JP7068083B2 - スキャニング電磁石装置及び荷電粒子ビーム照射システム - Google Patents

スキャニング電磁石装置及び荷電粒子ビーム照射システム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、スキャンニング電磁石装置、及びこのスキャニング電磁石装置を備えた照射装置を有する荷電粒子ビーム照射システムに関する。
癌などの患者の患部に重粒子線や陽子線等の荷電粒子ビームを照射する治療では、発生装置で生成した荷電粒子ビームを加速装置で加速し、輸送装置を経て治療室の照射装置により患部に照射する。この荷電粒子ビームの照射方法の一つとして、細く絞ったスポットビームを照射目標である患部の立体形状に合わせて3次元的に塗りつぶすように照射するスキャニング法が知られている。このスキャニング法の場合、荷電粒子ビームの進行方向の照射位置はビームエネルギーの調整で制御され、進行方向に対する垂直面内の照射位置は、スキャニング電磁石装置で荷電粒子ビームを偏向することで制御される。
スキャニング電磁石装置は、X方向スキャニング電磁石装置及びY方向スキャニング電磁石装置の2組で構成される。各電磁石装置は、荷電粒子ビームの進行方向に対して直列または並列に配置され、荷電粒子ビームを直交する2方向にスキャンする。
このスキャニング法では、設定した目標照射線量を患部に対して一様に照射することが求められるが、患部は呼吸や心拍などの要因で位置や形状が変動する場合がある。そこで、患部に対し必要な線量を複数回に分けてスキャニング照射する、いわゆるリスキャニング照射に関する技術が提案されている。この場合、照射時間を短縮して照射対象に対する時間の負荷を軽減させるだけでなく、照射精度を向上させるために、スキャニング電磁石装置は従来よりも高速に荷電粒子ビームをスキャンすることが求められる。
特開2007-268035号公報 特開2007-260222号公報 特開2016-83344号公報 特開2006-87649号公報 特開2008-154627号公報
荷電粒子ビームを照射する治療では、照射精度を向上させるために、荷電粒子ビームを高速にスキャンしながら照射する。その際、スキャニング電磁石装置では励消磁がステップ状に高速に繰り返される。また、荷電粒子ビームを正確に照射するためには高い精度の磁場分布が必要であるため、磁場を短い時間で静定する必要がある。ところが、スキャニング電磁石装置を高速に励消磁すると、電磁石のコイルを構成する導体などに渦電流が発生し、スキャニング電磁石装置の磁場が乱されて磁場精度が低下してしまうという課題がある。
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、荷電粒子ビームを高速でスキャンできると共に、磁場精度を向上させることができるスキャニング電磁石装置及び荷電粒子ビーム照射システムを提供することを目的とする。
本発明の実施形態におけるスキャニング電磁石装置は、荷電粒子ビームの進行方向に対して直交する第1方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる一対のスキャニングコイルを備え、前記スキャニングコイルは、前記荷電粒子ビームの軌道位置を挟んで、前記進行方向及び前記第1方向に対し直交する方向に対向して配置されると共に、絶縁材で表面が絶縁された導体である素線を複数本撚り合せて形成されるリッツ線が巻き回されて構成され、更に、前記スキャニングコイルは樹脂に含浸され、この樹脂が液体冷媒に接触して構成されたことを特徴とするものである。
本発明の実施形態における荷電粒子ビーム照射システムは、前記発明の実施形態におけるスキャニング電磁石装置を備えた照射装置を有し、前記スキャニング電磁石装置により荷電粒子ビームを偏向してスキャンし照射対象に照射するよう構成されたことを特徴とするものである。
本発明の実施形態によれば、荷電粒子ビームを高速でスキャンできると共に、磁場精度を向上させることができる。
第1実施形態に係るスキャニング電磁石装置を備えた荷電粒子ビーム照射システムを示す構成図。 図1のX方向スキャニング電磁石装置を示し、(A)が平面図、(B)が側面図、(C)が図2(B)のII-II線に沿う断面図。 図1のY方向スキャニング電磁石装置を示し、(A)が平面図、(B)が側面図、(C)が図3(B)のIII-III線に沿う断面図。 図2及び図3のスキャニング電磁石装置のスキャニングコイルに用いられるリッツ線を示す斜視図。 図2及び図3のスキャニング電磁石装置の変形形態を示す平面図。 第2実施形態に係るスキャニング電磁石装置を示し、(A)が一部を切り欠いた平面図、(B)が一部を切り欠いた側面図、(C)が図6(B)のVI-VI線に沿う断面図。 第3実施形態に係るスキャニング電磁石装置を構成するリッツ線の第1配置構造を示す断面図。 第3実施形態に係るスキャニング電磁石装置を構成するリッツ線の第2配置構造を示し、図2のα-α線に沿う断面図。 第3実施形態に係るスキャニング電磁石装置を構成するリッツ線の第3配置構造を示し、図8に対応する断面図。 第4実施形態に係るスキャニング電磁石装置を構成するリッツ線の配置構造であり、(A)が第1配置構造、(B)が第2配置構造をそれぞれ示す断面図。 スキャニング電磁石装置の比較形態を示す斜視図。 図11のスキャニングコイルに用いられるホローコンダクタを示す斜視図。 図11におけるX-Y面に沿う断面図。
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1実施形態(図1~図5)
図1は、第1実施形態に係るスキャニング電磁石装置を備えた荷電粒子ビーム照射システムを示す構成図である。この図1に示す荷電粒子ビーム照射システム10は、重粒子線や陽子線などの荷電粒子ビーム1を照射対象(癌等の患部)2に照射するシステムであり、発生装置11、加速装置12、輸送装置13及び照射装置14を有して構成される。
発生装置11は、荷電粒子ビーム1を生成して発生する。加速装置12は、発生装置11にて発生した荷電粒子ビーム1を所定のエネルギーに加速する。輸送装置13は、加速装置12にて加速された荷電粒子ビーム1を、治療室内に設置された照射装置14へ輸送する。照射装置14は、輸送装置13にて輸送された荷電粒子ビーム1の軌道等を調整するものであり、X方向スキャニング電磁石装置15、Y方向スキャニング電磁石装置16及びレジスタ17を備えている。
X方向スキャニング電磁石装置15は、後に詳説するが、荷電粒子ビーム1の軌道を、荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)に対して直交する第1方向(X方向スキャニング電磁石装置15ではX方向;例えば水平方向)に偏向し調整してスキャンする。Y方向スキャニング電磁石装置16は、後に詳説するが、荷電粒子ビーム1の軌道を、荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)に対して直交する第1方向(Y方向スキャニング電磁石装置16では、S方向及びX方向に直交するY方向;例えば垂直方向)に偏向し調整してスキャンする。
レジスタ17は、通過する荷電粒子ビーム1の速度(エネルギー)を減衰させることで、荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)における停止位置(照射対象2への侵入深さ)を調整する。上述のX方向スキャニング電磁石装置15、Y方向スキャニング電磁石装置16及びレジスタ17は、荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)に沿って直列に配置される。レジスタ17から出射された荷電粒子ビーム1が、照射対象2の所定位置に照射される。
X方向スキャニング電磁石装置15は、図2に示すように、コイル支持体としての巻軸20の外表面に、一対のX方向スキャニングコイル21A及び21Bが対向して配置されて構成される。巻軸20は、渦電流が発生しない非金属、例えばFRP(Fiber-Reinforced Plastic)にて円筒形状に形成され、X方向スキャニングコイル21A及び21Bを所定位置に保持する。
X方向スキャニングコイル21A及び21Bは、荷電粒子ビーム1の軌道位置3を挟んでY方向(例えば垂直方向)に対向して配置される。このうち、X方向スキャニングコイル21Aは、最も内側に設けられたコイルエレメント21A1と、このコイルエレメント21A1の外側に設けられたコイルエレメント21A2と、このコイルエレメント21A2の外側に設けられたコイルエレメント21A3と、を有して構成される。また、X方向スキャニングコイル21Bは、最も内側に設けられたコイルエレメント21B1と、このコイルエレメント21B1の外側に設けられたコイルエレメント21B2と、このコイルエレメント21B2の外側に設けられたコイルエレメント21B3と、を有して構成される。
上述のコイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2及び21B3は、それぞれ、後述の導体としてのリッツ線23が鞍型形状に巻き回されて構成される。これらのコイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2及び21B3に電流を流すことで、X方向スキャニング電磁石装置15にY方向の磁場Byが形成され、この磁場Byにより荷電粒子ビーム1がX方向に偏向される。上述の電流が、ステップ状にプラス、ゼロ、マイナスを高速で繰り返す電流であるため、X方向スキャニング電磁石装置15がステップ状に高速に励消磁されて、荷電粒子ビーム1がY方向に高速にスキャンされる。
Y方向スキャニング電磁石装置16は、図3に示すように、巻軸20の外表面に、一対のY方向スキャニングコイル22A及び22Bが対向して配置されて構成される。これらのY方向スキャニングコイル22A及び22Bは、荷電粒子ビーム1の軌道位置3を挟んで、S方向及びY方向に直交するX方向(例えば水平方向)に対向して配置される。
Y方向スキャニングコイル22Aは、最も内側に設けられたコイルエレメント22A1と、このコイルエレメント22A1の外側に設けられたコイルエレメント22A2と、このコイルエレメント22A2の外側に設けられたコイルエレメント22A3と、を有して構成される。また、Y方向スキャニングコイル22Bは、最も内側に設けられたコイルエレメント22B1と、このコイルエレメント22B1の外側に設けられたコイルエレメント22B2と、このコイルエレメント22B2の外側に設けられたコイルエレメント22B3と、を有して構成される。
上述のコイルエレメント22A1、22A2、22A3、22B1、22B2及び22B3は、それぞれ、後述の導体としてのリッツ線23が鞍型形状に巻き回されて構成される。これらのコイルエレメント22A1、22A2、22A3、22B1、22B2及び22B3に電流を流すことで、Y方向スキャニング電磁石装置16にX方向の磁場Bxが形成され、この磁場Bxにより荷電粒子ビーム1がY方向に偏向される。上述の電流がステップ状にプラス、ゼロ、マイナスを高速で繰り返す電流であるため、Y方向スキャニング電磁石装置16がステップ状に高速に励消磁されて、荷電粒子ビーム1がY方向に高速にスキャンされる。
ところで、図11及び図13に、比較形態としてのスキャニング電磁石装置(例えばX方向スキャニング電磁石装置)100を示す。このスキャニング電磁石装置100では、薄い鉄板が荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)に積層されてなるヨーク101に、リング形状の一対のスキャニングコイル102A及び102Bが例えばY方向に対向して配置され、これらのスキャニングコイル102A、102B間に磁場Byが形成されることで、荷電粒子ビーム1が例えばX方向に偏向されスキャンされる。
このスキャニング電磁石装置100では、スキャニングコイル102A及び102Bは、図12に示す導体としてのホローコンダクタ103が巻き回されて構成される。ホローコンダクタ103は、一辺が数mm程度の矩形断面形状で中空に形成され、中空部104に冷却水が通水可能に設けられる。しかしながら、上述のスキャニング電磁石装置100では、スキャニングコイル102A及び102Bを構成するホローコンダクタ103に流れる電流値が変化して、スキャニングコイル102A、102B間に生ずる磁場Byが変化すると、ホローコンダクタ103に渦電流105が発生する。この渦電流105により生じた磁場がスキャニングコイル102A、102B間の磁場Byを乱して、スキャニング電磁石コイル100の磁場精度が低下してしまう。
これに対し、本第1実施形態のX方向スキャニング電磁石装置15(図2)、Y方向スキャニング電磁石装置16(図3)では、それぞれのX方向スキャニングコイル21A及び21B、Y方向スキャニングコイル22A及び22Bが、図4に示すリッツ線23を巻き回して構成される。このリッツ線23は、絶縁材(例えばエナメル等)で外表面が絶縁された導体である細い素線24を複数本撚り合せて形成された導体である。X方向スキャニング電磁石装置15のX方向スキャニングコイル21A及び21BとY方向スキャニング電磁石装置16のY方向スキャニングコイル22A及び22Bとがそれぞれリッツ線23にて構成されたので、このリッツ線23に流れる電流値が変化して、X方向スキャニングコイル21A、21B間の磁場By、Y方向スキャニングコイル22A、22B間の磁場Bxがそれぞれ変化しても、リッツ線23の各素線24には、渦電流105よりも小さなループの渦電流25が発生することになる。
従って、この小さなループの渦電流25により発生する磁場が抑制されることで、この渦電流25により発生した磁場によって、X方向スキャニングコイル21A、21B間の磁場By、Y方向スキャニングコイル22A、22B間の磁場Bxが乱されることが低減される。
以上のように構成されたことから、本第1実施形態によれば、次の効果(1)を奏する。
(1)図2~図4に示すように、荷電粒子ビーム1を高速でスキャンするためにX方向スキャニング電磁石装置15、Y方向スキャニング電磁石装置16の励消磁を高速で繰り返しても、X方向スキャニング電磁石装置15のX方向スキャニングコイル21A及び21B、Y方向スキャニング電磁石装置16のY方向スキャニングコイル22A及び22Bをそれぞれ構成するリッツ線23の素線24に発生する渦電流25のループが小さいので、この渦電流25により生ずる磁場が抑制され、且つ渦電流25による発熱が抑制される。
従って、スキャニング電磁石装置15、16により荷電粒子ビーム1を高速でスキャンできると共に、渦電流25による不要な磁場が抑制されることで、X方向スキャニング電磁石装置15の磁場Byの磁場精度及びY方向スキャニング電磁石装置16の磁場Bxの磁場精度を向上させることができる。この結果、X方向スキャニング電磁石装置15及びY方向スキャニング電磁石装置16を備えた照射装置14による荷電粒子ビーム1の照射精度を向上させることができる。
なお、第1実施形態において、スキャニング電磁石装置のスキャニングコイルは、リッツ線23が図11と同様にリング形状に巻き回されて構成されてもよい。また、図5に示すように、スキャニング電磁石装置26は、中実形状で口径が荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)に沿って漸次変化する、コイル支持体としての巻軸27外表面に、リッツ線23が巻き回されて構成されたスキャニングコイル28が、対向して一対配置されたものでもよい。
[B]第2実施形態(図6)
図6は、第2実施形態に係るスキャニング電磁石装置を示し、(A)が一部を切り欠いた平面図、(B)が一部を切り欠いた側面図、(C)が図6(B)のVI-VI線に沿う断面図である。この第2実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態とを同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第2実施形態のスキャニング電磁石装置30が前記第1実施形態と異なる点は、荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)に対して直交する第1方向としてのX方向に荷電粒子ビーム1を偏向させる第1スキャニングコイルとしてのX方向スキャニングコイル21A及び21Bを備えた第1スキャニング電磁石装置としてのX方向スキャニング電磁石装置15と、上述のS方向及びX方向に直交する第2方向としてのY方向に荷電粒子ビーム1を偏向させる第2スキャニングコイルとしてのY方向スキャニングコイル22A及び22Bを備えた第2スキャニング電磁石装置としてのY方向スキャニング電磁石装置16とが、荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)における略同一位置に配置された点である。
この場合、Y方向スキャニング電磁石装置16はX方向スキャニング電磁石装置15の外側または内側、本実施形態では外側に配置されている。また、本第2実施形態においても、X方向スキャニング電磁石装置15のX方向スキャニングコイル21A及び21Bは、荷電粒子ビーム1の軌道位置3を挟んでY方向に対向して配置され、Y方向スキャニング電磁石装置16のY方向スキャニングコイル22A及び22Bは、荷電粒子ビーム1の軌道位置3を挟んでX方向に対向して配置される。
更に、X方向スキャニング電磁石装置15のX方向スキャニングコイル21A及び21BとY方向スキャニング電磁石装置16のY方向スキャニングコイル22A及び22Bは、本第2実施形態においても、リッツ線23が巻き回されて構成されたものである。
なお、符号31は、Y方向スキャニング電磁石装置16の外側に配置されて、X方向スキャニング電磁石装置15及びY方向スキャニング電子装置16がそれぞれ発生する磁場By、Bxが外部へ漏れないように遮蔽する磁気シールドである。
以上のように構成されたことから、本第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(2)及び(3)を奏する。
(2)X方向スキャニング電磁石装置15とY方向スキャニング電磁石装置16とが荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)の略同一位置に配置されたので、X方向スキャニング電磁石装置15のX方向スキャニングコイル21A及び21Bにより発生する磁場Byと、Y方向スキャニング電磁石装置16のY方向スキャニングコイル22A及び22Bにより発生する磁場Bxとが相互に作用し合うことで、X方向スキャニングコイル21A及び21Bに磁場Bxによる渦電流が、Y方向スキャニングコイル22A及び22Bに磁場Byによる渦電流がそれぞれ追加して発生することになる。
しかしながら、上述の追加の渦電流も、X方向スキャニングコイル21A及び21B並びにY方向スキャニングコイル22A及び22Bをそれぞれ構成するリッツ線23の素線24に発生することで、そのループが小さくなる。従って、この追加の渦電流による不要な磁場が抑制されるので、X方向スキャニング電磁石装置15及びY方向スキャニング電磁石装置16の磁場精度を向上させることができ、荷電粒子ビーム1の照射精度を向上させることができる。
(3)X方向スキャニング電磁石装置15とY方向スキャニング電磁石装置16とが荷電粒子ビーム1の進行方向(S方向)の略同一位置に配置されたことで、これらのX方向スキャニング電磁石装置15及びY方向スキャニング電磁石装置16を有する照射装置14における荷電粒子ビーム1の進行方向に沿う長さを短縮できると共に、特にX方向スキャニング電磁石装置15から照射対象2までの距離も短縮することができる。
(C)第3実施形態(図7、図8、図9)
図7は、第3実施形態に係るスキャニング電磁石装置を構成するリッツ線の第1配置構造を示す断面図である。図8は、第3実施形態に係るスキャニング電磁石装置を構成するリッツ線の第2配置構造を示し、図2のα-α線に沿う断面図である。図9は、第3実施形態に係るスキャニング電磁石装置を構成するリッツ線の第3配置構造を示し、図8に対応する断面図である。この第3実施形態において第1実施形態と同様な部分については、第1実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第3実施形態のスキャニング電磁石装置33が第1実施形態と異なる点は、X方向スキャニングコイル21A及び21B、Y方向スキャニングコイル22A及び22Bをそれぞれ構成するリッツ線23が、水等の液体冷媒5に浸漬されるリッツ線の配置構造を有する点である。
つまり、図7に示すリッツ線23の第1配置構造では、リッツ線23は、非金属材料からなる冷媒流路としての冷却配管34内に配置され、この冷却配管34内を流れる液体冷媒5に浸漬されて冷却される。
図8に示すリッツ線の第2配置構造では、巻軸20の外表面に複数の溝35が形成され、X方向スキャニング電磁石装置15のX方向スキャニングコイル21A、21Bのコイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2、21B3、Y方向スキャニング電磁石装置16のY方向スキャニングコイル22A、22Bのコイルエレメント22A1、22A2、22A3、22B1、22B2、22B3のそれぞれが、各溝35に収容される。図8には、コイルエレメント21A3が溝35に収容された状態を示している。
そして、巻軸20の外表面を覆うように非金属材料製の蓋部材36が配置されることで、巻軸20の外表面と蓋部材36との間に、液体冷媒5が流れる冷媒流路37が形成される。これにより、巻軸20の溝35内に収容されたコイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2、21B3、22A1、22A2、22A3、22B1、22B2、22B3をそれぞれ構成するリッツ線23が、冷媒流路37内の液体冷媒5に浸漬されて冷却される。
図9に示すリッツ線の第3配置構造では、巻軸20の外表面に、リッツ線23を1本ずつ収容可能な溝38が複数形成される。コイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2、21B3、22A1、22A2、22A3、22B1、22B2、22B3のそれぞれのリッツ線23が1本ずつ各溝38に収容される。図9では、コイルエレメント21A3を構成するリッツ線23が、1本ずつ各溝38に収容された状態を示している。
そして、巻軸23の外表面を覆うように蓋部材36が配置されることで、巻軸20の外表面と蓋部材36との間に、液体冷媒5が流れる冷媒流路39が形成される。これにより、巻軸20の溝38内に収容されたコイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2、21B3、22A1、22A2、22A3、22B1、22B2、22B3をそれぞれ構成するリッツ線23が、冷媒流路39内の液体冷媒5に浸漬されて冷却される。
以上のように構成されたことから、本第3実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)を奏する。
(4)例えば、冷却配管の周囲に導体である細い素線を複数本撚り合せてリッツ線を形成した場合には、素線が巻ほぐれ等で内側に隣接する素線から浮き上がってしまったとき、この素線は、冷却配管を流れる液体冷媒により冷却されず、温度上昇して焼損する恐れがある。
これに対し、前述のリッツ線の第1、第2及び第3配置構造のように、リッツ線23が液体冷媒5に浸漬されることで、リッツ線23を形成する全ての素線24が液体冷媒5に接触することになる。この結果、リッツ線23を形成する素線24が例え巻ほぐれ等で隣接する素線24から浮き上がってしまっても、全ての素線24を液体冷媒5により好適に冷却でき、リッツ線23の冷却不良を回避できる。
[D]第4実施形態(図10)
図10は、第4実施形態に係るスキャニング電磁石装置を構成するリッツ線の配置構造であり、(A)が第1配置構造、(B)が第2配置構造をそれぞれ示す断面図である。この第4実施形態において第1及び第3実施形態と同様な部分については、第1及び第3実施形態とを同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本第4実施形態のスキャニング電磁石装置40が第1及び第3実施形態と異なる点は、X方向スキャニングコイル21A及び21B、Y方向スキャニングコイル22A及び22Bをそれぞれ構成するリッツ線23が、樹脂41に含浸され、この樹脂41が液体冷媒5に接触するリッツ線の配置構造を有する点である。
つまり、図10(A)に示すリッツ線の第1配置構造では、巻軸20の外表面に複数の溝42が形成され、X方向スキャニング電磁石装置15、Y方向スキャニング電磁石装置16のコイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2、21B3、22A1、22A2、22A3、22B1、22B2、22B3のそれぞれが各溝42に収容されて、樹脂41により含浸される。図10(A)では、コイルエレメント21A3が溝42内に収容されて樹脂41により含浸された状態を示している。
そして、巻軸20の外表面と蓋部材36との間に、液体冷媒5が流れる冷媒流路43が形成され、この冷媒流路43内の液体冷媒5が樹脂41に接触する。これにより、巻軸20の溝42内に収容されて樹脂41に含浸されたコイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2、21B3、22A1、22A2、22A3、22B1、22B2、22B3を構成するリッツ線23が、樹脂41を介して液体冷媒5により冷却される。
図10(B)に示すリッツ線の第2配置構造では、巻軸20の外表面に、リッツ線23を1本ずつ収容可能な溝44が複数形成される。コイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2、21B3、22A1、22A2、22A3、22B1、22B2、22B3のそれぞれのリッツ線23が、1本ずつ各溝44内に収容され樹脂41に含浸される。図10(B)では、コイルエレメント21A3を構成するリッツ線23が1本ずつ各溝44に収容され樹脂41に含浸された状態を示している。
そして、巻軸20の外表面と蓋部材36との間に、液体冷媒5が流れる冷媒流路45が形成される。これにより、巻軸20の溝44内に収容され樹脂41に含浸されたコイルエレメント21A1、21A2、21A3、21B1、21B2、21B3、22A1、22A2、22A3、22B1、22B2、22B3のそれぞれを構成するリッツ線23が、1本ずつ、冷媒流路45内の液体冷媒5に樹脂41を介して接触して冷却される。
以上ように構成されたことから、本第4実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)と同様な効果を奏するほか、次の効果(5)を奏する。
(5)リッツ線の第1及び第2配置構造では、リッツ線23が樹脂41に含浸され、この樹脂41が液体冷媒5に接触している。これにより、リッツ線23を形成する全ての素線24が、樹脂41を介して液体冷媒5により好適に冷却される。更に、リッツ線23が巻軸20の溝42、44内に収容され且つ樹脂41に含浸されることで、リッツ線23に電磁力が作用した場合にも、リッツ線23の振動を確実に抑制することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…荷電粒子ビーム、2…照射対象、3…軌道位置、5…液体冷媒、10…荷電粒子ビーム照射システム、14…照射装置、15…X方向スキャニング電磁石装置、16…Y方向スキャニング電磁石装置、20…巻軸(コイル支持体)、21A、21B…X方向スキャニングコイル、22A、22B…Y方向スキャニングコイル、23…リッツ線、24…素線、30…スキャニング電磁石装置、33…スキャニング電磁石装置、34…冷却配管、35、38…溝、37、39…冷媒流路、40…スキャニング電磁石装置、41…樹脂、42、44…溝、43、45…冷媒流路、By、Bx…磁場。

Claims (6)

  1. 荷電粒子ビームの進行方向に対して直交する第1方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる一対のスキャニングコイルを備え、
    前記スキャニングコイルは、前記荷電粒子ビームの軌道位置を挟んで、前記進行方向及び前記第1方向に対し直交する方向に対向して配置されると共に、絶縁材で表面が絶縁された導体である素線を複数本撚り合せて形成されるリッツ線が巻き回されて構成され
    更に、前記スキャニングコイルは樹脂に含浸され、この樹脂が液体冷媒に接触して構成されたことを特徴とするスキャニング電磁石装置。
  2. 荷電粒子ビームの進行方向に対して直交する第1方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる一対の第1スキャニングコイルを備えた第1スキャニング電磁石装置と、
    前記進行方向及び前記第1方向に対し直交する第2方向に前記荷電粒子ビームを偏向させる一対の第2スキャニングコイルを備えた第2スキャニング電磁石装置とを備え、
    前記第2スキャニング電磁石装置が、前記第1スキャニング電磁石装置に対し、外側または内側で且つ前記進行方向における同一位置に配置され、
    前記第1スキャニングコイルが、前記荷電粒子ビームの軌道位置を挟んで前記第2方向に対向して配置され、前記第2スキャニングコイルが、前記荷電粒子ビームの軌道位置を挟んで前記第1方向に対向して配置され、
    これらの第1及び第2スキャニングコイルは、絶縁材で表面が絶縁された導体である素線を複数本撚り合せて形成されるリッツ線が巻き回されて構成され
    更に、前記第1スキャニングコイルまたは前記第2スキャニングコイルは樹脂に含浸され、この樹脂が液体冷媒に接触して構成されたことを特徴とするスキャニング電磁石装置。
  3. 前記スキャニングコイルは、非金属材料からなるコイル支持体により所定位置に保持されるよう構成されたことを特徴とする請求項に記載のスキャニング電磁石装置。
  4. 前記第1スキャニングコイルまたは前記第2スキャニングコイルは、非金属材料からなるコイル支持体により所定位置に保持されるよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載のスキャニング電磁石装置。
  5. 前記液体冷媒を流動する冷媒流路を備え、この冷媒流路が非金属材料にて構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスキャニング電磁石装置。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のスキャニング電磁石装置を備えた照射装置を有し、前記スキャニング電磁石装置により荷電粒子ビームを偏向してスキャンし照射対象に照射するよう構成されたことを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。
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