JP5215647B2 - ポンプ吐出抵抗検査装置および方法 - Google Patents

ポンプ吐出抵抗検査装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポンプ制御技術に関し、特にポンプの動作特性を示す各種特性値に基づきポンプ吐出抵抗の変化を検査する技術に関する。
オフィスビル、公共施設、ホテルなどに設けられている一般的な空調設備のポンプシステムでは、熱源水を送液するポンプ(2次ポンプ)にインバータを設けてポンプ回転速度を可変制御している。これにより、負荷側で必要な流量だけ熱源水を送液するようポンプを制御でき、ポンプでの消費電力を削減することができる。
このようなポンプシステムでは、ポンプの特性値、すなわち流量、揚程、軸動力、およびポンプ回転速度比を必要に応じて計測し、これら特性値が所望の値を保つようインバータを制御してポンプの回転速度を調整する運転制御を行っている。
従来、このようなポンプシステムにおいて、ポンプ回転速度とポンプ消費電力から、その回転速度に対応した揚程曲線関数データ、軸動力曲線関数データ、抵抗曲線データに基づいて、ポンプ回転速度制御時における流量や揚程を算出するものが提案されている(例えば、特許文献1など参照)。これにより、圧力計や流量計を用いることなく、これらポンプ特性値に基づきインバータを制御することにより、流量一定制御や吐出圧一定制御などの運転制御を行うことが可能となる。
特開2006−307682号公報
空調設備などのポンプシステムでは、例えば、空調負荷の変動や運用上の何らかの理由により、ポンプの出力段に設けられている吐出弁の弁開度を一時的に操作して、ポンプから負荷側の熱交換器に対する熱源水の供給量を低減させる場合がある。このような吐出弁操作が行われた状態は、ポンプの回転数制御で吐出圧を調整しているのではなく、ポンプの出力段で増大した吐出抵抗により過剰な吐出圧を圧損させていることになり、この圧損分がエネルギーロスとなる。したがって、効率よくポンプを運転するためには、ポンプの吐出抵抗の変化を検査して、適時、オペレータへ報知する必要がある。
また、ポンプ、往ヘッダ、配管の目詰まりにより、熱源水の供給量が低減する場合もある。このようにして熱源水の供給量の低下が発生している状態は、前述のようなエネルギーロスの発生を伴う。したがって、ポンプの吐出抵抗の変化を検査して、ポンプの吐出抵抗に起因するエネルギーロスの発生有無を把握し、必要に応じて適切な対応をとる必要がある。
しかしながら、前述した従来技術では、ポンプ回転速度とポンプ消費電力に基づき演算処理を行うことにより、ポンプ回転速度制御時における流量や揚程など、ポンプの動作状態を示す特性値を得ているものの、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することはできないという問題点があった。
また、圧力計などの計測機器を別途追加して、ポンプの吐出抵抗を監視する方法も考えられるが、設備増大やコストアップの要因となる。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができるポンプ吐出抵抗検査装置を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるポンプ吐出抵抗検査装置は、回転速度が任意の制御時回転速度で可変制御されるポンプの吐出抵抗を検査するポンプ吐出抵抗検査装置であって、所定の基準回転速度でのポンプに関する流量と揚程の関係を示す基準揚程曲線を記憶する記憶部と、制御時回転速度で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点を示す制御時流量および制御時揚程を演算用入力特性値として取得するとともに、回転速度比または制御時軸動力を比較用入力特性値として取得するデータ取得部と、記憶部の基準揚程曲線とデータ取得部で得られた演算用入力特性値とに基づいて、基準回転速度でポンプを運転した際の基準運転点から特定されるポンプの特性値を基準特性値として算出する特性値算出部と、データ取得部で得られた比較用入力特性値からなる比較特性値と特性値算出部で得られた基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する特性値比較部とを備えている。
この際、データ取得部で、ポンプの回転速度比を比較用入力特性値として取得し、特性値算出部に、基準揚程曲線と演算用入力特性値とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線と記憶部の基準揚程曲線との交点からなる基準運転点を特定する基準運転点特定部と、ポンプの回転速度を制御して、基準運転点特定部で特定された基準運転点から制御時運転点へ運転状態を変化させるために必要な回転速度比を基準特性値として算出する基準特性値算出部とを設け、特性値比較部に、比較用入力特性値として得られた回転速度比からなる比較特性値と特性値算出部で得られた基準回転速度比からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を設けてもよい。
また、記憶部で、制御時軸動力曲線に関する関数形状式を記憶するともとに、データ取得部で、制御時軸動力を比較用入力特性値として取得し、特性値算出部に、基準揚程曲線と演算用入力特性値とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線と記憶部の基準揚程曲線との交点からなる基準運転点を特定する基準運転点特定部と、この基準運転点特定部で特定された基準運転点の基準流量に基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と軸動力の関係を示す制御時軸動力曲線と記憶部の基準軸動力曲線との交点からなる基準動力点を特定する基準動力点特定部と、基準動力点特定部で特定された基準動力点と記憶部の制御時軸動力曲線関数形状式とに基づいて制御時軸動力曲線を特定し、この制御時軸動力曲線と演算用入力特性値として得られた制御時流量とから制御時軸動力を基準特性値として算出する基準特性値算出部とを設け、特性値比較部に、比較用入力特性値として得られた制御時軸動力からなる比較特性値と特性値算出部で得られた制御時軸動力からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を設けてもよい。
また、データ取得部で、ポンプの回転速度比を比較用入力特性値として取得し、特性値算出部で、基準揚程曲線と演算用入力特性値とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線と記憶部の基準揚程曲線との交点からなる基準運転点を特定する基準運転点特定部を有し、特性値比較部に、データ取得部で比較用入力特性値として得られたポンプの回転速度比とデータ取得部で得られた演算用入力特性値とから、ポンプを基準回転速度へ戻した際の流量または揚程を比較特性値として算出する比較特性値算出部と、比較特性値と特性値算出部で特定された基準運転点の基準流量または基準揚程からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を設けてもよい。
また、本発明にかかるポンプ吐出抵抗検査方法は、回転速度が任意の制御時回転速度で可変制御されるポンプについて、記憶部、データ取得部、および演算処理部を備えるポンプ吐出抵抗検査装置を用いて、当該ポンプの吐出抵抗の変化を検査するポンプ吐出抵抗検査方法であって、記憶部により、所定の基準回転速度でのポンプに関する流量と揚程の関係を示す基準揚程曲線を記憶する記憶ステップと、データ取得部により、制御時回転速度で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点を示す制御時流量および制御時揚程を演算用入力特性値として取得するとともに、回転速度比または制御時軸動力を比較用入力特性値として取得するデータ取得ステップと、演算処理部により、記憶部の基準揚程曲線とデータ取得ステップで得られた演算用入力特性値とに基づいて、基準回転速度でポンプを運転した際の基準運転点から特定されるポンプの特性値を基準特性値として算出する特性値算出ステップと、データ取得ステップで得られた比較用入力特性値からなる比較特性値と特性値算出ステップで得られた基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する特性値比較ステップとを備えている。
本発明によれば、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する際に比較する基準特性値と比較特性値のうち、基準特性値については、データ取得部でポンプシステムから得られる制御時流量および制御時揚程など、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて算出することができるとともに、比較特性値についても、データ取得部でポンプシステムから実測される一般的な特性値、あるいは実測特性値から算出可能な特性値である。
このため、ポンプ吐出抵抗の変化を直接検査するための圧力計などの計測機器を別途追加することなく、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図である。
ポンプ吐出抵抗検査装置1は、全体としてワークステーションやパーソナルコンピュータなど、コンピュータを用いて演算処理を行う情報演算処理装置からなり、ポンプシステム5において回転速度が任意の制御時回転速度で可変制御されるポンプについて、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査する機能を有している。
このポンプ吐出抵抗検査装置1には、主な機能部として、データ取得部11、操作入力部12、画面表示部13、データ出力部14、記憶部15、および演算処理部16が設けられている。また、演算処理部16には、ポンプ吐出抵抗検査処理を行う処理部として、特性値算出部17と特性値比較部18が設けられている。
本実施の形態は、データ取得部11により、制御時回転速度で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点を示す制御時流量および制御時揚程を演算用入力特性値として取得するとともに、回転速度比を比較用入力特性値として取得し、演算処理部16の特性値算出部17により、記憶部の基準揚程曲線とデータ取得部で得られた演算用入力特性値とに基づいて、基準回転速度でポンプを運転した際の基準運転点から特定されるポンプの特性値を基準特性値として算出し、演算処理部16の特性値比較部18により、データ取得部で得られた比較用入力特性値からなる比較特性値と特性値算出部で得られた基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する。
[ポンプシステム]
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の処理対象となるポンプシステムについて説明する。図2は、ポンプ吐出抵抗検査装置の処理対象となるポンプシステムの構成例を示すブロック図である。
ポンプシステム5は、オフィスビル、公共施設、ホテルなどに設けられている一般的な空調設備のポンプシステムであり、2系統の熱源を有し、熱源機に1次ポンプを有するともに、往ヘッダに2次ポンプを有し、これらポンプにインバータを設けてポンプ回転速度を可変制御している。なお、本発明は、熱源が2系統のポンプシステムに限定されるものではなく、1系統や3系統以上熱源があるポンプシステムに対しても、同様に適用でき、同様の作用効果が得られる。
このポンプシステム5には、主な装置として、制御装置50A、2次ポンプ制御装置50B、熱源機51A,51B、1次ポンプ52A,52B、往ヘッダ53A,53B、2次ポンプ54A,54B,54C、差圧計55、バルブ56A、吐出弁56B、往水温度センサ57A、還水温度センサ57B、流量計58、および還ヘッダ59が設けられている。
還ヘッダ59と往ヘッダ53Aは、並行する2系統の熱源管路61,62で接続されており、これら熱源管路61,62には、熱源機51Aおよび1次ポンプ52Aと、熱源機51Bおよび1次ポンプ52Bが、それぞれ直列的に配置されている。バイパス管路60は、還ヘッダ59と往ヘッダ53Aをバイパス経路で結ぶ管路である。
外部負荷65から戻ってきた熱源水は、還ヘッダ59で熱源管路61,62に分配され、制御装置50Aからの制御に応じて熱源機51A,51Bで適温に調整された後、1次ポンプ52A,52Bにより、制御装置50Aからのインバータ制御に応じた流量で往ヘッダ53Aへ送液される。
往ヘッダ53A,53Bの間には、2次ポンプ54A,54B,54C、差圧計55、およびバルブ56Aが並列的に接続されている。
1次ポンプ52A,52Bから往ヘッダ53Aで送液された熱源水は、2次ポンプ54A,54B,54Cにより、2次ポンプ制御装置50Bからのインバータ制御に応じた流量で、それぞれの吐出弁56Bを介して往ヘッダ53Bへ送液され、さらに往ヘッダ53Bを介して外部負荷65側へ送液される。往ヘッダ53A,53Bの間の圧力差すなわち揚程Hは差圧計55で計測され、2次ポンプ制御装置50Bへ出力される。
外部負荷65は、空調器などの熱交換器や熱交換器に対する熱源水の供給量を調整するバルブからなり、2次ポンプ54A,54B,54Cに対する配管抵抗となる。往ヘッダ53Bから送液された熱源水は、往水管路63を介して外部負荷65へ供給され、外部負荷65で熱交換された後、還水管路64を介して還ヘッダ59へ戻る。往水管路63には往水温度センサ57Aが設けられており、外部負荷65へ供給される熱源水すなわち往水の温度が計測されて制御装置50Aへ出力される。還水管路64には還水温度センサ57Bが設けられており、外部負荷65から戻る熱源水すなわち還水の温度が計測されて制御装置50Aへ出力される。また還水管路64には流量計58が設けられており、外部負荷65を循環する熱源水の流量Qが計測されて、制御装置50Aや2次ポンプ制御装置50Bへ出力される。
制御装置50Aは、往水温度センサ57Aで計測された往水温度、還水温度センサ57Bで計測された還水温度、流量計58で計測された流量Qに基づき、外部負荷65における負荷熱量を算出し、この負荷熱量に基づき熱源器51A,51Bの運転台数を調整する。また、制御装置50Aは、熱源器51A,51Bの運転台数の変更時、1次ポンプ52A,52Bの回転速度をそれぞれインバータ制御して、流量Qが保たれるよう1次ポンプ52A,52Bの個々の流量を調整する。
2次ポンプ制御装置50Bは、流量計58で計測された流量Qに基づき、2次ポンプ54A,54B,54Cの運転台数を調整する。また、往ヘッダ53Bにおいて過剰となった熱源水を往ヘッダ53Aへ戻すため、バルブ56Aの開度を調整する。
[ポンプ吐出抵抗検査の原理]
次に、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置におけるポンプ吐出抵抗検査の原理について説明する。図3は、ポンプ吐出抵抗検査の原理を示す説明図である。
[流量と揚程の関係]
まず、ポンプの回転速度をインバータ制御した場合の流量と揚程の関係について説明する。
ポンプの回転速度Nをインバータ制御により定格回転速度N0から制御時回転速度N1へ制御した場合、ポンプからの吐き出し量すなわち流量Qと、その吐出圧力すなわち揚程Hには、次式(1)に示す関係が成り立つ。式(1)において、INVは、定格回転速度N0に対する制御時回転速度N1の比率N1/N0、すなわち回転速度比であり、K1,K2は定数である。
H=K1×INV2−K2×Q2 …(1)
式(1)で示される流量−揚程の関係を示す動作特性を揚程曲線という。この揚程曲線は、式(1)から分かるように、回転速度比INVの変化に応じて、図3の左側縦軸に沿った方向で並行移動する。ここでは、定格回転速度N0すなわち回転速度比INV=1(N0/N0=100%)における揚程曲線を基準揚程曲線A0といい、制御時回転速度N1すなわち回転速度比INV<1(N1/N0)における揚程曲線を制御時揚程曲線A1という。
また、揚程曲線は、式(1)から分かるように、流量Qの2次関数で表すことができ、s,t,uを定数とすると、次式(2)のような関数式で近似できる。
H=−s×Q2+t×Q+u …(2)
一般に、ポンプの基準揚程曲線A0は、ポンプに固有の特性であり、個々の製品ごとに式(2)のような基準揚程曲線がグラフや関数式によりメーカーから提供される。
一方、ポンプの負荷抵抗が一定の状態でポンプの回転速度Nをインバータ制御した場合、揚程Hは流量Qの2乗に比例する動作特性を有している。ここで、αを定数とすると、次式(3)のような関数式で近似でき、式(3)で示される流量−揚程の関係を示す動作特性を抵抗曲線Cという。
H=α×Q2 …(3)
したがって、ポンプの流量Qとその揚程Hで決定される運転点Rは、回転速度比INVの変化に応じて同一抵抗曲線C上を移動する。ここでは、定格回転速度N0すなわち回転速度比INV=1(N0/N0=100%=基準回転速度比INV0)における運転点を基準運転点R0といい、制御時回転速度N1すなわち回転速度比INV<1(N1/N0)における運転点を制御時運転点R1という。また、基準運転点R0における流量および揚程をそれぞれ基準流量Q0および基準揚程H0といい、制御時運転点R1における流量および揚程をそれぞれ制御時流量Q1および制御時揚程H1という。
このことから、インバータ制御時の制御時運転点R1すなわち制御時流量Q1および制御時揚程H1が既知であれば、式(3)の定数αを逆算して、式(3)すなわち抵抗曲線Cを特定できる。また、予め提供された基準揚程曲線A0を式(2)として記憶しておけば、基準揚程曲線A0と抵抗曲線Cとの交点を、式(2)と式(3)の連立方程式の解として特定できる。したがって、負荷抵抗が一定の状態において、制御時運転点R1に対する基準運転点R0を求めることができ、逆に基準運転点R0から制御時運転点R1を求めることも可能なことが分かる。
また、負荷抵抗が一定の状態でインバータ制御して回転速度比をINV0からINV1へ変更した場合、ポンプの運転状態が基準運転点R0から制御時運転点R1へ移動し、基準揚程曲線A0が制御時揚程曲線A1へ平行移動する。この際、式(1)から揚程Hは、回転速度比INVの2乗に比例することから、基準揚程H0と制御時揚程H1の比は、基準回転速度比INV0 2(=1)と制御時回転速度比INV1 2の比に比例する。したがって、制御時揚程H1は、次式(5)に基づき基準揚程H0と制御時回転速度比INV1から求めることができる。
1=H0×INV1 2 …(5)
同じく、式(1)から流量Qは、回転速度比INVに比例することから、基準流量Q0と制御時流量Q1の比は、基準回転速度比INV0(=1)と制御時回転速度比INV1の比に比例する。したがって、制御時流量Q1は、次式(6)に基づき基準流量Q0と制御時回転速度比INV1から求めることができ、逆に制御時流量Q1と制御時回転速度比INV1から基準流量Q0を求めることもできる。
1=Q0×INV1 …(6)
また、式(5)を用いて、制御時揚程H1と制御時回転速度比INV1から基準揚程H0を求めることもでき、基準揚程H0と制御時揚程H1から制御時回転速度比INV1を求めることもできる。
同じく、式(6)を用いて、制御時流量Q1と制御時回転速度比INV1から基準流量Q0を求めることもでき、基準流量Q0と制御時流量Q1から制御時回転速度比INV1を求めることもできる。
[ポンプ吐出抵抗の変化判定]
図2に示した空調設備などのポンプシステムでは、例えば、空調負荷の変動や運用上の何らかの理由により、2次ポンプ54A〜54Cの出力段に設けられている吐出弁56Bの弁開度を一時的に操作して、ポンプから負荷側の熱交換器に対する熱源水の供給量を低減させる場合がある。また往ヘッダ53Bなど2次ポンプ54A〜54Cに接続されている管路に目詰まりが発生する場合もある。このような場合、2次ポンプ54A〜54Cポンプに対して吐出抵抗が発生し、揚程曲線が変化する。
吐出弁の開度が100%の場合、定格回転速度N0の際の揚程曲線は、図3の基準揚程曲線A0となるが、例えば吐出弁の開度がVM<100%の場合、ポンプに吐出抵抗が発生し、定格回転速度N0の際の基準揚程曲線A0は基準揚程曲線AMとなり、制御時運転点R1における制御時揚程曲線A1は制御時揚程曲線AM1となる。これは、任意の運転点で運転している状態で吐出弁を絞ると吐出抵抗が発生して、揚程および流量が低減するからである。例えば、ポンプを図3の基準運転点R0で運転している際に吐出弁の開度をVMとした場合、吐出抵抗が発生して揚程および流量が低減し、ポンプの負荷抵抗が一定の場合、基準運転点R0は抵抗曲線Cに沿って基準運転点RMまで変化する。
したがって、実測された入力特性値2に基づいて、基準運転点R0の変化を確認すれば、ポンプの吐出抵抗の有無を検査することができる。
基準運転点R0の変化については、いくつかの方法が考えられる。本実施の形態では、制御時運転点R1を起点として、実測された制御時回転速度比INVM、すなわち基準運転点RMから制御時運転点R1まで運転点を移動させるためにポンプの回転速度を変化させた際の回転速度比と、吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1、すなわち基準運転点R0から制御時運転点R1まで運転点を移動させるためにポンプの回転速度を変化させた際の回転速度比とを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認する場合について説明する。
また、後述する第2の実施の形態では、実測されたポンプの制御時軸動力EMと、吐出抵抗のない基準運転点R0に対応する制御時軸動力E1とを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認する場合について説明する。
また、後述する第3の実施の形態では、基準運転点R0における基準揚程H0または基準流量Q0と、基準運転点RMにおける基準揚程HMまたは基準流量QMとを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認する場合について説明する。
[ポンプ吐出抵抗検査装置の構成]
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成について説明する。
データ取得部11は、専用のデータ通信回路からなり、ポンプシステム5の各機器などの外部装置とデータ通信を行うことにより、特性値算出対象となるポンプに関する入力特性値2やプログラムなどの各種情報を取得する機能を有している。入力特性値2としては、検査対象となるポンプから、制御時運転点R1における制御時流量Q1および制御時揚程H1を、吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1を算出するための演算用入力特性値2Aとして取得し、制御時運転点R1における制御時回転速度比INVMを、制御時回転速度比INV1と比較するための比較用入力特性値2Bとして取得する。
この際、図2のポンプシステムでは、例えば流量計58で計測された流量値(吐き出し量)を制御時流量Q1として取得し、差圧計55で計測された差圧を制御時揚程H1として取得し、2次ポンプ54A,54B,54Cで計測された制御時回転速度比INV1を取得すればよい。なお、2次ポンプ54A,54B,54Cや2次ポンプ制御装置50Bから回転速度が得られる場合には、データ取得時に演算処理部16で回転速度比に変換してもよい。
操作入力部12は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータによるポンプ吐出抵抗検査処理の開始などの各種操作を検出して演算処理部16へ出力する機能を有している。
画面表示部13は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、演算処理部16からの出力に応じて、操作メニュー画面や検査結果3などの各種情報を画面表示する機能を有している。
データ出力部14は、専用のデータ通信回路からなり、ポンプシステム5の各機器などの外部装置とデータ通信を行うことにより、演算処理部16で算出された検査出力3を出力する機能を有している。
記憶部15は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、演算処理部16でのポンプ吐出抵抗検査処理に用いる各種処理情報やプログラム15Pを記憶する機能を有している。このうちプログラム15Pは、演算処理部16に読み込まれて実行され、ポンプ吐出抵抗検査処理を行う各種処理部を実現するプログラムであり、予め外部装置や記録媒体からデータ取得部11を介して記憶部15に格納される。
記憶部15で記憶される主な処理情報として、基準揚程曲線関数式15Aや関数形状式15Bがある。
基準揚程曲線関数式15Aは、定格回転速度N0(回転速度比=INV0)におけるポンプの流量Qと揚程Hの関係、すなわち基準揚程曲線を示す関数式である。基準揚程曲線関数式15Aは、すべての定数が確定している関数式であり、予めポンプに技術資料として添付されている関数式を用いればよく、図面やデータとして添付されている場合はこれら図面やデータから予め関数式を算出しておけばよい。
一方、関数形状式15Bは、抵抗曲線Cなど、ポンプの動作特性を示す各種関数式である。これら関数式は、各定数が確定しておらず、2次関数など関数の形状だけを示す式である。
演算処理部16は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15のプログラム15Pを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム15Pとを協働させて、ポンプ吐出抵抗検査処理に必要な各種処理部を実現する機能を有している。
演算処理部16で実現される主な処理部として、特性値算出部17と特性値比較部18がある。
特性値算出部17は、記憶部15の基準揚程曲線関数式15Aとデータ取得部11で得られた演算用入力特性値2Aとに基づいて、基準回転速度でポンプを運転した際の基準運転点R0から特定されるポンプの特性値を基準特性値4A、ここでは吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1を算出する機能を有している。
特性値算出部17には、基準運転点特定部17Aと基準特性値算出部17Bとが設けられている。
基準運転点特定部17Aは、演算用入力特性値2Aに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線Cと記憶部15の基準揚程曲線関数式15Aで示される基準揚程曲線A0との交点からなる基準運転点R0を特定することにより、吐出抵抗のない状態において基準回転速度N0で運転した際のポンプの基準流量Q0または基準揚程H0を算出する機能を有している。
基準特性値算出部17Bは、基準流量Q0または基準揚程H0と演算用入力特性値2Aの制御時流量Q1または制御時揚程H1とに基づき、ポンプの回転速度を制御して、基準運転点特定部で特定された基準運転点から制御時運転点へ運転状態を変化させるために必要な、吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1を基準特性値4Aとして算出する機能を有している。
特性値比較部18は、データ取得部11で得られた比較用入力特性値2Bからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定し、検査結果3としてデータ出力部14から出力する機能を有している。
特性値比較部18には、比較判定部18Aが設けられている。
比較判定部18Aは、比較用入力特性値2Bとして得られた制御時回転速度比INVMからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた制御時回転速度比INV1からなる基準特性値4Aとを比較し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する機能を有している。
[第1の実施の形態の動作]
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の動作について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフロー図である。図5は、本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフローチャートである。図6は、図5のポンプ吐出抵抗検査処理における基準運転点特定処理を示すフローチャートである。
ポンプ吐出抵抗検査装置1の演算処理部16は、操作入力部12で検出されたオペレータによるポンプ吐出抵抗検査処理の開始指示操作に応じて、図4および図5のポンプ吐出抵抗検査処理を開始する。ここでは、制御時運転点R1を起点として、実測された制御時回転速度比INVM、すなわち基準運転点RMから制御時運転点R1まで運転点を移動させるためにポンプの回転速度を変化させた際の回転速度比と、吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1、すなわち基準運転点R0から制御時運転点R1まで運転点を移動させるためにポンプの回転速度を変化させた際の回転速度比とを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認する場合について説明する。
演算処理部16は、まず、特性値算出部17により、ポンプシステム5からデータ取得部11を介して、制御時運転点R1における制御時回転速度比INVMを取得し、比較用入力特性値2Bとして記憶部15へ一時保存するとともに(ステップ100)、制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を取得し、演算用入力特性値2Aとして記憶部15へ一時保存する(ステップ101)。
次に、特性値算出部17は、基準運転点特定部17Aにより、後述する図6の基準運転点特定処理を実行し、基準揚程H0を算出する(ステップ102)。
続いて、特性値算出部17は、基準特性値算出部17Bにより、基準運転点特定部17Aで求めた基準揚程H0と、記憶部15から読み出した演算用入力特性値2Aの制御時揚程H1とから、前述した式(5)に基づき制御時回転速度比INV1を基準特性値4Aとして算出する(ステップ103)。
その後、演算処理部16は、特性値比較部18の比較判定部18Aにより、記憶部15から読み出した比較用入力特性値2Bである制御時回転速度比INVMからなる比較特性値4Bと、特性値算出部17で得られた制御時回転速度比INV1からなる基準特性値4Aとを比較する(ステップ104)。
そして、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する(ステップ105)。
この後、特性値比較部18は、上記判定結果に応じたポンプの吐出抵抗の変化を示す検査結果3を、画面表示部13やデータ出力部14へ出力し、あるいは記憶部15へ保存し、一連のポンプ吐出抵抗検査処理を終了する。
[基準運転点特定処理]
基準運転点特定部17Aは、特性値算出部17からの指示に応じて、図6の基準運転点特定処理を開始する。
まず、基準運転点特定部17Aは、記憶部15の関数形状式15Bから抵抗曲線Cの関数形状式として前述した式(3)を読み出し(ステップ110)、記憶部15から読み出した制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を式(3)に代入して定数αを算出する(ステップ111)。これにより、抵抗曲線Cが特定される。
続いて、基準運転点特定部17Aは、記憶部15から基準揚程曲線A0として、前述した式(2)の定数が確定している基準揚程曲線関数式15Aを読み出し(ステップ112)、例えば基準揚程曲線A0と抵抗曲線Cとを連立方程式として解くことにより、基準揚程曲線A0と抵抗曲線Cとの交点、すなわち基準運転点R0を特定して、基準揚程H0および基準流量Q0を算出し(ステップ113)、得られた基準揚程H0および基準流量Q0を記憶部15へ一時保存し、一連の基準運転点特定処理を終了する。
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、データ取得部11により、制御時回転速度N1で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を演算用入力特性値2Aとして取得するとともに、制御時回転速度比INV1を比較用入力特性値2Bとして取得し、演算処理部16の特性値算出部17により、記憶部15の基準揚程曲線関数式15Aの基準揚程曲線A0とデータ取得部11で得られた演算用入力特性値2Aとに基づいて、基準回転速度N0でポンプを運転した際の基準運転点R0から特定されるポンプの特性値、ここでは制御時回転速度比INV1を基準特性値4Aとして算出し、演算処理部16の特性値比較部18により、データ取得部11で得られた比較用入力特性値2Bからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた基準特性値4Aとを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定している。
具体的には、データ取得部11により、ポンプの制御時回転速度比INVMを比較用入力特性値2Bとして取得し、特性値算出部17において、基準運転点特定部17Aにより、基準揚程曲線A0と演算用入力特性値2Aとに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線Cと基準揚程曲線A0との交点からなる基準運転点R0を特定し、基準特性値算出部17Bにより、ポンプの回転速度を制御して、基準運転点特定部17Aで特定された基準運転点R0から制御時運転点R1へ運転状態を変化させるために必要な制御時回転速度比INV1を基準特性値4Aとして算出し、特性値比較部18において、比較判定部18Aにより、比較用入力特性値2Bとして得られた制御時回転速度比INVMからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた制御時回転速度比INV1からなる基準特性値4Aとを比較し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定している。
これにより、ポンプ吐出抵抗の変化を示す基準運転点R0の変化を、基準運転点R0から制御時運転点R1へ運転状態を変化させるために必要な制御時回転速度比INV1と、基準運転点RMから制御時運転点R1へ運転状態を変化させるために必要な制御時回転速度比INVMとの比較により確認することができる。
この際、制御時回転速度比INV1は、データ取得部11でポンプシステム5から得られる制御時流量Q1および制御時揚程H1など、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて算出することができ、制御時回転速度比INVMも、データ取得部11でポンプシステム5から得られる一般的な特性値である。このため、ポンプ吐出抵抗の変化を直接検査するための圧力計などの計測機器を別途追加することなく、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができる。
また、本実施の形態では、基準特性値算出部17Bにより制御時回転速度比INV1を算出する際、前述した式(5)に基づき、基準揚程H0と制御時揚程H1から制御時回転速度比INV1を算出する場合を例として説明したが、前述した式(6)に基づき制御時回転速度比INV1を算出してもよい。この場合には、基準運転点特定部17Aにより得られた基準流量Q0と演算用入力特性値2Aとして取得した制御時流量Q1とから、前述した式(6)に基づき制御時回転速度比INV1を算出すればよい。
[第2の実施の形態]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置について説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図であり、前述の図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
第1の実施の形態では、演算用入力特性値2Aから算出した吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1と、比較用入力特性値2Bとして実測された制御時回転速度比INVMとを比較することにより、ポンプ吐出抵抗の変化を検査する場合を例として説明した。本実施の形態では、演算用入力特性値2Aから算出した吐出抵抗のない状態での制御時軸動力E1と、比較用入力特性値2Bとして実測された制御時軸動力EMとを比較することにより、ポンプ吐出抵抗の変化を検査する場合について説明する。
[ポンプ吐出抵抗検査の原理]
ここで、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置におけるポンプ吐出抵抗検査の原理について説明する。図8は、ポンプ吐出抵抗検査の原理を示す説明図である。
[流量と軸動力の関係]
まず、ポンプの回転速度をインバータ制御した場合の流量と軸動力の関係について説明する。
一般に、定格回転速度N0で運転中のポンプからの吐き出し量すなわち流量Qとポンプの消費電力すなわち軸動力Eは、図8の基準軸動力曲線B0で表される。このようなポンプの基準軸動力曲線B0は、ポンプに固有の特性であり、個々の製品ごとにグラフや関数式によりメーカーから提供される。この軸動力Eは、流量Qの2次関数で表すことができ、a,b,cを定数とすると、次式(7)のような関数式で近似できる。
E=−a×Q2+b×Q+c …(7)
一方、ポンプの負荷抵抗が一定の状態でポンプの回転速度Nをインバータ制御した場合、軸動力Eは流量Qの3乗に比例する動作特性を有している。ここで、βを定数とすると、次式(7)のような関数式で近似できる。ここでは、ポンプの負荷抵抗が一定の状態におけるインバータ制御時に、式(8)で示される流量−軸動力の関係を示す動作特性を制御時軸動力曲線B1という。
E=β×Q3 …(8)
したがって、ポンプの流量Qとその軸動力Eで決定される動力点Pは、回転速度比INVの変化に応じて同一制御時軸動力曲線B1上を移動する。ここでは、定格回転速度N0すなわち回転速度比INV=1(N0/N0=100%)における運転点を基準動力点P0といい、制御時回転速度N1すなわち回転速度比INV<1(N1/N0)における動力点を制御時動力点P1という。また、基準動力点P0における軸動力を基準軸動力E0といい、制御時動力点P1における軸動力を制御時軸動力E1という。
このことから、インバータ制御時の制御時動力点P1すなわち制御時流量Q1および制御時軸動力E1が既知であれば、式(8)の定数βを逆算して、式(8)すなわち制御時軸動力曲線B1を特定できる。また、予め提供された基準軸動力曲線B0を式(7)として記憶しておけば、基準軸動力曲線B0と制御時軸動力曲線B1との交点を、式(7)と式(8)の連立方程式の解として特定できる。したがって、負荷抵抗が一定の状態において、制御時動力点P1に対する基準動力点P0を求めることができ、逆に基準動力点P0から制御時動力点P1を求めることも可能なことが分かる。
また、負荷抵抗が一定の状態でインバータ制御して回転速度比をINV0からINV1へ変更した場合、ポンプの運転状態が基準動力点P0から制御時動力点P1へ移動する。この際、式(8)から軸動力Eは流量Qの3乗に比例し、式(6)から流量Qは回転速度比INVに比例することから、基準軸動力E0と制御時軸動力E1の比は、基準回転速度比INV0 2(=1)と制御時回転速度比INV1 3の比に比例する。
したがって、制御時軸動力E1は、次式(9)に基づき基準軸動力E0と制御時回転速度比INV1から求めることができる。
1=E0×INV1 3 …(9)
また、式(9)を用いて、制御時軸動力E1と制御時回転速度比INV1から基準軸動力E0を求めることもでき、基準軸動力E0と制御時軸動力E1から制御時回転速度比INV1を求めることもできる。
[ポンプ吐出抵抗の変化判定]
図2に示した空調設備などのポンプシステムでは、例えば、空調負荷の変動や運用上の何らかの理由により、2次ポンプ54A〜54Cの出力段に設けられている吐出弁56Bの弁開度を一時的に操作して、ポンプから負荷側の熱交換器に対する熱源水の供給量を低減させる場合がある。また往ヘッダ53Bなど2次ポンプ54A〜54Cに接続されている管路に目詰まりが発生する場合もある。このような場合、2次ポンプ54A〜54Cポンプに対して吐出抵抗が発生し、揚程曲線が変化する。
吐出弁の開度が100%の場合、定格回転速度N0の際の揚程曲線は、図8の基準揚程曲線A0となるが、例えば吐出弁の開度がVM<100%の場合、ポンプに吐出抵抗が発生し、定格回転速度N0の際の揚程曲線は、図8の基準揚程曲線AMとなる。これは、任意の運転点で運転している状態で吐出弁を絞ると吐出抵抗が発生して、揚程および流量が低減するからである。例えば、ポンプを図8の基準運転点R0で運転している際に吐出弁の開度をVMとした場合、吐出抵抗が発生して揚程および流量が低減し、ポンプの負荷抵抗が一定の場合、基準運転点R0は抵抗曲線Cに沿って基準運転点RMまで変化する。
したがって、実測された入力特性値2に基づいて、基準運転点R0の変化を確認すれば、ポンプの吐出抵抗の有無を検査することができる。
この際、図8に示すように、基準運転点R0の変化に応じて、制御時軸動力曲線B1も変化する。前述したように、制御時軸動力曲線B1は式(8)で示すことができる。したがって、ポンプ吐出抵抗の変化に応じて基準運転点R0が基準運転点RMに変化した場合、これら基準運転点に対応する基準動力点もそれぞれ基準動力点P0から基準動力点PMへ変化する。
このため、制御時軸動力曲線B1を特徴付ける式(8)の定数βもそれぞれ異なる値となり、制御時軸動力曲線B1が制御時軸動力曲線BMへ変化することになる。したがって、基準運転点R0の変化に応じて制御時軸動力曲線B1が制御時軸動力曲線BMへ変化した場合、これら制御時軸動力曲線B1および制御時軸動力曲線BMと制御時流量Q1とが交差する制御時動力点P1および制御時動力点PM1がそれぞれ異なるものとなり、これら制御時動力点P1および制御時動力点PM1に対応する制御時軸動力E1およびEMも異なる値を示す。
本実施の形態では、実測されたポンプの制御時軸動力EMと、吐出抵抗のない基準運転点R0に対応する制御時軸動力E1とを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認している。
[ポンプ吐出抵抗検査装置の構成]
次に、図7を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成について説明する。
本実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置1Bには、図1のポンプ吐出抵抗検査装置1Aと比較して、演算処理部16の特性値算出部17に、基準動力点特定部17Cが追加されている。
基準動力点特定部17Cは、基準運転点特定部17Aで特定された基準運転点R0の基準流量Q0に基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と軸動力の関係を示す制御時軸動力曲線B1と記憶部15の基準軸動力曲線関数式15Cで特定される基準軸動力曲線B0との交点からなる基準動力点P0を特定する機能を有している。
一方、本実施の形態では、データ取得部11により、制御時運転点R1における制御時流量Q1および制御時揚程H1を演算用入力特性値2Aとして取得し、制御時動力点P1における制御時軸動力EMを比較用入力特性値2Bとして取得する。
また、記憶部15は、新たな処理情報として、基準軸動力曲線関数式15Cを記憶している。基準軸動力曲線関数式15Cは、定格回転速度(回転速度比=INV0)におけるポンプの流量Qと軸動力Eの関係、すなわち基準軸動力曲線を示す関数式である。さらに、記憶部15は、関数形状式15Bとして、制御時軸動力曲線B1を示す各種関数式を記憶している。この関数式は、各定数が確定しておらず、3次関数など関数の形状だけを示す式である。
また、特性値算出部17の基準特性値算出部17Bは、基準動力点特定部17Cで得られた基準動力点P0の基準軸動力E0とに基づいて、記憶部15の関数形状式15Bから読み出した制御時軸動力曲線B1の関数形状式を特定する機能と、この制御時軸動力曲線B1と演算用入力特性値2Aの制御時流量Q1とから制御時動力点P1とを特定し、そのときの制御時軸動力E1を基準特性値4Aとして算出する機能とを有している。
また、特性値比較部18の比較判定部18Aは、データ取得部11で得られた制御時動力点PMにおける制御時軸動力EMからなる比較特性値4Bと、特性値算出部17で得られた制御時流量Q1の制御時軸動力E1からなる基準特性値4Aとを比較し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する機能を有している。
[第2の実施の形態の動作]
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の動作について説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフロー図である。図10は、本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフローチャートである。図11は、図10のポンプ吐出抵抗検査処理における基準動力点特定処理を示すフローチャートである。
ポンプ吐出抵抗検査装置1の演算処理部16は、操作入力部12で検出されたオペレータによるポンプ吐出抵抗検査処理の開始指示操作に応じて、図9および図10のポンプ吐出抵抗検査処理を開始する。ここでは、演算用入力特性値2Aから算出した吐出抵抗のない状態での制御時軸動力E1と、比較用入力特性値2Bとして実測された制御時軸動力EMとを比較することにより、ポンプ吐出抵抗の変化を検査する場合について説明する。
演算処理部16は、まず、特性値算出部17により、ポンプシステム5からデータ取得部11を介して、制御時運転点R1における制御時軸動力EMを取得し、比較用入力特性値2Bとして記憶部15へ一時保存するとともに(ステップ200)、制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を取得し、演算用入力特性値2Aとして記憶部15へ一時保存する(ステップ201)。
次に、特性値算出部17は、基準運転点特定部17Aにより、前述した図6の基準運転点特定処理を実行し、基準流量Q0を算出する(ステップ202)。
続いて、特性値算出部17は、基準動力点特定部17Cにより、後述する図11の基準動力点特定処理を実行し、基準軸動力E0を算出する(ステップ203)。
その後、特性値算出部17は、基準運転点特定部17Aにより算出された基準流量Q0と、基準動力点特定部17Cにより算出された基準軸動力E0を、記憶部15からそれぞれ読み出すとともに、記憶部15の関数形状式15Bから制御時軸動力曲線B1の関数形状式として前述した式(9)を読み出し、基準流量Q0と基準軸動力E0から定数βを算出する。これにより、制御時軸動力曲線B1が特定される(ステップ204)。
続いて、特性値算出部17は、記憶部15から制御時運転点R1の制御時流量Q1を読み出し、この制御時流量Q1と制御時軸動力曲線B1とから制御時軸動力E1を算出し、基準特性値4Aとして記憶部15へ一時保存する(ステップ205)。
その後、演算処理部16は、特性値比較部18の比較判定部18Aにより、記憶部15から読み出した比較用入力特性値2Bである制御時軸動力EMからなる比較特性値4Bと、特性値算出部17で得られた制御時軸動力E1からなる基準特性値4Aとを比較する(ステップ206)。
そして、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する(ステップ207)。
この後、特性値比較部18は、上記判定結果に応じたポンプの吐出抵抗の変化を示す検査結果3を、画面表示部13やデータ出力部14へ出力し、あるいは記憶部15へ保存し、一連のポンプ吐出抵抗検査処理を終了する。
[基準動力点特定処理]
基準動力点特定部17Cは、特性値算出部17からの指示に応じて、図11の基準動力点特定処理を開始する。
まず、基準動力点特定部17Cは、記憶部15から基準流量Q0を読み出すとともに、記憶部15から基準軸動力曲線B0として、式(7)の定数が確定している基準軸動力曲線関数式15Cを読み出す(ステップ210)。
続いて、基準動力点特定部17Cは、基準流量Q0と基準軸動力曲線B0とから基準軸動力E0を算出する(ステップ211)。これにより、基準軸動力曲線B0と制御時軸動力曲線B1との交点、すなわち基準動力点P0を特定し、この基準軸動力E0を記憶部15へ一時保存し(ステップ212)、一連の基準動力点特定処理を終了する。
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、データ取得部11により、制御時回転速度N1で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を演算用入力特性値2Aとして取得するとともに、制御時軸動力EMを比較用入力特性値2Bとして取得し、演算処理部16の特性値算出部17により、記憶部15の基準揚程曲線関数式15Aの基準揚程曲線A0とデータ取得部11で得られた演算用入力特性値2Aとに基づいて、基準回転速度N0でポンプを運転した際の基準運転点R0から特定されるポンプの特性値、ここでは制御時軸動力E1を基準特性値4Aとして算出し、演算処理部16の特性値比較部18により、データ取得部11で得られた比較用入力特性値2Bからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた基準特性値4Aとを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定している。
具体的には、データ取得部11により、ポンプの制御時軸動力EMを比較用入力特性値2Bとして取得し、特性値算出部17において、基準運転点特定部17Aにより、基準揚程曲線A0と演算用入力特性値2Aとに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線Cと基準揚程曲線A0との交点からなる基準運転点R0を特定し、基準動力点特定部17Cにより、基準運転点特定部17Aで特定された基準運転点R0の基準流量Q0に基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と軸動力の関係を示す制御時軸動力曲線B1と基準軸動力曲線B0との交点からなる基準動力点P0を特定する。
そして、基準特性値算出部17Bにより、基準動力点特定部17Cで特定された基準動力点P0と制御時軸動力曲線関数形状式とに基づいて制御時軸動力曲線B1を特定し、この制御時軸動力曲線B1と演算用入力特性値2Aとして得られた制御時流量Q1とから制御時軸動力E1を基準特性値4Aとして算出し、特性値比較部18において、比較判定部18Aにより、比較用入力特性値2Bとして得られた制御時軸動力EMからなる比較特性値4Bと特性値算出部17で得られた制御時軸動力E1からなる基準特性値4Aとを比較し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定している。
これにより、ポンプ吐出抵抗の変化を示す基準運転点R0の変化を、吐出抵抗のない状態における基準運転点R0および基準動力点P0に対応する制御時動力点P1おける制御時軸動力E1と、基準運転点RMに対応する実測された制御時軸動力EMとの比較により確認することができる。
この際、制御時軸動力E1は、データ取得部11でポンプシステム5から得られる制御時流量Q1および制御時揚程H1など、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて算出することができ、制御時回転速度比INVMも、データ取得部11でポンプシステム5から得られる一般的な特性値である。このため、ポンプ吐出抵抗の変化を直接検査するための圧力計などの計測機器を別途追加することなく、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができる。
[第3の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置について説明する。図12は、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図であり、前述の図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
第1の実施の形態では、演算用入力特性値2Aから算出した吐出抵抗のない状態での制御時回転速度比INV1と、比較用入力特性値2Bとして実測された制御時回転速度比INVMとを比較することにより、ポンプ吐出抵抗の変化を検査する場合を例として説明した。本実施の形態では、基準運転点R0における基準揚程H0または基準流量Q0と、基準運転点RMにおける基準揚程HMまたは基準流量QMとを比較することにより、ポンプ吐出抵抗の変化を検査する場合について説明する。
本実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置1Bには、図1のポンプ吐出抵抗検査装置1Aと比較して、演算処理部16の特性値比較部18に、比較特性値算出部18Bが追加されている。
比較特性値算出部18Bは、制御時回転速度比INVMと制御時揚程H1または制御時流量Q1とから、基準運転点RMにおける基準揚程HMまたは基準流量QMを比較特性値4Bとして算出する機能を有している。この際、基準揚程HMについては、前述した式(5)に制御時揚程H1を代入するとともに、制御時回転速度比INV1に制御時回転速度比INVMとを代入し、逆算した基準揚程H0を基準揚程HMとして用いればよい。また、基準流量QMについては、前述した式(6)に制御時流量Q1を代入するとともに、制御時回転速度比INV1に制御時回転速度比INVMとを代入し、逆算した基準流量Q0を基準流量QMとして用いればよい。
一方、本実施の形態では、データ取得部11により、第1の実施の形態と同様に、制御時運転点R1における制御時流量Q1および制御時揚程H1を演算用入力特性値2Aとして取得し、制御時運転点R1における制御時回転速度比INVMを比較用入力特性値2Bとして取得する。
また、特性値算出部17には、基準運転点特定部17Aのみが設けられており、特性値算出部17は、この基準運転点特定部17Aで得られた基準運転点R0における基準流量Q0または基準揚程H0を、基準回転速度でポンプを運転した際の基準運転点R0から特定されるポンプの特性値を示す基準特性値4Aとして出力する機能を有している。
また、特性値比較部18の比較判定部18Aは、比較特性値算出部18Bで得られた基準運転点RMにおける基準揚程HMまたは基準流量QMからなる比較特性値4Bと、特性値算出部17で特定された基準運転点R0の基準流量Q0または基準揚程H0からなる基準特性値4Aとを比較し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する。
[第3の実施の形態の動作]
次に、図13および図14を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の動作について説明する。図13は、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフロー図である。図14は、本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフローチャートである。
ポンプ吐出抵抗検査装置1の演算処理部16は、操作入力部12で検出されたオペレータによるポンプ吐出抵抗検査処理の開始指示操作に応じて、図14のポンプ吐出抵抗検査処理を開始する。ここでは、基準運転点R0における基準揚程H0または基準流量Q0と、基準運転点RMにおける基準揚程HMまたは基準流量QMとを比較することにより、基準運転点R0の変化を確認する場合について説明する。
演算処理部16は、まず、特性値算出部17により、ポンプシステム5からデータ取得部11を介して、制御時運転点R1における制御時回転速度比INVMを取得し、比較用入力特性値2Bとして記憶部15へ一時保存するとともに(ステップ300)、制御時運転点R1を示す制御時流量Q1および制御時揚程H1を取得し、演算用入力特性値2Aとして記憶部15へ一時保存する(ステップ301)。
続いて、特性値算出部17は、基準運転点特定部17Aにより、前述した図6の基準運転点特定処理を実行し、基準揚程H0を基準特性値4Aとして算出する(ステップ302)。
一方、演算処理部16は、特性値比較部18の比較特性値算出部18Bにより、基準運転点特定部17Aで求めた基準揚程H0と、記憶部15から読み出した比較用入力特性値2Bの制御時回転速度比INVMとから、前述した式(5)に基づき基準揚程HMを比較特性値4Bとして算出する(ステップ303)。
その後、演算処理部16は、特性値比較部18の比較判定部18Aにより、比較特性値算出部18Bで得られた基準揚程HMからなる比較特性値4Bと、特性値算出部17で得られた基準揚程H0からなる基準特性値4Aとを比較する(ステップ304)。
そして、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する(ステップ305)。
この後、特性値比較部18は、上記判定結果に応じたポンプの吐出抵抗の変化を示す検査結果3を、画面表示部13やデータ出力部14へ出力し、あるいは記憶部15へ保存し、一連のポンプ吐出抵抗検査処理を終了する。
[第3の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、データ取得部11により、ポンプの制御時回転速度比INVMを比較用入力特性値2Bとして取得し、特性値算出部17の基準運転点特定部17Aにより、基準揚程曲線A0と演算用入力特性値2Aとに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線Cと基準揚程曲線A0との交点からなる基準運転点R0を特定し、特性値比較部18において、比較特性値算出部18Bにより、データ取得部11で比較用入力特性値2Bとして得られたポンプの制御時回転速度比INVMとデータ取得部11で得られた演算用入力特性値2Aとから、ポンプを基準回転速度N0へ戻した際の基準流量QMまたは基準揚程HMを比較特性値4Bとして算出し、比較判定部18Aにより、比較特性値算出部18Bで得られた基準流量QMまたは基準揚程HMからなる比較特性値4Bと、特性値算出部17で特定された基準運転点R0の基準流量Q0または基準揚程H0からなる基準特性値4Aとを比較し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値4Bが基準特性値4Aより大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定している。
これにより、ポンプ吐出抵抗の変化を示す基準運転点R0の変化を、基準運転点R0の基準流量Q0または基準揚程H0と、基準運転点RMの基準流量QMまたは基準揚程HMとの比較により確認することができる。
この際、基準流量Q0または基準揚程H0は、および基準流量QMまたは基準揚程HMは、データ取得部11でポンプシステム5から得られる、制御時流量Q1、制御時揚程H1、制御時回転速度比INVMなど、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて算出することができる。このため、ポンプ吐出抵抗の変化を直接検査するための圧力計などの計測機器を別途追加することなく、ポンプ運転制御に用いる一般的な特性値に基づいて、ポンプ吐出抵抗の変化を検査することができる。
また、本実施の形態では、比較判定部18Aにおいて、基準揚程H0と基準揚程HMとを比較する場合を例として説明したが、基準流量Q0と基準流量QMとを比較することにより、ポンプ吐出抵抗の変化を判定してもよい。この場合、基準流量Q0については、基準運転点特定部17Aにより特定された基準運転点R0の基準流量Q0を用いればよい。また、基準流量QMについては、演算用入力特性値2Aとして取得した制御時流量Q1と比較用入力特性値2Bとして取得した制御時回転速度比INVMとから、前述した式(6)に基づき基準流量QMを算出すればよい。
[実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、ポンプ吐出抵抗検査の原理で説明した各式を用いて、所望する未知の特性値を算出する例についてそれぞれ説明したが、これら各式の用い方については前述した例に限定されるものではなく、任意の特性値を求める方法として異なる式を用いて算出する方法が複数ある場合には、いずれの方法を用いてもよい。
また、各実施の形態では、図8に示すように、演算用入力特性値2Aに基づき算出した基準運転点R0から特定される基準特性値4Aと、比較用入力特性値2Bに対応する比較特性値4Bとを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する場合を例として説明した。具体的には、第1および第3の実施の形態において、基準運転点R0,R1に関する、制御時回転速度比INV1,INVM、基準揚程H0,HM、または基準流量Q0,QMを比較する場合について説明し、第2の実施の形態では、制御時動力点P1,PM1に関する制御時軸動力E1,EMを比較する場合について説明した。
この他、基準動力点P0,PMを特定することにより、基準軸動力E0,EM0または基準流量Q0,QMをそれぞれ比較する場合も考えられる。この際、基準軸動力E0については、第2の実施の形態で説明したように、制御時運転点R1→抵抗曲線C→基準運転点R0→基準流量Q0→基準動力点P0をそれぞれ順に特定すればよい。
一方、基準軸動力EM0については、演算用入力特性値2Aの制御時流量Q1と比較用入力特性値2Bとして取得した制御時軸動力EMとから制御時動力点PM1が特定されるため、特性値算出部17において、記憶部15の関数形状式15Bから制御時軸動力曲線BMの関数形状式として前述した式(8)を読み出し、制御時軸動力EMと制御時流量Q1から定数βを算出することにより、制御時軸動力曲線BMを特定し、基準動力点特定部17Cにおいて、記憶部15から基準軸動力曲線B0として、式(7)の定数が確定している基準軸動力曲線関数式15Cを読み出し、この基準軸動力曲線B0と制御時軸動力曲線BMとの交点、すなわち基準動力点PMを特定すればよい。
また、各実施の形態では、運転点や基準点における特性値を比較する場合を例として説明したが、ポンプの動作特性を示す特性曲線の定数を比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定してもよい。
例えば、図8に示したように、ポンプの吐出抵抗が増加した場合、基準揚程曲線はA0からAMへ変化し、同様に、制御時軸動力曲線もB1からBMへ変化する。この際、基準揚程曲線は、前述した式(1)や式(2)で表すことができ、制御時軸動力曲線は、前述した式(8)で表すことができる。このため、これら式の形状を決定する定数を求めて比較することにより、基準揚程曲線の変化を確認するようにしてもよい。
本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図である。 ポンプ吐出抵抗検査装置の処理対象となるポンプシステムの構成例を示すブロック図である。 ポンプ吐出抵抗検査の原理を示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理(制御時軸動力が出力特性値の場合)を示すフロー図である。 本発明の第1の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理(制御時軸動力が出力特性値の場合)を示すフローチャートである。 図5のポンプ吐出抵抗検査処理における基準運転点特定処理を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図である。 ポンプ吐出抵抗検査の他の原理を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフロー図である。 本発明の第2の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフローチャートである。 図10のポンプ吐出抵抗検査処理における基準動力点特定処理を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフロー図である。 本発明の第3の実施の形態にかかるポンプ吐出抵抗検査装置のポンプ吐出抵抗検査処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1…ポンプ吐出抵抗検査装置、11…データ取得部、12…操作入力部、13…画面表示部、14…データ出力部、15…記憶部、15A…基準揚程曲線関数式、15B…関数形状式、15C…基準軸動力曲線関数式、15P…プログラム、16…演算処理部、17…特性値算出部、17A…基準運転点特定部、17B…基準特性値算出部、17C…基準動力点特定部、18…特性値比較部、18A…比較判定部、18B…比較特性値算出部、2…入力特性値、2A…演算用入力特性値、2B…比較用入力特性値、3…検査結果、4A…基準特性値、4B…比較特性値、5…ポンプシステム、50A…制御装置、50B…2次ポンプ制御装置、51A,51B…熱源機、52A,52B…1次ポンプ、53A,53B…往ヘッダ、54A,54B,54C…2次ポンプ、55…差圧計、56A…バルブ、56B…吐出弁、57A…往水温度センサ、57B…還水温度センサ、58…流量計、59…還ヘッダ、60…バイパス管路、61,62…熱源管路、63…往水管路、64…還水管路、65…外部負荷、Q…流量、Q0,QM…基準流量、Q1…制御時流量、H…揚程、H0,HM…基準揚程、H1…制御時揚程、E…軸動力、E0,EM0…基準軸動力、E1,EM…制御時軸動力、INV…回転速度比、INV0…基準回転速度比、INV1,INVM…制御時回転速度比、A0,AM…基準揚程曲線、A1,AM1…制御時揚程曲線、B0…基準軸動力曲線、B1,BM…制御時軸動力曲線、C…抵抗曲線、R0,RM…基準運転点、R1…制御時運転点、P0…基準動力点、P1,PM…制御時動力点。

Claims (9)

  1. 回転速度が任意の制御時回転速度で可変制御されるポンプの吐出抵抗を検査するポンプ吐出抵抗検査装置であって、
    所定の基準回転速度 0 でのポンプに関する流量と揚程の関係を示す基準揚程曲線 0 を記憶する記憶部と、
    制御時回転速度 1 で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点 1 を示す制御時流量 1 および制御時揚程 1 を演算用入力特性値として取得するとともに、吐出抵抗の検査時に実測された、基準運転点R M における基準揚程H M と前記制御時揚程H 1 との比を示す制御時回転速度比INV M を比較用入力特性値として取得するデータ取得部と、
    前記記憶部の基準揚程曲線 0 と前記データ取得部で得られた前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とに基づいて基準運転点R 0 を算出し、当該基準運転点R 0 における基準揚程H 0 と前記制御時揚程H 1 との比から制御時回転速度比INV 1 基準特性値として算出する特性値算出部と、
    前記データ取得部で得られた前記制御時回転速度比INV M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記制御時回転速度比INV 1 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する特性値比較部と
    を備えることを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。
  2. 請求項1に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
    記特性値算出部は、前記基準揚程曲線 0 前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線と前記記憶部の基準揚程曲線 0 との交点からなる前記基準運転点 0 を特定する基準運転点特定部と、ポンプの回転速度を制御して、前記基準運転点特定部で特定された前記基準運転点 0 から前記制御時運転点 1 へ運転状態を変化させるために必要な前記制御時回転速度比INV 1 を前記基準特性値として算出する基準特性値算出部とを有し、
    前記特性値比較部は、前記比較用入力特性値として得られた前記制御時回転速度比INV M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記制御時回転速度比INV 1 からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を有する
    ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。
  3. 請求項1に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
    前記記憶部は、前記基準回転速度N 0 でのポンプに関する流量Qと軸動力Eの関係を示す基準軸動力曲線B 0 と、制御時回転速度N 1 での制御時軸動力曲線B 1 に関する関数形状式を記憶し、
    前記データ取得部は、前記制御時回転速度比INV M に代えて、吐出抵抗の検査時に実測された、前記制御時運転点R 1 と対応する制御時動力点P M1 における制御時軸動力E M を、前記比較用入力特性値として取得し、
    前記特性値算出部は、前記制御時回転速度比INV 1 に代えて、前記記憶部の基準軸動力曲線B 0 と前記基準運転点R 0 における基準流量Q 0 とに基づいて基準動力点P 0 を算出し、当該基準動力点P 0 における基準流量Q 0 および基準軸動力E 0 と前記記憶部の関数形状式とから制御時軸動力曲線B 1 を特定し、当該制御時軸動力曲線B 1 と前記制御時流量Q 1 とに基づいて前記制御時運転点R 1 と対応する制御時動力点P 1 における制御時軸動力E 1 を、前記基準特性値として算出し、
    前記特性値比較部は、前記データ取得部で得られた前記制御時軸動力E M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記制御時軸動力E 1 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する
    ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。
  4. 請求項に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
    前記特性値算出部は、前記基準揚程曲線と前記演算用入力特性値とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線と前記記憶部の基準揚程曲線 0 との交点からなる基準運転点 0 を特定する基準運転点特定部と、この基準運転点特定部で特定された基準運転点 0 の基準流量 0 に基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と軸動力の関係を示す制御時軸動力曲線 1 と前記記憶部の基準軸動力曲線 0 との交点からなる基準動力点 0 を特定する基準動力点特定部と、前記基準動力点特定部で特定された基準動力点 0 と前記記憶部の制御時軸動力曲線関数形状式とに基づいて制御時軸動力曲線 1 を特定し、この制御時軸動力曲線 1 と前記演算用入力特性値として得られた制御時流量 1 とから制御時軸動力 1 を基準特性値として算出する基準特性値算出部とを有し、
    前記特性値比較部は、前記比較用入力特性値として得られた制御時軸動力 M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた制御時軸動力 1 からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を有する
    ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。
  5. 請求項1に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
    前記特性値算出部は、前記制御時回転速度比INV 1 に代えて、前記基準運転点R 0 における基準流量Q 0 または基準揚程H 0 を、前記基準特性値として算出し、
    前記特性値比較部は、前記データ取得部で得られた制御時回転速度比INV M と前記制御時流量Q 1 または前記制御時揚程H 1 とに基づいて前記基準運転点R M を算出し、当該基準運転点R M における基準流量Q M または基準揚程H M を比較特性値として算出し、前記基準流量Q M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記基準流量Q 0 からなる基準特性値とを比較し、あるいは、前記基準揚程H M からなる比較特性値と前記特性値算出部で得られた前記基準揚程H 0 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する
    ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。
  6. 請求項に記載のポンプ吐出抵抗検査装置において、
    記特性値算出部は、前記基準揚程曲線 0 前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とに基づいて、ポンプの配管抵抗が一定の状態でポンプの回転速度を制御した際のポンプの流量と揚程の関係を示す抵抗曲線と前記記憶部の基準揚程曲線 0 との交点からなる前記基準運転点 0 を特定する基準運転点特定部を有し、
    前記特性値比較部は、前記データ取得部で比較用入力特性値として得られたポンプの前記制御時回転速度比INV M と前記データ取得部で得られた前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とから、ポンプを基準回転速度 0 へ戻した際の前記基準流量Q M または前記基準揚程H M を比較特性値として算出する比較特性値算出部と、前記基準流量Q M からなる比較特性値と前記特性値算出部で特定された前記基準流量Q 0 からなる基準特性値とを比較し、あるいは、前記基準揚程H M からなる比較特性値と前記特性値算出部で特定された前記基準揚程H 0 からなる基準特性値とを比較し、比較特性値が基準特性値より小さい場合はポンプの吐出抵抗が増大したと判定し、比較特性値が基準特性値より大きい場合はポンプの吐出抵抗が低減したと判定する比較判定部を有する
    ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査装置。
  7. 回転速度が任意の制御時回転速度で可変制御されるポンプについて、記憶部、データ取得部、および演算処理部を備えるポンプ吐出抵抗検査装置を用いて、当該ポンプの吐出抵抗の変化を検査するポンプ吐出抵抗検査方法であって、
    前記記憶部により、所定の基準回転速度 0 でのポンプに関する流量と揚程の関係を示す基準揚程曲線 0 を記憶する記憶ステップと、
    前記データ取得部により、制御時回転速度 1 で運転中のポンプから計測した当該ポンプの動作状態を示す特性値のうち、当該制御時運転点 1 を示す制御時流量 1 および制御時揚程 1 を演算用入力特性値として取得するとともに、吐出抵抗の検査時に実測された、基準運転点R M における基準揚程H M と前記制御時揚程H 1 との比を示す制御時回転速度比INV M を比較用入力特性値として取得するデータ取得ステップと、
    前記演算処理部により、前記記憶部の基準揚程曲線 0 と前記データ取得ステップで得られた前記制御時流量Q 1 および前記制御時揚程H 1 とに基づいて基準運転点R 0 を算出し、当該基準運転点R 0 における基準揚程H 0 と前記制御時揚程H 1 との比から制御時回転速度比INV 1 基準特性値として算出する特性値算出ステップと、前記データ取得ステップで得られた前記制御時回転速度比INV M からなる比較特性値と前記特性値算出ステップで得られた前記制御時回転速度比INV 1 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する特性値比較ステップと
    を備えることを特徴とするポンプ吐出抵抗検査方法。
  8. 請求項7に記載のポンプ吐出抵抗検査方法において、
    前記記憶部は、前記基準回転速度N 0 でのポンプに関する流量Qと軸動力Eの関係を示す基準軸動力曲線B 0 と、制御時回転速度N 1 での制御時軸動力曲線B 1 に関する関数形状式を記憶とし、
    前記データ取得ステップは、前記制御時回転速度比INV M に代えて、吐出抵抗の検査時に実測された、前記制御時運転点R 1 と対応する制御時動力点P M1 における制御時軸動力E M を、前記比較用入力特性値として取得し、
    前記特性値算出ステップは、前記制御時回転速度比INV 1 に代えて、前記記憶部の基準軸動力曲線B 0 と前記基準運転点R 0 における基準流量Q 0 とに基づいて基準動力点P 0 を算出し、当該基準動力点P 0 における基準流量Q 0 および基準軸動力E 0 と前記記憶部の関数形状式とから制御時軸動力曲線B 1 を特定し、当該制御時軸動力曲線B 1 と前記制御時流量Q 1 とに基づいて前記制御時運転点R 1 と対応する制御時動力点P 1 における制御時軸動力E 1 を、前記基準特性値として算出し、
    前記特性値比較ステップは、前記データ取得ステップで得られた前記制御時軸動力E M からなる比較特性値と前記特性値算出ステップで得られた前記制御時軸動力E 1 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する
    ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査方法。
  9. 請求項7に記載のポンプ吐出抵抗検査方法において、
    前記特性値算出ステップは、前記制御時回転速度比INV 1 に代えて、前記基準運転点R 0 における基準流量Q 0 または基準揚程H 0 を、前記基準特性値として算出し、
    前記特性値比較ステップは、前記データ取得ステップで得られた制御時回転速度比INV M と前記制御時流量Q 1 または前記制御時揚程H 1 とに基づいて前記基準運転点R M を算出し、当該基準運転点R M における基準流量Q M または基準揚程H M を比較特性値として算出し、前記基準流量Q M からなる比較特性値と前記特性値算出ステップで得られた前記基準流量Q 0 からなる基準特性値とを比較し、あるいは、前記基準揚程H M からなる比較特性値と前記特性値算出ステップで得られた前記基準揚程H 0 からなる基準特性値とを比較することにより、ポンプの吐出抵抗の変化を判定する
    ことを特徴とするポンプ吐出抵抗検査方法。
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