JP5216530B2 - 脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板 - Google Patents
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K0=5.68×10-20{2.25×10-2[−400・d(t/2)-1/2+313]2−15[−400・d(t/2)-1/2+313]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[−400・d(t/4)-1/2+313]+32700)2} …(1)
2.0≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 …(1a)
但し、[Ca],[S]および[O]は、夫々Ca,SおよびOの含有量(質量%)を示す。
所定位置の平均結晶粒径との関係で規定されるK0が、(K0>6750)の関係を満足するものとすることによって、脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板が実現でき、こうした鋼板は、船舶、建築物を始めとする各種大型構造物の素材として有用である。
尚、「vTrs(板厚中央部近傍)」はシャルピー衝撃試験によって求められる板厚中央部近傍の脆性破面遷移温度vTrsであり、「vTrs(表層近傍)」はシャルピー衝撃試験によって求められる表層近傍の脆性破面遷移温度vTrsである。
vTrs=―400・[√(1/d)]+313 …(3)
K0=5.68×10-20{2.25×10-2[−400・d(t/2)-1/2+313]2−15[−400・d(t/2)-1/2+313]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[−400・d(t/4)-1/2+313]+32700)2} …(1)
Cは鋼板(溶接母材)の強度を確保するために必要な元素であり、所望の強度を確保するためには0.03%以上含有させる必要がある。しかしながら、Cを過剰に含有させると、HAZ靭性が却って低下することになる。こうしたことから、その上限は0.10%とする必要がある。尚、C含有量の好ましい下限は0.04%(より好ましくは0.05%)であり、好ましい上限は0.09%(より好ましくは0.08%)である。
Siは鋼板の強度を確保するために有効な元素であり、必要により含有される。しかしながら、過剰に含有されると鋼材(母材)に島状マルテンサイト相(MA相)を多量に析出させてHAZ靭性を劣化させる。こうしたことから、その上限を0.50%とした。尚、Si含有量の好ましい下限は0.1%であり、好ましい上限は0.4%である。
Mnは焼入れ性を向上させて鋼板強度を確保する上で有効な元素であり、こうした効果を発揮させるためには、Mnは1.0%以上含有させる必要がある。しかしながらMnを過剰に含有させると、鋼板のHAZ靭性が劣化するので上限を2.0%とする。Mn含有量の好ましい下限は1.3%であり、好ましい上限は1.8%である。
Pは不可避的に混入してくる不純物であり、鋼板およびHAZの靭性に悪影響を及ぼすのでできるだけ少ない方が好ましい。こうした観点から、Pは0.015%以下に抑制するのが良い。P含有量の好ましい上限は0.01%である。
Sは、鋼板中の合金元素と化合して種々の介在物を形成し、鋼板の延性や靭性に有害に作用する不純物であるので、できるだけ少ない方が好ましいのであるが、実用鋼の清浄度の程度を考慮して0.010%以下に抑制するのがよい。尚、Sは鋼に不可避的に含まれる不純物であり、その量を0%とすることは工業生産上困難である。
Alは脱酸剤として有効な元素であると共に、鋼板のミクロ組織微細化による母材靭性向上効果も発揮する。こうした効果を発揮させるためには、Al含有量は0.005%以上とする必要がある。しかしながら、過剰に含有されると鋼板(母材)に島状マルテンサイト相(MA相)を多量に析出させてHAZ靭性を劣化させる。こうしたことから、その上限を0.060%とした。尚、Al含有量の好ましい下限は0.01%であり(より好ましくは0.02%)、好ましい上限は0.04%である。
Nbは焼入れ性を向上させて母材強度を向上させる効果を発揮する。しかしながら、多量に含有されると炭化物の生成が多くなり脆性亀裂伝播停止特性が劣化するため、0.060%以下(より好ましくは0.04%以下)とするのが良い。尚、これらの効果を有効に発揮させるための含有量は、0.020%以上である。
Tiは、鋼中にTiNを微細分散させて加熱中のオーステナイト粒の粗大化を防止するとともに、Nbと同様にオーステナイトの再結晶を抑制する効果があるため、オーステナイト粒を微細化し、変態後の組織を微細化する効果を発揮する。また、TiNは溶接時におけるHAZ部のオーステナイト粒を微細化し、HAZ靭性改善に有効である。こうした効果を発揮させるためには、Tiは0.008%以上含有させる必要がある。しかしながら、Tiの含有量が過剰になると溶接性が損なわれるので、0.030%以下とする。
Nは、Al,Ti,Nb,B等と結合し、窒化物を形成して母材組織を微細化させる効果があるとともに、溶接時のオーステナイト粒の微細化や粒内組織を微細化し、HAZ靭性を向上させる。こうした効果を発揮させるには、Nは0.0020%以上含有させる必要がある。しかし、固溶NはHAZ靭性を劣化させる原因となる。全窒素量の増加により、前述の窒化物は増加するが固溶Nも過剰となり、有害となるため、0.010%以下とする。好ましくは、0.008%以下(より好ましくは0.006%以下)である。
Oは、不可避的不純物として含有されるが、鋼中では酸化物として存在する。しかしながら、その含有量が0.010%を超えると粗大な酸化物が生成してHAZ靭性が劣化する。こうしたことから、O含有量の上限を0.010%とする。O含有量の好ましい上限は0.005%(より好ましくは0.003%)である。
Bの固溶量は脆性亀裂伝播停止特性の向上に有効な擬ポリゴナル・フェライトの生成に大きく影響するため制限する必要がある。固溶Bが0.0005%を超えると擬ポリゴナル・フェライトが生成しにくくなり、脆性亀裂伝播停止特性を低下させてしまう。こうしたことから、固溶Bの上限を0.0005%とするのがよい。好ましくは、0.0003%以下(より好ましく0.0001%以下)に抑制するのが良い。固溶B量は、Bの添加量と加熱・圧延条件によって制御することができる。B添加量を少なくする、加熱温度を低くする、低温での圧延圧下量を増加することで固溶B量を低減(0.0005%以下)することができる。
Cu、NiおよびCrは、いずれも焼入れ性を高めて強度を向上させるのに有効な元素であり、必要によって含有される。しかしながら、これらの元素の含有量が過剰になると、HAZ靭性が却って低下するので、いずれも2%以下(より好ましくは1%以下)とするのがよい。上記効果を発揮させるための好ましい下限は、いずれも0.20%(より好ましくは0.40%)である。
Moは焼入れ性を向上させ強度確保に有効であり、焼戻し脆性を防止するために適宜利用される。こうした効果はその含有量が増加するにつれて増大するが、Mo含有量が過剰になるとHAZ靭性が劣化するので、0.5%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.30%以下とするのが良い。
Vは焼入れ性を向上させて母材強度を向上させる効果を発揮する。またVは焼戻し軟化抵抗を高くする効果もある。しかしながら、多量に含有されるとHAZ靭性が劣化するため、0.1%以下(より好ましくは0.05%以下)とするのが良い。尚、これらの効果を有効に発揮させるための含有量は、0.01%以上である。
Mgは、MgOを形成して、HAZにおけるオーステナイト粒の粗大化を抑制することによって、HAZ靭性を向上させる効果を有するため、必要によって含有される。しかしながらMgの含有量が過剰になると、介在物が粗大化してHAZ靭性が劣化するため、0.005%以下(より好ましくは0.0035%以下)にするのが良い。
を含まない)]
ZrおよびHfは、Tiと同様、Nと窒化物を形成し、溶接時におけるHAZのオーステナイト粒を微細化し、HAZ靭性改善に有効な元素である。しかし、過剰に含有されるとHAZ靭性を却って低下させる。このため、これらの元素を含有するときには、Zrは0.1%以下、Hfは0.05%以下とするのが良い。
Caは硫化物の形態を制御してHAZ靭性の向上に寄与する元素である。しかし、0.0035%を超えて過剰に含有させてもHAZ靭性が却って劣化する。尚、Ca含有量の好ましい上限は0.0020%(より好ましくは0.0015%)である。
2.0≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 …(1a)
但し、[Ca],[S]および[O]は、夫々Ca,SおよびOの含有量(質量%)を示す。
まない)]
CoおよびWは、焼入れ性を向上させ母材強度を高める効果を有するので、必要により含有される。しかし、過剰に含有するとHAZ靭性が劣化するため、上限をいずれも2.5%とするのが良い。
希土類元素(REM)は、鋼材中に不可避的に混入してくる介在物(酸化物や硫化物等)の形状を微細化・球状化することによって、HAZの靭性向上に寄与する元素であり、必要によって含有される。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、REMの含有量が過剰になると、介在物が粗大化してHAZ靭性が劣化するため、0.010%以下に抑えることが好ましい。尚、本発明において、REMとは、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)およびSc(スカンジウム)とY(イットリウム)を含む意味である。
鋼板の組織を一旦全てオーステナイト化する観点から950℃以上とする必要があるが、加熱温度が1300℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化して後の工程で所望の組織を得ることは難しくなる。
この温度範囲での累積圧下率を10〜30%とすることによって、後の工程との組合わせによって、グラニュラ化(粒状化)できる。この温度範囲を外れたり、累積圧下率が10%未満或は30%超では、擬ポリゴナル・フェライトを30%以上確保できない。尚、本発明において「Ar3変態点」とは、下記(4)式で求められた値である。
Ar3=910−230×[C]+25×[Si]−74×[Mn]−56×[Cu]
−16×[Ni]−9×[Cr]−5×[Mo]−1620×[Nb]…(4)
但し、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr],[Mo]および[Nb]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,MoおよびNbの含有量(質量%)を示す(これらの元素のうち、含有しないときには、その項を除いて計算する)。
この温度範囲での累積圧下率を10%以上とすることによって、適正量のグラニュラ化(粒状化)ができる。この温度範囲を外れたり、累積圧下率が10%未満或は20%超では擬ポリゴナル・フェライトを30%以上確保できない。尚、上記累積圧下率は、下記(5)式によって求められるものである。
累積圧下率=(t0−t1)/t0×100 …(5)
〔式(5)中、t0は当該温度域での鋼片の圧延開始厚(mm)を表し、t1は当該温度域での鋼片の圧延終了厚(mm)を表す。〕
圧延後の待機時間が30秒未満では、板厚中心部の温度が高く、板厚中心部の平均結晶粒径が大きくなり、前記K0値が6750MPa・mm1/2超を満足させることができない。また待機時間が150秒を超えると、粒成長が進んで、板の中心部、表層部を問わず平均結晶粒径が大きくなり、前記K0値が6750MPa・mm1/2超を満足させることができない。
冷却時の平均冷却速度が0.1℃/秒未満或は20℃/秒超では、グラニュラ化(粒状化)することができない。また、冷却を500℃までとするのは、これ以下の温度ではそれ以上の組織変態を生じないからである。
K0=Ks+Kd=K0・r+Kd …(6)
K0=Kd/(1−r) …(7)
K0=Kd/(1−r)=f2(vTrs(t/2)/(1−f1(vTrs(t/4)))) …(8)
r=(4/π)(ts1/t)(σY1/σ0)cos-1{(a−1s1)/a}…(9)
但し、ts1:表層部の延性破壊(シアリップ)の幅(mm)、σY1:温度T0における鋼板表層近傍の高速引張変形時の降伏応力(MPa)、σ0:ESSO試験時の降伏応力(MPa)、a:亀裂長さ(mm)、1s1:サイドリガメント長さ(mm)、を夫々示す。
ts1=ks1・rp …(10)
rp=1/6π・(KD(B)/σY1)2 …(11)
但し、KD(B):表層部近傍の動的破壊靭性値(MPa・mm1/2)
KD(B)=Kci …(12)
Kci=3.81×(σy0/9.8)・exp{k0(1/iTk−1/T0)} …(13)
K0=6.65・iTk−290 …(14)
iTk=(0.0032×σy0/9.8+0.391)vTrs+2.74(t)1/2+17.3 …(15)
但し、σy0:鋼材の室温(25℃)での降伏応力
KD(B)=Kci(B)d=―92vTrs+32700 …(16)
r=3.288×10-9(−92v[Trs(表層近傍)]+32700)2…(17)
r=3.288×10-9(−92[vTrs(t/4)]+32700)2 …(18)
r=f1’(ts1、σY1、σ0、(a−1s1)/a)
=f1’(KD(B)、ks1、σY1、σ0、(a−1s1)/a)
=f1’([vTrs(表層近傍)]、σy0、T0、t、ks1、σY1、σ0、(a−1s1)/a)
vTrs(表層近傍):表面近傍の破面遷移温度(℃)→鋼材から採取
σy0:鋼材の室温(25℃)での降伏応力→鋼材から採取
T0:設計要件から得られる温度条件である。
t:鋼板の厚さ→鋼材から採取
ks1:シアリップ幅と塑性域寸法の比→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
σY1:温度T0における鋼材表層近傍の高速引張変形時の降伏応力→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
σ0:設計要件から得られる負荷応力条件である。
(a−1s1)/a:aは亀裂長さ、1s1はサイドリガメント長さであり、いずれも一般的な鋼材に対して参考文献2により類推できる。
r=f1’’([vTrs(表層近傍)]、σy0、t)となり、
ある降伏応力σy0および板厚tの条件に対して、r=f1([vTrs(表層近傍)])と表すことができる。
σF=σY2・Σyy{(1−ν2)(Kd/σY2)2/rc}-s …(19)
σF=2.25×10-2vTrs2−15vTrs+6418 …(20)
Kd=5.68×10-20(2.25×10-2vTrs2−15vTrs+6418)6.25
…(21)
Kd=5.68×10-20(2.25×10-2[vTrs(板厚中央部近傍)]2−15[vTrs(板厚中央部近傍)]+6418)6.25
=5.68×10-20(2.25×10-2[vTrs(t/2)]2−15[vTrs(1/2)]+6418)6.25 …(22)
Kd=f2’(σF、σY2、rc、ν、−s、Σyy)
=f2’([vTrs(板厚中央部近傍)]、σY2、rc、ν、−s、Σyy)…(23)
vTrs(板厚中央部近傍):板厚中央部近傍の破面遷移温度(℃)→鋼材から採取
σY2:温度T0における板厚中央部近傍の高速引張変形時の降伏応力→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
rc:局部領域を示す定数→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
ν:ポアソン比→一般的な鋼材に対し0.3とされている。
−s:応力特異性の強さを表す指数→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
Σyy:応力の強さを表す係数→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
K0=Kd(1−r)=5.68×10-20{2.25×10-2[vTrs(板厚中央部近傍)]2−15[vTrs(板厚中央部近傍)]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[vTrs(表層近傍)]+32700)2} …(24)
=5.68×10-20{2.25×10-2[vTrs(t/2)]2−15[vTrs(t/2)]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[vTrs(t/4)]+32700)2} …(25)
下記表1、2に化学成分組成を示す各種溶鋼を、通常の溶製法によって溶製し、この溶鋼を冷却してスラブとした後、下記表3、4に示した条件で熱間圧延および冷却を行い、各種鋼板(厚み:60mm)を得た。尚、下記表1、2において、REMはLaを50%程度とCeを25%程度含有するミッシュメタルの形態で添加した。下記表1、2中「−」は元素を添加していないことを示している。また表1、2には、[1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])]の値(以下、「A値」と呼ぶ)も同時に示した。
各鋼板のt/4部、t/2部から採取した2cm角の試験片を鏡面研磨した後、ナイタール腐食液(2%硝酸−エタノール溶液)でエッチング後、ナノインデンター(エリオニクス製、「ENT−1100」)を用いて、TD面を荷重250mgで測定した。150μm×200μmの観察範囲で、まずは粒状組織(アスペクト比3以下)を選別し、当該粒状組織の硬さ測定を行って、Hv150〜200の範囲にある粒状組織を擬ポリゴナル・フェライトと判別した。そして、光学顕微鏡にて上記硬さ測定を行った試料観察面の写真撮影を行い、その後、画像解析ソフト(Media Cybernetics製:Image−Pro Plus)を用いて、硬さ測定結果により擬ポリゴナル・フェライトと判別された組織の面積分率(平均値)の定量化を行なった。
固溶B量は、抽出残渣の化学分析試験によって定量化した。試験片はt/4部とt/2部の位置から10mm×10mm角を採取し、10質量%アセチルアセトン−1質量%テトラメチルアンモニウムクロリドーメタノール溶液を電解液として、200mA/m2以下の電流下で抽出し、0.1μmのフィルターを用いた。
各鋼板のt/4部からNK U14号試験片を採取し、JIS Z2241に従って引張試験を行うことによって、降伏点YPおよび引張強度TSを測定した。
母材の衝撃特性(靭性)は、Vノッチシャルピー試験を行い、遷移曲線によりvTrs(脆性破面遷移温度)を求めた。t/4部からJIS4号試験片を採取し、JIS Z2242に従って試験を実施した。このとき各温度(最低4温度以上)の測定につき、n=3で試験を実施し、3点中最も脆性破面率の高い点を通るように脆性破面遷移曲線を描き、脆性破面率50%の温度を脆性破面遷移温度vTrsとして算出した(vTrsが最も高温側となるように線を引く)。
脆性亀裂伝播停止特性(アレスト特性)は、社団法人日本溶接協会(WES)発行の鋼種認定試験方法(2003年3月31日制定)で規定される「脆性破壊伝播停止試験」に準じて行った。試験は、脆性破壊伝播停止試験方法の図7.2に示されている形状の試験片を用い、該試験片に−190℃〜+60℃の範囲から選ばれる任意の温度範囲で温度勾配をつけて4試験体分行った。Kca値は下記(26)式で算出した。下記(26)式中、cは伝播部入口から脆性亀裂先端までの長さ、σは伝播部入り口から脆性亀裂先端までの長さ、Wは伝播部幅を、夫々示している。
サブマージアーク溶接(2kJ/mm)を行ったときの熱サイクルを模擬したHAZ靭性評価法として、加熱温度:1400℃で5秒保持、その後冷却が800〜500℃の冷却時間(Tc):25秒の熱サイクルで各供試鋼板を熱処理した後、温度−15℃におけるシャルピー吸収エネルギー(Vノッチ)を測定した。尚、試験片としては、t/4部から採取したサイズ10mm×10mm×55mmの棒状で、中央部片面に深さ;2mmのVノッチを形成したものを使用した。このときVシャルピー衝撃値(vE−15)が100J以上を合格とした。
エレクトロスラグ溶接(60kJ/mm)を行ったときの熱サイクルを模擬したHAZ靭性評価法として、加熱温度:1400℃で50秒保持、その後冷却が800〜500℃の冷却時間(Tc):500秒の熱サイクルで各供試鋼板を熱処理した後、温度−55℃におけるシャルピー吸収エネルギー(Vノッチ)を測定した。尚、試験片としては、t/4部から採取したサイズ10mm×10mm×55mmの棒状で、中央部片面に深さ;2mmのVノッチを形成したものを使用した。尚、このときVシャルピー衝撃値(vE−55)については、本発明の要件を満足するもの(Caを含有するもの)についてのみ評価し、比較例については評価を行なわなかった。
Claims (10)
- C:0.03〜0.10%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、
Si:0.50%以下(0%を含む)、
Mn:1.0〜2.0%、
P:0.015%以下(0%を含まない)、
S:0.010%以下(0%を含まない)、
Al:0.005〜0.060%、
Nb:0.020〜0.060%、
Ti:0.008〜0.030%、
N:0.0020〜0.010%、および
O:0.010%以下(0%を含まない)を夫々含有すると共に、
固溶B:0.0005%以下(0%を含む)に抑制し、
表面から深さt/4〜t/2(tは板厚を表す、以下同じ)の位置のミクロ組織において、擬ポリゴナル・フェライトの平均面積率が30〜85%であり、且つ
表面から深さt/4およびt/2の位置の平均結晶粒径(μm)を、夫々d(t/4)およびd(t/2)としたとき、下記(1)式で規定されるK0が、(K0>6750)の関係を満足するものであることを特徴とする脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板。
K0=5.68×10-20{2.25×10-2[−400・d(t/2)-1/2+313]2−15[−400・d(t/2)-1/2+313]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[−400・d(t/4)-1/2+313]+32700)2} …(1) - 更に、Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCr:2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有するものである請求項1に記載の厚鋼板。
- 更に、Mo:0.5%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1または2に記載の厚鋼板。
- 更に、V:0.1%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板。
- 更に、Mg:0.005%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の厚鋼板。
- 更に、Zr:0.1%以下(0%を含まない)および/またはHf:0.05%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の厚鋼板。
- 更に、Ca:0.0035%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の厚鋼板。
- 下記(1a)式を満たすものである請求項7に記載の厚鋼板。
2.0≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 …(1a)
但し、[Ca],[S]および[O]は、夫々Ca,SおよびOの含有量(質量%)を示す。 - 更に、Co:2.5%以下(0%を含まない)および/またはW:2.5%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜8のいずれかに記載の厚鋼板。
- 更に、希土類元素:0.010%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜9のいずれかに記載の厚鋼板。
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