以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、ガラス枠ユニット4、球皿ユニット6及び図示しない遊技機枠(プラ枠)を備えている。このうち外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。その他のガラス枠ユニット4や球皿ユニット6、図示しない遊技機枠は外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
遊技機枠の右側縁部には、その内側(裏側)に図示しない施錠ユニットが設けられており、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠ユニット2に対してガラス枠ユニット4及び遊技機枠が閉じた状態で、その施錠ユニットは施錠具とともにガラス枠ユニット4及び遊技機枠の開放を不能にしている。
球皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、施錠ユニットが作動して遊技機枠とともにガラス枠ユニット4及び球皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、パチンコ機1の裏側が露出することになる。パチンコ機1の裏側には、図示しない払出装置ユニットや発射装置ユニット等が設置されている他、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(制御コンピュータを含む)、接続端子等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図2)に基づいてさらに後述する。
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、遊技機枠は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠が外れ、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、球皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、球皿ユニット6を遊技機枠に対して前面側へ開放することができる。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後で図示しない遊技機枠に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態で遊技機枠に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
球皿ユニット6には、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に払出装置ユニットから球皿ユニット6に払い出される。球皿ユニット6の前面には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されており、図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。球皿ユニット6の前面には度数表示部14が配置されており、この度数表示部14には、有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。なお、本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機1はCR機とは別の現金機(CRユニットに接続されない機種)であってもよい。
また、球皿ユニット6の左上部には左球抜きレバー6bが設置されており、その中央部には中央球抜きボタン6cが設置されている。遊技者はこれら左球抜きレバー6bや中央球抜きボタン6cを操作することで、球皿ユニット6に貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
球皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで図示しない発射装置ユニットを作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射手段)。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により案内されながら遊技領域8a内を流下する。
〔盤面の構成〕
また遊技領域8a内には、始動ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26、作動時の可変始動入賞装置28に入賞(入球)したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技板に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
なお、上記の可変始動入賞装置28は、規定の条件が満たされた場合(普通図柄が所定の態様で停止表示された場合)に作動し、下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。一方、可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっている。
また上記の可変入賞装置30(入賞事象発生手段)は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき大入賞口への入賞は常に不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない状態となり、大入賞口への入賞(特別な入賞)となる事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は図示しない島設備の補給経路に合流する。
遊技盤8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、特別図柄表示装置34、特別図柄作動記憶ランプ34a及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
特別図柄表示装置34は、例えば7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。また作動記憶ランプ34aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する。例えば、ランプが全て消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。作動記憶ランプ34aは、上記の上始動入賞口26又は可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が流入すると、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ点灯し、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ消灯する。作動記憶ランプ34aの表示数(最大4個)は、その時点で未だ特別図柄の変動が開始されていない入賞の回数(入賞球数)を表している。
遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ(ラウンド数の異なる大当りがある場合)、確率変動状態表示ランプ、時短状態表示ランプにそれぞれ対応する4つのLED(いずれも参照符号なし)が含まれている。
また遊技盤8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40fが形成されており、このとき転動ステージ40eから球放出路40fに流下した遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に流入しやすくなる。
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素として上部枠ランプ46,48や下部枠ランプ50,52が複数の箇所に設置されている。これら枠ランプ46〜52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対の上スピーカ54が内蔵されており、そして外枠ユニット2の下部には、左右一対の下スピーカ56が内蔵されている。これらスピーカ54,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図2は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備え、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、大当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力ドライバ(I/O)79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82及びカウントスイッチ84が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。またカウントスイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。これらスイッチ類78〜86の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお遊技盤8の構成上、本実施形態ではゲートスイッチ78、カウントスイッチ84及び入賞口スイッチ86からの入賞検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信され、パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、作動記憶ランプ34a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,38及びランプ33a,34aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,38及びランプ33a,34aは、1つの統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に設置されており、この統合表示基板89には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。なお、これらソレノイド88,90についても上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
その他に上記のガラス枠ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また上記の遊技機枠(プラ枠)にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。ガラス枠ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また外枠ユニット2から遊技機枠が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号からガラス枠ユニット4が遊技機枠の開放状態を検出することができる。
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニットの動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出制御ユニットの動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる(特別特典付与手段)。
また払出装置ユニットは、例えば図示しない賞球タンク、上側賞球樋、右側賞球樋及び賞球ケースを有しており、このうち賞球タンクは遊技機枠の上縁部(裏側)に設置されて図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。この賞球タンクに蓄えられた遊技球は、上側賞球樋及び右側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。図示しない賞球ケース内には払出モータ102(ステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、図示しない払出経路を通って上記の球皿ユニット6に送られる。
また、例えば右側賞球樋の上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また右側賞球樋内で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
またパチンコ機1の裏側には、図示しない発射機ケース内に発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、球皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射装置ユニットを構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、球皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上記のように遊技領域8に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のグリップユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。またタッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がグリップユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
上記の球皿ユニット6には受皿中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、受皿中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、受皿中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、受皿中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
また、球皿ユニット6にはCR基板122が内蔵されており、このCR基板122には上記の球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチや、度数表示部14の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号がCR基板122から受皿中継端子板118、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに送信される。またCRユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120から受皿中継端子板118を経由してCR基板122に送信される。CR基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。
また演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種の枠ランプ46〜52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記の上部枠ランプ46,48や下部枠ランプ50,52の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は上記の演出ユニットに内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等に内蔵されるLEDに相当するものである。
また音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
本実施形態ではガラス枠ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して枠ランプ46〜52やスピーカ54,56に印加されている。また遊技盤8にはパネル電飾基板138が設置されており、ランプ駆動回路132からの駆動信号がパネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53に印加されている。
上記の液晶表示器42は遊技盤8の裏側に設置されており、遊技盤8に形成された略矩形の開口を通じてのその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライトに印加される交流電源を生成している。さらに、遊技盤8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜53等やスピーカ54,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらにVDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
その他、遊技機枠の裏側には電源制御ユニット162が装備されている。この電源制御ユニット162は島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込み、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成する。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。
また、遊技機枠の裏側には外部端子板160が設置されており、主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は外部端子板160を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図3及び図4は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、マスクレジスタの初期設定を行う。
ステップS104:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS105を実行する。
ステップS105:主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS106を実行する。
ステップS106:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。チェック結果が正常であれば(Yes)、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)し、次に主制御CPU72はステップS107を実行する。
ステップS107:主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンドを送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、演出図柄の表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させる。
ステップS108:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元に、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。そして、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧し、そのプログラムアドレスから処理を続行する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS104:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS105:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS106:No)、主制御CPU72はステップS109に移行する。
ステップS109:主制御CPU72は、RAM76の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76にバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS110:また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているコマンド送信要求バッファをクリアする。
ステップS111:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72がリセット後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS112:主制御CPU72は、CTC初期化処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期化を行う。そして主制御CPU72は、図4に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS113,ステップS114:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される信号を参照し、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。なお、電源遮断が発生すると、主制御CPU72はレジスタを退避し、RAM76全体の内容をバックアップして処理を停止(NOP)する。電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS115を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS115:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数以外に各種の乱数をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図5中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS115では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS113で割込を禁止した後にステップS115を実行しているのは、別の割込処理(図5中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。
ステップS116,ステップS117:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ決定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(図5)を実行した場合の残り時間で行われる。なお割込管理処理の内容についは後述する。
ステップS118:次に主制御CPU72は、割込回数カウンタの値を参照し、ここまでに実行した割込処理が所定回数(例えば2回)を超えたか否かを判断する。割込回数カウンタの値が所定値を超えていなければ(No)、主制御CPU72はステップS113に戻る。一方、割込回数カウンタの値が所定値を超えていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS119を実行する。これにより、メインループの実行中に少なくとも2回のタイマ割込が発生して別の割込管理処理が実行されるとともに、さらに主制御CPU72は、タイマ割込が発生する残り時間で電源断発生チェック処理(ステップS114)及び初期値更新乱数更新処理(ステップS115)を実行する。
ステップS119,ステップS120:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファをクリアする。
ステップS121:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、別の割込処理(図5中のステップS203)において各種スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
ステップS122,ステップS123:主制御CPU72は、メインループ中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた特別図柄表示装置34による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。
また普通図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は別の割込管理処理の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄大当り決定乱数)を記憶しておく。そして主制御CPU72は、この普通図柄遊技処理の中で乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる(可動片作動手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS124:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報を出力する。
ステップS125:また主制御CPU72は、メインループにおいて試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中、エラー発生中)を表す試験信号を生成し、これを主制御装置70の外部に出力する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS126:次に主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファを参照し、各種ソレノイド(普通電動役物ソレノイド88、大入賞口ソレノイド90)の励磁状態(ON又はOFF)を出力ポートに出力する。
なお本実施形態では、ステップS119〜ステップS126の処理をメインループ中に組み込んだ例を挙げているが、これら処理をCPUがタイマ割込処理として実行している公知のプログラミング例もある。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図5は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ミリ秒)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、普通図柄大当り決定乱数等が含まれる。このうち大当り図柄乱数及び小大当り図柄乱数は、例えば0〜99の範囲で順番に更新される。
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力ドライバ(I/O)79から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS205:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、特別図柄表示装置34、作動記憶ランプ34a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)を生成し、出力ポートから出力する。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
ステップS206:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込回数カウンタを更新する。このカウンタは、先に述べたメインループ中のステップS118で参照されるものである。
ステップS207,ステップS208:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔始動入賞処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)中でさらに実行される処理について説明する。図6は、始動入賞処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12を実行する。
ステップS12:主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには大当り決定乱数及び大当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、大当り決定乱数及び大当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS14に進む。
ステップS14:主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数を1つ加算する。特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図5中のステップS205)で作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS16:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを大当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS17:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から大当り図柄乱数値を取得する。この場合の乱数値の取得は、RAM76のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを転送元のアドレスに大当り図柄乱数としてセーブする。
ステップS18:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる。なお記憶された各乱数は、内部抽選で使用される抽選情報となる。RAM76の乱数記憶領域はFIFO形式であり、複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されている。現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。
ステップS20:主制御CPU72は、特別図柄始動口入賞フラグをセットする。なお、主制御CPU72はメインループに復帰すると、ここでセットしたフラグの値を参照して演出制御装置124に始動口入賞音制御コマンドを送信し、また、払出制御装置92に賞球指示コマンドを送信する。
以上の手順を終えるか、もしくは上始動入賞口スイッチ80及び下始動入賞口スイッチ82からいずれも入賞検出信号の入力がなかった場合(ステップS10:No)、あるいは特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS12:No)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理に復帰する。
〔特別図柄遊技処理〕
次に、メインループ中に実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図7は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、可変入賞装置管理処理(ステップS5000)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は特別図柄表示装置34の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で特別図柄が停止表示された場合に選択される。当りの態様の中でも、特別図柄が特別の態様で停止すると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な遊技状態)に移行する契機が発生する(移行契機発生手段)。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、規定回数(例えば15回)だけ励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技実行手段)。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、規定回数が全部で15回あれば、これらを「15ラウンド」と総称することがある。
また、制御CPU72は可変入賞装置管理処理において大入賞口開放回数を設定すると、可変入賞装置30の開放動作を終了させるごとに大入賞口開放回数カウンタの値を1インクリメントする。合わせて主制御CPU72は、大入賞口開放回数カウンタ値を表す開放回数コマンドを生成する。開放回数コマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。大入賞口開放回数カウンタの値が設定した開放回数に達すると、主制御CPU72はそのラウンド限りで大当り遊技を終了する。
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる。「高確率状態」になると確率変動機能が作動し、内部抽選での当選確率が通常よりも高く(10倍程度)なる(特定遊技状態状態移行手段)。また「時間短縮状態」になると時間短縮機能が作動し、非当選時の特別図柄の変動時間が通常の状態に比較して全体的に短縮される(時間短縮状態移行手段)。なお、「高確率状態」及び「時間短縮状態」については、制御上でいずれか一方だけに移行する場合もあれば、これら両方に合わせて移行する場合もある。なお、「高確率状態」又は「時間短縮状態」への移行についてはさらに後述する。
上記の15ラウンド大当り遊技以外に、本実施形態では2ラウンド大当り遊技や3ラウンド大当り遊技が設けられている。すなわち、先の特別図柄停止表示中処理において、特別図柄が特定の態様で停止すると、それまでの通常状態から短期間の大当り遊技状態に移行する契機が発生する(移行契機発生手段)。ただし、2ラウンドや3ラウンドの大当り遊技は、15ラウンドの大当り遊技に比較して極端に短時間内で終了するため、大入賞口への入賞はほとんど発生することがない。その代わり、大当り遊技の終了後に「高確率状態」や「時間短縮状態」に移行する特典が遊技者に付与される。
また本実施形態では、大当り遊技とは別に小当りの遊技が設けられており、小当りの遊技においても可変入賞装置30が開閉動作する。すなわち、先の特別図柄停止表示中処理において、特別図柄が特例の態様で停止すると、それまでの通常状態から小当りの遊技状態(可変入賞装置30が作動可能となる状態)に移行する契機が発生する(移行契機発生手段)。このような小当りの遊技は可変入賞装置30の1回開放小当り、2回開放小当り又は3回開放小当りのいずれかが実行されて終了し、この間に可変入賞装置30が開閉動作するものの、2ラウンド大当り遊技や3ラウンド大当り遊技と同様に大入賞口への入賞はほとんど発生しない。また小当りの遊技が終了しても、「高確率状態」や「時間短縮状態」へ移行する特典は付与されない。
〔特別図柄変動前処理〕
図8は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。なお復帰時は、上記のように末尾アドレスに復帰する(以降も同様)。
これに対し、作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
ステップS2200:主制御CPU72は割込を禁止した上で、特別図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を読み出し、これらを別の一時記憶領域に保存する。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。一時記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。なお、このとき読み出された乱数の記憶はRAM76の乱数記憶領域から消去される。
ステップS2250:次に主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。これにより、上記の表示出力管理処理(図5中のステップS205)の中で作動記憶ランプ34による記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は割込を許可して次にステップS2300を実行する。
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、先ず大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なり、高確率状態では通常状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。このとき、読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。
上記の大当りフラグをセットしない場合、主制御CPU72は同じ大当り判定処理において、次に小当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。ここでいう「小当り」は、非当選(はずれ)以外であるが、「大当り」とは異なる性質のものである。すなわち、「大当り」は上記の「高確率状態」や「時間短縮状態」に移行させる契機(遊技の節目)を発生させるものであるが、「小当り」はそのような契機を発生しない。ただし「小当り」は、「大当り」と同様に可変入賞装置30を作動させる条件を満たすものとして位置付けられている。なお、このとき設定される小当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なっていてもよいし、同じでもよい。いずれにしても、読み出した乱数値が小当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は小当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。このように、本実施形態では非当選以外に該当する当り範囲として、大当り値と小当り値の範囲が予めプログラム上で規定されているが(抽選結果規定手段)、予め状態別の大当り判定テーブル、小当り判定テーブルをそれぞれROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行ってもよい。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2402を実行する。
ステップS2402:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で小当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。小当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。なお、主制御CPU72は大当りフラグと小当りフラグとを別々に用意せずに、共通当りフラグの値によって大当り(例えば01Hを設定)又は小当り(例えば0AHを設定)を判別してもよい。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄表示装置34によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、特別図柄表示装置34に7セグメントLED(1個又は2個)を用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄についてはずれ時の特別図柄の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、特別図柄の変動パターンの種類を区別したり、そのときの変動時間を規定したりするものである。なおリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は、例えばステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定される。はずれ時変動パターン決定処理の内容については、別の図面を用いてさらに後述する。
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時(非当選以外の場合)の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)又は小当り(ステップS2402:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。先ず、大当りの場合について説明する。
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と当選図柄の種類との関係は、予め大当り時特別図柄判定データテーブルで規定されており、このテーブルはROM74のテーブル領域に格納されている。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において大当り時特別図柄判定テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて当選図柄の種類を決定することができる。
〔大当り時の当選図柄〕
本実施形態では、大当り時の当選図柄に大きく分けて3種類が用意されている。そのうち1種類は「15ラウンド確変図柄」であり、他の1種類は「15ラウンド非確変図柄」である。残る1種類は「特定確変図柄」であるが、この「特定確変図柄」にはさらに複数のものが用意されている。具体的には、「2ラウンド特定確変図柄」、「3ラウンド特定確変図柄」のように、ラウンド数が異なる複数の「特定確変図柄」がある。
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて特別図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットする。一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ通常変動時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2413:主制御CPU72は、大当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)が「15ラウンド確変図柄」又は「特定確変図柄」のいずれかである場合は、遊技状態フラグとして確率変動機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。さらに、当選図柄の種類が「15ラウンド確変図柄」又は「15ラウンド非確変図柄」のいずれかである場合、合わせて主制御CPU72は遊技状態フラグとして時間短縮機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。
また主制御CPU72は大当り時その他設定処理において、現在の状態が「高確率状態」であるか否かを判定し、「高確率状態」の場合はさらに当選図柄の種類が「2ラウンド特定確変図柄」又は「3ラウンド特定確変図柄」のいずれかに該当するかを確認する。その結果、大当り時当選図柄が「2ラウンド特定確変図柄」又は「3ラウンド特定確変図柄」のいずれかに該当していた場合、主制御CPU72は遊技状態フラグとして時間短縮機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて特別図柄表示装置34による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
次に、小当り時の処理について説明する。
ステップS2407:主制御CPU72は、小当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、小当り時の当選図柄の種類(小当り時停止図柄番号)を決定する。ここでも同様に、大当り図柄乱数値と小当り時の当選図柄の種類との関係が予め小当り時特別図柄判定データテーブルで規定されている。なお本実施形態では、主制御CPU72の負荷を軽減するために大当り図柄乱数を用いて小当り時の当選図柄を決定しているが、別途専用の乱数を用いてもよい。
〔小当り時の当選図柄〕
小当り時の当選図柄は、例えば「1回開放小当り図柄」、「2回開放小当り図柄」及び「3回開放小当り図柄」が用意されている。上記のように内部抽選の結果としての「小当り」は、その後の状態が「高確率状態」や「時間短縮状態」に変化する契機とはならない。このため、この種のパチンコ機で必須となる「2ラウンド(2回開放)以上」の規定(法規)にとらわれることなく、「1回開放小当り図柄」を設けることができる。
ステップS2408:次に主制御CPU72は、小当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて特別図柄の変動パターン(変動時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットする。なお、小当りの場合にもリーチ変動パターンが選択されるため、はずれ通常変動時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2409:次に主制御CPU72は、小当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は小当り時停止図柄番号に基づき、特別図柄表示装置34による停止図柄(小当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(小当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定し、特別図柄遊技処理に復帰する。
〔図7:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
また特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図8中のステップS2404,ステップS2407,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
そして主制御CPU72は、大当りフラグ又は小当りフラグに値(01H)がセットされているか否かを確認する。その結果、いずれのフラグにも値がセットされていなければ(非当選時)、主制御CPU72は特別図柄変動前処理(ステップS2000)を次のジャンプ先に設定して特別図柄遊技処理に復帰する。これに対していずれかのフラグに値がセットされている場合(大当り又は小当り時)、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理(ステップS5000)を次のジャンプ先に設定して特別図柄遊技処理に復帰する。
〔可変入賞装置管理処理〕
次に、可変入賞装置管理処理の詳細について説明する。図9は、可変入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。可変入賞装置管理処理は、遊技プロセス選択処理(ステップS5100)、大入賞口開放回数設定処理(ステップS5200)、大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)、大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)、終了処理(ステップS5500)のサブルーチン群を含む構成である。
ステップS5100:遊技プロセス選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS5200〜ステップS5500のいずれか)のジャンプ先を選択する。すなわち主制御CPU72は、ジャンプテーブルから次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとして選択し、また戻り先のアドレスとして可変入賞装置管理処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ可変入賞装置30の作動(開閉動作)を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開放回数設定処理(ステップS5200)を選択する。一方、既に大入賞口開放回数設定処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)を選択し、大入賞口開閉動作処理まで完了していれば、次のジャンプ先として大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)を選択する。また、設定された回数(最大回数又は開放回数)にわたって大入賞口開閉動作処理及び大入賞口閉鎖処理が繰り返し実行されると、主制御CPU72は次のジャンプ先として終了処理(ステップS5500)を選択する。以下、それぞれの処理についてさらに詳しく説明する。
〔大入賞口開放回数設定処理〕
図10は、大入賞口開放回数設定処理の手順例を示すフローチャートである。この処理は、大当り時又は小当り時にそれぞれ可変入賞装置30を開閉動作する回数や時間等の条件を設定するためのものである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS5202:主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。大当りフラグの値がセットされていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5209に進む。一方、大当りフラグの値がセットされていなければ(No)、主制御CPU72はステップS5204に進む。なお、この手順は小当りフラグの値を参照する内容に書き換えてもよい(ただしYes/Noの論理は逆となる。)。
〔小当り時の手順〕
先ず、小当り時の手順から説明する。
ステップS5204:主制御CPU72は、先の小当り時停止図柄決定処理(図8中のステップS2407)で選択した小当り時当選図柄に応じて大入賞口開放回数を設定する。具体的には、当選図柄として「1回開放小当り図柄」を選択していれば、主制御CPU72は大入賞口開放回数を1回に設定する。また、当選図柄として「2回開放小当り図柄」を選択していれば、主制御CPU72は大入賞口開放回数を2回に設定する。同様に、当選図柄として「3回開放小当り図柄」を選択していれば、主制御CPU72は大入賞口開放回数を3回に設定する。ここで設定した大入賞口開放回数は、プログラム上で1を減算した値としてRAM76のバッファ領域に格納される(1回の場合は値が「0」、2回の場合は値が「1」、3回の場合は値が「2」、15回の場合は値が「14」である等。)。
ステップS5206:次に主制御CPU72は、小当り時開放タイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、可変入賞装置30を作動する際に1回あたりの開放時間となる。なお本実施形態では、小当り時開放タイマの値として1回の開放中に大入賞口への入賞がほとんど発生しない(困難となる)短時間(例えば1秒より短い時間、好ましくは発射装置ユニットによる遊技球の発射間隔よりも短い時間)が設定されている。
ステップS5208:主制御CPU72は、小当り時インターバルタイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、2回開放以上の小当り時に、可変入賞装置30を連続して作動する際の1回ごとの待機時間となる。本実施形態では、小当り時インターバルタイマの値として例えば1秒以下又は数秒程度が設定される。
ステップS5216:以上の手順を終えると、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。
〔大当り時の手順〕
次に、大当り時の手順は以下となる。
ステップS5209:主制御CPU72は、「大当り中」を表す状態指定コマンドを生成する。この状態指定コマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。
ステップS5210:主制御CPU72は、先の大当り時停止図柄決定処理(図8中のステップS2410)で選択した大当り時当選図柄に応じて大入賞口開放回数を設定する。具体的には、当選図柄として「15ラウンド確変図柄」又は「15ラウンド非確変図柄」を選択していれば、主制御CPU72は大入賞口開放回数を15回に設定する。また、当選図柄として「2ラウンド特定確変図柄」を選択していれば、主制御CPU72は大入賞口開放回数を2回に設定する。そして、当選図柄として「3ラウンド特定確変図柄」を選択していれば、主制御CPU72は大入賞口開放回数を3回に設定する。
ステップS5212:次に主制御CPU72は、上記の大当り時当選図柄に応じて大当り時開放タイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、小当り時と同様に可変入賞装置30を作動する際に1回あたりの開放時間(所定時間)となる。具体的には、大当り時当選図柄が「15ラウンド確変図柄」又は「大当り時非確変図柄」であれば、主制御CPU72は大当り時開放タイマの値として1回の開放中に大入賞口への入賞が容易に発生する充分な時間(例えば発射装置ユニットにより遊技球が10個以上発射される時間、好ましくは30秒程度)を設定する。一方、大当り時当選図柄が「2ラウンド特定確変図柄」又は「3ラウンド特定確変図柄」であれば、主制御CPU72は大当り時開放タイマの値として1回の開放中に大入賞口への入賞がほとんど発生しない(困難となる)短時間(例えば1秒より短い時間、好ましくは発射装置ユニットによる遊技球の発射間隔よりも短い時間)を設定する。
ステップS5214:そして主制御CPU72は、大当り時インターバルタイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、大当り中のラウンド間での待機時間となる。本実施形態では、大当り時インターバルタイマの値として例えば1秒以下〜数秒程度が設定される。
ステップS5216:以上の手順を終えると、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。
〔大入賞口開閉動作処理〕
次に、大入賞口開閉動作処理について説明する。図11は、大入賞口開閉動作処理の手順例を示すフローチャートである。この処理は主に、可変入賞装置30の開閉動作を制御するためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS5302:主制御CPU72は、大入賞口を開放させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に対して印加する駆動信号を出力する。これにより、可変入賞装置30が作動して閉止状態から開放状態に移行する。
ステップS5304:次に主制御CPU72は、開放タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、先の大入賞口開放回数設定処理(図10中のステップS5206又はステップS5212)で設定した開放タイマのカウントダウンを実行する。
ステップS5306:続いて主制御CPU72は、開放時間が終了したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の開放タイマの値が0以下であるか否かを確認し、未だ開放タイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS5308を実行する。
ステップS5308:主制御CPU72は、入賞球数カウント処理を実行する。この処理では、開放時間内に可変入賞装置30(開放中の大入賞口)に入賞した遊技球の個数をカウントする。具体的には、主制御CPU72は開放時間内にカウントスイッチ84から入力された入賞検出信号に基づいて、カウント数の値をインクリメントする。
ステップS5310:次に主制御CPU72は、現在のカウント数が所定数(例えば9個程度)未満であるか否かを確認する。この所定数は、開放1回あたりに許容する入賞球数の上限(賞球数の上限)を定めたものである。未だカウント数が所定数に達していなければ(Yes)、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰する。そして、次に可変入賞装置管理処理を実行すると、現段階ではジャンプ先が大入賞口開閉動作処理に設定されているので、主制御CPU72は上記のステップS5302〜ステップS5310の手順を繰り返し実行する。
上記のステップS5306で開放時間が終了したと判断するか(Yes)、もしくはステップS5310でカウント数が所定数に達したことを確認すると(No)、主制御CPU72は次にステップS5312を実行する。なお、小当り時、2ラウンド又は3ラウンドの確変大当り時は、いずれも開放タイマの値が短時間に設定されているので、通常、主制御CPU72はステップS5310でカウント数が所定数に達したことを確認するより先に、ステップS5306で開放時間が終了したと判断する場合がほとんどである。
ステップS5312:主制御CPU72は、大入賞口を閉止させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に印加していた駆動信号の出力を停止する。これにより、可変入賞装置30が開放状態から閉止状態に復帰する。
ステップS5314:次に主制御CPU72は、インターバル待機処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の大入賞口開放回数設定処理(図10中のステップS5208又はステップS5214)で設定したインターバルタイマのカウントダウンを実行する。そして、インターバルタイマの値が0以下になると、次に主制御CPU72はステップS5316に進む。
ステップS5316:主制御CPU72は、次のジャンプ先を大入賞口閉鎖処理に設定し、可変入賞装置管理処理に復帰する。そして、次に可変入賞装置管理処理を実行すると、主制御CPU72は次に大入賞口閉鎖処理を実行する。
〔大入賞口閉鎖処理〕
図12は、大入賞口閉鎖処理の手順例を示すフローチャートである。この大入賞口閉鎖処理は、可変入賞装置30の作動を継続したり、その作動を終了したりするためのものである。以下、手順に沿って説明する
ステップS5402:主制御CPU72は、現在の可変入賞装置30の開放回数が設定した開放回数に達しているか否かを確認する。具体的には、主制御CPU72は大入賞口開放回数カウンタの値(0〜14)を参照し、その値が設定した大入賞口開放回数未満であれば(No)、次にステップS5404を実行する。なお、大入賞口開放回数カウンタの値は、初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。
ステップS5404:次に主制御CPU72は、大入賞口開放回数カウンタをインクリメントする。これにより、例えば1回目の開閉動作が終了し、2回目の開閉動作に向かう段階で大入賞口開放回数カウンタの値は「1」となっている。
ステップS5405:また主制御CPU72は、現在の大入賞口開放回数カウンタの値から開放回数コマンドを生成する。このコマンドは、上記のように演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置124に送信されるものである。演出制御装置124は、受信した開放回数コマンドに基づいて現在の可変入賞装置30の開放回数(大当り時のラウンド数又は小当り時の開放回数)を確認することができる。
ステップS5406:主制御CPU72は、次のジャンプ先を大入賞口開閉動作処理に設定する。
ステップS5408:そして主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。
主制御CPU72が次に可変入賞装置管理処理を実行すると、遊技プロセス選択処理(図9中のステップS5100)で主制御CPU72は次のジャンプ先である大入賞口開閉動作処理を実行する。そして、大入賞口開閉動作処理の実行後は大入賞口閉鎖処理の実行を経て、主制御CPU72は再び大入賞口閉鎖処理を実行し、上記のステップS5402〜ステップS5408を繰り返し実行する。これにより、実際の開閉動作が設定した大入賞口開放回数(1回、2回、3回又は15回)に達するまでの間、可変入賞装置30の作動が実行される。なお、大入賞口開放回数が2回以上の場合、可変入賞装置30は連続作動するが、大入賞口開放回数が1回の場合、可変入賞装置30の作動は1回で終了する(連続作動ではない)。
現在の可変入賞装置30の開放回数が設定した開放回数に達した場合、主制御CPU72は上記のステップS5402で大入賞口開放回数カウンタの値が設定した大入賞口開放回数に達したことを確認し(Yes)、次にステップS5410を実行する。
ステップS5410,ステップS5412:この場合、主制御CPU72は大入賞口開放回数カウンタをリセット(=0)すると、次のジャンプ先を終了処理に設定する。
ステップS5408:そして主制御CPU72は、入賞球数カウンタをリセットし、可変入賞装置管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が可変入賞装置管理処理を実行すると、今度は終了処理が選択されることになる。
〔終了処理〕
図13は、終了処理の手順例を示すフローチャートである。この終了処理は、可変入賞装置30の作動を終了し、「大当り」又は「小当り」の状態から通常遊技に遷移する際の条件を整えるためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS5502:主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。上記のように15ラウンドの大当り時や、2ラウンド又は3ラウンドの大当り時は大当りフラグの値がセットされているため(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5504を実行する。
ステップS5504:この場合、主制御CPU72は大当りフラグをリセット(00H)する。これにより、主制御CPU72の制御処理上で大当り遊技状態は終了する。
ステップS5506:次に主制御CPU72は、確率変動機能作動フラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。このフラグは、先の特別図柄変動前処理中の大当り時その他設定処理(図8中のステップS2413)でセットされるものである。
ステップS5508:確率変動機能作動フラグの値がセットされている場合(ステップS5506:Yes)、主制御CPU72は確率変動回数(例えば10000回程度)を設定する。設定した確率変動回数の値は、例えばRAM76の確変カウンタ領域に格納される。ここで設定した確率変動回数は、これ以降の遊技で特別図柄の変動(内部抽選)を高確率状態で行う上限回数となる。ただし、10000回程度の多い回数を設定した場合、そこまで非当選が続くことは確率的にほとんどないので(高確率時の当選確率が例えば30分の1〜39分の1程度)、実質的には次回の当選まで高確率状態が続くことになる。これとは逆に、高確率状態に実質的な上限を設ける場合、確率変動回数は現実的な回数(例えば10回程度)に設定される(いわゆる回数切り確変)。これに対し、確率変動機能作動フラグの値がセットされていなければ(ステップS5506:No)、主制御CPU72はステップS5508を実行しない。
ステップS5510:次に主制御CPU72は、時間短縮機能作動フラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。このフラグもまた、先の特別図柄変動前処理中の大当り時その他設定処理(図8中のステップS2413)でセットされるものである。
ステップS5512:そして、時間短縮機能作動フラグの値がセットされている場合(ステップS5510:Yes)、主制御CPU72は時間短縮回数(例えば100回程度)を設定する。設定した時間短縮回数の値は、例えばRAM76の時短カウンタ領域に格納される。ここで設定した時間短縮回数は、これ以降の遊技で特別図柄の変動時間を短縮化する上限回数となる。なお、時間短縮機能作動フラグの値がセットされていなければ(ステップS5510:No)、主制御CPU72はステップS5512を実行しない。
ステップS5514:そして主制御CPU72は、各種のフラグに基づいて状態指定コマンドを生成する。具体的には、大当りフラグのリセットに伴い、遊技状態として「通常中」を表す状態指定コマンドを生成する。また、高確率状態機能作動フラグがセットされていれば、内部状態として「高確率中」を表す状態指定コマンドを生成し、時間短縮機能作動フラグがセットされていれば、内部状態として「時間短縮中」を表す状態指定コマンドを生成する。これら状態指定コマンドは、演出制御出力処理(図4中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。
ステップS5516:大当り時に以上の手順を経るか、もしくは小当り遊技の場合(ステップS5502:No)、主制御CPU72は次のジャンプ先を大入賞口開放回数設定処理に設定する。
ステップS5518:そして主制御CPU72は、特別図柄遊技処理の中の実行選択処理(図7中のステップS1000)でのジャンプ先を特別図柄変動前処理に設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理に復帰する。
〔パチンコ機の挙動〕
上記のように遊技中に主制御CPU72が各種の処理を実行することで、パチンコ機1は以下の挙動を示すことになる。
(1)15ラウンド大当り時
内部抽選で非当選以外となり、「15ラウンド確変大当り」又は「15ラウンド非確変大当り」に該当した場合、上記の可変入賞装置管理処理(図9)において可変入賞装置30の開閉動作が15回にわたって実行される。このとき1回ごとの開放時間が充分な長さに設定されているため、この間の挙動は「大当り遊技」として遊技者にも明確に認識される(特別遊技実行手段)。また演出上も、通常時とは異なる大当り遊技中の演出が実行されるため、遊技者に明確な大当り遊技を実感させることができる。
(2)2ラウンド又は3ラウンド大当り時
一方、「2ラウンド確変大当り」又は「3ラウンド確変大当り」に該当した場合、可変入賞装置管理処理(図9)において可変入賞装置30の開閉動作が2回又は3回にわたって実行されるだけであり、さらに1回ごとの開放時間が短時間に設定されているため、この間の挙動は全体として短い期間内(例えば数秒以内)で終了する(短期開閉動作実行手段)。したがって、この間の挙動は特に「大当り遊技」として遊技者には明確に認識されにくい。また、可変入賞装置30が開閉動作しても賞球はほとんど得られないことから、遊技者に「大当りした」という実感を抱かせにくい。ただし、可変入賞装置30の作動終了後は内部的に「高確率状態」に移行する特典が付与されるため、その後の内部抽選が遊技者にとって有利な条件で行われることになる。本実施形態では、「2ラウンド確変大当り」又は「3ラウンド確変大当り」は、遊技者に大当りを意識させないまま内部状態だけを「高確率状態」に移行させることから、これらを「隠し確変」と称するものとする。
(3)小当り時
これに対し、「1回開放小当り」、「2回開放小当り」又は「3回開放小当り」に該当した場合、可変入賞装置管理処理(図9)において可変入賞装置30の開閉動作が1回、2回又は3回にわたって実行される。また、1回あたりの開放時間が短時間に設定されているため、この間の挙動は全体として短い期間内(例えば数秒以内)で終了する(短期開閉動作実行手段)。したがって、この間の挙動もまた特に「小当りの遊技」として遊技者には明確に認識されにくい。また、可変入賞装置30が開閉動作しても、賞球がほとんど得られないことから、遊技者に「何らかの当選が得られた」という実感を抱かせることもない。加えて「小当り」は、内部的な状態を変化させる契機とならないため、可変入賞装置30の作動終了後も内部状態は変化しない。
〔各種挙動のまとめ〕
以上のように、15ラウンドの大当り遊技は遊技者にとって明確に意識しやすい挙動であるが、それ以外の「隠し確変」と「小当り」については、遊技者にとってあまり明確に意識することができない挙動である。また可変入賞装置30の作動態様を比較しても、「1回開放小当り」を除くと、「2ラウンド確変大当り」と「2回開放小当り」とでは挙動がほとんど同じであり、また、「3ラウンド確変大当り」と「3回開放小当り」とでも挙動はほとんど同じである。このように本実施形態では、パチンコ機1の表面的な挙動から「隠し確変」又は「小当り」のいずれに該当したかを遊技者が覚知することを困難にすることで、その後の内部状態が「高確率状態」であるか否かを不明確にしている。
〔開放回数ごとの期待度〕
さらに本実施形態では、可変入賞装置30の開放回数が同じ「隠し確変」と「小当り」との組み合わせごとに、互いの選択比率(出現率)を異ならせている。具体的には、大当り時停止図柄決定処理(図8中のステップS2410)において、大当り時特別図柄判定データテーブル上での「2ラウンド特定確変図柄」の選択比率と「3ラウンド特定確変図柄」の選択比率とが異なり、また、小当り時停止図柄決定処理(図8中のステップS2407)において、小当り時特別図柄判定データテーブル上での「2回開放小当り図柄」の選択比率と「3回開放小当り図柄」の選択比率とが異なっている。その結果、例えば開放回数が同じ2回の組み合わせでみると、大当り時に「2ラウンド特定確変図柄」よりも小当り時に「2回開放小当り図柄」の選択比率(出現率)を高く設定し、逆に開放回数が3回の組み合わせでは「3回開放小当り図柄」よりも「3ラウンド特定確変図柄」の選択比率(出現率)を高く設定することが可能となる。以下、この点について具体例を挙げて説明する。
〔出現率及び信頼度の設定例:選択比率設定手段〕
図14は、「小当り」及び「隠し確変」の出現率とそのときの「高確率状態」の信頼度の関係を一覧にした図である。図14中の左欄には「小当り」又は「隠し確変」の種別を示し、左から2番目のカラムにはそれぞれの出現率(割合)を示している。ここでの出現率は、それぞれ図柄判定データテーブルで設定されている選択比率に相当する。
また図14中の左から3番目のカラムには、開放回数別の「高確率状態」の信頼度を示している。右欄の総合信頼度は、全ての「小当り」及び「隠し確変」に対する「高確率状態」の信頼度と、開放回数が2回以上の「小当り」及び「隠し確変」に対する信頼度をそれぞれ示している。
図14の設定例に示されているように、ここでは「2ラウンド確変大当り」の出現率が4000分の1であるのに対し、「3ラウンド確変大当り」の出現率は2000分の1である。これはつまり、大当り図柄判定データテーブル上で「2ラウンド特定確変図柄」よりも「3ラウンド特定確変図柄」の選択比率が高く設定されていることを意味する。一方、「2回開放小当り」の出現率は400分の1であるが、「3回開放小当り」の出現率は700分の1である。これは、小当り図柄判定データテーブル上で「2回開放小当り図柄」よりも「3回開放小当り図柄」の選択比率が低く設定されていることを意味する。
その結果、「2回開放小当り」と「2回開放確変大当り」の組み合わせの中でみると、全体に占める「2回開放確変大当り」の割合が11.00分の1となるので、開放回数が2回の組み合わせでは「高確率状態」への移行の信頼度が9.09%となる。一方、「3回開放小当り」と「3ラウンド確変大当り」の組み合わせの中でみると、全体に占める「3ラウンド確変大当り」の割合が約3.857分の1となるので、開放回数が3回の組み合わせでは「高確率状態」への移行の信頼度が25.93%となり、2ラウンドの組み合わせよりも信頼度が高くなっていることが分かる。
そして、これらを2回以上の開放回数でみると、全体に占める「確変大当り」の割合が約6.238分の1であるから、総合信頼度は16.03%となる。なお、「1ラウンド確変大当り」という当選種類はそもそも存在しないので、開放回数が1回だけの時(1回開放小当り)の信頼度は0.00%である。ただし、「1回開放小当り」まで含めて考えると、可変入賞装置30が作動した場合の全体に占める「確変大当り」の割合は約19.571分の1であるから、総合信頼度は5.11%となる。
以上が主制御CPU72による制御処理上で設定されている開放回数ごとの信頼度(高確率状態に移行する割合)の違いであるが、加えて本実施形態では、開放回数によって信頼度に違いが生じてくることを演出的に表現することで、「開放回数がどこまで増えるか(何ラウンドまで進むか)」という期待感の持たせ方を新たな趣向として遊技者に提供している。以下、本実施形態における演出手法について説明する。
〔演出手法の例〕
図15は、演出図柄と背景画像を用いた演出例を示す連続図である。この演出例は、演出図柄を用いた変動表示演出と結果表示演出の一例を表している。このうち変動表示演出は、特別図柄が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また結果表示演出は、特別図柄が停止表示したことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。上記のように、特別図柄そのものは7セグメントLED(特別図柄表示装置34)による点灯・点滅表示であるため、それだけでは見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、基本的に演出図柄を用いた変動表示演出と結果表示演出が行われている。
演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは液晶表示器42の画面上で左・中・右に並んで表示される。各演出図柄は、例えば漢数字の「一」〜「九」とともに、和服(着物や浴衣)を着こなした女性キャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。このうち左演出図柄と中演出図柄については、いずれも漢数字が「一」〜「九」の昇順に並んだ図柄列を構成しており、右演出図柄については、漢数字が「九」〜「一」の降順に並んだ図柄列を構成している。このような図柄列は、画面上の左領域・中領域・右領域でそれぞれ縦方向に流れる(スクロールする)ようにして変動表示される。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動表示演出と結果表示演出の基本的な流れについて説明する。
〔変動表示演出開始〕
図15中(i):特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が表示されている。図15中(i)に示される例は、「海辺の風景」を表した背景画像であり、本実施形態ではこれを例えば「通常モード画像」とする。なお特に図示していないが、この後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
〔左図柄停止〕
図15中(ii):例えば、ある程度の時間が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に漢数字の「六」を表す演出図柄が停止したことを表している。なお、ここでは背景画像の図示を省略している(これ以降も同様)。
〔右演出図柄停止〕
図15中(iii):左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に漢数字の「七」を表す演出図柄が停止したことを表している。この時点で既にリーチ状態が発生しないことは確定しているので、今回の変動(内部抽選の結果)は非当選であったことがほとんど明らかとなっている。
〔結果表示演出〕
図15中(iv):特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。このとき、特別図柄がはずれ図柄で停止表示されていれば、演出図柄も同様にはずれの態様で結果表示演出が行われる。図示の例では、画面の中段位置に漢数字の「三」を表す演出図柄が停止したことを表している。この場合、演出図柄の組み合わせは「六−三−七」のはずれ目であるため、今回の変動は「はずれ」になったことが演出的に表現されている。なお、ここでは非当選の場合を例に挙げているが、内部抽選の結果が上記の「15ラウンド大当り」であれば、リーチ演出を経て左・中・右の演出図柄が同種の組み合わせ(例えば「七」−「七」−「七」)で構成される大当りの態様で停止表示される。
以上の演出例は、非当選時に行われる変動表示演出と結果表示演出の基本的な流れを示したものである。ここでは図示していないが、非当選時に特別図柄の変動パターンとして「はずれリーチ変動」が指定されていた場合、以下のように変動表示演出の中ではずれリーチ演出が実行される。
〔リーチ演出〕
リーチ演出は、例えば表示画面内で同種の演出図柄(例えば漢数字の「五」の図柄)が先に2つまで揃って停止することで、リーチ状態が発生する。具体的には、左演出図柄と右演出図柄の停止時に、例えば表示画面の中段位置にそれぞれ同種の演出図柄が停止してリーチ状態を発生させる。なお、このとき中演出図柄は変動中である。一般に、演出上で同種の演出図柄が3つ揃って停止すると上記のように「大当り」であり、リーチ状態中は「大当り」まで残りあと中演出図柄の1つだけである。このとき、表示画面内に「リーチ!」等の文字情報を表示し、合わせて音声を出力する演出が行われる態様であってもよい。
そして、リーチ状態の発生後は、最後の演出図柄(中演出図柄)が停止表示されるまでの過程が多様な内容で表現される。例えば、シンプルな態様として中演出図柄のスクロールがそれまでよりもゆっくりとしたものに変化し、その過程で「表示画面の中段位置に漢数字の「五」が停止するかどうか」という期待感を持続させる演出が実行される。その他、リーチ演出については公知のものを適用できるため、ここでは図示とともにその説明を省略する。
〔小当り時又は隠し確変時の演出例〕
次に、内部抽選の結果が非当選以外であって、「小当り」又は「隠し確変」のいずれかの当選種類が選択された場合の演出例について説明する。
図16は、「小当り」又は「隠し確変」のいずれか該当時の演出例を示す連続図である。以下、演出の流れについて順を追って説明する。
〔変動表示演出〕
図16中(A):ここでも同様に、特別図柄の変動開始に同期して、演出図柄を用いた変動表示演出が行われる。なお、この後に左演出図柄、右演出図柄、中演出図柄の順で演出図柄のスクロールが停止し、結果表示演出が実行される流れは上記と同様である。
〔結果表示演出〕
図16中(B):結果表示演出として、例えば表示画面の中段位置に漢数字の「三」−「五」−「七」を表す演出図柄の組み合わせが表示される。本実施形態では、このような奇数図柄を順に並べた組み合わせを、例えば「チャンス当選目」と称する。なお、「チャンス当選目」はこれ以外の組み合わせであってもよい。また特に図示していないが、このとき特別図柄は「小当り図柄」又は「特定確変図柄」のいずれかの態様で停止表示されている。
〔扉閉演出〕
図16中(C):結果表示演出で上記の「チャンス当選目」が表示されると、次に表示画面の左右から扉(障子又は襖)の画像が画面の中央に向かって素早く移動していく演出(扉閉演出)が実行される。なお扉の画像は、表示画面上で演出図柄を覆い隠す位置(前面のレイヤ)に表示される。
図16中(D):上記の扉の画像が表示画面の中央位置で突き合わせとなり、扉が完全に閉じてしまった様子が演出的に表現されている。このような扉閉演出は、例えば「これから扉が何回か開かれる」ということを遊技者に予告する意味で行われる。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、扉閉演出は例えば特別図柄停止表示中処理(図7中のステップS4000)の間に実行されることが望ましい。
〔扉閉演出の意義〕
以上の「扉閉演出」は、開放回数にかかわらず内部抽選で「小当り」又は「隠し確変」のいずれかに該当した場合に共通して実行されるものである。したがって、「扉閉演出」が発生すると、その段階で何らかの当り(15ラウンド大当り以外)に該当した可能性があることを遊技者に訴求することができる。
一方、「チャンス当選目」に続いて「扉閉演出」が発生した後の演出の内容は、具体的にいずれの当りに該当するかによって異なったものとなる。以下、そのとき該当していた当りの種類別に実行される演出例について説明する。
〔1回開放小当り時〕
図17は、「1回開放小当り」に該当した場合に実行される演出例を示す連続図である。以下、演出の流れについて順を追って説明する。
〔煽り演出〕
図17中(E):図16中(D)に示される「扉閉演出」に続き、表示画面内では閉じた扉をがたがたと震わせるような挙動を表す演出が行われる。このような演出は、「これからまさに扉が開かれようとしている」ことを遊技者に訴求する意味で行われる。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、この煽り演出は、例えば特別図柄停止表示中処理(図7中のステップS4000)から大入賞口開放回数設定処理(図9中のステップS5200)までの間に実行されることが望ましい。
〔扉開演出〕
図17中(F):次に、閉じていた扉が表示画面の左右に素早く移動して、扉が大きく開かれる動作を表す演出(扉開演出)が行われる。このような扉開演出は、例えば遊技者に対して、扉が開いた先の結果に何らかの期待をさせる意味で行われる。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、扉開演出は例えば大入賞口開閉動作処理で可変入賞装置30が開放される動作(図11中のステップS5302)に同期して実行される。これにより、「何らかの当りで大入賞口が1回開放された」ということを遊技者に対して訴求させることができる。
〔1回開放終了演出〕
図17中(G):扉が開かれた段階で、背景画像として上記の「通常モード画像」とともに表示画面の中央に和服を着こなした女性キャラクターの画像が表示される。この場合、扉の開閉前後でそれ以前の背景画像と特に変化が生じていないことから、「残念ながら通常モードからの発展はなかった」ということが演出的に表現されている。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、この演出は例えば大入賞口開閉動作処理で可変入賞装置30が閉止されてから、インターバル待機処理(図11中のステップS5314)が終了するまでの間に実行される。
〔通常モード継続〕
図17中(H):この後、特別図柄の変動表示に同期して、上記の変動表示演出が再開される。このときの背景画像は「通常モード画像」であり、これにより扉の開閉前後で演出上のモード移行が発生しなかったことが遊技者に知らされる。また、上記のように「1回開放小当り」の信頼度が0.00%であることに鑑みれば、演出上でモード移行を発生させない方が無用な期待感を遊技者に抱かせることがないという利点がある。
〔モード移行演出:演出モード規定手段〕
ここで、演出上のモード移行について説明する。本実施形態では、内部的な「高確率状態」や「時間短縮状態」を、演出上の「モード」という概念に対応させて表現する手法を採用している。具体的には、特に「高確率状態」や「時間短縮状態」に移行していない通常の状態には「通常モード」を対応させ、「高確率状態」や「時間短縮状態」には別の「チャンスモード」を対応させている。そして、「通常モード」と「チャンスモード」とでは、表示画面に表示される背景画像の内容を異ならせることで、現在の滞在モードの種類に応じて内部状態が異なることを遊技者に想起させている。
したがって、上記の「扉閉演出」及び「扉開演出」が実行された後に演出上でモード移行が発生すると、それによって内部状態が変化した可能性を遊技者に想起させることができる。例えば、「扉閉演出」及び「扉開演出」を経て「通常モード」から「チャンスモード」に移行したとすると、遊技者に「高確率状態」に移行したことへの期待感を抱かせることができる。ただし、「チャンスモード」は常に「高確率状態」であることを意味するのではなく、あくまで「高確率状態の可能性がある」ことを意味するものとして位置付けられる。これは、本実施形態では「隠し確変」の場合と「小当り」の場合とで、共通の「チャンスモード」を対応させているからである。
一方、本実施形態では上記のように、「小当り」又は「隠し確変」については、そのときの開放回数によって期待度が異なってくる。このため、「チャンスモード」にも複数のパターンとして「チャンスモード1〜3」を設けることで、それぞれ遊技者に与える期待度に違いを設けている。例えば、「チャンスモード1」は期待度が最も低く(低チャンスモード)、それよりも「チャンスモード2」の方が期待度は高くなり(高チャンスモード)、「チャンスモード3」では期待度が最も高くなるか、もしくは「高確率状態」が確定する(特殊なチャンスモード)といった具合である。
〔チャンスモード移行〕
このように、本実施形態では「開放回数ごとに異なる期待度」と、「チャンスモードごとの期待度」とをうまく対応させることで、パチンコ機1の挙動に同期させて演出上のモードを「通常モード」から「チャンスモード」に発展させることができる。すなわち、「開放回数が多ければ多いほど(ラウンド数が進めば進むほど)高確率状態への期待度が高まる」という制御上の遊技性を、「演出モードが変化していくほど隠し確変の期待度が高まる」という直感的で分かりやすい趣向として表現することができるのである。以下、開放回数の増加(ラウンド数の進行)に伴うモード移行演出について、具体例を挙げながら説明する。
〔2回開放発展時の演出例〕
図18は、1回開放から2回開放(図中に便宜上「2R」と表記)に発展する場合の演出例を示す連続図である。以下、演出例について順を追って説明する。
〔煽り演出〕
図18中(I):図16中(D)に示される「扉閉演出」に続き、表示画面内では閉じた扉をがたがたと震わせるような挙動を表す演出が行われる。なお、このような演出は図17中(E)に示される演出例と共通である。
〔扉開演出〕
図18中(J):続いて上記の「扉開演出」が行われる。このような扉開演出は、図17中(F)に示される演出例と共通である。
図18中(K):「扉開演出」により扉が開かれた段階で、瞬間的に前回までと同じ「通常モード画像」が表示されるが、表示画面の中央位置には別の女性キャラクターの画像が表示されている。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、このような「2回開放発展演出」は、例えば大入賞口開閉動作処理で開放回数の1回目に可変入賞装置30が開放されている短時間(図11中のステップS5302〜ステップS5304)に実行される。
〔2回開放発展演出〕
図18中(L):上記の「扉開演出」に続き、2回目の扉閉演出によって「2回開放発展演出」が実行される。この演出は、次の2回目の挙動(可変入賞装置30の開放動作)に備えるために行われるものである。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、この段階での「2回開放発展演出」は、大入賞口開閉動作処理で1回目に可変入賞装置30が閉止されるタイミング(図11中のステップS5312)に同期して実行される。また「2回開放発展演出」が実行された場合、実際のパチンコ機1の挙動も開放回数が2回以上(2ラウンド以上の確変大当り又は2回開放以上の小当り)であることが確定する。
以上の「2回開放発展演出」が実行された場合、開放回数2回以上の当りが確定するが、実際に「2回開放小当り」又は「2ラウンド確変大当り」に該当した場合、以下の2回開放終了演出が実行される。
〔2回開放終了演出〕
図19は、2回の開放(図中に便宜上「2R」と表記)で終了する場合の演出例を示す連続図である。以下、この演出例について順を追って説明する。
〔2回目の煽り演出〕
図19中(M):図18中(L)に示される「扉閉演出」に続き、表示画面内では閉じた扉をがたがたと震わせるような挙動を表す2回目の煽り演出が行われる。なお、このような演出は図17中(E)や図18中(I)に示される演出例と共通である。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、2回目の「煽り演出」は、例えば大入賞口開閉動作処理で1回目に可変入賞装置30が閉止されてから、次の2回目の開放動作が実行されるまでのインターバル待機処理(図11中のステップS5314)の間に実行される。
〔2回目の扉開演出〕
図19中(N):続いて、2回目の扉開演出が行われる。なお2回目についても、扉開演出は図17中(F)や図18中(J)に示される演出例と共通でよい。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、2回目の扉開演出は例えば大入賞口開閉動作処理で、2回目に可変入賞装置30が開放される動作(図11中のステップS5302)に同期して実行される。これにより、「何らかの当りで大入賞口が2回まで開放された」ことを遊技者に対して訴求させることができる。
図19中(O):可変入賞装置30の動作が2回の開放で終了する場合、2回目の「扉開演出」に続いて、背景画像として例えば「浴衣モード」の文字情報とともに表示画面の中央に浴衣を着こなした別の女性キャラクターの画像が表示される。このような背景画像は、上記の「通常モード画像」とは異なるものであり、演出上で異なるモードに変化したことを遊技者に対して視覚的に訴求させることができる。本実施形態では、この背景画像を上記の「チャンスモード1」に対応した「チャンスモード1画像」とする。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、「チャンスモード1画像」を表示する演出は、上記の「扉開演出」を実行した後、例えば大入賞口開閉動作処理で2回目に可変入賞装置30が開放されてからインターバル待機処理(図11中のステップS5302〜ステップS5314)を経て、終了処理(図12)が実行されるまでの間に実行される。
〔チャンスモード1移行演出〕
図19中(P):そして、「2回開放小当り」又は「2ラウンド確変大当り」の終了後、特別図柄の変動表示に同期して上記の変動表示演出が再開される。このときの背景画像は「チャンスモード1画像」であり、これにより2回の扉の開閉動作を経て、演出上で「通常モード」から「チャンスモード1」に移行したことが遊技者に知らされる。このとき、上記のように開放回数が2回となる挙動発生時の信頼度が9.09%であることから、「チャンスモード1」に移行することで、ある程度の期待感を遊技者に抱かせることができる。なお、このとき変動表示演出中のBGM(変動音)を「通常モード」とは別のものに変化させてもよい。
次に、「3回開放発展演出」の演出例について説明する。実際に「3回開放小当り」又は「3ラウンド確変大当り」に該当した場合、以下の3回開放発展演出が実行される。
〔3回開放発展時の演出例〕
図20は、2回開放から3回開放(図中に便宜上、「3R」と表記)に発展する場合の演出例を示す連続図である。以下、演出例について順を追って説明する。
〔2回目の煽り演出〕
図20中(Q):図18中(L)に示される2回目の「扉閉演出」に続き、表示画面内では閉じた扉をがたがたと震わせるような挙動を表す2回目の煽り演出が行われる。なお、2回目の煽り演出は図19中(M)に示される演出例と共通である。
〔2回目の扉開演出〕
図20中(R):続いて2回目の「扉開演出」が行われる。なお、2回目の扉開演出もまた図19中(N)に示される演出例と共通である。
図20中(S):2回目の「扉開演出」が実行された段階で、瞬間的に前回と同じ「チャンスモード1画像」が表示される。なお、このとき別の女性キャラクターの画像を表示させてもよい。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、このような「チャンスモード1画像」を一瞬だけ表示する演出は、例えば大入賞口開閉動作処理で2回目に可変入賞装置30が開放されている短時間(図11中のステップS5302〜ステップS5304)に実行される。
〔3回開放発展演出〕
図20中(T):2回目の「扉開演出」と「チャンスモード1画像」の演出に続き、3回目の扉閉演出によって「3回開放発展演出」が実行される。この演出は、次の3回目の挙動(可変入賞装置30の開放動作)に備えるために行われるものである。なお、主制御CPU72が実行する処理との関係では、この段階での「3回開放発展演出」は、大入賞口開閉動作処理で2回目に可変入賞装置30が閉止されるタイミング(図11中のステップS5312)に同期して実行される。また「3回開放発展演出」が実行された場合、実際のパチンコ機1の挙動も3回の開放(3ラウンドの確変大当り又は3回開放小当り)であることが確定する。
〔チャンスモード2移行演出〕
図21は、可変入賞装置30の3回目の開閉動作の終了後に「チャンスモード2」に移行する場合の演出例を示す連続図である。以下、この演出例について順を追って説明する。
〔3回目の煽り演出〕
図21中(U):図20中(T)に示される「3回開放発展演出」に続き、表示画面内では閉じた扉をがたがたと震わせるような挙動を表す3回目の煽り演出が行われる。なお、このような演出は図17中(E)や図18中(I)、図20中(Q)に示される演出例と共通である。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、3回目の「煽り演出」は、例えば大入賞口開閉動作処理で2回目に可変入賞装置30が閉止されてから、次の3回目の開放動作が実行されるまでのインターバル待機処理(図11中のステップS5314)の間に実行される。
〔3回目の扉開演出〕
図21中(V):続いて、3回目の扉開演出が行われる。なお3回目についても、扉開演出は図17中(F)や図18中(J)、図20中(R)に示される演出例と共通でよい。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、3回目の扉開演出は例えば大入賞口開閉動作処理で、3回目に可変入賞装置30が開放される動作(図11中のステップS5302)に同期して実行される。これにより、「何らかの当りで開放動作が3回まで達した(3ラウンドまで進んだ)」ということを遊技者に対して訴求させることができる。
図21中(W):可変入賞装置30の開放動作が3回まで進んだ場合、3回目の「扉開演出」に続いて、背景画像として例えば「花火モード」の文字情報とともに、背景画像が「花火を打ち上げる夜空」に変化し、表示画面の左側に夜空を見上げる別の女性キャラクターの画像が表示される。このときの背景画像は、上記の「通常モード画像」や「チャンスモード1」とは異なるものである。これにより、演出上でさらに異なるモードに発展したことを遊技者に対して視覚的に訴求させることができる。本実施形態では、この背景画像を上記の「チャンスモード2」に対応した「チャンスモード2画像」とする。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、このような「チャンスモード2画像」を表示する演出は、上記の「扉開演出」を実行した後、例えば大入賞口開閉動作処理で3回目に可変入賞装置30が開放されてからインターバル待機処理(図11中のステップS5302〜ステップS5314)を経て、終了処理(図12)が実行されるまでの間に実行される。
〔チャンスモード2移行演出〕
図21中(X):そして、「3回開放小当り」又は「3ラウンド確変大当り」の終了後、特別図柄の変動表示に同期して上記の変動表示演出が再開される。このときの背景画像は「チャンスモード2画像」であり、これにより3回の扉の開閉動作を経て、演出上で「通常モード」から「チャンスモード1」を経て、さらに「チャンスモード2」に発展したことが遊技者に知らされる。このとき、上記のように開放回数が3回となる挙動発生時の信頼度が25.93%であることから、「チャンスモード2」に移行することで、相当の期待感を遊技者に抱かせることができる。なお、このとき変動表示演出中のBGM(変動音)を「チャンスモード2」に固有のものに変化させてもよい。
〔扉開閉回数別の演出の出現率と期待度との関係〕
図22は、扉開閉回数別の演出の出現率とそのときの期待度を一覧にした図である。図中の左欄には、各開放回数1〜3に応じた演出上の扉開閉回数を示し、中欄には扉開閉回数別の演出の出現率を示している。また右欄には、扉開閉回数別の期待度を示している。
〔扉開閉1回〕
図22の上段に示されているように、扉開閉動作が1回だけ行われる演出の出現率は、上記の「1回開放小当り」の出現率と同じ100分の1である。このときの信頼度は、同じく0.00%である。
〔扉開閉2回〕
次に図22の中段に示されているように、扉開閉動作が2回まで行われる演出の出現率は363.64分の1であり、これは「2回開放小当り」と「2ラウンド確変大当り」との合成出現率に等しい。また、このときの信頼度は同じく9.09%である。
〔扉開閉3回〕
次に図22の下段に示されているように、扉開閉動作が3回まで行われる演出の出現率は518.52分の1であり、これは「3回開放小当り」と「3ラウンド確変大当り」との合成出現率に等しい。また、このときの信頼度は同じく25.93%である。
以上のように本実施形態では、「開放回数が多ければ多いほど(ラウンド数が進めば進むほど)『高確率状態』への期待度が高まる」という遊技性を、「扉開閉回数が1回、2回、3回と多くなるほど『高確率状態』に期待できる」という演出上の趣向として表現している。このため、「小当り」や「隠し確変」時のパチンコ機1の挙動(可変入賞装置30の開閉動作)に遊技者が気付かなかったとしても、これをパチンコ機1の挙動にリンクさせた演出として明確に遊技者に訴求させることができる。これにより、上記の「開放回数が多ければ多いほど(ラウンド数が進めば進むほど)『高確率状態』への期待度が高まる」という遊技性を遊技者に対して確実に享受させることができる。
〔演出制御処理〕
次に、以上の演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。
図23は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば、数ミリ秒周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、図柄停止時コマンド、確変昇格演出コマンド、状態指定コマンド、開放回数コマンド、エラー通知コマンド等がある。
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や結果表示演出の内容を制御したり、可変入賞装置30の作動中の演出の内容を制御したりする。なお、演出図柄管理処理の内容については別の図面を参照しながらさらに後述する。
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、変動演出パターン番号、予告演出番号、モード番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する(各種の演出実行手段としての機能を果たす。)。
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば変動表示演出中やリーチ演出中、モード移行演出中、大当り演出中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,56から演出内容に応じた音が出力される。
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数やモード移行抽選に用いられる乱数等がある。
ステップS412:その他の処理では、例えば演出用に可動体がある場合、演出制御CPU126は可動体の駆動用ICに対して制御信号を出力する。特に図示していないが、可動体は例えばソレノイドやステッピングモータ等の駆動源によって動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行うものである。これらソレノイドやステッピングモータ等の駆動源は、例えば図2中のパネル電飾基板138に接続することができる。
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU126はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる。次に、演出制御処理の中で実行される演出図柄管理処理の内容について説明する。
〔演出図柄管理処理〕
図24は、演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。演出図柄管理処理は、実行選択処理(ステップS500)、演出図柄変動前処理(ステップS502)、演出図柄変動中処理(ステップS504)、演出図柄停止表示中処理(ステップS506)及び可変入賞装置作動時処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出図柄管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ変動表示演出を開始していない状況であれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動前処理(ステップS502)を選択する。一方、既に演出図柄変動前処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動中処理(ステップS504)を選択し、演出図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として演出図柄停止表示中処理(ステップS506)を選択する。また可変入賞装置作動時処理(ステップS508)は、主制御CPU72において小当り中又は大当り中の状態に移行した場合にのみジャンプ先として選択される。小当り中又は大当り中、ステップS502〜ステップS506は実行されない。
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。その他にも演出制御CPU126は、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS504:演出図柄変動中処理では、演出制御CPU126は必要に応じて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に指示する制御情報を生成する。例えば、演出図柄を用いた変動表示演出を実行中に演出ボタン(図1,図2には示されていない)を用いた演出を行う場合、遊技者による演出ボタンの操作の有無を演出制御CPU126が監視するとともに、その結果に応じた演出内容(ボタン演出)の制御情報を表示制御CPU146に対して指示する。
ステップS506:演出図柄停止表示中処理では、演出制御CPU126は抽選結果に応じた態様で演出図柄や動画像を用いた結果表示演出の内容を制御する。すなわち、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して変動表示演出の終了と結果表示演出の実行を指示する。これを受けて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)は、実際に液晶表示器42の表示画面内でそれまで実行していた変動表示演出を終了させ、結果表示演出を実行する。これにより、特別図柄の停止表示に略同期して結果表示演出が実行され、遊技者に対して内部抽選の結果を演出的に教示(開示、告知、報知等)することができる(図柄演出実行手段)。
ステップS508:可変入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は小当り中又は大当り中の演出内容を制御する。例えば15ラウンドの大当りの場合、演出制御CPU126は液晶表示器42に表示する演出内容として15ラウンド大当り中に専用の演出パターンを選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。また演出制御CPU126は、15ラウンド大当り中の遊技の進行状況(例えば、ラウンドの進行状況)に合わせて演出パターンを選択すると、これらを適宜、演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。これにより、液晶表示器42の表示画面では15ラウンド大当り中に専用の演出画像が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
あるいは、小当り時や2ラウンド確変大当り、3ラウンド確変大当りに該当していた場合、演出制御CPU126は上記の扉開閉動作を含む「モード移行演出」を実行させる制御を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
〔演出図柄変動前処理〕
図25は、上記の演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS600:演出制御CPU126は、主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、デモ演出用コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、デモ演出用コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS602を実行する。
ステップS602:演出制御CPU126は、デモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理の末尾のアドレスに復帰する。そして演出制御CPU126はそのまま演出制御処理に復帰し、続く表示出力処理(図23中のステップS404)、ランプ駆動処理(図23中のステップS406)においてデモ演出パターンに基づいてデモ演出の内容を制御する。
一方、ステップS600においてデモ演出用コマンドが保存されていないことを確認すると(No)、演出制御CPU126は次にステップS604を実行する。
ステップS604:演出制御CPU126は、今回の変動がはずれ(非当選)であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、非当選時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS612を実行する。逆に、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はステップS606を実行する。なお、今回の変動がはずれか否かの確認は、抽選結果コマンドの他に変動パターンコマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドがはずれ通常変動又ははずれリーチ変動に該当していれば、今回の変動がはずれであると判定することができる。
ステップS606:抽選結果コマンドが非当選以外であれば(ステップS604:No)、次に演出制御CPU126は、今回の変動が大当りであるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、大当り時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS610を実行する。逆に、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、残るは小当り時の抽選結果コマンドだけであるので、この場合、演出制御CPU126はステップS608を実行する。なお、今回の変動が大当りであるか否かの確認もまた、変動パターンコマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドが大当り変動に該当していれば、今回の変動が大当りであると判定することができる。
ステップS608:演出制御CPU126は、小当り時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「C0H00H」〜「D0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。演出パターン番号は、変動パターンコマンドと対になって予め用意されており、演出制御CPU126は図示しない演出パターン選択テーブルを参照して、そのときの変動パターンコマンドに対応した演出パターン番号を選択することができる。
また演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチの種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様等を決定する。なお、ここで決定される演出図柄の種類は、上記の「チャンス当選目」に対応したものであり、全て「小当り時の図柄の組み合わせ」に該当するものとなっている。
以上の手順は「小当り」に該当した場合であるが、「大当り」に該当した場合(15ラウンド以外の大当りの場合も含む)、演出制御CPU126はステップS606で「大当り」であることを確認する(Yes)。この場合、演出制御CPU126はステップS610を実行する。
ステップS610:演出制御CPU126は、大当り時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「E0H00H」〜「F0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。ここで決定される演出図柄の種類は、上記の「大当りの組み合わせ」を構成するものの他に「チャンス当選目」を構成するものも含まれる。なお、大当り時演出パターン選択処理の中では、さらに大当り時停止図柄別に処理を分岐させてもよい。
また、非当選時の場合は以下の手順が実行される。すなわち、演出制御CPU126はステップS604ではずれであることを確認すると(Yes)、次にステップS612を実行する。
ステップS612:演出制御CPU126は、はずれ時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「A0H00H」〜「A6H7FH」)に基づいて、はずれ時の演出パターン番号を決定する。はずれ時の演出パターン番号は、「はずれ通常変動」や「時短はずれ変動」、「はずれリーチ変動」等に分類されており、さらに「はずれリーチ変動」には細かいリーチ変動パターンが規定されている。なお、演出制御CPU126がいずれの演出パターン番号を選択するかは、主制御CPU72から送信された変動パターンコマンドによって決まる。
はずれ時の演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「七」−「二」−「八」等)を決定する。
以上のステップS608,ステップS610,ステップS612のいずれかの処理を実行すると、演出制御CPU126は次にステップS614を実行する。
ステップS614:演出制御CPU126は、予告選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は今回の変動表示演出中に実行するべき予告演出の内容を抽選によって選択する。予告演出の内容は、例えば内部抽選の結果(当選又は非当選)や現在の内部状態(通常状態、高確率状態、時間短縮状態)に基づいて決定される。予告演出は、変動表示演出中にリーチ状態が発生する可能性を遊技者に予告したり、最終的に大当りになる可能性があることを予告したりするものである。したがって、非当選時には予告演出の選択比率は低く設定されているが、当選時には遊技者の期待感を高めるため、予告演出の選択比率は比較的高く設定されている。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理(末尾アドレス)に復帰する。
〔可変入賞装置作動時処理〕
図26は、可変入賞装置作動時処理の手順例を示すフローチャートである。上記のように可変入賞装置作動時処理は、主制御CPU72において小当り中又は大当り中の状態に移行した場合にのみジャンプ先として選択されるが、その中でも「小当り」又は「大当り」の違いによってさらに処理を分岐させるためのものである。
ステップS700:先ず演出制御CPU126は、現在の状態が大当り中であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、大当り中の状態指定コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、大当り中であることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS800を実行する。逆に、大当り中ではないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はステップS900を実行する。ステップS800,ステップS900については、それぞれ別のフローチャートを参照して説明する。
〔大当り時演出選択処理〕
図27は、上記の大当り時演出選択処理の手順例を示すフローチャートである。この大当り時演出選択処理は、可変入賞装置30の作動に伴う演出を実行するとともに、2ラウンド又は3ラウンド確変大当りの場合、それぞれのラウンド数やその他の条件に応じてモード移行演出を実行させるためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS802:演出制御CPU126は、今回の大当りが15ラウンド大当りであるか否かを確認する。この確認は、例えばRAM130のコマンドバッファ領域に保存されている停止図柄コマンドに基づいて行うことができる。すなわち、停止図柄コマンドが15ラウンド大当り図柄以外であった場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS804を実行する。
ステップS804:演出制御CPU126は、今回の大当りが2ラウンド大当りであるか否かを確認する。この確認もまた、上記の停止図柄コマンドに基づいて行うことができる。その結果、今回の大当りが2ラウンド大当りであることを確認すると(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS806を実行する。
〔2ラウンド確変大当り時〕
ステップS806:演出制御CPU126は、大入賞口2回開放演出選択処理を実行する。この処理では、演出図柄を用いた結果表示演出(図16中(B))に続く演出として、演出制御CPU126は上記の扉閉演出(図16中(C),(D))から2回開放発展演出(図18)、そして2回目の扉開演出までの演出(図19中(M),(N))の内容を選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、2回開放時の扉の画像番号や各扉閉演出、煽り演出、扉開演出等のタイミングを指定した演出スケジュールを決定する。この演出スケジュールで指定されるスケジューラにより、可変入賞装置30の挙動と演出の同期をとることができる。
ステップS808:次に演出制御CPU126は、今回の2ラウンド大当りが「時間短縮機能」付きに該当するか否かを確認する。この確認は、今回の大当り時に主制御CPU72から送信された遊技状態コマンドとして、「時間短縮中」を表すものが保存されているか否かによって行うことができる。その結果、「時間短縮中」を表す状態指定コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS810を実行する。
ステップS810:演出制御CPU126は、演出上のモードとして上記の「チャンスモード1」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「01H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから上記の「チャンスモード1画像」に対応する背景画像データ番号を選択する。
ステップS812:一方、先のステップS808で「時間短縮中」を表す状態指定コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は演出上のモードとして「チャンスモード3」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「03H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから「チャンスモード3画像」に対応する背景画像データ番号を選択する。なお、「チャンスモード3」についてはさらに後述する。
以上は2ラウンド大当りの場合の手順例であるが、3ラウンド大当り時には以下の手順が実行される。
〔3ラウンド確変大当り時〕
ステップS814:先のステップS804で2ラウンド大当りでないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126は大入賞口3回開放演出選択処理を実行する。この処理では、演出図柄を用いた結果表示演出(図16中(B))に続く演出として、演出制御CPU126は上記の扉閉演出(図16中(C),(D))から2回開放発展演出(図18)、3回開放発展演出(図20)、そして3回目の扉開演出までの演出(図21中(U),(V))の内容を選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、3回開放時の扉の画像番号や各扉閉演出、煽り演出、扉開演出等のタイミングを指定した演出スケジュールを決定する。
ステップS816:次に演出制御CPU126は、今回の3ラウンド大当りが「時間短縮機能」付きに該当するか否かを確認する。確認の方法は、先のステップS808と同様である。その結果、「時間短縮中」を表す状態指定コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS818を実行する。
ステップS818:演出制御CPU126は、演出上のモードとして上記の「チャンスモード2」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「02H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから上記の「チャンスモード2画像」に対応する背景画像データ番号を選択する。
ステップS820:一方、先のステップS816で「時間短縮中」を表す状態指定コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は演出上のモードとして「チャンスモード3」を選択する。なお、この手順は先のステップS812と同様である。
以上が2ラウンド大当り又は3ラウンド大当りの場合の手順例であるが、15ラウンド大当り時には以下の手順が実行される。
〔15ラウンド大当り時〕
ステップS822:最初のステップS802で15ラウンド大当りであることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は大入賞口15回開放演出選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は大当り中の演出内容を選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、大当り時に表示されるの画像番号や表示タイミングを指定した演出スケジュールを決定する。
ステップS824:次に演出制御CPU126は、今回の15ラウンド大当りが特定図柄(確変図柄)に該当するか否かを確認する。この確認は、例えば上記の停止図柄コマンドに基づいて行うことができる。その結果、特定図柄(確変図柄)を表す停止図柄コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS826を実行する。
ステップS826:演出制御CPU126は、演出上のモードとして「時短モード」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「0AH」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから「時短モード」に対応する背景画像データ番号を選択する。特に図示していないが、「時短モード」に対応する背景画像は例えば「盆踊り会場」を表す画像である。
ステップS828:一方、先のステップS828で特定図柄を表す停止図柄コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は演出上のモードとして「確変モード」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「64H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから「確変モード」に対応する背景画像データ番号を選択する。特に図示していないが、「確変モード」に対応する背景画像は例えば「御輿」を表す画像である。
以上のステップS810,ステップS812,ステップS818,ステップS820,ステップS826,ステップS828のいずれかの手順を経てモードを選択すると、演出制御CPU126は可変入賞装置作動時処理に復帰する。
〔小当り時演出選択処理〕
図28は、上記の小当り時演出選択処理の手順例を示すフローチャートである。この小当り時演出選択処理は、可変入賞装置30の作動に伴う演出を実行するとともに、1回開放、2回開放又は3回開放小当りについて、それぞれの開放回数やその他の条件に応じてモード移行演出を実行させるためのものである。以下、手順に沿って説明する。
ステップS902:演出制御CPU126は、今回の小当りが1回の開放であるか否かを確認する。この確認もまた、例えばRAM130のコマンドバッファ領域に保存されている停止図柄コマンドに基づいて行うことができる。すなわち、停止図柄コマンドが1回開放小当り図柄に該当する場合(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS904を実行する。
ステップS904:演出制御CPU126は、大入賞口1回開放演出選択処理を実行する。この処理では、演出図柄を用いた結果表示演出(図16中(B))に続く演出として、演出制御CPU126は上記の扉閉演出(図16中(C),(D))から1回開放終了時演出(図17)までの内容を選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、1回開放時の扉の画像番号や各扉閉演出、煽り演出、扉開演出等のタイミングを指定した演出スケジュールを決定する。この演出スケジュールで指定されるスケジューラにより、小当り時の可変入賞装置30の挙動と演出の同期をとることができる。
ステップS906:次に演出制御CPU126は、前回までが「チャンスモード3」であったか否かを確認する。すなわち演出制御CPU126は、今回の小当りが得られた時点でのモード番号を参照し、その値が「チャンスモード3」に対応する「03H」でなければ(No)、次にステップS908を実行する。
ステップS908:演出制御CPU126は、演出上のモードとして上記の「通常モード」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「00H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから上記の「通常モード画像」に対応する背景画像データ番号を選択する。
ステップS910:一方、先のステップS906で前回までが「チャンスモード3」であることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は演出上のモードとして「チャンスモード3」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として引き続き前回までと同じ「03H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから「チャンスモード3画像」に対応する背景画像データ番号を引き続き選択する。
以上は1回開放小当りの場合の手順例であるが、2回開放小当り時には以下の手順が実行される。
〔2回開放小当り時〕
先のステップS902で1回開放小当りでないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS912を実行する。
ステップS912:演出制御CPU126は、今回の小当りが2回の開放であるか否かを確認する。例えば、RAM130のコマンドバッファ領域に保存されている停止図柄コマンドが2回開放小当り図柄に該当する場合(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS914を実行する。
ステップS914:演出制御CPU126は、大入賞口2回開放演出選択処理を実行する。この処理では、演出図柄を用いた結果表示演出(図16中(B))に続く演出として、演出制御CPU126は上記の扉閉演出(図16中(C),(D))から2回開放発展演出(図18)、そして2回目の扉開演出までの演出(図19中(M),(N))の内容を選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、2回開放時の扉の画像番号や各扉閉演出、煽り演出、扉開演出等のタイミングを指定した演出スケジュールを決定する。
ステップS916:次に演出制御CPU126は、前回までが「チャンスモード3」であったか否かを確認する。すなわち演出制御CPU126は、今回の小当りが得られた時点でのモード番号を参照し、その値が「チャンスモード3」に対応する「03H」でなければ(No)、次にステップS918を実行する。
ステップS918:演出制御CPU126は、演出上のモードとして上記の「チャンスモード1」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「01H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから上記の「チャンスモード1画像」に対応する背景画像データ番号を選択する。
ステップS920:一方、先のステップS916で前回までが「チャンスモード3」であることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は演出上のモードとして「チャンスモード3」を選択する。なお手順の内容は、先のステップS910と同様である。
〔3回開放小当り時〕
最後に、3回開放小当り時には以下の手順が実行される。すなわち、先のステップS912で2回開放小当りでないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS922を実行する。
ステップS922:演出制御CPU126は、大入賞口3回開放演出選択処理を実行する。この処理では、演出図柄を用いた結果表示演出(図16中(B))に続く演出として、演出制御CPU126は上記の扉閉演出(図16中(C),(D))から2回開放発展演出(図18)、3回開放発展演出(図20)、そして3回目の煽り演出(図21中(U))、扉開演出(図21中(V))までの内容を選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、3回開放時の扉の画像番号や各扉閉演出、煽り演出、扉開演出等のタイミングを指定した演出スケジュールを決定する。
ステップS924:ここでも演出制御CPU126は、前回までが「チャンスモード3」であったか否かを確認する。すなわち演出制御CPU126は、今回の小当りが得られた時点でのモード番号を参照し、その値が「チャンスモード3」に対応する「03H」でなければ(No)、次にステップS926を実行する。
ステップS926:演出制御CPU126は、演出上のモードとして上記の「チャンスモード2」を選択する。この場合、演出制御CPU126はモード番号として例えば「02H」を選択する。また演出制御CPU126は、図示しない背景画像データテーブルから上記の「チャンスモード2画像」に対応する背景画像データ番号を選択する。
ステップS928:一方、先のステップS924で前回までが「チャンスモード3」であることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は演出上のモードとして「チャンスモード3」を選択する。なお手順の内容は、先のステップS910,ステップS920と同様である。
以上のステップS908,ステップS910,ステップS918,ステップS920,ステップS926,ステップS928のいずれかの手順を経てモードを選択すると、演出制御CPU126は可変入賞装置作動時処理に復帰する。
〔モード移行演出のまとめ〕
以上のように、小当り、2ラウンド確変大当り、又は3ラウンド確変大当りのいずれか当選時には上記のモード移行演出を実行することで(モード移行演出実行手段)、開放回数ごとに遊技者に与える期待感を段階的に変化させることができる。特に上記の制御例では、開放回数が2回以上の小当り又は大当り時に実行される演出の内容は共通に選択されるため(演出内容設定手段)、演出の内容から直ちに小当り又は大当りを遊技者が判別することは困難である。これにより、モード移行演出による開放回数ごとの信頼度(図22)を正確に再現することが可能となる。
〔チャンスモード3への移行条件〕
次に、「チャンスモード3」への移行について説明する。演出上で「チャンスモード3」以外から「チャンスモード3」に移行するための条件は、「2ラウンド確変大当り」又は「3ラウンド確変大当り」時に「時間短縮状態フラグ」がセットされていることである。この条件を満たすのは、既に「高確率状態」に移行している間の内部抽選で非当選以外となり、「2ラウンド確変大当り」又は「3ラウンド確変大当り」に該当した場合である。この場合、例えば以下のモード移行演出が実行される。
〔チャンスモード3移行演出例:特殊モード移行演出実行手段〕
図29は、「チャンスモード3」への移行時に行われる演出例を示す連続図である。以下、順を追って説明する。
図29中(A):結果表示演出として、例えば表示画面の中段位置に漢数字の「一」−「三」−「五」を表す「チャンス当選目」が表示される。なお、「チャンスモード3」移行時に表示される「チャンス当選目」はこれ以外の組み合わせであってもよい。また特に図示していないが、このとき特別図柄は「2ラウンド特定確変図柄」又は「3ラウンド特定確変図柄」のいずれかの態様で停止表示されている。
図29中(B):この後、例えば上記の2回開放発展演出又は3回開放発展演出を経て、最後に扉開演出が行われると(いずれも図示していない)、表示画面の中央位置にVサインのポーズをとった女性キャラクターの画像が表示される。
図29中(C):続いて、背景画像として例えば「お祭りモード」の文字情報とともに、表示画面に祭りに関係する背景画像(例えば、太鼓、提灯、団扇、花火等の画像を並べたもの)が表示される。この背景画像は、「チャンスモード3」に対応した「チャンスモード3画像」である。また、主制御CPU72が実行する処理との関係では、「チャンスモード3画像」を表示する演出は、例えば大入賞口開閉動作処理で最後(2ラウンド目又は3ラウンド目)に可変入賞装置30が開放されてからインターバル待機処理(図11中のステップS5302〜ステップS5314)を経て、終了処理(図12)が実行されるまでの間に実行される。
図29中(D):この後、特別図柄の変動表示に同期して、上記の変動表示演出が再開される。このときの背景画像は「チャンスモード3画像」であり、これにより扉の開閉動作を経て演出上のモードが「チャンスモード3」に移行したことが遊技者に対して明確に知らされる。また、このような「チャンスモード3画像」を表示することで、「高確率状態」及び「時間短縮状態」に合わせて移行した有利な状態であることを遊技者に対して明確に訴求することができる。
なお「時間短縮状態」に移行すると、普通図柄を用いた内部抽選が高確率状態(例えば251分の250程度)となり、普通図柄はほぼ毎回の変動で当りの態様となる。また、合わせて普通図柄変動時間短縮機能が作動し、普通図柄の変動時間が通常中よりも短縮(通常で4秒程度→1秒程度に短縮)される。したがって「時間短縮状態」では、可変始動入賞装置28が作動する頻度が高まっている(いわゆる電チューサポート)。そして、特別図柄の変動時間が通常よりも短縮化(例えば非当選時の変動時間が10分の1程度に短縮)されるので、遊技の時間効率が向上した状態となり、その表面的な挙動を遊技者が容易に認識することができる。このように本実施形態では、「高確率状態」及び「時間短縮状態」に合わせて移行した場合は「チャンスモード3」として専用の背景画像を使用することにより、遊技者が直感的に現在の状態を認識しやすくしている。
さらに本実施形態は、これまでの内容に留まらない。すなわち本実施形態では、内部抽選で非当選となった場合にも、適度な頻度でモード移行演出を発生させることで、長らく小当りや大当りが得られなくなっている状況において、遊技がマンネリ化するのを適度に防止している。以下、非当選時のモード移行演出の制御手法について説明する。
〔はずれ時演出パターン選択処理〕
図30は、はずれ時演出パターン選択処理の手順例を示すフローチャートである。この処理は、上記の演出図柄変動前処理の中(図25中のステップS612)で実行されるものである。
ステップS300:演出制御CPU126は、背景チェンジ予告抽選を実行する。この背景チェンジ予告抽選は、非当選時のモード移行演出を実行するか否かの抽選に該当するものである。例えば、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域から背景チェンジ予告決定乱数を取得すると、その値を基に抽選テーブルを参照し、「背景チェンジ予告あり」又は「背景チェンジ予告なし」のいずれかを抽選で決定する。なお背景チェンジ予告決定乱数は、例えば上記の演出乱数更新処理(図23中のステップS410)において更新されている。
ステップS302,ステップS304:先のステップS300で「背景チェンジ予告なし」を決定した場合(No)、演出制御CPU126は現状のモードを継続する。具体的には、演出制御CPU126は現状で選択しているモード番号をそのまま継続する。
ステップS318:そして演出制御CPU126は、はずれ変動演出パターンを選択する。なお選択の手法は、既に上記の演出図柄変動前処理(ステップS612)で述べたとおりである。以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄変動前処理に復帰する。
〔背景チェンジ予告あり時〕
これに対し、先のステップS300で「背景チェンジ予告あり」を決定した場合(ステップS302:Yes)、演出制御CPU126は次にステップS306を実行する。
ステップS306:演出制御CPU126は、現在のモードが「通常モード」であるか否かを確認する。すなわち演出制御CPU126は、現状で選択しているモード番号を参照し、その値が「通常モード」に対応する「00H」であれば(Yes)、次にステップS308を実行する。
〔現状が通常モードの場合〕
ステップS308:演出制御CPU126は、演出上のモードとして上記の「通常モード」又は「チャンスモード1」のいずれかを抽選で決定する。例えば、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域からモード決定乱数を取得すると、その値を基にモード移行抽選テーブルを参照し、モード移行先として「通常モード」又は「チャンスモード1」のいずれかを抽選で決定する。そして演出制御CPU126は、決定したモード移行先のモード番号を新たに選択する。なおモード決定乱数は、例えば上記の演出乱数更新処理(図23中のステップS410)において更新されている。また、モード移行抽選テーブルの例については、別の図面を参照しながら後述する。
一方、先のステップS306において、現状で選択しているモード番号の値が「通常モード」に対応する「00H」以外であることを確認した場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS310を実行する。
ステップS310:演出制御CPU126は、現在のモードが「チャンスモード1」であるか否かを確認する。すなわち演出制御CPU126は、現状で選択しているモード番号を参照し、その値が「チャンスモード1」に対応する「01H」であれば(Yes)、次にステップS312を実行する。
〔現状がチャンスモード1の場合〕
ステップS312:演出制御CPU126は、演出上のモードとして上記の「通常モード」、「チャンスモード1」又は「チャンスモード2」のいずれかを抽選で決定する。抽選の手法は、上記のステップS308と同様である。
一方、先のステップS310において、現状で選択しているモード番号の値が「チャンスモード1」に対応する「01H」以外であることを確認した場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS314を実行する。この場合、現状のモードは「チャンスモード2」である。
〔現状がチャンスモード2の場合〕
ステップS314:演出制御CPU126は、演出上のモードとして「チャンスモード1」又は「チャンスモード2」のいずれかを抽選で決定する。抽選の手法は、上記のステップS308と同様である。
ステップS316:上記の手順を経てモード移行抽選を実行すると、演出制御CPU126は、選択したモード別の背景チェンジ予告パターンを選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、背景チェンジ予告時の扉の画像番号や扉閉演出、煽り演出、扉開演出等のタイミングを指定した演出スケジュールを決定する。なお背景チェンジ予告は、例えば変動表示演出中のいずれかのタイミングで実行されるものとする。このため演出スケジュールは、特別図柄の変動時間内に背景チェンジ予告を発生させるタイミングを指定したものとなっている。
ステップS318:背景チェンジ予告ありを選択した場合についても、演出制御CPU126ははずれ変動演出パターンを選択する。そして、以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄変動前処理に復帰する。
〔モード移行抽選テーブルの例〕
図31及び図32は、内部確率状態別に用意されたモード移行抽選テーブルの構造例を示す図である。図31は内部低確率時(通常時)の抽選テーブルであり、図32は内部高確率時(高確率状態)の抽選テーブルである。また、図31中(A)が通常モード時モード移行先抽選テーブル(1)を示し、図31中(B)がチャンスモード1時モード移行抽選テーブル(1)を示し、そして図31中(C)がチャンスモード2時モード移行抽選テーブル(1)を示す。また、図32中(A)が通常モード時モード移行先抽選テーブル(2)を示し、図32中(B)がチャンスモード2時モード移行抽選テーブル(2)を示し、そして図32中(C)がチャンスモード2時モード移行抽選テーブル(2)を示す。末尾の数字(1)は内部低確率時を表し、末尾の数字(2)は内部高確率時を表している。
これらモード移行先抽選テーブルは、例えば2段階又は3段階の比較値を規定して、各比較値に抽選結果として、下位からモード番号「00H」,「01H」,「02H」を対応させた構造である。演出制御CPU126は、取得したモード決定乱数(0〜255)の値と比較値とを比較し、乱数値が比較値以下である場合、その比較値に対応するモード番号を選択する。以下、テーブル別に説明する。
〔通常モード時モード移行抽選テーブル(1)〕
図31中(A):この抽選テーブルにおいて、最上段に示される比較値「229」には「通常モード」を表すモード番号「00H」が対応し、中段に示される比較値(ここでは最大値の「FFH」)には「チャンスモード1」を表すモード番号「01H」が対応している。なお、最下段には「チャンスモード2」を表すモード番号「02H」が指定されているが、ここには比較値が割り当てられていない。したがって演出制御CPU126が上記のはずれ時演出パターン選択処理(図30中のステップS308)でこの抽選テーブルを参照することにより、「チャンスモード2」以外の「通常モード」又は「チャンスモード1」を選択することができる。
〔チャンスモード1時モード移行抽選テーブル(1)〕
図31中(B):この抽選テーブルにおいて、最上段に示される比較値「199」には「通常モード」を表すモード番号「00H」が対応し、中段に示される比較値「238」には「チャンスモード1」を表すモード番号「01H」が対応し、そして最下段に示される比較値(ここでは最大値の「FFH」)には「チャンスモード2」を表すモード番号「02H」が対応している。したがって演出制御CPU126が上記のはずれ時演出パターン選択処理(図30中のステップS312)でこの抽選テーブルを参照することにより、「通常モード」、「チャンスモード1」又は「チャンスモード2」のいずれかを選択することができる。
〔チャンスモード2時モード移行抽選テーブル(1)〕
図31中(C):この抽選テーブルにおいて、中段に示される比較値「238」には「チャンスモード1」を表すモード番号「01H」が対応し、最下段に示される比較値(ここでは最大値の「FFH」)には「チャンスモード2」を表すモード番号「02H」が対応している。なお、最上段には「通常モード」を表すモード番号「00H」が指定されているが、ここには比較値が割り当てられていない。したがって演出制御CPU126が上記のはずれ時演出パターン選択処理(図30中のステップS314)でこの抽選テーブルを参照することにより、「通常モード」以外の「チャンスモード1」又は「チャンスモード2」を選択することができる。
〔通常モード時モード移行抽選テーブル(2)〕
図32中(A):この抽選テーブルは、内部低確率時の通常モード時モード移行抽選テーブル(1)と比較値の設定が異なっている。具体的には、最上段に示される比較値が「25」であり、内部低確率時よりも「通常モード」の選択比率が低くなっている。したがって、その分だけ中段に示される比較値の範囲(「26」〜「FFH」)が拡大するため、相対的に「チャンスモード1」の選択比率が高くなっている。
〔チャンスモード1時モード移行抽選テーブル(2)〕
図32中(B):この抽選テーブルもまた、内部低確率時のチャンスモード1時モード移行抽選テーブル(1)と各段の比較値の設定が異なっている。具体的には、最上段に示される比較値が「16」であり、内部低確率時よりも「通常モード」の選択比率が低くなっている。次に、中段に示される比較値は「55」であるが、比較値の範囲(「17」〜「55」)でみると、その大きさは内部低確率時と同じ設定である。したがって、「チャンスモード1」の選択比率は内部確率状態によって変化しない。一方、最下段に示される比較値の範囲(「56」〜「FFH」)が拡大するため、相対的に「チャンスモード2」の選択比率が高くなっていることが分かる。
〔チャンスモード2時モード移行抽選テーブル(2)〕
図32中(C):この抽選テーブルもまた、内部低確率時のチャンスモード2時モード移行抽選テーブル(2)と比較値の設定が異なっている。具体的には、中段に示される比較値が「177」であり、内部低確率時よりも「チャンスモード1」の選択比率が低くなっている。したがって、その分だけ最下段に示される比較値の範囲(「178」〜「FFH」)が拡大するため、相対的に「チャンスモード2」の選択比率が高くなっていることが分かる。
〔内部確率状態別のモード移行先選択比率〕
図33は、内部確率状態別のモード移行先選択比率を一覧にして示した図である。このうち図33中(A)が内部低確率時の選択比率一覧を示し、図33中(B)が内部高確率時の選択比率一覧を示している。
〔内部低確率時〕
図33中(A):この一覧は、内部低確率状態で「背景チェンジ予告あり」が選択された場合、現在の滞在モードから移行先として各モードが選択される比率を示している。
〔通常モードからの移行先〕
この選択比率では、現状が「通常モード」の場合は同じ「通常モード」が維持されやすく、そこから「チャンスモード1」へは移行しにくいことが分かる。なお、現状から「チャンスモード2」へは移行しない。
〔チャンスモード1からの移行先〕
また、現状が「チャンスモード1」の場合は「通常モード」への移行が発生しやすく、現状の「チャンスモード1」が維持される比率が低い。また、現状から「チャンスモード2」へは移行しにくいことが分かる。
〔チャンスモード2からの移行先〕
そして、現状が「チャンスモード2」の場合は「チャンスモード1」への移行が発生しやすく、現状の「チャンスモード2」が維持される比率が低い。なお、現状から「通常モード」へは移行しない。
〔内部高確率時〕
図33中(B):この一覧は、内部高確率状態で「背景チェンジ予告あり」が選択された場合、現在の滞在モードから移行先として各モードが選択される比率を示している。
〔通常モードからの移行先〕
この選択比率では、現状が「通常モード」の場合は「チャンスモード1」に移行しやすく、現状の「通常モード」は継続しにくくなっている。なお、内部高確率時でも現状から「チャンスモード2」へは移行しない。
〔チャンスモード1からの移行先〕
また、現状が「チャンスモード1」の場合は「チャンスモード2」への移行が発生しやすく、現状の「チャンスモード1」が維持される比率が低い。また、現状から「通常モード」へは移行しにくいことが分かる。
〔チャンスモード2からの移行先〕
そして、現状が「チャンスモード2」の場合は「チャンスモード1」への移行が適度に発生しやすく、現状の「チャンスモード2」が維持される比率はある程度低い。なお、現状から「通常モード」へは移行しない。
以上のような選択比率を内部確率状態別で採用することにより、内部低確率時にはなるべく期待度の高いモードへの移行を抑制している。これにより、遊技者に過度な期待度を抱かせることを防止することができる。一方、内部高確率時にはなるべく期待度の高いモードへの移行を発生させることで、遊技者にある程度の期待度を抱かせ、モード移行演出本来の役割を存分に発揮させることができる。
〔非当選時のモード移行演出例:変動時モード移行演出実行手段〕
図34は、非当選時に発生するモード移行演出の例をチャート形式で示した図である。
〔通常モードからの移行〕
図34中(I)→(II):現状の滞在モードが「通常モード」の場合、上記の背景チェンジ予告によって非当選時のモード移行演出が実行されると、変動演出中に扉閉演出が発生する。
〔通常モード継続〕
図34中(III):このとき、モード移行先として「通常モード」が選択されていれば、扉閉演出を経て背景画像は「通常モード画像」のまま維持される。これにより、遊技者に対してモード移行が発生しなかったことを教示することができる。
〔チャンスモード1移行時〕
図34中(VI):一方、モード移行先として「チャンスモード1」が選択されていれば、扉閉演出を経て背景画像は「チャンスモード1画像」に変化する。これにより、遊技者に対してモード移行が発生したことを訴求し、それによってある程度の期待感を抱かせることができる。
〔チャンスモード1からの移行〕
図34中(IV)→(V):現状の滞在モードが「チャンスモード1」の場合、背景チェンジ予告によって非当選時のモード移行演出が実行されると、ここでも変動演出中に扉閉演出が発生する。
〔チャンスモード1継続〕
図34中(VI):このとき、モード移行先として「チャンスモード1」が選択されていれば、扉閉演出を経て背景画像は「チャンスモード1」のまま維持される。これにより、遊技者に対してモード移行が発生しなかったことを教示することができる。
〔通常モード移行時〕
図34中(III):また、モード移行先として「通常モード」が選択されていれば、扉閉演出を経て背景画像は「通常モード」に変化する。これにより、遊技者に対してモード移行(この場合はモードダウン)が発生したことを教示し、それによって遊技者に過度な期待感を抱かせるのを防止することができる。
〔チャンスモード2移行時〕
図34中(IX):これに対し、モード移行先として「チャンスモード2」が選択されていれば、扉閉演出を経て背景画像は「チャンスモード2画像」に変化する。これにより、遊技者に対してモード移行(この場合はモードアップ)が発生したことを訴求し、それによって「チャンスモード1」よりも高い期待感を抱かせることができる。
〔チャンスモード2からの移行〕
図34中(VII)→(VIII):現状の滞在モードが「チャンスモード2」の場合、背景チェンジ予告によって非当選時のモード移行演出が実行されると、ここでも変動演出中に扉閉演出が発生する。
〔チャンスモード2継続〕
図34中(IX):このとき、モード移行先として「チャンスモード2」が選択されていれば、扉閉演出を経て背景画像は「チャンスモード2」のまま維持される。これにより、遊技者に対してモード移行(他のモードへのダウン)が発生しなかったことを教示し、それまでの期待感を維持させることができる。
〔チャンスモード1移行時〕
図34中(VI):一方、モード移行先として「チャンスモード1」が選択されていれば、扉閉演出を経て背景画像は「チャンスモード1画像」に変化する。この場合、遊技者に対してモード移行(この場合はモードダウン)が発生したことを教示し、それによって過度な期待感を抱くのを防止することができる。
以上のような非当選時のモード移行演出を適度に発生させることで、通常遊技中の間延びを防止し、遊技意欲の減退を抑えることができる。また、この間にたとえモードがダウンしたとしても、それまでの基本的な期待度は変わらないため、特段、遊技者を落胆させてしまうことはない。
〔その他の実施形態〕
上述した一実施形態では、開放回数(ラウンド数)が多くなるほど期待度が高くなる場合を例に挙げているが、本実施形態のパチンコ機1において、逆に開放回数(ラウンド数)が2回で収まったときが最も期待度が高く、3回以上に達すると期待度が低下していくという遊技性を持たせてもよい。このような遊技性を実現するには、例えば図14において、開放回数が2回の組み合わせと3回の組み合わせとで、互いの出現率を逆に入れ替えればよい。この場合、非当選時のモード移行演出が2回に収まった方が期待度を高くできるため、「なるべく2回で止まって欲しい」という別の趣向を遊技者に提供することができる。
また、一実施形態では開放回数が3回までの当りしか設けていないが、4回以上の当りを設けてもよい。この場合も同様に、開放回数が多ければ多いほど(ラウンド数が進めば進むほど)「高確率状態」の期待度を高く設定したり、逆に開放回数が2回以上に多くなるほど(2ラウンドから先に進むほど)期待度を低く設定したりすることができる。また、これに合わせて「チャンスモード」の設定を増加し、各開放回数に応じて別々の「チャンスモード」を対応させることができる。
一実施形態では、2ラウンド、3ラウンドの確変大当りと2回開放小当り、3回開放小当りとをそれぞれ組み合わせているが、2ラウンド、3ラウンドの確変大当りと2ラウンド非確変大当り、3ラウンド非確変大当りとをそれぞれ組み合わせて、互いの選択比率(出現率)を異ならせてもよい。したがって、本発明でいう「特例当選」には、「小当り」以外に「非確変大当り」も含まれる。
また、各種の演出例であげた画像はあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。一実施形態では演出用の扉の開閉動作を画像で表現しているが、扉形状の可動体を用いて扉の開閉動作を表現してもよい。その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。