上記従来の技術では、ヒータの下流側であって通常の状態で空気が流れる流路に温度センサを配置している。しかしながらこの位置では、温度センサは、フィルターが目詰まりせずに正常な状態で空気が流れている場合には、その温度を検知することができるけれども、フィルターが過剰に目詰まりして空気流量が大幅に低下したような状態では、その少なくなった空気の流れの中に必ず温度センサが位置しているとは限らず、高温になったことを的確に検知することは困難である。より具体的には、フィルターが過剰に目詰まりすると空気流量が大幅に減少すると同時に、空気の速度ベクトルも大幅に低下し、浴室内の空気の流れや、流路を切替えるダンパ位置等の様々な要因に影響されて気流が安定しなくなる。そのため、ヒータを通過した高温の空気が流れる場所がいつも同じ場所であるとは限らず、少なくなった高温の空気が温度センサの上を必ず通過するという状況にならないのである。よって、上記従来の技術では、ヒータ回りの温度上昇の内、異常ではないフィルターが過剰に詰まった軽度な状態にある高温状態を的確に検出することができず、結果、高温によってモータ系の故障等の状態まで進行させてしまうという恐れがあった。
そこで本発明では、ヒータ回りの高温異常の原因であるフィルターの過剰な目詰まりの状態を正確に確実に検知することを可能とする浴室乾燥機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本願請求項1に係る発明である浴室乾燥機は、浴室の空気を吸引しヒータを経由させて浴室方向に空気を噴出する循環モードと、浴室の空気を吸引し浴室外に排出する換気モードと、を備える浴室乾燥機において、浴室の天井に固定される本体と、前記本体内に格納される送風機と、前記本体内に設けられ、前記送風機から吹き出される空気を浴室外に排出する換気口と、前記本体内であって浴室側となる下部に設けられ、前記送付機から吹き出される空気を浴室内に噴出する循環吹出口と、前記循環吹出口内に配置されたヒータと、前記本体内の前記送風機よりも上流側であって前記浴室側となる下部に設けられ、浴室側に開口した吸引口と、前記吸引口に設けられたフィルターと、 前記送風機と前記フィルターとの間に設けられた負圧発生部と、を備え、前記フィルターが目詰まりを起こすことによって前記負圧発生部における負圧が上昇するように構成すると共に、当該負圧の上昇によって、前記ヒータを通過した下流の空気を吸引し、該吸引した帰還気流の温度を検出する温度センサを設けたことを特徴とする。
本発明によれば、送風機とフィルターとの間に形成した負圧発生部に、フィルターの目詰まりが過剰に進行すると大きな負圧が発生するように構成すると同時に、この発生した大きな負圧によってヒータを通過した高温の空気が確実に吸引されて、高温の空気が送風機に確実に帰還するように構成し、この帰還する高温の空気を温度センサによって温度判定するようにしたものである。よって、フィルターが目詰まりし、空気量や速度ベクトルが大幅に低下したような状態にあっても、高温の空気は上昇した負圧力によって確実に吸引されて帰還する構成であるため、温度センサによって高温の状態になっている空気を確実に検出することが可能となるため、高温の異常状態を確実に検出することができる。よって、フィルター目詰まりによる高温状態を正確に判定できないことによってシステムが故障し、結果、送風が完全に停止してしまうようなシステム異常にまで至らせることが確実に回避できるという実用上優れた効果を奏することができるものである。
また、本願請求項2に係る浴室乾燥機は、前記本体の浴室側となる下部を覆うカバーを備え、前記フィルターが目詰まりを起こすことによって、前記本体と前記カバーとによって形成される空間の負圧が上昇するように、前記吸引口の周縁と前記循環吹出口の周縁部間に気密性向上手段が形成され、該気密性向上手段によって前記本体と前記カバー間に前記負圧発生部が形成されるように構成したことを特徴とする。
この態様によれば、吸引口の周縁と循環吹出口の周縁との間に気密性向上手段を設けたことによって、フィルターが過剰に目詰まりした時に外気が吸引され難くなるため確実に早く負圧発生部に負圧を発生させることができる。従って、フィルターの目詰まり時に負圧発生部に発生した大きな負圧によって、ヒータを通過した高温の空気を確実に吸引して送風機に帰還する気流とさせることができる。更に、負圧発生部に大きな負圧が発生しても気密性向上手段によって本体とカバーの隙間からは冷たい外気は吸引され難いので、帰還する気流の温度が低下されることがなく、高温状態を正確に早く検出することができる。
また、本願請求項3に係る浴室乾燥機は、前記カバーは、前記本体側に位置し、前記フィルターが配置される内側カバーと、浴室側に位置する外側カバーとによって構成され、前記内側カバーに気密性向上手段を設けるとともに、前記内側カバーを前記本体に気密性が向上するように固定することで、前記本体と内側カバー間に前記負圧発生部を形成したことを特徴とする。
この態様によれば、カバーを二重構造とし、内側カバーに気密性向上手段を設けるとともに、本体にこの内側カバーを強固に固定するように構成しているので、外観上の意匠性を全く気にすることなく内側カバーと本体との間に大きな負圧を確実に発生できるように加工して負圧発生部を確実に容易に形成できる。また、フィルターは内側カバーに取付ける構造であるため気密性が向上する構造を同様に採用しやすく、頻繁にフィルター交換をしてもその気密性が不良となるような状態をも確実に回避可能に構成できる。
また、本願請求項4に係る浴室乾燥機は、前記内側カバーが前記本体にボルトで固定され、前記フィルターと前記内側カバー間は気密性向上手段を有したスライド構造によって前記フィルターが装着されるように構成されていることを特徴とする。
この態様では、内側カバーを本体にボルトで固定するので、内側カバーを本体に確実に取り付けて密接性を確保することができる。また、その固定した内側カバーに対してフィルターをスライド装着することができるので、頻繁に行うフィルター交換の際にも内側フィルターは外す必要がないため煩わしさを感じたり、内側カバーの気密性不良を発生させたりすることを確実に回避できる。また、フィルターをスライド装着するだけで、フィルターが内側カバーに対して確実に気密性が保たれるように構成されているため、フィルターの取り付けも容易で、負圧発生部の性能維持も確実に保つことができる。
また、本願請求項5に係る浴室乾燥機は、前記フィルターの全外周に渡って気密性を向上させる気密性向上手段を有したフィルター支持部が前記内側カバーに形成されていることを特徴とする。
フィルターの全外周に渡って気密性向上手段を有したフィルター支持部を内側カバーに形成したので、フィルター周りからの外気進入を確実に抑制することができ、また、気密性の確保がフィルター支持部を兼用する形で構成されているため簡単な構成で気密性の確保を図ることができる。
また、本願請求項6に係る浴室乾燥機は、前記フィルター支持部と前記本体には、前記フィルター支持部と前記本体との間の気密性を向上させる第一気密性向上手段が設けられていることを特徴とする。
この態様では、第一密接度向上手段を設けることで、フィルター支持部と本体との気密性が向上されるので、フィルター支持部と本体間からの外気進入を抑制し、高い気密性を確保することができる。また、フィルター支持部に本体との間の気密性を向上する気密性向上手段を設けたため構造を簡単にすることができる。
また、本願請求項7に係る浴室乾燥機は、前記循環吹出口にルーバーを備え、前記内側カバーと前記ルーバーとの間の気密性を向上させる第二気密性向上手段が設けられていることを特徴とする。
この態様では、第二密接度向上手段を設けることで、内側カバーとルーバーとの気密性が向上されているので、ルーバー回りからの外気進入を抑制することができ、高い気密性を確保することができる。
また、本願請求項8に係る浴室乾燥機は、前記ヒータを収納し前記本体に固定されてなるヒータケースを備え、前記内側カバーと前記ヒータケースとの間の気密性を向上させる第三気密性向上手段が設けられていることを特徴とする。
この態様では、第三密接度向上手段を設けることで、内側カバーとヒータケースとの気密性が向上されているので、ヒータ回りからの外気進入を抑制することができ、高い気密性を確保することができる。従って、循環吹出口周辺では、ルーバー周りとヒータ周りにおいて二重に、確実に気密性を確保することができる。
また、本願請求項9に係る浴室乾燥機は、負圧の上昇によって、前記ヒータを通過した下流の空気を吸引して帰還気流となるように、前記ヒータ下流の前記循環吹出口周縁において前記本体と前記カバーとの気密性を他の部分よりも低下させることで空気取り込み部を形成していることを特徴とする。
この態様では、ヒータ下流の循環吹出口周縁に気流取り込み部を形成しているので、ヒータ下流の高温の空気が負圧によって確実に吸引されるためフィルターが過剰に目詰まりして高温になっている状態を確実で、かつ正確に早く検知することができる。また、気流取り込み部を、気密性を他の部分より低下させるという構成で作ることで、気密性を確保した上で簡単に気流取り込み部を構成することができる。
また、本願請求項10に係る浴室乾燥機は、前記ヒータを収納し前記本体に固定されてなるヒータケースを備え、前記本体と前記ヒータケースとの間の気密性を向上させる第四気密性向上手段が設けられていることを特徴とする。
この態様では、第四密接度向上手段を設けることで、本体とヒータケースとの気密性が向上されているので、ヒータ上流の低温の空気も吸引しないため、より正確にフィルター目詰まりによる高温状態を検知することができる。
本発明によれば、ヒータ回りが高温の状態となっている状況を正確に早く検知することを可能とするものであって、特にフィルターが過剰に目詰まりした異常ではないような理由に基づく高温異常の状態をも確実に検出することができる浴室乾燥機を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る浴室乾燥機は、浴室の空気を吸引しヒータを経由させて浴室方向に空気を噴出する循環モードと、浴室の空気を吸引し浴室外に排出する換気モードと、を備えると共に、浴室以外の第二室である洗面所等の換気も行うことができるものである。この浴室乾燥機の配置態様について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、浴室乾燥機DMは、浴室BRの天井に取り付けられるものである。浴室乾燥機DMは、浴室BRの空気を吸引しヒータ(図1においては明示しない)を経由させて浴室BR方向に空気を噴出することができる。また、浴室乾燥機DMは、浴室BR内の空気を吸引し、ダクトD1を通して浴室外に排出することもできる。また、浴室乾燥機DMは、洗面所SRの天井に設けられた吸引口SR1に繋がるダクトSR2を通して、洗面所SR内の空気を吸引し、ダクトD1を通して浴室外に排出することもできる。
続いて、浴室乾燥機DMの外観について、図2を参照しながら説明する。図2(a)は浴室乾燥機DMの背面側斜視図であり、図2(b)は浴室乾燥機DMの正面側斜視図である。浴室乾燥機DMは、正面側のカバー30と、背面及び側面を覆う本体ケース10とを備えている。
図2(a)に示すように、本体ケース10の側面には、換気時に空気を排出するための換気口12が設けられており、その反対側には第二室としての洗面所から空気を吸い込む浴室外吸引口11が設けられている。さらに、本体ケース10の背面の開口部には、本体ケース10内部に収容されている送風機を回転させるための送風機モータFMが露出している。さらに、図2(b)に示すように、カバー30には、浴室内の空気を吸い込む浴室吸引口13と、加熱した空気を吹き出す循環吹出口14とが設けられている。
ここで、浴室乾燥機DMの内部を説明するため、浴室外吸引口11から換気口12に沿った方向の断面図を図3に示す。図3に示すように、本体ケース10内には、浴室吸引口13から順に、隔壁部材20と、送風機15と、ダンパ16(第1ダンパ)と、が配置されている。隔壁部材20については、その構成を後に詳述する。送風機15は、送風機モータFMの回転に応じて回転し、吸引口151から空気を吸い込んで、吹出口152から空気を噴出するように構成されている。送風機15は送風機モータFMと共に送風機を構成している。
送風機15の吹出口の先には、ダンパ16が配置されている。ダンパ16は、回転式のロータリーダンパであって、送風機15の吹出口152から噴出された空気を、換気風路101及び循環風路102のいずれか若しくは双方に方向付けて送り出す役割を果たしている。
図3に示すように、換気風路101は、送風機15の吹出口152と換気口12とを連通し、循環風路102は、送風機15の吹出口152と循環吹出口14とを連通している。従って、換気風路101及び循環風路102からなる送風通路は、それぞれに空気を分岐する二股分岐部を形成しており、その二股分岐部に相当する位置にダンパ16が配置されている。
循環風路102の先に繋がる循環吹出口14には、ヒータケース17に収容されたヒータ18が配置されている。ヒータ18よりも下流側にはルーバー19が配置されている。
上述したように、ダンパ16によって、送風機15の吹出口152から噴出された空気は、各風路に振り分けられている。図4には、換気モードにおけるダンパ16の位置を示し、図5には、循環モードにおけるダンパ16の位置を示す。
図4に示すように、換気モードの実行時においては、ダンパ16は循環風路102及び循環吹出口14を塞ぐような第一位置に位置するように制御されている。また、図5に示すように、循環モードの実行時においては、ダンパ16は換気風路101及び換気口12を塞ぐような第二位置に位置するように制御されている。これにより、換気モードの実行時においては、吹出口152から噴出された空気は全て換気風路101から換気口12へと向かう。また、循環モードの実行時においては、吹出口152から噴出された空気は全て循環風路102から循環吹出口14へと向かう。
このように、各風路を選択的に塞ぐ場合には、ダンパ16と本体ケース10及びヒータケース17との隙間から空気が漏れないようにラビリンス構造を形成することが好ましい。この好ましい態様の例を図6に示す。図6は、本体ケース10に対面壁部101aを設けた例を示している。図6に示すように、ダンパ16の外周面161の端部に対向する位置に対面壁部101aを設けることで、ダンパ16の外周面161が対面壁部101aと向き合う位置に配置されている場合には、その部分においてラビリンス構造が形成され、空気が漏れることがない。このような対面壁部101aと同様の対面壁部は、ヒータケース17にも形成されている。
ここで、図3に戻って、ダンパ16の配置位置について説明を続ける。図3に示すダンパ16の配置位置は、衣類乾燥モードの実行時におけるものである。衣類乾燥モードでは、送風機15の吹出口152から噴出された空気の一部を換気風路101へ、残部を循環風路102へと振り分けるものである。これについて、図7にダンパ16周辺の模式図を示す。
図7に示すように、ダンパ16は、回転軸164回りに回転可能なように構成され、回転軸164には扇形の支持部162が取り付けられている。支持部162の先端には円弧状をなす外周面161が設けられ、外周面161よりも回転軸164側には内周面163が設けられている。外周面161は、換気口12に繋がる換気風路101及び循環吹出口14に繋がる循環風路102を開閉自在に覆うように、回転軸164回りに円弧形状を成している。内周面163は、外周面161よりも回転軸164側に位置し、内周面163の湾曲度は外周面161の湾曲度よりも緩やかになるように形成されている。図7に示す例では、内周面163は平坦な面として形成されている。
衣類乾燥モードは、浴室の空気を吸引し、その一部の空気はヒータ18を経由させて浴室方向に噴出し、残部の空気は浴室外に排出するモードである。換気モードの実行時においては、ダンパ16は循環吹出口14(循環風路102)を塞ぐ第一位置に位置するように回転し(図4参照、図7においては二点鎖線で示す位置)、循環モードの実行時においては、ダンパ16は換気口12(換気風路101)を塞ぐ第二位置に位置するように回転している(図5参照)。一方、図7に示すように、衣類乾燥モードの実行時においては、ダンパ16は、換気口12に繋がる換気風路101の浴室側の下部が換気口に連通するように開口し、非浴室側となる上部を閉じ、且つ内周面163の換気口12側に位置する端部が送風機15側に位置する端部よりも浴室側となる下方に位置し、傾斜された状態で停止するように、第一位置から第二位置を通り過ぎた第三位置まで回転している。ダンパ16は、衣類乾燥モードの実行時においては、この第三位置に固定される。
衣類乾燥モードにおいて、ダンパ16を図7に示すような配置とすることで、送風機15から噴出される空気に含まれる水分は、その過程で冷やされて水滴となり、遠心力の作用によって重い水滴は外方側まで飛ばされるため換気口12側へと積極的に排出される。よって、高温多湿の空気は効率よく外部に排出されるため、衣類を再度湿気させてしまうということがない。そして、衣類の乾燥が進み、空気中の水分が減少して乾燥した空気となった場合は、水分が少ないため遠心力の作用をさほど受けず、水滴は遠くまで飛ばされないため換気口12から排出されることが抑制されて、浴室内に多くが循環風となって戻される。よって、特別な制御等を行うことなく高温の空気を捨てることが抑制できるためエネルギの無駄をなくすることができる。なお、ダンパ16の内周面163は平坦な面として構成されているため内周面163内で空気が澱むことがなく、換気口12や循環吹出口14へと効率よく空気を方向付けることができる。
尚、ダンパ16の形態は、図7等に示されるものに限らない。ダンパ16の変形例を、図8〜図10に示す。図8に示すダンパ16aは、衣類乾燥モードの実行時における第三位置(図中実線で示す位置)に位置する場合に吹出口152側となる半分の内周面163bが平坦であり、換気口12側となる残り半分の内周面163aが湾曲度の大きな曲面をなしている。この場合、吹出口152から噴出された空気は、内周面163aによって積極的に循環吹出口14方面に方向付けられることから、無駄に換気口12から乾いた高温の空気が積極的に排出されることがなく、エネルギの無駄を一層抑えることができる。一方でダンパ16aが第一位置(図中二点鎖線で示す位置)の位置にある換気モードにおいては、第一位置では、第三位置とは反転する関係になることから湾曲面が形成された内周面163aは吹出口152側に位置する。よって、空気の方向付けに対して内周面163aは寄与度が低い位置となり澱みが発生するようなことがない。第一位置においては、平坦な内周面163bが寄与度の高くなる換気口12側に位置するため換気性能を一切損なうことなく、衣類乾燥モードでの性能を更に向上させることができたものである。
続いて、図9に示すダンパ16bは、衣類乾燥モードの実行時における第三位置(図中実線で示す位置)に位置する場合に換気口12側となる端部に、空気指向部163cを形成している。この場合、吹出口152から噴出された空気は、空気指向部163cによって積極的に循環吹出口14方面に方向付けられることから、無駄に換気口12から乾いた高温の空気が積極的に排出されることがなく、エネルギの無駄を一層抑えることができる。一方でダンパ16aが第一位置(図中二点鎖線で示す位置)の位置にある換気モードにおいては、第一位置では、第三位置とは反転する関係になることから空気指向部163cは、吹出口152側に位置し、その位置においては吹出口152から吹き出される空気への影響がないような位置に収まっている。よって、空気の方向付けに対して空気指向部163cは寄与度が低い位置となり澱みが発生するようなことがない。
続いて、図10に示すダンパ16cは、内周面163dが平坦面ではなく曲率が非常に大きな円弧状を成しており、当然その曲率半径は外周面161の曲率半径よりも大きくなるように形成されている。この場合、吹出口152から噴出された空気は、より緩やかな湾曲度を形成している内周面163dによって方向付けられることから、換気モードでの澱みの発生が殆どない状態に抑えることができる一方で、衣類乾燥モードでの循環吹出口14への方向付けが強まることから、やはり換気性能を高めつつ、衣類乾燥モードの性能も高めることができたものである。
また、図3等に示すように、ダンパ16の回転中心よりもヒータ18の中心を外側に位置させ、循環吹出口14の外側端に向かう傾斜ガイド面102aを形成している。ダンパ16の内周面163の湾曲が小さくなっていることから循環吹出口14側に気流を指向させる力が低下させられているものの、ダンパ16の回転中心よりもヒータ18の中心が外側に偏倚するように配置され、更に循環吹出口14の外側端に向う傾斜ガイド面102aを形成することで、ダンパ16を用いた衣類乾燥モードにおいてもスムーズに気流を循環吹出口14から噴出させることができる。言い換えれば、循環吹出口14側の圧力損失を低下させることができているため、換気口12側への不必要な高温空気の排出を抑制することができるため、衣類乾燥性能を向上させることができている。
続いて、隔壁部材20について図11及び図12を参照しながら説明する。図11は、浴室側となる下方から隔壁部材20を見た斜視図を示し、図12は、送風機15側となる上方から隔壁部材20を見た斜視図を示す。図11及び図12に示すように、隔壁部材20は、送風機15の吸引口151に対応した開口部202a及び浴室外吸引口11に繋がるように形成された開口部202bを有するベース板202と、ベース板202の周囲を囲むように環状に立設された環状壁201と、隔壁部材20の浴室外吸引口11側の一側部を覆うカバー板203と、を備えている。また、カバー板203によって隔離される空間(カバー板203と開口部202bとの間の空間)の送風機15側には、カバー板203とベース板201との間に形成される開口部があり、その開口部を開閉自在に覆うようにダンパ204(第二ダンパ)が設けられている。このダンパ204が設けられている開口部は、浴室外吸引口11に繋がる開口部202bよりも広い開口幅を有しており、送風機15の吸引口151よりも広い開口幅を有している。ダンパ204は、ダンパモータ205によって揺動自在に構成されている。
ダンパ204は単一のダンパとして形成され、浴室外吸引口11から送風機15の吸引口151に繋がる流路を開閉自在に覆うように構成されている。ダンパ204は、隔壁部材20の他端側(フィルター側、カバー30側)で揺動自在に支持固定され、換気モードにおいてフィルターと対面するように揺動させることで浴室吸引口13の開口面積を狭めて浴室外吸引口11から送風機15の吸引口151に至るまでの流路を開放するように構成されている。
また、隔壁部材20は、送風機15の吸引口151を囲むように環状壁201が環状形状として構成され、環状壁201の一端がベース板202を介して本体ケース10に固定され、他端は自由端となっており、その他端がフィルターに近接若しくは当接するように延設され、送風機15の吸引口151に向う方向に対する側方からの吸気が抑制されるように構成されている。
ここで、隔壁部材20の変形例である隔壁部材20aを図13に示す。図13に示す隔壁部材20aは、隔壁部材20に対してダンパ206(第三ダンパ)を追加している。ダンパ206は、浴室吸引口13を全開としたり一部閉としたりすることができるように、ダンパモータ207によって揺動自在に軸支されている。
更に隔壁部材20aに固定カバーであるカバー板208を追加した隔壁部材20bを図14及び図15に示す。図15に示すように、隔壁部材20bにおいて、ダンパ204が浴室外吸引口11を全開し、ダンパ206が浴室吸引口13を一部閉じるようにそれぞれ揺動すると、カバー板203とカバー板208との間の隙間部分が狭められ、浴室側から空気を吸引する圧力損失が増大するので、浴室外から空気を吸引する圧力損失が相対的に減少し、浴室内と浴室外との換気比率を同等とすることも可能となる。
ここで、図16に、ダンパ204及びダンパ206の揺動状態を示す。図16に示すように、実線で示したダンパ204及びダンパ206の位置は、図15に示した位置である。ダンパ204は、浴室外吸引口11を閉じる場合には、二点鎖線で示す204aの位置まで揺動する。ダンパ206は、浴室吸引口13を全開する場合には、二点鎖線で示す206a又は206bの位置まで揺動する。
また、カバー板208には、複数の孔209(第二隙間部分)を設けて、カバー板203とカバー板208との間の隙間部分以外から、フィルターを経由して空気を吸引可能なように構成している。これら複数の孔209それぞれに、ダンパ210(第四ダンパ)を設けて、実線で示す位置と210aとして二点鎖線で示す位置との間を揺動することが好ましい。
上述した構成とすれば、浴室吸引口13の一部分を挟んで、その両側部分を覆うように配置される一対の固定カバーとしてのカバー板203,208を備え、カバー板203,208の間の隙間部分を挟んでダンパ204とダンパ206とを配置し、循環モードの実行時においては、ダンパ204及びダンパ206が隙間部分を開放し(図15参照)、換気モードの実行時においては、ダンパ204及びダンパ206が隙間部分を狭めるように、ダンパ204及びダンパ206を揺動させることができる。
また、カバー板203,208の間の隙間部分は、送風機15の吸引口151の中心よりも浴室外吸引口11側に偏倚させて形成されており、ダンパ204が浴室外吸引口11を全閉する際には、送風機15送風機による隙間部分からの空気の吸引に干渉しないように位置し、ダンパ204が浴室外吸引口11を全開する際には、送風機15による隙間部分からの空気の吸引に干渉するように位置することもできる。
また、浴室吸引口13の下部において浴室吸引口13を全て覆うようにフィルターを備え、ダンパ204を全開する位置に揺動させ、ダンパ206を一部閉する位置に揺動させた場合に(図16参照)、ダンパ204及びダンパ206とフィルターとの間に所定の空間が形成されるように構成することもできる。
また、カバー板208に、換気モードの実行時において、隙間部分以外からフィルターを経由して空気を吸引可能なように孔209(第二隙間部分)を形成し、孔209に対して、ダンパ206と同様の機能を発揮するダンパ210(第四ダンパ)を配置し、換気モードの実行時において、ダンパ210が孔209を全閉しないように構成することもできる。
上述したような送風機モータFMやダンパモータ205,207は、制御部CUから出力される制御信号によって駆動される。制御部CUによる制御ブロックを図17に示す。図17に示すように、リモコン71及び第1及び第2温度センサ51、53 からの入力を受け付け、送風機モータFM,ダンパ16を回動させるダンパモータM1,ダンパ204を回動させるダンパモータ205,ダンパ207を回動させるダンパモータ207や、ヒータ18に対する指令を行うように構成されている。そして、制御部CUは、例えば、プロセッサ及びメモリにより構成され、所定のプログラムを実行することにより、図17に示すような制御を行う。
続いて、カバー30の構成について、図18及び図19を参照しながら説明する。図18は、カバー30の斜視図である。図19は、カバー30のフィルター33近傍を拡大した斜視図である。
カバー30は、本体ケース10の浴室側となる下部を覆うカバーである。カバー30は、本体ケース10側に位置する内側カバー32と、浴室側に位置する外側カバー31とを備えている。
内側カバー32は、本体ケース10に対して四隅のボルト50によって固定される。内側カバー32には、フィルター33が設けられている。内側カバー32の外周には、本体ケース10との間でラビリンス構造を形成することができるように、周縁ラビリンス壁321が形成されている。また、内側カバー32には、ルーバー19との間でラビリンス構造を形成することができるように、第1ルーバーラビリンス壁322及び第2ルーバーラビリンス壁323が形成されている。
フィルター33は、内側カバー32に設けられたレール状のラビリンス溝324にスライド挿入されて、内側カバーとの間でラビリンス構造を構成するように形成されている。更に、フィルター33には、フィルター押え34が設けられている。
上述したような構成のカバー30を本体ケース10に取り付けることで、送風機としての送風機15とフィルター33との間の空間を負圧発生部として構成することができる。
本実施形態では、このように構成することで、フィルター33が過度に目詰まりした場合に、負圧発生部の負圧を上昇させて、ヒータ18を通過した下流の空気をフィルター33を通さずに帰還気流として送風機15へ帰還させる帰還流路を形成することが可能となっている。この帰還流路について、図20及び図21を参照しながら説明する。図20は、カバー30を取り外して浴室側から見た本体ケース10の平面図である。図21は、送風機15からヒータ18近傍の断面図である。
本体ケース10の周縁には、周縁ラビリンス壁103が形成されており、カバー30の周縁ラビリンス壁321と組合わさることによって、全周に渡ってラビリンス構造が構成されている。
負圧発生部の中核をなす送風機15の吸引口151を囲むように隔壁部材20が配置され、集中負圧発生室を構成している。図20に示すように、隔壁部材20のヒータ18側に負圧吸引通路用切り欠き41が形成されている。また、第1ルーバーラビリンス壁322にも、負圧吸引通路用切り欠き42が形成されている。これによって、隔壁部材20が囲まれた部分に負圧が発生すると、図20に示す矢印に沿った帰還気流が発生する。この帰還気流は、負圧吸引通路用切り欠き42から負圧吸引通路用切り欠き41に向かって流れ、帰還流路が形成される。この帰還流路に、温度センサ51が配置されている。
図20に示すように、送風機15と循環吹出口14(ヒータ18、ルーバー19)とは本体ケース10の対角線に沿った対角配置とされている。また、ルーバー19側の負圧吸引通路用切り欠き42は、その長さが比較的長めに(略ルーバー19の一辺と同じ長さ)形成され、送風機15側の負圧吸引通路用切り欠き41は、比較的短めに形成されている。フィルターが過度に目詰まりし、集中負圧発生室に大きな負圧が発生すると、送風機15の中心に向けて収束しながら帰還気流は流れるが、本実施形態では更に負圧吸引通路用切り欠き41を設けているために帰還気流は更に収束しながら流れるため、送風機15側に偏倚し、負圧吸引通路用切り欠き41の近傍に温度センサ51が配置されている本実施形態では、帰還気流を確実に温度センサ51上を通過させることができる。
ヒータケース17に対して、ルーバー19はボルトによって固定されている。図20に示すように、ルーバー19のボルト固定部181,182は、中心を挟んで等距離離れている。従って、図20に示す構成の場合、ルーバー19側の負圧吸引通路用切り欠き42よりも遠い方のボルト固定部181を固定することで、負圧吸引通路用切り欠き42側の締結力を低減させることができる。より具体的には、ボルト(図に明示しない。以下同じ)の締結力によってヒータケース17とルーバー19との気密性を調整することができる。従って、ボルトを締結するのみで意図した気密性を得ることができ、正確に異常温度判断が行え、組み立て作業を容易なものとすることができる。また、送風機15側の一側面とは反対側をボルトによって締結することで、送風機15側の締結力を比較的低く抑えることができる。従って、簡単な構造で意図した気密性の差を作り出すことができ、取り付け方向を簡単に変更することもできる。更に、ヒータケース17に設けられたボルト支持部(図に明示しない)のみを送風機15とは反対側にのみ偏倚するように設けると、組み立て作業上のミスを低減し、意図した気密性の差を作り出すことができる。
また、本実施形態の場合には、帰還流路への空気の取り込み部となる負圧吸引通路用切り欠き42よりも上流側であって上方の位置に温度ヒューズ52を設けている。従って、負圧が発生し、負圧吸引通路用切り欠き42から空気が吸い込まれると、温度ヒューズ52を必ず空気が通るように構成することができる。より具体的には、上述したように本実施形態に係る浴室乾燥機DMは、送風機15とフィルター33との間に形成した負圧発生部に、フィルター33の目詰まりが過剰に進行すると大きな負圧が発生するように構成すると同時に、この発生した大きな負圧によってヒータ18を通過した高温の空気が確実に吸引されて、フィルター33を通過しない形で構成される帰還流路を確実に通って送風機15に帰還できるように構成している。一方、温度ヒューズ52の役割は、ヒータ18回りの温度上昇が更に進行し、ヒータ18を流れる空気が全く無くなってしまうような場合には、温度ヒューズ52によってヒータ18から伝搬する熱の温度に基づく回路遮断を行うことで、送風機15の送風機ロックのような危険な状況に基づく温度上昇に対応することができるようにしたものである。上述したように、フィルター33の目詰まり時には負圧発生部における負圧の発生により帰還気流を発生させているので、その帰還気流が流れる帰還流路の取り込み部の上流側且つ上方に温度ヒューズ52を配置していることで、負圧による吸引がある場合は積極的に温度ヒューズ52近傍を空気が流れるように構成し、送風機15が駆動している場合に温度ヒューズ52が遮断されてしまうことを防止できるように構成しているものである。また、傾斜ガイド面102aの近傍には、温度センサ53が配置されている。