JP4279647B2 - 電磁石の磁力線シールド機構 - Google Patents
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本発明は、かかる空間に磁場を発生させる電磁石の磁力線シールド機構に関する。
このため、コイル102a,102bに交流電流を流すと、コイル102a,102bの周囲には磁場が形成され、この磁場によって鉄芯101 の内部とエアギャップAGを通る連続した磁力線、つまり磁気回路が形成されるから、エアギャップAGに磁場を形成することができる。すると、このエアギャップAGを通過する荷電粒子(図4では紙面に垂直な方向に通過する)に、エアギャップAG間に形成されている磁力線を作用させることができ、荷電粒子を加速することができるのである。
かといって、鉄芯101 の断面積を大きくすれば磁気飽和は防ぐことができるが、電磁石が大型化し、加速器自体も大型化してしまう。
第2発明の電磁石の磁力線シールド機構は、第1発明において、前記シールド機構が、前記シールド部材と前記磁極との間に設けられた絶縁部材を備えていることを特徴とする。
第3発明の電磁石の磁力線シールド機構は、第1発明において、前記補助シールド部材が、前記芯材との間に前記コイルを挟むように設けられた側方カバーを備えていることを特徴とする。
第4発明の電磁石の磁力線シールド機構は、第1発明において、荷電粒子を照射する回転ガントリーの走査電磁石に設けられていることを特徴とする。
第2発明によれば、磁力線が、磁極から直接シールド部材を通して外部に漏れることを防ぐことができるから、エアギャップ間における磁束密度が低下することを防ぐことができる。そして、磁極とシールド部材との間に電流が流れて、両者の抵抗によって磁極等が発熱して損傷することを防ぐことができる。
第3発明によれば、コイルによって形成される磁力線のほとんどを、芯材に供給することができるから、交流電磁石に形成される磁気回路の磁束密度を高くすることができる。よって、交流電磁石を小型化しても、エアギャップ間に形成される磁場を強くすることができる。
第4発明によれば、回転ガントリーのノズル先端に設けられている走査電磁石を小型化することができるから、回転ガントリー自体を小型化することができ、回転ガントリーの回転半径を小さくすることができる。よって、回転ガントリーを備えた、例えば粒子線ガン治療装置等も小型化することができ、粒子線ガン治療装置等を収容する建造物なども小さくすることができる。
図1は本実施形態の磁力線シールド機構10が設けられた交流電磁石1の概略説明図である。図1において、符号3、4は、互いに対向するように設けられた一対の磁極を示している。この一対の磁極3,4は、軸心が一致するように設けられた一対の芯材3a,4aと、その側面に巻き付けられたコイル3b,4bとから構成されている。このコイル3b,4bには、図示しない交流電源が接続されており、このコイル3b,4bには同位相の交流電流が同時に供給されるように調整されている。しかも、コイル3b,4bは、同位相の交流電流を流すと、一対の芯材3a,4a中に、同位相の磁場が形成されるように配設されている。そして、一対の磁極3,4は、その一対の芯材3a,4aの互いに対向する一端同士の間にエアギャップAGが形成されるように配設されており、その他端は、芯材2によって連結されている。
このため、コイル3b,4bに交流電流を流せば、この電磁石1には、芯材2、一対の芯材3a,4aおよびエアギャップAGを通る連続した磁力線、つまり磁気回路が形成されるから、エアギャップAG間に磁場が形成されるのである。
図1に示すように、前記交流電磁石1の一対の磁極3,4間において、前記エアギャップAGの側方には、このエアギャップAGを挟むように、一対のシールド部材11,11が設けられている。この一対のシールド部材11,11は板状の部材であり、その素材が、例えば銅やアルミ、ステンレス等の導電性を有する非磁性材料である。そして、一対のシールド部材11,11は、エアギャップAG側の面が互いに平行かつ対向するように設けられている。
このため、コイル3b,4bの外面から直接外部に漏れる磁力線を低減することができ、コイル3b,4bによって形成される磁力線のほとんどを、一対の芯材3a,4aに供給することができる。よって、交流電磁石1に形成される磁気回路の磁束密度を高くすることができるから、交流電磁石1を小型化しても、エアギャップAG間に形成される磁場を強くすることができる。
そして、補助シールド部材12,13は、芯材2、一対の芯材3a,4aに接触しないように配設されている。このため、芯材2から補助シールド部材12,13に電流が流れることを防ぐことができ、その電流が形成する磁場によってエアギャップAG間に形成される磁場が乱れることを防ぐことができる。
粒子線ガン治療装置等では、回転ガントリーの大きさやその回転半径によって、装置の大きさや装置を収容する建造物などが規制されてしまうため、回転ガントリー自体を小型化するとともにその回転半径を小さくすることが非常に求められていた。
このような粒子線治療装置において、ノズルの先端部に設けられている走査電磁石に本実施形態の磁力線シールド機構10を適用すれば、走査電磁石を小型化することができるので、回転ガントリー自体を小型化することが可能となる。すると、回転ガントリーの回転半径も小さくすることができるし、回転ガントリーが設けられている粒子線ガン治療装置等自体を小型化することができるし、粒子線ガン治療装置等を収容する建造物なども小さくすることができる。
例えば、シンクロトロンや、サイクロトロン等の荷電粒子を加速する加速器に使用される電磁石にも適用することができる。この場合、電磁石自体が小さくなったことによって、粒子の回転半径を小さくできるので、加速器自体も小型化することができる。
図3に示すように、本実施例1の磁束密度の極大値および極小値が、従来例1の磁束密度の極大値および極小値の約1.4倍となっていることから、エアギャップ間に形成される磁場の磁束密度が強化されていることが確認できる。
3 磁極
4 磁極
10 磁力線シールド機構
11 シールド部材
12 補助シールド部材
13 補助シールド部材
15 絶縁部材
AG エアギャップ
Claims (4)
- 一対の磁極が、互いに対向するようにかつ、両者の間にエアギャップが形成されるように配設された交流電磁石において、前記エアギャップ間における磁束密度の低下を防ぐために設けられたシールド機構であって、
該シールド機構が、
前記一対の磁極の間に形成された前記エアギャップを挟み、かつ互いに対向するように設けられた一対のシールド部材からなり、
該シールド部材の素材が、導電性を有する非磁性材料であり、
前記一対の磁極が、
軸芯が一致するように設けられた一対の芯材と、
該芯材の側面に、該芯材の軸芯の周囲を囲むように巻き付けられた一対のコイルとから構成されており、
前記シールド機構が、
前記芯材の軸芯方向における前記一対のコイルの互いに対向する面に設けられた補助シールド部材を備えており、
該補助シールド部材の素材が、導電性を有する非磁性材料である
ことを特徴とする電磁石の磁力線シールド機構。 - 前記シールド機構が、
前記シールド部材と前記磁極との間に設けられた絶縁部材を備えている
ことを特徴とする請求項1記載の電磁石の磁力線シールド機構。 - 前記補助シールド部材が、
前記芯材との間に前記コイルを挟むように設けられた側方カバーを備えている
ことを特徴とする請求項1記載の電磁石の磁力線シールド機構。 - 荷電粒子を照射する回転ガントリーの走査電磁石に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の電磁石の磁力線シールド機構。
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