JP5229421B1 - アルコール溶剤を用いた感圧式接着剤組成物、及びそれを用いてなる感圧式接着シート - Google Patents

アルコール溶剤を用いた感圧式接着剤組成物、及びそれを用いてなる感圧式接着シート Download PDF

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Abstract

【課題】塗液保存安定性と粘着性の経時安定性とを両立し、さらには熟成適性の兼ね備え、各被着体への適切な接着力、再剥離性、および耐熱下での保持力に優れるといった接着性能が良好な感圧式接着剤組成物、及びそれを用いてなる感圧式接着シートを提供する。
【解決手段】1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)を98.0〜99.9重量%、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタクリレートモノマー(B)を0.1〜2.0重量%の割合で含有するエチレン性不飽和結合を有するモノマーをアルコール溶剤(C)中でラジカル重合し得られ、ガラス転移温度が−60〜10℃のアクリル重合体(X)と、架橋剤(D)と、を含有する感圧式接着剤組成物であり、モノマー(A)および/またはモノマー(B)が、カルボキシル基、水酸基、およびアルコキシシリル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する感圧式接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルコール溶剤を重合溶剤として使用したアクリル重合体を含む感圧式接着剤組成物に関し、更に前記感圧式接着剤組成物を用いた感圧式接着シートに関する。
近年、法規制の強化および環境保全または自体への負荷などの安全性への配慮から、溶剤として好適に使用していたトルエン、ケトン系溶剤、エステル系溶剤を極力含まない要望が高まっており、アルコール溶剤が注目を浴びている。中でも環境負荷の低いバイオエタノールの有効活用が望まれている。しかしながら、アルコール溶剤を重合溶剤としてアクリル重合体を重合した場合、アルコール溶剤への連鎖異移動が大きいため重合体の分子量が上がらず、接着性能を発現することは困難であった。よって、優れた接着性能を発現するには、より分子量の高い重合体が要求される。
アルコール溶剤中でのアクリル重合体を重合した際の重合度を上げる方法として、特許文献1には(メタ)アルキルエステルモノマーと不飽和2重結合を2個以上有するモノマーを用いる方法が記載されている。
しかしながら特許文献1に記載される実施例の方法では、重合方法がバッチ方式であり(メタ)アルキルエステルモノマーに対するアルコール溶剤の使用量も多いため、アルコール溶剤への連鎖移動が大きく、高分子量体を安定的に得ることが困難であった。また、不飽和2重結合を2個以上有するモノマーとしてアクリレートモノマーを用いているため、モノマーが反応後期まで存在することから、分子量の部分的な上昇が起こり易く、ゲル化する傾向にあった。更に、架橋剤としてイソシア化合物を使用しているため、感圧式接着剤組成物を長時間保持した場合、イソシアネート基とアルコール溶剤とが反応することにより、塗液の保存安定性が悪くなったり、イソシアネート基とアルコール溶剤との反応が進行することで、架橋構造が不十分になり、経時で接着性能が低下(変化)したり、再剥離性が低下するという問題があった。
さらに、イソシアネート化合物以外の架橋剤を使用する場合、多くの架橋剤は、反応性が早く、保存安定性が悪くなったり、或いは反応性が遅く、架橋構造を形成するのに長時間有したりする問題が生じ、保存安定性と接着性の両者を満足することが困難である。
特開2005−8830号公報
本発明は、アルコール溶剤を用いて高分子量の重合体を得るとともに、塗液保存安定性と粘着性の経時安定性とを両立し、さらには熟成適性の兼ね備え、各被着体への適切な接着力、再剥離性、および耐熱下での保持力に優れるといった接着性能が良好な感圧式接着剤組成物の製造方法、及びそれを用いてなる感圧式接着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明に達した。
すなわち、本発明は、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)を98.0〜99.9重量%、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタクリレートモノマー(B)を0.1〜2.0重量%の割合で含有するエチレン性不飽和結合を有するモノマーをアルコール溶剤(C)中でラジカル重合し得られ、ガラス転移温度が−60〜10℃のアクリル重合体(X)と、
架橋剤(D)と、を含有する感圧式接着剤組成物の製造方法であって、
モノマー(A)および/またはモノマー(B)が、カルボキシル基、水酸基、およびアルコキシシリル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有し、
重合時のアルコール溶剤(C)の使用量が、エチレン性不飽和結合を有するモノマー100重量%に対し20〜50重量%であり、
架橋剤(D)が、エポキシ化合物(D1)、オキサゾリン化合物(D2)、金属キレート化合物(D3)、アルコキシシリル化合物(D4)、アジリジン化合物(D5)、およびカルボジイミド化合物(D6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、
アクリル重合体(X)が、エチレン性不飽和結合を有するモノマーをエタノール中でラジカル重合することを特徴とする感圧式接着剤組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、モノマー(A)および/またはモノマー(B)が、カルボキシル基および/またはアルコキシシリル基を有することを特徴とする前記感圧式接着剤組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、架橋剤(D)が、エポキシ化合物(D1)、アジリジン化合物(D5)、およびカルボジイミド化合物(D6)から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする前記感圧式接着剤組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、モノマー(A)および/またはモノマー(B)が、カルボキシル基を有することを特徴とする前記感圧式接着剤組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、カルボキシル基が、塩基性化合物(E)により中和されていることを特徴とする前記感圧式接着剤組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、アクリル重合体(X)の重量平均分子量(Mw)が200,000〜600,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.0〜8.0であることを特徴とする前記感圧式接着剤組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、アクリル重合体(X)が、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを滴下方式でラジカル重合することを特徴とする前記感圧式接着剤組成物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、前記感圧式接着剤組成物の製造方法から得られる感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着層がシート状基材の片面もしくは両面に積層された感圧式接着シートに関する。
本発明により、アルコール溶剤を用いても重合安定性が高く、高分子量の重合体を得られ、更に、架橋剤を加えた後の保存安定性に優れ、各被着体への接着力と耐熱下での保持力に優れるといった接着性能が良好な感圧式接着剤組成物の製造方法、及びそれを用いてなる感圧式接着シートを提供できるようになった。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に特定されない。
<アクリル重合体(X)>
本発明に用いられる感圧性接着剤組成物は、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有する主モノマー(A)と、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタアクリレートモノマー(B)とを含有し、更にこれらモノマーをアルコール溶剤(C)中でラジカル重合し得られた、カルボキシル基、水酸基、およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するガラス転移温度が−60〜10℃のアクリル重合体(X)を含有することを特徴とする。なお、本願発明におけるカルボキシル基は、中和されたカルボキシル塩構造をも含む。
<1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)>
まず、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)について説明する。1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマーとは、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び(メタ)アクリレートモノマーを含むエチレン性不飽和モノマーであり、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーの両方を、(メタ)アクリレートモノマーとは、アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーの両方を意味する。通常、アクリル重合体を架橋して粘着剤層に耐久性を付与するために、下記で示す架橋剤(D)と反応し得る官能基を有しないエチレン性不飽和モノマーと、架橋剤(D)と反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和モノマーとを共重合させてアクリル重合体(X)を得る。
本発明におけるアクリル重合体(X)は、架橋剤(D)が含有する官能基と反応し得る官能基として、カルボキシル基、及び/又は水酸基、及び/又はアルコキシシリル基を有する、すなわち1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)中にカルボキシル基、水酸基、アルコキシシリル基から選ばれる少なくとも1種を有するモノマーを含有することを特徴とする。
(架橋剤(D)と反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和モノマー)
≪カルボキシル基を有するモノマー≫
1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)中、架橋剤(D)と反応し得るカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。また、これらカルボキシル基を有するモノマーを、後述する塩基性化合物(E)等で中和したモノマーを用いてもよい。
≪水酸基を有するモノマー≫
次に、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。
≪アルコキシシリル基を有するモノマー≫
アルコキシシリル基を含有するエチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリロキシ基を有するアルコキシシラン化合物や、ビニル基を有するアルコキシシラン化合物が挙げられ、(メタ)アクリロキシ基を有するシラン化合物としては、γ−(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられ、ビニル基を有するシラン化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどのビニル基を有するアルコキシシランなどが挙げられる。
本発明における、架橋剤(D)と反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和モノマーは、全エチレン性不飽和モノマー((A)と(B)の合計量)100重量%中、1〜40重量%含有して共重合することが好ましい。より好ましくは、2〜30重量%である。1重量%未満であると、架橋構造が不十分なため凝集力が劣り接着力が低下してしまう。一方、40重量%を超えると、保存安定性の低下やガラス転移温度が高くなり過ぎるため、適度な接着性能を得られない場合がある。
(その他のモノマー)
1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)中、架橋剤(D)と反応し得る官能基を有しないエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを挙げることができる。エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの化合物のうち、特にアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが下記で説明するアクリル重合体(X)のガラス転移温度を下げやすく、適度な接着性能を得やすい点で好ましい。
また、(メタ)アクリル酸にエチレンオキサイド等が付加したアルコキシモノマーも同様に挙げられ、具体例としてはメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシないしはフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他、上記エチレン性不飽和モノマーと共重合可能なモノマーが挙げられ、具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、クロトン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。
本発明における1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)は、全エチレン性不飽和モノマー((A)と(B)の合計量)100重量%中、98.0〜99.9重量%含有して共重合することが好ましい。
<1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタアクリレートモノマー(B)>
次に、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタアクリレートモノマー(B)について説明する。本発明は、下記で示す重合溶剤であるアルコール溶剤(C)への連鎖移動による分子量の低下を抑制し分子量を上げるため、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタアクリレートモノマー(B)を用いて分岐構造を有した高分子量のアクリル重合体(X)を得ることを特徴とする。
一般に、アクリレートモノマーとメタクリレートモノマーの混合系でラジカル重合を行う場合、メタクリレートモノマーが先に消費される。本発明では、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタアクリレートモノマー(B)が反応途中で1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)より先に消費することで、反応後期において分岐反応が進行せず、部分的なゲル化や高粘度化が起こりにくいアクリル重合体(X)を得ることができる。
1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタクリレートモノマー(B)としては、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4―ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6―ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9―ノナンジオールジメタクリレート、1,10―デカンジオールジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート等のジメタクリレート類、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等のトリメタクリレート類が挙げられる。これら以外のモノマーであっても1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタクリレートモノマーであれば広く使用できる。
本発明における1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタクリレートモノマー(B)は、全エチレン性不飽和モノマー((A)と(B)の合計量)100重量%中、0.1〜2.0重量%含有して共重合することが好ましい。より好ましくは、0.2〜1.5重量%である。0.1重量%未満であると、分子量が上がりにくく凝集力が得られず、2.0重量%を超えると分子量は大きくなりすぎてゲル状、また高粘度になり、塗工性の低下を引き起こすと共に、凝集力が大きすぎて接着力が低下する。
<アクリル重合体(X)>
本発明のアクリル重合体(X)について説明する。本発明のアクリル重合体(X)とは、上記で示した(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び(メタ)アクリレートモノマーを含むエチレン性不飽和モノマーと、下記で説明する重合開始剤と、アルコール溶剤(C)とによりラジカル重合を行うことで得られる重合体である。また、重合方法としては、重合反応による発熱が起きにくく、且つ重合時に使用するアルコール溶剤(C)量を少なくすることが可能となり、連鎖移動の低減による安定的に高分子量体が得られるため、滴下方式が好ましい。
<アルコール溶剤(C)>
次に、アルコール溶剤(C)について説明する。本発明は、アクリル重合体(X)を、エチレン性不飽和モノマーと、ラジカル重合開始剤を用いてアルコール溶剤(C)溶剤中でラジカル重合することを特徴とする。ラジカル重合は、公知の重合方法で行うことができ、本発明に用いるアルコール溶剤(C)としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール等の炭素原子数1〜7の脂肪族アルコール類の他、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールモノエーテル類等が挙げられる。なかでも環境負荷、連鎖移動揮発速度が速い面からアクリル重合体(X)を重合する場合に
はエタノール、重合終了後に希釈溶剤として使用する場合にはエタノール、又はイソプロパノールの使用が好ましい。
本発明のラジカル重合の際に用いるアルコール溶剤(C)の使用量は、エチレン性不飽和モノマー100重量%に対し20〜50重量%が好ましく、より好ましくは30〜40重量%である。30重量%未満であると、重合時の反応熱が大きくなり反応の制御が困難になるばかりか、部分的にゲル化するためアクリル重合体(X)のアルコール溶剤(C)への溶解性の低下や塗工性が低下する。一方、50重量%を超えるとアルコール溶剤(C)への連鎖移動が大きくなるため分子量が上がりにくい。また、これらのアルコール溶剤(C)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記モノマーを重合する際に使用される重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイルやtert−ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートやジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエートやtert−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドやジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシドなどの有機過酸化物が挙げられる。
また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)や2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)やジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)や2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などのアゾ系化合物が挙げられる。
上記重合開始剤は、特に限定されるものでなく、更に、これら重合開始剤は単独で、または2種以上を適宜混合して用いてもよい。重合温度が使用するアルコール溶剤(C)の沸点にもよるが、60〜90℃の範囲が好ましく、重合時間は5〜12時間が好ましいため、重合開始剤の使用量は、これら重合温度や重合時間、更にはモノマー組成に応じて設定すればよい。
<アクリル重合体(X2)>
本発明は、アクリル重合体(X)中の架橋剤(D)と反応し得る官能基がカルボキシル基である場合、塩基性化合物(E)によりカルボキシル基を中和したアクリル重合体(X2)も同様に用いることができる。
トルエン、ケトン系溶剤、エステル系溶剤等の場合、塩基性化合物によりカルボキシル基を中和すると、中和により形成させる塩の析出や、粘度の大幅な上昇、及びゲル化、更には塩構造が十分に形成されないといった問題が生じる場合があるが、溶剤にアルコール溶剤(C)を用いることで、中和による上記のような問題は生じず、塩は安定した状態で存在する。
このため、アクリル重合体(X2)を用いることは、下記で説明する架橋剤(D)を加えた際の反応性の制御が可能となり、更なる保存安定性と硬化性の両立が可能となるため、特に好ましい。
(塩基性化合物(E))
塩基性化合物(E)としては、アンモニア、もしくはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミン類、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルコールアミン類、モルホリン等の塩基で中和することができる。その中でも、乾燥後に架橋剤(D)が素早く反応する点で、比較的低沸点のアンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール等が好ましい。
本発明に用いる塩基性化合物(E)は、塩基性化合物(E)のモル数と、アクリル重合体(X)中のカルボキシル基のモル数が、0.9〜1.3となる量を使用することが好ましい。0.9未満であると中和不足となり保存安定性が低下する場合がある。又、1.3を超えると過剰の塩基性化合物と架橋剤とが反応してしまい、架橋度が低下してしまう場合がある。
アクリル重合体(X)の分子量は、GPCによる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で200,000〜600,000が好ましい。より好ましくは、200,000〜400,000である。重量平均分子量(Mw)が200,000未満であると感圧式接着剤としての凝集力の付与が困難になる場合がある。又、600,000を超えると粘度の上昇や部分的なゲル化が起こるため、感圧式接着シートを作製する際の塗工性や、アルコール溶剤(C)への溶解性が悪化する。
また、各用途に応じてアクリル重合体(X)の分子量を制御することが好ましい。ラベルや汎用シール等の比較的高い密着性と再剥離性が要求される用途の場合は、凝集力とぬれ性を両立させるため250,000〜600,000が好ましく、表面保護フィルム等の低い密着性が要求される用途の場合は、適度なぬれ性を発現させるため200,000〜250,000が好ましい。
又、本発明におけるアクリル重合体(X)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、3.0〜8.0の範囲にあることが好ましい。Mw/Mn比が3.0未満であると、感圧式接着剤層にした場合の凝集力を発現しにくくなり、耐熱性や耐湿熱性が低下する傾向にある。一方、Mw/Mn比が8.0を超えると、高粘度化する傾向にあり、感圧式接着シートを作製する際、塗工性が低下する場合がある。また、Mw/Mn比が大きく低分子量成分もある程度含有することによって、基材密着性と被着体に対する接着性が向上するため、4.0〜7.0の範囲にあることがより好ましい。
本発明のアクリル重合体(X)は、感圧式接着剤として用いた場合にバランスの良い接着特性(特に、ぬれ性と凝集力の両立)を発揮し得るように、ガラス転移温度が−60〜10℃、より好ましくは−50〜0℃が好ましい。ガラス転移温度が−60℃よりも低い場合は凝集力が低下し、耐久性が低下する。一方、ガラス転移温度が10℃を超えると、ぬれ性が大きく低下し、適度な接着性能を得られないので好ましくない。
また、分子量同様に、ガラス転移温度も各用途に応じて制御することが好ましい。ラベルやシール等の用途の場合は、凝集力と密着性を付与するため−40〜0℃が好ましく、表面保護フィルム等の用途の場合は、ぬれ性を発現させるため−50℃〜−35℃が好ましい。
又、本発明の感圧式接着剤組成物においてアクリル重合体(X)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<架橋剤(D)>
次に架橋剤(D)について説明する。架橋剤(D)中の官能基は、アクリル重合体(X)中の反応性官能基と反応しネットワーク状の架橋構造を形成することで高弾性、かつ高い密着性を有すようになる。また、感圧式接着剤の場合、架橋剤を加えてから重合体の反応性官能基、または架橋剤同士との反応を一定の時間抑制する必要がある。従来、架橋剤としてイソシア化合物が多く用いられるが、アルコール溶剤との反応によりウレタン結合が生じてしまい、架橋構造を形成するのは困難である。
よって本発明では、感圧式接着剤組成物中のアクリル重合体(X)に含有される官能基、即ち、アルコキシシリル基、水酸基、カルボキシル基等の反応性官能基と反応し、且つアルコール溶剤(C)と反応しても架橋構造の形成に影響がない架橋剤(D)である必要がある。これらの反応性官能基と反応し得る架橋剤(D)中の官能基としては、エポキシ基、オキサゾリン基、アジリジル基等が挙げられ、例えば、エポキシ化合物(D1)、オキサゾリン化合物(D2)、金属キレート化合物(D3)、アルコキシシリル化合物(D4)、アジリジン化合物(D5)、カルボジイミド化合物(D6)などが挙げられる。
(エポキシ化合物(D1))
エポキシ化合物(D1)としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
(オキサゾリン化合物(D2))
オキサゾリン化合物(D2)としては、分子内にオキサゾリン基を2個以上有する化合物が好ましく用いられ、具体的には、2’−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エテンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エテンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−プロペンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)等を挙げることができる。または、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンや、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリンなどのビニル系モノマーとこれらのビニル系モノマーと共重合し得る他のモノマーとの共重合体でもよい。
これらオキサゾリン基含有共重合体としては、(株)日本触媒のエポクロスシリーズが挙げられる。その中でも、WS−500,700はアルコール溶剤との相溶性に優れており好ましい。
(金属キレート化合物(D3))
金属キレート化合物(D3)としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの多価金属が2,4−ペンタンジオンやアセト酢酸エチル、アセチルアセトン等に配位した化合物が挙げられる。これら金属キレート化合物は、アルコールと容易に反応するが、交換反応であるため架橋形成への影響は小さい。
また、金属キレート化合物(D3)を架橋剤として使用する場合、アクリル重合体(X)中の反応性官能基との反応性をより遅延し、塗液中での保存安定性を向上するため、配位性化合物を併用してもよい。
上記配位性化合物としては、アセチルアセトン、ジメチルグリオキシム、オキシン、ジチゾン、エチレンジアミン四酢酸(別名:EDTA)のようなポリアミノオキシ酸、クエン酸のようなオキシカルボン酸、縮合リン酸等が挙げられる。その中でも、アセチルアセトンはアルコール溶剤に可溶であり、揮発性を有し除去することが容易であるため、好ましい。
(アルコキシシリル化合物(D4))
アルコキシシリル化合物(D4)としては、具体的には、上記に示したアルコキシシリル基含有エチレン性不飽和モノマーが同様に使用できる。その他、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、9−デセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン;
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアミノアルキル基とアルコキシ基とを有するシラン;
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、β−メルカプトメチルフェニルエチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有する化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン、さらにこれらアルコキシランが縮合化したアルコキシシランオリゴマー;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、ジフェニルジメトキシシラン、1, 3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ビニルトリス( 2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
(アジリジン化合物(D5))
アジリジン化合物(D5)としては、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
(カルボジイミド化合物(D6))
カルボジイミド化合物(D6)としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドが使用できる。また、カルボジイミド化合物(D6)は、ジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。 このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの内の一種、またはこれらの混合物を使用することができる。
このような高分子量ポリカルボジイミドとしては、日清紡績(株)製のカルボジライトシリーズが挙げられる。その中でもカルボジライトV−01、02、02−2L、04、06は水溶性であるため、アルコール溶剤(C)との相溶性に優れており好ましい。
カルボキシル基を有するアクリル重合体を塩基性化合物(E)により中和したアクリル重合体(X2)を使用する場合、反応性の早いアジリジン化合物(D5)、カルボジイミド化合物(D6)が、保存安定性を維持したまま、更に優れた硬化性を発現することが可能であり好ましい。
これら架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に使用する架橋剤(D)の使用量は、架橋剤(D)中に含有される官能基のモル数と、アクリル重合体(X)中の架橋剤と反応し得る官能基のモル数との比が、ラベルやシール等の用途の場合は0.05〜0.6となる量を使用することが好ましい。0.05未満であると、架橋度が低すぎて、十分な凝集力が得られず、接着力や耐熱性が低下する場合があり、0.6を超えると架橋度が高くなりすぎて凝集力が過剰になり、被着体への密着性が低下してしまう場合がある。
又、表面保護フィルム等の用途の場合は、0.8〜1.5となる量を使用することが好ましい。0.8未満であると、接着力が高くなり、再剥離性が低下してしまう場合があり、1.5を超えると、多くの架橋剤が未反応のまま存在し、被着体を汚染してしまう場合がある。
<添加剤>
本発明の感圧式接着剤組成物には、この他に一般的に感圧式接着剤に使用される粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤、レベリング剤、各種薬剤、重点剤、顔料、染料等の各種添加剤を必要に応じて加えてもよい。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよく、添加剤の使用量は、特に限定されるものではない。
粘着付与剤としては、テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン、及びソレラノグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)など既存の全てのものが使用可能である。可塑剤としては、フタル酸エステル、リン酸エステルなど公知のものが使用できる。
本発明の感圧式接着剤組成物を使用して、感圧式接着剤層とシート状基材とからなる積
層製品(以下、「感圧式接着シート」という。)を得ることができる。
ここで、感圧式接着剤組成物及び感圧式接着シートについて一般的な説明をする。感圧式接着シートの基本的積層構成は、フィルム状基材/感圧式接着剤層/剥離性フィルムのような片面感圧式接着シート、あるいは剥離性フィルム/感圧式接着剤層/フィルム状基材/感圧式接着剤層/剥離性フィルムのような両面感圧式接着シートである。使用時に、剥離性フィルムが剥がされ、感圧式接着剤層が被着体に貼付される。感圧式接着剤組成物は、貼着の際被着体に感圧式接着剤層が触れるその瞬間に感圧式接着剤層がタックを有すのみならず、感圧式接着剤組成物以外の接着剤(以下、単に接着剤という)とは異なり、貼着中も完全に固化することなく、タックと適度な固さを有しつつ、貼着状態を維持するための凝集力を有することが必要である。凝集力は分子量に大きく依存する。
剥離性フィルムとしては、セロハン、各種プラスチックフィルム、紙等のフィルム状基材の表面をシリコーン化合物で剥離処理したものが挙げられる。また、フィルム状基材としては、単層のものであってもよいし、複数の基材を積層してなる多層状態にあるものも用いることができる。
フィルム状基材や剥離性フィルムで使用される各種プラスチックフィルムとしては、各種プラスチックシートともいわれ、例えば、ポリヒドロキシエテンフィルムやトリアセチルセルロースフィルム、ポリプロペン、ポリエテン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂のフィルム、ポリエテンテレフタレートやポリブテンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルム、ポリカーボネート系樹脂のフィルム、ポリノルボルネン系樹脂のフィルム、ポリアリレート系樹脂のフィルム、プロペン酸系樹脂のフィルム、ポリフェニレンサルファイド樹脂のフィルム、ポリエテニルベンゼン樹脂のフィルム、ビニル系樹脂のフィルム、ポリアミド系樹脂のフィルム、ポリイミド系樹脂のフィルム、オキシラン系樹脂のフィルムなどが挙げられる。
常法にしたがって適当な方法で剥離性フィルムに感圧式接着剤組成物を塗工した後、感圧式接着剤組成物が有機溶媒や水等の液状媒体を含有する場合には、加熱等の方法により液状媒体を除去したり、感圧式接着剤組成物が揮発すべき液状媒体を含有しない場合は、溶融状態にある樹脂層を冷却して固化したりして、剥離性フィルムの上に感圧式接着剤層を形成することができる。
感圧式接着剤層の厚さは、乾燥時膜厚で1μm〜100μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。1μm未満では十分な接着力が得られないことがあり、100μmを超えても接着力等の特性はそれ以上向上しない場合が多い。
本発明の感圧式接着剤組成物を剥離性フィルム等に塗工する方法としては、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等種々の塗工方法が挙げられる。
乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては感圧式接着剤組成物の架橋形態、膜厚や選択した溶剤にもよるが、通常60〜180℃程度の熱風加熱でよい。
また、感圧式接着剤組成物を塗工するに際し、アルコール溶剤を添加して、粘度を調整することもできるし、感圧式接着剤組成物を加熱して粘度を低下させることもできる。
以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。また、下記実施例および比較例中、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
<分子量(Mn、Mw)の測定>
分子量の測定は、東ソー(株)製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。また、カラムは、TSKgel SuperHM−M、およびTSKgel SuperHM−Lを2本連結したものを用いた。
<ガラス転移温度の測定>
ロボットDSC(示差走査熱量計、セイコーインスツルメンツ社製「RDC220」)に「SSC5200ディスクステーション」(セイコーインスツルメンツ社製)を接続して、測定に使用した。各合成例で得られたアクリル重合体の溶液を、ポリエステル製の剥離性フィルムに塗工・乾燥し、乾燥した樹脂を約10mgかきとり、試料としてアルミニウムパンに入れ、秤量して示差走査熱量計にセットし、試料を入れない同タイプのアルミニウムパンをリファレンスとして、100℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷処理した。その後10℃/分で昇温し、昇温中に得られたDSCチャートからガラス転移温度(単位:℃)を決定した。
<アクリル重合体の合成>
(合成例1)
反応槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下槽、空気導入管を備えた重合反応装置の反応槽及び滴下槽に、下記、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタクリレートモノマー(B)、アルコール溶剤(C)及び重合開始剤をそれぞれ下記の比率で仕込み、反応槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら空気雰囲気下中、80℃まで昇温した。次に滴下槽の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに攪拌しながら6時間反応した。反応後、希釈溶剤としてアルコール溶剤33部を加えて、室温まで冷却しアクリル重合体(X−1)を得た。得られたアクリル重合体の重量平均分子量(Mw)は300,000、ガラス転移温度は−45℃、不揮発分は60%であった。
[反応槽]
<モノマー(A)>
((D)と反応し得る官能基を有さないモノマー)
アクリル酸2−エチルヘキシル 10.0部
アクリル酸−ブチル 11.0部
((D)と反応し得る官能基を有するモノマー)
アクリル酸 0.8部
<アルコール溶剤(C)>
エタノール 10.0部
<重合開始剤>
パーロイルL 0.02部
[滴下槽]
<モノマー(A)>
((D)と反応し得る官能基を有さないモノマー)
アクリル酸2−エチルヘキシル 35.0部
アクリル酸−ブチル 40.0部
((D)と反応し得る官能基を有するモノマー)
アクリル酸 2.7部
<モノマー(B)>
EDMA 0.5部
<アルコール溶剤(C)>
エタノール 33.0部
<重合開始剤>
パーロイルL 0.06部
(合成例2)〜(合成例17)
表1の組成で合成例1と同様の合成方法にてアクリル重合体(X−2)〜(X−17)を合成した。
(合成例18)〜(合成例25)
表1の組成で合成例1と同様の方法にてアクリル重合体を合成し、反応後、希釈溶剤として表1に示す量のアルコール溶剤を加え、室温まで冷却した。次に、得られたアクリル重合体中のカルボキシル基のモル数に対して、同モル数となるよう表1に示す量の塩基性化合物(E)を加えてカルボキシル基の中和を行い、アクリル重合体(X2−1)〜(X2−8)を得た。
(合成例26)〜(合成例30)
表1の組成で合成例1と同様の合成方法にてアクリル重合体(Y−1)〜(Y−5)を
合成した。
(合成例31)
反応槽、攪拌機、温度計、還流冷却器、空気導入管を備えた重合反応装置の反応槽に、下記、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタクリレートモノマー(B)、アルコール溶剤(C)及び重合開始剤をそれぞれ下記の比率で仕込み、反応槽内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌しながら空気雰囲気下中、80℃まで昇温し7時間反応させた後、室温まで冷却しアクリル重合体(Y−6)を得た。得られたアクリル重合体の重量平均分子量(Mw)は190,000、ガラス転移温度は−45℃、不揮発分は60%であった。
[反応槽]
アクリル酸−ブチル 93.9部
アクリル酸 5.0部
アクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.5部
PEGDA9 0.6部
エタノール 100.0部
カヤエステルO 0.07部
Figure 0005229421
表1中の略号は以下のものとする。
<モノマー(A)>
((D)と反応し得る官能基を有さないモノマー)
2−EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
BA:アクリル酸ブチル
MA:アクリル酸メチル
M90G:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
V#190:エトキシジエチレングリコールモノアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)
VAc:酢酸ビニル
((D)と反応し得る官能基を有するモノマー)
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
2−HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
KBM−5103:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製)
<モノマー(B)>
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
DEDMA:ジエチレングリコールジメタクリレート
PEGDMA4:ポリエチレングリコールジメタクリレート(オキシエチレン=4程度)
PEGDA4:ポリエチレングリコールジアクリレート(オキシエチレン=4程度)
PEGDA9:ポリエチレングリコールジアクリレート(オキシエチレン=9程度)
<アルコール溶剤(C)>
EtOH:エタノール
IPA:イソプロパノール
<重合開始剤>
VA−061:2,2‘−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン] (和光純薬工業(株)製)
パーロイルL:過酸化ジラウロイル(日本油脂(株)製)
カヤエステルO:tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製)
<塩基性化合物(E)>
アンモニア:25%アンモニア水溶液
DMAE:ジメチルアミノエタノール
<感圧式接着剤組成物の製造>
(実施例1〜37)
アクリル重合体(X−1)〜(X−10)、(X2−1)〜(X2−4)を固形分換算にて表2に従い混合し、それらの固形分の合計100重量部に対し、架橋剤を固形分換算にて表2に従って配合して感圧式接着剤組成物を得た。
(比較例1〜29)
アクリル重合体(X−1)、(Y−1)、(Y−6)を固形分換算にて表2に従い混合し、それらの固形分の合計100重量部に対し、架橋剤を固形分換算にて表2に従って配合して感圧式接着剤組成物を得た。
(実施例38〜48)
アクリル重合体(X−11)〜(X−17)、(X2−5)〜(X2−8)を固形分換算にて表3に従い混合し、それらの固形分の合計100重量部に対し、架橋剤を固形分換算にて表3に従って配合して感圧式接着剤組成物を得た。
(比較例30〜39)
アクリル重合体(Y−4)、(Y−5)を固形分換算にて表3に従い混合し、それらの固形分の合計100重量部に対し、架橋剤を固形分換算にて表3に従って配合して感圧式接着剤組成物を得た。
Figure 0005229421
Figure 0005229421
表2、表3中の略号は以下のものとする。
<架橋剤(D1)>
TGMXDA:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン
<架橋剤(D2)>
WS−500:エポクロスWS−500(オキサゾリン基含有共重合体、(株)日本触媒製)
<架橋剤(D3)>
TA:チタン−テトラアセチルアセトネート
Al−TR:アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート、川研ファインケミカル(株)製)
<架橋剤(D4)>
KBE−04:テトラエトキシシラン
<架橋剤(D5)>
PZ−33:ケミタイトPZ−33(2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、(株)日本触媒製)
<架橋剤(D6)>
V−04:カルボジライトV−04(水溶性高分子量ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル(株)製)
V−05:カルボジライトV−05(油溶性高分子量ポリカルボジイミド、日清紡ケミカル(株)製)
<その他の架橋剤>
TDI/TMP:トリレンジイソシアネートトリメトロールプロパンアダクト体
HDI/TMP:ヘキサメジレンジイソシネートトリメトロールプロパンアダクト体
IPDI/TMP:イソホロンジイソシアネートトリメトロールプロパンアダクト体
TDI/ヌレート:トリレンジイソシアネートヌレート体
IPDI/ヌレートイソホロンジイソシアネートヌレート体
<添加剤>
AcAc:アセチルアセトン
Sn:ジブチル錫ジラウレート
Mim:1−メチルイミダゾール
<感圧式接着シートの製造>
(実施例1)
得られた感圧式接着剤組成物(D−1)を、温度25℃で1時間放置した後、ポリエステル製の剥離性フィルム(以下、「剥離性フィルム」という。)上に乾燥後の厚みが25μmになるように塗工し、100℃で2分間乾燥させ、この感圧式接着層面とポリエステルフィルムを張り合わせて、感圧式接着シートを形成した。得られた感圧式接着シートを、温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成(暗反応)させて、感圧式接着剤層の反応を進行させ、感圧式接着シート(SA−1)を得た。
また、感圧式接着剤組成物(D−1)を、温度25℃で8時間放置した後、同様にして、感圧式接着シート(SB−1)を得た。
(実施例2〜48、比較例1〜39)
表2、および表3に示す感圧式接着剤組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感圧式接着シート(SA−2〜87)および(SB−2〜87)を得た。
<評価>
実施例および比較例で得られた、感圧式接着剤組成物および感圧式接着シートについて、下記の方法で評価を行った。結果を表4および表5示す。
<感圧式接着剤組成物の評価>
(塗液保存安定性の測定)
得られた感圧式接着剤組成物について、架橋剤(D)添加後、25℃における粘度を1時間おきに24時間後まで、B型粘度計(東京計器社製)を用い、12rpm、1分間回転の条件で測定し、保存安定性を4段階で評価した。
◎:24時間までの粘度上昇率が1.5倍未満。非常に良好。問題なし。
○:8時間までの粘度上昇率が1.5倍未満。問題なし。
△:5時間までの粘度上昇率が1.5倍未満。実用上使用可。
×:5時間未満でゲル化。実用上問題あり。
(塗工性の測定)
得られた感圧式接着剤を、剥離性フィルムにコンマコーターにて速度2m/minで塗工し、100℃オーブンにて乾燥し、厚みが25μmの感圧式接着層を形成し、接着層の表面に厚さ50μmのポリエステルフィルムを貼り合わせ、感圧式接着フィルムを作製した。そして剥離フィルムを剥がした後の接着層表面(塗工面)の状態について目視にて観察し、3段階で評価した。
○:平滑な塗工面で、全く問題なし。
△:塗工面の端部に若干のハジキや発泡が認められるが、実用上問題無し。
×:塗工面にハジキ、発泡やスジ引きが認められ、実用上問題あり。
<感圧式接着シートの評価>
(シート外観の測定)
感圧式接着剤シート(SA−1〜87)について、その外観を目視にて観察し、3段階の評価基準に基づいて評価を行った。
○:無色透明なもの。実用上全く問題無し。
△:着色、凝集物が数点見られるもの。実用上問題無し。
×:白濁のもの、凝集物が多数見られるもの。実用上問題あり。
(初期の硬化性)
感圧式接着シート(SA−1〜87)を厚さ25μm、30mm×80mmのサイズに裁断し、金属製メッシュに包み粘着剤層のみの重さを精密天秤にて秤量した。このときの重さをM1とする。ソックスレー(抽出器)を用いて酢酸エチル溶剤に粘着剤層を浸漬させ、還流を行い16時間処理した。その後粘着剤層をとり出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下、24時間で風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後の粘着剤層のみの重さを精密天秤にて秤量した。このときの重さをM2とし、
(M2/M1)×100(%)・・・(P)
により、初期の硬化性を算出し、3段階で評価した。
○:硬化性が40%以上
△:硬化性が20%以上40%未満
×:硬化性が20%未満
(硬化性の経時変化率)
感圧式接着シート(SB−1〜87)を厚さ25μm、30mm×80mmのサイズに裁断し、金属製メッシュに包み粘着剤層のみの重さを精密天秤にて秤量した。このときの重さをM3とする。ソックスレー(抽出器)を用いて酢酸エチル溶剤に粘着剤層を浸漬させ、還流を行い16時間処理した。その後粘着剤層をとり出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下、24時間で風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後の粘着剤層のみの重さを精密天秤にて秤量した。このときの重さをM4とし、
(M4/M3)×100(%)・・・(Q)
により経時の硬化性を算出した。初期の硬化性からの変化率を、
(1−(Q)/(P))×100(%)
の式(値は絶対値)より算出し、3段階で評価した。
○:変化率が15%未満
△:変化率が15%以上30%未満
×:変化率が30%以上
(熟成適正)
温度23℃相対湿度50%の条件で感圧式接着シート(SA−1〜87)を熟成する際、熟成日数毎で上記(初期の硬化性)評価と同様の方法にて(P)を算出し、前日との(P)の変化率が3%未満であった場合に硬化完了とみなし、硬化完了までにかかった熟成日数を3段階で評価した。
○:熟成日数が3日未満。実用上問題無し
△:熟成日数が3日以上8日未満。実用上問題無し
×:熟成日数が8日以上。実用上問題あり
(初期の接着力)
JIS Z 0237に準じて、得られた感圧式接着シート(SA−1〜87)を25mm幅にカットし、剥離フィルムを剥がして露出した感圧式接着剤層の面を各被着体に貼着し、これを180度方向に引き剥がす時の抵抗力を測定した。測定は温度25℃、相対湿度50%の室内で行い、引っ張り速度300mm/minで測定した。接着力の測定は、各被着体(ステンレス(SUS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE))に貼着後、温度25℃、相対湿度50%の室内に24時間放置した後に測定を行う永久接着力で測定した。
(再剥離性)
JIS Z 0237に準じて、得られた感圧式接着シート(SA−1〜87)を25mm幅にカットし、剥離フィルムを剥がして露出した感圧式接着剤層の面を被着体(ステンレス(SUS))に貼着し、これを180度方向に引き剥がした時の剥離状態を目視にて観察し、2段階で評価した。測定は温度25℃、相対湿度50%の室内で行い、引っ張り速度300mm/minで測定した。永久接着力で測定した。
○:剥離状態が界面より剥離し、被着体への糊残りがない。実用上問題なし。
×:剥離状態が凝集破壊により剥離している、又は界面より剥離しているが、被着体が曇る等の汚染が見られる。実用上問題あり。
(接着力の経時変化率)
JIS Z 0237に準じて、得られた感圧式接着シート(SB−1〜87)を25mm幅にカットし、剥離フィルムを剥がして露出した感圧式接着剤層の面を各被着体に貼着し、これを180度方向に引き剥がす時の抵抗力を測定した。測定は温度25℃、相対湿度50%の室内で行い、引っ張り速度300mm/minで測定した。接着力の測定は、被着体ステンレス(SUS)に貼着後、温度25℃、相対湿度50%の室内に24時間放置した後に測定を行う永久接着力(T)で測定した。初期の接着力(S)からの変化率を、
(1−(T)/(S))×100(%)
の式(値は絶対値)より算出し、3段階で評価した。
○:変化率が25%未満
△:変化率が25%以上50%未満
×:変化率が50%以上
(耐熱保持力の測定)
JIS Z 0237に準じて、保持力の測定を行った。得られた感圧式接着シート(SA−1〜87)を幅25mm、長さ150mmカットし、そのシートの片端をSUS板の片端に、貼着面積25mm×25mmで貼着して、試験片を作成した。この試験片のステンレス板を、40℃の恒温槽内に鉛直に吊り下げて、シート片のもう一方の端部に1kgの錘を吊り下げて72000秒間放置した。72000秒以内にシート片が脱落したものは、その脱落するまでの時間を測定し、脱落していないものは、初期の貼着部分からのズレの長さを測定した。
保持していたもので、ズレの長さ0.5mm以内:実用上問題なし。
保持していたもので、ズレの長さ0.5mmを超えるもの:実用上問題あり。
落下したもの:実用上問題あり
Figure 0005229421

Figure 0005229421
表4、5の実施例1〜47に示すように、本発明の感圧式接着剤組成物、及び感圧式接着シートは、いずれの評価においても良好であり、実施例15、17、19、21、27については、塗液保存安定性に非常に優れ、乾燥後の硬化性も良好なため、1液化が十分に可能であった。更に、実施例29〜37、44〜47では、塗液保存安定性、熟成適性の点で更に良好な結果であった。
一方、合成例27、28のアクリル重合体では重合の際にゲル化が生じ、感圧式接着シートを製造するまで至らなかった。また、比較例1〜39の感圧式接着剤組成物及び感圧式接着シートでは架橋剤配合直後のゲル化の発生やシート外観の不良が見られたり、硬化性の経時での変化が見られるなど、満足する物性は得られなかった。

Claims (8)

  1. 1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有するモノマー(A)を98.0〜99.9重量%、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するメタクリレートモノマー(B)を0.1〜2.0重量%の割合で含有するエチレン性不飽和結合を有するモノマーをアルコール溶剤(C)中でラジカル重合し得られ、ガラス転移温度が−60〜10℃のアクリル重合体(X)と、
    架橋剤(D)と、を含有する感圧式接着剤組成物の製造方法であって、
    モノマー(A)および/またはモノマー(B)が、カルボキシル基、水酸基、およびアルコキシシリル基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有し、
    重合時のアルコール溶剤(C)の使用量が、エチレン性不飽和結合を有するモノマー100重量%に対し20〜50重量%であり、
    架橋剤(D)が、エポキシ化合物(D1)、オキサゾリン化合物(D2)、金属キレート化合物(D3)、アルコキシシリル化合物(D4)、アジリジン化合物(D5)、およびカルボジイミド化合物(D6)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、
    アクリル重合体(X)が、エチレン性不飽和結合を有するモノマーをエタノール中でラジカル重合することを特徴とする感圧式接着剤組成物の製造方法。
  2. モノマー(A)および/またはモノマー(B)が、カルボキシル基および/またはアルコキシシリル基を有することを特徴とする請求項1記載の感圧式接着剤組成物の製造方法。
  3. 架橋剤(D)が、エポキシ化合物(D1)、アジリジン化合物(D5)、およびカルボジイミド化合物(D6)から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする請求項1または2記載の感圧式接着剤組成物の製造方法。
  4. モノマー(A)および/またはモノマー(B)が、カルボキシル基を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の感圧式接着剤組成物の製造方法。
  5. カルボキシル基が、塩基性化合物(E)により中和されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の感圧式接着剤組成物の製造方法。
  6. アクリル重合体(X)の重量平均分子量(Mw)が200,000〜600,000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.0〜8.0であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の感圧式接着剤組成物の製造方法。
  7. アクリル重合体(X)が、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを滴下方式でラジカル重合することを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の感圧式接着剤組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の感圧式接着剤組成物の製造方法から得られる感圧式接着剤組成物から形成される感圧式接着層がシート状基材の片面もしくは両面に積層された感圧式接着シート。

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