JP5228638B2 - 画像表示装置用表示粒子および画像表示装置 - Google Patents

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Description

表示粒子を気相中、電界に基づいて移動させることにより、画像の表示および消去を繰り返し実行できる画像表示装置および該画像表示装置に用いられる表示粒子に関する。
従来より、表示粒子を気相中で移動させて画像を表示する画像表示装置が知られている。画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示粒子が粉体形態で封入されてなり、該基板間に電界を発生させることによって、表示粒子を一方の基板に移動・付着させて画像を表示するものである。そのような画像表示装置の駆動の際には、基板間に電圧を印加して電界を発生させ、当該電界方向に沿って表示粒子が移動するため、電界方向を適宜選択することによって画像の表示および消去を繰り返し実行できる。そのため、画像表示装置には、低い駆動電圧の下でも表示粒子がスムーズに移動できることが求められていた。
しかしながら、表示粒子が基板に一旦、付着すると、その付着力は比較的大きいので、画像の表示および消去を繰り返し実行する時、付着した表示粒子を引き離すために基板間に高い電圧を印加しなければならなかった。また、基板表面に付着したままの表示粒子が増大すると、表示画像の濃度が低下して画像のコントラストが落ちて画質に影響を与えた。
そこで、表示粒子と基板との付着力を低減するために、表示粒子において、例えばシリカや酸化チタンなどの無機微粒子を外添する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2004−29699号公報
しかしながら、上述した技術では連続して駆動を繰り返すと、移動時の摩擦接触により表示粒子、特に無機微粒子の帯電量が上昇し、それに伴い基板に対する表示粒子の付着力が上昇するため、コントラストが低下した。
そこで、表示粒子の帯電量上昇を抑制する方法として、(1)無機微粒子の帯電サイトを減らす方法、(2)表示粒子の抵抗を下げる方法が考えられる。しかしながら、(1)の方法では、帯電サイトを減らすと、無機微粒子の疎水化度が落ちて、表示粒子の基板に対する付着力が大きくなるので、初期から十分なコントラストが得られなかった。(2)の方法では、表示粒子の抵抗を下げると、放置するだけで帯電量が低下するため、メモリー性が低下した。
本発明は、メモリー性に優れ、かつコントラストが比較的高い画像を繰り返して表示できる画像表示装置用表示粒子および該表示粒子を備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、
少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示粒子を粉体形態で封入し、該基板間に電界を発生させることによって、該表示粒子を移動させて画像を表示する画像表示装置に用いられる表示粒子であって、
表示粒子が正帯電性の表示粒子および負帯電性の表示粒子を含み、
少なくとも一方の表示粒子が正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子で被覆されてなることを特徴とする表示粒子および該画像表示装置用表示粒子を備えた画像表示装置に関する。
本明細書中、表示粒子とは、少なくとも樹脂および着色剤を含有する母体粒子に所定の無機微粒子が被覆されてなる構成の粒子を意味するものとする。
本発明によれば、正帯電性の表示粒子または負帯電性の表示粒子の少なくとも一方が正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子で被覆されてなっている。すなわち、正帯電性の表示粒子または負帯電性の表示粒子の少なくとも一方の表示粒子は、当該表示粒子の帯電極性と同極性の無機微粒子だけでなく、逆極性の無機微粒子でも被覆される。これによって、繰り返し駆動時の帯電量の上昇が抑制されるため、メモリー性を低下させることなく、コントラストが比較的高い画像を繰り返して表示できる。
正帯電性の表示粒子および負帯電性の表示粒子の両方の表示粒子が正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子で被覆されると、そのような本発明の効果、特に繰り返し駆動時のコントラストの向上効果は顕著に向上する。
[画像表示装置用表示粒子]
本発明に係る画像表示装置用表示粒子(以下、単に表示粒子という)は、正帯電性の表示粒子および負帯電性の表示粒子を含み、少なくとも一方の表示粒子が正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子で被覆されてなる。正帯電性の表示粒子または負帯電性の表示粒子の少なくとも一方、好ましくは両方の表示粒子は、当該表示粒子の帯電極性と同極性の無機微粒子だけでなく、逆極性の無機微粒子でも被覆されてなっている。これによって、繰り返し駆動時の帯電量の上昇が抑制されるため、メモリー性を低下させることなく、コントラストが比較的高い画像を繰り返して表示できる。正帯電性の表示粒子および負帯電性の表示粒子の両方の表示粒子が正帯電性無機微粒子または負帯電性無機微粒子の一方の無機微粒子でしか被覆されていないと、繰り返し駆動時において両方の表示粒子の帯電量が上昇するため、十分なコントラストの画像が得られない。
以下、本発明に係る表示粒子を第1〜第3の実施形態にわけて説明するが、第1の実施形態が最も好ましい。なお、正帯電性の表示粒子とは、正極性に帯電された表示粒子およびキャリアとの摩擦接触によって正極性に帯電され得る表示粒子を包含する概念で用いるものとし、負帯電性の表示粒子とは、負極性に帯電された表示粒子およびキャリアとの摩擦接触によって負極性に帯電され得る表示粒子を包含する概念で用いるものとする。摩擦接触される基準キャリアとしては、鉄粉キャリア、例えばZ150/250(パウダーテック社製)が使用できる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態において、正帯電性の表示粒子および負帯電性の表示粒子の両方の表示粒子は正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の両方の無機微粒子で被覆されてなっている。
正帯電性の表示粒子は、詳しくは、少なくとも樹脂および着色剤を含有する母体粒子に正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子が被覆されてなるものであり、例えば、図1(a)に示す構成を有する。図1(a)は正帯電性の表示粒子の一例の概略断面図であり、母体粒子1の表面に正帯電性無機微粒子2および負帯電性無機微粒子3が被覆され、固定化されている。固体粒子1中の4は樹脂、5は着色剤を示す。
正帯電性表示粒子の正帯電性は、被覆される正帯電性無機微粒子の量によって制御できる。例えば、正帯電性無機微粒子が多いほど、正帯電性は強くなり、正帯電性無機微粒子と負帯電性無機微粒子との被覆重量比は通常、95/5〜60/40、好ましくは90/10〜70/30である。正帯電性無機微粒子の被覆重量比が小さすぎると、正帯電性の表示粒子が全体として正帯電性を発揮できず、コントラストが低下するだけでなく、画像表示ができなくなる。正帯電性無機微粒子の被覆重量比が大きすぎると、負帯電性無機微粒子が少なすぎるために、本発明の効果が得られず、繰り返し駆動時において十分なコントラストで画像表示できない。
正帯電性の表示粒子における正帯電性無機微粒子の被覆量は母体粒子100重量部に対して0.06〜95重量部、好ましくは0.7〜18重量部である。
正帯電性の表示粒子における負帯電性無機微粒子の被覆量は母体粒子100重量部に対して0.005〜40重量部、好ましくは0.1から6重量部である。
正帯電性の表示粒子における正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の総被覆量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常は母体粒子100重量部に対して0.1〜100重量部、特に1〜20重量部が好ましい。
負帯電性の表示粒子は、詳しくは、少なくとも樹脂および着色剤を含有する母体粒子に正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子が被覆されてなるものであり、例えば、図1(b)に示す構成を有する。図1(b)は負帯電性の表示粒子の一例の概略断面図であり、母体粒子1の表面に正帯電性無機微粒子2および負帯電性無機微粒子3が被覆され、固定化されている。固体粒子1中の4は樹脂、5は着色剤を示す。
負帯電性表示粒子の負帯電性は、被覆される負帯電性無機微粒子の量によって制御できる。例えば、負帯電性無機微粒子が多いほど、負帯電性は強くなり、正帯電性無機微粒子と負帯電性無機微粒子との被覆重量比は通常、5/95〜40/60、好ましくは10/90〜30/70である。負帯電性無機微粒子の被覆重量比が小さすぎると、負帯電性の表示粒子が全体として負帯電性を発揮できず、コントラストが低下するだけでなく、画像表示ができなくなる。負帯電性無機微粒子の被覆重量比が大きすぎると、正帯電性無機微粒子が少なすぎるために、本発明の効果が得られず、繰り返し駆動時において十分なコントラストで画像表示できない。
負帯電性の表示粒子における正帯電性無機微粒子の被覆量は母体粒子100重量部に対して0.005〜40重量部、好ましくは0.1から6重量部である。
負帯電性の表示粒子における負帯電性無機微粒子の被覆量は母体粒子100重量部に対して0.06〜95重量部、好ましくは0.7〜18重量部である。
負帯電性の表示粒子における正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の総被覆量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常は母体粒子100重量部に対して0.1〜100重量部、特に1〜20重量部が好ましい。
表示粒子における無機微粒子の構成は、画像表示装置より、以下の方法に基づいて知見できる。
ステップA;まず、画像表示装置より正帯電性表示粒子と負帯電性表示粒子とを分離して採取する。詳しくは、画像表示装置の上下電極間に500Vの直流電圧を印加して、正帯電性表示粒子と負帯電性表示粒子とを当該装置内で分離する。その後、当該装置を分解し、正帯電性表示粒子と負帯電性表示粒子とを区別して採取する。
ステップB;次いで、採取された正帯電性表示粒子および負帯電性表示粒子それぞれについて、被覆されている無機微粒子を分離する。詳しくは、表示粒子20gをポリオキシエチルフェニルエーテルの0.2%水溶液200gに濡れさせ、超音波エネルギーを、本体装置に付属の振動指示値を示す電流計の値が300μA(800w)を示すように調整し60分間印加する。得られた混合液を目開き1μmのろ紙にてろ過し、ろ液を乾燥器にて十分乾燥すると、母体粒子を被覆していた無機微粒子が得られる。
ステップC;その後、正帯電性表示粒子および負帯電性表示粒子それぞれについて分離された無機微粒子を、正帯電性無機微粒子と負帯電性無機微粒子とに分離する。
無機微粒子と鉄粉キャリア(Z150/250(パウダーテック社製))1gを5ccのガラス管の中に入れ振とう機により20分間混合し帯電させる。無機微粒子とキャリアの混合物50mgを2枚の平行平板(アルミ)電極間の磁石により磁界の影響を受ける電極側に入れ、電極間ギャップが0.5mm、DCバイアスが±1.0KV、ACバイアスが4.0KV、2.0KHzの条件で磁石をしゅう動させながら(1ストローク/3秒)電圧を30秒印加する。DCバイアスの極性が−の時に、対向する電極に移動する粒子は+の無機微粒子であり、+のDCバイアスを印加した時に移動した粒子は−の無機微粒子である。
以上の無機微粒子構成の知見方法において、正帯電性表示粒子および負帯電性表示粒子それぞれにおいて、採取された母体粒子、正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の重量を測定することによって、正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の被覆量および被覆重量比を算出できる。それらの結果より、表示粒子における無機微粒子の構成を知見できる。
無機微粒子の帯電極性はブローオフ法によって測定された帯電量に基づいて認識できる。詳しくは、ブローオフ帯電量は、基準鉄粉キャリア(Z150/250;パウダーテック社製)19gと無機微粒子1gとをガラス瓶の中に入れ振とう機により20分間混合した後、0.1gの試料を400メッシュのステンレススクリーンを有する測定容器に入れ、窒素ガス流量1.0kgf/cm2、流入時間60秒の条件でブローオフ帯電量測定機(TB-200:東芝ケミカル社製)により測定できる。
正帯電性無機微粒子は正極性に帯電された無機微粒子およびキャリアとの摩擦接触によって正極性に帯電され得る無機微粒子を包含して意味するものであり、本発明においては疎水化処理剤によって正帯電性を付与された無機微粒子が使用される。摩擦接触される基準キャリアは、前記した鉄粉キャリアが使用できる。正帯電性無機微粒子として、疎水化処理剤によって正帯電性を付与された無機微粒子を使用することによって、繰り返し駆動時のコントラストをより一層向上させることができる。
正帯電性無機微粒子の芯材粒子としては、公知の無機微粒子が使用可能であり、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン等の金属酸化物、窒化チタン等の窒化物、チタン化合物等が挙げられる。疎水化度の観点からは酸化ケイ素が好ましい。
芯材粒子に正帯電性を付与できる疎水化処理剤としては、特に制限されず、例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン系カップリング剤等が使用可能である。
正帯電性無機微粒子は公知の表面処理方法によって製造可能であり、例えば、芯材粒子に所定の疎水化処理剤を添加・混合し、加熱・乾燥し、解砕することによって製造できる。
正帯電性無機微粒子の平均一次粒径は、母体粒子への被覆・固定化の観点から5〜300nmが好ましく、50〜150nmがより好ましい。
本明細書中、無機微粒子の平均一次粒径は一次粒子の個数平均粒径であり、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)によって測定された値を用いている。
測定手順としては、50mlのメスシリンダーに測定用無機微粒子を0.1g入れ、純水25mlとメタノール25mlの混合液を加え、超音波洗浄機「US−1(as one社製)」を用いて3分間分散させ測定用試料を作製する。次いで、測定用試料3mlを「マイクロトラックUPA−150」のセル内に投入し、Sample Loadingの値が0.1〜100の範囲にあることを確認する。そして、下記測定条件にて測定する。
測定条件
Transparency(透明度):Yes
Refractive Index(屈折率):1.59
Particle Density(粒子比重):2.20g/cm3
Spherical Particles(球形粒子):Yes
溶媒条件
Refractive Index(屈折率):1.33
Viscosity(粘度):Hight(temp) 0.797x10-3Pa・S、Low(temp) 1.002x10-3Pa・S
正帯電性無機微粒子の疎水化度は30〜99、特に70〜99を示すことが好ましい。
本明細書中、疎水化度はメタノールウェッタビリティーによって測定された値を用いている。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を評価するものである。この方法は、内容量200mlのビーカー中に入れた蒸留水50mlに、測定対象の無機微粒子を0.2g秤量し添加する。メタノールを先端が液体中に浸漬されているビュレットから、ゆっくり撹拌した状態で無機微粒子の全体が濡れるまでゆっくり滴下する。この無機微粒子を完全に濡らすために必要なメタノールの量をa(ml)とした場合に、下記式により疎水化度が算出される。
疎水化度={a/(a+50)}×100
正帯電性無機微粒子は、正帯電性表示粒子で使用される場合であっても、負帯電性表示粒子で使用される場合であっても、粒径、芯材粒子および疎水化処理剤の種類等が異なる2種類以上のものが使用されてよく、その場合にはそれらの合計被覆量を正帯電性無機微粒子の被覆量とする。
負帯電性無機微粒子は負極性に帯電された無機微粒子およびキャリアとの摩擦接触によって負極性に帯電され得る無機微粒子を包含して意味するものであり、本発明においては疎水化処理剤によって負帯電性を付与された無機微粒子が使用される。摩擦接触される基準キャリアは、前記した鉄粉キャリアが使用できる。負帯電性無機微粒子として、疎水化処理剤によって負帯電性を付与された無機微粒子を使用することによって、繰り返し駆動時のコントラストをより一層向上させることができる。
負帯電性無機微粒子の芯材粒子としては、公知の無機微粒子が使用可能であり、例えば、正帯電性無機微粒子の芯材粒子として例示した無機微粒子が挙げられる。
芯材粒子に負帯電性を付与できる疎水化処理剤としては、特に制限されず、例えば、メキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メキサメチルジシラザン、ter-ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン系カップリング剤が使用可能である。
負帯電性無機微粒子は、所定の疎水化処理剤を用いること以外、正帯電性無機微粒子と同様の方法によって製造できる。
負帯電性無機微粒子の平均一次粒径は、母体粒子への被覆・固定化の観点から5〜300nmが好ましく、50〜150nmがより好ましい。
負帯電性無機微粒子の疎水化度は30〜99、特に70〜99を示すことが好ましい。
負帯電性無機微粒子は、正帯電性表示粒子で使用される場合であっても、負帯電性表示粒子で使用される場合であっても、粒径、芯材粒子および疎水化処理剤の種類、等が異なる2種類以上のものが使用されてよく、その場合にはそれらの合計被覆量を負帯電性無機微粒子の被覆量とする。
正帯電性表示粒子および負帯電性表示粒子の母体粒子は少なくとも樹脂および着色剤を含有してなり、所望により荷電制御剤がさらに含有されてもよい。正帯電性表示粒子用の母体粒子および負帯電性表示粒子用の母体粒子においては、特記しない限り、それぞれ独立して共通の成分が使用可能である。
母体粒子を構成する樹脂は、特に限定されるものではなく、下記に示すビニル系樹脂と呼ばれる重合体がその代表的なものであり、ビニル系樹脂の他に、例えば、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の縮合系の樹脂が挙げられる。ビニル系樹脂の具体例としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、スチレンアクリル系樹脂の他、エチレン単量体やプロピレン単量体より形成されるポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、ビニル系樹脂以外の樹脂としては、前述した縮合系樹脂の他に、例えば、ポリエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。上記した樹脂の中で、スチレンアクリル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、フッ素系樹脂を含有する母体粒子は負極性に帯電される傾向があるので、当該母体粒子は負帯電性表示粒子用として有用である。また例えば、ポリアミド系樹脂、ポリメタクリル樹脂を含有する母体粒子は正極性に帯電される傾向があるので、当該母体粒子は正帯電性表示粒子用として有用である。
母体粒子に使用可能な樹脂を構成する重合体は、これらの樹脂を形成する重合性単量体を少なくとも1種類用いて得られるものの他、複数種類の重合性単量体を組み合わせて製造することもできる。複数種類の重合性単量体を組み合わせて樹脂を製造する場合、たとえば、ブロック共重合体やグラフト共重合体、ランダム共重合体といった共重合体を形成する方法の他、複数種類の樹脂を混ぜ合わせるポリマーブレンド法による樹脂形成もある。
母体粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、無機微粒子の固定化容易性の観点から、5000〜200000、特に15000〜100000が好ましい。
本明細書中、重量平均分子量はHLC−8220(東ソー社製)によって測定された値を用いている。
着色剤は、特に限定されるものではなく、電子写真用トナーの分野で公知の顔料が用いられる。正帯電性表示粒子用の母体粒子と、負帯電性表示粒子用の母体粒子とでは、通常、色調の異なる着色剤が使用される。色調が異なるとは、後で詳述する画像表示装置において基板間に電界を発生させたとき、視認方向上流側の基板に移動・付着させた表示粒子と、視認方向下流側の基板上に残留・付着させた表示粒子との間の色相、明度、彩度等の差に基づいて、表示画像を視覚的に認識できるという意味である。例えば、白色母体粒子と、黒色母体粒子とが組み合わせて使用される。
例えば、白色母体粒子を構成する白色顔料としては、たとえば、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられ、その中でも酸化チタンが好ましい。
また例えば、黒色母体粒子を構成する黒色顔料としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が挙げられ、その中でもカーボンブラックが好ましい。
着色剤の含有量は特に制限されず、例えば、樹脂100重量部に対して1〜200重量部であってよい。
荷電制御剤は、特に限定されるものではなく、電子写真用トナーの分野で公知の荷電制御剤が用いられる。このうち、例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、4級アンモニウム塩化合物、ニトリイミダゾール誘導体等の負荷電制御剤を含有する母体粒子は負帯電性表示粒子用として有用である。また例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン化合物、イミダゾール誘導体等の正荷電制御剤を含有する母体粒子は正帯電性表示粒子用として有用である。荷電制御剤の含有量は特に制限されず、例えば、樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部であってよい。
母体粒子の体積平均粒径は1〜50μmであり、好ましくは1〜30μmである。
母体粒子の体積平均粒径は体積基準メディアン径(d50径)であって、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、サンプル0.02gを界面活性剤溶液20ml(粒子を分散させるためのもので、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、分散液を作製する。この分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は50μmのものを使用する。
母体粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、電子写真方式の画像形成に使用されるトナーの製造方法等、樹脂と着色剤を含有する粒子を製造する公知の方法を応用することにより対応が可能である。母体粒子の具体的な製造方法としては、たとえば、以下の方法が挙げられる。
(1)樹脂と着色剤とを混練した後、粉砕、分級の各工程を経て母体粒子を製造する方法;
(2)水系媒体中で重合性単量体と着色剤を機械的に撹拌して液滴を形成した後、重合を行って母体粒子を製造する、いわゆる懸濁重合法;
(3)界面活性剤を含有させた水系媒体中に重合性単量体を滴下し、ミセル中で重合反応を行って100〜150nmの重合体粒子を製造した後、着色剤粒子と凝集剤を添加してこれらの粒子を凝集・融着させて母体粒子を製造する、いわゆる乳化重合凝集法。
正帯電性表示粒子および負帯電性表示粒子は以下の方法により製造できる。すなわち、母体粒子、正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子を混合し、得られた混合物を瞬間的加熱処理する。瞬間的加熱処理によって、正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子等の無機微粒子の母体粒子に対する被覆・固定化が有効に達成される。「固定化」は、無機微粒子の一部が母体粒子に埋没され、それらが一体となって挙動するようになる現象である。
瞬間的加熱処理とは、被処理物に対して熱風を瞬間的に吹き付ける熱処理である。加熱温度は上記固定化が達成され、無機微粒子の完全埋没や母体粒子間の融着が起こらない程度の温度であり、例えば、母体粒子に含有される樹脂の重量平均分子量等に依存して決定されればよい。具体的には、母体粒子の樹脂の重量平均分子量が約5000〜200000である場合、加熱温度は通常、80〜300℃が適当である。そのような瞬間的加熱処理を実施できる装置は、市販の熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製サーフュージングシステムSFS−3型))として入手可能である。
本実施形態に係る表示粒子に含まれる正帯電性表示粒子において正帯電性無機微粒子の固定化率は50〜99%、特に70〜99であることが好ましく、負帯電性無機微粒子の固定化率は50〜99%、特に70〜99であることが好ましい。
負帯電性表示粒子において正帯電性無機微粒子の固定化率は50〜99%、特に70〜99%であることが好ましく、負帯電性無機微粒子の固定化率は50〜99%、特に70〜99%であることが好ましい。
固定化率は、表示粒子に対して所定の振動を与えたときの無機微粒子の残存率を求めることで測定できる。具体的には、前記無機微粒子構成の知見方法におけるステップAと同様の方法により、正帯電性表示粒子と負帯電性表示粒子とを分離する。次いで、それぞれの表示粒子について、超音波エネルギーを本体装置に付属の振動指示値を示す電流計の値が60μA(50w)を示すように調整し5分間印加すること以外、前記無機微粒子構成の知見方法におけるステップBと同様の方法により、無機微粒子を脱離させ、脱離した無機微粒子を得る。その後、正帯電性表示粒子および負帯電性表示粒子それぞれについて脱離した無機微粒子を、前記無機微粒子構成の知見方法におけるステップCと同様の方法により、正帯電性無機微粒子と負帯電性無機微粒子とに分離し、それぞれの重量を測定し、脱離量y,yとする。一方、前記無機微粒子構成の知見方法のステップA〜Cと同様の方法によって測定された正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の重量をそれぞれ脱離量x,xとする。(x−y)/xを算出し、得られた値(残存率)を、正帯電性無機微粒子の固定化率とする。(x−y)/xを算出し、得られた値(残存率)を、正帯電性無機微粒子の固定化率とする。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態において、正帯電性の表示粒子は正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の両方の無機微粒子で被覆されてなり、負帯電性の表示粒子は負帯電性無機微粒子で被覆されてなる。
第2実施形態において、正帯電性表示粒子は第1実施形態における正帯電性表示粒子と同様である。
第2実施形態において、負帯電性表示粒子は、正帯電性無機微粒子が使用されないか、またはその被覆量が所定の範囲未満であること以外、第1実施形態における負帯電性表示粒子と同様である。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態において、負帯電性の表示粒子は正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の両方の無機微粒子で被覆されてなり、正帯電性の表示粒子は正帯電性無機微粒子で被覆されてなる。
第3実施形態において、負帯電性表示粒子は第1実施形態における負帯電性表示粒子と同様である。
第3実施形態において、正帯電性表示粒子は、負帯電性無機微粒子が使用されないか、またはその被覆量が所定の範囲未満であること以外、第1実施形態における正帯電性表示粒子と同様である。
[画像表示装置]
本発明に係る画像表示装置は上記した表示粒子を備えたことを特徴とする。以下、本発明の画像表示装置について詳細に説明する。なお、本発明に係る画像表示装置は、「粉体ディスプレイ」とも呼ばれるものである。
本発明に係る画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に上記した表示粒子を粉体形態で封入し、該基板間に電界を発生させることによって、該表示粒子を移動させて画像を表示するものである。
本発明に係る画像表示装置の代表的な構成断面を図2に示す。図2(a)は、基板11、12上に層構造の電極15を設け、電極15表面に絶縁層16を設けたものである。図2(b)に示す画像表示装置は、装置内に電極を設けていない構造のもので、装置外部に設けられた電極を介して電界を付与させ、表示粒子の移動を行える様にしたものである。図2(a)および図2(b)における同じ符号は同じ部材を意味するものとする。図2は図2(a)および図2(b)を包含して意味するものとする。図2の画像表示装置10は、図に示す様に、基板11側より画像を視認するものとするが、本発明では基板11側より画像を視認するものに限定されるものではない。また、図2(b)に示すタイプは、装置自体に電極15が設けられていない分、装置の構造を簡略化させ、その製造工程を短縮化することができるメリットがある。図2(b)に示すタイプの画像表示装置10を電圧印加可能な装置にセットして電圧印加を行う様子を示すものを図4に示す。なお、本発明に係る画像表示装置の断面構成は図2(a)と(b)に示すものに限定されるものではない。
図2(a)の画像表示装置10の最外部には、当該画像表示装置を構成する筐体である2つの基板11と12が対向して配置されている。基板11と12は双方が向き合う側の面上に電圧印加を行うための電極15が設けられ、さらに、電極15上に絶縁層16が設けられている。基板11と12には、電極15と絶縁層16が設けられ、電極15と絶縁層16を有する側の面を対向させて形成される隙間18には表示粒子が存在する。図2に示す画像表示装置10は、表示粒子として黒色表示粒子(以下、黒色粒子という)21と白色表示粒子(以下、白色粒子という)22の2種類の表示粒子を隙間18に存在させている。なお、黒色粒子21および白色粒子22の表面には厳密には前記した無機微粒子が被覆されて存在するが、図示しないものとする。また、図2の画像表示装置10では、隙間18が基板11と12及び2つの隔壁17により四方を囲んだ構造となっており、表示粒子は隙間18に封入された状態で存在している。
隙間18の厚さは、封入された表示粒子が移動可能で画像のコントラストを維持できる範囲であれば、特に限定されるものではなく、通常は10μm乃至500μm、好ましくは10μm乃至100μmである。隙間18内における表示粒子の体積占有率は、5%乃至70%であり、好ましくは30%乃至60%である。表示粒子の体積占有率を上記範囲にすることにより、隙間18内で表示粒子がスムーズに移動でき、また、コントラストのよい画像が得られる。
次に、画像表示装置10の隙間18での表示粒子の挙動について説明する。
本発明に係る画像表示装置は、2枚の基板間に電圧を印加されて電界が形成されると、帯電している表示粒子は電界方向に沿って移動する様になる。この様に、表示粒子が存在する基板間に電圧を印加することにより、帯電した表示粒子が基板間を移動して画像表示を行うものである。
本発明に係る画像表示装置における画像表示は以下の手順により行われるものである。
(1)表示媒体として用いる表示粒子を、キャリアによる摩擦帯電等の公知の方法により帯電させる。
(2)対向する2枚の基板間に表示粒子を封入し、この状態で基板間に電圧を印加する。
(3)基板間への電圧印加により、基板間に電界が形成される。
(4)表示粒子は、電極間の電界の力の作用により表示粒子の極性と反対側の電界方向に沿って基板表面に引き寄せられ、画像表示が行える様になる。
(5)また、基板間の電界方向を変えることにより、表示粒子の移動方向を切り換える。この移動方向の切換えにより画像表示を様々に変えることができる。
なお、上述した公知の方法による表示粒子の帯電方法としては、たとえば、キャリアに接触させて摩擦帯電により表示粒子を帯電させる方法、帯電極性の異なる2色の表示粒子を混合、撹拌して両者間の摩擦帯電により表示粒子を帯電させる方法等が挙げられるが、本発明では、キャリアを使用し、帯電した表示粒子を基板内に封入することが好ましい。
画像表示装置は電子写真現像方式によっても製造可能である。
基板間への電圧印加に伴う表示粒子の移動の例を図3と図4に示す。
図3(a)は、基板11と12の間に電圧を印加する前の状態を示しており、電圧印加前は視認側の基板11近傍には正帯電した白色粒子22が存在している。この状態は画像表示装置10が白色画像を表示しているものである。また、図3(b)は、電極15に電圧を印加した後の状態を示しており、基板11に正の電圧を印加することで負に帯電した黒色粒子21が視認側の基板11近傍に移動し、白色粒子22は基板12側に移動している。この状態は画像表示装置10が黒色画像を表示しているものである。
図4は、図2(b)に示した画像表示装置10に電極を有さないタイプのものを電圧印加装置30にセットし、この状態で電圧を印加する前の様子(図4(a))と電圧を印加した後の様子(図4(b))を示したものである。図2(b)に示すタイプの画像表示装置10も電極15を有する画像表示装置10と同様、基板11に正の電圧を印加することで負に帯電した黒色粒子21が視認側の基板11近傍に移動し、正に帯電した白色粒子22は基板12側に移動している。
次に、図2に示す画像表示装置10を構成する基板11、12、電極15、絶縁層16、および隔壁17について説明する。
先ず、画像表示装置10を構成する基板11と12について説明する。画像表示装置10では、観察者は基板11と12の少なくとも一方の側から表示粒子により形成される画像を視認するので、観察者が視認する側に設けられる基板は透明な材質のものが求められる。したがって、観察者が画像を視認する側に使用される基板は、たとえば可視光透過率が80%以上の光透過性の材料が好ましく、80%以上の可視光透過率を有することにより十分な視認性が得られる。なお、画像表示装置10を構成する基板のうち、画像を視認する側の反対側に設けられる基板の材質は必ずしも透明なものである必要はない。
基板11、12の厚さは、それぞれ2μm〜5mmが好ましく、さらに、5μm〜2mmがより好ましい。基板11、12の厚さが上記範囲のとき、画像表示装置10に十分な強度を付与するとともに基板の間隔を均一に保つことができる。また、基板の厚さを上記範囲とすることでコンパクトで軽量な画像表示装置を提供することができるので、広い分野での当該画像表示装置の使用を促進させる。さらに、画像を視認する側の基板の厚みを上記範囲とすることにより、表示画像の正確な視認が行え表示品質に支障を与えない。
可視光透過率が80%以上の材料としては、ガラスや石英等の可撓性を有さない無機材料や、後述する樹脂材料に代表される有機材料や金属シート等が挙げられる。このうち、有機材料や金属シートは画像表示装置にある程度の可撓性を付与することができる。可視光透過率を80%以上とすることが可能な樹脂材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等に代表されるポリエステル樹脂や、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体であるアクリル樹脂やポリエチレン樹脂等のビニル系の重合性単量体をラジカル重合して得られる透明樹脂も挙げられる。
電極15は基板11と12の面上に設けられ、電圧印加により基板間すなわち隙間18に電界を形成するものである。電極15は、前述の基板と同様に、観察者が画像を視認する側に透明なものを設ける必要がある。
画像を視認する側に設けられる電極の厚みは、導電性を確保するとともに光透過性に支障を来さないレベルにすることが求められ、具体的には3nm〜1μmが好ましく、5nm〜400nmがより好ましい。なお、画像を視認する側に設けられる電極の可視光透過率は、基板同様、80%以上とすることが好ましい。画像を視認する側の反対側に設けられる電極の厚みも上記範囲とすることが好ましいが、透明なものにする必要はない。
電極15の構成材料としては、金属材料や導電性金属酸化物、あるいは、導電性高分子材料等が挙げられる。具体的な金属材料としては、たとえば、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等が挙げられ、導電性金属酸化物の具体例としては、インジウム・スズ酸化物(ITO)、酸化インジウム、アンチモン・スズ酸化物(ATO)、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。さらに、導電性高分子材料としては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等が挙げられる。
電極15を基板11や12上に形成する方法としては、たとえば、薄膜上の電極を設ける場合には、スパッタリング法や真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法;Chemical Vapor Deposition)、塗布法等が挙げられる。また、導電性材料を溶媒やバインダ樹脂に混合させ、この混合物を基板に塗布して電極を形成する方法もある。
絶縁層16は電極15の表面に設けられ、絶縁層16表面で表示粒子21,22と接触する構成となっているが、必ずしも設けなければならないというわけではない。絶縁層16は表示粒子21、22を移動させる際に印加される電圧によって帯電量の変化を緩和する役割をもっている。また、疎水性の高い構造をもつ樹脂、凹凸を付与することによって、表示粒子との物理的な付着力を低減でき、駆動電圧を低減させる働きももっている。絶縁層16を構成する材料としては、電気絶縁性を有する薄膜化可能な材料であって、所望により透明性を有するものである。画像を視認する側に設けられる絶縁層は可視光透過率を、基板同様、80%以上とすることが好ましい。具体例として、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
絶縁層16の厚みは0.01μm以上10.0μm以下とすることが好ましい。すなわち、絶縁層16の厚みが上記範囲の時は、電極15間にそれほど大きな電圧を印加せずに表示粒子21,22が移動でき、たとえば、電気泳動法による画像形成で印加したレベルの電圧を付与して画像表示が行えるので好ましい。
隔壁17は、上下基板間の隙間18を確保するものであり、図5上段の右側および左側の図に示すように基板11,12の縁部だけでなく、必要に応じて内部にも形成できる。隔壁17の幅、特に画像表示面18a側の隔壁の厚みは、例えば図5上段の右側の図に示すように、表示画像の鮮明性を確保する上からできるだけ薄くした方がよい。
基板11,12の内部に形成される隔壁17は、図5上段の右側および左側の図中、表裏方向に連続的に形成されても、断続的に形成されてもよい。
隔壁17の形状および配置を制御することにより、隔壁17により仕切られた隙間18のセルを様々な形状で配置できる。隙間18を基板11の視認方向から見た時のセルの形状および配置の例を図5下段の図に示す。セルは、図5下段の図に示すように、四角形状、三角形状、ライン状、円形状、六角形状等にて、複数個で、ハニカム状や網目状に配置することができる。)
隔壁17は、たとえば以下に挙げる方法を用いて画像を視認する側の反対側の基板上を加工処理することにより形成できる。隔壁17を形成する方法としては、たとえば、樹脂材料等によるエンボス加工や熱プレス射出成形による凹凸形成、フォトリソグラフ法やスクリーン印刷等が挙げられる。
<実施例1>
[白色表示粒子の製造]
(白色母体粒子)
下記した樹脂及び酸化チタンをヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽根の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理して混合物とした。
スチレンアクリル樹脂(重量平均分子量20,000) 100重量部
アナタース型酸化チタン(平均一次粒径150nm) 30重量部
上記混合物を二軸押出混練機で混練し、次いで、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粉砕処理し、さらに、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行って、体積平均粒径が10.0μmの白色母体粒子を製造した。
次に、上記白色母体粒子100重量部に、正帯電性無機微粒子としてアミノシラン系カップリング剤(アミノプロピルトリメトキシシラン)処理を行った平均一次粒径が15nmのシリカ粒子(疎水化度77%)を0.7重量部と、負帯電性無機微粒子としてシラザン系カップリング剤(メキサメチルジシラザン)処理を行った平均一次粒径が15nmのシリカ粒子(疎水化度92%)を0.3重量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽根の周速を55m/秒に設定して30分間混合処理を行い、白色表示粒子を製造した。
その後、得られた表示粒子を熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製サーフュージングシステムSFS−3型)を用いて、入り口の熱風温度100℃、熱風流量1.0m、原料投入速度1.0kg/hで、熱風処理時間を0.03sとして瞬間的加熱処理を行った。
[黒色表示粒子の製造]
(黒色母体粒子)
下記した樹脂及びカーボンブラックをヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽根の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理して混合物とした。
スチレンアクリル樹脂(重量平均分子量20,000) 100重量部
カーボンブラック(平均一次粒径25nm) 10重量部
上記混合物を二軸押出混練機で混練し、次いで、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粗粉粉砕し、さらに、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行って、体積平均粒径が10.0μmの黒色母体粒子を製造した。
次に、上記黒色母体粒子100重量部に、正帯電性無機微粒子としてアミノシラン系カップリング剤(アミノプロピルトリメトキシシラン)処理を行った平均一次粒径が15nmのシリカ粒子(疎水化度77%)を0.3重量部と、負帯電性無機微粒子としてシラザン系カップリング剤(メキサメチルジシラザン)処理を行った平均一次粒径が15nmのシリカ粒子(疎水化度92%)を0.7重量部を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽根の周速を55m/秒に設定して30分間混合処理を行い、黒色表示粒子を製造した。
その後、得られた表示粒子を熱風球形化装置(日本ニューマチック工業製サーフュージングシステムSFS−3型)を用いて、入り口の熱風温度100℃、熱風流量1.0m、原料投入速度1.0kg/hで、熱風処理時間を0.03sとして瞬間的加熱処理を行った。
[白色表示粒子を帯電させるためのキャリアA]
平均粒子径80μmのフェライトコア100重量部に対して、フッ素化アクリレート樹脂粒子を2部加え、これら原料を水平回転翼型混合機に投入し、水平回転翼の周速が8m/秒となる条件で22℃で10分間混合攪拌した後、90℃に加熱し40分攪拌して、キャリアAを製造した。
[黒色表示粒子を帯電させるためのキャリアB]
平均粒子径80μmのフェライトコア100重量部に対して、シクロヘキシルメタクリレート樹脂粒子を2部加え、これら原料を水平回転翼型混合機に投入し、水平回転翼の周速が8m/秒となる条件で22℃で10分間混合攪拌した後、90℃に加熱し40分攪拌して、キャリアBを製造した。
[画像表示装置の製造]
画像表示装置は、図2(a)と同様の構造を有するように、電子写真現像方式に従って製造した。長さ80mm、幅50mm、厚さ0.7mmのガラス基板11を2枚用意し、各基板面上には、厚さ300nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)被膜(抵抗30Ω/□)からなる電極15を蒸着法により形成した。上記電極上に、ポリカーボネート樹脂12gを、テトラヒドロフラン80mlとシクロヘキサノン20mlの混合溶媒に溶解させてなる塗布液を、スピンコート法により塗布して厚さ3μmの絶縁層16を形成し、一対の電極付き基板を得た。
黒色表示粒子1gおよびキャリアB 9gを振とう機(YS−LD(株)ヤヨイ製)により30分間混合することにより、表示粒子を帯電させた。得られた混合物(21,210)を、図6(a)に示すように、導電性のステージ100上に置き、一方の電極付き基板を、ステージ100と約2mmの間隔を空けて設置した。電極15とステージ100との間に、DCバイアス+50V,ACバイアス2.0kV,周波数2.0kHzを10秒間印加して、絶縁層16上に黒色表示粒子21を付着させた。
白色表示粒子1gおよびキャリアA 9gを振とう機(YS−LD(株)ヤヨイ製)により30分間混合することにより、表示粒子を帯電させた。得られた混合物(22,220)を、図6(b)に示すように、導電性のステージ100上に置き、他方の電極付き基板を、ステージ100と約2mmの間隔を空けて設置した。電極15とステージ100との間に、DCバイアス−50V,ACバイアス2.0kV,周波数2.0kHzを10秒間印加して、絶縁層16上に白色表示粒子22を付着させた。
黒色表示粒子を付着させた電極付き基板と、白色表示粒子を付着させた電極付き基板とを、図6(c)に示すように、間隔50μmになるように隔壁で調整して重ね、基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着し、画像表示装置とした。なお、2種類の表示粒子のガラス基板間への体積占有率は50%であった。白色表示粒子と黒色表示粒子との含有割合は白色表示粒子/黒色表示粒子の個数比でほぼ1/1にしてある。
[評価1]
(被覆量・固定化率・被覆重量比)
画像表示装置から、前記した方法により、白色表示粒子および黒色表示粒子における正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の被覆量および被覆重量比、ならびに固定化率を求めた。
[評価2]
画像表示装置に対して+100Vと−100Vの直流電圧を交互に印加し、電圧印加により得られる表示画像の反射濃度を測定することにより、表示特性を評価した。白表示の状態でプラスの電圧を印加した時に、表示が白から黒に変化することが確認された。なお、画像表示装置の視認方向上流側の電極に印加する電圧を変化させ、他方の電極は電気的に接地させた。
評価は、表示特性としてコントラスト耐久性およびメモリー性を評価した。
(コントラスト耐久性)
+100Vと−100Vの交互の電圧印加を1万回繰り返した後のコントラストを測定した。
コントラストは、黒色濃度と白色濃度との差、すなわち、
コントラスト=黒色濃度−白色濃度
で定義される濃度差により評価した。
黒色濃度は、画像表示装置の視認方向上流側の電極に+100Vの電圧を印加した時に得られる表示面の反射濃度である。
白色濃度は、画像表示装置の視認方向上流側の電極に−100Vの電圧を印加した時に得られる表示面の反射濃度である。
濃度は、反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて、表示面上の5カ所をランダムに測定して、その平均値とした。
コントラストは、濃度差が1.20以上を最優良(◎)、0.95以上を優良(○)、0.70以上を合格(△)、0.70未満を不合格(×)とした。
(メモリー性)
メモリー性とは、電源を切っても表示状態を維持することである。メモリー性の評価は、3ヶ月間静置した画像の黒色濃度の値を用いて、(3ヶ月静置後の黒色濃度の値)/(静置前の黒色濃度の値)×100で算出した。算出した値が95以上を合格(○)とした。
<実施例2〜9、比較例1〜2>
被覆量および被覆重量比が所定の値になるように無機微粒子の添加量を調整したこと、および固定化率が所定の値になるように熱風処理時間を調整したこと以外、実施例1と同様の方法により、白色表示粒子および黒色表示粒子を製造した。なお、正帯電性および負帯電性の無機微粒子としては、所定の表面処理剤を用いて得られた所定の粒径および疎水化率を有する無機微粒子を用いた。
上記で得られた白色表示粒子および黒色表示粒子を用いたこと以外、実施例1と同様の方法により、画像表示装置を製造し、評価を行った。
Figure 0005228638
Figure 0005228638
Figure 0005228638
画像表示装置用表示粒子の一例を示す模式図である。 画像表示装置の断面構成の一例を示す概略図である。 基体間への電圧印加による表示粒子の移動の例を示す模式図である。 基体間への電圧印加による表示粒子の移動の例を示す模式図である。 画像表示面の形状例を示す模式図である。 表示粒子の封入方法の一例を示す模式図である。
符号の説明
1:母体粒子、2:正帯電性無機微粒子、3:負帯電性無機微粒子、4:樹脂、5:着色剤、10:画像表示装置、11:12:基板、15:電極、16:絶縁層、17:隔壁、18:隙間、18a:画像表示面、21:黒色表示粒子、22:白色表示粒子。

Claims (9)

  1. 少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示粒子を粉体形態で封入し、該基板間に電界を発生させることによって、該表示粒子を移動させて画像を表示する画像表示装置に用いられる表示粒子であって、
    表示粒子が正帯電性の表示粒子および負帯電性の表示粒子を含み、
    少なくとも一方の表示粒子が正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子で被覆されてなり、
    前記表示粒子が、母体粒子、正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の混合物を瞬間的加熱処理することにより得られたものであることを特徴とする表示粒子。
  2. 正帯電性の表示粒子が、少なくとも樹脂および着色剤を含有する母体粒子を正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子で被覆してなる請求項1に記載の表示粒子。
  3. 正帯電性の表示粒子における正帯電性無機微粒子と負帯電性無機微粒子との被覆重量比が95/5〜60/40である請求項2に記載の表示粒子。
  4. 正帯電性の表示粒子における正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の総被覆量が母体粒子100重量部に対して0.1〜100重量部である請求項2または3に記載の表示粒子。
  5. 負帯電性の表示粒子が、少なくとも樹脂および着色剤を含有する母体粒子を正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子で被覆してなる請求項1〜4のいずれかに記載の表示粒子。
  6. 負帯電性の表示粒子における正帯電性無機微粒子と負帯電性無機微粒子との被覆重量比が5/95〜40/60である請求項5に記載の表示粒子。
  7. 負帯電性の表示粒子における正帯電性無機微粒子および負帯電性無機微粒子の総被覆量が母体粒子100重量部に対して0.1〜100重量部である請求項5または6に記載の表示粒子。
  8. 正帯電性無機微粒子が疎水化処理剤によって正帯電性を付与された無機微粒子であり、
    負帯電性無機微粒子が疎水化処理剤によって負帯電性を付与された無機微粒子である請求項1〜7のいずれかに記載の表示粒子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の表示粒子を備えた画像表示装置。
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