以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照して遊技機の全体構成について説明する。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、ガラス枠ユニット4、球皿ユニット6及び遊技機枠7(プラ枠)を備えている。このうち外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。その他のガラス枠ユニット4や球皿ユニット6、遊技機枠7は外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
図1中の正面からみて遊技機枠7の右側縁部(図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対してガラス枠ユニット4及び遊技機枠7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともにガラス枠ユニット4及び遊技機枠7の開放を不能にしている。
球皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動して遊技機枠7とともにガラス枠ユニット4及び球皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、遊技機枠7は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠だけが解除され、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、球皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、球皿ユニット6を遊技機枠7に対して前面側へ開放することができる。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後で上記の遊技機枠7に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態で遊技機枠7に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
球皿ユニット6には、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に払出装置ユニットから球皿ユニット6に払い出される。球皿ユニット6の前面には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されており、図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。球皿ユニット6の前面には度数表示部14が配置されており、この度数表示部14には、有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。なお、本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機1はCR機とは別の現金機(CRユニットに接続されない機種)であってもよい。
また、球皿ユニット6の左上部には左球抜きレバー6bが設置されており、その中央部には中央球抜きボタン6cが設置されている。遊技者はこれら左球抜きレバー6bや中央球抜きボタン6cを操作することで、球皿ユニット6に貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
球皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射手段)。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により案内されながら遊技領域8a内を流下する。
〔盤面の構成〕
また遊技領域8a内には、始動ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26、作動時の可変始動入賞装置28に入賞(入球)したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技板に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
なお、上記の可変始動入賞装置28は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で停止表示された場合)に作動し、それに伴って下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。一方、可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっている。
また上記の可変入賞装置30(特別入賞事象発生手段)は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき大入賞口への入賞は常に不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない状態となり、大入賞口への入賞(特別な入賞)となる事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は図示しない島設備の補給経路に合流する。
遊技盤8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
図3は、遊技盤8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。
また、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、例えばそれぞれ2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する。例えば、2つのランプがともに消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。
第1特別図柄作動記憶ランプ34aは、上記の上始動入賞口26に遊技球が流入すると、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ表示が増え、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ表示が減少する。また第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、上記の可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が流入すると、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ表示が増え、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ表示が減少する。いずれにしても、各特別図柄作動記憶ランプ34a,35aの表示数(最大4個)は、その時点で未だ第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が開始されていない入賞の回数(入賞球数)を表している。
また遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ38a,38b,38c、確率変動状態表示ランプ38d、時短状態表示ランプ38eにそれぞれ対応する5つのLEDが含まれている。
なお本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に取り付けられている。
〔遊技盤のその他の構成:図1を参照〕
また遊技盤8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40fが形成されており、このとき転動ステージ40eから球放出路40fに流下した遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に流入しやすくなる。
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素として上部枠ランプ46,48や下部枠ランプ50,52が複数の箇所に設置されている。これら枠ランプ46〜52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対の上スピーカ54が内蔵されており、そして外枠ユニット2の下部には、左右一対の下スピーカ56が内蔵されている。これらスピーカ54,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160,161、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図4)に基づいてさらに後述する。
上記の払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aは遊技機枠7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送出された遊技球を前面側の球皿ユニット6まで案内する。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図4は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
また主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、大当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力ドライバ(I/O)79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82及びカウントスイッチ84が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。またカウントスイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。これらスイッチ類78〜86の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお遊技盤8の構成上、本実施形態ではゲートスイッチ78、カウントスイッチ84及び入賞口スイッチ86からの入賞検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信され、パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aは、上記のように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に設置されており、この統合表示基板89には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。なお、これらソレノイド88,90についても上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
その他に上記のガラス枠ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また上記の遊技機枠7(プラ枠)にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。ガラス枠ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また外枠ユニット2から遊技機枠7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号からガラス枠ユニット4や遊技機枠7の開放状態を検出することができる。
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる(特別入賞特典付与手段)。
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(ステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って上記の球皿ユニット6に送られる。
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
またパチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、球皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、球皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上記のように遊技領域8に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のグリップユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。またタッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がグリップユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
上記の球皿ユニット6には受皿中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、受皿中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、受皿中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、受皿中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
また、球皿ユニット6にはCR基板122が内蔵されており、このCR基板122には上記の球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチや、度数表示部14の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号がCR基板122から受皿中継端子板118、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに送信される。またCRユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120から受皿中継端子板118を経由してCR基板122に送信される。CR基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。なお演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
また演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種の枠ランプ46〜52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記の上部枠ランプ46,48や下部枠ランプ50,52の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は上記の演出ユニットに内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等に内蔵されるLEDに相当するものである。
また音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
本実施形態ではガラス枠ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して枠ランプ46〜52やスピーカ54,56に印加されている。また遊技盤8にはパネル電飾基板138が設置されており、ランプ駆動回路132からの駆動信号がパネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53に印加されている。
上記の液晶表示器42は遊技盤8の裏側に設置されており、遊技盤8に形成された略矩形の開口を通じてのその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライトに印加される交流電源を生成している。さらに、遊技盤8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜53等やスピーカ54,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらにVDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
その他、遊技機枠7の裏側には電源制御ユニット162が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。
また、遊技盤8の裏側には盤用外部端子板160が設置されており、そして遊技機枠7の裏側には枠用外部端子板161が設置されている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、それぞれ盤用外部端子板160、枠用外部端子板161を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。盤用外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図5及び図6は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、マスクレジスタの初期設定を行う。
ステップS104:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS105を実行する。
ステップS105:主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS106を実行する。
ステップS106:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。チェック結果が正常であれば(Yes)、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)し、次に主制御CPU72はステップS107を実行する。
ステップS107:主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンドを送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、演出図柄の表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させる。
ステップS108:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元に、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。そして、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧し、そのプログラムアドレスから処理を続行する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS104:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS105:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS106:No)、主制御CPU72はステップS109に移行する。
ステップS109:主制御CPU72は、RAM76の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76にバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS110:また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているコマンド送信要求バッファをクリアする。
ステップS111:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72がリセット後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS112:主制御CPU72は、CTC初期化処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期化を行う。そして主制御CPU72は、図4に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS113,ステップS114:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される信号を参照し、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。なお、電源遮断が発生すると、主制御CPU72はレジスタを退避し、RAM76全体の内容をバックアップして処理を停止(NOP)する。電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS115を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS115:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数以外に各種の乱数をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図5中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS115では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS113で割込を禁止した後にステップS115を実行しているのは、別の割込処理(図5中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。
ステップS116,ステップS117:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ決定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(図5)を実行した場合の残り時間で行われる。なお割込管理処理の内容についは後述する。
ステップS118:次に主制御CPU72は、割込回数カウンタの値を参照し、ここまでに実行した割込処理が所定回数(例えば2回)を超えたか否かを判断する。割込回数カウンタの値が所定値を超えていなければ(No)、主制御CPU72はステップS113に戻る。一方、割込回数カウンタの値が所定値を超えていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS119を実行する。これにより、メインループの実行中に少なくとも2回のタイマ割込が発生して別の割込管理処理が実行されるとともに、さらに主制御CPU72は、タイマ割込が発生する残り時間で電源断発生チェック処理(ステップS114)及び初期値更新乱数更新処理(ステップS115)を実行する。
ステップS119,ステップS120:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファをクリアする。
ステップS121:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、別の割込処理(図5中のステップS203)において各種スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
ステップS122,ステップS123:主制御CPU72は、メインループ中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。
また普通図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は別の割込管理処理の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄大当り決定乱数)を記憶しておく。そして主制御CPU72は、この普通図柄遊技処理の中で乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる(可動片作動手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS124:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は盤用外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報を出力する。
ステップS125:また主制御CPU72は、メインループにおいて試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中、エラー発生中)を表す試験信号を生成し、これを主制御装置70の外部に出力する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS126:次に主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファを参照し、各種ソレノイド(普通電動役物ソレノイド88、大入賞口ソレノイド90)の励磁状態(ON又はOFF)を出力ポートに出力する。
なお本実施形態では、ステップS119〜ステップS126の処理をメインループ中に組み込んだ例を挙げているが、これら処理をCPUがタイマ割込処理として実行している公知のプログラミング例もある。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図7は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ミリ秒)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、普通図柄大当り決定乱数等が含まれる。このうち大当り図柄乱数及び小大当り図柄乱数は、例えば0〜99の範囲で順番に更新される。
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力ドライバ(I/O)79から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72はそれぞれ第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS205:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)を生成し、出力ポートから出力する。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
ステップS206:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込回数カウンタを更新する。このカウンタは、先に述べたメインループ中のステップS118で参照されるものである。
ステップS207,ステップS208:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔始動入賞処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)中でさらに実行される処理について説明する。図8は、始動入賞処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、第1特別図柄に対応する上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12を実行する。
ステップS12:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は各図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)別で4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには大当り決定乱数及び大当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS14に進む。
ステップS14:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数を1つ加算する。第1特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図7中のステップS205)で第1作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS16:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第1特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを第1特別図柄に対応する大当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS17:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。この場合の乱数値の取得は、RAM76のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを転送先のアドレスに第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数としてセーブする。
ステップS18:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに第1特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。
ステップS20:主制御CPU72は、第1特別図柄始動口入賞フラグをセットする。なお、主制御CPU72はメインループに復帰すると、ここでセットしたフラグの値を参照して演出制御装置94に始動口入賞音制御コマンドを送信し、また、賞球払出制御装置92に賞球指示コマンドを送信する。
以上の手順を終えるか、もしくは上始動入賞口スイッチ80からの入賞検出信号の入力がなかった場合(ステップS10:No)、あるいは第1特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS12:No)、主制御CPU72は次にステップS22を実行する。
ステップS22:主制御CPU72は、第2特別図柄に対応する下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認されなかった場合(No)、ここで主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS24を実行する。
ステップS24:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。第2特別図柄作動記憶数カウンタについても上記と同様に、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。このとき第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4に達していれば(No)、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、未だ第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4未満であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS26に進む。
ステップS26:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数を1つ加算(第2特別図柄作動記憶数カウンタの値をインクリメント)する。
ステップS28:そして主制御CPU72は、乱数発生器75から第2特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する。乱数値を取得する手法は、先に説明したステップS16と同様である。
ステップS29:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。乱数値を取得する方法は、先に説明したステップS17と同様である。
ステップS30:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに第2特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これらを領域内の空きセクションにセットで記憶させる。記憶の手法は、先に説明したステップS18と同様である。
ステップS32:主制御CPU72は、第2特別図柄始動口入賞フラグをセットする。以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。
〔特別図柄遊技処理〕
次に、メインループ中に実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図9は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、可変入賞装置管理処理(ステップS5000)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示された場合に選択される。当りの態様の中でも、第1特別図柄又は第2特別図柄が特別の態様(例えば15ラウンド大当りの態様)で停止すると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば15回)だけ励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が全部で15回あれば、これらを「15ラウンド」と総称することがある。
また、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理において大入賞口開放パターン(ラウンド数と1ラウンドごとの開閉動作の回数)を設定すると、1ラウンド分の可変入賞装置30の開閉動作を終了させるごとにラウンド数カウンタの値を1インクリメントする。ラウンド数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。また主制御CPU72は、ラウンド数カウンタの値を表すラウンド数コマンドを生成する。ラウンド数コマンドは、演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。ラウンド数カウンタの値が設定した連続作動回数に達すると、主制御CPU72はそのラウンド限りで大当り遊技(大役)を終了する。
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる。「高確率状態」になると確率変動機能が作動し、内部抽選での当選確率が通常よりも高く(10倍程度に)なる(特定遊技状態状態移行手段)。また「時間短縮状態」になると時間短縮機能が作動し、非当選時の特別図柄の変動時間が通常の状態に比較して全体的に短縮される(時間短縮状態移行手段)。なお、「高確率状態」及び「時間短縮状態」については、制御上でいずれか一方だけに移行する場合もあれば、これら両方に合わせて移行する場合もある。このような「高確率状態」又は「時間短縮状態」への移行についてはさらに後述する。
〔複数の当選種類〕
上記の15ラウンド大当り(特別当選)以外に、本実施形態では複数の当選種類として、5ラウンド大当りや2ラウンド大当りが設けられている。また15ラウンド大当りには、さらに15ラウンド通常大当りと15ラウンド確変大当りとが設けられており、さらに5ラウンド大当りと2ラウンド大当りにも、それぞれ5ラウンド通常大当り(第1の通常当選)と5ラウンド確変大当り(第1の特定当選)、2ラウンド通常大当り(第2の通常当選)と2ラウンド確変大当り(第2の特定当選)が設けられている。
先の特別図柄停止表示中処理において、第1特別図柄又は第2特別図柄が2ラウンド通常大当り、2ラウンド確変大当り、5ラウンド通常大当り又は5ラウンド確変大当りのいずれかの態様で停止すると、それまでの通常状態から短期間の大当り遊技状態に移行する契機が発生する。ただし、2ラウンドや5ラウンドの大当り遊技は、15ラウンドの大当り遊技に比較して極端に短時間内で終了するため、大入賞口への入賞はほとんど発生することがない。その代わり、大当り遊技の終了後に例えば「高確率状態」に移行する特典が遊技者に付与される。
また本実施形態では、非当選以外の当選種類として小当り(特例当選)が設けられている。小当りに当選すると、大当り遊技とは別に小当りの遊技が行われて可変入賞装置30が開閉動作する。すなわち、先の特別図柄停止表示中処理において、特別図柄が小当りの態様で停止すると、通常状態の中で小当りの遊技(可変入賞装置30が作動する遊技)が実行される。このような小当りの遊技では可変入賞装置30が特例の回数(例えば5回)だけ開閉動作するものの、2ラウンド大当り遊技や5ラウンド大当り遊技と同様に大入賞口への入賞はほとんど発生しない。また小当りの遊技が終了しても、「高確率状態」や「時間短縮状態」へ移行する特典は付与されない(そのための前提条件とはならない。)。
〔特別図柄変動前処理〕
図10は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数又は第2特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。第1特別図柄及び第2特別図柄の両方の作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。なお復帰時は、上記のように末尾アドレスに復帰する(以降も同様)。
これに対し、いずれかの作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
ステップS2200:主制御CPU72は割込を禁止した上で、特別図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)のうち、第2特別図柄に対応する方を優先的に読み出す。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。シフトされた乱数は、RAM76の乱数記憶領域から消去される。第2特別図柄に対応する乱数が記憶されていない場合のみ、主制御CPU72は第1特別図柄に対応する乱数を読み出して別の共通記憶領域に保存する。共通記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。その結果、本実施形態では第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示が優先的に行われることになる。なお、このような特別図柄別の優先順位を設けることなく、単純に記憶された順番で乱数が読み出されるプログラムであってもよい。
ステップS2250:次に主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタ(第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかに対応する方)の値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。このとき減算対象となる作動記憶数カウンタは、先のステップS2200で記憶した乱数のシフトを行った方に対応するものである。これにより、上記の表示出力管理処理(図7中のステップS205)の中で第1特別図柄作動記憶ランプ34a又は第2特別図柄作動記憶ランプ35aによる記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は割込を許可して次にステップS2300を実行する。
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、先ず大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なり、高確率状態では通常状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。そして、このとき読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。
上記の大当りフラグをセットしない場合、主制御CPU72は同じ大当り判定処理において、次に小当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。ここでいう「小当り」は、非当選(はずれ)以外であるが、「大当り」とは異なる性質のものである。すなわち、「大当り」は上記の「高確率状態」や「時間短縮状態」に移行させる契機(遊技の節目)を発生させるものであるが、「小当り」はそのような契機を発生しない。ただし「小当り」は、「大当り」と同様に可変入賞装置30を作動させる条件を満たすものとして位置付けられている。なお、このとき設定される小当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なっていてもよいし、同じでもよい。いずれにしても、読み出した乱数値が小当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は小当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。このように、本実施形態では非当選以外に該当する当り範囲として、大当り値と小当り値の範囲が予めプログラム上で規定されているが、予め状態別の大当り判定テーブル、小当り判定テーブルをそれぞれROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行ってもよい。
ここで、上記のように大当り決定乱数値は、第1特別図柄又は第2特別図柄で別々に読み出されるため、大当り判定処理(内部抽選)は図柄別に行われることになる。例えば、先のステップS2200で第1特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第1特別図柄に対応して行われることになる。一方、第2特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第2特別図柄に対応して行われることになる。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2402を実行する。
ステップS2402:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で小当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。小当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。なお、主制御CPU72は大当りフラグと小当りフラグとを別々に用意せずに、共通当りフラグの値によって大当り(例えば01Hを設定)又は小当り(例えば0AHを設定)を判別してもよい。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。具体的には、先の特別図柄記憶シフト処理で第2特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の記憶を優先してシフトしていた場合、ここで主制御CPU72は第2特別図柄表示装置36による停止図柄番号データをセットする。一方、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数の記憶をシフトしていれば、ここで主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34による停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35にそれぞれ7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄又は第2特別図柄について、はずれ時の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。なおリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は、例えばステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定される。また、はずれ時の図柄の停止表示時間は変動パターンに関わらず一定(例えば0.5秒程度)である。主制御CPU72は、決定した変動時間(はずれ時)の値を変動タイマにセットするとともに、はずれ時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時(非当選以外の場合)の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)又は小当り(ステップS2402:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。先ず、大当りの場合について説明する。
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、今回の内部抽選で当選が得られた第1特別図柄又は第2特別図柄について当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と各図柄別の当選図柄の種類との関係は、予め特別図柄判定データテーブルで規定されている(当選種類規定手段)。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において特別図柄判定テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて図柄別に当選図柄の種類を決定することができる。
〔大当り時の当選図柄〕
本実施形態では、大当り時に選択的に決定される当選図柄として、例えば「15ラウンド通常(非確変)図柄」、「15ラウンド確変図柄」、「5ラウンド通常(非確変)図柄」「5ラウンド確変図柄」、「2ラウンド通常(非確変)図柄」、「2ラウンド確変図柄」のように、ラウンド数と確変移行の有無が異なる複数種類の当選図柄が予め上記の特別図柄判定テーブルにより規定されている。
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットするとともに、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2413:主制御CPU72は、大当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)が「15ラウンド確変図柄」、「5ラウンド確変図柄」又は「2ラウンド確変図柄」のいずれかである場合は、遊技状態フラグとして確率変動機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。さらに、当選図柄の種類が「15ラウンド確変図柄」又は「15ラウンド通常図柄」のいずれかである場合、合わせて主制御CPU72は遊技状態フラグとして時間短縮機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
次に、小当り時の処理について説明する。
ステップS2407:主制御CPU72は、小当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、小当り時の当選図柄の種類(小当り時停止図柄番号)を決定する。ここでも同様に、大当り図柄乱数値と小当り時の当選図柄の種類との関係が予め小当り時特別図柄判定データテーブルで規定されている。なお本実施形態では、主制御CPU72の負荷を軽減するために大当り図柄乱数を用いて小当り時の当選図柄を決定しているが、別途専用の乱数を用いてもよい。
〔小当り時の当選図柄〕
本実施形態では、小当り時の当選図柄は「5回開放小当り図柄」の1種類だけである。ただし、これ以外に例えば「1回開放小当り図柄」、「2回開放小当り図柄」、「3回開放小当り図柄」等の別の種類が用意されていてもよい。上記のように内部抽選の結果としての「小当り」は、その後の状態が「高確率状態」や「時間短縮状態」に変化する契機とはならないため、この種のパチンコ機で必須となる「2ラウンド(2回開放)以上」の規定(法規)にとらわれることなく、「1回開放小当り図柄」を設けることができる。
ステップS2408:次に主制御CPU72は、小当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットし、また停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。なお、小当りの場合にもリーチ変動パターンが選択されるため、はずれ通常変動時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2409:次に主制御CPU72は、小当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は小当り時停止図柄番号に基づき、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(小当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(小当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。また主制御CPU72は、変動パターンに対応する停止図柄表示時間の値を表示タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定し、特別図柄遊技処理に復帰する。
〔図9:特別図柄変動中処理〕
特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
〔特別図柄停止表示中処理〕
次に図11は、特別図柄停止表示中処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS4100:主制御CPU72は、停止図柄表示タイマの値を参照(ロード)する。停止図柄表示タイマの値は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示が終了すると、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてデクリメントされる。
ステップS4200:そして主制御CPU72は、ロードした停止図柄表示タイマの値に基づき、停止表示時間が終了したか否かを判断する。具体的には、停止図柄表示タイマの値が0以下でなければ、主制御CPU72は未だ停止表示時間が終了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰し、実行選択処理(図9中のステップS1000)からジャンプして特別図柄停止表示中処理を繰り返し実行する。
これに対し、停止図柄表示タイマの値が0以下であれば、主制御CPU72は停止表示時間が終了したと判断する(Yes)。この場合、主制御CPU72は次にステップS4250を実行する。
ステップS4250:主制御CPU72は、図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また主制御CPU72は、ここで図柄変動中フラグを消去する。
ステップS4300:ここで主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認し、セットされていなければ(No)、特別図柄遊技処理に復帰する。この場合、実行選択処理(図9中ステップS1000)での次のジャンプ先は特別図柄変動前処理(図9中のステップS2000,図10)となる。一方、大当りフラグの値(01H)がセットされている場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS4400を実行する。
ステップS4400:主制御CPU72は、制御上の内部ステータスを「大役開始(大当り遊技中)」にセットする。また合わせて主制御CPU72は、大当り中を表す状態コマンドを生成する。大当り中を表す状態コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
ステップS4500:そして主制御CPU72は、連続作動回数コマンドを生成する。連続作動回数コマンドは、先の大当り時停止図柄決定処理(図10中のステップS2410)で決定された大当り図柄の種類に基づいて生成することができる。例えば、大当り図柄の種類が「15ラウンド大当り図柄」であれば、連続作動回数コマンドは「15ラウンド」を表す値として生成される。その他の「5ラウンド大当り図柄」、「2ラウンド大当り図柄」の場合、連続作動回数コマンドはそれぞれ「5ラウンド」、「2ラウンド」を表す値として生成される。生成された連続作動回数コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。また、この場合の次のジャンプ先は、可変入賞装置管理処理(図9中のステップS5000)に設定される。
〔大当りラウンド数の表示〕
主制御CPU72は上記のように内部ステータスを「大役開始」にセットすると、そのときの大当り種別(特にラウンド数)を外部に向けて表示する。大当りラウンド数は、例えば上記の遊技状態表示装置38を用いることで、遊技者の視覚を通じて識別可能な態様で表示される。以下、大当りラウンド数の表示手法について説明する。
〔表示出力管理処理〕
図12は、上記の割込管理処理に含まれる表示出力管理処理(図7中のステップS205)の構成例を示すフローチャートである。割込管理処理は、特別図柄表示設定処理(ステップS1200)、普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、状態表示設定処理(ステップS1220)、作動記憶表示設定処理(ステップS1230)、連続作動回数表示設定処理(ステップS1240)のサブルーチン群を含む構成である。
このうち特別図柄表示設定処理(ステップS1200)と普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、作動記憶表示設定処理(ステップS1230)、については、既に述べたように第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35aの各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。
状態表示設定処理(ステップS1220)及び連続作動回数表示設定処理(ステップS1240)については、遊技状態表示装置38の各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理である。このとき主制御CPU72は、特に連続作動回数表示設定処理において、上述した大当り種別表示ランプ38a,38b,38cの点灯を制御する。
具体的には、主制御CPU72は上記の連続作動回数コマンドの値に基づき、大当り種別表示ランプ38a,38b,38cのいずれかに対する点灯信号を出力する。このとき点灯信号を出力する対象となるのは、連続作動回数コマンドで指定された大当り図柄に対応するいずれか1つの表示ランプ38a,38b,38cである。例えば、連続作動回数コマンドの値が「15ラウンド」を指定するものであれば、主制御CPU72は「15ラウンド(15R)」を表すランプ38cに対して点灯信号を出力する。また連続作動回数コマンドの値が「5ラウンド」を指定するものであれば、主制御CPU72は「5ラウンド(5R)」を表すランプ38bに対して点灯信号を出力する。そして連続作動回数コマンドの値が「2ラウンド」を指定するものであれば、主制御CPU72は「2ラウンド(2R)」を表すランプ38aに対して点灯信号を出力する。その結果、遊技状態表示装置38において対応する表示ランプ38a,38b,38dのいずれかが明確に点灯するので、遊技者に対して大当り種別(ラウンド数)を識別可能な態様で表示することができる。
〔可変入賞装置管理処理〕
次に、可変入賞装置管理処理の詳細について説明する。図13は、可変入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。可変入賞装置管理処理は、遊技プロセス選択処理(ステップS5100)、大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)、大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)、大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)、終了処理(ステップS5500)のサブルーチン群を含む構成である。
ステップS5100:遊技プロセス選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS5200〜ステップS5500のいずれか)のジャンプ先を選択する。すなわち主制御CPU72は、ジャンプテーブルから次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとして選択し、また戻り先のアドレスとして可変入賞装置管理処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ可変入賞装置30の作動(開閉動作)を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)を選択する。一方、既に大入賞口開放パターン設定処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)を選択し、大入賞口開閉動作処理まで完了していれば、次のジャンプ先として大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)を選択する。また、設定された連続作動回数(ラウンド数)にわたって大入賞口開閉動作処理及び大入賞口閉鎖処理が繰り返し実行されると、主制御CPU72は次のジャンプ先として終了処理(ステップS5500)を選択する。以下、それぞれの処理についてさらに詳しく説明する。
〔大入賞口開放パターン設定処理〕
図14は、大入賞口開放パターン設定処理の手順例を示すフローチャートである。この処理は、大当り時又は小当り時にそれぞれ可変入賞装置30を開閉動作する回数やその開放時間等の条件を設定するためのものである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS5202:主制御CPU72は、現在の遊技状態が大役中、つまりRAM76のフラグ領域に大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。大当りフラグの値がセットされていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5204に進む。一方、大当りフラグの値がセットされていなければ(No)、主制御CPU72はステップS5210に進む。なお、この手順は小当りフラグの値を参照する内容に書き換えてもよい(ただしYes/Noの論理は逆となる。)。
〔大当り時の手順〕
先ず、大当り時の手順は以下となる。
ステップS5204:主制御CPU72は、今回の大当り図柄(当選種類)が「2ラウンド」又は「5ラウンド」のいずれかに該当しているか否かを確認する。このとき、先の大当り時停止図柄決定処理(図10中のステップS2410)で「2ラウンド通常大当り」、「2ラウンド確変大当り」、「5ラウンド通常大当り」又は「5ラウンド確変大当り」のいずれかが選択されていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5206を実行する。
ステップS5206:この場合、主制御CPU72は、異なるラウンド数(2ラウンド又は5ラウンド)の大当りであっても、同じ5回の開放パターンを設定する(同一開閉パターン設定手段)。なお同一5回開放パターンの詳細については、開放パターン設定テーブルの例を用いてさらに後述する。
これに対し、「15ラウンド通常大当り」又は「15ラウンド確変大当り」が選択されていれば(ステップS5204:No)、主制御CPU72はステップS5208を実行する。
ステップS5208:この場合、主制御CPU72は15回(15ラウンド)の開放パターンを設定する(最大開閉パターン設定手段)。15回開放パターンは、例えば1ラウンド内の可変入賞装置30の開放時間を例えば30秒とし、その間の最大入賞回数(個数)を例えば9個として設定される。またラウンド間のインターバルは、例えば数秒程度に設定される。
ステップS5212:主制御CPU72は、先の大当り時停止図柄決定処理(図10中のステップS2410)で選択した大当り時当選図柄に基づき、今回の大当り遊技における実行ラウンド数を設定する。具体的には、当選図柄として「15ラウンド確変図柄」又は「15ラウンド通常図柄」を選択していれば、主制御CPU72は実行ラウンド数を15回に設定する。また、当選図柄として「2ラウンド確変図柄」又は「2ラウンド通常図柄」を選択していれば、主制御CPU72は実行ラウンド数を2回に設定する。そして、当選図柄として「5ラウンド確変図柄」又は「5ラウンド通常図柄」を選択していれば、主制御CPU72は実行ラウンド数を5回に設定する。ここで設定した実行ラウンド数は、プログラム上で1を減算された後の値(2回なら「1」、5回なら「4」)として、例えばRAM76のバッファ領域に格納される。
ステップS5214:次に主制御CPU72は、先のステップS5206又はステップS5208で設定した大入賞口開放パターンに基づき、大当り時開放タイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、可変入賞装置30を作動する際の1回あたりの開放時間となる。具体的には、15回開放パターンを設定していれば、主制御CPU72は大当り時開放タイマの値として1回の開放中に大入賞口への入賞が容易に発生する充分な時間(例えば発射制御基板セット174により遊技球が10個以上発射される時間、好ましくは30秒程度)を設定する。一方、5回開放パターンを設定していれば、主制御CPU72は大当り時開放タイマの値として1回の開放中に大入賞口への入賞がほとんど発生しない(困難となる)短時間(例えば1秒より短い時間、好ましくは発射制御基板セット174による遊技球の発射間隔よりも短い時間)を設定する。
ステップS5216:そして主制御CPU72は、先のステップS5206又はステップS5208で設定した大入賞口開放パターンに基づき、大当り時インターバルタイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、大当り中のラウンド間での待機時間となる。
ステップS5224:以上の手順を終えると、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。
〔小当り時の手順〕
ステップS5210:小当りの場合(ステップS5202:No)、主制御CPU72は、「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」の場合と同一の5回開放パターンを設定する(特例開閉パターン設定手段)。なお、この場合の開放パターンについても、設定テーブルの例を用いて後述する。
ステップS5218:主制御CPU72は、先のステップS5210で設定した大入賞口開放パターンに基づき、大入賞口の開放回数を例えば5回に設定する。ここで設定した開放回数は、例えばRAM76のバッファ領域に格納される。
ステップS5220:次に主制御CPU72は、小当り時開放タイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、可変入賞装置30を作動する際の1回あたりの開放時間となる。なお本実施形態では、小当り時開放タイマの値として1回の開放中に大入賞口への入賞がほとんど発生しない(困難となる)短時間(例えば1秒より短い時間、好ましくは発射装置ユニットによる遊技球の発射間隔よりも短い時間)が設定されている。
ステップS5222:主制御CPU72は、小当り時インターバルタイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、小当り時に可変入賞装置30を複数回にわたり開閉動作させる際の1回ごとの待機時間となる。
ステップS5224:小当り時に以上の手順を終えると、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。
〔開放パターン設定テーブル〕
図15は、大当り時及び小当り時それぞれの大入賞口開放パターン設定テーブルの例を示す図である。以下、各テーブル例について説明する。
〔大当り時大入賞口開放パターン設定テーブル:同一開閉パターン設定手段〕
図15中(A):大当り時入賞口開放パターン設定テーブルは、大当りラウンド数の異なる当選図柄別に、ラウンドごとの可変入賞装置30の開閉動作パターンを定めたものである。具体的には、当選図柄別に以下の開閉動作パターンが定められている。
〔2ラウンド確変大当り,2ラウンド通常大当り〕
この例では、ラウンド数は「2ラウンド」であっても、その1ラウンド目に対して1回あたり0.3秒の開閉動作を3回まで含めるとともに、2ラウンド目に対して1回あたり0.3秒の開閉動作を2回まで含めている。また、1回ごとの開閉動作はほとんど間隔をあけずに(例えば10ms程度で)連続して行われるものとし、1ラウンド目と2ラウンド目の間のインターバルも同程度(例えば10ms程度)に設定されるものとする。そしてこの場合、2ラウンド大当り遊技の開始から終了までの所要時間は、合計で約1.5秒(≒0.3秒/回×(3+2)回)となる。
なお、1ラウンド中のカウント数(最大入賞回数)は15ラウンド大当り時と同じ(例えば9個)であるが、このような短時間の開放動作中に入賞が発生することはほとんどない(不能ではないが極めて困難である)。なお、上記のように1ラウンド内に3回分の開閉動作を含めていても、大入賞口が開放されている時間が通じて0.9秒(=0.3秒×3)であるため、この間の一連の動作を1ラウンドとして考えることができる。
〔5ラウンド確変大当り,5ラウンド通常大当り〕
またこの例では、ラウンド数が「5ラウンド」の場合、その1ラウンド目〜5ラウンド目に対して1回あたり0.3秒の開閉動作を1回ずつ含めている。また、各ラウンド間のインターバルは「2ラウンド」の場合と同程度(例えば10ms程度)に設定されるものとする。この場合もまた、5ラウンド大当り遊技の開始から終了までの所要時間は、合計で約1.5秒(≒0.3秒/回×5回)となる。
また同様に、1ラウンド中のカウント数(最大入賞回数)は15ラウンド大当り時と同じ(例えば9個)であるが、このような短時間の開放動作中に入賞が発生することはほとんどない(不能ではないが極めて困難である)。
以上のように、「5ラウンド」については各ラウンド全てに等しく1回ずつの開閉動作を割り当てていることで、大当り時の「ラウンド数(=5)」と開閉動作の合計回数(=5)とが相互に一致していることが分かる。一方、「2ラウンド」については、1ラウンド目に3回分の開閉動作を割り当てるとともに、2ラウンド目に2回分の開閉動作を割り当てることで、大当り時の「ラウンド数(=2)」よりも、見かけ上の開閉動作の合計回数(=5)が多くなり、その結果、「5ラウンド」の場合の合計回数と同一に設定されていることが分かる。
〔小当り時大入賞口開放パターン設定テーブル:特例開閉パターン設定手段〕
図15中(B):小当り時入賞口開放パターン設定テーブルは、小当り時の開放回数を全体で5回とし、その1回ごとの開放時間を0.3秒として可変入賞装置30の開閉動作パターンを定めたものである。なお、小当りには「ラウンド数(連続作動回数)」の概念が存在しないので、例えば「3回分を1ラウンドに含める」といった設定手法は採用できない。
〔開放パターン設定テーブルのまとめ〕
図15中(A),(B)に示される例に基づいて大入賞口開放パターンを設定することにより、「2ラウンド確変大当り」、「2ラウンド通常大当り」、「5ラウンド確変大当り」、「5ラウンド通常大当り」、そして「小当り」のいずれに該当した場合であっても、見かけ上で可変入賞装置30の挙動は全て同じになる。
以上の大入賞口開放パターンを設定すると、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰し、次に大入賞口開閉動作処理を実行する。
〔大入賞口開閉動作処理:連続作動実行手段〕
図16は、大入賞口開閉動作処理の手順例を示すフローチャートである。この処理は主に、可変入賞装置30の開閉動作を制御するためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS5302:主制御CPU72は、大入賞口を開放させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に対して印加する駆動信号を出力する。これにより、可変入賞装置30が作動して閉止状態から開放状態に移行する。
ステップS5304:次に主制御CPU72は、開放タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、先の大入賞口開放パターン設定処理(図14中のステップS5214又はステップS5220)で設定した開放タイマのカウントダウンを実行する。
ステップS5306:続いて主制御CPU72は、開放時間が終了したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の開放タイマの値が0以下であるか否かを確認し、未だ開放タイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS5308を実行する。
ステップS5308:主制御CPU72は、入賞球数カウント処理を実行する。この処理では、開放時間内に可変入賞装置30(開放中の大入賞口)に入賞した遊技球の個数をカウントする。具体的には、主制御CPU72は開放時間内にカウントスイッチ84から入力された入賞検出信号に基づいて、カウント数の値をインクリメントする。
ステップS5310:次に主制御CPU72は、現在のカウント数が所定数(例えば9個程度)未満であるか否かを確認する。この所定数は、開放1回(大当り中の1ラウンド、小当り時の1回)あたりに許容する入賞球数の上限(賞球数の上限)を定めたものである。未だカウント数が所定数に達していなければ(Yes)、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰する。そして、次に可変入賞装置管理処理を実行すると、現段階ではジャンプ先が大入賞口開閉動作処理に設定されているので、主制御CPU72は上記のステップS5302〜ステップS5310の手順を繰り返し実行する。
上記のステップS5306で開放時間が終了したと判断するか(Yes)、もしくはステップS5310でカウント数が所定数に達したことを確認すると(No)、主制御CPU72は次にステップS5312を実行する。なお、小当り時や2ラウンド又は5ラウンドの大当り時は、いずれも開放タイマの値が短時間に設定されているので、通常、主制御CPU72はステップS5310でカウント数が所定数に達したことを確認するより先に、ステップS5306で開放時間が終了したと判断する場合がほとんどである。
ステップS5312:主制御CPU72は、大入賞口を閉止させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に印加していた駆動信号の出力を停止する。これにより、可変入賞装置30が開放状態から閉止状態に復帰する。
ステップS5314:次に主制御CPU72は、インターバル待機処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の大入賞口開放パターン設定処理(図14中のステップS5216又はステップS5222)で設定したインターバルタイマのカウントダウンを実行する。そして、インターバルタイマの値が0以下になると、次に主制御CPU72はステップS5316に進む。
ステップS5316:主制御CPU72は、大役中(大当り遊技中)であるか否かを確認する。現在の遊技が大役中であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5318を実行する。これに対し、現在の遊技が小当りであれば(No)、主制御CPU72は次にステップS5322に進む。
ステップS5318:主制御CPU72は、開放回数カウンタの値をインクリメントする。なお、開放回数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。
ステップS5320:主制御CPU72は、インクリメント後の開放回数カウンタの値が現ラウンド内で設定した回数に達しているか否かを確認する。ここで、「現ラウンド内で設定した回数」は、例えば図15中(A)に示されているように、「2ラウンド確変大当り」又は「2ラウンド通常大当り」の場合、その1ラウンド目では3回、2ラウンド目では2回にそれぞれ設定されている。また「5ラウンド確変大当り」又は「5ラウンド通常大当り」、さらに「15ラウンド大当り」の場合、各ラウンドで1回ずつに設定されている。したがって、「5ラウンド確変大当り」、「5ラウンド通常大当り」、「15ラウンド大当り」の場合、通常は1回の開閉動作でカウンタ値が設定した回数に達するため(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5322に進むことになる。
一方、「2ラウンド確変大当り」又は「2ラウンド通常大当り」の場合、それぞれ3回又は2回の開閉動作を繰り返すまでの間は、カウンタ値が設定した回数に達していない(No)。この場合、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰すると、現段階ではジャンプ先が大入賞口開閉動作処理に設定されているので、上記のステップS5302〜ステップS5320までの手順を繰り返し実行する。その結果、ステップS5318で開放回数カウンタのインクリメントが進み、カウンタ値が設定した回数に達すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5322に進む。
ステップS5322:主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口閉鎖処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。そして、次に可変入賞装置管理処理を実行すると、主制御CPU72は次に大入賞口閉鎖処理を実行する。
〔大入賞口閉鎖処理〕
図17は、大入賞口閉鎖処理の手順例を示すフローチャートである。この大入賞口閉鎖処理は、可変入賞装置30の作動を継続したり、その作動を終了したりするためのものである。以下、手順に沿って説明する
ステップS5401:先ず主制御CPU72は、現在の遊技が大役(大当り遊技)中であるか否かを確認し、大役中であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5402を実行する。
ステップS5402:主制御CPU72は、上記のラウンド数カウンタをインクリメントする。これにより、例えば1ラウンド目が終了し、2ラウンド目に向かう段階でラウンド数カウンタの値は「1」となっている。
ステップS5404:主制御CPU72は、インクリメント後のラウンド数カウンタの値が設定した実行ラウンド数に達しているか否かを確認する。具体的には、主制御CPU72はインクリメント後のラウンド数カウンタの値(1〜14)を参照し、その値が設定した実行ラウンド数(1減算後の1〜14)未満であれば(No)、次にステップS5405を実行する。
ステップS5405:主制御CPU72は、現在のラウンド数カウンタの値からラウンド数コマンドを生成する。このコマンドは、上記のように演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に送信されるものである。演出制御装置124は、受信したラウンド数コマンドに基づいて現在のラウンド数を確認することができる。
ステップS5406:主制御CPU72は、次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定する。
ステップS5408:そして主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。
主制御CPU72が次に可変入賞装置管理処理を実行すると、遊技プロセス選択処理(図13中のステップS5100)で主制御CPU72は次のジャンプ先である大入賞口開閉動作処理を実行する。そして、大入賞口開閉動作処理の実行後は大入賞口閉鎖処理の実行を経て、主制御CPU72は再び大入賞口閉鎖処理を実行し、上記のステップS5402〜ステップS5408を繰り返し実行する。これにより、実際のラウンド数が設定した実行ラウンド数(2回、5回又は15回)に達するまでの間、可変入賞装置30の開閉動作が連続して実行される。
実際のラウンド数が設定した実行ラウンド数に達した場合(ステップS5404:Yes)、主制御CPU72は次にステップS5410を実行する。
ステップS5410,ステップS5412:この場合、主制御CPU72はラウンド数カウンタをリセット(=0)すると、次のジャンプ先を終了処理に設定する。
ステップS5408:そして主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が可変入賞装置管理処理を実行すると、今度は終了処理が選択されることになる。
〔小当り時:特例作動実行手段〕
これに対し、小当りの場合は以下の手順となる。
ステップS5411:主制御CPU72は現在の遊技が大役中でないことを確認すると(ステップS5401:No)、開放回数カウンタの値をインクリメントする。
ステップS5413:次に主制御CPU72は、インクリメント後の開放回数カウンタの値が設定した開放回数に達したか否かを確認する。開放回数は、先の大入賞口開放パターン設定処理(図14中のステップS5218)で設定したものである。未だ開放回数カウンタの値が設定した開放回数に達していなければ(No)、主制御CPU72はステップS5416を実行する。
ステップS5416:主制御CPU72は、次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定する。
ステップS5408:そして主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。
主制御CPU72が次に可変入賞装置管理処理を実行すると、遊技プロセス選択処理(図13中のステップS5100)で主制御CPU72は次のジャンプ先である大入賞口開閉動作処理を実行する。そして、大入賞口開閉動作処理の実行後は大入賞口閉鎖処理の実行を経て、主制御CPU72は再び大入賞口閉鎖処理を実行し、上記のステップS5401〜ステップS5413を繰り返し実行する。これにより、実際の開放回数が設定した開放回数(5回)に達するまでの間、可変入賞装置30の開閉動作が繰り返し実行される。
小当り時の実際の開放回数が設定した開放回数に達した場合(ステップS5413:Yes)、主制御CPU72は次にステップS5414を実行する。
ステップS5414,ステップS5412:この場合、主制御CPU72は開放回数カウンタをリセット(=0)すると、次のジャンプ先を終了処理に設定する。
ステップS5408:そして主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が可変入賞装置管理処理を実行すると、今度は終了処理が選択されることになる。
〔終了処理〕
図18は、終了処理の手順例を示すフローチャートである。この終了処理は、可変入賞装置30の作動を終了する際の条件を整えるためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS5502:主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認し、大当りフラグの値がセットされていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5503を実行する。
ステップS5503,ステップS5504:この場合、主制御CPU72は大当りフラグをリセット(00H)する。これにより、主制御CPU72の制御処理上で大当り遊技状態は終了する。また主制御CPU72は、ここで内部的に大役中の状態を終了する。
ステップS5505:また主制御CPU72は、ここで連続作動回数コマンドを消去する。
ステップS5506:次に主制御CPU72は、確率変動機能作動フラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。このフラグは、先の特別図柄変動前処理中の大当り時その他設定処理(図10中のステップS2413)でセットされるものである。
ステップS5508:確率変動機能作動フラグの値がセットされている場合(ステップS5506:Yes)、主制御CPU72は確率変動回数(例えば10000回程度)を設定する。設定した確率変動回数の値は、例えばRAM76の確変カウンタ領域に格納される。ここで設定した確率変動回数は、これ以降の遊技で第1特別図柄又は第2特別図柄の変動(内部抽選)を高確率状態で行う上限回数となる。ただし、10000回程度の多い回数を設定した場合、そこまで非当選が続くことは確率的にほとんどないので(高確率時の当選確率が例えば30分の1〜39分の1程度)、実質的には次回の当選まで高確率状態が続くことになる。これとは逆に、高確率状態に実質的な上限を設ける場合、確率変動回数は現実的な回数(例えば10回程度)に設定される(いわゆる回数切り確変)。なお、確率変動機能作動フラグの値がセットされていなければ(ステップS5506:No)、主制御CPU72はステップS5508を実行しない。
ステップS5510:次に主制御CPU72は、時間短縮機能作動フラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。このフラグもまた、先の特別図柄変動前処理中の大当り時その他設定処理(図10中のステップS2413)でセットされるものである。
ステップS5512:そして、時間短縮機能作動フラグの値がセットされている場合(ステップS5510:Yes)、主制御CPU72は時間短縮回数(例えば100回程度)を設定する。設定した時間短縮回数の値は、例えばRAM76の時短カウンタ領域に格納される。ここで設定した時間短縮回数は、これ以降の遊技で特別図柄の変動時間を短縮化する上限回数となる。なお、時間短縮機能作動フラグの値がセットされていなければ(ステップS5510:No)、主制御CPU72はステップS5512を実行しない。
ステップS5514:そして主制御CPU72は、各種のフラグに基づいて状態指定コマンドを生成する。具体的には、大当りフラグのリセット又は大役終了に伴い、遊技状態として「通常中」を表す状態指定コマンドを生成する。また、高確率状態機能作動フラグがセットされていれば、内部状態として「高確率中」を表す状態指定コマンドを生成し、時間短縮機能作動フラグがセットされていれば、内部状態として「時間短縮中」を表す状態指定コマンドを生成する。これら状態指定コマンドは、演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。
ステップS5516:大当り時に以上の手順を経るか、もしくは小当り遊技の場合(ステップS5502:No)、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開放パターン設定処理に設定する。
ステップS5518:そして主制御CPU72は、特別図柄遊技処理の中の実行選択処理(図9中のステップS1000)でのジャンプ先を特別図柄変動前処理に設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰する。
〔パチンコ機の挙動〕
上記のように遊技中に主制御CPU72が各種の処理を実行することで、パチンコ機1は以下の挙動を示すことになる。
(1)15ラウンド大当り時
内部抽選で非当選以外となり、「15ラウンド通常大当り」又は「15ラウンド確変大当り」に該当した場合、上記の可変入賞装置管理処理(図13)において可変入賞装置30の開閉動作が15回の連続作動回数にわたって繰り返し実行される。このとき1回ごとの開放時間(最大30秒)は大入賞口に遊技球が流入できる充分な長さに設定されているため、この間の挙動は「大当り遊技」として遊技者にも明確に認識される。また演出上も、通常時とは異なる大当り遊技中の演出が実行されるため、遊技者に明確な大当り遊技を実感させることができる。
(2)2ラウンド又は5ラウンド大当り時
一方、「2ラウンド通常大当り」、「2ラウンド確変大当り」、「5ラウンド通常大当り」又は「5ラウンド確変大当り」に該当した場合、可変入賞装置管理処理(図13)において可変入賞装置30の開閉動作がいずれも合計して5回にわたり実行されるだけであり、さらに1回ごとの開放時間が短時間に設定されているため、この間の挙動は全体として短い期間内(例えば1.5秒程度)で終了する。したがって、この間の挙動は特に「大当り遊技」として遊技者には明確に認識されにくい。また、可変入賞装置30が開閉動作しても、それによる賞球はほとんど(又は全く)得られないことから、遊技者に「大当りした」という実感を抱かせにくい。ただし、「2ラウンド確変大当り」又は「5ラウンド確変大当り」のいずれかに該当した場合は可変入賞装置30の作動終了後、内部的に「高確率状態」に移行する特典が付与されるため、その後の内部抽選が遊技者にとって有利な条件で行われることになる。本実施形態では、「2ラウンド確変大当り」又は「5ラウンド確変大当り」は、遊技者に大当りを意識させないまま内部状態だけを突発的に「高確率状態」に移行させるための契機となる。
(3)小当り時
「小当り」に該当した場合、可変入賞装置管理処理(図13)において可変入賞装置30の開閉動作が5回にわたって実行される。また、1回あたりの開放時間が短時間に設定されているため、この間の挙動は全体として短い期間内(例えば1.5秒程度)で終了する。したがって、この間の挙動もまた特に遊技者には明確に認識されにくい。また可変入賞装置30が開閉動作しても、賞球がほとんど(又は全く)得られないことから、遊技者に「何らかの当選が得られた」という実感を抱かせることもない。加えて「小当り」は、内部的な状態を変化させる契機とならないため、可変入賞装置30の作動終了後も内部状態は変化しないので、いわゆるフェイク当選の位置付けとなる。
〔挙動例〕
図19は、当選種類別の可変入賞装置30の開閉動作に伴う挙動や制御上の状態変化を表すタイムチャートである。以下、当選種類別に説明する。
〔2ラウンド確変大当り時〕
図19中(A):上記のように、2ラウンド確変大当りに該当した場合、その1ラウンド目に3回分の開閉動作が行われた後、短いインターバル時間Itをおいて2ラウンド目に残り2回分の開閉動作が行われる。これにより、見かけ上では合計して5回分の開閉動作が行われていることが分かる。また、1ラウンド目の開始から2ラウンド目の終了までの間、上記の遊技状態表示装置38において、2ラウンドを表すランプ38aが点灯している(連続作動回数表示手段)。そして2ラウンドが終了した後、主制御CPU72による制御上で確率変動機能が作動を開始し、内部的な遊技状態が「高確率状態」に移行する。
〔2ラウンド通常大当り時〕
図19中(B):2ラウンド通常大当りに該当した場合もまた、その1ラウンド目に3回分の開閉動作が行われた後、短いインターバル時間Itをおいて2ラウンド目に残り2回分の開閉動作が行われる。これにより、同じく見かけ上で合計5回分の開閉動作が行われることが分かる。また、1ラウンド目の開始から2ラウンド目の終了までの間、上記の遊技状態表示装置38において、2ラウンドを表す大当り種別表示ランプ38aが点灯している(連続作動回数表示手段)。ただし「2ラウンド通常大当り」の場合、2ラウンドが終了した後も確率変動機能は作動せず、内部的な遊技状態は「高確率状態」に移行しない。
〔5ラウンド確変大当り時〕
図19中(C):一方、5ラウンド確変大当りに該当した場合、その1ラウンドごとに開閉動作が1回ずつ行われ、その間に短いインターバル時間Itを挟んで5回分の開閉動作が連続して行われる。これにより、やはり合計して5回分の開閉動作が行われることが分かる。また、1ラウンド目の開始から5ラウンド目の終了までの間、上記の遊技状態表示装置38において、5ラウンドを表す大当り種別表示ランプ38bが点灯している(連続作動回数表示手段)。そして5ラウンドが終了した後、主制御CPU72による制御上で確率変動機能が作動を開始し、内部的な遊技状態が「高確率状態」に移行する。
〔5ラウンド通常大当り時〕
図19中(D):5ラウンド通常大当りに該当した場合もまた、その1ラウンドごとに開閉動作が1回ずつ行われ、間に短いインターバル時間Itを挟んで5回分の開閉動作が連続して行われる。これにより、同じく合計して5回分の開閉動作が行われることが分かる。また、1ラウンド目の開始から5ラウンド目の終了までの間、上記の遊技状態表示装置38において、5ラウンドを表すランプ38bが点灯している(連続作動回数表示手段)。ただし「5ラウンド通常大当り」の場合、5ラウンドが終了した後も確率変動機能は作動せず、内部的な遊技状態は「高確率状態」に移行しない。
〔小当り時〕
図19中(E):小当りに該当した場合、上記のように5回の開閉動作が繰り返し実行されるが、その間、特に遊技状態表示装置38においてランプ38a,38bが点灯することはない(非点灯)。また小当りについては、上記のように確率変動機能が作動するための契機とならない。
〔各種挙動のまとめ〕
以上のように、見かけ上の可変入賞装置30の挙動を比較しても、「2ラウンド通常大当り」、「2ラウンド確変大当り」、「5ラウンド通常大当り」及び「5ラウンド確変大当り」は皆ほとんど同じであるし、これに加えて「小当り」も挙動がほとんど同じである。このように本実施形態では、パチンコ機1の表面的な挙動から「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」のいずれに該当したか、さらにこれらの「大当り」と「小当り」のいずれに該当したかを遊技者が判別することを困難にすることで、その後の内部状態が「高確率状態」に移行したことへの期待度に変化をもたせている。
ただし本実施形態では、遊技状態表示装置38によって少なくとも「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」のいずれであるかを明確に識別可能に表示しているため、可変入賞装置30が合計5回の開閉動作を行った場合、その間にランプ38a,38bのいずれが点灯したかによってその後の「高確率状態」への期待度に違いが生じてくる。以下、この点について説明する。
〔ラウンドごとの期待度〕
本実施形態では、「2ラウンド大当り」の場合と「5ラウンド大当り」の場合とで、それぞれの確変比率を異ならせている。具体的には、大当り時停止図柄決定処理(図10中のステップS2410)において、大当り時特別図柄判定データテーブル上で「2ラウンド大当り図柄」の全体に占める「2ラウンド確変図柄」の選択比率(例えば50%とする)と、「5ラウンド大当り」の全体に占める「5ラウンド確変図柄」の選択比率(例えば80%とする)とが異なっている(選択比率設定手段)。その結果、例えば2ラウンドのランプ38aが点灯した場合に得られる確変期待度よりも、5ラウンドのランプ38bが点灯した場合に得られる確変期待度を高く設定したり、あるいはその逆を設定したりすることができる。
〔射幸性の抑制に対する寄与〕
また本実施形態では、連続作動回数としてのラウンド数が最小である「2ラウンド大当りと、最大である「15ラウンド」の他に、その中間的な「5ラウンド大当り」を設けることで、パチンコ機1の射幸性の抑制に寄与している。
すなわち一般的に、この種のパチンコ機における射幸性は、(1)内部抽選の当選確率から求まる平均確率(第1変数)、(2)平均ラウンド数(第2変数)、(3)1ラウンド中の最大入賞回数(第3変数)、(4)大入賞口への入賞時の賞球数(第4変数)、等の諸変数に基づいて評価することができる。これら全ての変数を掛け合わせた値が基準値(例えば12)を超えない範囲内で設定されていれば、そのパチンコ機の射幸性は過度に高くない程度に抑制されているものと評価することができる。
このとき、本実施形態では特に当選時のラウンド数として「2ラウンド」、「5ラウンド」及び「15ラウンド」の3通りを設けた上で、「2ラウンド」と「5ラウンド」については大当り時の可変入賞装置30の開閉パターンを同一に設定しているので、遊技者の見た目上はあたかも「5ラウンド」と「15ラウンド」の2通りしかないような動作を行いつつ、実際にラウンド数が「5ラウンド」と「15ラウンド」の2通りしか設けられていない場合よりも上記(2)の平均ラウンド数を低く抑えることができるというメリットがある。以下、これについて例を挙げて検証する。
〔ラウンド数が2通りの場合〕
例えば、平均ラウンド数をそれぞれの当選振分率で重み付けした平均として求めた場合を考える。実際にラウンド数が「5ラウンド」と「15ラウンド」の2通りし設けられておらず、それぞれの当選振分率が例えば40%,60%であるとすると、この場合の平均ラウンド数は11.0(=5×0.40+15×0.60)となる。
〔ラウンド数が3通りの場合〕
これに対し、本実施形態のように遊技者の見た目上では「5ラウンド」と「15ラウンド」の2つの大当りがあるように動作しつつ、内部的に「2ラウンド」、「15ラウンド」及び「15ラウンド」の3通りを設け、それぞれの当選振分率を「2ラウンド」が20%、「5ラウンド」が20%、「15ラウンド大当り」が60%であるとすると、この場合の平均ラウンド数は10.4(=2×0.20+5×0.20+15×0.60)となる。したがって、遊技者の見た目上でパチンコ機1として同じ動作を示すにもかかわらず、本実施形態の手法を採用した場合、射幸性の評価に関わる変数(ここでは平均ラウンド数=第2変数)を低く抑えることができる。これにより、その他の変数(第1,第3,第4変数)が同じであったとしても、全体として射幸性の評価においてその指標となる値を低く抑えることができ、それだけ射幸性の抑制に寄与することができる。
〔その他のパターンを用いた検証〕
以上の説明で本実施形態の有用性は既に明らかとなっているが、さらにいくつかの検証例を挙げて説明し、発明の理解をさらに深めるものとする。
〔検証例1〕
図20は、従来の考え方を用いた当選振分率と、本実施形態の手法を用いた当選振分率とを対比した検証例1の当選振分表である。図20中(A)は、従来の考え方に基づき「5ラウンド」と「15ラウンド」の2通りだけを設けた場合の当選振分率を示す。また図20中(B)は、本実施形態の手法を用いて「2ラウンド」、「5ラウンド」及び「15ラウンド」の3通りを設けた場合の当選振分率を示している。なお振分率は、第1及び第2特別図柄ごとに設定されているものとする。また図中「R」とあるのは、「ラウンド」の略記である。
〔従来手法〕
図20中(A):ここでは、ラウンド数を「5ラウンド」と「15ラウンド」の2通りに設定し、全体の確変比率を61%としたとき、その中で「15ラウンド確変」、「5ラウンド確変」及び「5ラウンド確変(5回短縮開放)」を設けている。このうち「15ラウンド確変」と「5ラウンド確変」は、いずれも1ラウンド中に最大30秒間の可変入賞装置30の開放動作を行うものであり、実際に各ラウンド数に応じた出玉を獲得できる大当りである。一方、「5ラウンド確変(5回短縮開放)」は、上記のように短時間の開放動作を5回繰り返すものであり、実質的に出玉を獲得することが困難な大当りである。
〔本実施形態の手法〕
図20中(B):従来手法と同様に全体の確変比率を61%とした上で、ここではラウンド数を「2ラウンド」、「5ラウンド」及び「15ラウンド」の3通りに設定することで、「15ラウンド確変」、「5ラウンド確変」、「5ラウンド確変(5回短縮開放)」に加えて、「2ラウンド確変(5回短縮開放)」を設けている。従来手法と対比すると、「15ラウンド確変」と「5ラウンド確変」に図柄別で振分率の違いはないが、「2ラウンド確変(5回短縮開放)」が加わった分、いずれの図柄についても相対的に「5ラウンド確変(5回短縮開放)」の振分率が減少している。ただし、遊技者の見た目上で「2ラウンド確変(5回短縮開放)」と「5ラウンド確変(5回短縮開放)」は同じ動作であるため、実際に遊技を行う上で「5回短縮開放」という大当りの出現率は従来手法と同じであることが分かる。なお、ここでは説明の便宜のため「2ラウンド通常」という当選種類は設けないこととしている。
〔平均ラウンド数の違い〕
その上で平均ラウンド数を求めると、従来手法では平均ラウンド数が12.50(=5×0.25+15×0.75)であるのに対し、本実施形態の手法では平均ラウンド数は12.35(=2×0.05+5×0.20+15×0.75)となり、それだけ値が小さく抑えられていることが分かる。
〔全体評価〕
これを用いて、その他の変数と合わせて射幸性の評価を行う。なお、その他の変数は従来手法と本実施形態とで共通である。すなわち、内部抽選の当選確率から求まる平均確率(第1変数)は、低確率時の値(例えば256分の1とする)と高確率時の値(例えば25.6分の1とする)及び確変比率(61%)から求めることができる。例えば、パチンコ遊技機の技術分野において一般に用いられる公式から求めると、平均確率は0.008230となる。また1ラウンド中の最大入賞回数(第3変数)は、上記のように例えば9(個)である。そして、大入賞口への入賞時の賞球数(第4変数)は13(個)であるとする。
従来手法の場合、全ての変数を掛け合わせた値は12.03619939(=0.008230×12.50×9×13)となり、上記の基準値(=12)を超えてしまう。これに対し、本実施形態の手法では全ての変数を掛け合わせた値が11.89176499(=0.008230×12.35×9×13)となり、基準値の範囲内に抑えられていることが分かる。
〔検証例2〕
次に図21は、同じく従来の考え方を用いた当選振分率と、本実施形態の手法を用いた当選振分率とを対比した検証例2の当選振分表である。なお、この検証例2では全ての大当りを「5ラウンド」のみとしている。
〔従来手法〕
図21中(A):ここでは、全ての大当りについてラウンド数を「5ラウンド」の1通りに設定した上で、全体の確変比率を80%とし、その中で「5ラウンド確変」及び「5ラウンド確変(5回短縮開放)」を設けている。このうち「5ラウンド確変」は、上記のように1ラウンド中に最大30秒間の可変入賞装置30の開放動作を行うものであり、実際に5ラウンド分の出玉を獲得できる大当りである。一方、「5ラウンド確変(5回短縮開放)」は、上記のように短時間の開放動作を5回繰り返すものであり、実質的に出玉を獲得することが困難な大当りである。
〔本実施形態の手法〕
図21中(B):従来手法と同様に全体の確変比率を80%とした上で、ラウンド数を「2ラウンド」と「5ラウンド」の2通りに設定し、「5ラウンド確変」と「5ラウンド確変(5回短縮開放)」に加えて、「2ラウンド確変(5回短縮開放)」を設けている。これを従来手法と対比すると、「2ラウンド確変(5回短縮開放)」が加わった分、相対的に「5ラウンド確変(5回短縮開放)」の振分率が減少している。ただし、遊技者の見た目上で「2ラウンド確変(5回短縮開放)」と「5ラウンド確変(5回短縮開放)」は同じ動作であるため、実際に遊技を行う上で「5回短縮開放」という大当りの出現率は従来手法と同じ(第1特別図柄で65%、第2特別図柄で30%)であることが分かる。
〔平均ラウンド数の違い〕
その上で平均ラウンド数を求めると、従来手法では平均ラウンド数が5.00(=5×1.00)であるのに対し、本実施形態の手法では平均ラウンド数は4.10(=5×0.70+2×0.30)となり、それだけ値が小さく抑えられていることが分かる。
〔全体評価〕
検証例2について、低確率時の当選確率が例えば99.902分の1であり、高確率時の当選確率が例えば9.9902分の1であるとすると、平均確率(第1変数)は0.031361となる。また1ラウンド中の最大入賞回数(第3変数)は例えば9(個)とし、大入賞口への入賞時の賞球数(第4変数)は10(個)であるとする。
従来手法の場合、全ての変数を掛け合わせた値は14.11256(=0.0031361×5.00×9×10)となり、上記の基準値(=12)を超えてしまう。これに対し、本実施形態の手法では全ての変数を掛け合わせた値が11.57230(=0.0031361×4.10×9×10)となり、基準値の範囲内に抑えられていることが分かる。これは、従来手法の「5ラウンド確変(5回短縮開放)」を、本実施形態の手法により遊技者の見た目上では同じ「5ラウンド確変(5回短縮開放)」と「2ラウンド確変(5回短縮開放)」の2通りに振り分けたことによる利点であり、本実施形態の手法が射幸性の評価において特に大きな優位性を発揮することが分かる。
〔特別図柄を2つ用いた場合の有用性〕
さらに本実施形態では、第1特別図柄及び第2特別図柄の2つを用いることで、以下の有用性をもたらす。例えば、上記の検証例1(図20中(B))の場合、確変大当りの中で、同じ「5ラウンド確変(5回短縮開放)」の振分率を第1特別図柄については10%としているが、第2特別図柄では振分率を0%に設定し、その分、「5ラウンド確変」の振分率を15%に増やすことで、実際に出玉が獲得できる大当りの出現率を第1特別図柄よりも高く設定している。たとえ第2特別図柄について「5ラウンド確変(5回短縮開放)」の振分率を0%に設定しても、「2ラウンド確変(5回短縮開放)」の振分率が依然として30%に設定されているので、遊技者の見た目上で「突発的な確率変動状態への移行を演出するため5回の開閉動作を行う」という遊技性を損なうことなく、第2特別図柄で大当りした場合の出玉率を高めることができる。
同様に検証例2(図21中(B))の場合、確変大当りの中で、同じ「5ラウンド確変(5回短縮開放)」の振分率を第1特別図柄については35%としているが、第2特別図柄では振分率を0%に設定し、その分、「5ラウンド確変(出玉あり)」の振分率を50%にまで増やしている。このような設定を採用することにより、同じく遊技者の見た目上で「突発的な確率変動状態への移行を演出するため5回の開閉動作を行う」という遊技性を損なうことなく、遊技者にとっては第1特別図柄(上始動入賞口26への入賞時)で当選するよりも、第2特別図柄(下始動入賞口28aへの入賞時)で当選した方が出玉的に有利になるという遊技性をより強調することができる。
以上のように本実施形態では、異なるラウンド数で大当りしたときの可変入賞装置30の開閉動作を同じパターンに設定にすることにより、その挙動から遊技者の見た目上で何ラウンドの大当りを引いたのかを判別しにくくする一方で、点灯したランプ38a,38bからラウンド数を判別できた遊技者には、そのときのラウンド数(2ラウンド又は5ラウンド)ごとに確変期待度の違いを設けることができる。加えて本実施形態では、当選時のラウンド数によって期待度に違いが生じてくることを演出的に表現し、ランプ38a,38bの点灯表示とは別に期待度を推測するための材料を遊技者に提供している。以下、本実施形態における演出手法について説明する。
〔演出手法の例〕
図22は、演出図柄と背景画像を用いた演出例を示す連続図である。この演出例は、演出図柄を用いた変動表示演出と結果表示演出の一例を表している。このうち変動表示演出は、特別図柄が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また結果表示演出は、特別図柄が停止表示したことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。上記のように、第1及び第2特別図柄そのものは7セグメントLED(第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35)による点灯・点滅表示であるため、それだけでは見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、基本的に演出図柄を用いた変動表示演出と結果表示演出が行われている。
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される。各演出図柄は、例えば数字の「1」〜「9」とともに、女性キャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。このうち左演出図柄と中演出図柄については、いずれも数字が「1」〜「9」の昇順に並んだ図柄列を構成しており、右演出図柄については、数字が「9」〜「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動表示演出と結果表示演出の基本的な流れについて説明する。
〔変動表示演出開始〕
図22中(i):特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が表示されている。図22中(i)に示される例は、「海辺の風景」を表した背景画像であり、本実施形態ではこれを例えば「通常モード画像」とする。なお特に図示していないが、この後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
〔左図柄停止〕
図22中(ii):例えば、ある程度の時間が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に数字の「6」を表す演出図柄が停止したことを表している。なお、ここでは背景画像の図示を省略している(これ以降も同様)。
〔右演出図柄停止〕
図22中(iii):左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に数字の「7」を表す演出図柄が停止したことを表している。この時点で既にリーチ状態が発生しないことは確定しているので、今回の変動(内部抽選の結果)は非当選であったことがほとんど明らかとなっている。
〔結果表示演出〕
図22中(iv):特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。このとき、特別図柄がはずれ図柄で停止表示されていれば、演出図柄も同様にはずれの態様で結果表示演出が行われる。図示の例では、画面の中段位置に数字の「3」を表す演出図柄が停止したことを表している。この場合、演出図柄の組み合わせは「6−3−7」のはずれ目であるため、今回の変動は「はずれ」になったことが演出的に表現されている。なお、ここでは非当選の場合を例に挙げているが、内部抽選の結果が上記の「15ラウンド大当り」であれば、リーチ演出を経て左・中・右の演出図柄が同種の組み合わせ(例えば「7」−「7」−「7」)で構成される大当りの態様で停止表示される。
以上の演出例は、非当選時に行われる変動表示演出と結果表示演出の基本的な流れを示したものである。ここでは図示していないが、非当選時に特別図柄の変動パターンとして「はずれリーチ変動」が指定されていた場合、以下のように変動表示演出の中ではずれリーチ演出が実行される。
〔リーチ演出〕
リーチ演出は、例えば表示画面内で同種の演出図柄(例えば数字の「5」の図柄)が先に2つまで揃って停止することで、リーチ状態が発生する。具体的には、左演出図柄と右演出図柄の停止時に、例えば表示画面の中段位置にそれぞれ同種の演出図柄が停止してリーチ状態を発生させる。なお、このとき中演出図柄は変動中である。一般に、演出上で同種の演出図柄が3つ揃って停止すると上記のように「大当り」であり、リーチ状態中は「大当り」まで残りあと中演出図柄の1つだけである。このとき、表示画面内に「リーチ!」等の文字情報を表示し、合わせて音声を出力する演出が行われる態様であってもよい。
そして、リーチ状態の発生後は、最後の演出図柄(中演出図柄)が停止表示されるまでの過程が多様な内容で表現される。例えば、シンプルな態様として中演出図柄のスクロールがそれまでよりもゆっくりとしたものに変化し、その過程で「表示画面の中段位置に数字の「5」が停止するかどうか」という期待感を持続させる演出が実行される。その他、リーチ演出については公知のものを適用できるため、ここでは図示とともにその説明を省略する。
〔2ラウンド大当り時又は5ラウンド大当り時の演出例〕
次に、内部抽選の結果が非当選以外であって、「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」のいずれかの当選種類が選択された場合の演出例について説明する。
図23は、「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」のいずれか該当時の演出例を示す連続図である。以下、演出の流れについて順を追って説明する。
〔変動表示演出〕
図23中(A):ここでも同様に、特別図柄の変動開始に同期して、演出図柄を用いた変動表示演出が行われる。なお、この後に左演出図柄、右演出図柄、中演出図柄の順で演出図柄のスクロールが停止し、結果表示演出が実行される流れは上記と同様である。
〔結果表示演出〕
図23中(B):結果表示演出として、例えば表示画面の中段位置に数字の「3」−「5」−「7」を表す演出図柄の組み合わせが表示される。本実施形態では、このような奇数図柄を順に並べた組み合わせを、例えば「チャンス当選目」と称する。なお、「チャンス当選目」はこれ以外の組み合わせであってもよい。また特に図示していないが、このとき特別図柄は「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」のいずれかの態様で停止表示されている。
〔モード移行演出開始〕
図23中(C):結果表示演出で上記の「チャンス当選目」が表示されると、次に表示画面の左右から扉(障子又は襖)の画像が画面の中央に向かって素早く移動していく演出(扉閉演出)が実行される。なお扉の画像は、表示画面上で演出図柄を覆い隠す位置(前面のレイヤ)に表示される。
〔扉閉演出〕
図23中(D):上記の扉の画像が表示画面の中央位置で突き合わせとなり、扉が完全に閉じてしまった様子が演出的に表現されている。このような扉閉演出は、例えば「扉が開くとモード移行が行われる」ということを遊技者に予告する意味で行われる。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、扉閉演出は例えば特別図柄停止表示中処理(図9中のステップS4000)の間に実行されることが望ましい。
〔扉閉演出の意義〕
以上の「扉閉演出」は、内部抽選で「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」のいずれかに該当した場合に共通して実行されるものである。したがって、「扉閉演出」が発生すると、その段階で「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」に該当したことを遊技者に対して訴求することができる。
一方、「チャンス当選目」に続いて「扉閉演出」が発生した後に演出上で移行するモードは、具体的に「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」のいずれに該当するかによって複数(例えばAモード又はBモード)の中から抽選で振り分けられる。以下、この後に振り分けられる演出上のモードの例について説明する。
〔Aモード移行時〕
図24は、振り分けで「Aモード」が選択された場合に実行されるモード移行演出の例を示す連続図である。以下、演出の流れについて順を追って説明する。
〔煽り演出〕
図24中(E):図23中(D)に示される「扉閉演出」に続き、表示画面内では閉じた扉をがたがたと震わせるような挙動を表す演出が行われる。このような演出は、「これからまさに扉が開かれようとしている」ことを遊技者に訴求する意味で行われる。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、この煽り演出は、例えば可変入賞装置管理処理の中で実行される1回目〜4回目までの大入賞口開閉動作処理(図13中のステップS5300)の間に実行されることが望ましい。
〔扉開演出〕
図24中(F):次に、閉じていた扉が表示画面の左右に素早く移動して、扉が大きく開かれる動作を表す演出(扉開演出)が行われる。このような扉開演出は、例えば遊技者に対して、扉が開いた先の結果に何らかの期待をさせる意味で行われる。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、扉開演出は例えば可変入賞装置管理処理の中で実行される5回目の大入賞口開閉動作処理(図13中のステップS5300)に同期して実行される。
〔Aモード移行演出〕
図24中(G):扉が開かれた段階で、背景画像として例えば「浴衣モード突入!!」の文字情報とともに表示画面の中央に浴衣を着こなした別の女性キャラクターの画像が表示される。このような背景画像は、上記の「通常モード画像」とは異なるものであり、演出上で異なるモードに変化したことを遊技者に対して視覚的に訴求させることができる。本実施形態では、この背景画像を上記の「Aモード」に対応した「Aモード画像」とする。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、「Aモード画像」を表示する演出は、例えば可変入賞装置管理処理中の終了処理(図13中のステップS5500)が実行されている間に実行される。
〔Aモード演出〕
図24中(H):そして、「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」の終了後、特別図柄の変動表示に同期して上記の変動表示演出が再開される。このときの背景画像は「Aモード画像」であり、これにより扉の開閉動作を経て、演出上で「通常モード」から「Aモード」に移行したことが遊技者に知らされる。また表示画面の下部に例えば「浴衣モード中」の文字情報が横方向にスクロールする様子が表示され、現在のモードが「浴衣モード」であることが視覚的に訴求されている。
〔Bモード移行時〕
次に図25は、振り分けで「Bモード」が選択された場合に実行されるモード移行演出の例を示す連続図である。以下、演出の流れについて順を追って説明する。
〔煽り演出〕
図25中(I):図23中(D)に示される「扉閉演出」に続き、表示画面内では閉じた扉をがたがたと震わせるような挙動を表す演出が行われる。なお、このときの煽り演出は図24中(E)に示される演出例と共通である。
〔扉開演出〕
図25中(J):次に、閉じていた扉が表示画面の左右に素早く移動して、扉が大きく開かれる動作を表す演出(扉開演出)が行われる。なお、ここでの扉開演出もまた図24中(F)に示される演出例と共通である。
〔Bモード移行演出〕
図25中(K):Bモード移行の場合、扉が開かれた段階で、背景画像として例えば「花火モード」の文字情報とともに、背景画像が「花火を打ち上げる夜空」に変化し、表示画面の左側に夜空を見上げる別の女性キャラクターの画像が表示される。このときの背景画像は、上記の「通常モード画像」や「Aモード画像」とは異なるものである。これにより、演出上で異なるモードに移行したことを遊技者に対して視覚的に訴求させることができる。本実施形態では、この背景画像を上記の「Bモード」に対応した「Bモード画像」とする。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、「Bモード画像」を表示する演出は、例えば可変入賞装置管理処理中の終了処理(図13中のステップS5500)が実行されている間に実行される。
〔Bモード演出〕
図25中(L):そして、「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」の終了後、特別図柄の変動表示に同期して上記の変動表示演出が再開される。このときの背景画像は「Bモード画像」であり、これにより扉の開閉動作を経て、演出上で「通常モード」から「Bモード」に移行したことが遊技者に知らされる。また表示画面の下部に例えば「花火モード」の文字情報が定位置で表示され、現在のモードが「花火モード」であることが視覚的に訴求されている。
〔大当り種別と演出モードの振分率〕
図26は、2ラウンド又は5ラウンドの大当り種別とAモード、Bモードの振分率との関係を一覧にして示す図である。
〔全体振分率〕
図26中に示される「全体振分率」は、15ラウンドを除いた「2ラウンド確変」、「2ラウンド通常」、「5ラウンド確変」及び「5ラウンド通常」の全ての大当り種別の中で各当選種類が選択される比率を示している。この例では、「5ラウンド確変」の全体振分率が40%と最も高く、次に「2ラウンド確変」と「2ラウンド通常」の全体振分率がそれぞれ25%で同じであり、そして「5ラウンド通常」の全体振分率が10%と最も低く設定されている。
〔全体振分率に占めるモードごとの振分率〕
次に、図26中に示される「全体振分率に占めるAモード振分率」は、大当り種別ごとの全体振分率の中で「Aモード移行演出」が選択される比率を示し、また「全体振分率に占めるBモード振分率」は、大当り種別ごとの全体振分率の中で「Bモード移行演出」が選択される比率を示している。例えば、「2ラウンド確変」の全体振分率は25%であるが、そのときの演出として「Aモード移行演出」が選択される比率が全体の中で10%であるとすると、「Bモード移行演出」が選択される比率は全体の中で15%となる。その他の大当り種別についても同様に、「2ラウンド通常」の全体振分率は25%であり、そのときの演出として「Aモード移行演出」が選択される比率が全体の中の10%であり、「Bモード移行演出」が選択される比率は全体の中の15%である。また「5ラウンド確変」の全体振分率は40%であり、そのときの演出として「Aモード移行演出」が選択される比率が全体の中の30%であり、「Bモード移行演出」が選択される比率は全体の中の10%である。一方、「5ラウンド通常」の場合、その全体振分率は10%であるが、そのときの演出として「Aモード移行演出」が選択される比率も全体の中の10%であるため、「Bモード移行演出」が選択される比率は全体の中の0%となっている。
〔モード内振分率〕
その結果、演出上で「Aモード移行演出」が選択された場合、その中で「2ラウンド確変」の大当り種別が選択されている比率は15.4%となり、この値が「2ラウンド確変」についての「Aモード内振分率」を表す。以下、「Aモード内振分率」は「2ラウンド通常」が23.1%、「5ラウンド確変」が46.2%、そして「5ラウンド通常」が15.4%であるから、演出上で「Aモード移行演出」が選択された場合、そのとき大当り種別として「5ラウンド確変」が選択されている確率が最も高いことが分かる。
「Bモード内振分率」についても同様に、「2ラウンド確変」が42.9%と最も高く、次に「2ラウンド通常」と「5ラウンド確変」がそれぞれ28.6%、そして「5ラウンド通常」が0.0%であるから、演出上で「Bモード移行演出」が選択された場合、そのとき大当り種別として「2ラウンド確変」が選択されている確率が最も高く、逆にそのとき「5ラウンド通常」が選択されることはない(「5ラウンド通常以外」が確定)ということが分かる。
〔モード別確変期待度〕
以上のような振分率の設定を根拠に、2ラウンド大当りの表示ランプ38aが点灯した場合と5ラウンド大当りの表示ランプ38bが点灯した場合について、演出上のモードからそれぞれの場合の確変期待度を求めることができる。
すなわち図27は、点灯した表示ランプ別にモードごとの確変期待度を一覧にして示した図である。上記のように可変入賞装置30が合計5回にわたり開閉動作する挙動を示した場合、2ラウンド大当りの表示ランプ38aが点灯し、演出上でAモードに移行した場合の確変期待度は40%である。これは、図27中に計算式が示されているように、Aモードのときの「2ラウンド大当り」全体の振分率が25%(=10%+15%)であって、その中でAモードのときの「2ラウンド確変」の振分率が10%だからである。以下同様にして、2ラウンド大当りの表示ランプ38aが点灯し、演出上でBモードに移行した場合の確変期待度は60%である。一方、5ラウンド大当りの表示ランプ38bが点灯し、演出上でAモードに移行した場合の確変期待度は75%にまで跳ね上がり、そして5ラウンド大当りの表示ランプ38bが点灯し、演出上でBモードに移行した場合の確変期待度は100%となる(確変確定)。
〔モード別振分率及び確変期待度〕
図28は、モード別にみた全体振分率と全体の確変期待度を一覧にして示した図である。すなわち、演出上のモードだけで見た場合、可変入賞装置30が合計5回にわたり開閉動作する挙動を示した後でAモードに移行する割合は全体で65%と高く、その場合の確変期待度は61.5%である。また、Bモードに移行する割合は全体で35%と低いものの、その場合の確変期待度は71.4%に跳ね上がる。これらの結果から、たとえ遊技者が可変入賞装置30の挙動や表示ランプ38a,38bの点灯を見逃したとしても、とにかくモード移行演出が発生した時点で少なくとも61.5%の期待度が得られるということが分かる。
また、AモードよりもBモードの方が確変期待度の高い分類に区分されており、そのためAモード移行演出よりもBモード移行演出が実行された方が遊技者に与える期待度は高くなることが分かる。なお、可変入賞装置30の挙動や表示ランプ38a,38bの点灯は比較的見逃されやすいが、演出上のモード移行は遊技者に対する訴求力が高いため、モード移行演出によって確変期待度を遊技者に再認識させるという効果は充分に達成することができる。
〔演出制御処理〕
次に、以上の演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。
図29は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば、数ミリ秒周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、図柄停止時コマンド、確変昇格演出コマンド、状態指定コマンド、ラウンド数コマンド、エラー通知コマンド等がある。
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や結果表示演出の内容を制御したり、可変入賞装置30の開閉動作時の演出の内容を制御したりする。なお、演出図柄管理処理の内容については別の図面を参照しながらさらに後述する。
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、変動演出パターン番号、予告演出番号、モード番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する(各種の演出実行手段としての機能を果たす。)。
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば変動表示演出中やリーチ演出中、モード移行演出中、大当り演出中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,56から演出内容に応じた音が出力される。
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数やモード移行抽選に用いられる乱数等がある。
ステップS412:その他の処理では、例えば演出用に可動体がある場合、演出制御CPU126は可動体の駆動用ICに対して制御信号を出力する。特に図示していないが、可動体は例えばソレノイドやステッピングモータ等の駆動源によって動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行うものである。これらソレノイドやステッピングモータ等の駆動源は、例えば図4中のパネル電飾基板138に接続することができる。
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU126はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる。次に、演出制御処理の中で実行される演出図柄管理処理の内容について説明する。
〔演出図柄管理処理〕
図30は、演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。演出図柄管理処理は、実行選択処理(ステップS500)、演出図柄変動前処理(ステップS502)、演出図柄変動中処理(ステップS504)、演出図柄停止表示中処理(ステップS506)及び可変入賞装置作動時処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出図柄管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ変動表示演出を開始していない状況であれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動前処理(ステップS502)を選択する。一方、既に演出図柄変動前処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動中処理(ステップS504)を選択し、演出図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として演出図柄停止表示中処理(ステップS506)を選択する。また可変入賞装置作動時処理(ステップS508)は、主制御CPU72において可変入賞装置管理処理(図9中のステップS5000)が選択された場合にのみジャンプ先として選択される。この場合、ステップS502〜ステップS506は実行されない。
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。その他にも演出制御CPU126は、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS504:演出図柄変動中処理では、演出制御CPU126は必要に応じて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に指示する制御情報を生成する。例えば、演出図柄を用いた変動表示演出を実行中に演出ボタン(図1,図4には示されていない)を用いた演出を行う場合、遊技者による演出ボタンの操作の有無を演出制御CPU126が監視するとともに、その結果に応じた演出内容(ボタン演出)の制御情報を表示制御CPU146に対して指示する。
ステップS506:演出図柄停止表示中処理では、演出制御CPU126は抽選結果に応じた態様で演出図柄や動画像を用いた結果表示演出の内容を制御する。すなわち、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して変動表示演出の終了と結果表示演出の実行を指示する。これを受けて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)は、実際に液晶表示器42の表示画面内でそれまで実行していた変動表示演出を終了させ、結果表示演出を実行する。これにより、特別図柄の停止表示に略同期して結果表示演出が実行され、遊技者に対して内部抽選の結果を演出的に教示(開示、告知、報知等)することができる(図柄演出実行手段)。
ステップS508:可変入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は小当り中又は大当り中の演出内容を制御する。例えば15ラウンドの大当りの場合、演出制御CPU126は液晶表示器42に表示する演出内容として15ラウンド大当り中に専用の演出パターンを選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。また演出制御CPU126は、15ラウンド大当り中の遊技の進行状況(例えば、ラウンドの進行状況)に合わせて演出パターンを選択すると、これらを適宜、演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。これにより、液晶表示器42の表示画面では15ラウンド大当り中に専用の演出画像が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
あるいは、「2ラウンド大当り」、「5ラウンド大当り」又は「小当り」に該当していた場合、演出制御CPU126は上記の扉開閉動作を含む「モード移行演出」を実行させる制御を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
〔演出図柄変動前処理〕
図31は、上記の演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS600:演出制御CPU126は、主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、デモ演出用コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、デモ演出用コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS602を実行する。
ステップS602:演出制御CPU126は、デモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理の末尾のアドレスに復帰する。そして演出制御CPU126はそのまま演出制御処理に復帰し、続く表示出力処理(図29中のステップS404)、ランプ駆動処理(図29中のステップS406)においてデモ演出パターンに基づいてデモ演出の内容を制御する。
一方、ステップS600においてデモ演出用コマンドが保存されていないことを確認すると(No)、演出制御CPU126は次にステップS604を実行する。
ステップS604:演出制御CPU126は、今回の変動がはずれ(非当選)であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、非当選時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS612を実行する。逆に、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はステップS606を実行する。なお、今回の変動がはずれか否かの確認は、抽選結果コマンドの他に変動パターンコマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドがはずれ通常変動又ははずれリーチ変動に該当していれば、今回の変動がはずれであると判定することができる。
ステップS606:抽選結果コマンドが非当選(はずれ)以外であれば(ステップS604:No)、次に演出制御CPU126は、今回の変動が大当たりであるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、大当り時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS610を実行する。逆に、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、残るは小当り時の抽選結果コマンドだけであるので、この場合、演出制御CPU126はステップS608を実行する。なお、今回の変動が大当たりであるか否かの確認もまた、変動パターンコマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドが大当り変動に該当していれば、今回の変動が大当りであると判定することができる。
ステップS608:演出制御CPU126は、小当り時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「C0H00H」〜「D0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。演出パターン番号は、変動パターンコマンドと対になって予め用意されており、演出制御CPU126は図示しない演出パターン選択テーブルを参照して、そのときの変動パターンコマンドに対応した演出パターン番号を選択することができる。
また演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチの種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様等を決定する。なお、ここで決定される演出図柄の種類は、上記の「チャンス当選目」に対応したものであり、全て「小当り時の図柄の組み合わせ」に該当するものとなっている。
以上の手順は「小当り」に該当した場合であるが、「大当り」に該当した場合(15ラウンド以外の大当りの場合も含む)、演出制御CPU126はステップS606で「大当り」であることを確認する(Yes)。この場合、演出制御CPU126はステップS610を実行する。
ステップS610:演出制御CPU126は、大当り時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「E0H00H」〜「F0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。ここで決定される演出図柄の種類は、上記の「大当りの組み合わせ」を構成するものの他に「チャンス当選目」を構成するものも含まれる。なお、大当り時演出パターン選択処理の中では、さらに大当り時停止図柄別に処理を分岐させてもよい。
また、非当選時の場合は以下の手順が実行される。すなわち、演出制御CPU126はステップS604ではずれであることを確認すると(Yes)、次にステップS612を実行する。
ステップS612:演出制御CPU126は、はずれ時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「A0H00H」〜「A6H7FH」)に基づいて、はずれ時の演出パターン番号を決定する。はずれ時の演出パターン番号は、「はずれ通常変動」や「時短はずれ変動」、「はずれリーチ変動」等に分類されており、さらに「はずれリーチ変動」には細かいリーチ変動パターンが規定されている。なお、演出制御CPU126がいずれの演出パターン番号を選択するかは、主制御CPU72から送信された変動パターンコマンドによって決まる。
はずれ時の演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「7」−「2」−「8」等)を決定する。
以上のステップS608,ステップS610,ステップS612のいずれかの処理を実行すると、演出制御CPU126は次にステップS614を実行する。
ステップS614:演出制御CPU126は、予告選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は今回の変動表示演出中に実行するべき予告演出の内容を抽選によって選択する。予告演出の内容は、例えば内部抽選の結果(当選又は非当選)や現在の内部状態(通常状態、高確率状態、時間短縮状態)に基づいて決定される。予告演出は、変動表示演出中にリーチ状態が発生する可能性を遊技者に予告したり、最終的に大当りになる可能性があることを予告したりするものである。したがって、非当選時には予告演出の選択比率は低く設定されているが、当選時には遊技者の期待感を高めるため、予告演出の選択比率は比較的高く設定されている。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理(末尾アドレス)に復帰する。
〔可変入賞装置作動時処理:連続作動中演出実行手段〕
図32は、可変入賞装置作動時処理の手順例を示すフローチャートである。上記のように可変入賞装置作動時処理は、主制御CPU72において可変入賞装置管理処理(図9中のステップS5000)が選択された場合にのみジャンプ先として選択されるが、その場合でも当選種類が「小当り」又は「大当り」のいずれに該当するかによってさらに処理を分岐させるためのものである。
ステップS700:先ず演出制御CPU126は、現在の状態が大当り中であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、大当り中の状態指定コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、大当り中であることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS800を実行する。逆に、大当り中ではないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はステップS900を実行する。なおステップS800については、別のフローチャートを参照してさらに説明する。
〔大当り時演出選択処理:演出モード規定手段〕
図33は、上記の大当り時演出選択処理の手順例を示すフローチャートである。この大当り時演出選択処理は、可変入賞装置30の作動に伴う演出を実行するとともに、「2ラウンド確変大当り」、「2ラウンド通常大当り」、「5ラウンド確変大当り」又は「5ラウンド通常大当り」の場合、先に挙げた振分率に基づいてモード移行演出を発生させるためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS802:先ず演出制御CPU126は、今回の大当りが15ラウンド大当りであるか否かを確認する。この確認は、例えばRAM130のコマンドバッファ領域に保存されている停止図柄コマンドに基づいて行うことができる。すなわち、停止図柄コマンドが15ラウンド大当り図柄以外であった場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS804を実行する。
ステップS804:演出制御CPU126は、今回の大当りが2ラウンドの大当りであるか否かを確認する。この確認もまた、上記の停止図柄コマンドに基づいて行うことができる。その結果、今回の大当りが2ラウンド大当りであることを確認すると(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS806を実行する。
〔2ラウンド大当り時〕
ステップS806:演出制御CPU126は、2ラウンド時演出選択処理を実行する。この処理では、演出図柄を用いた結果表示演出(図23中(B))に続く演出として、演出制御CPU126は上記の扉閉演出(図23中(C),(D))からAモード移行演出(図24)又はBモード移行演出(図25)のいずれかを選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない2ラウンド用演出テーブルを参照し、そのときの演出用乱数値に基づいてAモード又はBモードの振り分け抽選を行う。
ステップS808:次に演出制御CPU126は、振り分け抽選の結果が「Aモード」であるか否かを確認する。その結果、「Aモード」が選択されたことを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS810を実行する。
ステップS810:演出制御CPU126は、モード移行演出の内容として上記の「Aモード」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「01H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから上記の「Aモード画像」に対応する背景画像データ番号を選択する。また演出制御CPU126は、「Aモード移行演出」で表示するべき扉の画像番号や各扉閉演出、煽り演出、扉開演出等のタイミングを指定した演出スケジュールを決定する。この演出スケジュールで指定されるスケジューラにより、可変入賞装置30の挙動と演出との同期をとることができる。
ステップS812:一方、先のステップS808で「Aモード」が選択されなかった(「Bモード」が選択された)ことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はモード移行演出の内容として「Bモード」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「03H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから「Bモード画像」に対応する背景画像データ番号を選択する。また演出制御CPU126は、「Bモード移行演出」で表示するべき扉の画像番号や各扉閉演出、煽り演出、扉開演出等のタイミングを指定した演出スケジュールを決定する。
以上は2ラウンド大当りの場合の手順例であるが、5ラウンド大当り時には以下の手順が実行される。
〔5ラウンド大当り時〕
ステップS814:先のステップS804で2ラウンド大当りでないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126は5ラウンド時演出選択処理を実行する。この処理でも同様に、演出制御CPU126は演出図柄を用いた結果表示演出(図23中(B))に続く演出として、上記の扉閉演出(図23中(C),(D))からAモード移行演出(図24)又はBモード移行演出(図25)のいずれかを選択する。ただしこの場合、演出制御CPU126は図示しない5ラウンド用演出テーブルを参照し、そのときの演出用乱数値に基づいてAモード又はBモードの振り分け抽選を行う。なお、2ラウンド用演出テーブルと5ラウンド用演出テーブルとでは、各モードの振分率が上記のように異なっている。
ステップS816:次に演出制御CPU126は、振り分け抽選の結果が「Aモード」であるか否かを確認する。そして、「Aモード」が選択されたことを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS818を実行する。
ステップS818:演出制御CPU126は、モード移行演出の内容として上記の「Aモード」を選択する。なお、この手順は先のステップS810と同様である。
ステップS820:一方、先のステップS816で「Aモード」が選択されなかった(「Bモード」が選択された)ことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はモード移行演出の内容として「Bモード」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「03H」を選択する。なお、この手順は先のステップS812と同様である。
以上が2ラウンド大当り又は5ラウンド大当りの場合の手順例であるが、15ラウンド大当り時には以下の手順が実行される。
〔15ラウンド大当り時〕
ステップS822:最初のステップS802で15ラウンド大当りであることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は15ラウンド時演出選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は15ラウンド大当り中の演出内容を選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、大当り時に表示される画像番号や表示タイミングを指定した演出スケジュールを決定する。
ステップS824:次に演出制御CPU126は、今回の15ラウンド大当りが特定図柄(確変図柄)に該当するか否かを確認する。この確認は、例えば上記の停止図柄コマンドに基づいて行うことができる。その結果、特定図柄(確変図柄)を表す停止図柄コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS826を実行する。
ステップS826:演出制御CPU126は、演出上のモードとして「時短モード」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「0AH」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから「時短モード」に対応する背景画像データ番号を選択する。特に図示していないが、「時短モード」に対応する背景画像は例えば「盆踊り会場」を表す画像である。
ステップS828:一方、先のステップS828で特定図柄を表す停止図柄コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は演出上のモードとして「確変モード」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「64H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから「確変モード」に対応する背景画像データ番号を選択する。特に図示していないが、「確変モード」に対応する背景画像は例えば「御輿」を表す画像である。
以上のステップS810,ステップS812,ステップS818,ステップS820,ステップS826,ステップS828のいずれかの手順を経てモードを選択すると、演出制御CPU126は可変入賞装置作動時処理に復帰する。
〔小当り時演出選択処理〕
特に図示していないが、小当り時演出選択処理(図32中のステップS900)については、例えば大当り時演出選択処理(図33)のステップS806,ステップS808,ステップS810,ステップS812と同様の手順とすることができる。これにより、小当り時の演出の内容を「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」の場合と共通の内容に設定することで、いわゆるフェイク演出としての効果を発揮することができる。
〔モード移行演出のまとめ〕
以上のように、特に「2ラウンド確変大当り」、「2ラウンド通常大当り」、「5ラウンド確変大当り」又は「5ラウンド通常大当り」のいずれか当選時には上記のモード移行演出を実行することで(モード移行演出実行手段)、いずれのモードに移行したかによって遊技者に与える期待感を変化させることができる。特に上記の制御例では、いずれの大当り種別(2ラウンド又は5ラウンド)についても「Aモード移行演出」、「Bモード移行演出」の内容が共通に選択されるため(共通演出内容設定手段)、演出の内容だけから直ちに大当り種別を遊技者が判別することは困難である。したがって、モード移行演出が発生した場合でも大当り種別の違いによる期待度の違い(例えば図27の例)を遊技者に想起させることで、その都度、期待度に変化を持たせることができる。
ただし、「Aモード」と「Bモード」とを比較すると、上記のように全体確変期待度(図27参照)は「Bモード」の方が高く設定されている(演出モード規定手段)。これは、演出上で確変状態に移行した可能性が高い区分のモードと低い区分のモードの両方を用意していることを意味しており、結果的に「2ラウンド大当り」又は「5ラウンド大当り」時に「Aモード移行演出」が発生した場合よりも、「Bモード移行演出」が発生した場合の期待度が高いことを意味している。したがって、実行する演出内容の違いによって遊技者にある程度の期待感のメリハリを持たせることができる。
〔その他の実施形態〕
上述した一実施形態では、ラウンド数が2回、5回、15回の大当りしか設けていないが、その他のラウンド数(例えば4ラウンド)の大当りを設けてもよい。この場合も同様に、ラウンド数ごとに確変の選択比率を異ならせることで、より多様な期待度の変化を設けることができる。
また一実施形態では、「2ラウンド」の大当りについて、その1ラウンド目の開閉動作パターンを3回に設定し、2ラウンド目の開閉パターンを3回に設定しているが、このような開閉動作パターンの設定は特に任意であり、適宜に変更してもよい。例えば、1ラウンド目の開閉動作パターンを2回に設定し、2ラウンド目の開閉動作パターンを3回に設定してもよいし、1ラウンド目の開閉動作パターンを1回だけに設定し、2ラウンド目の開閉動作パターンを4回に設定してもよい。
さらに、一実施形態では「2ラウンド」の大当りと「5ラウンド」の大当りについて同じ5回の開閉動作パターンを設定しているが、例えば「2ラウンド」の大当りと「3ラウンド」の大当りを同じ5回の開閉動作パターンに設定してもよい。また、「2ラウンド」の大当りと「5ラウンド」の大当りについて、これらを5回より多い同じラウンド数(例えば6回,7回)の開閉動作パターンに設定してもよい。
また、各種の演出例であげた画像はあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。一実施形態では演出用の扉の開閉動作を画像で表現しているが、扉形状の可動体を用いて扉の開閉動作を表現してもよい。その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。