近年、自動車には、テレビジョン、ラジオ等の受信機能のみを有する通信機器だけでなく、GPS機能を有するカーナビゲーション装置、ETC(Electronic Toll Collection System)通信装置等、送信機能と受信機能との双方を有し、双方向通信を行う通信機器が搭載される場合が増えてきている。さらに、運転者以外の者が車内で携帯電話機を使って通話やデータの双方向通信を行うに当たって良好な通信状態を確保するために、車体に移動電話通信用の外部アンテナを取り付け、携帯電話機と外部アンテナとをケーブルを介して接続する場合もある。
ところで、双方向通信を行う通信機器を含む複数の通信機器を自動車に設ける場合には、通信機器とアンテナとの間に受信用の信号経路と送信用の信号経路を形成しなければならない。このため、上述した特許文献1のように、複数のアンテナを合成器に接続し、複数の通信機器を分波器に接続し、合成器と分波器との間を1本のケーブルで接続する技術を採用した場合でも、合成器、分波器および両者間を接続する1本のケーブルを組み合わせた信号経路のシステムを2組構築しなければならない。この結果、合成器および分波器の個数が多くなり、ケーブルの本数も多くなり、狭い車内において、各合成器および各分波器を整然と設置し、各ケーブルを目立たないように配索することが困難になるという問題がある。各合成器、各分波器または各ケーブルを雑然と設置または配索すると、各合成器または各分波器をしっかり固定できず、これらの機器が走行中にがたつき、ケーブルが運転席等の近傍にはみ出して運転の邪魔になり、ケーブルに大きな屈曲が生じてケーブルが破損する危険性が高まり、ケーブルの接続誤りが生じ易くなり、ケーブルの抜けが生じやすくなり、車内空間が狭くなり、または車内の美感が損なわれる等の不都合が生じることがある。
また、特許文献1に記載された技術を利用して複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続して受信用の信号経路を形成するためには、複数のアンテナを合成器にそれぞれ接続するための複数のケーブルと、複数の通信機器を分波器にそれぞれ接続するための複数のケーブルと、合成器と分波器との間を接続する1本のケーブルとを用いる必要がある。このため、必要なケーブルの本数が多くなる。しかも、受信用の信号経路に加えて送信用の通信経路をも形成すると、必要なケーブルの本数が2倍になる。この結果、複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路システムを構成する部品の点数が多くなり、部品の管理が困難となり、各システムの組立作業が煩雑になるという問題がある。
また、自動車等の車両の場合、運転の安全を確保するために、通信機器と分波器または合成器との間を接続するケーブル、アンテナと合成器または分波器との間を接続するケーブル、および合成器と分波器との間を接続するケーブルのそれぞれについて、ケーブルの抜けを防止する必要がある。各信号経路を形成するためのケーブルの本数が多ければ、ケーブルの抜けが発生し得る箇所が多くなり、ケーブルの抜けを防止することが困難になる。特許文献1に記載された技術には、ケーブルの抜け防止については何も記載されていない。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、車内等において、双方向通信を行う通信機器を含む複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路システムを構成する機器およびケーブルの整然としたまたは目立たない設置または配索を容易に行うことができる合成分波回路内蔵コネクタおよび信号経路システムを提供することにある。
また、本発明の第2の課題は、複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路システムを構成する部品の点数を減らすことができる合成分波回路内蔵コネクタおよび信号経路システムを提供することにある。
また、本発明の第3の課題は、複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路システムにおいてケーブルの抜けを防止することができる合成分波回路内蔵コネクタおよび信号経路システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の合成分波回路内蔵コネクタは、ハウジングと、前記ハウジングの一側に形成され、他のコネクタを着脱可能に装着する装着口と、前記装着口内に配置され、前記装着口に装着された前記他のコネクタと電気的に接続される接続端子と、一端側が前記ハウジングの他側に予め固定され、他端側が自由端となった複数のケーブル部と、前記ハウジング内に設けられ、前記接続端子と電気的に接続された合成信号入出力部および前記複数のケーブル部とそれぞれ電気的に接続された複数の特定周波数信号入出力部を有し、前記複数の特定周波数信号入出力部にそれぞれ入力される相互に異なる特定の周波数帯域をそれぞれ有する複数の特定周波数信号を合成して合成信号を生成し、当該合成信号を前記合成信号入出力部から出力すると共に、前記合成信号入出力部に入力される合成信号を相互に異なる特定の周波数帯域をそれぞれ有する複数の特定周波数信号に分離し、当該複数の特定周波数信号を前記複数の特定周波数信号入出力部からそれぞれ出力する合成分波回路とを備えていることを特徴とする。
本発明の第1の合成分波回路内蔵コネクタによれば、信号の合成と分離(分波)とのいずれも行うことができるので、2つの合成分波回路内蔵コネクタと、これら合成分波回路内蔵コネクタ間を接続する1本のケーブルとを用意するだけで、双方向通信を行う通信機器を含む複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する受信、送信兼用の信号経路システムを構築することができる。このような受信、送信兼用の信号経路システムにおいて、車内等に設置すべき機器は、2つの合成分波回路内蔵コネクタのみであり、車内等に配索すべきケーブルは、2つの合成分波回路内蔵コネクタ間を接続する1本のケーブルのみである。したがって、各合成分波回路内蔵コネクタおよびケーブルの整然とした、または目立たない設置または配索を容易に行うことができる。
また、本発明の第1の合成分波回路内蔵コネクタは、ハウジングに予め固定された複数のケーブル部を有しているので、これらケーブル部を用いて、合成分波回路内蔵コネクタと複数の通信機器との間の接続、または合成分波回路内蔵コネクタと複数のアンテナとの間の接続を行うことができる。したがって、これらの機器間の接続を行うのに複数のケーブルを別途用意する必要がない。これにより、双方向通信を行う通信機器を含む複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路システムを構成する部品の点数を減らすことができる。
また、本発明の第1の合成分波回路内蔵コネクタによれば、合成分波回路内蔵コネクタと複数の通信機器との間を接続し、または合成分波回路内蔵コネクタと複数のアンテナとの間の接続する各ケーブル部はハウジングに予め固定されており、抜けることがない。したがって、双方向通信を行う通信機器を含む複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路システムにおいて、ケーブルの抜けが発生し得る箇所を減らすことができ、ケーブル抜けが発生する可能性を低くすることができる。
上記課題を解決するために、本発明の第2の合成分波回路内蔵コネクタは、上述した本発明の第1の合成分波回路内蔵コネクタにおいて、前記装着口には、当該装着口に装着された前記他のコネクタを係止めする係止め機構が形成されていることを特徴とする。
本発明の第2の合成分波回路内蔵コネクタによれば、装着口に装着された他のコネクタ(例えば2つの合成分波回路内蔵コネクタを接続するケーブルの端部に取り付けられたコネクタ)が装着口から抜けるのを防止することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第3の合成分波回路内蔵コネクタは、上述した本発明の第1または第2の合成分波回路内蔵コネクタにおいて、前記各ケーブル部の一端側を前記ハウジングの他側に着脱不能に固定する固定機構を備え、前記固定機構は、前記ハウジング内において、前記各ケーブル部の一端側先端部に固定され、前記各ケーブル部と前記合成分波回路との間を電気的に接続する接続部材と、前記ハウジング内に形成され、前記各ケーブル部において前記接続部材が固定された当該ケーブル部の一端側先端部よりも他側に位置する部位を支持すると共に、前記接続部材の他端面と接触して当該接続部材の他側方向への移動を阻止する支持部とを備えていることを特徴とする。
本発明の第3の合成分波回路内蔵コネクタによれば、例えばハウジングが固定された状態でケーブル部が引っ張られても、接続部材が支持部に接触することにより、当該接続部材の引っ張り方向への移動が阻止される。これにより、各ケーブル部がハウジングから抜けるのを防止することができる。また、本発明の第3の合成分波回路内蔵コネクタによれば、各ケーブル部に関する電気的接続と抜け止め防止機構とを同時に実現することができ、また、製造時においては各ケーブル部のハウジングへの組付を容易に行うことができる。
上記課題を解決するために、本発明の第4の合成分波回路内蔵コネクタは、上述した本発明の第3の合成分波回路内蔵コネクタにおいて、前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記ハウジング本体に取り付けられ、前記ハウジング本体を施蓋する蓋部材とを備え、前記支持部は第1の支持部材と第2の支持部材とを備え、前記第1の支持部材は前記ハウジング本体に設けられ、前記第2の支持部材は前記蓋部材に設けられ、前記ハウジング本体に前記蓋部材を取り付けることにより、前記第1の支持部材と前記第2の支持部材とで前記各ケーブル部を挟持することを特徴とする。
本発明の第4の合成分波回路内蔵コネクタによれば、各ケーブル部の抜け止め構造を容易に形成することができ、合成分波回路内蔵コネクタの組立を簡単化することができる。
上記課題を解決するために、本発明の第5の合成分波回路内蔵コネクタは、上述した本発明の第1ないし第4のいずれかの合成分波回路内蔵コネクタにおいて、前記ハウジングの外面には、当該合成分波回路内蔵コネクタを物品、車両、構造物または建造物に取り付けるためのブラケットが形成されていることを特徴とする。
本発明の第5の合成分波回路内蔵コネクタによれば、合成分波回路内蔵コネクタを物品、車両、構造物または建造物等に容易にかつ確実に取り付けることができ、また、合成分波回路内蔵コネクタの整然とした設置を容易に実現することができる。
上記課題を解決するために、本発明の信号経路システムは、上述した本発明の第1ないし第5のいずれかの2つの合成分波回路内蔵コネクタと中継ケーブルとを備え、複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路を形成する信号経路システムであって、前記2つの合成分波回路内蔵コネクタのうちの一方の合成分波回路内蔵コネクタの複数のケーブル部の他端側が前記複数の通信機器にそれぞれ接続され、前記2つの合成分波回路内蔵コネクタのうちの他方の合成分波回路内蔵コネクタの複数のケーブル部の他端側が前記複数のアンテナにそれぞれ接続され、前記一方の合成分波回路内蔵コネクタの装着口に前記中継ケーブルの一端側が装着され、前記他方の合成分波回路内蔵コネクタの装着口に前記中継ケーブルの他端側が装着されることにより、前記一方の合成分波回路内蔵コネクタと前記他方の合成分波回路内蔵コネクタとの間が前記中継ケーブルにより接続されていることを特徴とする。
本発明の信号経路システムによれば、各合成分波回路内蔵コネクタおよび中継ケーブルの整然とした、または目立たない設置または配索を容易に行うことができる。また、信号経路システムを構成する部品の点数を減らすことができる。また、信号経路システム内において、ケーブル抜けが発生する可能性を低くすることができる。
本発明によれば、車内等において、双方向通信を行う通信機器を含む複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路システムを構成する機器およびケーブルの整然としたまたは目立たない設置または配索を容易に行うことができる。また、本発明によれば、複数の通信機器と複数のアンテナとの間を接続する信号経路システムを構成する部品の点数を減らすことができる。また、本発明によれば、上記信号経路システムにおいてケーブルの抜けを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。図1および図2は本発明の実施形態による合成分波回路内蔵コネクタの外観をそれぞれ示している。図3ないし図5は合成分波回路内蔵コネクタのハウジング内をそれぞれ示している。また、図6はハウジングの蓋部材の裏面を示し、図7は接続部材が取り付けられた信号ケーブル部の端部を示している。また、図8は、図3中の矢示A−A方向から見たハウジング本体、信号ケーブル部等の断面と、図6中の矢示B−B方向から見た蓋部材の断面を示している。
図1において、本発明の実施形態による合成分波回路内蔵コネクタ1は、相互に異なる周波数帯域をそれぞれ有する2つの信号(以下、これらをそれぞれ「特定周波数信号」という。)を合成する機能と、2つの特定周波数信号が合成された信号(以下、これを「合成信号」という。)を2つの特定周波数信号に分離(分波)する機能とを併せ持った合成分波回路を内蔵したコネクタである。合成分波回路内蔵コネクタ1のハウジング2の一側には装着口6が形成され、ハウジング2の他側には例えば2本の信号ケーブル部11、12が固定され、ハウジング2内には合成分波回路41(図9参照)が内蔵されている。例えば、2本の信号ケーブル部11、12を2台の通信機器または2台のアンテナの信号出力端子にそれぞれ接続し、装着口6に合成信号伝送用の1本の中継ケーブルを接続し、2台の通信機器または2台のアンテナから特定周波数信号をそれぞれ出力すると、合成分波回路41により2つの特定周波数信号が合成され、これにより生成された合成信号が中継ケーブルに出力される。また、装着口6に1本の中継ケーブルを接続し、2本の信号ケーブル部11、12を2台の通信機器または2台のアンテナの信号入力端子にそれぞれ接続し、上記中継ケーブルを介して合成信号を入力すると、合成分波回路41により合成信号が2つの特定周波数信号に分離され、これら特定周波数信号が信号ケーブル部11、12を介して2台の通信機器または2台のアンテナにそれぞれ入力される。
合成分波回路内蔵コネクタ1のハウジング2は、いずれも例えば樹脂材料により形成されたハウジング本体3および蓋部材4を有し、蓋部材4をハウジング本体3に取り付けてハウジング本体3を施蓋することによって中空の略直方体状に形成されている。例えば、ハウジング2は、その長さ寸法(一側面3Aから他側面3Bまでの長さ寸法)が4cm程度であり、幅寸法が3cm程度であり、高さ寸法が1cm程度である小型の箱体である。
ハウジング本体3の一側には装着部5が形成されている。装着部5は、横断面が四角形の筒状に形成され、ハウジング本体3の一側面3Aから一側方向に突出している。装着部5には装着口6が形成されている。装着口6には、例えば合成信号伝送用の中継ケーブルの端部に取り付けられたコネクタが着脱可能に装着される。装着口6の形状は、上記中継ケーブルのコネクタ等、装着口6の装着すべきコネクタの形状と対応するように適宜選択することができる。
装着口6の内部には、図3に示すように、2本の接続端子7が設けられている。各接続端子7の一端側は、上記中継ケーブルのコネクタが装着口6に装着されたとき、上記中継ケーブルのコネクタ内に設けられた接続端子と接触し、これと電気的に接続される。また、各接続端子7の他端側は、後述するように合成分波回路41の合成信号入出力部42に電気的に接続されている。例えば、2本の接続端子7のうち、一方の接続端子7が信号伝達用の同軸状の端子であり、他方の接続端子7が電源供給用の端子またはグランド接続用の端子である。
装着部5の壁部には、上記中継ケーブルのコネクタが装着口6に装着されたときに当該コネクタを係止めする係止め孔8が形成されている。これにより、装着口6に装着された上記中継ケーブルのコネクタが、外部から引っ張られて、または振動等により、装着口6から抜けるのを防止することができる。また、上記中継ケーブルのコネクタを装着口6に装着する際、当該コネクタに形成された係止め部が、装着部5の係止め孔8に嵌り込むときに「カチッ」と音がなる。作業者は、この音を聞いて、上記中継ケーブルのコネクタの装着口6への装着が完了したことを確認することができる。
一方、図1に示すように、ハウジング本体3の他側には2本の信号ケーブル部11、12、および1本の電源ケーブル部13がそれぞれ設けられている。信号ケーブル部11、12は、合成分波回路41からそれぞれ出力される2つの特定周波数信号を、当該信号ケーブル部11、12にそれぞれ接続される2台の通信機器または2台のアンテナにそれぞれ入力し、または、当該信号ケーブル部11、12にそれぞれ接続される2台の通信機器または2台のアンテナからそれぞれ出力される2つの特定周波数信号を合成分波回路41にそれぞれ入力するための所定の長さを有するケーブルである。電源ケーブル部13は、合成分波回路41に電力を供給するための所定の長さを有するケーブルである。
各信号ケーブル部11、12は、中心導体(芯線)の周囲を内部誘電体で覆い、内部誘電体の周囲を外部導体で覆い、外部導体の周囲を外部誘電体で覆うことにより形成された同軸ケーブルである。電源ケーブル部13は、中心導体(芯線)の周囲を誘電体で覆うことにより形成されたケーブルである。各信号ケーブル部11、12および電源ケーブル部13の長さは、例えば5cm〜1m程度であるが、これらケーブル部の長さは、接続する通信機器またはアンテナ等の設置状態や信号経路システムを構築する場所の状況等に応じて任意に設定することができ、5cm未満としてもよいし、1mより長くしてもよい。また、信号ケーブル部11、12の長さは相互に同一にしてもよいし、相互に異ならせてもよい。
信号ケーブル部11は、一端側がハウジング本体3の他側に予め着脱不能に固定され、他端側は自由端となっている。また、信号ケーブル部11の他端側には、当該信号ケーブル部11を通信機器またはアンテナ等に接続するためのコネクタ14が取り付けられている。信号ケーブル部12は、一端側がハウジング本体3の他側に予め着脱不能に固定され、他端側は自由端となっている。電源ケーブル部13は、一端側がハウジング本体3の他側に予め着脱不能に固定され、他端側は自由端となっている。また、信号ケーブル部12と電源ケーブル部13の他端側には、これらケーブル部12、13を通信機器またはアンテナ等に接続するためのコネクタ15が取り付けられている。なお、コネクタ15は、合成分波回路41を動作させるための電源電圧を出力する端子を備えた通信機器またはアンテナに接続する。また、コネクタ14、15の形状は、信号ケーブル部11、12および電源ケーブル部13が接続される通信機器またはアンテナ等の入出力端子等の形状に対応するように適宜選択することができる。
ここで、合成分波回路内蔵コネクタ1は、信号ケーブル部11、12および電源ケーブル部13のそれぞれの一端側をハウジング本体3の他側に着脱不能に固定する固定機構を有している。
まず、信号ケーブル部11についての固定機構の構造は次のとおりである。信号ケーブル部11についての固定機構は、図3に示すように信号ケーブル部11の一側先端部に取り付けられた接続部材18と、図5および図6に示すようにハウジング本体3および蓋部材4にそれぞれ形成された一対の内側支持部23、24と、ハウジング本体3および蓋部材4にそれぞれ形成された一対の外側支持部25、26とを備えている。なお、内側支持部23、24はそれぞれ第1の支持部材および第2の支持部材の具体例である。
接続部材18は金属等の導電材料により形成されている。図7に示すように、接続部材18の基端側には、信号ケーブル部11の外部誘導体をかしめて固定するケーブルかしめ部19が形成されている。また、接続部材18の先端側には、信号ケーブル部11の外部導体をかしめて固定すると共に外部導体との電気的接続を行う外部導体かしめ部20が形成されている。また、外部導体かしめ部20の先端部には、信号ケーブル部11を回路基板34に固定すると共に、信号ケーブル部11の外部導体と回路基板34に形成された合成分波回路41のグランドパターンとの電気的接続を行う一対の挿入部21が形成されている。また、各挿入部21にはリブ22が形成されている。
信号ケーブル部11の一側先端部への接続部材18の取付、および接続部材18の回路基板34への取付は、例えば次のような手順で行う。まず、信号ケーブル部11の一側先端部に末端処理を施す。すなわち、信号ケーブル部11の一側先端部の外部誘電体を除去して外部導体を露出させる。続いて、露出した外部導体の先端部を除去して内部誘電体を露出させる。このとき、露出した外部導体の基端部を残しておく。続いて、露出した内部誘電体の先端部を除去して中心導体を露出させる。このとき、露出した内部誘電体の基端部を残しておく。次に、信号ケーブル部11の一側先端部の外部誘導体をケーブルかしめ部19によりかしめると共に、信号ケーブル部11の一側先端部において露出している外部導体を外部導体かしめ部20によりかしめる。これにより、接続部材18は信号ケーブル部11の一側先端部に着脱不能に固定されると共に、信号ケーブル部11の外部導体と接続部材18とが電気的に接続される。次に、接続部材18の挿入部21を回路基板34に形成された挿入孔34A(図3参照)にそれぞれ挿入し、挿入部19と合成分波回路41のグランドパターンとを半田付けする。これにより、信号ケーブル部11の外部導体と合成分波回路41のグランドパターンとの間が電気的に接続される。また、信号ケーブル部11の中心導線を、合成分波回路41の一方の特定周波数信号入出力部43に半田付けする。これにより、信号ケーブル部11の中心導線と合成分波回路41の一方の特定周波数信号入出力部43との間が電気的に接続される。
また、信号ケーブル部11についての固定機構において、一対の内側支持部23、24は、信号ケーブル部11において接続部材18が固定された当該信号ケーブル部11の一端側先端部よりも他側に位置する部位を支持すると共に、接続部材18の他端面18Aと接触して当該接続部材18の他側方向への移動を阻止する部分である。
内側支持部23は、図5に示すように、ハウジング本体3の内部に配置され、図8に示すように、ハウジング本体3の底面から上向きに突出し、その先端部には、信号ケーブル部11の外部誘電体の外周の下側半分の形状に一致するように湾曲した断面形状を有する凹部23Aが形成されている。一方、内側支持部24は、図6に示すように、蓋部材4に配置され、図8に示すように、蓋部材4の裏面から下向きに突出し、その先端部には、信号ケーブル部11の外部誘電体の外周の上側半分の形状に一致するように湾曲した断面形状を有する凹部24Aが形成されている。内側支持部23と内側支持部24とは互いに対向する位置に配置されている。ハウジング本体3に蓋部材4を取り付けた状態で、内側支持部23と内側支持部24とにより信号ケーブル部11を挟み込み、凹部23Aと凹部24Aにより信号ケーブル部11の外部誘電体の外周をほぼ全周にわたって包囲し、これにより信号ケーブル部11を位置決めしつつ支持する。
また、信号ケーブル部11が内側支持部23、24間に支持された状態では、信号ケーブル部11の一端側先端部に固定された接続部材18の他端面18Aが各内側支持部23、24の一端面に接触する。これにより、信号ケーブル部11が他側方向に引っ張られても、接続部材18が各内側支持部23、24によって押さえられ、この結果、信号ケーブル部11は他側方向に移動することができない。これにより、信号ケーブル部11をハウジング本体3に強固に固定することができ、信号ケーブル部11がハウジング2から抜けるのを防止することができる。
また、信号ケーブル部11についての固定機構において、一対の外側支持部25、26は、信号ケーブル支持部23、24のさらに他側において信号ケーブル部11を支持する部分である。外側支持部25は、図5に示すように、ハウジング本体3の他側面3Bを有する壁部の縁に形成され、信号ケーブル部11の外部誘電体の外周の下側半分の形状に一致するように湾曲した断面形状を有する凹部により構成されている。一方、外側支持部26は、図6に示すように、蓋部材4の他側縁部に形成され、信号ケーブル部11の外部誘電体の外周の上側半分の形状に一致するように湾曲した断面形状を有する凹部により構成されている。外側支持部25と外側支持部26とは互いに対向する位置に配置されている。ハウジング本体3に蓋部材4を取り付けた状態で、外側支持部25と外側支持部26とにより信号ケーブル部11を挟み込み、信号ケーブル部11の外部誘電体の外周をほぼ全周にわたって包囲し、これにより信号ケーブル部11を位置決めしつつ支持する。
また、信号ケーブル部12についての固定機構の構造は、信号ケーブル部11についての固定機構の構造と同様である。すなわち、信号ケーブル部12についての固定機構は、信号ケーブル部12の一側先端部に取り付けられた接続部材18と、ハウジング本体3および蓋部材4にそれぞれ形成された一対の内側支持部23、24と、ハウジング本体3および蓋部材4にそれぞれ形成された一対の外側支持部25、26とを備えている。
また、電源ケーブル部13についての固定機構の構造は次のとおりである。電源ケーブル部13についての固定機構は、図3に示すように電源ケーブル部13の一側先端部に取り付けられた接続部材27と、図5および図6に示すようにハウジング本体3および蓋部材4にそれぞれ形成された一対の内側支持部28、29と、ハウジング本体3および蓋部材4にそれぞれ形成された一対の外側支持部30、31とを備えている。
接続部材27は金属等の導電材料により形成され、接続部材27の基端側は電源ケーブル部13の一端側の外部誘電体の周囲にかしめ固定されている。また、接続部材27には電源ケーブル部13の中心導線が電気的に接続され、接続部材27の先端側は回路基板34に形成された合成分波回路41の電源供給線と電気的に接続されている。これにより、電源ケーブル部13の中心導線は合成分波回路41の電源供給線と電気的に接続されている。
内側支持部28はハウジング本体3の底面に形成され、内側支持部29は蓋部材4の裏面に形成され、ハウジング本体3に蓋部材4を取り付けた状態で、内側支持部28と内側支持部29とにより接続部材27を挟み込み、電源ケーブル部13を位置決めしつつ支持する。外側支持部30はハウジング本体3の他側面3Bを有する壁部の縁に形成され、外側支持部31は蓋部材4の他側縁部に形成され、ハウジング本体3に蓋部材4を取り付けた状態で、外側支持部30と外側支持部31とにより電源ケーブル部13を挟み込み、電源ケーブル部13を位置決めしつつ支持する。
他方、ハウジング本体3内には、図4に示すように、合成分波回路41が形成された回路基板34が収容されている。ハウジング本体3内には、図5に示すように、ハウジング本体3の底面から突出し、回路基板34をハウジング本体3の底面から離れた位置で支持する一対の基板載置部35および一対の基板載置部36が形成されている。一対の基板載置部35よりも他側に配置された一対の基板載置部36には、回路基板34の他側縁部を支持する凸部36Aが形成されている。また、図3に示すように、回路基板34の上側には、金属材料により形成されたカバー部37が設けられている。カバー部37は、合成分波回路41をノイズ、振動等から保護している。
また、図2に示すように、ハウジング本体3の底側外面には、合成分波回路内蔵コネクタ1を物品、車両、構造物または建造物等の取付対象に取り付けるためのブラケット38が形成されている。取付対象に、係合部を有する部材(図示せず)を固定し、当該部材の係合部に、ブラケット38の係合部38Aを係合することにより、合成分波回路内蔵コネクタ1を取付対象に容易かつ確実に取り付けることができる。
図9は、合成分波回路内蔵コネクタ1に内蔵された合成分波回路41を示している。図10は、合成分波回路41の周波数特性を示している。図9において、合成分波回路41は、合成信号入出力部42、2つの特定周波数信号入出力部43、コイル44〜47およびコンデンサ48〜51を備え、回路基板34上に形成されている。合成信号入出力部42には接続端子7が電気的に接続され、一方の特定周波数信号入出力部43には信号ケーブル部11の中心導線が電気的に接続され、他方の特定周波数信号入出力部43には信号ケーブル部12の中心導線が電気的に接続されている。また、合成分波回路41のグランドには、信号ケーブル部11、12のそれぞれの外部導体が接続されている。また、電源ケーブル部13の中心導体は電源供給線(図示せず)に接続されている。そして、合成分波回路41は、2つの特定周波数信号入出力部43に入力される相互に異なる特定の周波数帯域を有する2つの特定周波数信号を合成して合成信号を生成し、当該合成信号を合成信号入出力部42から出力すると共に、合成信号入出力部42に入力される合成信号を相互に異なる特定の周波数帯域を有する2つの特定周波数信号に分離し、当該複数の特定周波数信号を2つの特定周波数信号入出力部43からそれぞれ出力する。
図10に示すように、合成分波回路41において、コイル44、45およびコンデンサ48、49から構成された回路部は、第1の周波数帯域Fb1を有する信号のみを通過させ、それ以外の周波数帯域を有する信号を遮断する。一方、コイル46、47およびコンデンサ50、51から構成された回路部は、第2の周波数帯域Fb2を有する信号のみを通過させ、それ以外の周波数帯域を有する信号を遮断する。すなわち、合成分波回路41は、第1の周波数帯域Fb1を有する特定周波数信号と第2の周波数帯域Fb2を有する特定周波数信号とを合成して合成信号を生成すると共に、合成信号を、第1の周波数帯域Fb1を有する特定周波数信号と第2の周波数帯域Fb2を有する特定周波数信号とに分離する。第1の周波数帯域Fb1および第2の周波数帯域Fb2は、合成分波回路内蔵コネクタ1の利用態様等に応じてコイル44〜47およびコンデンサ48〜51を選択することにより適宜設定することができる。例えば、後述するように、図11に示す信号経路システム61に合成分波回路内蔵コネクタ1を適用する場合には、第1の周波数帯域Fb1を770MHz〜960MHzに設定し、第2の周波数帯域Fb2を1920MHz〜2200MHzに設定する。
図11は、上述したような構成を有する本発明の実施形態による合成分波回路内蔵コネクタ1を2つ適用して2台の通信機器と2台のアンテナとの間を接続する信号経路システムを自動車内において構築した例を示している。図11において、信号経路システム61は、2台の通信機器、すなわち800MHz帯の通信周波数を利用して双方向通信を行う第1の通信端末62、および2GHz帯の通信周波数を利用して双方向通信を行う第2の通信端末63と、2台のアンテナ、すなわち第1の通信端末62用の第1のアンテナ64、および第2の通信端末63用の第2のアンテナ65との間を1本の中継ケーブル66を介して接続するシステムである。第1の通信端末62は例えば通信周波数が800MHz帯の携帯電話機であり、第2の通信端末63は例えば通信周波数が2GHz帯の携帯電話機である。信号経路システム61は、上述した本発明の実施形態による2つの合成分波回路内蔵コネクタ1および中継ケーブル66のみにより構成されている。
第1のアンテナ64は、基地局等との間で770MHz〜960MHzの周波数帯域を有する特定周波数信号(通信信号)S1の送受信を行い、第1の通信端末62は、第1のアンテナ64との間で当該特定周波数信号S1の入出力を行う。これにより、第1の通信端末62と他の通信端末等との間で通話やデータ通信が実現される。一方、第2のアンテナ65は、基地局等との間で1920MHz〜2200MHzの周波数帯域を有する特定周波数信号(通信信号)S2の送受信を行い、第2の通信端末63は、第2のアンテナ65との間で当該特定周波数信号S2の入出力を行う。これにより、第2の通信端末63と他の通信端末等との間で通話やデータ通信が実現される。
信号経路システム61を構成する2つの合成分波回路内蔵コネクタ1のうち、一方の合成分波回路内蔵コネクタ1において、信号ケーブル部11の他端側に固定されたコネクタ14は第1の通信端末62に接続され、信号ケーブル部12および電源ケーブル部13の他端側に固定されたコネクタ15は第2の通信端末63に接続され、装着口5には中継ケーブル66の一方の端部に固定されたコネクタ66Aが装着されている。そして、当該一方の合成分波回路内蔵コネクタ1は、第1の通信端末62から出力される特定周波数信号S1を信号ケーブル部11を介して受け取り、第2の通信端末63から出力される特定周波数信号S2を信号ケーブル部12を介して受け取り、合成分波回路41により両信号を合成して合成信号S3を生成し、当該合成信号S3を中継ケーブル66に出力する。また、当該一方の合成分波回路内蔵コネクタ1は、他方の合成分波回路内蔵コネクタ1から中継ケーブル66を介して伝送される合成信号S3を受け取り、この合成信号S3を合成分波回路41により特定周波数信号S1と特定周波数信号S2とに分離し、特定周波数信号S1を信号ケーブル部11を介して第1の通信端末62に出力し、特定周波数信号S2を信号ケーブル部12を介して第2の通信端末63に出力する。
信号経路システム61を構成する2つの合成分波回路内蔵コネクタ1のうち、他方の合成分波回路内蔵コネクタ1において、信号ケーブル部11の他端側に固定されたコネクタ14は第1のアンテナ64に接続され、信号ケーブル部12および電源ケーブル部13の他端側に固定されたコネクタ15は第2のアンテナ65に接続され、装着口5には中継ケーブル66の他方の端部に固定されたコネクタ66Bが接続されている。そして、当該他方の合成分波回路内蔵コネクタ1は、第1のアンテナ64から出力される特定周波数信号S1を信号ケーブル部11を介して受け取り、第2のアンテナ65から出力される特定周波数信号S2を信号ケーブル部12を介して受け取り、これら受け取った両信号を合成して合成信号S3を生成し、当該合成信号S3を中継ケーブル66に出力する。また、当該他方の合成分波回路内蔵コネクタ1は、一方の合成分波回路内蔵コネクタ1から中継ケーブル66を介して伝送される合成信号S3を受け取り、この合成信号S3を合成分波回路41により特定周波数信号S1と特定周波数信号S2とに分離し、特定周波数信号S1を信号ケーブル部11を介して第1のアンテナ64に出力し、特定周波数信号S2を信号ケーブル部12を介して第2のアンテナ65に出力する。
また、第1のアンテナ64および第2のアンテナ65は例えば自動車のルーフの屋外側の面に取り付けられている。上記他方の合成分波回路内蔵コネクタ1は自動車のルーフの屋内側の面にブラケット38を介して取り付けられている。上記他方の合成分波回路内蔵コネクタ1において、第1のアンテナ64に接続された信号ケーブル部11の長さは例えば30cmであり、第2のアンテナ65に接続された信号ケーブル部12および電源ケーブル部13のそれぞれの長さも例えば30cmである。また、第1の通信端末62および第2の通信端末63は、自動車内の助手席または後部座席に着座した搭乗者により利用される。上記一方の合成分波回路内蔵コネクタ1は例えば自動車内の助手席の下側にブラケット38を介して取り付けられている。上記一方の合成分波回路内蔵コネクタ1において、第1の通信端末62に接続される信号ケーブル部11の長さは例えば1m50cmであり、第2の通信端末63に接続される信号ケーブル部12および電源ケーブル部13のそれぞれの長さは例えば1mである。また、一方の合成分波回路内蔵コネクタ1と他方の合成分波回路内蔵コネクタ1との間を接続する中継ケーブル66は、その長さが例えば3m〜6mであり、自動車のピラー内等に配索されている。
以上説明したとおり、本発明の実施形態による合成分波回路内蔵コネクタ1によれば、信号の合成と分離の双方を行う合成分波回路41を備えているので、上述したように、2つの合成分波回路内蔵コネクタ1および中継ケーブル66を用いて送信、受信兼用の信号経路システム61を自動車内等に容易に構築することができる。また、2つの合成分波回路内蔵コネクタ1および中継ケーブル66のみにより信号経路システム61を構築することができるので、狭い自動車においても、各合成分波回路内蔵コネクタ1を整然とした設置を容易に行うことができ、また中継ケーブル66の目立たない配索を容易に行うことができる。
また、合成分波回路内蔵コネクタ1は、ハウジング2に固定された信号ケーブル部11、12および電源ケーブル部13を備えているので、信号経路システム61を構築するに当たり、上記一方の合成分波回路内蔵コネクタ1における合成分波回路41と各通信端末62、63との間を接続するためのケーブルも、上記他方の合成分波回路内蔵コネクタ1における合成分波回路41と各アンテナ64、65との間を接続するケーブルも不要となる。したがって、信号経路システム61を構成する部品の点数を減らすことができる。
また、合成分波回路内蔵コネクタ1において、装着部5には、装着口6に装着された中継ケーブル66のコネクタ66A(66B)を係止めする係止め孔8が形成され、これにより中継ケーブル66のコネクタ66A(66B)の抜けを防止する。また、信号ケーブル部11、12および電源ケーブル部13の一端側を固定機構によりハウジング2側に強固に固定している。したがって、合成分波回路内蔵コネクタ1を用いて信号経路システム61を構築すれば、ケーブルの抜けが発生し得る箇所を減らすことができ、ケーブル抜けが発生する可能性を低くすることができる。
なお、上述した実施形態では、相互に異なる2つの特定周波数信号の合成および分離を行う合成分波回路41を合成分波回路内蔵コネクタ1に設ける場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。それぞれ異なる3つ以上の特定周波数信号の合成および分離を行う合成分波回路を合成分波回路内蔵コネクタに設けてもよい。例えば、図12に示すように、それぞれ異なる5つの特定周波数信号の合成および分離を行う合成分波回路がハウジング内に設けられ、ハウジングに5本の信号ケーブル部が固定された本発明の他の実施形態による合成分波回路内蔵コネクタ71を2つと、1本の中継ケーブル72を用いることにより、信号経路システム73を構築することができる。この信号経路システム73によれば、通信周波数が800MHz帯の第1の通信端末74、通信周波数が1.7GHz帯の第2の通信端末75、通信周波数が2GHz帯の第3の通信端末76、通信周波数が470MHz〜770MHzのデジタルテレビジョン(DTV)77、通信周波数が76MHz〜90MHzのラジオ78、他の通信周波数帯域を有するカーナビゲーション装置(カーナビ)79と、これらに専用の6つのアンテナ80〜85との間の双方通信を1本の中継ケーブル72を介してそれぞれ実現することができる。
また、上述した実施形態では、ハウジング2の他側に電源ケーブル部13が固定されている場合を例にあげたが、例えば、ハウジング2内に電池等の電源を設けることも可能であり、この場合には、電源ケーブル部13は設けなくてよい。
また、上述した実施形態では、信号ケーブル部11、12のそれぞれの他端側にコネクタ14、15を設ける場合を例にあげたが、コネクタ14、15は必要に応じて設ければよく、不要な場合にはコネクタ14、15を設けなくてもよい。
また、ブラケット38の形状は、図2に示した形状に限らず、物品、車両、構造体、建造物等の取付対象側の都合等に応じて、適宜変更することができる。
また、上述した実施形態では、図3に示すように、装着口6に装着された他のコネクタを係止めする係止め機構として、装着部5に係止め孔8を形成する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、当該係止め機構として他の機構を採用してもよい。例えば、係止め孔8に代えて溝部を形成してもよいし、突起を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、図9に示すような構成を有する合成分波回路41を設ける場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、例えば、同様の機能を有する回路を半導体チップにより形成したものを合成分波回路41として用いてもよい。
また、本発明による合成分波回路内蔵コネクタは、自動車に用いられる信号経路システムに限らず、他の車両または移動体に用いられる信号経路システムや、建造物内に用いられる信号経路システム等にも適用することができる。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う合成分波回路内蔵コネクタおよび信号経路システムもまた本発明の技術思想に含まれる。