JP5216530B2 - 脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板 - Google Patents

脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、主として船舶や橋梁の構造材料の素材として用いられる厚鋼板に関するものであり、特に発生した脆性亀裂の伝播を停止する特性(アレスト特性)を改善した厚鋼板に関するものである。
船舶、建築物、タンク、海洋構造物、ラインパイプ等の構造物に用いられる厚鋼板には、構造物の脆性破壊を抑制するために、脆性亀裂の伝播による破壊を抑制する能力であるアレスト特性(以下、「脆性亀裂伝播停止特性」と呼ぶことがある)が求められることになる。近年、構造物の大型化に伴い、降伏応力が390MPa以上、板厚が50mm以上の高強度厚鋼板を使用するケースが多くなっている。しかしながら、上記のような脆性亀裂伝播停止特性は、一般に鋼板が高強度・厚肉化になるにつれてそれを確保することが困難になる。
一方、コンテナ船においても効率化のために大型化が進んでおり、それに伴って厚肉・高強度の鋼板が使用されるようになっている。船体の破壊安全性を考えると、脆性破壊を発生させないことは第一に重要であるが、仮に脆性破壊が発生した場合であっても、船体の全崩壊を避けるために、亀裂の伝播を停止させるように船体に脆性亀裂伝播停止特性を具備させることが重要である。このような背景から、ハッチコーミング部から発生した脆性亀裂をアッパーデッキ部にて停止させることが求められている。
脆性亀裂を停止させるためにアッパーデッキ部に求められる脆性亀裂伝播停止特性に関しては、これまでにも検討がなされてきており、負荷応力や脆性亀裂進展長さが大きくなっても厚板鋼板での応力拡大係数K値は飽和し、−10℃でのKca値(脆性亀裂伝播停止特性の指標となる数値)が3500MPa・mm1/2程度であれば、脆性亀裂の進展を停止させることができると考えられている。従って、特にコンテナ船においては高強度厚鋼板において上記脆性亀裂伝播停止特性を付与させる技術が望まれている。また、更には上記Kca値は、より高い値(例えば、4500MPa・mm1/2)が得られることが望まれている。
脆性亀裂伝播停止特性を向上させる方法としては、(a)合金元素を添加する方法、(b)結晶粒径を微細化する方法、等が知られている。このうち合金元素を添加する方法としては、例えば特許文献1のような技術が提案されている。この技術では、合金元素としてNiを含有させ、冷却過程での冷却速度を制御することによって、ベイナイトの粒径を微細化して脆性亀裂伝播停止特性を向上させている。しかしながら、このような技術では、合金元素添加によるコスト増大を招くことにもなる。
一方、結晶粒径を微細化することによって脆性亀裂伝播停止特性を向上させる方法としては、例えば特許文献2、3のような技術が知られている。これらの技術では、フェライトを母相とし、このフェライトの粒径を微細化することによって良好な脆性亀裂伝播停止特性を確保するものである。しかしながら、これらの技術では軟質のフェライトを母相としているので、高強度で厚い鋼板への適用は困難である。
特開2007−302993号公報 特許第3845113号公報 特開2002−256374号公報
本発明は前記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、製造コストの増大を招くことなく、板厚が50mmを超える場合においても高強度(引張強度が490MPa以上)を満足し、且つ−10℃におけるKca値で4500MPa・mm1/2以上を満足する様な脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板を提供することにある。
前記目的を達成することのできた本発明の厚鋼板とは、C:0.03〜0.10%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、Si:0.50%以下(0%を含む)、Mn:1.0〜2.0%、P:0.015%以下(0%を含まない)、S:0.010%以下(0%を含まない)、Al:0.005〜0.060%、Nb:0.020〜0.060%、Ti:0.008〜0.030%、N:0.0020〜0.010%、およびO:0.010%以下(0%を含まない)を夫々含有すると共に、固溶B:0.0005%以下(0%を含む)に抑制し、表面から深さt/4〜t/2(tは板厚を表す、以下同じ)の位置のミクロ組織において、擬ポリゴナル・フェライトの平均面積率が30〜85%であり、且つ表面から深さt/4およびt/2の位置の平均結晶粒径を、夫々d(t/4)およびd(t/2)としたとき、下記(1)式で規定されるK0が、(K0>6750)の関係を満足するものである点に要旨を有するものである。
0=5.68×10-20{2.25×10-2[−400・d(t/2)-1/2+313]2−15[−400・d(t/2)-1/2+313]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[−400・d(t/4)-1/2+313]+32700)2} …(1)
本発明の厚鋼板には、必要によって、(a)Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCr:2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上、(b)Mo:0.5%以下(0%を含まない)、(c)V:0.1%以下(0%を含まない)、(d)Mg:0.005%以下(0%を含まない)、(e)Zr:0.1%以下(0%を含まない)および/またはHf:0.05%以下(0%を含まない)、(g)Ca:0.0035%以下(0%を含まない)、(h)Co:2.5%以下(0%を含まない)および/またはW:2.5%以下(0%を含まない)、(i)希土類元素:0.010%以下(0%を含まない)、等を含有させることも有用であり、含有される成分に応じて鋼板の特性が改善される。
また、Caを含有する場合には、下記(1a)式を満たすことが好ましい。
2.0≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 …(1a)
但し、[Ca],[S]および[O]は、夫々Ca,SおよびOの含有量(質量%)を示す。
本発明の鋼板においては、母材鋼板の化学組成を厳密に規定して適正化を図ると共に、
所定位置の平均結晶粒径との関係で規定されるK0が、(K0>6750)の関係を満足するものとすることによって、脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板が実現でき、こうした鋼板は、船舶、建築物を始めとする各種大型構造物の素材として有用である。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、脆性亀裂伝播停止特性に及ぼす要因についてかねてより研究を重ねてきた。その結果、破壊力学の観点から、脆性亀裂伝播停止特性向上には、板厚表面よりも、内部の靭性値を向上する方が優位である事を明らかにし、その技術的意義が認められたので先に出願している(特願2007−262872号)。即ち、脆性亀裂伝播停止特性については、鋼板表層部の靭性を良好にすれば良いと考えられていたのであるが、本発明者らが検討したところによれば、鋼板表面から深さt/4〜t/2(t:板厚)の位置での靭性を高めることによって脆性亀裂が効果的に停止することが判明したのである。
また上記の技術においては、アレスト特性を示す評価パラメータとして従来から使用されているKca値(この値の測定方法については後述する)の代わりにアレスト特性を簡便に評価できる指標として、亀裂進展駆動力K0(設定温度T0における亀裂進展駆動力:単位MPa・mm1/2)を想定し、下記(2)式の関係を提案している[(2)式の技術的意義については、後述する]。
0=5.68×10-20{2.25×10-2×[vTrs(板厚中央部近傍)]2−15×[vTrs(板厚中央部近傍)]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[vTrs(表層近傍)]+32700)2} …(2)
尚、「vTrs(板厚中央部近傍)」はシャルピー衝撃試験によって求められる板厚中央部近傍の脆性破面遷移温度vTrsであり、「vTrs(表層近傍)」はシャルピー衝撃試験によって求められる表層近傍の脆性破面遷移温度vTrsである。
ここで、脆性破面遷移温度vTrsは、一般に平均結晶粒径dとの間に、1/d=(−A×vTrs+B)2(A,Bは定数)の関係にあると考えられている。上記関係は、vTrs=―1/A・√(1/2)+B/Aと書き換えることができる。従って、亀裂進展駆動力K0は、脆性破面遷移温度vTrsだけではなく、表層近傍[代表的には、表面からt/4(t:板厚)の位置;以下単に「t/4部」と呼ぶことがある]および板厚中央部近傍[代表的には、表面からt/2(t:板厚)の位置;以下単に「t/2部」と呼ぶことがある]の平均結晶粒径によっても表現できることになる。そして、例えば文献(鉄鋼協会フォーラム 「構造材料の強度と破壊」 2006年11月発行)に示された実験結果から、脆性破面遷移温度vTrsは、下記(3)式のように表すことができる。
vTrs=―400・[√(1/d)]+313 …(3)
上記亀裂進展駆動力K0の式[前記(2)式]を平均結晶粒径dによって、改めて展開すると、下記(1)式が求められる
0=5.68×10-20{2.25×10-2[−400・d(t/2)-1/2+313]2−15[−400・d(t/2)-1/2+313]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[−400・d(t/4)-1/2+313]+32700)2} …(1)
一方、本発明者らは、鋼板の脆性亀裂伝播停止特性は、ベイナイト組織の形態に大きく影響されること、およびこの組織は、化学成分と圧延・冷却条件の適正化によって制御できるとの知見も得られている。こうした知見に基づいて、鋼板の化学成分組成を適切に制御すると共に、鋼板中の組織を適切に制御(即ち、擬ポリゴナル・フェライトの平均面積率を30〜85%)することによって、板厚が50mmを超える場合においても高強度(引張強度で490MPa以上)を満足し、且つ−10℃におけるKca値で3500MPa・mm1/2以上を満足する様な脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板が得られることを見出し、その技術的意義が認められたので先に出願している(特願2008−227442号)。
本発明者らは、上記提案した各技術の知見に基づき、Kca値で4500MPa・mm1/2以上の優れた脆性亀裂伝播停止特性を発揮する厚鋼板について更に検討を重ねた。その結果、鋼板の化学成分組成を適切に制御すると共に、鋼板中の組織を適切に制御(即ち、擬ポリゴナル・フェライトの平均面積率を30〜85%)した鋼板について、前記(1)式で与えられる亀裂進展駆動力K0の値(以下、単に「K0値」と呼ぶことがある)が6750(MPa・mm1/2)を超えるようにすれば、上記目的に適う厚鋼板が実現できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の厚鋼板では、擬ポリゴナル・フェライト主体とするものであるが、こうした組織を生成させるためには、鋼板の成分、特に固溶B量を適切に調整(0.0005%以下)した上で、熱間圧延の条件とその後の冷却条件を調整することが重要である。
従来では、変態温度を低温化させて微細なラス状(束状)のベイナイト組織(ベイニティック・フェライト)を得ようとするのが一般的な改善手段であるが、本発明ではベイナイト組織の形態が有効であることを新たに見出した点が重要なポイントとなる。擬ポリゴナル・フェライトは、粒状(塊状)の相であり、そのビッカース硬度Hvが150〜200程度のものとなる。このような粒状の相を所定領域に形成させることによって、鋼板の脆性亀裂伝播停止特性が良好なものとなる。
但し、擬ポリゴナル・フェライトを形成させることによって、脆性亀裂伝播停止特性を良好にするためには、その平均面積率は少なくとも30%以上を確保する必要があるが、その量が過剰になって85%を超えると強度が低下する。尚、擬ポリゴナル・フェライト以外は、ラス状ベイナイト、マルテンサイト、フェライト、セメンタイト等を含んでいても良い。
本発明では、上記のように化学成分組成および特定領域での組織を規定することによって、脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板が実現できるのであるが、こうした厚鋼板は、溶接熱影響部(以下、「HAZ」と示す)の靭性も基本的に良好なものである。即ち、本発明の厚鋼板は、船舶、建築物、タンク、ラインパイプ等の溶接構造物として適用されるものであり、溶接されたときのHAZの靭性が良好であることも要求されるが、こうしたHAZ靭性も良好なものとなる。
本発明の鋼板は、化学成分組成が適正に調整されていることも特徴の1つとする。以下では、化学成分の範囲限定理由を説明する。
[C:0.03〜0.10%]
Cは鋼板(溶接母材)の強度を確保するために必要な元素であり、所望の強度を確保するためには0.03%以上含有させる必要がある。しかしながら、Cを過剰に含有させると、HAZ靭性が却って低下することになる。こうしたことから、その上限は0.10%とする必要がある。尚、C含有量の好ましい下限は0.04%(より好ましくは0.05%)であり、好ましい上限は0.09%(より好ましくは0.08%)である。
[Si:0.50%以下(0%を含む)]
Siは鋼板の強度を確保するために有効な元素であり、必要により含有される。しかしながら、過剰に含有されると鋼材(母材)に島状マルテンサイト相(MA相)を多量に析出させてHAZ靭性を劣化させる。こうしたことから、その上限を0.50%とした。尚、Si含有量の好ましい下限は0.1%であり、好ましい上限は0.4%である。
[Mn:1.0〜2.0%]
Mnは焼入れ性を向上させて鋼板強度を確保する上で有効な元素であり、こうした効果を発揮させるためには、Mnは1.0%以上含有させる必要がある。しかしながらMnを過剰に含有させると、鋼板のHAZ靭性が劣化するので上限を2.0%とする。Mn含有量の好ましい下限は1.3%であり、好ましい上限は1.8%である。
[P:0.015%以下(0%を含まない)]
Pは不可避的に混入してくる不純物であり、鋼板およびHAZの靭性に悪影響を及ぼすのでできるだけ少ない方が好ましい。こうした観点から、Pは0.015%以下に抑制するのが良い。P含有量の好ましい上限は0.01%である。
[S:0.010%以下(0%を含まない)]
Sは、鋼板中の合金元素と化合して種々の介在物を形成し、鋼板の延性や靭性に有害に作用する不純物であるので、できるだけ少ない方が好ましいのであるが、実用鋼の清浄度の程度を考慮して0.010%以下に抑制するのがよい。尚、Sは鋼に不可避的に含まれる不純物であり、その量を0%とすることは工業生産上困難である。
[Al:0.005〜0.060%]
Alは脱酸剤として有効な元素であると共に、鋼板のミクロ組織微細化による母材靭性向上効果も発揮する。こうした効果を発揮させるためには、Al含有量は0.005%以上とする必要がある。しかしながら、過剰に含有されると鋼板(母材)に島状マルテンサイト相(MA相)を多量に析出させてHAZ靭性を劣化させる。こうしたことから、その上限を0.060%とした。尚、Al含有量の好ましい下限は0.01%であり(より好ましくは0.02%)、好ましい上限は0.04%である。
[Nb:0.020〜0.060%]
Nbは焼入れ性を向上させて母材強度を向上させる効果を発揮する。しかしながら、多量に含有されると炭化物の生成が多くなり脆性亀裂伝播停止特性が劣化するため、0.060%以下(より好ましくは0.04%以下)とするのが良い。尚、これらの効果を有効に発揮させるための含有量は、0.020%以上である。
[Ti:0.008〜0.030%]
Tiは、鋼中にTiNを微細分散させて加熱中のオーステナイト粒の粗大化を防止するとともに、Nbと同様にオーステナイトの再結晶を抑制する効果があるため、オーステナイト粒を微細化し、変態後の組織を微細化する効果を発揮する。また、TiNは溶接時におけるHAZ部のオーステナイト粒を微細化し、HAZ靭性改善に有効である。こうした効果を発揮させるためには、Tiは0.008%以上含有させる必要がある。しかしながら、Tiの含有量が過剰になると溶接性が損なわれるので、0.030%以下とする。
[N:0.0020〜0.010%]
Nは、Al,Ti,Nb,B等と結合し、窒化物を形成して母材組織を微細化させる効果があるとともに、溶接時のオーステナイト粒の微細化や粒内組織を微細化し、HAZ靭性を向上させる。こうした効果を発揮させるには、Nは0.0020%以上含有させる必要がある。しかし、固溶NはHAZ靭性を劣化させる原因となる。全窒素量の増加により、前述の窒化物は増加するが固溶Nも過剰となり、有害となるため、0.010%以下とする。好ましくは、0.008%以下(より好ましくは0.006%以下)である。
[O:0.010%以下(0を含まない)]
Oは、不可避的不純物として含有されるが、鋼中では酸化物として存在する。しかしながら、その含有量が0.010%を超えると粗大な酸化物が生成してHAZ靭性が劣化する。こうしたことから、O含有量の上限を0.010%とする。O含有量の好ましい上限は0.005%(より好ましくは0.003%)である。
[固溶B:0.0005%以下(0%を含む)]
Bの固溶量は脆性亀裂伝播停止特性の向上に有効な擬ポリゴナル・フェライトの生成に大きく影響するため制限する必要がある。固溶Bが0.0005%を超えると擬ポリゴナル・フェライトが生成しにくくなり、脆性亀裂伝播停止特性を低下させてしまう。こうしたことから、固溶Bの上限を0.0005%とするのがよい。好ましくは、0.0003%以下(より好ましく0.0001%以下)に抑制するのが良い。固溶B量は、Bの添加量と加熱・圧延条件によって制御することができる。B添加量を少なくする、加熱温度を低くする、低温での圧延圧下量を増加することで固溶B量を低減(0.0005%以下)することができる。
本発明の鋼板において、上記成分の他は、鉄および不可避的不純物(例えば、Sb,Se,Te等)からなるものであるが、その特性を阻害しない程度の微量成分(許容成分)も含み得るものであり、こうした鋼板も本発明の範囲に含まれるものである。また必要によって、(a)Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCr:2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上、(b)Mo:0.5%以下(0%を含まない)、(c)V:0.1%以下(0%を含まない)、(d)Mg:0.005%以下(0%を含まない)、(e)Zr:0.1%以下(0%を含まない)および/またはHf:0.05%以下(0%を含まない)、(g)Ca:0.0035%以下(0%を含まない)、(h)Co:2.5%以下(0%を含まない)および/またはW:2.5%以下(0%を含まない)、(i)希土類元素:0.010%以下(0%を含まない)、等を含有させることも有効である。これらの成分を含有させるときの限定理由は、次の通りである。
[Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCr:2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上]
Cu、NiおよびCrは、いずれも焼入れ性を高めて強度を向上させるのに有効な元素であり、必要によって含有される。しかしながら、これらの元素の含有量が過剰になると、HAZ靭性が却って低下するので、いずれも2%以下(より好ましくは1%以下)とするのがよい。上記効果を発揮させるための好ましい下限は、いずれも0.20%(より好ましくは0.40%)である。
[Mo:0.5%以下(0%を含まない)]
Moは焼入れ性を向上させ強度確保に有効であり、焼戻し脆性を防止するために適宜利用される。こうした効果はその含有量が増加するにつれて増大するが、Mo含有量が過剰になるとHAZ靭性が劣化するので、0.5%以下とするのが好ましい。より好ましくは、0.30%以下とするのが良い。
[V:0.1%以下(0%を含まない)]
Vは焼入れ性を向上させて母材強度を向上させる効果を発揮する。またVは焼戻し軟化抵抗を高くする効果もある。しかしながら、多量に含有されるとHAZ靭性が劣化するため、0.1%以下(より好ましくは0.05%以下)とするのが良い。尚、これらの効果を有効に発揮させるための含有量は、0.01%以上である。
[Mg:0.005%以下(0%を含まない)]
Mgは、MgOを形成して、HAZにおけるオーステナイト粒の粗大化を抑制することによって、HAZ靭性を向上させる効果を有するため、必要によって含有される。しかしながらMgの含有量が過剰になると、介在物が粗大化してHAZ靭性が劣化するため、0.005%以下(より好ましくは0.0035%以下)にするのが良い。
[Zr:0.1%以下(0%を含まない)および/またはHf:0.05%以下(0%
を含まない)]
ZrおよびHfは、Tiと同様、Nと窒化物を形成し、溶接時におけるHAZのオーステナイト粒を微細化し、HAZ靭性改善に有効な元素である。しかし、過剰に含有されるとHAZ靭性を却って低下させる。このため、これらの元素を含有するときには、Zrは0.1%以下、Hfは0.05%以下とするのが良い。
[Ca:0.0035%以下(0%を含まない)]
Caは硫化物の形態を制御してHAZ靭性の向上に寄与する元素である。しかし、0.0035%を超えて過剰に含有させてもHAZ靭性が却って劣化する。尚、Ca含有量の好ましい上限は0.0020%(より好ましくは0.0015%)である。
また、Caを含有させる場合には、Ca,OおよびSの含有量を、下記(1a)式を満足させるように制御することによって、HAZ靭性の更なる向上を図ることができる。
2.0≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 …(1a)
但し、[Ca],[S]および[O]は、夫々Ca,SおよびOの含有量(質量%)を示す。
凝固段階で、CaOやCaSを微細に分散させれば、フェライト変態核が微細分散し、粗大組織の生成を抑制することが出来て、更にHAZ靭性が向上できる。CaOやCaSを微細分散させるためには、上記(1a)式の関係を満足させることが有効であることが明らかになった。夫々の成分に対する「係数」は、微細分散の度合いを表している。本発明で示した成分組成範囲の下では、Ca,SおよびOの順で高密度に分散させる傾向が強いことを示している。このような関係を満足させることによって、大入熱溶接に際しても、良好なHAZ靭性を確保できる有効なフェライト生成核を多数導入することができる。具体的には、後記実施例に示すように、入熱量が50kJを超えるような大入熱溶接であっても、−55℃におけるVシャルピー衝撃値(vE-55)が100J以上となる。
[Co:2.5%以下(0%を含まない)および/またはW:2.5%以下(0%を含
まない)]
CoおよびWは、焼入れ性を向上させ母材強度を高める効果を有するので、必要により含有される。しかし、過剰に含有するとHAZ靭性が劣化するため、上限をいずれも2.5%とするのが良い。
[希土類元素(REM):0.010%以下(0%を含まない)]
希土類元素(REM)は、鋼材中に不可避的に混入してくる介在物(酸化物や硫化物等)の形状を微細化・球状化することによって、HAZの靭性向上に寄与する元素であり、必要によって含有される。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、REMの含有量が過剰になると、介在物が粗大化してHAZ靭性が劣化するため、0.010%以下に抑えることが好ましい。尚、本発明において、REMとは、ランタノイド元素(LaからLuまでの15元素)およびSc(スカンジウム)とY(イットリウム)を含む意味である。
本発明の厚鋼板を製造するに当たっては、上記化学成分組成を満たす鋼を、通常の溶製法によって溶製し、この溶鋼を冷却してスラブとした後、例えば、950〜1300℃の範囲に加熱した後熱間圧延を行い、引き続きAr3変態点+150℃〜Ar3変態点+100℃までの累積圧下率を10〜30%となるようにして圧延をし、Ar3変態点+50℃〜Ar3変態点の累積圧下率を10〜20%となるようにして圧延を終了し、その温度から直ぐに冷却するのではなく、一旦圧延終了温度にて30〜150秒待機させてから、500℃までを0.1〜20℃/秒の平均冷却速度で冷却するようにすればよい。この方法における各条件の範囲設定理由は次の通りである。尚上記で示した温度は、表面の温度で管理したものである。
[加熱温度:950〜1300℃]
鋼板の組織を一旦全てオーステナイト化する観点から950℃以上とする必要があるが、加熱温度が1300℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化して後の工程で所望の組織を得ることは難しくなる。
[Ar3変態点+150℃〜Ar3変態点+100℃までの累積圧下率:10〜30%]
この温度範囲での累積圧下率を10〜30%とすることによって、後の工程との組合わせによって、グラニュラ化(粒状化)できる。この温度範囲を外れたり、累積圧下率が10%未満或は30%超では、擬ポリゴナル・フェライトを30%以上確保できない。尚、本発明において「Ar3変態点」とは、下記(4)式で求められた値である。
Ar3=910−230×[C]+25×[Si]−74×[Mn]−56×[Cu]
−16×[Ni]−9×[Cr]−5×[Mo]−1620×[Nb]…(4)
但し、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr],[Mo]および[Nb]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,MoおよびNbの含有量(質量%)を示す(これらの元素のうち、含有しないときには、その項を除いて計算する)。
[Ar3変態点+50℃〜Ar3変態点の累積圧下率:10〜20%]
この温度範囲での累積圧下率を10%以上とすることによって、適正量のグラニュラ化(粒状化)ができる。この温度範囲を外れたり、累積圧下率が10%未満或は20%超では擬ポリゴナル・フェライトを30%以上確保できない。尚、上記累積圧下率は、下記(5)式によって求められるものである。
累積圧下率=(t0−t1)/t0×100 …(5)
〔式(5)中、t0は当該温度域での鋼片の圧延開始厚(mm)を表し、t1は当該温度域での鋼片の圧延終了厚(mm)を表す。〕
[圧延終了温度にて30〜150秒待機]
圧延後の待機時間が30秒未満では、板厚中心部の温度が高く、板厚中心部の平均結晶粒径が大きくなり、前記K0値が6750MPa・mm1/2超を満足させることができない。また待機時間が150秒を超えると、粒成長が進んで、板の中心部、表層部を問わず平均結晶粒径が大きくなり、前記K0値が6750MPa・mm1/2超を満足させることができない。
[圧延終了後(一定時間待機後)〜500℃までの平均冷却速度:0.1〜20℃/秒]
冷却時の平均冷却速度が0.1℃/秒未満或は20℃/秒超では、グラニュラ化(粒状化)することができない。また、冷却を500℃までとするのは、これ以下の温度ではそれ以上の組織変態を生じないからである。
尚、本発明で対象とする鋼板は、基本的には板厚が50mm以上の厚鋼板を想定したものであるが、それ以下の板厚においても同等の特性を有するものとなり、本発明の対象に含まれるものである。また、本発明の鋼板を溶接するときの入熱量は2kJ/mm以上を想定したものであり、こうした入熱量で溶接を行ったときに良好なHAZ靭性を示す。
本発明においては、化学成分組成および組織を制御すると共に、前記(1)式で規定されるK0値が所定の範囲を満足するようにすることによって、アレスト特性に優れた鋼板が実現できるのである。アレスト特性を評価する基準としては、ESSO試験よって求められるKca値が一般的に採用されている(後記実施例参照)。しかしながら、このKca値を求めるには、煩雑な実験が必要になることから、アレスト特性を簡便に評価する基準として、前記(1)式で規定するK0値を規定したものである。この式が求められた経緯について説明する。
上記ESSO試験において、試験体に応力σ0が加わっている場合に対し、脆性亀裂がある温度T0を通過すると想定し、このときの亀裂進展駆動力をK0とする。この亀裂進展駆動力K0に対する抵抗としては、鋼板表層(即ち、t/4部)で発生する延性破壊(シアリップ)による抵抗K(単位:MPa・mm1/2)と、板厚中央部(t/2部)における抵抗Kd(単位:MPa・mm1/2)の2つがある。このうち、抵抗Kは上記亀裂進展駆動力をK0に比例するものと考えられることから、K=K0・r(r:比例定数)と表すことができる。これらの抵抗Ks、Kdが、亀裂停止の大きな影響を与えることになる。
このとき、温度T0において、亀裂を停止させるためには、下記(6)式の関係が成立する必要がある。また、このとき亀裂進展駆動力K0が、温度T0におけるKca値に対応すると考えられる。下記(6)式は、下記(7)式のように変形できる。
0=Ks+Kd=K0・r+Kd …(6)
0=K/(1−r) …(7)
次に、技術文献「圧力技術 Vol.31、No.2(1993),p2」(以下、「参考文献1」と呼ぶ)によれば、比例定数rは、板厚表層近傍の動的破壊靭性値KD(B)と関連があるとされている。動的破壊靭性値は、高速進展する亀裂に対する破壊靭性値であり、一般的な破壊靭性値(Kci)とは異なるとされている。一方、技術文献「日本造船学会論文集 Vol.177(1995),p243」(以下、「参考文献2」と呼ぶ)によれば、高速に進展する脆性亀裂も、シアリップが発生する表層近傍では亀裂進展速度は極めて低下するとされている。ここで、表層近傍では、亀裂進展速度は極めて低いため、その動的破壊靭性値も通常の破壊靭性値と等価となる。これにより、比例定数rは、表層近傍の破壊靭性値Kciと相関があることになる。
更に、上記参考文献2によれば、破壊靭性値Kciは、破面遷移温度vTrsと相関があるとされており、これにより比例定数rは、表層近傍の破面遷移温度vTrsと相関があることになる。例えば、表層近傍の材料特性は、t/4部の材料特性で代表できると考えると、比例定数rは、t/4部の破面遷移温度vTrs(以下、[vTrs(t/4)]と略記する)と相関があるといえる。
一方、板厚中央部の抵抗Kは同部の動的破壊靭性値であり、通常の破壊靭性値と異なる。上記参考文献2によると、動的破壊靭性値(即ち、抵抗K)は、局部限界応力σFと相関がある。局部限界応力σFは、亀裂先端の極微小領域の引張破壊応力である。この引張破壊は結晶物の劈開破壊と粒界の延性破壊の連続である。
ここで、粒界の延性破壊に対する強度(応力)は、延性破壊部が多いほど高くなると考えられる。延性破壊部は、粒界が多いほど多く、即ち、結晶粒径dが小さいほど延性破壊に対する強度は高くなると考えられる。即ち、局部限界応力σは結晶粒径dに反比例するといえる。一方、d-1/2は一般的に破面遷移温度vTrsと比例関係にあるとされている。以上のことから、局部限界応力σは破面遷移温度vTrsと相関があるといえる。
例えば、板厚中央部近傍の材料特性は、t/2部の材料特性で代表できるとすると、Kdはt/2部の破面遷移温度vTrsと相関があるといえる。以上より、Kcaの代替パラメータである破壊靭性駆動力K0は、下記(8)式のように表すことができる。
0=Kd/(1−r)=f2(vTrs(t/2)/(1−f1(vTrs(t/4)))) …(8)
上記(8)式のf1( )、f2( )は夫々関数であり、例えば室温(25℃)での降伏応力σy、板厚t、および設計要件から得られる温度条件T0が把握できれば、破面遷移温度vTrs(t/4)およびvTrs(1/2)の関数として定式化できる。この定式化の手順は次の通りである。
まず、上記比例定数rについては、下記(9)式のように表すことができる(前記参考文献1)。
r=(4/π)(ts1/t)(σY1/σ0)cos-1{(a−1s1)/a}…(9)
但し、ts1:表層部の延性破壊(シアリップ)の幅(mm)、σY1:温度T0における鋼板表層近傍の高速引張変形時の降伏応力(MPa)、σ0:ESSO試験時の降伏応力(MPa)、a:亀裂長さ(mm)、1s1:サイドリガメント長さ(mm)、を夫々示す。
上記表層部の延性破壊(シアリップ)の幅ts1は、下記(10)式のように表すことができる。尚、下記(10)式において、ks1は係数(シアリップ幅と塑性域寸法の比)であり、前記参考文献2よりks1=2とする。
ts1=ks1・rp …(10)
また、上記(10)式において、rpは塑性域寸法(mm)であり、下記(11)式のように表わされる。
rp=1/6π・(KD(B)/σY12 …(11)
但し、KD(B):表層部近傍の動的破壊靭性値(MPa・mm1/2
前記参考文献2によれば、シアリップの発生部では、亀裂進展速度は極めて低速であることが示されているから、通常の破壊靭性値Kciと同等とできる。即ち、下記(12)式に示す通りである。
D(B)=Kci …(12)
破壊靭性値Kciは、例えば文献(北田博重著、博士論文「TMCPによる降伏点40kgf/mm2級鋼板の実船適用にあっての靭性要求基準に関する研究」 (1990)、p32:以下、「参考文献3」と呼ぶ)によって、下記(13)〜(15)式のように、破面遷移温度vTrsとの相関が示されている。
Kci=3.81×(σy0/9.8)・exp{k0(1/iTk−1/T0)} …(13)
0=6.65・iTk−290 …(14)
iTk=(0.0032×σy0/9.8+0.391)vTrs+2.74(t)1/2+17.3 …(15)
但し、σy0:鋼材の室温(25℃)での降伏応力
ここで、板厚=60mm、降伏応力σy0=500MPaの鋼材を具体的に、応力σ0でESSO試験を実施した場合に、船舶等の設計要件から得られる温度条件T0でのK0を定式化してみる。船舶の場合、設計要件から得られる温度条件T0は、0〜−10℃であることが多いことから、ここではT0=−10℃と設定する。またESSO試験では、様々な応力条件で実験が行なわれるが、応力が低過ぎると亀裂進展量は、極めて小さく温度T0=−10℃の温度域まで、亀裂が進展しない可能性が高い。従って、十分に高い応力とする必要がある。船舶の場合、設計要件から設計応力が決められることが多く、この設計応力での亀裂停止性能を把握することが最も合理的である。そこで、ここではABS規格(アメリカ船級協会規格)ET40に対する設計使用応力(例えば、「日本船舶海洋工学講演論文集」 Vol.3(2006)、p359:以下「参考文献4」と呼ぶ)を用いて、σ0=252MPaとする。
このような例の場合には、vTrsとKciとは、比例関係を示すようになる。この関係から、本発明者らは、表層部のKci(Kci(B))を用いて、下記(16)式が得られることを明らかにしている。
D(B)=Kci(B)d=―92vTrs+32700 …(16)
尚、前記した(9)式のσY1は、温度T0(=−10℃)における鋼材表層近傍の高速引張変形時の降伏応力である。この降伏応力σY1は、表層近傍の亀裂進展速度に依存し、この速度を前記参考文献2に基づき100m/秒とすると、降伏応力σY1を参考文献のFig1(b)より、降伏応力σY1=800MPaが得られる。また前記(9)式に示したaは亀裂長さ、1s1はサイドリガメント長さであるが、1s1は前記参考文献2によれば、10〜20mm程度となる。また通常のESSO試験での亀裂長さaは300mm程度となることが多いことから、(a−1s1)/aは、およそ0.95程度となる。
以上より、比例定数rは、下記(17)式のように定式化できることになる。尚、ここでのvTrsは、表層近傍における材料の破面遷移温度vTrs[vTrs(表層近傍)]となる。例えば、前述のとおり、表層近傍のvTrsがt/4部のvTrsと同等と考えると、下記(18)式の関係が成立することになる。
r=3.288×10-9(−92v[Trs(表層近傍)]+32700)2…(17)
r=3.288×10-9(−92[vTrs(t/4)]+32700)2 …(18)
以上が、比例定数rの具体的な定式化例であるが、比例定数rの定式化については、以下のように理解することができる。即ち、比例定数rは、以下のような関数である。
r=f1’(ts1、σY1、σ0、(a−1s1)/a)
=f1’(KD(B)、ks1、σY1、σ0、(a−1s1)/a)
=f1’([vTrs(表層近傍)]、σy0、T0、t、ks1、σY1、σ0、(a−1s1)/a)
ここで、パラメータは、以下のように求められる。
vTrs(表層近傍):表面近傍の破面遷移温度(℃)→鋼材から採取
σy0:鋼材の室温(25℃)での降伏応力→鋼材から採取
0:設計要件から得られる温度条件である。
t:鋼板の厚さ→鋼材から採取
ks1:シアリップ幅と塑性域寸法の比→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
σY1:温度T0における鋼材表層近傍の高速引張変形時の降伏応力→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
σ0:設計要件から得られる負荷応力条件である。
(a−1s1)/a:aは亀裂長さ、1s1はサイドリガメント長さであり、いずれも一般的な鋼材に対して参考文献2により類推できる。
以上より、設計要件から求められる値と、文献から得られる値を除くと、
r=f1’’([vTrs(表層近傍)]、σy0、t)となり、
ある降伏応力σy0および板厚tの条件に対して、r=f1([vTrs(表層近傍)])と表すことができる。
一方、Kdの定式化の手順について詳細に説明する。前記参考文献2より、Kdは下記(19)式のように定式化される。
σF=σY2・Σyy{(1−ν2)(Kd/σY22/rc-s …(19)
上記(19)式において、σY2は温度T0(=−10℃)における板厚中央部近傍の高速引張変形時の降伏応力(MPa)であり、この降伏応力σY2は板厚中央部近傍の亀裂進展速度にも依存し、同速度を600m/秒(標準的なESSO試験で得られる亀裂進展速度)とすると、前記参考文献2のFig11(b)より、800MPaとなる。
上記νは、ポアソン比であり、0.3である。またrcは、局部領域を表す定数であり(単位:mm)、前記参考文献2より0.3mmとした。−sは、応力特異性の強さを表す指数であり、ここでは−10℃、亀裂進展速度600mm/秒での−sを前記参考文献2のFig11(c)から0.08とした。Σyyは、応力の強さを表す係数であり、前記参考文献2より、Σyy=4とする。
σFは、局部限界応力(MPa)であり、結晶粒径dを用いると、前述のとおり、1/d(=(−A・vTrs+B)2)と比例すると考えられる。ここで、A,Bは、文献(「熱処理」、Vol.47、No.2(2007)、p66:以下「参考文献5」と呼ぶ)から、A=3、B=1000とする。破面遷移温度vTrsの単位はKである。また、参考文献2により、局部限界応力σFは、4000〜4500MPaまでの値になるとし、それが破面遷移温度vTrsの変化(273〜263K)に対応すると仮定すると、下記(20)式のように表される。
σF=2.25×10-2vTrs2−15vTrs+6418 …(20)
以上より、Kdは下記の(21)式のように定式化されることになる。Kdの単位はMPa・mm1/2である。
d=5.68×10-20(2.25×10-2vTrs2−15vTrs+6418)6.25
…(21)
尚、ここでの破面遷移温度vTrsは、板厚中央部近傍の材料のvTrs[vTrs(板厚中央部近傍)]となる。例えば、前述のとおり、板厚中央部近傍の破面善意温度vTrsがt/2部のvTrs[vTrs(t/2)]と同等と考えると、上記(21)式は、下記(22)式のように表すことができる。
d=5.68×10-20(2.25×10-2[vTrs(板厚中央部近傍)]2−15[vTrs(板厚中央部近傍)]+6418)6.25
=5.68×10-20(2.25×10-2[vTrs(t/2)]2−15[vTrs(1/2)]+6418)6.25 …(22)
以上が、Kdの具体的な定式化例であるが、Kdの定式化については、以下のように理解することができる。即ち、Kdは下記(23)式に示すような関数である。
d=f2’(σ、σY2、rc、ν、−s、Σyy
=f2’([vTrs(板厚中央部近傍)]、σY2、rc、ν、−s、Σyy)…(23)
ここで、各パラメータは、以下のように求められる。
vTrs(板厚中央部近傍):板厚中央部近傍の破面遷移温度(℃)→鋼材から採取
σY2:温度T0における板厚中央部近傍の高速引張変形時の降伏応力→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
c:局部領域を示す定数→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
ν:ポアソン比→一般的な鋼材に対し0.3とされている。
−s:応力特異性の強さを表す指数→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
Σyy:応力の強さを表す係数→一般的な鋼材に対して参考文献2等に示されている。
以上より、設計要件から求められる値と、文献から得られる値を除くと、Kd=f2([vTrs(板厚中央部近傍)])と表すことができる。
以上のようにして定式化されたrおよびKdによって、Kcaの代替評価パラメータK0値は、下記の(24)、(25)式[即ち、前記(2)、(1)式]のように表すことができる。
0=Kd(1−r)=5.68×10-20{2.25×10-2[vTrs(板厚中央部近傍)]2−15[vTrs(板厚中央部近傍)]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[vTrs(表層近傍)]+32700)2} …(24)
=5.68×10-20{2.25×10-2[vTrs(t/2)]2−15[vTrs(t/2)]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[vTrs(t/4)]+32700)2} …(25)
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
実験例1
下記表1、2に化学成分組成を示す各種溶鋼を、通常の溶製法によって溶製し、この溶鋼を冷却してスラブとした後、下記表3、4に示した条件で熱間圧延および冷却を行い、各種鋼板(厚み:60mm)を得た。尚、下記表1、2において、REMはLaを50%程度とCeを25%程度含有するミッシュメタルの形態で添加した。下記表1、2中「−」は元素を添加していないことを示している。また表1、2には、[1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])]の値(以下、「A値」と呼ぶ)も同時に示した。
Figure 0005216530
Figure 0005216530
Figure 0005216530
Figure 0005216530
得られた各鋼板について、母材組織(擬ポリゴナル・フェライトの平均面積率)、固溶B量、機械的特性(母材の引張特性、母材の衝撃特性、脆性亀裂伝搬停止特性)を下記の方法によって測定すると共に、HAZ靭性についても評価した。測定結果を、前記(1)式で規定されるK0値と共に、下記表5、6に示す。尚、表5中「−」は、擬ポリゴナル・フェライトが生成しないために測定していないことを示している。
[擬ポリゴナル・フェライト分率の測定]
各鋼板のt/4部、t/2部から採取した2cm角の試験片を鏡面研磨した後、ナイタール腐食液(2%硝酸−エタノール溶液)でエッチング後、ナノインデンター(エリオニクス製、「ENT−1100」)を用いて、TD面を荷重250mgで測定した。150μm×200μmの観察範囲で、まずは粒状組織(アスペクト比3以下)を選別し、当該粒状組織の硬さ測定を行って、Hv150〜200の範囲にある粒状組織を擬ポリゴナル・フェライトと判別した。そして、光学顕微鏡にて上記硬さ測定を行った試料観察面の写真撮影を行い、その後、画像解析ソフト(Media Cybernetics製:Image−Pro Plus)を用いて、硬さ測定結果により擬ポリゴナル・フェライトと判別された組織の面積分率(平均値)の定量化を行なった。
[固溶B量の測定]
固溶B量は、抽出残渣の化学分析試験によって定量化した。試験片はt/4部とt/2部の位置から10mm×10mm角を採取し、10質量%アセチルアセトン−1質量%テトラメチルアンモニウムクロリドーメタノール溶液を電解液として、200mA/m2以下の電流下で抽出し、0.1μmのフィルターを用いた。
[母材の引張特性の評価]
各鋼板のt/4部からNK U14号試験片を採取し、JIS Z2241に従って引張試験を行うことによって、降伏点YPおよび引張強度TSを測定した。
[母材の衝撃特性(靭性)の評価]
母材の衝撃特性(靭性)は、Vノッチシャルピー試験を行い、遷移曲線によりvTrs(脆性破面遷移温度)を求めた。t/4部からJIS4号試験片を採取し、JIS Z2242に従って試験を実施した。このとき各温度(最低4温度以上)の測定につき、n=3で試験を実施し、3点中最も脆性破面率の高い点を通るように脆性破面遷移曲線を描き、脆性破面率50%の温度を脆性破面遷移温度vTrsとして算出した(vTrsが最も高温側となるように線を引く)。
[脆性亀裂伝播停止特性]
脆性亀裂伝播停止特性(アレスト特性)は、社団法人日本溶接協会(WES)発行の鋼種認定試験方法(2003年3月31日制定)で規定される「脆性破壊伝播停止試験」に準じて行った。試験は、脆性破壊伝播停止試験方法の図7.2に示されている形状の試験片を用い、該試験片に−190℃〜+60℃の範囲から選ばれる任意の温度範囲で温度勾配をつけて4試験体分行った。Kca値は下記(26)式で算出した。下記(26)式中、cは伝播部入口から脆性亀裂先端までの長さ、σは伝播部入り口から脆性亀裂先端までの長さ、Wは伝播部幅を、夫々示している。
Figure 0005216530
Tを脆性亀裂先端の温度(単位はK)とし、X軸を1/T、Y軸を算出したKca値として1/TとKca値の相関関係を示すグラフを作成し、4点の近似曲線と263Kとの交点を−10℃でのKca値とした。−10℃でのKca値を下記表5、6に示す。本発明では、−10℃でのKcaが4500MPa・mm1/2以上の場合を合格(脆性亀裂伝播停止特性に優れる)とする。
[HAZ靭性試験1]
サブマージアーク溶接(2kJ/mm)を行ったときの熱サイクルを模擬したHAZ靭性評価法として、加熱温度:1400℃で5秒保持、その後冷却が800〜500℃の冷却時間(Tc):25秒の熱サイクルで各供試鋼板を熱処理した後、温度−15℃におけるシャルピー吸収エネルギー(Vノッチ)を測定した。尚、試験片としては、t/4部から採取したサイズ10mm×10mm×55mmの棒状で、中央部片面に深さ;2mmのVノッチを形成したものを使用した。このときVシャルピー衝撃値(vE−15)が100J以上を合格とした。
[HAZ靭性試験2]
エレクトロスラグ溶接(60kJ/mm)を行ったときの熱サイクルを模擬したHAZ靭性評価法として、加熱温度:1400℃で50秒保持、その後冷却が800〜500℃の冷却時間(Tc):500秒の熱サイクルで各供試鋼板を熱処理した後、温度−55℃におけるシャルピー吸収エネルギー(Vノッチ)を測定した。尚、試験片としては、t/4部から採取したサイズ10mm×10mm×55mmの棒状で、中央部片面に深さ;2mmのVノッチを形成したものを使用した。尚、このときVシャルピー衝撃値(vE−55)については、本発明の要件を満足するもの(Caを含有するもの)についてのみ評価し、比較例については評価を行なわなかった。
Figure 0005216530
Figure 0005216530
これらの結果から明らかなように、実験No.2〜22,48〜50は、本発明で規定する要件を満足する例であり、高強度を満足すると共に、脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板が得られている。これに対して、実験No.23〜37,39〜47では、本発明で規定するいずれかの要件を外れる例であり、いずれかの特性が得られていないことが分かる。

Claims (10)

  1. C:0.03〜0.10%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、
    Si:0.50%以下(0%を含む)、
    Mn:1.0〜2.0%、
    P:0.015%以下(0%を含まない)、
    S:0.010%以下(0%を含まない)、
    Al:0.005〜0.060%、
    Nb:0.020〜0.060%、
    Ti:0.008〜0.030%、
    N:0.0020〜0.010%、および
    O:0.010%以下(0%を含まない)を夫々含有すると共に、
    固溶B:0.0005%以下(0%を含む)に抑制し、
    表面から深さt/4〜t/2(tは板厚を表す、以下同じ)の位置のミクロ組織において、擬ポリゴナル・フェライトの平均面積率が30〜85%であり、且つ
    表面から深さt/4およびt/2の位置の平均結晶粒径(μm)を、夫々d(t/4)およびd(t/2)としたとき、下記(1)式で規定されるK0が、(K0>6750)の関係を満足するものであることを特徴とする脆性亀裂伝播停止特性に優れた厚鋼板。
    0=5.68×10-20{2.25×10-2[−400・d(t/2)-1/2+313]2−15[−400・d(t/2)-1/2+313]+6418}6.25/{1−3.288×10-9(−92[−400・d(t/4)-1/2+313]+32700)2} …(1)
  2. 更に、Cu:2%以下(0%を含まない)、Ni:2%以下(0%を含まない)およびCr:2%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる1種以上を含有するものである請求項1に記載の厚鋼板。
  3. 更に、Mo:0.5%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1または2に記載の厚鋼板。
  4. 更に、V:0.1%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板。
  5. 更に、Mg:0.005%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の厚鋼板。
  6. 更に、Zr:0.1%以下(0%を含まない)および/またはHf:0.05%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の厚鋼板。
  7. 更に、Ca:0.0035%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の厚鋼板。
  8. 下記(1a)式を満たすものである請求項7に記載の厚鋼板。
    2.0≦1000×([Ca]+2×[S]+3×[O])≦10.0 …(1a)
    但し、[Ca],[S]および[O]は、夫々Ca,SおよびOの含有量(質量%)を示す。
  9. 更に、Co:2.5%以下(0%を含まない)および/またはW:2.5%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜8のいずれかに記載の厚鋼板。
  10. 更に、希土類元素:0.010%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜9のいずれかに記載の厚鋼板。
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