JP5885792B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法及びポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、現在では使用済みの発泡成形体のリサイクル化が進み、環境保護が行われるようになってきた。
また、家電製品を構成する材料はこれを再利用することが義務付けられた。
その結果、家電製品を廃棄するに際しては、その構成材料を金属、ガラス、プラスチック等に分けて、それぞれを再利用しなければならなくなった。家電製品以外にも複写機、ファクシミリ、プリンターなどの事務用機器も金属、ガラス、プラスチックが用いられているので、これらも再利用することが望ましいとされている。
また、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の特性を強化するために無機物を含有させることが検討され、その1手段としてポリスチレン系樹脂と、無機物を押出機内で溶融混練し、これを押出機の先に取付けた口金の孔から押出してペレット化し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とする方法がある。
しかし、この方法では使用できる発泡剤が比較的高沸点のものであるため、家電等の梱包材や魚箱等の食品容器に用いられる低密度のものが得にくいという課題があった。
ところが、こうして得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、製造後に長期保管したものを予備発泡すると、保管前のものを予備発泡した予備発泡粒子と比べ、予備発泡粒子中の気泡が細かくなり、良好な成形体を得ることができなくなるために、長期間保管できず、保管可能期間が短いという課題が残されていた。
原因としては、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の気泡が保管日数の経過に従って小さくなり、気泡膜が薄くなることから成形時の耐熱性が低下する為と考えられる。
また、本発明によれば予備発泡直前に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に脱水乾燥処理を施す必要もなく、発泡ばらつきが少なくなり、生産物の不良率も大幅に改善できる。
そして、ポリスチレン系樹脂中における鱗片状珪酸塩、金属酸化物、炭素化合物の含有量としては、0.1〜10.0質量%、好ましくは0.3〜8.0質量%である。
ポリスチレン系樹脂粒子中における含有量(質量%)=100×灰化後測定試料の質量/灰化前測定試料の質量
ヒドロキシ脂肪酸アマイドの添加量が0.05質量%未満では、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡時の平均気泡径の経日変化を抑制する効果が十分得られず、0.50質量%を超える量を添加してもその効果が頭打ちとなり、却って予備発泡時の剥離、コストアップなど問題が生じる。
水性媒体中でポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、水性媒体から分離して洗浄し、脱水、乾燥される。この状態において発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の付着水分量を測定した結果、0.05質量%未満であり、0.02〜0.03質量%程度のものが多かった。
そして、このような付着水分量が少ない発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、製造後に保管しておくと、保管日数の経過に伴って、予備発泡時の発泡粒子の平均気泡径が小さくなる傾向が見られ(図1中の比較例1参照)、またその平均気泡径の減少に伴って、その予備発泡粒子を型内発泡成形する際の発泡性が悪化し、良好な外観及び強度を有する発泡成形体が得られなくなるため、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の保管可能期間が短いという問題があった。
一方、特許文献3に記載されているように、水分過多の状態で発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を保管した場合、前述した平均気泡径の経日変化は抑制できるものの、予備発泡時の発泡ばらつきが大きくなり、予備発泡粒子の不良率が高くなる問題があった。
また、予備発泡直前に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に脱水乾燥処理を施す必要もなく、発泡ばらつきが少なくなり、生産物の不良率も大幅に改善できる。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の付着水分量が0.05質量%未満では、平均気泡径の経日変化が生じ、平均気泡径の減少に伴って、予備発泡粒子を型内発泡成形する際の発泡性が悪化し、良好な外観及び強度を有する発泡成形体が得られなくなるため、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の保管可能期間が短くなる。一方、付着水分量が0.45質量%を越えると、予備発泡時の発泡ばらつきが大きくなり、予備発泡粒子の不良率が高くなってしまう。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の材料となるポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、汎用の方法が用いられ、例えば、バージン原料、回収品を押出機に供給して溶融混練し、押出機からストランド状に押出して冷却してから所定長さ毎に切断してポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法(ストランドカット法);あるいは押出機の先に取り付けた口金の孔から水中に押し出すと同時に切断し冷却してポリスチレン系樹脂粒子を製造する方法(水中ホットカット法)などが挙げられる。また、この押出機内の樹脂に鱗片状珪酸塩や金属酸化物を分散させた後、所定長さ毎に切断してポリスチレン系樹脂粒子としても良い。
このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩などの硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩などのリン酸エステル塩などが挙げられる。
また、前記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、ジアセチル化グリセリンモノステアレートなどのグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペートなどのアジピン酸エステルなどがある。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における溶剤及び可塑剤の含有量はそれぞれ、少ないと、溶剤及び可塑剤を添加した効果が発現しないことがある一方、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体に収縮や溶けが発生して外観性などが低下することがあるので、0.1〜1.5質量%が好ましく、0.2〜1.0質量%がより好ましい。
前記溶剤及び可塑剤は、前記シード重合によってポリスチレン系樹脂種粒子を成長させてポリスチレン系樹脂粒子を製造した後にポリスチレン系樹脂粒子に含浸させるか、或いは、シード重合によるポリスチレン系樹脂種粒子の成長途上、即ち、ポリスチレン系樹脂成長粒子に含浸させる。なお、ポリスチレン系樹脂種粒子に予め溶剤や可塑剤を添加しておいてもよい。
そして、前記溶剤及び可塑剤をポリスチレン系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂種粒子又はポリスチレン系樹脂成長粒子に含浸させる温度としては、低いと、含浸に時間を要し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造効率が低下することがある一方、高いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子同士の合着が多量に発生することがあるので、60〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
前記難燃剤としては、例えば、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールAなどが挙げられる。そして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における難燃剤の含有量としては、少ないと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体の難燃性が不充分なことがある一方、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の成形性が低下することがあるので、0.5〜1.5質量%が好ましい。
また、前記難燃助剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。そして、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における難燃助剤の含有量は、少ないと、難燃助剤を添加した効果が発現しないことがある一方、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡成形性が低下することがあるので、0.05〜0.5質量%が好ましい。
次に、本発明の製造方法では、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に水を塗布し、付着水分量を0.05〜0.45質量%の範囲に調節する工程を行う。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に水を塗布する方法としては、質量既知の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に所定量の水を加え、または噴霧し、水が発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に展着するように、粒子を軽く撹拌する方法などによって行うことができる。
なお、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の熟成温度は、低いと、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の熟成時間が長くなることがある一方、高いと、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下するので、20〜60℃が好ましい。
まず、実施例において行った各測定の方法及び評価の基準を記しておく。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の付着水分量の測定は下記の方法で行った。
(1)得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を約5g採取し、温度23℃、湿度50%の環境下に5分間気流乾燥し、減量(付着水分量)をW1とする。
(2)残ったサンプルを150℃にて30分加熱し、減量をW2とする。
(3)次式により付着水分量を算出する。
付着水分量(%)=(W1/W2)×100
予備発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
先ず、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度を測定した。
嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
測定装置として走査電子顕微鏡JSM−6360LV(日本電気社製)を用いた。
予備発泡粒子の中から任意に選択した10個について、剃刀刃を用いて、それぞれ粒子の中心を通る平面で二等分し、その一方の切断面の表層部を走査型電子顕微鏡を用いて、20倍(場合により100倍)に拡大した画像を撮影した。
次に、撮影した画像をA4用紙上に1画像づつ印刷した。印刷された画像から、気泡を通る曲線の長さと気泡数を計測した。
計測結果から下記式により気泡の平均弦長(t)を算出した。
平均弦長 t=線長/(気泡数×写真の倍率)
そして平均弦長(t)を用いて、次式により予備発泡粒子の断面の気泡の気泡径(D)を算出した。
D=t/0.616
さらにそれらの算術平均を予備発泡粒子の平均気泡径とした(以下、気泡径と略記する)。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡機(株式会社 積水工機製作所製 SKK−70型発泡機)にて水蒸気圧0.02MPaで加熱して、嵩密度0.015g/cm3となるように予備発泡し、得られた予備発泡粒子を逆円錐状の不織布で作製された容器内で23℃、湿度50%で24時間放置した。
次に、株式会社 積水工機製作所製 ASE−3SP成形機にて下記の条件にて、寸法:300×400×50mmの板状成形体を成形し、評価を行った。
成形蒸気圧 : ケージ圧 0.06MPa
金型加熱 : 3秒
一方加熱 : 5秒
両面加熱 :15秒
水冷 : 3秒
真空冷却 : 120秒(QS成形モード)
評価基準
◎ :30日保管した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を上記の成形条件にて成形し、成形体の外観に隙間が少なく、美麗なもの。
× :30日保管した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を上記の成形条件にて成形し、成形体の外観が悪いもの。
評価基準
◎:30日保管した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から上記成形条件にて50個成形し、個々の密度を測定し、成形体の密度が0.015g/cm3±0.002g/cm3の範囲内に50個全てある場合を良好とした。
×:30日保管した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から上記成形条件にて50個成形し、個々の密度を測定し、成形体の密度が0.015g/cm3±0.002g/cm3の範囲から外れるものが1個以上ある場合を不良とした。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50℃以下にて保管し、5日、10日、30日保管後、各日ごとに付着水分を測定すると共に、嵩密度0.015/cm3となるように予備発泡し、平均気泡径を測定した。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密閉し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日おきに嵩密度0.015g/cm3となるように予備発泡し、下記の条件にて成形を行い、評価基準で◎となる成形体が得られる最長の保管日数とした。
成形条件
成形機 : 株式会社 積水工機製作所製 ASE−3SP成形機
成形体形状 : 300×400×50mm(板状成形体)
成形体密度 : 0.015g/cm3
成形蒸気圧 : ケージ圧 0.09MPa
金型加熱 : 3秒
一方加熱 : 5秒
両面加熱 :15秒
水冷 : 3秒
真空冷却 : 120秒(QS成形モード)
評価基準
◎ : 成形体の外観に隙間が少なく、美麗なもの。
◎:保管可能日数が30日以上、成形性、不良率評価すべてが良好であるもの。
×:保管可能日数が30日未満のもの、又は、成形性と不良率のいずれかが評価×であるもの。
スチレン換算重量平均分子量が29万であるポリスチレン系樹脂を押出機に供給し、230℃にて溶融混練してからストランド状に押出し、このストランドを所定長さ(平均径0.8mm、長さ1.0mm)毎に切断して、ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
次に、攪拌機付き耐圧重合容器に、水2000質量部、ポリスチレン系樹脂粒子1500質量部、ピロリン酸マグネシウム6質量部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.3質量部を供給し、攪拌しつつ70℃に加熱して分散液を作製した。
次に、重合容器内にブタン162質量部を圧入して100℃で6時間に亘って保持し、ポリスチレン系樹脂粒子中にブタンを含浸させた後、重合容器内を30℃に冷却して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を脱水、乾燥後付着水分量を測定した結果、0.033質量%であった。次に粒子表面に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.10質量部の水を塗布した。その際の付着水分量は0.11質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
スチレン換算重量平均分子量が22万である回収ポリスチレン系樹脂を使用した以外は、参考例1と同様にして発泡性ポリスチレン樹脂を得た。
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を脱水、乾燥後付着水分量を測定した結果、0.029質量%であった。次に粒子表面に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.10質量部の水を塗布した。その際の付着水分量は0.10質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
脱水、乾燥までは参考例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製し、脱水、乾燥後に付着水分量を測定した結果、0.033質量%であった。この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.03質量部の水を塗布した。その際の付着水分量は0.055質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
脱水、乾燥までは参考例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製し、脱水、乾燥後に付着水分量を測定した結果、0.033質量%であった。この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.45質量部の水を塗布した。その際の付着水分量は0.44質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
攪拌機付き耐圧重合容器に、水2000質量部、ポリスチレン系樹脂粒子1500質量部、ピロリン酸マグネシウム6質量部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.3質量部、ヒドロキシステアリン酸アマイドを1.5質量部(0.10質量%)供給し、攪拌しつつ70℃に加熱した以外は、参考例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製した。脱水乾燥後、水を塗布せずに非透水性容器内で温度15℃、湿度50%以下にて保管した。その際の付着水分量は0.09質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
ヒドロキシステアリン酸アマイドを0.9質量部(0.06質量%)とした以外は、参考例5と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製し、脱水、乾燥後、水を塗布せずに非透水性容器内で温度15℃、湿度50%以下にて保管した。その際の付着水分量は0.07質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
ヒドロキシステアリン酸アマイドを7.5質量部(0.50質量%)とした以外は、参考例5と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製し、脱水、乾燥後、水を塗布せずに非透水性容器内で温度15℃、湿度50%以下にて保管した。その際の付着水分量は0.07質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
スチレン換算重量平均分子量が29万であるポリスチレン系樹脂を押出機に供給して230℃にて溶融混練して押出機からストランド状に押出し、このストランドを所定長さ毎に切断して、ポリスチレン系樹脂粒子(平均径0.8mm、長さ0.8mm)とした。
次に、攪拌機付き重合容器に、水2000質量部、ポリスチレン系樹脂粒子500質量部、ピロリン酸マグネシウム6質量部及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.3質量部を供給して攪拌しつつ70℃に加熱して分散液を作製した。続いて、ベンゾイルパーオキサイド4.5質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1質量部をスチレンモノマー200質量部に溶解させ、このスチレンモノマーを全て前記分散液中に攪拌しつつ供給した。
そして、分散液中にスチレンモノマーを供給し終えてから30分経過後に分散液を90℃に加熱し、この分散液中に更にスチレンモノマー1300質量部を3時間かけて一定の供給速度で供給して、ポリスチレン系樹脂粒子を種粒子としてシード重合を行なってポリスチレン系樹脂種粒子を成長させ、全てのスチレンモノマーを供給し終えてから125℃に加熱して2時間に亘って放置した後に冷却してポリスチレン系樹脂粒子を得た。シード重合させる際のスチレンモノマーの添加量は、種粒子100質量部に対してスチレンモノマー300質量部であった。次に、ポリスチレン系樹脂粒子が分散した分散液を70℃に加熱した後、難燃剤としてテトラブロモシクロオクタン23.4質量部及び難燃助剤としてジクミルパーオキサイド5.4質量部を分散液中に供給した上で重合容器を密閉して90℃に加熱した。
続いて、重合容器内にブタン162質量部を圧入して6時間に亘って保持し、ポリスチレン系樹脂粒子中にブタンを含浸させた後、重合容器内を30℃に冷却して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を脱水、乾燥後付着水分量を測定した結果、0.026質量%であった。改めて粒子表面に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.10質量部の水を塗布した。その際の付着水分量は0.13質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
スチレン換算重量平均分子量が25万であるポリスチレン系樹脂を押出機に供給して230℃にて溶融混練する際に目開きが3μmの篩を通過せず且つ目開きが5μmの篩を通過する天然雲母の含有量が5.0質量%となるように添加して押出機からストランド状に押出し、このストランドを所定長さ毎に切断して、ポリスチレン系樹脂粒子とした。
それ以外は参考例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
脱水直後の付着水分量は0.022質量%であり、改めて粒子表面に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.10質量部の水を塗布した。その際の付着水分量は0.15質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
脱水、乾燥までは、参考例1と同様に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造し、脱水、乾燥後に付着水分量を測定した結果、0.033質量%であった。
次にこのまま非透水性容器内で温度15℃、湿度50%以下にて保管した。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を10日保管後、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、平均気泡径を測定した結果、55μmであり成形性が低下していた。そこで、改めて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表面に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して0.10質量部の水を塗布した。その後に測定した付着水分量は0.11質量%であった。
その後、再度非透水性容器内で温度15℃、湿度50%以下にて保管した。5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
脱水、乾燥までは、参考例1と同様に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造し、脱水、乾燥後に付着水分量を測定した結果、0.033質量%であった。
参考例1での水の塗布を行わず、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
脱水、乾燥までは、参考例1と同様に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造し、脱水、乾燥後に付着水分を測定した結果、0.033質量%であった。この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子100質量部に対して、0.50質量部の水を塗布した。その際の付着水分量は0.51質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
ヒドロキシステアリン酸アマイドを0.45質量部(0.03質量%)とした以外は、参考例5と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造し、脱水、乾燥後、水を塗布せずに15℃以下にて保管した。その際の付着水分量は0.025質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
脱水、乾燥までは、参考例1と同様に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造し、脱水、乾燥後、付着水分量を測定した結果、0.033質量%であった。この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を15℃、湿度80%にて5日保管した結果、付着水分量は0.036質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
脱水のみ行い乾燥を行わなかった以外は、参考例1と同様に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造し、脱水後に付着水分量を測定した結果、0.039質量%であった。
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
脱水、乾燥までは、参考例8と同様に発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造し、脱水、乾燥後に付着水分を測定した結果、0.026質量%であった。
水を塗布せずに、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を非透水性容器内に密封し、温度15℃、湿度50%以下にて保管し、5日、10日、30日保管後の各日ごとに付着水分量を測定すると共に、嵩密度0.015g/cm3に予備発泡し、気泡径を測定し、さらに予備発泡粒子を型内発泡成形して成形性、不良率を評価した。その結果を表1に記す。
また、比較例2のように、水を多めに付着させ、水分量0.51質量%と本発明の上限値を越える水分量とした場合には、平均気泡径の経日変化は生じなくなるものの、予備発泡時の発泡ばらつきが大きくなり、予備発泡粒子の不良率が高くなった。
また、比較例3のように、発泡剤含浸時に発泡剤と共にヒドロキシ脂肪酸アマイドを0.03質量%添加した場合でも、水を付着させずに付着水分量0.025質量%と低い場合には、保管5日目、10日目では変化が見られなかったが、保管30日目では予備発泡粒子の平均気泡径が45μmに低下して成形性が悪化した。
また、比較例4のように、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に水を付着させず、単に高湿度条件下で保管しても、付着水分量はそれほど上昇せず、平均気泡径の経日変化を抑制することはできなかった。
また、比較例5のように、ブタン含浸後の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に脱水のみを施した場合、付着水分量は0.039質量%となって、本発明の付着水分量下限に達しなかった。これを保管した結果は、比較例4と同様であり、平均気泡径の経日変化を抑制することはできなかった。
また、比較例6のように、シード重合によって得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に水を付着させず、付着水分量0.026質量%と低い状態で保管した結果は、比較例1と同様であり、平均気泡径の経日変化を抑制することはできなかった。
図1の結果から、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に適量の水を塗布した参考例1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、水を塗布しなかった比較例1の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と比べ、予備発泡時の平均気泡径の経日変化を抑制することができる、という顕著な効果が得られることが分かる。
Claims (3)
- ポリスチレン系樹脂に金属酸化物を加え溶融混練する溶融混練工程を経てポリスチレン系樹脂粒子を製造し、前記ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させて、下記(1)式で表される付着水分量が0.05〜0.45質量%の範囲であり、金属酸化物を0.1〜10.0質量%の範囲で含有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
ガラス転移点以下まで冷却されたポリスチレン系樹脂を少なくとも1回以上の溶融混練工程、及び溶融混練されたポリスチレン系樹脂を少なくとも1回以上のガラス転移点以下までの冷却工程を経た後のポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させて、前記金属酸化物を含有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得るとともに、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の付着水分量を0.05〜0.45質量%の範囲に調整することを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
付着水分量=(W1/W2)×100・・・(1)
[得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を約5g採取し、温度23℃、湿度50%の環境下に5分間気流乾燥し、減量をW1とする。残ったサンプルを150℃にて30分加熱し、減量をW2とする。] - 請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法により発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得、次いで前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させるポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
- 請求項2に記載のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法によりポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得、次いで前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型内に充填し、型内発泡成形するポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法。
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