JP5215647B2 - ポンプ吐出抵抗検査装置および方法 - Google Patents
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Description
このようなポンプシステムでは、ポンプの特性値、すなわち流量、揚程、軸動力、およびポンプ回転速度比を必要に応じて計測し、これら特性値が所望の値を保つようインバータを制御してポンプの回転速度を調整する運転制御を行っている。
また、圧力計などの計測機器を別途追加して、ポンプの吐出抵抗を監視する方法も考えられるが、設備増大やコストアップの要因となる。
このため、ポンプ吐出抵抗の変化を直接検査するための圧力計などの計測機器を別途追加することなく、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができる。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図である。
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の処理対象となるポンプシステムについて説明する。図2は、ポンプ吐出抵抗検査装置の処理対象となるポンプシステムの構成例を示すブロック図である。
ポンプシステム5は、オフィスビル、公共施設、ホテルなどに設けられている一般的な空調設備のポンプシステムであり、2系統の熱源を有し、熱源機に1次ポンプを有するともに、往ヘッダに2次ポンプを有し、これらポンプにインバータを設けてポンプ回転速度を可変制御している。なお、本発明は、熱源が2系統のポンプシステムに限定されるものではなく、1系統や3系統以上熱源があるポンプシステムに対しても、同様に適用でき、同様の作用効果が得られる。
外部負荷65から戻ってきた熱源水は、還ヘッダ59で熱源管路61,62に分配され、制御装置50Aからの制御に応じて熱源機51A,51Bで適温に調整された後、1次ポンプ52A,52Bにより、制御装置50Aからのインバータ制御に応じた流量で往ヘッダ53Aへ送液される。
1次ポンプ52A,52Bから往ヘッダ53Aで送液された熱源水は、2次ポンプ54A,54B,54Cにより、2次ポンプ制御装置50Bからのインバータ制御に応じた流量で、それぞれの吐出弁56Bを介して往ヘッダ53Bへ送液され、さらに往ヘッダ53Bを介して外部負荷65側へ送液される。往ヘッダ53A,53Bの間の圧力差すなわち揚程Hは差圧計55で計測され、2次ポンプ制御装置50Bへ出力される。
2次ポンプ制御装置50Bは、流量計58で計測された流量Qに基づき、2次ポンプ54A,54B,54Cの運転台数を調整する。また、往ヘッダ53Bにおいて過剰となった熱源水を往ヘッダ53Aへ戻すため、バルブ56Aの開度を調整する。
次に、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置におけるポンプ吐出抵抗検査の原理について説明する。図3は、ポンプ吐出抵抗検査の原理を示す説明図である。
まず、ポンプの回転速度をインバータ制御した場合の流量と揚程の関係について説明する。
ポンプの回転速度Nをインバータ制御により定格回転速度N0から制御時回転速度N1へ制御した場合、ポンプからの吐き出し量すなわち流量Qと、その吐出圧力すなわち揚程Hには、次式(1)に示す関係が成り立つ。式(1)において、INVは、定格回転速度N0に対する制御時回転速度N1の比率N1/N0、すなわち回転速度比であり、K1,K2は定数である。
H=K1×INV2−K2×Q2 …(1)
H=−s×Q2+t×Q+u …(2)
一般に、ポンプの基準揚程曲線A0は、ポンプに固有の特性であり、個々の製品ごとに式(2)のような基準揚程曲線がグラフや関数式によりメーカーから提供される。
H=α×Q2 …(3)
H1=H0×INV1 2 …(5)
Q1=Q0×INV1 …(6)
同じく、式(6)を用いて、制御時流量Q1と制御時回転速度比INV1から基準流量Q0を求めることもでき、基準流量Q0と制御時流量Q1から制御時回転速度比INV1を求めることもできる。
図2に示した空調設備などのポンプシステムでは、例えば、空調負荷の変動や運用上の何らかの理由により、2次ポンプ54A〜54Cの出力段に設けられている吐出弁56Bの弁開度を一時的に操作して、ポンプから負荷側の熱交換器に対する熱源水の供給量を低減させる場合がある。また往ヘッダ53Bなど2次ポンプ54A〜54Cに接続されている管路に目詰まりが発生する場合もある。このような場合、2次ポンプ54A〜54Cポンプに対して吐出抵抗が発生し、揚程曲線が変化する。
基準運転点R0の変化については、いくつかの方法が考えられる。本実施の形態では、制御時運転点R1を起点として、実測された制御時回転速度比INVM、すなわち基準運転点RMから制御時運転点R1まで運転点を移動させるためにポンプの回転速度を変化させた際の回転速度比と、吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1、すなわち基準運転点R0から制御時運転点R1まで運転点を移動させるためにポンプの回転速度を変化させた際の回転速度比とを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認する場合について説明する。
また、後述する第3の実施の形態では、基準運転点R0における基準揚程H0または基準流量Q0と、基準運転点RMにおける基準揚程HMまたは基準流量QMとを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認する場合について説明する。
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成について説明する。
データ取得部11は、専用のデータ通信回路からなり、ポンプシステム5の各機器などの外部装置とデータ通信を行うことにより、特性値算出対象となるポンプに関する入力特性値2やプログラムなどの各種情報を取得する機能を有している。入力特性値2としては、検査対象となるポンプから、制御時運転点R1における制御時流量Q1および制御時揚程H1を、吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1を算出するための演算用入力特性値2Aとして取得し、制御時運転点R1における制御時回転速度比INVMを、制御時回転速度比INV1と比較するための比較用入力特性値2Bとして取得する。
画面表示部13は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、演算処理部16からの出力に応じて、操作メニュー画面や検査結果3などの各種情報を画面表示する機能を有している。
データ出力部14は、専用のデータ通信回路からなり、ポンプシステム5の各機器などの外部装置とデータ通信を行うことにより、演算処理部16で算出された検査出力3を出力する機能を有している。
記憶部15で記憶される主な処理情報として、基準揚程曲線関数式15Aや関数形状式15Bがある。
一方、関数形状式15Bは、抵抗曲線Cなど、ポンプの動作特性を示す各種関数式である。これら関数式は、各定数が確定しておらず、2次関数など関数の形状だけを示す式である。
演算処理部16で実現される主な処理部として、特性値算出部17と特性値比較部18がある。
特性値算出部17には、基準運転点特定部17Aと基準特性値算出部17Bとが設けられている。
基準特性値算出部17Bは、基準流量Q0または基準揚程H0と演算用入力特性値2Aの制御時流量Q1または制御時揚程H1とに基づき、ポンプの回転速度を制御して、基準運転点特定部で特定された基準運転点から制御時運転点へ運転状態を変化させるために必要な、吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1を基準特性値4Aとして算出する機能を有している。
特性値比較部18には、比較判定部18Aが設けられている。
比較判定部18Aは、比較用入力特性値2Bとして得られた制御時回転速度比INVMからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた制御時回転速度比INV1からなる基準特性値4Aとを比較し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する機能を有している。
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の動作について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフロー図である。図5は、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフローチャートである。図6は、図5のポンプ吐出抵抗検査処理における基準運転点特定処理を示すフローチャートである。
続いて、特性値算出部17は、基準特性値算出部17Bにより、基準運転点特定部17Aで求めた基準揚程H0と、記憶部15から読み出した演算用入力特性値2Aの制御時揚程H1とから、前述した式(5)に基づき制御時回転速度比INV1を基準特性値4Aとして算出する(ステップ103)。
そして、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する(ステップ105)。
基準運転点特定部17Aは、特性値算出部17からの指示に応じて、図6の基準運転点特定処理を開始する。
まず、基準運転点特定部17Aは、記憶部15の関数形状式15Bから抵抗曲線Cの関数形状式として前述した式(3)を読み出し(ステップ110)、記憶部15から読み出した制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を式(3)に代入して定数αを算出する(ステップ111)。これにより、抵抗曲線Cが特定される。
このように、本実施の形態は、データ取得部11により、制御時回転速度N1で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を演算用入力特性値2Aとして取得するとともに、制御時回転速度比INV1を比較用入力特性値2Bとして取得し、演算処理部16の特性値算出部17により、記憶部15の基準揚程曲線関数式15Aの基準揚程曲線A0とデータ取得部11で得られた演算用入力特性値2Aとに基づいて、基準回転速度N0でポンプを運転した際の基準運転点R0から特定されるポンプの特性値、ここでは制御時回転速度比INV1を基準特性値4Aとして算出し、演算処理部16の特性値比較部18により、データ取得部11で得られた比較用入力特性値2Bからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた基準特性値4Aとを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定している。
この際、制御時回転速度比INV1は、データ取得部11でポンプシステム5から得られる制御時流量Q1および制御時揚程H1など、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて算出することができ、制御時回転速度比INVMも、データ取得部11でポンプシステム5から得られる一般的な特性値である。このため、ポンプ吐出抵抗の変化を直接検査するための圧力計などの計測機器を別途追加することなく、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができる。
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置について説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図であり、前述の図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
ここで、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置におけるポンプ吐出抵抗検査の原理について説明する。図8は、ポンプ吐出抵抗検査の原理を示す説明図である。
まず、ポンプの回転速度をインバータ制御した場合の流量と軸動力の関係について説明する。
一般に、定格回転速度N0で運転中のポンプからの吐き出し量すなわち流量Qとポンプの消費電力すなわち軸動力Eは、図8の基準軸動力曲線B0で表される。このようなポンプの基準軸動力曲線B0は、ポンプに固有の特性であり、個々の製品ごとにグラフや関数式によりメーカーから提供される。この軸動力Eは、流量Qの2次関数で表すことができ、a,b,cを定数とすると、次式(7)のような関数式で近似できる。
E=−a×Q2+b×Q+c …(7)
E=β×Q3 …(8)
E1=E0×INV1 3 …(9)
また、式(9)を用いて、制御時軸動力E1と制御時回転速度比INV1から基準軸動力E0を求めることもでき、基準軸動力E0と制御時軸動力E1から制御時回転速度比INV1を求めることもできる。
図2に示した空調設備などのポンプシステムでは、例えば、空調負荷の変動や運用上の何らかの理由により、2次ポンプ54A〜54Cの出力段に設けられている吐出弁56Bの弁開度を一時的に操作して、ポンプから負荷側の熱交換器に対する熱源水の供給量を低減させる場合がある。また往ヘッダ53Bなど2次ポンプ54A〜54Cに接続されている管路に目詰まりが発生する場合もある。このような場合、2次ポンプ54A〜54Cポンプに対して吐出抵抗が発生し、揚程曲線が変化する。
この際、図8に示すように、基準運転点R0の変化に応じて、制御時軸動力曲線B1も変化する。前述したように、制御時軸動力曲線B1は式(8)で示すことができる。したがって、ポンプ吐出抵抗の変化に応じて基準運転点R0が基準運転点RMに変化した場合、これら基準運転点に対応する基準動力点もそれぞれ基準動力点P0から基準動力点PMへ変化する。
本実施の形態では、実測されたポンプの制御時軸動力EMと、吐出抵抗のない基準運転点R0に対応する制御時軸動力E1とを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認している。
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成について説明する。
本実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置1Bには、図1のポンプ吐出抵抗検査装置1Aと比較して、演算処理部16の特性値算出部17に、基準動力点特定部17Cが追加されている。
また、記憶部15は、新たな処理情報として、基準軸動力曲線関数式15Cを記憶している。基準軸動力曲線関数式15Cは、定格回転速度(回転速度比=INV0)におけるポンプの流量Qと軸動力Eの関係、すなわち基準軸動力曲線を示す関数式である。さらに、記憶部15は、関数形状式15Bとして、制御時軸動力曲線B1を示す各種関数式を記憶している。この関数式は、各定数が確定しておらず、3次関数など関数の形状だけを示す式である。
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の動作について説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフロー図である。図10は、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフローチャートである。図11は、図10のポンプ吐出抵抗検査処理における基準動力点特定処理を示すフローチャートである。
次に、特性値算出部17は、基準運転点特定部17Aにより、前述した図6の基準運転点特定処理を実行し、基準流量Q0を算出する(ステップ202)。
続いて、特性値算出部17は、基準動力点特定部17Cにより、後述する図11の基準動力点特定処理を実行し、基準軸動力E0を算出する(ステップ203)。
続いて、特性値算出部17は、記憶部15から制御時運転点R1の制御時流量Q1を読み出し、この制御時流量Q1と制御時軸動力曲線B1とから制御時軸動力E1を算出し、基準特性値4Aとして記憶部15へ一時保存する(ステップ205)。
そして、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する(ステップ207)。
基準動力点特定部17Cは、特性値算出部17からの指示に応じて、図11の基準動力点特定処理を開始する。
まず、基準動力点特定部17Cは、記憶部15から基準流量Q0を読み出すとともに、記憶部15から基準軸動力曲線B0として、式(7)の定数が確定している基準軸動力曲線関数式15Cを読み出す(ステップ210)。
続いて、基準動力点特定部17Cは、基準流量Q0と基準軸動力曲線B0とから基準軸動力E0を算出する(ステップ211)。これにより、基準軸動力曲線B0と制御時軸動力曲線B1との交点、すなわち基準動力点P0を特定し、この基準軸動力E0を記憶部15へ一時保存し(ステップ212)、一連の基準動力点特定処理を終了する。
このように、本実施の形態は、データ取得部11により、制御時回転速度N1で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を演算用入力特性値2Aとして取得するとともに、制御時軸動力EMを比較用入力特性値2Bとして取得し、演算処理部16の特性値算出部17により、記憶部15の基準揚程曲線関数式15Aの基準揚程曲線A0とデータ取得部11で得られた演算用入力特性値2Aとに基づいて、基準回転速度N0でポンプを運転した際の基準運転点R0から特定されるポンプの特性値、ここでは制御時軸動力E1を基準特性値4Aとして算出し、演算処理部16の特性値比較部18により、データ取得部11で得られた比較用入力特性値2Bからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた基準特性値4Aとを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定している。
この際、制御時軸動力E1は、データ取得部11でポンプシステム5から得られる制御時流量Q1および制御時揚程H1など、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて算出することができ、制御時回転速度比INVMも、データ取得部11でポンプシステム5から得られる一般的な特性値である。このため、ポンプ吐出抵抗の変化を直接検査するための圧力計などの計測機器を別途追加することなく、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができる。
次に、図12を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置について説明する。図12は、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図であり、前述の図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
また、特性値算出部17には、基準運転点特定部17Aのみが設けられており、特性値算出部17は、この基準運転点特定部17Aで得られた基準運転点R0における基準流量Q0または基準揚程H0を、基準回転速度でポンプを運転した際の基準運転点R0から特定されるポンプの特性値を示す基準特性値4Aとして出力する機能を有している。
次に、図13および図14を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の動作について説明する。図13は、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフロー図である。図14は、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフローチャートである。
続いて、特性値算出部17は、基準運転点特定部17Aにより、前述した図6の基準運転点特定処理を実行し、基準揚程H0を基準特性値4Aとして算出する(ステップ302)。
その後、演算処理部16は、特性値比較部18の比較判定部18Aにより、比較特性値算出部18Bで得られた基準揚程HMからなる比較特性値4Bと、特性値算出部17で得られた基準揚程H0からなる基準特性値4Aとを比較する(ステップ304)。
この後、特性値比較部18は、上記判定結果に応じたポンプの吐出抵抗の変化を示す検査結果3を、画面表示部13やデータ出力部14へ出力し、あるいは記憶部15へ保存し、一連のポンプ吐出抵抗検査処理を終了する。
このように、本実施の形態は、データ取得部11により、ポンプの制御時回転速度比INVMを比較用入力特性値2Bとして取得し、特性値算出部17の基準運転点特定部17Aにより、基準揚程曲線A0と演算用入力特性値2Aとに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線Cと基準揚程曲線A0との交点からなる基準運転点R0を特定し、特性値比較部18において、比較特性値算出部18Bにより、データ取得部11で比較用入力特性値2Bとして得られたポンプの制御時回転速度比INVMとデータ取得部11で得られた演算用入力特性値2Aとから、ポンプを基準回転速度N0へ戻した際の基準流量QMまたは基準揚程HMを比較特性値4Bとして算出し、比較判定部18Aにより、比較特性値算出部18Bで得られた基準流量QMまたは基準揚程HMからなる比較特性値4Bと、特性値算出部17で特定された基準運転点R0の基準流量Q0または基準揚程H0からなる基準特性値4Aとを比較し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定している。
この際、基準流量Q0または基準揚程H0は、および基準流量QMまたは基準揚程HMは、データ取得部11でポンプシステム5から得られる、制御時流量Q1、制御時揚程H1、制御時回転速度比INVMなど、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて算出することができる。このため、ポンプ吐出抵抗の変化を直接検査するための圧力計などの計測機器を別途追加することなく、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができる。
以上の各実施の形態では、ポンプ吐出抵抗検査の原理で説明した各式を用いて、所望する未知の特性値を算出する例についてそれぞれ説明したが、これら各式の用い方については前述した例に限定されるものではなく、任意の特性値を求める方法として異なる式を用いて算出する方法が複数ある場合には、いずれの方法を用いてもよい。
例えば、図8に示したように、ポンプの吐出抵抗が増加した場合、基準揚程曲線はA0からAMへ変化し、同様に、制御時軸動力曲線もB1からBMへ変化する。この際、基準揚程曲線は、前述した式(1)や式(2)で表すことができ、制御時軸動力曲線は、前述した式(8)で表すことができる。このため、これら式の形状を決定する定数を求めて比較することにより、基準揚程曲線の変化を確認するようにしてもよい。
Claims (9)
- 回転速度が任意の制御時回転速度で可変制御されるポンプの吐出抵抗を検査するポンプ吐出抵抗検査装置であって、
所定の基準回転速度N 0 でのポンプに関する流量と揚程の関係を示す基準揚程曲線A 0 を記憶する記憶部と、
制御時回転速度N 1 で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点R 1 を示す制御時流量Q 1 および制御時揚程H 1 を演算用入力特性値として取得するとともに、吐出抵抗の検査時に実測された、基準運転点R M における基準揚程H M と前記制御時揚程H 1 との比を示す制御時回転速度比INV M を比較用入力特性値として取得するデータ取得部と、
前記記憶部の基準揚程曲線A 0 と前記データ取得部で得られた前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とに基づいて基準運転点R 0 を算出し、当該基準運転点R 0 における基準揚程H 0 と前記制御時揚程H 1 との比から制御時回転速度比INV 1 を基準特性値として算出する特性値算出部と、
前記データ取得部で得られた前記制御時回転速度比INV M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記制御時回転速度比INV 1 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する特性値比較部と
を備えることを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。 - 請求項1に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
前記特性値算出部は、前記基準揚程曲線A 0 と前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線Cと前記記憶部の基準揚程曲線A 0 との交点からなる前記基準運転点R 0 を特定する基準運転点特定部と、ポンプの回転速度を制御して、前記基準運転点特定部で特定された前記基準運転点R 0 から前記制御時運転点R 1 へ運転状態を変化させるために必要な前記制御時回転速度比INV 1 を前記基準特性値として算出する基準特性値算出部とを有し、
前記特性値比較部は、前記比較用入力特性値として得られた前記制御時回転速度比INV M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記制御時回転速度比INV 1 からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を有する
ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。 - 請求項1に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
前記記憶部は、前記基準回転速度N 0 でのポンプに関する流量Qと軸動力Eの関係を示す基準軸動力曲線B 0 と、制御時回転速度N 1 での制御時軸動力曲線B 1 に関する関数形状式を記憶し、
前記データ取得部は、前記制御時回転速度比INV M に代えて、吐出抵抗の検査時に実測された、前記制御時運転点R 1 と対応する制御時動力点P M1 における制御時軸動力E M を、前記比較用入力特性値として取得し、
前記特性値算出部は、前記制御時回転速度比INV 1 に代えて、前記記憶部の基準軸動力曲線B 0 と前記基準運転点R 0 における基準流量Q 0 とに基づいて基準動力点P 0 を算出し、当該基準動力点P 0 における基準流量Q 0 および基準軸動力E 0 と前記記憶部の関数形状式とから制御時軸動力曲線B 1 を特定し、当該制御時軸動力曲線B 1 と前記制御時流量Q 1 とに基づいて前記制御時運転点R 1 と対応する制御時動力点P 1 における制御時軸動力E 1 を、前記基準特性値として算出し、
前記特性値比較部は、前記データ取得部で得られた前記制御時軸動力E M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記制御時軸動力E 1 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する
ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。 - 請求項3に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
前記特性値算出部は、前記基準揚程曲線と前記演算用入力特性値とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線Cと前記記憶部の基準揚程曲線A 0 との交点からなる基準運転点R 0 を特定する基準運転点特定部と、この基準運転点特定部で特定された基準運転点R 0 の基準流量Q 0 に基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と軸動力の関係を示す制御時軸動力曲線B 1 と前記記憶部の基準軸動力曲線B 0 との交点からなる基準動力点P 0 を特定する基準動力点特定部と、前記基準動力点特定部で特定された基準動力点P 0 と前記記憶部の制御時軸動力曲線関数形状式とに基づいて制御時軸動力曲線B 1 を特定し、この制御時軸動力曲線B 1 と前記演算用入力特性値として得られた制御時流量Q 1 とから制御時軸動力E 1 を基準特性値として算出する基準特性値算出部とを有し、
前記特性値比較部は、前記比較用入力特性値として得られた制御時軸動力E M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた制御時軸動力E 1 からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を有する
ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。 - 請求項1に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
前記特性値算出部は、前記制御時回転速度比INV 1 に代えて、前記基準運転点R 0 における基準流量Q 0 または基準揚程H 0 を、前記基準特性値として算出し、
前記特性値比較部は、前記データ取得部で得られた制御時回転速度比INV M と前記制御時流量Q 1 または前記制御時揚程H 1 とに基づいて前記基準運転点R M を算出し、当該基準運転点R M における基準流量Q M または基準揚程H M を比較特性値として算出し、前記基準流量Q M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記基準流量Q 0 からなる基準特性値とを比較し、あるいは、前記基準揚程H M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記基準揚程H 0 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する
ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。 - 請求項5に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
前記特性値算出部は、前記基準揚程曲線A 0 と前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線Cと前記記憶部の基準揚程曲線A 0 との交点からなる前記基準運転点R 0 を特定する基準運転点特定部を有し、
前記特性値比較部は、前記データ取得部で比較用入力特性値として得られたポンプの前記制御時回転速度比INV M と前記データ取得部で得られた前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とから、ポンプを基準回転速度N 0 へ戻した際の前記基準流量Q M または前記基準揚程H M を比較特性値として算出する比較特性値算出部と、前記基準流量Q M からなる比較特性値と前記特性値算出部で特定された前記基準流量Q 0 からなる基準特性値とを比較し、あるいは、前記基準揚程H M からなる比較特性値と前記特性値算出部で特定された前記基準揚程H 0 からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を有する
ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。 - 回転速度が任意の制御時回転速度で可変制御されるポンプについて、記憶部、データ取得部、および演算処理部を備えるポンプ吐出抵抗検査装置を用いて、当該ポンプの吐出抵抗の変化を検査するポンプ吐出抵抗検査方法であって、
前記記憶部により、所定の基準回転速度N 0 でのポンプに関する流量と揚程の関係を示す基準揚程曲線A 0 を記憶する記憶ステップと、
前記データ取得部により、制御時回転速度N 1 で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点R 1 を示す制御時流量Q 1 および制御時揚程H 1 を演算用入力特性値として取得するとともに、吐出抵抗の検査時に実測された、基準運転点R M における基準揚程H M と前記制御時揚程H 1 との比を示す制御時回転速度比INV M を比較用入力特性値として取得するデータ取得ステップと、
前記演算処理部により、前記記憶部の基準揚程曲線A 0 と前記データ取得ステップで得られた前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とに基づいて基準運転点R 0 を算出し、当該基準運転点R 0 における基準揚程H 0 と前記制御時揚程H 1 との比から制御時回転速度比INV 1 を基準特性値として算出する特性値算出ステップと、前記データ取得ステップで得られた前記制御時回転速度比INV M からなる比較特性値と前記特性値算出ステップで得られた前記制御時回転速度比INV 1 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する特性値比較ステップと
を備えることを特徴とするポンプ吐出抵抗検査方法。 - 請求項7に記載のポンプ吐出抵抗検査方法において、
前記記憶部は、前記基準回転速度N 0 でのポンプに関する流量Qと軸動力Eの関係を示す基準軸動力曲線B 0 と、制御時回転速度N 1 での制御時軸動力曲線B 1 に関する関数形状式を記憶とし、
前記データ取得ステップは、前記制御時回転速度比INV M に代えて、吐出抵抗の検査時に実測された、前記制御時運転点R 1 と対応する制御時動力点P M1 における制御時軸動力E M を、前記比較用入力特性値として取得し、
前記特性値算出ステップは、前記制御時回転速度比INV 1 に代えて、前記記憶部の基準軸動力曲線B 0 と前記基準運転点R 0 における基準流量Q 0 とに基づいて基準動力点P 0 を算出し、当該基準動力点P 0 における基準流量Q 0 および基準軸動力E 0 と前記記憶部の関数形状式とから制御時軸動力曲線B 1 を特定し、当該制御時軸動力曲線B 1 と前記制御時流量Q 1 とに基づいて前記制御時運転点R 1 と対応する制御時動力点P 1 における制御時軸動力E 1 を、前記基準特性値として算出し、
前記特性値比較ステップは、前記データ取得ステップで得られた前記制御時軸動力E M からなる比較特性値と前記特性値算出ステップで得られた前記制御時軸動力E 1 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する
ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査方法。 - 請求項7に記載のポンプ吐出抵抗検査方法において、
前記特性値算出ステップは、前記制御時回転速度比INV 1 に代えて、前記基準運転点R 0 における基準流量Q 0 または基準揚程H 0 を、前記基準特性値として算出し、
前記特性値比較ステップは、前記データ取得ステップで得られた制御時回転速度比INV M と前記制御時流量Q 1 または前記制御時揚程H 1 とに基づいて前記基準運転点R M を算出し、当該基準運転点R M における基準流量Q M または基準揚程H M を比較特性値として算出し、前記基準流量Q M からなる比較特性値と前記特性値算出ステップで得られた前記基準流量Q 0 からなる基準特性値とを比較し、あるいは、前記基準揚程H M からなる比較特性値と前記特性値算出ステップで得られた前記基準揚程H 0 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する
ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査方法。
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