JP5216388B2 - 帯電防止性スチレン系樹脂発泡成形体及びその製造方法 - Google Patents
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しかしながら、スチレン系樹脂は、電気絶縁性が高いゆえに、摩擦によって容易に帯電し、ほこりの付着によって発泡成形体の外観を損ねるばかりか、内容物に集塵よる汚染や静電破壊を起こすため、液晶等の電子部品の包装材として使用するには問題があった。
本発明におけるスチレン系樹脂粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリスチレンとポリエチレンもしくはポリプロピレンとの架橋樹脂等からなる粒子が挙げられる。こられの樹脂は混合されていてもよく、スチレン系樹脂以外の他の樹脂を混合してもよい。他の樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。本発明では、特に、ポリオレフィン改質スチレン系樹脂が好ましく、更にはポリエチレン改質スチレン系樹脂が好ましい。
その後、金型内に予備発泡粒子を充填し、再度加熱して予備発泡粒子を型内発泡させて粒子同士を熱融着させ、冷却を行なうことで発泡成形体を得ることができる。加熱用の媒体は、ゲージ圧力0.05〜0.15MPaの水蒸気が好適に使用される。
加熱時間は、金型に水蒸気及びその他の加熱媒体を入れ始める時点から加熱媒体を止める時点までの時間である。
水冷工程の水は常温(約25℃)の水が用いられる。
更に、本発明の発泡成形体の部位による帯電防止性能のバラツキに関しては、上記表面抵抗率のバラツキ度について標準偏差を求めて判断する。
なお、実施例及び比較例で得られた発泡成形体の表面抵抗率の測定方法及び表面抵抗率のバラツキ度の評価方法を下記する。
JIS K6911:1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」記載の方法により測定した。即ち、試験装置((株)アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微少電流計R8340及びレジスティビティ・チェンバR12702A)を使用し、試料サンプルに、約30Nの荷重にて電極を圧着させ500V1分間充電後の抵抗値を測定し、次式により算出した。試料サンプルは、100×100×原厚み(10以下)mmとし、同一発泡成形体から10個のサンプルを切り出し、それぞれについて測定を行なった。表面抵抗率が1×1012Ω以下であれば、その発泡成形体は帯電防止性を有すると判断した。
ρs : 表面抵抗率(MΩ)
D : 表面の環状電極の内径(cm)
d : 表面電極の内円の外径(cm)
Rs: 表面抵抗(MΩ)
表面抵抗率のバラツキ度は次のように求めた。n=10で測定した表面抵抗率をそれぞれ対数(log10)で返し、その対数について標準偏差を求めた。標準偏差が1.0以下であれば非常にバラツキが少ないと判断した。
メルトフローレートは、JIS K 7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載の方法により測定した。
メルトフローレートが0.3g/10分、酢酸ビニル含量が5.5重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、気泡調整剤としてケイ酸カルシウム0.3重量部とステアリン酸カルシウム0.1重量部を加えて押出機で均一に混練した後造粒し、ポリエチレン系樹脂のペレットを得た。
内容積100リットルの攪拌機付き耐圧容器に、前記ポリエチレン系樹脂ペレット40重量部、水120重量部、ピロリン酸マグネシウム0.45重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.02重量部を添加し、攪拌しながら85℃まで昇温した。別にラジカル重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3重量部、及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.02重量部、架橋剤としてジクミルパーオキサイド0.8重量部を60重量部のスチレン単量体に溶解させて溶液とし、これを前記水中に加えてポリエチレン系樹脂ペレット粒子に吸収させながら4時間維持して重合を行なった。その後、140℃に昇温して3時間保持した後、冷却してポリエチレン改質スチレン系樹脂粒子を取り出した。
内容積50リットルの耐圧で密閉可能なV型ブレンダーにポリエチレン改質スチレン系樹脂粒子を100重量部、非イオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルアミン(日油社製 エレガンS−100)を2.0重量部加え、密閉し攪拌しながら、ブタン14重量部を圧入した。そして、器内を50℃に4時間維持した後、冷却して発泡性の樹脂粒子を取り出した。取り出した発泡性の樹脂粒子は直ちにバッチ式発泡機で嵩倍数30倍(嵩密度0.033g/cm3)に予備発泡し、その後室温で24時間保存した。この予備発泡粒子を400×300×30mmの成形機の金型内に充填し、金型加熱工程、一方加熱工程、逆一方加熱工程、両面加熱工程をゲージ圧力0.08MPaの水蒸気を用いて、それぞれ5秒、5秒、5秒、20秒間注入して加熱発泡させ、水冷工程を100秒取り、排水工程を経て、所定の取り出し発泡圧になるまで真空放冷工程を行ない、倍数30倍(密度0.033g/cm3)の発泡成形体を取り出した。得られた発泡成形体は、40℃の乾燥室にて8時間以上乾燥させた。
水冷時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
実施例3
水冷時間を150秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を3.0重量部としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
実施例5
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を1.0重量部としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を1.0重量部とし、水冷時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
実施例7
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を1.0重量部とし、水冷時間を150秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
実施例9
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし水冷時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし水冷時間を150秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
実施例11
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし添加量を1.0重量部としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし、添加量を1.0重量部、水冷時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
実施例13
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし、添加量を1.0重量部、水冷時間を150秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40リットル、第三リン酸カルシウム100gおよびドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2.0gを入れ、続いて攪拌しながらスチレン40.0kg、ベンゾイルパーオキサイド96.0g、t−ブチルパーオキサイド28.0gを添加し、90℃で昇温して6時間保持した。更に、125℃に昇温してから2時間後冷却しスチレン樹脂粒子を得た。
水冷時間を350秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
実施例16
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を1.0重量部とし、水冷時間を350秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし、水冷時間を350秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし、添加量を1.0重量部、水冷時間を350秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を0.1重量部としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
比較例2
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を0.1重量部とし、水冷時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を0.1重量部とし、水冷時間を150秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
比較例4
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし添加量を0.1重量部としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし添加量を0.1重量部、水冷時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
比較例6
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし添加量を0.1重量部、水冷時間を150秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをイオン系界面活性剤である脂肪族第4級アンモニウム塩(第一工業製薬社製 カチオーゲンES−L)とし、添加量を1.5重量部としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
比較例8
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをイオン系界面活性剤である脂肪族第4級アンモニウム塩(第一工業製薬社製 カチオーゲンES−L)とし、添加量を1.5重量部、水冷時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをイオン系界面活性剤である脂肪族第4級アンモニウム塩(第一工業製薬社製 カチオーゲンES−L)とし、添加量を1.5重量部、水冷時間を150秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
比較例10
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをイオン系界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸塩(25%水溶液、花王社製 ネオペレックスF−25)とし、添加量を1.5重量部としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをイオン系界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸塩(25%水溶液、花王社製 ネオペレックスF−25)とし、添加量を1.5重量部、水冷時間を50秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをイオン系界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸塩(25%水溶液、花王社製 ネオペレックスF−25)とし、添加量を1.5重量部、水冷時間を150秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
水冷時間を35秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
比較例14
ポリオキシエチレンラウリルアミンの添加量を1.0重量部とし、水冷時間を35秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし、水冷時間を35秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
比較例16
非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルアミンをアルキルモノエタノールアミン(日油社製 ナイミーンL−201)とし、添加量を1.0重量部、水冷時間を35秒としたこと以外は実施例1と同様に行なった。
ポリオキシエチレンラウリルアミン(日油社製 エレガンS−100)の添加量を5.0重量部としたこと以外は実施例1と同様に行なった。得られた予備発泡粒子及び発泡成形体は、表面にベトツキがあり、ほこりがかえって付着しやすいものであった。良好な発泡成形体ではなかったので、表面抵抗率の測定等は行なわなかった。
Claims (3)
- スチレン系樹脂粒子100重量部に対して非イオン系界面活性剤0.5〜3.5重量部及び易揮発性発泡剤をスチレン系樹脂粒子に同時に含浸させ、加熱して予備発泡粒子とし、前記予備発泡粒子を金型内に充填し加熱工程に付して型内発泡成形を行なうに際し、型内発泡後の水冷工程の時間を、総加熱工程時間の1.2〜10倍とすることを特徴とする帯電防止性スチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
- 前記スチレン系樹脂粒子がポリオレフィン改質スチレン系樹脂粒子である請求項1に記載の帯電防止性スチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法によって得られる発泡成形体であり、前記発泡成形体の表面抵抗率の対数から算出される標準偏差が1.0以下であり、前記発泡成形体の表面抵抗率の平均値が1×1012Ω以下である性質を有することを特徴とする帯電防止性スチレン系樹脂発泡成形体。
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