が選択されているので、発熱や電力損失をより低減できる。
そして、本発明の他の一態様にかかるソレノイド装置は、長尺な導体部材を絶縁しつつ巻回したコイルと、前記コイルの励磁により生じる磁束線を通す固定鉄心と、前記コイルの前記励磁により生じる前記磁束線を通し、前記磁束線に起因して生じる前記固定鉄心に向かう吸引力によって前記コイルの軸方向に沿って移動する可動鉄心と、前記可動鉄心に連結され、前記可動鉄心の移動に伴って移動する出力部材とを備え、前記可動鉄心は、上述の可動鉄心であることを特徴とする。
これによれば、上述の可動鉄心を用いたソレノイド装置が提供できる。上記ソレノイド装置は、上述の可動鉄心を用いるので、発熱や電力損失をより低減できる。
本発明にかかる可動鉄心は、発熱や電力損失をより低減できる。そして、本発明によれば、このような可動鉄心を用いたソレノイド装置が提供できる。
実施形態における可動鉄心およびこれを用いたソレノイド装置の構成を示す図である。 渦電流分布計算に用いられた可動鉄心モデル(円柱鉄心)を説明するための図である。 各試料No1〜No5のB−H曲線を示す図である。 各試料No1〜No5の微分比透磁率を示す図である。 可動鉄心の半径Rが5mmであって周波数fが1[kHz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。 可動鉄心の半径Rが2mmであって周波数fが1[kHz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。 可動鉄心の半径Rが10mmであって周波数fが[1kHz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。 可動鉄心の半径Rが5mmであって周波数fが100[Hz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。 可動鉄心の半径Rが5mmであって周波数fが10[kHz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。 R−f渦電流損失マップを示す図である。 検証に用いられたソレノイドインジェクタ装置の構成を示す図である。 試料No1および試料No2における検証結果を示す図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
図1は、実施形態における可動鉄心およびこれを用いたソレノイド装置の構成を示す図である。本実施形態における可動鉄心を用いたソレノイド装置は、長尺な導体部材を絶縁しつつ巻回したコイルと、前記コイルの励磁により生じる磁束線を通す固定鉄心と、前記コイルの前記励磁により生じる前記磁束線を通し、前記磁束線に起因して生じる前記固定鉄心に向かう吸引力によって前記コイルの軸方向に沿って移動する可動鉄心と、前記可動鉄心に連結され、前記可動鉄心の移動に伴って移動する出力部材とを備える。このようなソレノイド装置Dは、より具体的には、例えば、図1に示すように、コイル1と、固定鉄心2(2−1、2−2)と、可動鉄心3と、シャフト4と、ハウジング5と、上部キャップ部6と、上部軸受け部7−1と、下部軸受け部7−2と、図略の付勢部材とを備える。
コイル1は、長尺な導体部材を絶縁しつつ巻回した巻線である。前記長尺な導体部材は、断面丸形や正方形等の線材であって良いが、コイル1での渦電流を低減する観点から、断面長方形の帯状の線材であることが好ましい。このような帯状の長尺な導体部材は、シート形状、リボン形状あるいはテープ形状であり、幅(幅方向の長さ、軸方向の長さ)Wに対する厚さ(前記幅方向に直交する厚さ方向の長さ、径方向の長さ)tが1未満である(0<t/W<1)。このようなコイル1は、帯状の長尺な導体部材を、該導体部材の幅方向がコイル1の軸方向に沿うように絶縁部材(図略)を挟んで巻回することによって構成される(フラットワイズ巻線構造)。ハウジング5は、コイル1、固定鉄心2(2−1、2−2)および可動鉄心3等を収容する円筒状の部材である。
固定鉄心2(2−1、2−2)は、コイル1の励磁により生じる磁束線を通す部材であり、例えば、コイル1の軸方向に互いに離間するように配置された1対の上部固定鉄心2−1および下部固定鉄心2−2を備える。上部固定鉄心2−1は、円筒状の上部固定鉄心本体と、上部固定鉄心本体における前記軸方向の一方端(上部端)の全外周を囲むとともに、前記軸方向の一方端から、前記軸方向と直交する径方向外側に延びる円環板状の上部固定鉄心フランジ部とを備える。下部固定鉄心2−2は、円筒状の下部固定鉄心本体と、下部固定鉄心本体における前記軸方向の他方端(下部端)に連結される円板状の下部固定鉄心底板部とを備える。下部固定鉄心底板部における下部固定鉄心本体と連結される底面(下部固定鉄心本体の筒内に臨む内面)には、その中央に円柱状の凹所が形成されている。そして、この凹所に、ベアリング等を備える円環状の下部軸受け部7−2が、互いに中心(軸心)一致させて嵌め込まれ固定されている。
これら上部固定鉄心2−1および下部固定鉄心2−2は、上部固定鉄心本体の他方端面と下部固定鉄心本体の一方端面とが互いに対向して軸方向に離間するように配置されることで、コイルボビンを形成する。なお、上部固定鉄心本体の他方端面と下部固定鉄心本体の一方端面とは、互いに平行であって軸方向に交差するテーパ面(斜め面)に形成されている。このように配置された上部固定鉄心本体および下部固定鉄心本体の外周面に、コイル1が配置される。すなわち、上部固定鉄心本体および下部固定鉄心本体の前記外周面に、長尺な帯状の導体部材を絶縁部材を介して巻き回すことによってコイル1が形成されている。
これらコイル1および固定鉄心2は、上部固定鉄心フランジ部の外周面が前記軸方向の一方端面より内側に寄った位置でハウジング5の内周面に連結し、下部固定鉄心底板部でハウジング5における軸方向の他方端面を閉塞するように、下部固定鉄心底板部の外周面が前記軸方向の他方端面の位置でハウジング5の内周面に連結することによって、ハウジング5に取り付けられる。
可動鉄心3は、コイル1の前記励磁により生じる前記磁束線を通し、前記磁束線に起因して生じる固定鉄心2に向かう吸引力によってコイル1の前記軸方向に沿って移動する部材である。可動鉄心3は、例えば、固定鉄心2における上部固定鉄心本体部の前記軸方向の一方端面から下部固定鉄心本体部の前記軸方向の他方端までの長さ(固定鉄心2の高さ)より短い長さ(高さ)を持つ円柱状の部材である。シャフト4は、可動鉄心3の駆動力を外部に取り出すために、可動鉄心3に連結され、可動鉄心3の移動に伴って移動する部材である。シャフト4は、例えば、ハウジング5における軸方向の一方端から軸方向の他方端までの長さ(ハウジングの高さ)より長い長さ(高さ)を持つロッド状(長尺な円柱状)の軸体である。可動鉄心3には、軸心を前記軸方向に沿って貫通するように貫通孔が形成されており、可動鉄心3の両端面(上下面)から軸方向外側に延びるように前記貫通孔に挿通され固定されることによって、シャフト4は、互いに軸心を一致させて可動鉄心3に取り付けられて固定されている。
可動鉄心3の外径は、固定鉄心2における上部固定鉄心本体部および下部固定鉄心本体部から構成される筒部の内径よりやや短く、シャフト4における前記軸方向の他方端(下端)が下部軸受け部7−2で軸受けされ、可動鉄心3が固定鉄心2における上部固定鉄心本体部および下部固定鉄心本体部から構成される前記筒部内を摺動可能となるよう、可動鉄心3およびシャフト4は、固定鉄心2における上部固定鉄心本体部および下部固定鉄心本体部から構成される前記筒部内に配置される。
これら固定鉄心2、可動鉄心3およびハウジング5は、例えば、炭素鋼や電磁ステンレス鋼等の軟磁性材料で形成され、ハウジング5は、バックヨークとして機能している。なお、可動鉄心3を形成する軟磁性材料は、後に詳述される。
上部キャップ部6は、円板状の部材であり、その中央には、貫通孔が形成され、この貫通孔に、ベアリング等を備える円環状の上部軸受け部7−1が、互いに中心(軸心)一致させて嵌め込まれ固定されている。そして、上部キャップ部6は、シャフト4における前記軸方向の一方端側で上部軸受け部7−1を挿通して上部軸受け部7−1で軸受けされ、上部キャップ部6の外周面でハウジング5における軸方向の一方端面を閉塞するように、上部キャップ部6の外周面が前記軸方向の一方端面の位置でハウジング5の内周面に連結することによって、ハウジング5に取り付けられる。
前記図略の付勢部材は、例えばコイルバネ等を備えて構成され、いわゆる復帰ばねであり、前記軸方向における一方端から他方端に向けて(下向きに)可動鉄心3を付勢するように、配設される。
そして、このような構成のソレノイド装置Dが電磁弁に利用される場合、シャフト4が弁の駆動機構に接続され、シャフト4によって出力されるソレノイド装置Dの駆動力が弁の駆動力に用いられ、また、ソレノイド装置Dが接点装置に利用される場合、シャフト4が可動接点の駆動機構に接続され、シャフト4によって出力されるソレノイド装置Dの駆動力が可動接点の駆動力に用いられる。
このようなソレノイド装置Dは、交流やPWM方式でコイル1が励磁され、磁場(磁界)が生成される。この磁場の磁束線は、図1(A)に破線示すように、上部固定鉄心2−1から、ギャップG(図中、破線の○で示す箇所)、可動鉄心3、下部固定鉄心2−2およびハウジング5を介して上部固定鉄心2−1に戻る閉ループを形成する。ここで、前記ギャップGは、短いほどエネルギー的には安定するので、前記磁束線に起因して固定鉄心2の上部固定鉄心2−1に向かう吸引力が可動鉄心3に働く。可動鉄心3は、この吸引力によって図1(B)に示すように、コイル1の軸方向に沿って移動し、これに伴ってシャフト4も前記軸方向に沿って移動する。一方、コイル1の通電を停止すると、コイル1の励磁によって生成された前記磁場が消失し、前記図略の付勢部材によって可動鉄心3は、図1(B)に示す位置から図1(A)に示す位置に復帰する。
上記可動鉄心3を形成する軟磁性材料について説明する。本実施形態では、次に表1に示す成分を持つ磁性材料から成る可動鉄心3について渦電流が形状別に検討され、可動鉄心3の磁性材料、形状および駆動周波数がより最適化された。なお、表1には、成分だけでなく、最大比透磁率、微分比透磁率および比抵抗(電気抵抗率、[μΩcm])も示されている。
試料番号No1の磁性材料は、株式会社神戸製鋼所製の磁性鋼ELCH2であり、主成分の鉄(Fe)に、炭素(C)0.02重量%以下で、0.03重量%のシリコン(Si)、0.30重量%のマンガン(Mn)、0.03重量%のリン(P)および0.03重量%の硫黄(S)を成分として含む材料である。なお、このELCH2は、例えば、千葉政道、鹿礒正人、「純鉄系軟磁性材料」、R・D KOBE STEEL ENGINEERING REPRTS、Vol.52 No.3、2002年12月に開示されている。
試料番号No2の磁性材料は、東北特殊鋼株式会社製の電磁ステンレスK−M35FLであり、主成分の鉄(Fe)に、0.7重量%のシリコン(Si)、13重量%のクロム(Cr)、0.2重量%のアルミニウム(Al)および0.2重量%の鉛(Pb)を成分として含む材料である。
試料番号No3の磁性材料は、快削鋼SUM24L(JIS鋼)であり、主成分の鉄(Fe)に、0.15重量%の炭素(C)、1.0重量%のマンガン(Mn)、0.05重量%のリン(P)、0.3重量%の硫黄(S)および0.2重量%の鉛(Pb)を成分として含む材料である。
試料番号No4の磁性材料は、低炭素鋼S10C(JIS鋼)であり、主成分の鉄(Fe)に、0.1重量%の炭素(C)、0.25重量%のシリコン(Si)、0.5重量%のマンガン(Mg)、0.02重量%のリン(P)および0.02重量%の硫黄(S)を成分として含む材料である。
試料番号No5の磁性材料は、電磁ステンレスSUS430(JIS鋼)であり、主成分の鉄(Fe)に、0.05重量%の炭素(C)、0.4重量%のシリコン(Si)、0.5重量%のマンガン(Mn)、0.01重量%のリン(P)、0.01重量%の硫黄(S)および17重量%のクロム(Cr)を成分として含む材料である。
Figure 0006404149
渦電流分布は、可動鉄心が円柱形状である場合について計算された。図2は、渦電流分布計算に用いられた可動鉄心モデル(円柱鉄心)を説明するための図である。図2(A)は、可動鉄心モデルの諸元を説明するための斜視図であり、図2(B)は、渦電流分布の計算方法を説明するための上面図である。
この可動鉄心モデルの渦電流分布の計算では、円柱形状の可動鉄心モデルにおける中心軸と一致するようにZ軸が設定され、このZ軸に直交する径方向にX軸が設定され(中心点(中心軸のZ軸とX軸との交点)がX軸の座標原点0)、可動鉄心モデルの高さ(Z軸方向の長さ)がhとされ、その半径(X軸方向の長さ)がRとされた。
このような可動鉄心モデルにおいて、Z軸方向に変動する交流磁界が作用すると、この交流磁界の磁界変動により、図2(B)に示す灰色部分の閉回路に印加される鉄心円柱方向の電圧(誘導起電力)Vは、電磁誘導の法則から、式1のように表される。
Figure 0006404149
ここで、Ψ(x)は、閉回路より内部の鉄心中を通過する磁束であり、B(x)は、磁束密度であり、鉄心の軸方向に印加されているとする。磁束密度は、表皮効果によって表面付近を中心に流れるため、交流磁界の角周波数をω(ω=2πf、fは周波数である)とし、鉄心表面における磁束密度をBmとすると、鉄心内部の磁束密度分布は、式2のように示される。
Figure 0006404149
ここで、kは、表皮深さをδとした場合、1/δである(k=1/δ)。表皮効果を考慮した誘導起電力は、式2を式1に代入することによって次式のように表される。
Figure 0006404149
閉回路内を電流が流れることによって発生するジュール損失△Pは、△P=V/Rである。閉回路の電気抵抗は、閉回路の幅をΔxとし、高さをhとし、鉄心材料の電気抵抗率をρ(Ωcm)とすると、式4のように表される。
Figure 0006404149
式3、4より閉回路におけるジュール損失は、式5で表される。
Figure 0006404149
これを鉄心全体で積分し、鉄心全体の体積で割ることによって最終的に単位体積あたりのジュール損失、すなわち渦電流損失が式7のように算出される。
Figure 0006404149
Figure 0006404149
は、単位体積あたりの渦電流損失を示しており、Bm=μμの式7から表面磁界振幅Hに変換している。μは、真空透磁率(=4π×10−7H/m)であり、μは、微分比透磁率であり、μμ=dB/dHと定義される。
表皮効果を考慮した渦電流による単位体積当たりのジュール損失Pは、式7から分かるように、様々なパラーメータに依存しているが、まず、可動鉄心を形成する磁性材料の磁気特性が前記ジュール損失Pに与える影響を検討すると、式7から分かるように、微分比透磁率と電気抵抗率(比抵抗)とが前記ジュール損失Pに影響を与える。この微分比透磁率は、可動鉄心に印加される磁界における磁束密度Bの磁界微分値(=(1/μ)×(dB/dH)、μは、真空の透磁率))であるから、上記各試料No1〜No5それぞれについて、B−H曲線が図3に示すように求められ、それら各B−H曲線が磁界Hで微分されることで、微分比透磁率が図4に示すように求められた。
図3は、各試料No1〜No5のB−H曲線を示す図である。図3の横軸は、磁界H[A/m]であり、その縦軸は、磁束密度B[T]である。図4は、各試料No1〜No5の微分比透磁率を示す図である。図4の横軸は、磁界H[A/m]であり、その縦軸は、微分比透磁率μである。図3および図4において、●は、試料No1の値を示し、▲は、試料No2の値を示し、×は、試料No3の値を示し、■は、試料No4の値を示し、そして、◆は、試料No5の値を示す。
各試料No1〜No5における各B−H曲線は、図3に示すように、磁界0から約1000[A/m]まで、磁界強度の増加に従って比較的急激に増加し、磁界約1000から約2000[A/m]まで、磁界強度の増加に従って緩やかに急激に増加し(磁界約1000から約2000[A/m]まで、磁界強度の増加に従って磁界0から約1000[A/m]までの増加率に較べて相対的に低下した増加率で増加し)、磁界約2000[A/m]以上では磁界強度の増加に従って徐々に増加または飽和するプロファイルを持つ。そして、磁界Hが同じ値では、磁束密度Bは、大略、試料No5から試料No1の順で大きくなっている。また、各試料No1〜No5における各微分比透磁率は、図4に示すように、上記図3に示す各B−H曲線に対応したプロファイルを持つ。
試料No.1と試料No.2とでは、微分比透磁率は、80で同じであるが、電気抵抗率が大きく異なる。このため、図12に示すように渦電流損失などで差が生じる。より詳細には、試料No.2は、電気抵抗が大きいため表皮深さが大きくなり、渦電流が鉄心の内部まで侵入しやすくなるために損失が大きくなる。試料No.1は、電気抵抗が低く表皮効果のため表面部分しか渦電流が流れないため、或る条件下(鉄心のサイズと周波数によっては)では損失が小さくなる。微分透磁率に関しても、微分比透磁率が80である試料No.1と微分比透磁率が140である試料No.4を比較すると、式7より微分比透磁率が低いほど損失が小さくなるため、この点から試料No.1の方が試料No.4より損失は、低くなる。すなわち、電気抵抗率に関しては、電気抵抗が大き過ぎると、渦電流が鉄心の内部まで侵入しやすくなるため損失が大きくなるため、電気抵抗率は、11.55μΩ以下であることが好ましい。微分透磁率に関しては、式7より微分透磁率が低いほど損失が小さくなるため、微分比透磁率が80以下であることが好ましい。
上述したように、各試料No1〜No5における各B−H曲線は、磁界約1000[A/m]以上で緩やかに増加するようになるので、例えば電磁弁や接点装置等に好適に用いられるアクチュエータのソレノイド装置でも、磁界1000[A/m]付近の磁界領域で使用されることが一般的である。このため、微分比透磁率μは、磁界1000[A/m]の値とし、次に、可動鉄心の形状および表皮効果が前記ジュール損失Pに与える影響が、検討された。式5から分かるように、可動鉄心の半径RとPWMの周波数(または交流電流の周波数)fとが前記ジュール損失Pに影響を与える。このため、可動鉄心の半径Rを2[mm]、5[mm]および10[mm]に振り、周波数fを100[Hz]、1[kHz]および10[kHz]に振り、前記ジュール損失Pが計算された。その各結果がρ−μ渦電流損失マップで図5ないし図9に示されている。ρ−μ渦電流損失マップは、電気抵抗率(比抵抗)ρおよび微分比透磁率μそれぞれを可変変数として渦電流損失を表した図である。
図5は、可動鉄心の半径Rが5[mm]であって周波数fが1[kHz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。図6は、可動鉄心の半径Rが2[mm]であって周波数fが1[kHz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。図7は、可動鉄心の半径Rが10[mm]であって周波数fが1[kHz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。図8は、可動鉄心の半径Rが5[mm]であって周波数fが100[Hz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。図9は、可動鉄心の半径Rが5[mm]であって周波数fが10[kHz]である場合における、ρ−μ渦電流損失マップを示す図である。図5ないし図9における各横軸は、微分比透磁率μであり、それら各縦軸は、[μΩcm]で示す電気抵抗率(比抵抗)ρである。また、図5ないし図9における各破線(等ジュール損失P線)は、前記ジュール損失Pが同値な点を結ぶことによって形成された曲線である。そして、図5ないし図9における各矢符は、前記ジュール損失Pが低減する方向を示している。すなわち、図5、図7および図9の場合では、微分比透磁率μが低くなるとともに電気抵抗率ρが低くなると、前記ジュール損失Pは、より低減する。図6および図8の場合では、微分比透磁率μが低くなるとともに電気抵抗率ρが高くなると、前記ジュール損失Pは、より低減する。
上記表1および図4に示すように、磁界1000[A/m]において、試料No1は、微分比透磁率μが80であり、電気抵抗率(比抵抗)ρが11.5[μΩcm]であり、試料No2は、微分比透磁率μが80であり、電気抵抗率ρが72[μΩcm]であり、試料No3は、微分比透磁率μが280であり、電気抵抗率ρが20[μΩcm]であり、試料No4は、微分比透磁率μが140であり、電気抵抗率ρが17[μΩcm]であり、そして、試料No5は、微分比透磁率μが280であり、電気抵抗率ρが61[μΩcm]である。これら各値が図5ないし図9にプロットされている。
これら図5ないし図9から分かるように、試料No1および試料No2は、渦電流損失が試料No3ないし試料No5より小さい。一方、試料No1は、図3から分かるように、磁束密度が試料No2を含めて他の試料より高く、このため、ソレノイド装置において、最も強い電磁力を発揮するので、より好ましい磁性材料であると言える。そこで、試料No1の渦電流損失が試料No2ないし試料No5よりも小さくなる可動鉄心の半径RとPWMの周波数(または交流電流の周波数)fとが、より詳細に検討された。その結果がR−f渦電流損失マップで図10に示されている。R−f渦電流損失マップは、可動鉄心の半径Rおよび周波数fそれぞれを可変変数として渦電流損失を表した図である。
図10は、R−f渦電流損失マップを示す図である。図10の横軸は、周波数[Hz]であり、その縦軸は、可動鉄心の半径R[mm]である。図10において、○は、試料No1の渦電流損失が他の試料No2ないし試料No5より小さい場合(ケース)を示し、×は、試料No1の渦電流損失が他の試料No2ないし試料No5より小さくない場合(ケース)を示す。図10から、試料No1で可動鉄心を形成する場合、周波数fを高く、可動鉄心の半径Rを大きくすると、渦電流損失が低減することが分かる。これは、周波数を高くするほど表皮深さが小さくなり(表面に電流が集中する傾向)、可動鉄心の半径Rを大きくするほど可動鉄心全体に対する表皮深さの割合が小さくなるため、すなわち、可動鉄心全体に対する渦電流の流れる領域が狭くなるため、渦電流損失が低減すると考えられる。そこで、○がプロットされる領域と×がプロットされる領域の境界線が図10からフィッティングされ、前記境界線は、R=250/((logf))であった。この結果、○がプロットされる領域は、R≧250/((logf))である。
以上より、ソレノイド装置の可動鉄心は、渦電流損失をより低減する観点から、好ましくは、電気抵抗率11.5[μΩcm]以下であって磁界1000[A/m]において微分比透磁率80以下である磁性材料から成り、コイルに通電される電流の周波数をf[Hz]とし、当該可動鉄心の半径をR[mm]とする場合に、R≧250/((logf))の関係を満たす形状を持つ。一例では、前記磁性材料は、主成分の鉄に、炭素0.02重量%以下で、0.03重量%のシリコン、0.30重量%のマンガン、0.03重量%のリンおよび0.03重量%の硫黄を成分として含む試料No1の材料である。
また、試料No1、試料No2および試料No5について、市販の磁場解析アプリケーション(JSOL社製、JMAG ver13.0)を用いて、各渦電流心損失を比較する検証が行われた。図11は、検証に用いられたソレノイドインジェクタ装置の構成を示す図である。図12は、試料No1および試料No2における検証結果を示す図である。図12(A)は、可動鉄心の渦電流損失を示し、その縦軸は、渦電流損失[W]である。図12(B)は、ソレノイドインジェクタ装置全体の損失を示し、その縦軸は、損失[W]である。
検証に用いられたソレノイドインジェクタ装置は、JSOLから提供されているJAC066INJECTOR−03dであり、固定鉄心(Core)とヨーク(Yoke)とから形成される収容空間内に200ターンのコイル(Coil)が収容され、固定鉄心と可動鉄心のプランジャー(Plunger)とは、各端面で互いに対向するように配置されている。このような構成のソレノイドインジェクタ装置における固定鉄心、プランジャおよびヨークに、試料No1、試料No2および試料No5それぞれが用いられた。プランジャ(可動鉄心)の直径は、5[mm]とされ、PWMの周波数は、10[kHz]とされ、その中心電流は、1.2[A]とされ、そして、その電流振幅は、0.2[A]とされた。この場合における試料No1および試料No2の結果が図12に示されている。なお、試料No5の結果は、これらより劣るので、ここでは、省略する。図12から分かるように、可動鉄心(プランジャ)の渦電流損失およびソレノイドインジェクタ装置全体の損失共に、試料No1の場合が試料No2より低く、試料No1の優位性が確認された。
以上のように、本実施形態における可動鉄心3は、電気抵抗率11.5[μΩcm]以下であって微分比透磁率80以下である磁性材料から成り、R≧250/((logf))の関係を満たす形状を持つので、渦電流の観点から、より適切な材料が選択され、より適切な形状が選択されているので、発熱や電力損失をより低減できる。
そして、本実施形態におけるソレノイド装置Dは、このような可動鉄心を用いるので、発熱や電力損失をより低減できる。さらに,可動鉄心だけでなく、ヨークや固定鉄心においても適切な材料、形状を選択することで発熱や損失の低減が可能である。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
D ソレノイド装置
1 コイル
2 固定鉄心
3 可動鉄心
4 出力部材
5 ハウジング

Claims (2)

  1. コイルの励磁によって生じた電磁力を利用したソレノイド装置の可動鉄心であって、
    電気抵抗率11.5[μΩcm]以下であって磁界1000[A/m]において微分比透磁率80以下である磁性材料から成り、
    前記コイルに通電される電流の周波数をf[Hz]とし、当該可動鉄心の半径をR[mm]とする場合に、R≧250/((logf))の関係を満たす形状を持
    前記磁性材料は、主成分の鉄に、炭素0.02重量%以下で、0.03重量%のシリコン、0.30重量%のマンガン、0.03重量%のリンおよび0.03重量%の硫黄を成分として含む材料であること
    を特徴とする可動鉄心。
  2. 長尺な導体部材を絶縁しつつ巻回したコイルと、
    前記コイルの励磁により生じる磁束線を通す固定鉄心と、
    前記コイルの前記励磁により生じる前記磁束線を通し、前記磁束線に起因して生じる前記固定鉄心に向かう吸引力によって前記コイルの軸方向に沿って移動する可動鉄心と、
    前記可動鉄心に連結され、前記可動鉄心の移動に伴って移動する出力部材とを備え、
    前記可動鉄心は、請求項1に記載の可動鉄心であること
    を特徴とするソレノイド装置。
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