JP2009151290A - 白色粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電させた粒子を基板間に封入し、電圧を印加して粒子を移動させることにより画像表示を行う画像表示装置に用いる白色粒子において、画像表示を行った時に高コントラストの画像が得られる隠蔽力が高く且つ帯電保持能に優れた白色粒子を提供。
【解決手段】少なくとも一方が透明である2枚の対向する基板間に粒子を封入し、この基板間に電界を発生させて該粒子を移動させることにより画像を表示する画像表示装置に用いる白色粒子であって、該白色粒子はコア粒子の表面に樹脂層を設けたもので、該コア粒子には屈折率2.0以上の無機酸化物をコア粒子の全質量の80〜99質量%含有しており、該樹脂層の厚さが10〜1000nmであることを特徴とする白色粒子。
【選択図】なし

Description

本発明は、帯電させた粒子を電界中で移動させることにより、画像を繰り返し表示し、消去できる様にした画像表示装置に用いる白色粒子に関する。
従来より、液晶表示装置(LCD)に代わる表示装置として、電気泳動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた画像表示装置が提案されてきた。これらの技術は、以下に示すメリットを有することから、携帯端末機器用表示素子や電子ペーパー等、次世代の画像表示装置への展開が注目されている。すなわち、液晶表示装置に比べて広い視野角が得られるので通常の印刷物に近い画質の画像が得られることや、電力消費量が少ないこと、及び、メモリ性と呼ばれる電源OFF後も引き続き画像表示を継続する性質を有するといったメリットがある。
このうち、電気泳動方式の画像表示技術は、着色溶液中に分散粒子を添加してなる分散液を対向する基板間に配置させ、基板間に数十ボルト程度の電圧を印加することにより、液相中を粒子が移動して画像表示を行うものである。電気泳動方式の画像表示技術は、分散液をマイクロカプセル化して、これを対向する基板間に配置する技術等が提案され、最も実用化の近い技術と目されて反面、画像表示環境の維持が困難な問題も抱えていた。
具体的には、着色溶液と分散粒子の比重差の問題が挙げられ、両者の比重差が大きくなると分散粒子が着色溶液中で沈降し易くなって、安定した画像表示が行えなくなる問題がある。例えば、比重の小さな着色溶液に酸化チタン等の比重の大きな分散粒子を用いると、分散粒子は着色溶液中で沈降してしまう。また、着色溶液は、保存性に難点があるとされる染料を用いて形成されることが多く、一定レベルの画像表示状態を維持することが困難な側面を有していた。
一方、溶液を使用せずに画像表示を行う技術も提案されている。例えば、帯電させた粒子を基板間に封入し、且つ、電圧を印加させて電界方向に沿って粒子を移動させることにより画像表示を行える様にした方式がある。この方式は、粒子の沈降や着色溶液の保存性という問題はないが、基板間に電圧を印加させて粒子を帯電させるとともに、電圧印加により形成された電界方向に沿って帯電粒子を移動させる必要があった。つまり、低い印加電圧の下でも粒子がスムーズに帯電、移動できる環境を基板間に形成させる技術が求められていた。そこで、低い印加電圧の下で粒子の帯電、移動が行える、いわゆる、駆動電圧の低減化技術が検討され、粒子と接触する基板面にフッ素樹脂をコーティングして駆動電圧の低減化を実現させようとする技術が検討された(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−248247号公報
しかしながら、上記の技術では白色粒子の隠蔽力に問題が有り、高コントラストの画像を得ることは難しかった。
本発明は、帯電させた粒子を基板間に封入し、電圧を印加して粒子を移動させることにより画像表示を行う画像表示装置に用いる白色粒子において、画像表示を行った時に高コントラストの画像が得られる隠蔽力が高く、且つ、帯電保持能に優れた白色粒子を提供することを目的とする。
本発明の白色粒子は基板間で粒子を移動させて表示切換を行う粉体ディスプレイ用の粒子として好ましく用いられるが、この用途に限定されるものではない。
本願発明は、下記構成を採ることにより達成される。
1.少なくとも一方が透明である2枚の対向する基板間に粒子を封入し、この基板間に電界を発生させて該粒子を移動させることにより画像を表示する画像表示装置に用いる白色粒子であって、
該白色粒子はコア粒子の表面に樹脂層を設けたもので、
該コア粒子には屈折率2.0以上の無機酸化物をコア粒子の全質量の80〜99質量%含有しており、
該樹脂層の厚さが10〜1000nmであることを特徴とする白色粒子。
本発明によれば、帯電させた粒子を基板間に封入し、電圧を印加して粒子を移動させることにより画像表示を行う画像表示装置に用いる白色粒子において、画像表示を行った時に高コントラストの画像が得られる隠蔽力が高く且つ帯電保持能に優れた白色粒子の提供を可能にした。
本発明は、帯電粒子を基板間に封入し、電圧を印加して粒子を移動させることにより画像表示を行う画像表示装置に用いる白色粒子に関する発明で、特に、画像表示を行った時に高コントラストの画像が安定して得られる白色粒子に関するものである。
画像表示を行った時に高コントラストの画像が安定して得るには、白色粒子と黒色粒子が共に隠蔽力が高く、且つ帯電保持能に優れた白色粒子と黒色粒子を用いることが必要となる。
しかしながら、黒色粒子は隠蔽力が高く且つ帯電保持能に優れたものを容易に得ることができるが、白色粒子では隠蔽力が高く且つ帯電保持能に優れたものを未だ得られていないのが現状である。
本発明者は、隠蔽力が高く且つ帯電保持能(以下、帯電保持率ともいう)に優れた白色粒子について検討を行った。
種々検討の結果、屈折率が高い無機酸化物を多量に含有するコア粒子の表面に薄膜の樹脂層を設けると、隠蔽力が高く且つ帯電保持能に優れた白色粒子が得られ、この白色粒子を前記画像形成装置に用いて画像形成すると高コントラストの画像が得られることを見出した。充分な隠蔽力を持たせるには、屈折率が2.0以上の無機酸化物を80質量%以上含有する必要があるが、99質量%を超えると粒子を形成することができない。また、帯電保持能を満足させるには、コア粒子の表面に10〜1000nmの樹脂層を設ける必要があるが、樹脂層が10nmより小さいと帯電保持能が不十分であり、逆に1000nmを超えると製造時に凝集が発生する。したがって、屈折率が2.0以上の無機酸化物を80〜99質量%含有することで充分な白色度を確保し、コア粒子の表面に10〜1000nmの樹脂層を設けることで、隠蔽力を持たせつつ帯電保持能を有し、且つ粒子の凝集も防止できることを見出した。
以下、本発明について詳細に説明する。尚、本発明に係る画像表示装置は、通常、表示素子とも呼ばれるものである。
本発明の白色粒子はコア粒子と樹脂層から構成されており、該コア粒子には屈折率が2.0以上、好ましくは2.1〜4.0、より好ましくは2.4〜2.8の無機酸化物をコア粒子の全質量の80〜99質量%、好ましくは85〜90質量%含有しており、樹脂層の厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜50nmである。
白色粒子の体積基準におけるメディアン径(D50)は、1〜40μmが好ましく、4〜20μmがより好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。
白色粒子の体積基準におけるメディアン径(D50)を上記範囲とすることにより、基板間に封入し電圧を印加したとき、白色粒子を良好に移動させることができ好ましい。
尚、粒子の体積基準におけるメディアン径(D50)は、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、粒子0.02gを界面活性剤溶液20ml(粒子を分散させるためのもので、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、粒子分散液を作製する。この粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。尚、「マルチサイザー3」のアパチャー径は50μmのものを使用する。
樹脂層の膜厚は、白色粒子の断面を透過型電子顕微鏡「JEM−2000FX」(日本電子社製)により撮影した写真より計測する。
具体的には、先ず白色粒子を常温硬化型のエポキシ樹脂中に十分分散指せた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粒子に分散させた後加圧成形する。必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、または、四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、白色粒子1個の断面が視野に入る倍率(約10000倍)にて写真撮影する。
次に、撮影された写真を用いて、目視判定により、コア粒子と樹脂層との界面となる境界線を明らかにする。その後、白色粒子の重心から45°間隔で白色粒子表面に向かって直線を引き、各直線がコア粒子表面と接する点をA、樹脂層表面と接する点をBとし、AB間の距離を8点測定し、その最大値をその白色粒子における樹脂層の膜厚とする。本発明の白色粒子表面の樹脂層の膜厚とは、前記の測定で、無差別に100個の白色粒子の樹脂層の膜厚を求め、それらを算術平均した値である。
屈折率が2.0以上の無機酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等が挙げられ、その中でも酸化チタンが好ましい。
本発明でいう屈折率とは、真空の屈折率を1.0とした絶対屈折率である。
本発明では、無機酸化物の屈折率は、液浸法により測定して得られた値である。即ち、異なる屈折率(トルエン、1−ブロモナフタレン、1−クロロナフタレン、ジヨードメタン、硫黄入りジヨードメタン)を配合することにより任意の屈折率の混合溶媒を作り、その中に無機酸化物を分散させて25℃において最も透明な無機酸化物分散液の屈折率を粒子屈折率とする。溶媒の屈折率は「屈折計4型」((株)アタゴ社製)を用いて25℃で測定する。
無機酸化物を80〜99質量%と多量に含有するコア粒子の作製方法としては特に限定されず、例えば、無機酸化物の微粒子を重合性単量体中に分散させ、造粒後重合して作製する方法、無機酸化物の微粒子を樹脂溶液中に分散した後スプレードライして作製する方法、無機酸化物と樹脂を溶融混練後粉砕して作製する方法等を挙げることができるが、無機酸化物を多量に含有するコア粒子を作製するには重合性単量体を用いる方法が好ましい。
無機酸化物を結着させてコア粒子を形成するのに用いる樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等に代表されるポリエステル樹脂や、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、フェノールをホルマリンで硬化して得られる樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体であるアクリル樹脂やポリエチレン樹脂等のビニル系の重合性単量体をラジカル重合して得られる透明樹脂も挙げられる。
コア粒子の表面に設ける樹脂層の樹脂は、コア粒子と接着性が良好で、且つ帯電保持率を満足できるものなら特に限定されず、アクリル系樹脂、溶剤可溶性ポリエステル等を挙げることができる。
樹脂層をコア粒子の表面に設ける方法としては特に限定されず、具体的には溶剤に溶解した樹脂溶液をコア粒子の表面にスプレーして作製する方法を挙げることができる。
白色粒子の形状は、球形或いは球形に近い形状が好ましい。
本発明に係る画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基体を対向させ、対向させた2枚の基体の間に白色粒子と黒色粒子を封入したものである。
次に、本発明に係る画像表示装置の具体的な実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る画像表示装置の断面構成の一例を示す概略図である。
図1(a)は、基体11、12上に層構造の電極15を設け、電極15表面に絶縁層16を設けたものである。また、図1(b)に示す画像表示装置は、装置内に電極を設けていない構造のもので、装置外部に設けられた電極を介して電界を付与させ、粒子の移動を行える様にしたものである。尚、図1の画像表示装置1は、図に示す様に、基体11側より画像を視認するものとするが、本発明では基体11側より画像を視認するものに限定されるものではない。また、図1(b)に示すタイプは、装置自体に電極15が設けられていない分、装置の構造を簡略化させ、その製造工程を短縮化することができるメリットがある。図1(b)に示すタイプの画像表示装置1を電圧印加可能な装置にセットして電圧印加を行う様子を示すものを図3に示す。尚、本発明に係る画像表示装置の断面構成は図1(a)と(b)に示すものに限定されるものではない。
図1(a)の画像表示装置1の最外部には、当該画像表示装置を構成する筐体である2つの基体11と12が対向して配置されている。基体11と12は双方が向き合う側の面上に電圧印加を行うための電極15が設けられ、さらに、電極15上にシリコーン構造を有する物質を含有する絶縁層16が設けられている。
基体11と12には、電極15と絶縁層16が設けられているが、電極15と絶縁層16を有する側の面を対向させて形成される隙間18には粒子が存在する。尚、図1に示す画像表示装置1は、粒子として黒色粒子21と白色粒子22の2種類の粒子を隙間18に存在させている。また、図1の画像表示装置1では、隙間18が基体11と12及び2つの隔壁17により四方を囲んだ構造となっており、粒子は隙間18に封入された状態で存在している。
隙間18の厚さは、封入した粒子が移動可能で画像のコントラストを維持できる範囲であれば、特に限定されるものではなく、通常は10〜500μm、好ましくは10〜200μmである。また、隙間18内における粒子の体積占有率は、5%乃至70%であり、好ましくは10%〜60%である。粒子の体積占有率を上記範囲にすることにより、隙間18内で粒子がスムーズに移動でき、また、コントラストのよい画像が得られる。
次に、画像表示装置1の隙間18での粒子の挙動について説明する。
本発明に係る画像表示装置は、対向させた2枚の基体の間に粒子を存在させ、対向する2枚の基体面の少なくとも一方にシリコーン構造を有する物質を含有させているものであるが、2枚の基体の間に存在させた粒子により画像表示を行うものである。すなわち、画像表示装置を構成する少なくとも一方の基体面にシリコーン構造を有する物質を含有させ、2枚の基体間に電圧を印加して電界が形成されると、基体間に存在する粒子は帯電し、粒子は電界方向に沿って移動する様になる。この様に、粒子が存在する基体間に電圧を印加することにより、帯電した粒子が基体間を移動して画像表示を行うものである。
本発明に係る画像表示装置における画像表示は以下の手順により行われるものである。(1)表示媒体として用いる粒子を、キャリアによる摩擦帯電等の公知の方法により帯電させ、帯電粒子にする。
(2)対向する2枚の基体間に帯電粒子を封入し、この状態で基体間に電圧を印加する。(3)基体間への電圧印加により、基体間に電界が形成される。
(4)帯電粒子は、クーロン力の作用により電界方向に沿って基体表面に引き寄せられることにより帯電粒子が移動し、画像表示が行える様になる。
(5)また、基体間の電界方向を変えることにより、帯電粒子の移動方向を切換える。この移動方向の切換えにより画像表示を様々に変えることができる。
尚、上述した公知の方法による粒子の帯電方法としては、例えば、キャリアに粒子を接触させて摩擦帯電により粒子を帯電させる方法、帯電性の異なる2色の粒子を混合して振とう器で撹拌して粒子間の摩擦帯電により粒子を帯電させる方法等が挙げられる。
図2は、基体間への電圧印加による粒子の移動の例を示す模式図である。
図3は、基体間への電圧印加による粒子の移動の例を示す模式図である。
図2(a)は、基体11と12の間に電圧を印加する前の状態を示しており、電圧印加前は視認側の基体11近傍には正に帯電した白色粒子22が存在している。この状態は画像表示装置1が白色画像を表示しているものである。また、図2(b)は、電極15に電圧を印加した後の状態を示しており、電圧印加により負に帯電した黒色粒子21が視認側の基体11近傍に移動し、白色粒子22は基体12側に移動している。この状態は画像表示装置1が黒色画像を表示しているものである。
尚、図3は、図1(b)に示した画像形成装置1に電極を有さないタイプのものを電圧印加装置30にセットし、この状態で電圧を印加する前の様子(図3(a))と電圧を印加した後の様子を示したものである。図1(b)に示すタイプの画像形成装置1も電極15を有する画像形成装置1と同様、電圧印加により負に帯電した黒色粒子21が視認側の基体11近傍に移動し、正に帯電した白色粒子22は基体12側に移動している。
次に、図1に示す画像表示装置1を構成する基体11、12、電極15、絶縁層16、隔壁17,及び、粒子(黒色粒子21、白色粒子22)について説明する。
先ず、画像表示装置1を構成する基体11と12について説明する。画像表示装置1では、観察者は基体11と12の少なくとも一方の側から粒子により形成される画像を視認するので、観察者が視認する側に設けられる基体は透明な材質のものが求められる。したがって、観察者が画像を視認する側に使用される基体は、例えば可視光透過率が80%以上の光透過性の材料が好ましく、80%以上の可視光透過率を有することにより十分な視認性が得られる。尚、画像表示装置1を構成する基体のうち、画像を視認する側の反対側に設けられる基体の材質は必ずしも透明なものである必要はない。
基体11、12の厚さは、それぞれ2μm〜5mmが好ましく、さらに、5μm〜2mmがより好ましい。基体11、12の厚さが上記範囲の時、画像表示装置1に十分な強度を付与するとともに基板の間隔を均一に保つことができる。また、基体の厚さを上記範囲とすることで、コンパクトで軽量な画像表示装置を提供することができるので、広い分野での当該画像表示装置の使用を促進させる。さらに、画像を視認する側の基体の厚みを上記範囲とすることにより、表示画像の正確な視認が行え、表示品質に支障を与えない。
次に、画像形成装置1を構成する電極15について説明する。基体11と12の面上に設けられる電極15は、電圧印加により基板間すなわち隙間18に電界を形成するものである。電極15は、前述の基体と同様に、観察者が画像を視認する側に透明なものを設ける必要がある。
画像を視認する側に設けられる電極の厚みは、導電性を確保するとともに光透過性に支障を来さないレベルにすることが求められ、具体的には3nm〜1μmが好ましく、5nm〜400nmがより好ましい。尚、画像を視認する側に設けられる電極の可視光透過率は、基体同様、80%以上とすることが好ましい。
尚、画像を視認する側の反対側に設けられる電極の厚みも上記範囲とすることが好ましいが、透明なものにする必要はない。
電極15の構成材料としては、金属材料や導電性金属酸化物、或いは、導電性高分子材料等が挙げられる。具体的な金属材料としては、例えば、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等が挙げられ、導電性金属酸化物の具体例としては、インジウム・スズ酸化物(ITO)、酸化インジウム、アンチモン・スズ酸化物(ATO)、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。さらに、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等が挙げられる。
電極15を基体11や12上に形成する方法としては、例えば、薄膜上の電極を設ける場合には、スパッタリング法や真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法;Chemical Vapor Deposition)、塗布法等が挙げられる。また、導電性材料を溶媒やバインダ樹脂に混合させ、この混合物を基体に塗布して電極を形成する方法もある。
本発明に係る画像表示装置1は、電極15の表面にはシリコーン構造を有する物質を含有する絶縁層16が設けられており、絶縁層16表面で黒色粒子21と白色粒子22が接触する構成となっている。
また、絶縁層16の厚みを0.01〜10.0μm以下とすることが好ましい。すなわち、絶縁層16の厚みが上記範囲の時は、電極15間にそれほど大きな電圧を印加せずに粒子13と14を移動でき、例えば、電気泳動法による画像形成で印加したレベルの電圧を付与して画像形成が行えるので好ましい。
尚、白色粒子22と黒色粒子21の2種類の粒子で画像表示を行う時には、公知の方法で白色粒子22と黒色粒子21の帯電性に差を持たせることにより、2種類の粒子の移動性を制御することができる。公知の方法の具体例としては、キャリアとの帯電序列を変える様に粒子の設計を行ったり、粒子表面に添加する外添剤とキャリアとの帯電序列を変える様に外添剤を選択したりする等の方法がある。
次に、基体11と12の隙間18に含有する白色粒子と黒色粒子の構成材料について説明する。画像表示装置1に使用される白色粒子は本発明の白色粒子であり、黒色粒子は下記で得られた黒色粒子で、摩擦力等の作用で帯電性を発現することが求められる。白色粒子と黒色粒子は、粒子表面に酸化チタンやシリカ、炭酸カルシウム等の無機化合物粒子を外部添加して用いることも可能である。
黒色粒子の粒径は、体積基準におけるメディアン径(D50)で3〜15μmのものが好ましく、黒色粒子の粒径を上記範囲とすることにより、均一でムラのない鮮明な画像が得られる。
尚、体積基準におけるメディアン径(D50)は、白色粒子と同じ方法で測定することができる。
黒色粒子の作製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、電子写真方式の画像形成に使用されるトナーの製造方法等、樹脂と着色剤を含有する粒子を作製する公知の方法を応用することにより対応が可能である。黒色粒子の具体的な作製方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
(1)樹脂と着色剤とを混練した後、粉砕、分級の各工程を経て粒子を作製する方法
(2)水系媒体中で重合性単量体と着色剤を機械的に撹拌して液滴を形成した後、重合を行って粒子を作製する、いわゆる懸濁重合法によるもの
(3)界面活性剤を含有させた水系媒体中に重合性単量体を滴下し、ミセル中で重合反応を行って100〜150nmの重合体粒子を作製した後、着色剤粒子と凝集剤を添加してこれらの粒子を会合させて粒子を作製する、いわゆる乳化会合法によるもの。
尚、黒色粒子に含有される着色剤は、特に限定されるものではなく、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が挙げられ、その中でもカーボンブラックが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
《白色粒子の作製》
〈白色粒子1の作製〉
(コア粒子1の作製)
四つ口フラスコに、フェノール42質量部、37%ホルマリン64質量部、アナターゼ型酸化チタン(TA−200:富士チタン工業社製)267質量部、フッ化カルシウム1.0質量部、28%アンモニア水13質量部、水40質量部を撹拌、混合し、造粒を行った。その後、17℃/分の昇温速度で85℃まで昇温し、その温度を保持した状態で180分間反応・硬化させて、15μmの球状の粒子を作製した。
その後、30℃まで冷却し、500質量部の水を添加した後、上澄み液を除去し、水洗浄後風乾した。その後、減圧下で乾燥して「コア粒子1」を得た。
(樹脂層の作製)
アクリル樹脂(S−3103:東亞合成化学社製)5質量部をトルエン100質量部に溶解した「樹脂溶液1」を準備した。
スプレーコート装置を用いて、樹脂溶液1をスプレーし、コア粒子1の表面に膜厚20nmの樹脂被覆を施し、その後、40℃で2時間乾燥して白色粒子を得た。尚、樹脂被覆の膜厚は、透過型電子顕微鏡で測定した値である。測定方法は、粒子の断面層を透過型電子顕微鏡(JEM−2000FX(日本電子製))により撮影した写真で求められ、無造作に選んだ粒子100個の最大膜厚の平均値である。
得られた白色粒子にアミノシランカップリング剤処理を施したシリカ微粒子(数平均一次粒径50nm)0.6質量部を添加し、バイブリダイザー(奈良機械(株)製)を用い、その回転数を15,000rpmに設定し、10分間の処理を行った。引き続き、アミノシランカップリング剤処理を行った数平均一次粒径が15nmのシリカ粒子を1.0質量部添加して、同様の処理を行うことにより「白色粒子1」を作製した。
〈白色粒子2の作製〉
コア粒子1の作製で用いたアナターゼ型酸化チタンを、酸化亜鉛に変更した以外は同様にして「白色粒子2」を作製した。
〈白色粒子3の作製〉
コア粒子1の作製で用いたアナターゼ型酸化チタンを、酸化マグネシウムに変更した以外は同様にして「白色粒子3」を作製した。
〈白色粒子4〜6の作製〉
コア粒子1の作製で用いたアナターゼ型酸化チタンの質量部を、表1のように変更した以外は同様にして「白色粒子4〜6」を作製した。
〈白色粒子7〜10の作製〉
コア粒子1の作製で設けた樹脂層の膜厚を、表1のように変更した以外は同様にして「白色粒子7〜10」を作製した。
表1に、白色粒子を作製するのに用いた無機酸化物、含有量、樹脂の膜厚等について記載する。
〈白色粒子11の作製〉
コア粒子1の作製で設けた樹脂層を設けなかった以外は同様にして「白色粒子11」を作製した。
〈白色粒子12の作製〉
コア粒子1の作製の酸化チタンの含有量を90質量%から99.2質量%に変更し「白色粒子12」の作製を試みた。しかしながら粒子を作製することができなかった。
表1に、白色粒子を作製するのに用いた無機酸化物、含有量、樹脂の膜厚等について記載する。
Figure 2009151290
《黒色粒子の作製》
「黒色粒子1」の作製
下記樹脂及びカーボンブラックをヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽根の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理して混合物とした。
スチレンアクリル樹脂(重量平均分子量20,000) 100質量部
カーボンブラック(数平均一次粒径25nm) 10質量部
上記混合物を二軸押出混練機で混練し、次いで、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粗粉粉砕し、さらに、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行って、体積基準メディアン径が8.0μmの黒色粒子を作製した。
次に、上記黒色粒子にジクロロシランカップリング剤処理を施したシリカ微粒子(数平均一次粒径50nm)0.6質量部を添加し、バイブリダイザー(奈良機械(株)製)を用い、その回転数を15,000rpmに設定し、10分間の処理を行った。引き続き、ジクロロシランカップリング剤処理を行った数平均一次粒径が15nmのシリカ粒子を1.0質量部添加して、同様の処理を行うことにより「黒色粒子1」を作製した。
《摩擦帯電させた粒子の準備》
上記で作製した「白色粒子1」50質量%と「黒色粒子1」50質量%を、振とう器で30分間撹拌して、「白色粒子1」と「黒色粒子1」を予め摩擦帯電させ、白色粒子は正帯電させ、黒色粒子は負帯電させた「摩擦帯電させた粒子」を準備した。
《画像表示装置の準備》
ポリカーボネート樹脂とジメチルシリコーン樹脂よりなる絶縁層を有する2枚のガラス基体を、絶縁層が対向する様に配置させ、ガラス基体の両端には隔壁として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート板を挟んで隙間を形成し、図1の(a)の断面構成を有する「画像表示装置」を準備した。
この隙間に上記で準備した「摩擦帯電させた粒子」を白色粒子の占有体積が15体積%、黒色粒子の占有体積が15体積%となる様に「摩擦帯電させた粒子」を充填して「画像表示装置」を準備した。
《評価》
画像表示装置に対して以下の手順で直流電圧を印加し、電圧印加により得られる画像表示装置の反射濃度を測定することにより、表示特性を評価した。尚、電圧印加は、以下の手順で行い、印加電圧を0Vからプラス側に変化させた後、続いてマイナス側に変化させ、再び0Vに戻る経路のヒステリシス曲線を描く様に電圧を印加した。すなわち、
(1)0Vから+100Vまで20V間隔で電圧変化させながら印加を行う
(2)+100Vから−100Vまで20V間隔で電圧を変化させながら印加を行う
(3)−100Vより0Vまで20V間隔で電圧を変化させながら印加を行う。
尚、「画像表示装置」は画像表示装置に設けられた2つのインジウム・スズ酸化物(ITO)被膜の電極を用いて直流電圧を印加した。
上記手順で各画像表示装置に直流電圧を印加したところ、白表示の状態でプラスの電圧を印加した時に、表示が白から黒に変化することが確認された。
評価は、表示特性として黒色濃度、白色濃度、コントラストを評価し、さらに、帯電保持能(率)の評価を行った。
(黒色濃度)
黒色濃度は、画像表示装置の視認方向電極に+100Vの電圧を印加した時に得られる表示面の反射濃度である。
(白色濃度)
白色濃度は、−100Vの電圧印加を行った時に得られる表示面の反射濃度である。
(コントラスト)
コントラストは、黒色濃度と白色濃度の差、すなわち、
コントラスト=黒色濃度−白色濃度で定義するものである。
前述の各濃度は、反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて、表示面上の5カ所をランダムに測定して、その平均値とした。
白色濃度は0.45以下、黒色濃度は1.35以上、コントラストは0.9以上を合格とした。
(帯電保持能(率))
帯電保持率は下記式から求めた。
上記で作製した白色粒子4質量部と、2成分現像方式の電子写真プロセスに用いられるフッ化アクリレート樹脂コートキャリア100質量部とを常温常湿(20℃、50%RH)の環境で30時間、振盪装置を用いて振盪した。
振盪後、白色粒子の帯電量をブローオフ粉体帯電量測定装置「TB−200:東芝ケミカル社製」を用いて測定した。得られた帯電量を「帯電直後の帯電量」とする。
その後、40℃、80%RHの環境に48時間放置した後、振盪せずに白色粒子の帯電量を測定した。得られた帯電量を「放置後の帯電量」とする。
帯電保持率は下記式から求める。
帯電保持率=(放置後の帯電量/帯電直後の帯電量)×100
尚、帯電保持率は60%以上を合格とする。
表2に、評価結果を示す。
Figure 2009151290
表2に示す様に、本発明に該当する実施例1〜6の「白色粒子1、2、4、5、7、8」を用いて形成した画像は、表示特性が黒色濃度1.35以上、白色濃度0.45以下、コントラスト0.9以上の値を有し、帯電保持能も60%以上で本発明で規定する合格値をクリアする結果になった。
一方、本発明外に該当する比較例1〜4の「白色粒子3、6、9、10」を用いて形成した画像は、表示特性のいずれかに規定を満たさなかった。
本発明に係る画像表示装置の断面構成の一例を示す概略図である。 基体間への電圧印加による粒子の移動の例を示す模式図である。 基体間への電圧印加による粒子の移動の例を示す模式図である。
符号の説明
1 画像表示装置
11、12 基体
15 電極
16 絶縁層
17 隔壁
18 隙間
18a 画像表示面
2 粒子
21 黒色粒子
22 白色粒子

Claims (1)

  1. 少なくとも一方が透明である2枚の対向する基板間に粒子を封入し、この基板間に電界を発生させて該粒子を移動させることにより画像を表示する画像表示装置に用いる白色粒子であって、
    該白色粒子はコア粒子の表面に樹脂層を設けたもので、
    該コア粒子には屈折率2.0以上の無機酸化物をコア粒子の全質量の80〜99質量%含有しており、
    該樹脂層の厚さが10〜1000nmであることを特徴とする白色粒子。
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