JP5220887B2 - 耐火煉瓦へのアンカー取り付け方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、アンカーボルトの例が示されている。また、特許文献2には別の形態のアンカーボルトが例示されている。さらに、特許文献3には煉瓦を吊り下げて施工する例が示されている。
また、耐火煉瓦用の吊り下げ用内部コーン打ち込み式のアンカーは、図1に示すようなスリット2Aの入った円筒型の金属製部品が用いられ、アンカー1は外筒2と内部コーン3の2つの部品から構成されている。
前記内部コーン3は先端径3aの小さい円錐大の形状で構成され、外筒2の内部は先端に行くに従って内径が小さくなるような打ち込み穴4が施工されている。前記外筒2内に設置された内部コーン3を打ち込むことで内部コーン3が先端に移動し、外筒2が内側から押し広げられて外径が大きくなる構造である。
さらに、耐火物を施工する際、アンカー1が外に飛び出ると障害があるのでアンカー1は耐火物の表面からでないように施工することが一般的である。
すなわち、特許文献1、特許文献2及び図1に示されるアンカーの場合、これらのアンカーはもともとコンクリート用に設計されたものであり、コンクリートに比べて強度の弱い耐火煉瓦にそのまま使用できるかどうか疑問が残っていた。具体的には、コンクリート用のアンカーは力学的には無限平板と仮定できるような大型の構造物、例えば、建物の柱や壁、橋梁、ダムなどにアンカーを取り付けることを前提としている。しかし、例えば転炉用のMgO−C煉瓦へアンカーを取り付ける場合、煉瓦の大きさは約150×80/100×1260mmの大きさの煉瓦の約150×80mmの面にアンカーを取り付ける。アンカーの基準通りに内部コーンを打ち込んだ際、煉瓦回収部に亀裂が入ったりすることがしばしば発生した。これは、アンカーコーンを打ち込んだ際、アンカー先端が広がり、アンカー取り付け穴周辺の耐火物には圧縮応力が働くのに対し、アンカーから少し離れた位置では周方向に引張り応力が働くために起こる。無限平板であれば影響が少ないが、取り付け部の大きさが小さい場合は、煉瓦側面で引張り応力となり、亀裂が発生するものと推定される。
このように、取り付け部面積が小さい耐火煉瓦への施工時にアンカーを設置する穴の穴径やアンカーコーンの打ち込み量に関しては、安全性を確保できる明確な基準が得られていなかった。
さらに、打ち込み量が不足する、あるいは基準以上に大きくなるなどの人的要因による取り付け不良の可能性もあり、より明確な指標作成が求められていた。
また、特許文献3のように、ブロック煉瓦吊り具を用いる方法の場合には、一度に多数のブロック煉瓦を吊り上げて運搬することはできるが、一個ずつ単体として所定の場所又は位置へ運搬するのには適当ではなかった。
すなわち、耐火煉瓦の取り付け穴へ内部コーン打ち込み式のアンカーを打ち込むようにした耐火煉瓦へのアンカー取り付け方法において、
前記耐火煉瓦の曲げ強度をσ〔MPa〕とし、前記アンカーのアンカー外径を(A)、前記アンカーの装入用の前記耐火煉瓦の取り付け穴の穴径を(B)、前記内部コーンを打ち込んだ際の前記アンカーの先端部の先端部直径を(C)、及び、前記内部コーンの打ち込み量を(D)としたとき、〔0.05≦(C−B)/A≦σ/80・・・・(1)式〕を満足させるように前記打ち込み量(D)を調整して前記先端部直径(C)を決めるようにしたことにより、耐火煉瓦へのアンカーの打ち込みを数値で管理することができ、アンカー取り付け時の不具合による煉瓦落下トラブルおよびそれに伴う事故等を予防し、作業の安全性を向上させることができる。
また、前記内部コーンが前記アンカーの先端部から露出しない打ち込み量(D)の最大値を最大打ち込み量(E)としたとき、前記内部コーンの打ち込み量(D)を〔0.75×E≦D≦1.1×E・・・・(2)式〕とすることにより、打ち込み量の定量管理を行うことができる。
また、前記アンカーを取り付けるための取り付け部煉瓦の幅を煉瓦幅(F)としたとき、前記アンカー外径(A)と前記煉瓦幅(F)との関係を〔A≦F/7〕とすることにより、耐火煉瓦へのアンカーの打ち込みをより安全に行うことができる。
図1は、従来構成用の説明にも援用した本発明による耐火煉瓦へのアンカー取り付け方法に用いるアンカー1を示しており、このアンカー1の打ち込み穴4内には、先端径3aを有するコーン形状の内部コーン3が内設されている。
前記アンカー1には、この打ち込み穴4に連通するスリット2Aが設けられており、この打ち込み穴4内に内部コーン3を打ち込んだ場合に、アンカー1の先端部2aが互いに外側へ向けて拡開するように構成されている。
まず、アンカー1の打ち込みをする前に、準備として、アンカー1の最大使用荷重と吊り下げられる耐火煉瓦10の荷重からアンカー1を選定する。
このアンカー1の最大使用荷重Gはメーカーにより規定されているため、アンカー1を取り付ける耐火煉瓦10の重量は最大使用荷重G以下である必要がある。しかし、耐火煉瓦10を吊り下げて運搬するという性質上、運搬時の振動・衝撃などにより、アンカー1に対して実際にかかる荷重の大きさは、瞬間的に耐火煉瓦10の重量の数倍に及ぶことが予想される。このため、アンカー1の取り付け状態は(短時間であれども)最大使用荷重Gの数倍の荷重に対しても保持が可能となる状態が望ましい。この発明における安全範囲は「2.0×G」以上の荷重を短時間保持できることとする。安全性や確実性の観点からは、「4.0×G」以上の荷重を保持できることが望ましい。
前記アンカー1の取り付け用の打ち込み穴4の開け方は特には限定されるものではなく、例えば、柔らかく強度の低い耐火物に対しては通常のドリルが使用できる。また、硬く強度の大きい材料ではダイヤモンドピットなどを使用できる。また、プレキャストブロックの場合、成形時に取り付け用の取り付け穴11を予め形成しておいても良い。
また、実験の結果によると、前述の1.2倍より大きいと、十分な取り付け強度が得られないことが明らかとなり、より好ましくは、1.02から1.15の範囲が最も好適であることが判明した。
前記内部コーン3を打ち込むことで、アンカー1の先端部2aの先端部直径Cは大きくなる。この先端部直径Cは前述の打ち込み量Dの関数となり、打ち込み量Dが大きくなるに従って前記先端部直径Cは大きくなる。このため、予め先端部直径Cと打ち込み量Dとの関係を調べておくことができる。
一方、前記打ち込み量Dが大きくなりすぎて、(C−B)/Aがσ/80より大きくなると、内部コーンを打ち込んだ際、耐火煉瓦10に亀裂が入ったり、あるいは亀裂が入っても外観からは発見されず、耐火煉瓦10を吊り上げた際に破壊して耐火煉瓦10が落下したりするなどの問題が起こる可能性があり、より好ましくは(C−B)/Aがσ/100以下であることが好適である。
また、前記打ち込み量の上限と下限とから、好ましい(C−B)/Aの範囲は、
0.05≦(C−B)/A≦σ/80
となる。
前記打ち込み量Dは最大打ち込み量Eの0.75倍より大きく、1.1倍より小さいことが望ましい。すなわち、0.75倍より小さいと、取り付け強度が十分に得られない。
また、1.1倍より大きくなると、この場合も取り付け強度が低下することになり、原因は定かではないが、内部コーン3がアンカー1のアンカー底部1Bから飛び出し、予め開けた取り付け穴11の底部11Aを叩き、一部の組織を破壊するために強度低下が起こる可能性がある。
従って、より好ましくは、0.8倍から1.05倍までの範囲であることが明らかとなった。
さらに、前記耐火煉瓦10の取り付け部煉瓦10aの幅をFとしたとき、アンカー外径AはF/7以下とすることが好ましい。アンカー外径AがF/7を超えた場合、アンカー打ち込み時に、アンカー1を打ち込まれた耐火煉瓦10は強度を保てず、耐火煉瓦10を損傷させてしまう可能性があり好ましくない。また、アンカー外径AがF/7以下であれば、内部コーン3の打ち込みによる耐火煉瓦10の側面での引張り応力を小さくすることができ、より好ましくはF/8以下である。
MgO−C耐火煉瓦で長さ1260mm、重量66kg、この耐火煉瓦10には迫りがあり、炉内側端面の大きさは110mm×72mm
サンコーテクノ社製内部コーン打ち込み式アンカーCT−830
取り付け穴11の穴径B:10.5mm、穴の深さ:30mm、最大打ち込み量:20mm
前記耐火煉瓦10の打ち込み量Dと先端部直径Cには、C=0.17D+8.0の関係がある。
110mm×72mmの面にアンカー1を打ち込む
前述の場合、様々な曲げ強度σのMgO−C耐火煉瓦を用意し、規定値通り20mm打ち込む。
耐火煉瓦10の曲げ強度σをアンカー1を打ち込んだ結果を表1に示す。
耐火煉瓦10の曲げ強度σは8MPaであった時、耐火煉瓦10の側面に割れが発生した。一方、曲げ強度が10MPa以上だと亀裂は発生しなかった。
また、打ち込み量を変化させた場合、曲げ強度σ=13MPaの耐火煉瓦10で、打ち込み量が小さい場合、アンカー1の先端の開きが十分でなく、引き抜き強度は小さい。一方、所定量以上に打ち込むと引き抜き強度は低下する。
前述の打ち込み量D/mmと引き抜き強度/kgfとの関係は、図3に示される通りであり、打ち込み量20mmの場合にアンカー1の引き抜き強度/kgfが最大値であった。
1A アンカー上面
1B アンカー底部
2 外筒
2A スリット
2a 先端部
3 内部コーン
3A 先端面
3B 後端面
3a 先端径
4A 上端面
4B 下端面
10 耐火煉瓦
10a 取り付け部煉瓦
11 取り付け穴
11A 底部
11a 内壁
A アンカー外径
B 穴径
C 先端部直径
D 内部コーンの打ち込み量
E 打ち込み量Dの最大値で最大打ち込み量
F 煉瓦幅
H 深さ
Claims (3)
- 耐火煉瓦(10)の取り付け穴(11)へ内部コーン(3)打ち込み式のアンカー(1)を打ち込むようにした耐火煉瓦へのアンカー取り付け方法において、
前記耐火煉瓦(10)の曲げ強度をσ〔MPa〕とし、前記アンカー(1)のアンカー外径を(A)、前記アンカー(1)の装入用の前記耐火煉瓦(10)の取り付け穴(11)の穴径を(B)、前記内部コーン(3)を打ち込んだ際の前記アンカー(1)の先端部(2a)の先端部直径を(C)、及び、前記内部コーン(3)の打ち込み量を(D)としたとき、〔0.05≦(C−B)/A≦σ/80・・・・(1)式〕を満足させるように前記打ち込み量(D)を調整して前記先端部直径(C)を決めることを特徴とする耐火煉瓦へのアンカー取り付け方法。 - 前記内部コーン(3)が前記アンカー(1)の先端部(2a)から露出しない打ち込み量(D)の最大値を最大打ち込み量(E)としたとき、前記内部コーン(3)の打ち込み量(D)を〔0.75×E≦D≦1.1×E・・・・(2)式〕とすることを特徴とする請求項1記載の耐火煉瓦へのアンカー取り付け方法。
- 前記アンカー(1)を取り付けるための取り付け部煉瓦(10a)の幅を煉瓦幅(F)としたとき、前記アンカー外径(A)と前記煉瓦幅(F)との関係を〔A≦F/7〕とすることを特徴とする請求項1又は2記載の耐火煉瓦へのアンカー取り付け方法。
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