JP3246994B2 - 脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法 - Google Patents

脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はNi等の高価な合金元素
の添加に頼ることなく、優れた脆性亀裂伝播停止特性
と、シャルピー特性を同時に飛躍的に向上させる、構造
用厚鋼板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板の脆性亀裂停止特性を向上させる
冶金学的方法としては結晶粒の微細化とNi量の増加が
主な方法である。Ni量の増加はミクロ組織によらず脆
性亀裂伝播停止特性を向上できる方法であるが、当然コ
ストの増加を招く。従って、製造方法の工夫により結晶
粒を微細化することが好ましい。
【0003】厚鋼板全体の脆性亀裂伝播停止挙動から、
実際に脆性亀裂伝播停止特性の向上に大きく寄与するの
は、脆性亀裂伝播時に厚鋼板表層部に発生するシアリッ
プと称する塑性変形領域であり、このシアリップが形成
されると、脆性亀裂の有する伝播エネルギーの吸収能が
増大し脆性亀裂伝播停止特性が飛躍的に向上する。シア
リップ形成も結晶粒の微細化により達成される。
【0004】そこで、従来から脆性破壊伝播停止特性の
向上を結晶粒の微細化により図る試みが種々行われてい
る。一般的には熱間圧延における制御圧延を強化した
り、さらに制御圧延を容易にするためにNbを添加する
方法がとられているが、制御圧延の強化は生産性の低下
を招き、また、Nbの添加は溶接部の靭性劣化を生じや
すくなる上、これらの方法では大幅な細粒化は望めず、
得られる脆性亀裂伝播停止特性の向上は小さい。
【0005】最近では、例えば、特開昭61−2355
34号公報においては、鋳片表面から中心部への板厚の
1/8以上の距離にわたってAr3 変態点以下に冷却
し、鋳片の厚み方向に温度差をつけたまま圧延を開始
し、圧延中または圧延後に鋳片厚の全域をAc3 変態点
以上に復熱することにより、ESSO試験による−20
℃における脆性亀裂伝播停止特性を表すKcaが460
〜960 kgf・mm-3/2程度の厚鋼板を製造する方法を提
案している。
【0006】しかし、最近の構造物の使用環境の苛酷化
の傾向にともない、鋼材にもさらに高い脆性破壊伝播停
止特性が要求されるようになってきており、前記方法に
より達成される特性では十分でない場合が生じている。
前記特開昭61−235534号公報の方法において
は、鋳片全域をAc3 変態点以上に単純に復熱させる工
程であり、最終的にγ−α変態で得られるα粒径はせい
ぜい5μm以下であるため、一層の脆性亀裂伝播停止特
性の改善を図るにはさらに、新しい技術が要求される。
【0007】ごく最近においては、特開平4−1415
17号公報に示されているように、表層部を冷却後、復
熱中の圧延により表層部の結晶粒を顕著に細粒化して脆
性亀裂伝播停止特性を向上させる方法が提案されてい
る。この方法によれば平均的には表層部が超細粒化し、
表層部のシアリップの形成により−50℃においても優
れた脆性亀裂伝播停止特性が得られる。しかし、復熱中
に主としてフェライトの加工再結晶により超細粒化させ
るため、微妙な熱履歴の変動により組織や材質の不均一
を生じやすい問題が見いだされた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は表層部に微細
な結晶粒を有する組織を形成することによって鋼板全体
として良好な脆性亀裂伝播停止特性を得るための製造方
法において、表層部の組織を安定して微細化し、脆性亀
裂伝播停止特性の変動が少なく、一層優れた特性が得ら
れる方法を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来技術
のうち、特開平4−141517号公報に示されてい
る、表層部を冷却後、復熱中の圧延により表層部の結晶
粒を顕著に細粒化して脆性亀裂伝播停止特性を向上させ
る方法において、表層部の超細粒組織をより均一微細化
することにより、一層優れた脆性亀裂伝播停止特性を得
られると考え、鋭意研究を進めた結果、復熱前の微視組
織を均一かつ微細にすることによって、最終的に得られ
る表層部の超細粒組織も均一かつ微細になることを見い
だし、本発明に至った。
【0010】本発明の要旨は、重量%で、C:0.01
〜0.30%、Si:≦0.5%、Mn:≦2.0%、
Al:≦0.1%、Ti:0.003〜0.10%、
N:0.001〜0.01%、さらに必要に応じて、C
r:≦0.5%、Ni:≦1.0%、Mo:≦0.5
%、V:≦0.1%、Nb:≦0.05%、B:≦0.
0015%、Cu:≦1.5%の1種または2種以上を
含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼片をAc
3 変態点以上、1100℃以下の温度に加熱し、950
℃以下での累積圧下率が10〜50%の圧延を行った
後、その段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表
層部の領域をAr3 変態点以上の温度から2℃/s以上の
冷却速度で冷却を開始し、Ar3 変態点以下で冷却を停
止して復熱させることを1回以上経由させる経過で仕上
げ圧延を行い、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間
に仕上げ圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼板の前記上
下表層域をAc3 変態点未満に復熱することを特徴とす
る脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製
造方法にある。
【0011】
【作用】鋼片を熱間圧延するに際し、熱間圧延中あるい
は熱間圧延途中で表層部の適当な厚みの領域を水冷等の
手段によりAr3 変態点よりも低い温度まで一旦冷却し
て内部と温度差をつけた後、温度差のついたままの状態
からさらに熱間圧延を行うと、フェライト主体組織を有
する表層部は内部の顕熱により復熱されながら加工を受
けることになり、この復熱中の加工条件を適正化するこ
とにより表層部のフェライト結晶粒が顕著に細粒化し、
さらに表層部が内部に比べて低温のときに圧延するた
め、表層部に比べて内部の変形抵抗が小さく、均一な温
度分布の鋼片を圧延する場合に比べて内部に有効に加工
の効果が伝わるために、内部の変態後の組織も微細化す
る。その結果、脆性亀裂伝播停止特性とともに中心部の
低温靭性も顕著に向上する。
【0012】本発明者らは上記製造方法により、表層部
に生成される非常に微細なフェライト組織層の組織的特
徴と脆性亀裂伝播停止特性の関係を詳細に解析した結
果、どのような破壊条件でも、安定して脆性亀裂伝播時
に表層部が早期に脆性破壊せずに、シアリップを形成し
て良好な脆性亀裂伝播停止特性を有するためには、復熱
加工後の板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領
域のフェライト組織は全面的に均一な超微細粒となる必
要があり、そのためには表層部をAr3 変態点以下まで
冷却する前の加熱、圧延条件を適正化することが必要で
あることを見いだした。
【0013】即ち、鋼板全体として優れた脆性亀裂伝播
停止特性を有するためには、表層部の組織は均一かつ超
微細なフェライトとする必要があり、一部でも粗大な組
織が残存するとそこから脆性破壊を生じやすくなり、安
定して良好な脆性亀裂伝播停止特性を示すことが困難と
なる。
【0014】粗大な組織は全てフェライトが加工された
ままで再結晶せず、あるいは十分回復していない未再結
晶粒である。従って、均一組織を得るためには未再結晶
組織を残存させないよう、復熱加工前の表層部の組織を
微細化する必要があり、そのために、先ず、熱間圧延前
の鋼片の加熱オーステナイト粒を十分微細化する必要が
ある。
【0015】本発明では、Ti,N含有量を定めること
により加熱時にTiNの分散によるオーステナイト粒の
ピン止め効果を用いるとともに鋼片の加熱温度を110
0℃以下に限定することによりオーステナイト粒の微細
化を図る。加熱温度の下限はAc3 変態点以上とする
が、これは加熱温度がAc3 変態点未満であると溶体化
が不十分であるのと、復熱加工するための内部の顕熱を
確保することが困難となるためである。
【0016】熱間圧延(粗圧延)条件も同様の理由で、
変態前のオーステナイト粒の微細化及び加工による歪の
蓄積を図り、復熱前の変態組織を微細化するために、9
50℃以下での累積圧下率を10〜50%とする。95
0℃以下の圧下率で限定したのは、再結晶オーステナイ
ト粒径や未再結晶オーステナイト粒中への歪蓄積の効果
が950℃以下の熱間圧延で顕著になるためである。9
50℃以下での圧下率が10%未満であると圧延の効果
が不十分であるため下限を10%とした。
【0017】圧下率をさらに増加すれば復熱加工前の組
織微細化には有利であるが、この圧下率が大きすぎる
と、その後の復熱中での圧延においてフェライトの微細
化に十分な圧下量が確保できなくなる場合が生じるた
め、最終的な表層部の組織微細化に適正な圧下率として
基礎実験の結果に基づいて決定し、50%とした。
【0018】仕上げ圧延を行うに際しては、上記の条件
で十分オーステナイト粒の微細化、未再結晶域圧延を施
した上で、該鋼材の上下各表層部の領域を水冷等の手段
により冷却し、該鋼材の水冷前の熱間圧延(粗圧延)
点での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域
をAr3 変態点以下まで冷却するとともに、表層部と内
部に温度差をつけるが、その際、該鋼材の水冷前の熱間
圧延時点での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部
の領域の冷却速度は2℃/s以上にする必要がある。
【0019】これは冷却速度が2℃/s未満では冷却前の
熱間圧延によりオーステナイトを微細化しておいても冷
却後の変態組織が粗大となり、その後の復熱中の圧延で
均一な超微細フェライト組織を得ることが困難となるた
めである。
【0020】以上の理由により、該鋼材の冷却前の熱間
圧延時点での板厚の2〜33%に対応する上下各表層
部の領域を2℃/s以上の冷却速度でAr3 変態点以下ま
で冷却し、その後仕上げ圧延を行う際、内部の顕熱によ
るか、あるいは外部からの加熱を利用して板厚の2〜3
3%に対応する上下各表層部の領域を昇温中に圧延を施
すことにより該領域の組織が微細化し、脆性亀裂伝播停
止特性向上が可能となる。
【0021】即ち、仕上げ圧延後の復熱温度がAc3
態点未満の場合は、仕上げ圧延もAc 3 変態点未満で終
了していることになり、該仕上げ圧延段階でフェライト
主体組織圧延されて、該フェライトが高温で加工され
ているため、仕上げ圧延後の復熱でフェライトが十分再
結晶してフェライト粒を顕著に微細化する。その結果、
該表層部が顕著に高靭化するとともに鋼板全体の脆性亀
裂伝播停止特性も向上する。
【0022】以上のAr3 変態点以下への冷却と復熱中
の加工工程は、仕上げ圧延中に複数回繰り返すことによ
り効果が重畳するため、1回以上繰り返しても所望の微
細組織を得ることが可能である
【0023】以上は板厚の2〜33%に対応する上下各
表層部の組織を顕著に微細化するための製造方法の限定
理由であるが、該製造方法によれば表層部だけでなく、
内部の高靭化も同時に達成することが可能となる。即
ち、板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領域を
Ar3 変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度で冷
却を開始し、Ar3 変態点以下で冷却を停止して復熱さ
せると、表層部の方が内部に比べて温度が低いことと、
粒径が微細であることにより変形抵抗が大きくなる。こ
のような状態で圧延加工を加えることにより、変形抵抗
の小さい内部がより大きな歪を受けるようになり、変態
後のフェライト組織が一段と微細化するとともにセンタ
ーポロシティの圧着も容易となる。その結果、内部の靭
性が顕著に向上する。
【0024】表層部の超細粒化する領域の厚さは、脆性
破壊の亀裂伝播挙動から、板厚の上下各表層部で2%以
上ないと、シアリップによるエネルギー吸収効果が十分
でなく、実質的に脆性亀裂伝播停止特性を改善すること
ができない。表層の細粒部分の厚さは厚くなればなるほ
ど、脆性亀裂伝播停止特性は改善されるが、33%を超
えると効果が飽和するのと、鋼材内部の顕熱を利用して
復熱させる場合には表層部の細粒部の厚さを33%以上
とするような条件で冷却すると、鋼材自体の顕熱がなく
なるため、板厚中心部の温度が下がりすぎて靭性が劣化
する。従って、厚鋼板の脆性亀裂伝播停止特性の向上と
板厚中心部の靭性の両者を満足できる範囲として、表層
部の細粒化する部分の厚さは上下各表層部で3〜33%
の範囲が適切である。
【0025】以上が本発明の要件であり、圧延、復熱が
終了した段階で所望の組織を得ることができる。復熱終
了後の冷却は放冷あるいは強制冷却等の手段によらず目
的の脆性亀裂伝播停止特性と靭性を得ることはできる
が、強度の向上等、用途によっては復熱終了後の鋼板を
40℃/s以下の冷却速度で650℃以下まで冷却した
り、40℃/s以下の冷却速度で650℃以下まで冷却
し、ついで、Ac1 変態点以下で焼戻しすることもでき
る。
【0026】以上が本発明の要点であるが、脆性亀裂伝
播停止特性、低温靭性に対しては結晶粒界以外の因子も
影響を及ぼすため、化学成分についても配慮が必要であ
る。以下に化学成分の限定理由を説明する。Cは鋼材の
強度確保のために有効な元素であるが、過剰に添加する
と靭性や溶接性の劣化を招くため、0.01〜0.30
%の範囲とする。Siは脱酸に必要な元素であるが、過
剰に添加すると特に溶接部の靭性を劣化させるため、上
限を0.5%とする。
【0027】Mnは強度と靭性の向上を目的として添加
するが、過剰に添加すると溶接割れが生じやすくなるた
め、2.0%以下に限定する。AlはSiと同様、脱酸
のために必要であり、AlNを形成することによって結
晶粒を微細化して靭性向上に寄与するが、過剰に添加す
ると靭性劣化を生じたり、鋼中の介在物の増加を招きや
すいため、0.1%以下の添加とする。TiはTiNと
して加熱オーステナイト粒径の微細化を通して鋼材全体
の靭性向上に寄与するとともに、後述するように、表層
部の微細組織を安定的、均一に得るために必要な、表層
部の復熱前の組織微細化に有効な元素である。0.00
3%未満の添加ではオーステナイト粒径微細化の効果が
小さく、0.10%を超える添加は効果が飽和するとと
もに形成されるTiNが粗大となって靭性を劣化させる
恐れがあるため、0.003〜0.10%の範囲が好ま
しい。
【0028】NはAlやTiと窒化物を形成するために
適量含有せしめる必要があるが、過剰に添加すると固溶
Nが増加して靭性を劣化させるため、適正な範囲として
0.001〜0.01%とする。Cr,Ni,Mo,
V,Nb,B,Cuはいずれも母材の強度上昇に有効で
あり、所望の強度を得るために1種または2種以上組み
合わせて、適量添加することができる。ただし、いずれ
も過剰の添加により靭性、溶接性や溶接部靭性の劣化を
招くため、上限を定めている。
【0029】以上の理由により限定された化学成分を有
し、残部Fe及び不可避不純物からなる鋼片をAc3
態点以上、1100℃以下の温度に加熱し、950℃以
下での累積圧下率が10〜50%の圧延を行った後、
その段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部
の領域をAr3 変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却
速度で冷却を開始し、Ar3 変態点以下で冷却を停止し
て復熱させることを1回以上経由させる経過で仕上げ圧
延を行い、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間に熱
間圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼板の前記上下表層
域をAc3 変態点未満に復熱することにより脆性亀裂
伝播停止特性と低温靭性に優れた厚鋼板を製造すること
が可能となる。
【0030】
【実施例】表1に示す化学成分の供試鋼を用いて、表2
に示す製造条件で製造した厚鋼板のシャルピー試験によ
る靭性(破面遷移温度vTrs)、ESSO試験による
脆性亀裂伝播停止特性(Kca値が600 kgf・mm-3/2
となる温度)を表3に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】本発明の化学成分を有する鋼種1〜12を
用いて、本発明の製造方法により製造した試験番号A−
1〜A−15の厚鋼板は−50℃におけるKca値が4
90〜1240 kgf・mm-3/2と非常に優れた脆性亀裂伝
播停止特性を示すとともに、表層部、板厚中心部ともv
Trsで−100℃以下の優れた靭性を示す。
【0036】一方、化学成分が本発明の範囲外であった
り、製造方法が本発明に合致しない比較例の試験記号B
−1〜B−7の厚鋼板では本発明法による厚鋼板に比べ
て、脆性亀裂伝播停止特性、シャルピー特性とも明らか
に劣っている。当然、比較鋼B6,B7のように、通常
の制御圧延により圧延し、圧延後制御冷却しただけでは
十分な特性が得られないが、比較鋼B−1〜B−5のよ
うに、仕上げ圧延前に表層部を急冷、復熱させても、他
の条件が本発明を満足していなければ、本発明鋼のよう
な優れた脆性亀裂伝播停止特性は得られないことが表3
の実施例から明らかである。
【0037】
【発明の効果】本発明は、従来はNiの多量添加でしか
得られなかった脆性亀裂伝播停止特性の向上を従来にな
い製造法で安定して達成できるようにするものであり、
構造物として安全性の高い厚鋼板を経済性、生産性を損
なうことなく製造できる方法として産業上の効果は極め
て大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−141517(JP,A) 特開 平4−285119(JP,A) 特開 平5−263132(JP,A) 特開 平3−140412(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 38/00 - 38/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.01〜0.30%、 Si:≦0.5%、 Mn:≦2.0%、 Al:≦0.1%、 Ti:0.003〜0.10%、 N :0.001〜0.01%、 残部Fe及び不可避不純物からなる鋼片をAc3 変態点
    以上、1100℃以下の温度に加熱し、950℃以下で
    の累積圧下率が10〜50%の圧延を行った後、その
    段階での板厚の2〜33%に対応する上下各表層部の領
    域をAr3 変態点以上の温度から2℃/s以上の冷却速度
    で冷却を開始し、Ar3 変態点以下で冷却を停止して復
    熱させることを1回以上経由させる経過で仕上げ圧延を
    行い、最後の冷却後の復熱が終了するまでの間に仕上げ
    圧延を完了させ、該圧延完了後の鋼板の前記上下表層域
    をAc3 変態点未満に復熱することを特徴とする脆性亀
    裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%でさらに、 Cr:≦0.5%、 Ni:≦1.0%、 Mo:≦0.5%、 V :≦0.1%、 Nb:≦0.05%、 B :≦0.0015%、 Cu:≦1.5% の1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1
    記載の脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 復熱終了後の鋼板を40℃/s以下の冷却
    速度で650℃以下まで冷却することを特徴とする請求
    項1または2記載の脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の
    優れた厚鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 復熱終了後の鋼板を40℃/s以下の冷却
    速度で650℃以下まで冷却し、ついで、Ac1 変態点
    以下で焼戻しすることを特徴とする請求項1または2記
    載の脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の
    製造方法。
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