以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、図1及び図2を参照して遊技機の全体構成について説明する。
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠アセンブリ2、ガラス枠ユニット4、受け皿ユニット6及びプラ枠アセンブリ7(遊技機枠)を備えている。このうち外枠アセンブリ2は、木材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠アセンブリ2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。
その他のガラス枠ユニット4や受け皿ユニット6、プラ枠アセンブリ7は外枠アセンブリ2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
図1中の正面からみてプラ枠アセンブリ7の右側縁部(図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠アセンブリ2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。図1に示されるように、外枠アセンブリ2に対してガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともにガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
また、受け皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動してプラ枠アセンブリ7とともにガラス枠ユニット4及び受け皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠アセンブリ2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、プラ枠アセンブリ7は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠だけが解除され、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。またガラス枠ユニット4を開放すると、受け皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、受け皿ユニット6をプラ枠アセンブリ7に対して前面側へ開放することができる。
またパチンコ機1は、遊技用ユニットとして遊技盤8を備えている。遊技盤8は、ガラス枠ユニット4の背後(内側)で上記のプラ枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態でプラ枠アセンブリ7に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と遊技盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
受け皿ユニット6は、全体的に外枠アセンブリ2から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また受け皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお本実施形態のパチンコ機1はいわゆるCR機(CRユニットに接続する機種)であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受け皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
受け皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、CRユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではCR機を例に挙げているが、パチンコ機1はCR機とは別の現金機(CRユニットに接続されない機種)であってもよい。
また、受け皿ユニット6の前面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きレバー6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きボタン6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きレバー6dを例えば左方向へスライドさせることで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また遊技者は、下皿球抜きボタン6eを例えば押し込み操作することで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
受け皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射手段)。発射された遊技球は、遊技盤8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。
〔盤面の構成〕
遊技領域8a内には、始動ゲート20や普通入賞口22,24、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等が設置されている。遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、あるいは、普通入賞口22,24や上始動入賞口26、作動時の可変始動入賞装置28に入賞(入球)したりする。始動ゲート20を通過した遊技球は続けて遊技領域8a内を流下するが、入賞した遊技球は遊技板に形成された貫通穴を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。
なお、上記の可変始動入賞装置28は、所定の条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で停止表示された場合)に作動し、それに伴って下始動入賞口28aへの入賞を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の可動片28bを有しており、これら可動片28bは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。すなわち、図示のように先端が上を向いた状態で左右の可動片28bは閉位置にあり、このとき下始動入賞口28aへの入賞は不能(遊技球が流入できる隙間がない状態)となっている。一方、可変始動入賞装置28が作動すると、左右の可動片28bはそれぞれ閉位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、下始動入賞口28aの開口幅を左右に拡大する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の流入が可能な状態となり、下始動入賞口28aへの入賞を発生させる。なお、遊技盤8に設置されている障害釘の配列(ゲージ)は、可変始動入賞装置28に向けて遊技球の流下を案内しやすい態様となっている。
また上記の可変入賞装置30(特別入賞事象発生手段)は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入賞を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき大入賞口への入賞は常に不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の流入が不能ではない状態となり、大入賞口への入賞という事象(特別入賞事象)を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の流入を案内する部材としても機能する。
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、入賞しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤8の裏側へ回収される。回収された遊技球は図示しない島設備の補給経路に合流する。
遊技盤8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33と普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が設けられている。このうち普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0〜4個の記憶数を表示する。
図3は、遊技盤8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。
また、第1特別図柄作動記憶ランプ34a及び第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、例えばそれぞれ2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせにより、それぞれ0〜4個の記憶数を表示する(記憶数表示手段)。例えば、2つのランプがともに消灯のときは記憶数0個を表示し、1つのランプが点灯すると記憶数1個を表示し、同じ1つのランプが点滅すると記憶数2個を表示し、この状態からもう1つのランプが点灯すると記憶数3個を表示し、そして2つのランプがともに点滅すると記憶数4個を表示する、といった具合である。
第1特別図柄作動記憶ランプ34aは、上記の上始動入賞口26に遊技球が流入すると、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ表示が増え、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ表示が減少する。また第2特別図柄作動記憶ランプ35aは、上記の可変始動入賞装置28(下始動入賞口)に遊技球が流入すると、入賞が発生したことを記憶する意味で1個ずつ表示が増え、その入賞を契機として特別図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ表示が減少する。いずれにしても、各特別図柄作動記憶ランプ34a,35aの表示数(最大4個)は、その時点で未だ第1特別図柄又は第2特別図柄の変動が開始されていない入賞の回数(入賞球数)を表している。
また遊技状態表示装置38には、例えば大当り種別表示ランプ38a,38b、確率変動状態表示ランプ38c、時短状態表示ランプ38dにそれぞれ対応する4つのLEDが含まれている。
なお本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に取り付けられている。
〔遊技盤のその他の構成:図1を参照〕
また遊技盤8には、その中央位置から右側部分にかけて演出ユニット40が設置されている。演出ユニット40は、その上縁部40aが遊技球の流下方向を変化させる案内部材として機能する他、その内側に各種の装飾部品40b,40cを備えている。装飾部品40b,40cはその立体的な造形により遊技盤8の装飾性を高めるとともに、例えば内蔵された発光器(LED等)により透過光を発することで、演出的な動作をすることができる。また演出ユニット40の内側には液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。このように遊技盤8は、その盤面の構成(図示しないセル板のデザイン)や演出ユニット40の装飾性に基づいて、遊技者にパチンコ機1の特徴を印象付けている。
演出ユニット40の左側縁部には球案内通路40dが形成されており、その下縁部には転動ステージ40eが形成されている。球案内通路40dは遊技領域8a内にて左斜め上方に開口しており、遊技領域8a内を流下する遊技球が無作為に球案内通路40d内に流入すると、その内部を通過して転動ステージ40e上に放出される。転動ステージ40eの上面は滑らかな湾曲面を有しており、ここでは遊技球が左右方向に転動自在である。転動ステージ40e上で転動した遊技球は、やがて下方の遊技領域8a内に流下する。転動ステージ40eの中央位置には球放出路40fが形成されており、このとき転動ステージ40eから球放出路40fに流下した遊技球は、その真下にある上始動入賞口26に流入しやすくなる。
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素としてガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50がガラスユニット8を取り巻くようにして複数の箇所に設置されている。また、受け皿ユニット6には受け皿ランプ52が設置されており、この受け皿ランプ52とガラス枠トップランプ46,48及びガラス枠サイドランプ50とは、外見上、パチンコ機1の前面において一体的につながっているかのようにデザインされている。
上述した各種ランプ46〜52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。またガラス枠ユニット4の上部には、左右一対のガラス枠上スピーカ54とその中央にガラス枠中スピーカ55が内蔵されており、そして受け皿ユニット6には、下皿6cの右側に受け皿スピーカ56が内蔵されている。これらスピーカ54,55,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
また受け皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン45が設置されている。遊技者は、この演出切替ボタン45を操作することで演出内容(例えば液晶表示部42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出等)を発生させたりすることができる。
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160,161、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(図4)に基づいてさらに後述する。
上記の払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aはプラ枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受け皿ユニット6に向けて案内する。
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図4は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
また主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
また主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、大当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0〜65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力ドライバ(I/O)79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
上述した始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また遊技盤8には、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82及びカウントスイッチ84が装備されている。各始動入賞口スイッチ80,82は、上始動入賞口26、可変始動入賞装置28(下始動入賞口28a)への遊技球の入賞を検出するためのものである。またカウントスイッチ84は、可変入賞装置30(大入賞口)への遊技球の入賞を検出し、その数をカウントするためのものである。同様に遊技盤8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。これらスイッチ類78〜86の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお遊技盤8の構成上、本実施形態ではゲートスイッチ78、カウントスイッチ84及び入賞口スイッチ86からの入賞検出信号は、パネル中継端子板87を経由して送信され、パネル中継端子板87には、それぞれの入賞検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じてこれら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aに対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、これら表示装置33,34,35,38及びランプ33a,34a,35aは、上記のように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤8に設置されており、この統合表示基板89には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
また遊技盤8には、可変始動入賞装置28及び可変入賞装置30にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。これらソレノイド88,90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28、可変入賞装置30を開閉動作(作動)させる。なお、これらソレノイド88,90についても上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
その他に上記のガラス枠ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また上記のプラ枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。ガラス枠ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また外枠アセンブリ2からプラ枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号からガラス枠ユニット4やプラ枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(ステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って上記の受け皿ユニット6に送られる。
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
またパチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、受け皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受け皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上記のように遊技領域8に向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のグリップユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。またタッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がグリップユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
上記の受け皿ユニット6には受皿中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、受皿中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、受皿中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、受皿中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
また、受け皿ユニット6にはCR基板122が内蔵されており、このCR基板122には上記の球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチや、度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号がCR基板122から受皿中継端子板118、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに送信される。またCRユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120から受皿中継端子板118を経由してCR基板122に送信される。CR基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。なお演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
また演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,55,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお各種ランプには、上記のガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50,受け皿ランプ52の他に、遊技盤8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は上記の演出ユニットに内蔵されるLEDや、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30等に内蔵されるLEDに相当するものである。なお、ここでは受け皿ランプ52がガラス枠電飾基板136に接続されている例を挙げているが、受け皿ユニット6に受け皿電飾基板を設置し、受け皿ランプ52については受け皿電飾基板を介してランプ駆動回路132に接続される構成であってもよい。
また音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、上スピーカ54及び下スピーカ56を駆動して音響出力を行う。
本実施形態ではガラス枠ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して各種ランプ46〜52やスピーカ54,55,56に印加されている。またガラス枠電飾基板136には、上記の演出切替ボタン45が接続されており、遊技者が演出切替ボタン45を操作すると、その接点信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。なお、ここではガラス枠電飾基板136に演出切替ボタン45を接続した例を挙げているが、上記の受け皿電飾基板を設置する場合、演出切替ボタン45は受け皿電飾基板に接続されていてもよい。その他、遊技盤8にはパネル電飾基板138が設置されており、ランプ駆動回路132からの駆動信号がパネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53に印加されている。
上記の液晶表示器42は遊技盤8の裏側に設置されており、遊技盤8に形成された略矩形の開口を通じてのその表示画面が視認可能となっている。また、遊技盤8の裏側にはインバータ基板158が設置されており、このインバータ基板158は液晶表示器42のバックライトに印加される交流電源を生成している。さらに、遊技盤8の裏側には演出表示制御装置144が設置されており、液晶表示器42による表示動作は、演出表示制御装置144により制御されている。演出表示制御装置144には、汎用の中央演算処理装置である表示制御CPU146とともに、表示プロセッサであるVDP152を実装した回路基板(演出表示制御基板)が装備されている。このうち表示制御CPU146は、図示しないCPUコアとともにROM148、RAM150等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。またVDP152は、図示しないプロセッサコアとともに画像ROM154やVRAM156等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。なおVRAM156は、その記憶領域の一部をフレームバッファとして利用することができる。
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46〜53等やスピーカ54,55,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。
表示制御CPU146は、VDP152に対してさらに詳細な制御信号を出力する。これを受け取ったVDP152は、制御信号に基づいて画像ROM154にアクセスし、そこから必要な画像データを読み出してVRAM156に転送する。さらにVDP152は、VRAM156上で画像データを1フレーム(単位時間あたりの静止画像)ごとにフレームバッファに展開し、ここでバッファされた画像データに基づき液晶表示器42の各画素(フルカラー画素)を個別に駆動する。
その他、プラ枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124、インバータ基板158に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに電力が供給されている。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。
また、遊技盤8の裏側には盤用外部端子板160が設置されており、そしてプラ枠アセンブリ7の裏側には枠用外部端子板161が設置されている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、それぞれ盤用外部端子板160、枠用外部端子板161を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報(特別図柄変動開始情報、賞球払出情報、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中といった遊技ステータス情報)を出力することができる。盤用外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータで集計される。
以上がパチンコ機1の制御に関する構成例である。続いて、主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。またリセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
図5及び図6は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
ステップS103:主制御CPU72は、マスクレジスタの初期設定を行う。
ステップS104:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS105を実行する。
ステップS105:主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS106を実行する。
ステップS106:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。チェック結果が正常であれば(Yes)、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)し、次に主制御CPU72はステップS107を実行する。
ステップS107:主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンドを送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば、演出図柄の表示態様、音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させる。
ステップS108:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元に、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、内部確率状態、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。そして、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧し、そのプログラムアドレスから処理を続行する。
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS104:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS105:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS106:No)、主制御CPU72はステップS109に移行する。
ステップS109:主制御CPU72は、RAM76の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76にバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS110:また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているコマンド送信要求バッファをクリアする。
ステップS111:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72がリセット後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
ステップS112:主制御CPU72は、CTC初期化処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期化を行う。そして主制御CPU72は、図6に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
ステップS113,ステップS114:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される信号を参照し、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。なお、電源遮断が発生すると、主制御CPU72はレジスタを退避し、RAM76全体の内容をバックアップして処理を停止(NOP)する。電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS115を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
ステップS115:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数以外に各種の乱数をプログラム上で発生させている。これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(図7中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS115では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS113で割込を禁止した後にステップS115を実行しているのは、別の割込処理(図7中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。
ステップS116,ステップS117:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(リーチ決定乱数、変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(図7)を実行した場合の残り時間で行われる。なお割込管理処理の内容についは後述する。
ステップS118:次に主制御CPU72は、割込回数カウンタの値を参照し、ここまでに実行した割込処理が所定回数(例えば2回)を超えたか否かを判断する。割込回数カウンタの値が所定値を超えていなければ(No)、主制御CPU72はステップS113に戻る。一方、割込回数カウンタの値が所定値を超えていれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS119を実行する。これにより、メインループの実行中に少なくとも2回のタイマ割込が発生して別の割込管理処理が実行されるとともに、さらに主制御CPU72は、タイマ割込が発生する残り時間で電源断発生チェック処理(ステップS114)及び初期値更新乱数更新処理(ステップS115)を実行する。
ステップS119,ステップS120:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。また主制御CPU72は、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファをクリアする。
ステップS121:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、別の割込処理(図7中のステップS203)において各種スイッチ80,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。
ステップS122,ステップS123:主制御CPU72は、メインループ中において特別図柄遊技処理及び普通図柄遊技処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち特別図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変入賞装置30の作動を制御したりする。
また普通図柄遊技処理では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は別の割込管理処理の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄大当り決定乱数)を記憶しておく。そして主制御CPU72は、この普通図柄遊技処理の中で乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(作動抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる(可動片作動手段)。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。なお、特別図柄遊技処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS124:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は盤用外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報を出力する。
ステップS125:また主制御CPU72は、メインループにおいて試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、大当り中、確率変動機能作動中、時間短縮機能作動中、エラー発生中)を表す試験信号を生成し、これを主制御装置70の外部に出力する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
ステップS126:次に主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、RAM76のバッファ領域に確保されているポート出力要求バッファを参照し、各種ソレノイド(普通電動役物ソレノイド88、大入賞口ソレノイド90)の励磁状態(ON又はOFF)を出力ポートに出力する。
なお本実施形態では、ステップS119〜ステップS126の処理をメインループ中に組み込んだ例を挙げているが、これら処理をCPUがタイマ割込処理として実行している公知のプログラミング例もある。
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図7は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ミリ秒)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB〜Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A〜L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76のカウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数、普通図柄大当り決定乱数等が含まれる。このうち大当り図柄乱数及び小大当り図柄乱数は、例えば0〜99の範囲で順番に更新される。
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力ドライバ(I/O)79から各種スイッチ信号を入力する。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号や、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82、カウントスイッチ84、入賞口スイッチ86からの入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
ステップS204:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、ゲートスイッチ78、上始動入賞口スイッチ80、下始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じて、さらに別の処理を実行する。
本実施形態では、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72はそれぞれ第1特別図柄又は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機となる事象が発生したと判定する。またゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、上始動入賞口スイッチ80又は下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力された場合に実行される処理については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS205:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35a、遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、各LEDに対して印加する駆動信号(バイトデータ)を生成し、出力ポートから出力する。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示、作動記憶数表示、遊技状態表示等を行う態様)で駆動されることになる。
ステップS206:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込回数カウンタを更新する。このカウンタは、先に述べたメインループ中のステップS118で参照されるものである。
ステップS207,ステップS208:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A〜L)の値を復帰し、割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
〔始動口入賞時処理〕
次に、上記のスイッチ入力イベント処理(ステップS204)中でさらに実行される処理について説明する。図8は、始動口入賞時処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
ステップS10:主制御CPU72は、第1特別図柄に対応する上始動入賞口スイッチ80から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12を実行する。
ステップS12:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。作動記憶数カウンタは、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。すなわち、RAM76の乱数記憶領域は各図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)別で4つのセクション(例えば各2バイト)に分けられており、各セクションには大当り決定乱数及び大当り図柄乱数を1個ずつセット(組)で記憶可能である。このとき、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数のセットの記憶数が4個に達していなければ、第1特別図柄作動記憶数カウンタの値は4未満であり(Yes)、この場合、主制御CPU72は次のステップS14に進む。
ステップS14:主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数を1つ加算する。第1特別図柄作動記憶数カウンタは、例えばRAM76の計数領域に記憶されており、主制御CPU72はその値をインクリメント(+1)する。ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図7中のステップS205)で第1特別図柄作動記憶ランプ34aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS16:そして主制御CPU72は、サンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第1特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する(第1抽選要素取得手段)。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビット処理の場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り決定乱数値をリードすると、これを第1特別図柄に対応する大当り決定乱数として転送先のアドレスにセーブする。
ステップS17:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。この場合の乱数値の取得は、RAM76のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを転送先のアドレスに第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数としてセーブする。
ステップS18:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに第1特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これら乱数を領域内の空きセクションにセットで記憶させる(第1抽選要素記憶手段)。複数のセクションには順番(例えば第1〜第4)が設定されており、現段階で第1〜第4の全てのセクションが空きであれば、第1セクションから順に各乱数が記憶される。あるいは、第1セクションが既に埋まっており、その他の第2〜第4セクションが空きであれば、第2セクションから順に各乱数が記憶されていく。
ステップS20:次に主制御CPU72は、第1特別図柄に関して取得時演出判定処理を実行する。この処理は、先のステップS16,S17でそれぞれ取得した第1特別図柄の大当り決定乱数及び大当り図柄乱数に基づいて、事前(変動開始前)に内部抽選の結果を判定し、それによって演出内容を判定するためのものである(先判定手段)。なお、具体的な処理の内容については別のフローチャートを参照しながらさらに後述する。
ステップS22:取得時演出判定処理から復帰すると、次に主制御CPU72は、第1特別図柄に関して特図先判定演出コマンドの上位バイト分(例えば「B8H」)をセットする。この上位バイトデータは、コマンド種別が「第1特別図柄に関する特図先判定演出用」であることを記述したものである。なお、特図先判定演出コマンドの下位バイト分は、先の取得時演出判定処理(ステップS20)においてセットされているので、ここでは下位バイトに上位バイトを合成することで例えば1ワード長のコマンドが生成されることになる。
ステップS24:そして主制御CPU72は、第1特別図柄に関して演出コマンド出力処理を実行する。この処理は、先のステップS22で生成した特図先判定演出コマンドや、始動口入賞音制御コマンドを演出制御装置124に対して送信するためのものである。
以上の手順を終えるか、もしくは上始動入賞口スイッチ80からの入賞検出信号の入力がなかった場合(ステップS10:No)、あるいは第1特別図柄作動記憶数が4に達していた場合(ステップS12:No)、主制御CPU72は次にステップS26を実行する。
ステップS26:主制御CPU72は、第2特別図柄に対応する下始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認されなかった場合(No)、ここで主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS28を実行する。
ステップS28:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が4未満であるか否かを確認する。第2特別図柄作動記憶数カウンタについても上記と同様に、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の個数(組数)を表すものである。このとき第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4に達していれば(No)、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。一方、未だ第2特別図柄作動記憶数カウンタの値が4未満であれば(Yes)、主制御CPU72は次のステップS30に進む。
ステップS30:主制御CPU72は、第2特別図柄作動記憶数を1つ加算(第2特別図柄作動記憶数カウンタの値をインクリメント)する。先のステップS14と同様に、ここで加算されたカウンタの値に基づき、表示出力管理処理(図7中のステップS205)で第2特別図柄作動記憶ランプ35aの点灯状態が制御されることになる。
ステップS32:そして主制御CPU72は、乱数発生器75から第2特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する(第2抽選要素取得手段)。乱数値を取得する手法は、先に説明したステップS16と同様である。
ステップS34:次に主制御CPU72は、RAM76のカウンタ領域から第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。乱数値を取得する方法は、先に説明したステップS17と同様である。
ステップS36:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数及び大当り図柄乱数をともに第2特別図柄に対応する乱数記憶領域に転送し、これらを領域内の空きセクションにセットで記憶させる(第2抽選要素記憶手段)。記憶の手法は、先に説明したステップS18と同様である。
ステップS38:次に主制御CPU72は、第2特別図柄に関して取得時演出判定処理を実行する。この処理は、先のステップS32,S34でそれぞれ取得した第2特別図柄の大当り決定乱数及び大当り図柄乱数に基づいて、事前(変動開始前)に内部抽選の結果を判定し、それによって演出内容を判定するためのものである(先判定手段)。なお、具体的な処理の内容は後述する。
ステップS40:取得時演出判定処理から復帰すると、次に主制御CPU72は特図先判定演出コマンドの上位バイト分(例えば「B9H」)をセットする。この上位バイトデータは、コマンド種別が「第2特別図柄に関する特図先判定演出用」であることを記述したものである。ここでも同様に、特図先判定演出コマンドの下位バイト分は、先の取得時演出判定処理(ステップS38)においてセットされているので、ここでは下位バイトに上位バイトを合成することで例えば1ワード長のコマンドが生成されることになる。
ステップS42:そして主制御CPU72は、第2特別図柄に関して演出コマンド出力処理を実行する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理に復帰する。
〔取得時演出判定処理〕
図9は、上記の取得時演出判定処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、上記の始動口入賞時処理の中(図8中のステップS20,ステップS38)においてこの取得時演出判定処理を実行する。上記のように、この処理は第1特別図柄(上始動入賞口26への入賞時)、第2特別図柄(可変始動入賞装置28への入賞時)のそれぞれについて実行される。したがって以下の説明は、第1特別図柄に関する処理に該当する場合と、第2特別図柄に関する処理に該当する場合とがある。以下、各手順に沿って処理の内容を説明する。
ステップS50:主制御CPU72は、特図先判定演出コマンドの下位バイト分(例えば「00H」)をセットする。なお、ここでセットしたバイトデータはコマンドの標準値(はずれ時)を表すものとなる。
ステップS52:次に主制御CPU72は、先判定用乱数値として大当り決定乱数をロードする。ここでロードする乱数は、先の始動口入賞時処理(図8のステップS18,ステップS36)でRAM76に記憶されているものである。
ステップS54:そして主制御CPU72は、ロードした乱数が当り値の範囲外であるか否かを判定する。具体的には、主制御CPU72は比較値をAレジスタにセットし、この比較値からロードした乱数値を減算する。なお比較値は、パチンコ機1における内部抽選の当選確率に応じて予め規定されている。次に主制御CPU72は、例えばフラグレジスタの値から演算結果が0又は正の値であるか否かを判別する。その結果、ロードした乱数が当り値の範囲外であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS70を実行する。
ステップS70:この場合、主制御CPU72は事前リーチ判定乱数をロードする。事前リーチ判定乱数は、例えばRAM76のカウンタ領域において更新されており、主制御CPU72はカウンタ領域のアドレスを指定して事前リーチ判定用乱数を取得(ロード)する。
ステップS72:次に主制御CPU72は、取得した事前リーチ判定乱数が比較値と比較し、その値がリーチ変動範囲内にあるか否かを判断する。特にリーチ変動範囲内でなければ(No)、主制御CPU72はここで始動口入賞時処理(図8)に復帰する。これに対し、事前リーチ判定乱数がリーチ変動範囲内であれば(Yes)、主制御CPU72はステップS74を実行する。
ステップS74:この場合、主制御CPU72はリーチ変動パターン判定値(例えば下位バイトが「10H」)をセットする。セットした判定値は、非当選時の先判定演出コマンドとして送信コマンドバッファに転送される。
主制御CPU72がステップS74を実行した場合、ここで始動口入賞時処理(図8)に復帰する。一方、先のステップS54の判断において、ロードした乱数が当り値の範囲外でなく、範囲内であれば(ステップS54:No)、主制御CPU72は次にステップS56に進む。
ステップS56:この場合、主制御CPU72は次に低確率時(通常時)用比較値をAレジスタにセットする。なお低確率時用比較値もまた、パチンコ機1における低確率時の当選確率に応じて予め規定されている。
ステップS58:次に主制御CPU72は、特別図柄確率状態フラグをロードする。この状態フラグは、現在の内部状態が高確率(確変中)であるか否かを表すものであり、RAM76のフラグ領域内に記憶されているものである。高確率(確変中)であれば、状態フラグとして値「01H」がセットされており、低確率(通常中)であれば、状態フラグの値はリセットされている(「00H」)。
ステップS60:そして主制御CPU72は、ロードした特別図柄確率状態フラグが高確率を表すものでない(≠01H)か否かを確認し、その結果、高確率を表すものであれば(No)、次にステップS62を実行する。
ステップS62:主制御CPU72は、高確率時用比較値をセットする。これにより、先のステップS58でセットされた低確率時用比較値が書き換えられることになる。なお、高確率時用比較値は、パチンコ機1における高確率時の当選確率に応じて予め規定されている。
このように、内部状態が高確率の場合は比較値を書き換えた上で次のステップS64を実行することになる。これに対し、先のステップS60で状態フラグが高確率を表すものでないことを確認した場合(Yes)、主制御CPU72はステップS62をスキップして次のステップS64を実行する。
ステップS64:主制御CPU72は、先のステップS52でロードした乱数が当り値の範囲外であるか否かを判定する。すなわち、主制御CPU72は状態別でセットした比較値から大当り決定乱数値を減算する。そして主制御CPU72は、同様にフラグレジスタの値から演算結果が負の値(<0)であるか否かを判別し、その結果、ロードした乱数が当り値の範囲外であれば(Yes)、主制御CPU72は次にステップS70を実行する。なおステップS70以降の手順は、既に述べたものと同じである。これに対し、ロードした乱数が当り値の範囲外でなく、範囲内であれば(No)、主制御CPU72は次にステップS66に進む。
ステップS66:主制御CPU72は、大当り種別判定処理を実行する。この処理は、さらに大当り図柄乱数に基づいて、そのときの大当り種別(当選種類)を判定するためのものである。例えば、主制御CPU72は先の始動口入賞時処理(図8のステップS18,ステップS36)で記憶した大当り図柄乱数をロードすると、上記のステップS54と同様に比較値を用いた演算を実行し、その結果から大当り種別として「2ラウンド図柄」又は「15ラウンド図柄」のいずれに該当するかを判別する。主制御CPU72は、このときの判別結果を特別図柄判定値として記憶し、次のステップS68に進む。
ステップS68:主制御CPU72は、特図先判定演出コマンドの下位バイトとして、先のステップS66で記憶した特別図柄判定値をセットする。特別図柄判定値は、例えば「2ラウンド図柄」に該当する場合は「0AH」がセットされ、「15ラウンド図柄」に該当する場合は「01H」がセットされる。いずれにしても、ここで下位バイト分のデータをセットすることにより、先のステップS50でセットした標準の下位バイトデータ「00H」が書き換えられることになる。以上の手順を終えると、主制御CPU72は始動口入賞時処理に復帰する。
〔特別図柄遊技処理〕
次に、メインループ中に実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図10は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、可変入賞装置管理処理(ステップS5000)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別図柄遊技処理の基本的な流れを説明する。
ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000〜ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動前処理(ステップS2000)を選択する。一方、既に特別図柄変動前処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS3000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。このようなプログラミング例では、CPUが一通り各処理をCALLし、その先頭ステップで一々フラグを参照して条件分岐(継続/リターン)することになるが、本実施形態の選択手法では、主制御CPU72が各処理を一々呼び出す手間は不要である。
ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番〜7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示された場合に選択される。当りの態様の中でも、第1特別図柄又は第2特別図柄が特別の態様(例えば15ラウンド大当りの態様)で停止すると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば30秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば15回)だけ励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が全部で15回あれば、これらを「15ラウンド」と総称することがある。
また、主制御CPU72は可変入賞装置管理処理において大入賞口開放パターン(ラウンド数と1ラウンドごとの開閉動作の回数)を設定すると、1ラウンド分の可変入賞装置30の開閉動作を終了させるごとにラウンド数カウンタの値を1インクリメントする。ラウンド数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。また主制御CPU72は、ラウンド数カウンタの値を表すラウンド数コマンドを生成する。ラウンド数コマンドは、演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。ラウンド数カウンタの値が設定した連続作動回数に達すると、主制御CPU72はそのラウンド限りで大当り遊技(大役)を終了する。
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(確率変動機能作動フラグ又は時間短縮機能作動フラグ)に基づいて大当り遊技終了後の状態(高確率状態、時間短縮状態)を変化させる。「高確率状態」になると確率変動機能が作動し、内部抽選での当選確率が通常よりも高く(10倍程度に)なる(高確率状態移行手段)。また「時間短縮状態」になると時間短縮機能が作動し、非当選時の特別図柄の変動時間が通常の状態に比較して全体的に短縮される(時間短縮状態移行手段)。なお、「高確率状態」及び「時間短縮状態」については、制御上でいずれか一方だけに移行する場合もあれば、これら両方に合わせて移行する場合もある。このような「高確率状態」又は「時間短縮状態」への移行についてはさらに後述する。
〔複数の当選種類〕
上記の15ラウンド大当り(特別当選種類)以外に、本実施形態では複数の当選種類として、2ラウンド大当り(特殊当選種類)が設けられている。先の特別図柄停止表示中処理において、第1特別図柄又は第2特別図柄が2ラウンド大当りの態様で停止すると、それまでの通常状態から短期間の大当り遊技状態に移行する契機が発生する。ただし、2ラウンドの大当り遊技は、15ラウンドの大当り遊技に比較して極端に短時間内で終了するため、大入賞口への入賞はほとんど発生することがない。その代わり、大当り遊技の終了後に例えば「確率変動機能」を作動させることで(作動手段)、その結果として「高確率状態」に移行する特典が遊技者に付与される(高確率状態移行手段)。
また本実施形態では、非当選以外の当選種類として小当り(特例当選種類)が設けられている。小当りに当選すると、大当り遊技とは別に小当りの遊技が行われて可変入賞装置30が開閉動作する。すなわち、先の特別図柄停止表示中処理において、特別図柄が小当りの態様で停止すると、通常状態の中で小当りの遊技(可変入賞装置30が作動する遊技)が実行される。このような小当りの遊技では可変入賞装置30が特例の回数(例えば2回)だけ開閉動作するものの、2ラウンド大当り遊技と同様に大入賞口への入賞はほとんど発生しない。また小当りの遊技が終了しても、「確率変動機能」が作動することはなく、また、「時間短縮機能」が作動することもないので、「高確率状態」や「時間短縮状態」へ移行する特典は付与されない(そのための前提条件とはならない。)。
〔特別図柄変動前処理〕
図11は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数又は第2特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。第1特別図柄及び第2特別図柄の両方の作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2500のデモ設定処理を実行する。
ステップS2500:この処理では、主制御CPU72はデモ演出用コマンドを生成する。デモ演出用コマンドは、上記の演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。なお復帰時は、上記のように末尾アドレスに復帰する(以降も同様)。
これに対し、いずれかの作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2200を実行する。
ステップS2200:主制御CPU72は割込を禁止した上で、特別図柄記憶シフト処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)のうち、第2特別図柄に対応する方を優先的に読み出す。このとき2つ以上のセクションに乱数が記憶されていれば、主制御CPU72は第1セクションから順に乱数を読み出し、残った乱数を1つずつ前のセクションに移動(シフト)させる。シフトされた乱数は、RAM76の乱数記憶領域から消去(消費)される。第2特別図柄に対応する乱数が記憶されていない場合のみ、主制御CPU72は第1特別図柄に対応する乱数を読み出して別の共通記憶領域に保存する。共通記憶領域に保存された各乱数は、次の大当り判定処理で内部抽選に使用される。その結果、本実施形態では第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動表示が優先的に行われることになる。なお、このような特別図柄別の優先順位を設けることなく、単純に記憶された順番で乱数が読み出されるプログラムであってもよい。
ステップS2250:次に主制御CPU72は、特別図柄作動記憶数減算処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタ(第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかに対応する方)の値を1つ減算し、減算後の値を「変動開始時作動記憶数」に設定する。このとき減算対象となる作動記憶数カウンタは、先のステップS2200で記憶した乱数のシフトを行った方に対応するものである。これにより、上記の表示出力管理処理(図7中のステップS205)の中で第1特別図柄作動記憶ランプ34a又は第2特別図柄作動記憶ランプ35aによる記憶数の表示態様が変化(1減少)する。ここまでの手順を終えると、主制御CPU72は割込を許可して次にステップS2300を実行する。
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、先ず大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(内部抽選実行手段)。このとき設定される大当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なり、高確率状態では通常状態よりも大当り値の範囲が約10倍程度に拡大される。そして、このとき読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。なお、ここでは大当り判定処理のより詳細な手順として、例えば先の取得時演出判定処理に挙げた手順(図9中のステップS52〜ステップS64)を適用してもよい。
上記の大当りフラグをセットしない場合、主制御CPU72は同じ大当り判定処理において、次に小当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(内部抽選実行手段)。ここでいう「小当り」は、非当選(はずれ)以外であるが、「大当り」とは異なる性質のものである。すなわち、「大当り」は上記の「高確率状態」や「時間短縮状態」に移行させる契機(遊技の節目)を発生させるものであるが、「小当り」はそのような契機を発生しない。ただし「小当り」は、「大当り」と同様に可変入賞装置30を作動させる条件を満たすものとして位置付けられている。なお、このとき設定される小当り値の範囲は、通常状態と高確率状態(確率変動状態)とで異なっていてもよいし、同じでもよい。いずれにしても、読み出した乱数値が小当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は小当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。このように、本実施形態では非当選以外に該当する当り範囲として、大当り値と小当り値の範囲が予めプログラム上で規定されているが、予め状態別の大当り判定テーブル、小当り判定テーブルをそれぞれROM74に書き込んでおき、これを読み出して乱数値と対比しながら大当り判定を行ってもよい。
ここで、上記のように大当り決定乱数値は、第1特別図柄又は第2特別図柄で別々に読み出されるため、大当り判定処理(内部抽選)は図柄別に行われることになる。例えば、先のステップS2200で第1特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第1特別図柄に対応して行われることになる。一方、第2特別図柄に対応する方の乱数値を読み出していれば、大当り判定は第2特別図柄に対応して行われることになる。
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2402を実行する。
ステップS2402:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で小当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。小当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。なお、主制御CPU72は大当りフラグと小当りフラグとを別々に用意せずに、共通当りフラグの値によって大当り(例えば01Hを設定)又は小当り(例えば0AHを設定)を判別してもよい。
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。具体的には、先の特別図柄記憶シフト処理で第2特別図柄に対応する大当り決定乱数及び大当り図柄乱数の記憶を優先してシフトしていた場合、ここで主制御CPU72は第2特別図柄表示装置36による停止図柄番号データをセットする。一方、第1特別図柄に対応する大当り決定乱数の記憶をシフトしていれば、ここで主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34による停止図柄番号データをセットする。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(図6中のステップS119)において演出制御装置124に送信される。
なお本実施形態では、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35にそれぞれ7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を常に1つのセグメント(中央のバー「−」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
ステップS2406:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄又は第2特別図柄について、はずれ時の変動パターン番号を決定する(変動パターン決定手段)。変動パターン番号は、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。はずれ時の変動時間は、上記の「時間短縮状態」であるか否かによって異なってくるため、この処理において主制御CPU72は、遊技状態フラグをロードし、現在の状態が「時間短縮状態」であるか否かを確認する。「時間短縮状態」であれば、基本的にリーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は短縮された時間(例えば1.5秒程度)に設定される。また「時間短縮状態」でなければ、リーチ変動を行う場合を除き、はずれ時の変動時間は例えばステップS2250で設定した「変動表示開始時作動記憶数(0個〜3個)」に基づいて決定される。なお、はずれ時の図柄の停止表示時間は変動パターンに関わらず一定(例えば0.5秒程度)である。主制御CPU72は、決定した変動時間(はずれ時)の値を変動タイマにセットするとともに、はずれ時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
以上のステップS2404,ステップS2406は、大当り判定結果がはずれ時(非当選以外の場合)の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)又は小当り(ステップS2402:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。先ず、大当りの場合について説明する。
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、今回の内部抽選で当選が得られた第1特別図柄又は第2特別図柄について当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と各図柄別の当選図柄の種類との関係は、予め特別図柄判定データテーブルで規定されている(当選種類規定手段)。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において特別図柄判定テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて図柄別に当選図柄の種類を決定することができる。
〔大当り時の当選図柄〕
本実施形態では、大当り時に選択的に決定される当選図柄として、大きく分けて例えば3種類が用意されている。そのうち1種類は「15ラウンド確変図柄」であり、他の1種類は「15ラウンド非確変図柄」であり、そして残る1種類は「2ラウンド確変図柄」である。
より詳細には、大きな分類として主に3種類の当選図柄があるが、同じ「15ラウンド確変図柄」であっても、例えば「15ラウンド確変図柄A」,「15ラウンド確変図柄B」,「15ラウンド確変図柄C」,・・・のように、さらに細かく複数の当選図柄が規定されており、また同じ「15ラウンド非確変図柄」であっても、例えば「15ラウンド非確変図柄A」,「15ラウンド非確変図柄B」,「15ラウンド非確変図柄C」,・・・のように、さらに細かく複数の当選図柄が規定されている。
また「2ラウンド確変図柄」についても、例えば「2ラウンド確変図柄A」,「2ラウンド確変図柄B」,「2ラウンド確変図柄C」,・・・のように、さらに細かく複数の当選図柄が規定されている。
このような細分類は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による当選図柄の停止表示を多様化させるためのものである。例えば、同じ「15ラウンド確変図柄」であっても、細分類として「15ラウンド確変図柄A」の場合は第1又は第2特別図柄表示装置34,35において7つのセグメントが全て点灯(例えば「日」字形の態様)し、「15ラウンド確変図柄B」の場合は5つのセグメントが点灯(例えば「己」字形の態様)するといった具合である。ただし、大分類として同じ「15ラウンド確変図柄」であれば、細分類の中でどの図柄が選択されたとしても、その後の遊技を進行させる上で結果(効果)は同じである。なお、これらラウンド数別に設けられている複数種類の当選図柄は、予め上記の特別図柄判定テーブルにより規定されている(当選種類規定手段)。
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットするとともに、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。一般的に大当りリーチ変動の場合、はずれ時よりも長い変動時間が決定される。
ステップS2413:主制御CPU72は、大当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先のステップS2410で決定した当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)が「15ラウンド確変図柄」又は「2ラウンド確変図柄」のいずれであっても、遊技状態フラグとして確率変動機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。さらに、現在の遊技状態が既に確率変動状態(高確率時)である場合、合わせて主制御CPU72は遊技状態フラグとして時間短縮機能作動フラグの値(01H)をRAM76のフラグ領域にセットする。このような処理の意義は、例えば以下の考え方に基づく。すなわち、先ず通常の状態から「2ラウンド確変図柄」に該当すると、時間短縮機能作動フラグの値(01H)はセットされずに確率変動機能作動フラグの値(01H)だけがセットされる。この場合、演出上でも「高確率状態」を明らかにしないことにより、いわゆる遊技者に認知されにくい「隠し確変状態」となる。ただし、本実施形態では既に「隠し確変状態」になっている状況で重ねて「2ラウンド確変図柄」に該当した場合、いつまでも「隠し確変状態」を続けるのではなく、時間短縮機能を作動させて遊技者に確率変動状態を明示することとしている。これにより、遊技者が内部的な情報を全く知らされないまま遊技が延々と続くことを防止し、過度に遊技者の不興を買うのを防止している。
またステップS2413の処理において、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
次に、小当り時の処理について説明する。
ステップS2407:主制御CPU72は、小当り時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、小当り時の当選図柄の種類(小当り時停止図柄番号)を決定する。ここでも同様に、大当り図柄乱数値と小当り時の当選図柄の種類との関係が予め小当り時特別図柄判定データテーブルで規定されている(当選種類規定手段)。なお本実施形態では、主制御CPU72の負荷を軽減するために大当り図柄乱数を用いて小当り時の当選図柄を決定しているが、別途専用の乱数を用いてもよい。
〔小当り時の当選図柄〕
本実施形態では、小当り時の当選図柄は「2回開放小当り図柄」の1種類だけである。ただし、これ以外に例えば「1回開放小当り図柄」や「3回開放小当り図柄」等の別の種類が用意されていてもよい。上記のように内部抽選の結果としての「小当り」は、その後の状態が「高確率状態」や「時間短縮状態」に変化する契機とはならないため、この種のパチンコ機で必須となる「2ラウンド(2回開放)以上」の規定にとらわれることなく、「1回開放小当り図柄」を設けることができる。
ステップS2408:次に主制御CPU72は、小当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はRAM76のカウンタ領域から上記の変動パターン決定乱数を取得すると、その値に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する(変動パターン決定手段)。また主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットし、また停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。なお、本実施形態では小当りの場合にリーチ変動パターンを選択せず、はずれ通常変動時と同等の変動時間が決定される。これは、小当り時にも通常変動を発生させることにより、その変動で小当りになったことを遊技者に気付かせにくくするためである。
ステップS2409:次に主制御CPU72は、小当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は小当り時停止図柄番号に基づき、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(小当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(小当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
ステップS2414:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択し、変動パターンに対応する変動時間の値を変動タイマにセットする。また主制御CPU72は、変動パターンに対応する停止図柄表示時間の値を表示タイマにセットする。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別図柄変動中処理(ステップS3000)を次のジャンプ先に設定し、特別図柄遊技処理に復帰する。
〔図10:特別図柄変動中処理,特別図柄停止表示中処理〕
特別図柄変動中処理では、上記のように主制御CPU72は変動タイマの値をレジスタからタイマカウンタにロードし、その後、時間の経過(クロックパルスのカウント数)に応じてタイマカウンタの値をデクリメントする。そして主制御CPU72は、タイマカウンタの値を参照しつつ、その値が0になるまで上記のように特別図柄の変動表示を制御する。そして、タイマカウンタの値が0になると、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)を次のジャンプ先に設定する。
また特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止図柄決定処理(図11中のステップS2404,ステップS2407,ステップS2410)で決定した停止図柄に基づいて特別図柄の停止表示を制御する。また主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する図柄停止コマンドを生成する。図柄停止コマンドは、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。特別図柄停止表示中処理の中で停止図柄を所定時間にわたり表示させると、主制御CPU72は図柄変動中フラグを消去する。
以上のように、パチンコ機1において大当りの内部抽選が行われると、主制御CPU72による制御の下で変動パターン(変動時間)を決定し、第1特別図柄や第2特別図柄による変動表示が行われる(第1図柄表示手段、第2図柄表示手段)。ただし、上記のように第1特別図柄や第2特別図柄そのものは7セグメントLEDによる点灯・点滅表示であるため、見た目上の訴求力に乏しい。そこでパチンコ機1では、上記のように演出図柄を用いた変動表示演出が行われている。
〔非当選時の演出例〕
先ず、非当選(はずれ)時を例に挙げて説明する。図12は、非当選時に実行される演出例を示す連続図である。この演出例は、演出図柄を用いた変動表示演出と結果表示演出の一例と背景画像の一例を表している。このうち変動表示演出は、特別図柄(ここでは第1特別図柄とするが、第2特別図柄でもよい。)が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また結果表示演出は、特別図柄が停止表示されたことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。また背景画像は、演出図柄の変動表示が行われる際に表示画面上で背景となる画像である。このような背景画像は、演出上で「ステージ」や「モード」を表すものとして用いることができる。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動1回ごとの変動表示演出と結果表示演出の基本的な流れについて説明する。
〔変動表示前〕
図12中(A):例えば、第1特別図柄が変動を開始する前の状態で、液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が大きく表示されている。演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは画面上で左・中・右に並んで表示される。各演出図柄は、例えば数字の「1」〜「9」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。このうち左演出図柄については、数字が「1」〜「9」の昇順に並んだ図柄列を構成しており、中演出図柄と右演出図柄については、いずれも数字が「9」〜「1」の降順に並んだ図柄列を構成している。
また液晶表示器42の画面下部には、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数を表すマーカ(図中に参照符号M1,M2を付す)が表示されるものとなっている。これらマーカM1,M2は、それぞれの表示個数が対応する第1特別図柄、第2特別図柄の作動記憶数(第1特別図柄作動記憶ランプ34a、第2特別図柄作動記憶ランプ35aの表示数)を表しており、遊技中の作動記憶数の変化に連動して表示個数も増減する。またマーカM1,M2は、視覚的な判別を容易にするため第1特別図柄に対応するマーカM1が例えば円(○)の図形で表示され、第2特別図柄に対応するマーカM2が例えばハートの図形で表示されている。なお図12中(A)の例では、マーカM1が4つとも点灯表示されることで第1特別図柄の作動記憶数が4個であることを表し、マーカM2が全て非表示(破線で示す)になることで第2特別図柄の作動記憶数が0個であることを表している。
〔変動表示演出開始〕
図12中(B):例えば第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして変動表示演出が開始される。なお図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また変動表示中、個々の演出図柄が透けた状態で表示(透過表示)されることにより、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる画像(背景画像)が視認しやすい状態で表示されている。
〔通常背景〕
この場合の背景画像は、例えば浴衣を着こなした女性キャラクターが長椅子に腰掛け、夕涼みでもするかのようにリラックスしている風景を表現したものである。このような背景画像(夕涼み画像)は、演出上での滞在ステージが例えば「夕涼みステージ」であることを表現している。なお、この他にも演出上で各種のステージが設けられており、ステージごとに風景や情景の異なる背景画像が用意されている。なお特に図示していないが、この後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
また、変動開始に伴って第1特別図柄の作動記憶数が1個分減少するため、それに連動してマーカM1の表示個数が1個分減少されている。例えば、それまでに作動記憶数が4個あったとすると、マーカM1において最も以前(古い)の記憶数表示が1個だけ非表示となり、内部抽選によって消費される演出が合わせて行われる。これにより、第1特別図柄に関して作動記憶が減少したことを演出上でも遊技者に教示することができる。
ここでは特に図示していないが、演出図柄の変動表示中、例えば液晶表示器42の画面下部には第4図柄が表示されている。この第4図柄は、上記の左・中・右演出図柄に続く「第4の演出図柄」であり、演出図柄の変動表示中はこれに同期して変動表示されている。なお第4図柄は、単純なマーク(例えば「□」の図形)に色彩を付しただけのものであり、その表示色を変化させることで変動表示を表現することができる。
〔左図柄停止〕
図12中(C):例えば、ある程度の時間が経過すると、最初に左演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に数字の「8」を表す演出図柄が停止したことを表している。なお、ここでは背景画像の図示を省略している(これ以降も同様)。
〔右演出図柄停止〕
図12中(D):左演出図柄に続いて、その後に右演出図柄が変動を停止する。この例では、画面の中段位置に数字の「3」を表す演出図柄が停止したことを表している。この時点で既にリーチ状態が発生しないことは確定しているので、今回の変動が非リーチ(通常)変動であるということが見た目上でほとんど明らかとなっている。なお、ここではすべりパターン等によるリーチ変動を除くものとする。「すべりパターン」とは、例えば一旦は数字の「7」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するというものである。あるいは、一旦は数字の「9」を表す演出図柄が停止した後、図柄列が逆向きに1図柄分すべって数字の「8」を表す演出図柄が停止し、それによってリーチに発展するパターンもある。
〔結果表示演出〕
図12中(E):第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。第1特別図柄が非当選(はずれ)の態様で停止表示されていれば、演出図柄も同様に非当選(はずれ)の態様で結果表示演出が行われる。すなわち、図示の例では、画面の中段位置に数字の「1」を表す演出図柄が停止したことを表しており、この場合、演出図柄の組み合わせは「8」−「1」−「3」のはずれ目であるため、今回の変動は通常の「はずれ」に該当したことが演出上で表現されている。このとき第4図柄(図示していない)についても、はずれに対応する態様(例えば白表示色)で停止表示される。
〔大当り時の演出例〕
次に図13は、大当り時のリーチ変動演出の流れを示す連続図である。大当り時のリーチ変動演出は、例えば内部抽選の結果が「15ラウンド大当り」に該当し、第1特別図柄表示装置34(第2特別図柄表示装置35でもよい)において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が当選時の態様(例えば7セグメントLEDの「己」,「ヨ」,「日」等)で停止表示されるまでに実行される。なお図13では、各演出図柄を数字のみに簡略化して示している。またマーカM1,M2については図示を省略している。
図13中(A):例えば、第1特別図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(例えば上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。なお、ここでも背景画像の図示を省略している。
〔リーチ発生前予告演出(1段階目)〕
図13中(B):次に、変動表示演出の比較的初期(リーチ状態の発生前)において、キャラクターの絵柄画像を用いた1段階目のリーチ発生前予告演出が行われる。このときキャラクターの絵柄画像は、画面上で変動表示されている演出図柄の手前に位置し、例えば画面の左端からひょっこりと出現するようにして表示される(その他の出現の態様でもよい。)。なお、ここでいう「リーチ発生前予告」とは、いずれかの演出図柄が停止表示される前にリーチの可能性や大当りの可能性を予告するという意味である。このような「リーチ発生前予告演出」を実行することで、遊技者に対して「リーチに発展するかも知れない=大当りの可能性が高まる」という期待感を抱かせる効果が得られる。
〔リーチ発生前予告演出(2段階目)〕
図13中(C):さらにリーチ発生前予告演出として、先とは違うキャラクターの絵柄画像を用いた演出が行われる。具体的には、画面の右端から別の絵柄画像が追加で出現し、先に表示されていた絵柄画像の前面に重なって表示される。また、このとき表示される絵柄画像は、先に表示されていた絵柄画像よりもサイズが大きい。そして、絵柄画像で表現されたキャラクターが台詞(例えば「リーチになるよ」等)を発するという、音響出力による演出もあわせて行われる。ここでは2段階目の絵柄画像が出現するまでの例を挙げているが、リーチ発生前予告演出の第2態様では、例えば3段階目、4段階目、5段階目の絵柄画像が次々と出現して表示されるごとに、そのサイズが拡大されるものとしてもよい。
〔左演出図柄の停止〕
図13中(D):変動表示演出の中期にさしかかり、やがて左演出図柄の変動表示が停止される。なお、この時点で画面の左中段位置に数字の「7」を表す演出図柄が停止している。
〔リーチ状態の発生〕
図13中(E):そして左演出図柄に続き、例えば右演出図柄の変動表示が停止される。この時点で、右中段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止していることから、画面の横一線上に数字の「7」−「変動中」−「7」のリーチ状態が発生している。なお、このとき画面上に横一線上でリーチ状態となったラインを強調する画像が合わせて表示されてもよい。また、合わせて「リーチ!」等の音声を出力する演出が行われてもよい。特に、このまま大当りになれば確率変動大当りであることから、単なる抽選の当否だけでなく、「確変大当りか、はずれか」という緊張感を遊技者に抱かせることができる。
リーチ状態の発生後、さらに何らかのリーチ演出パターンに発展すると、例えばテンパイ(聴牌)した数字(ここでは「7」)に対応する演出図柄だけが画面上に表示され、それ以外は表示されなくなる。なお、このとき演出図柄が画面の隅にそれぞれ縮小された状態で表示される場合もある。
〔リーチ発生後予告演出(1回目)〕
図13中(F):リーチ状態が発生して暫くすると、例えば「花柄」を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていくリーチ発生後予告演出(1回目)が行われる。この場合、突然、画面上に「花柄群」の画像が流れていくように表示されるため、これによって遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。このような視覚的に賑やかなリーチ予告発生後予告演出を実行することで、遊技者に対して「この予告は大当りに期待できる」というより大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
〔リーチ演出の進行〕
図13中(G):1回目のリーチ発生後予告演出に続いて、例えば数字の「2」〜「9」を表す画像が画面上で立体的な列を構成した状態で表示され、列の先頭(手前)から「2」、「3」、「4」・・・という順番に画面から数字の画像が消去されていく演出が行われる。このような演出もまた、数字の「7」が最後まで消去されずに残ると「大当り」であることを遊技者に示唆(暗示)したり、想起させたりする目的で行われる。また、数字の「6」まで消去されて「7」が画面手前に残ると「確変大当り」であるが、数字の「7」も消去されて「8」以降(「9」は省略してもよい。)が画面手前に残ると「はずれ」であり、逆に数字の「6」が消去されずに残っても「はずれ」であることを意味する。したがって、この間、数字の「2」、「3」、「4」・・・と順番に画像が消去されていき、数字の「6」の順番が近付くに連れて、遊技者の緊張感や期待感も高まっていくことになる。この後、例えば画面上で数字の「5」までが消去されたとすると、いよいよ次に数字の「6」が消去されると、今度は「確変大当り」の可能性が高まるため、そこで遊技者の緊張感も一気に高まる。
〔リーチ発生後予告演出(2回目)〕
図13中(H):リーチ演出が終盤に近付いたところで、突然、画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入る(カットインする)ようにして表示され、そのキャラクターが何らかの台詞を発するという内容(又は、無言で微笑むという内容でもよい)のリーチ発生後予告演出(2回目)が行われる。この時点で、例えばリーチ演出の内容は「数字の「6」が消去されれば、次に「7」−「7」−「7」の大当りの可能性が高まる」という展開である。したがって、このタイミングで大きくキャラクターの画像を出現させることにより、遊技者に対して「いよいよ大当りかもしれない」という大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
〔結果表示演出〕
図13中(I):例えば、第1特別図柄の停止表示に略同期して、最後の中演出図柄が停止する。このとき、第1特別図柄がそのときの当選種類に対応した態様で停止表示されるため、その当選種類(当選図柄)に応じた態様で演出図柄が停止表示される。図示の例では、当選図柄が「確変図柄」に該当していたため、奇数の「7」を表す演出図柄を画面の中央に停止表示させることで、「確変大当り」であることを遊技者に教示する結果表示演出が行われている。この他にも当選図柄が「確変図柄」に該当していれば、例えば「1」,「3」,「5」,「9」の奇数を表す演出図柄を3つ揃って停止表示させることで、「確変大当り」であることを遊技者に教示する演出が行われる。逆に、当選図柄が「非確変図柄」であれば、偶数の演出図柄を3つ揃って停止表示させることで、「通常(非確変)大当り」であることを遊技者に教示する演出が行われる。また、「確変大当り」であってもリーチ状態の段階から偶数の演出図柄を停止表示させておき、再度の変動によって奇数の演出図柄を停止表示させて「確変」に昇格させたり、大当り遊技中の演出で「確変」に昇格させたりする演出が行われる場合もある。また、「2ラウンド確変大当り」の場合は奇数の3つ揃いではなく、例えば「1」−「3」−「5」のような奇数の組み合わせの演出図柄が表示される。
なお、ここでは大当り時の例を挙げているが、内部抽選の結果が非当選であっても、リーチ演出(はずれリーチ演出)が行われる場合もある。図13中(I)の例であれば、はずれリーチ演出の場合、画面上に数字の「6」が消去されずに残り、今回の変動では残念ながら「大当り」にならなかったことが演出的に表現される。
いずれにしても、以上のような演出図柄を用いた変動表示演出と結果表示演出は、毎回の第1特別図柄又は第2特別図柄の変動(変動表示及び停止表示)に対応して行われるものであり、原則として1回の変動ごとに演出の内容は完結している。すなわち、ある回の変動が非当選時の変動であれば、そのときの演出の内容も非当選時の演出として1回で完結し(例えば図12)、逆に当選時の変動であれば、そのときの演出の内容は当選(大当り)時の演出として1回で完結する(例えば図13)。
このとき、上記のように変動時間の長さは当選時と非当選時とでは異なり、当選時には比較的長い変動時間(大当りリーチ変動パターン)が選択され、非当選時には比較的短い変動時間(通常変動パターン)が選択されるが、それでも原則として大当り時の演出は1回の比較的長い変動時間を利用して行われ、その変動時間内で完結している。そしてリーチ状態の発生を予告する演出(例えば図13中(B),(C))や大当りの予告(例えば図13中(F),(H))についても、原則として1回の変動時間内で発生し、そのまま完結する。
以上が1回ごとの変動に関わる演出例とその変動時間内で各種の予告演出を行う場合の例であるが、加えて本実施形態では、作動記憶数がある程度(例えば1個以上)たまっている状況において、上述した先判定演出コマンドを活用することにより、複数回の変動に跨った演出(以下、「先判定演出」と称する。)を実行することもできる。この「先判定演出」は、未だ変動の順番は到来していない保留の状態であるが、既に取得されて記憶されている大当り決定乱数に基づいて内部抽選の結果を事前に判定しておくことにより、この後の変動において大当りになる可能性があることを予告する意味で行われるものである。このような先判定演出を実行することにより、毎回の変動ごとに単発的な演出を実行するだけでなく、複数回の変動に跨って内容が進行する長期的な演出を実行することができる。
〔先判定演出の契機〕
図14は、遊技中に上記の先判定演出を実行するための契機が発生する状況を各種の状態とともに示したタイミングチャートである。なお本実施形態では、第1特別図柄の作動記憶を用いて先判定演出の契機を発生させるものとしている。以下、具体的に説明する。
〔下始動入賞口スイッチ〕
図14中(A):本実施形態では、通常の遊技中に普通図柄に対応する作動抽選で当選した場合にのみ下始動入賞口28bへの入賞が可能な状態となる。このため上始動入賞口26に比較して下始動入賞口28bへの入賞が発生する頻度は低く、この例では特に下始動入賞口スイッチ82の入賞検出信号は発生(ON)していない。
〔第2特別図柄作動記憶数〕
図14中(B):また第2特別図柄作動記憶数については、初期状態において0個であり、この例においても下始動入賞口28bへの入賞が発生していないことから、その作動記憶数は0個のままである。
〔第2特別図柄表示装置〕
図14中(C):第2特別図柄について作動記憶がある場合、第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動が優先されるものの、この例では作動記憶数が0個であり、途中で下始動入賞口28bへの入賞も発生していないことから、第2特別図柄表示装置35は停止表示のままである。
〔上始動入賞口スイッチ〕
図14中(D):上始動入賞口26については、通常の遊技中も遊技球が無作為に流入(入賞)可能であることから、任意のタイミングで入賞が発生し、それによって上始動入賞口スイッチ80からの入賞検出信号が発生(ON)になる。この例では、途中に1回の入賞が発生しているものとする。
〔第1特別図柄作動記憶数〕
図14中(E):例えば、初期状態において第1特別図柄の作動記憶数は3個であった場合を想定する。そして、上記のように上始動入賞口26への入賞が任意に発生したタイミングで第1特別図柄が変動表示中であったとすると、上始動入賞口スイッチ80からの入賞検出信号に基づいて主制御CPU72による制御上で第1特別図柄の作動記憶数が1個加算され、3個から4個に増加する(図8中のステップS14)。
〔第1特別図柄表示装置〕
図14中(F):初期状態で第1特別図柄が変動表示中であった場合、この変動が停止した後に次の変動を開始する条件が満たされると(主制御CPU72による処理が図11中のステップS2414に進む)、第1特別図柄表示装置34において第1特別図柄の変動表示が開始される。
図14中(E):次の変動が開始されると、そのときの内部抽選で第1特別図柄の作動記憶(最も古いもの)が1個だけ消費される(図11中のステップS2200)。その結果、第1特別図柄の作動記憶数は4個から3個へ減少する(図11中のステップS2250)。
以後、この例では特に上始動入賞口26への入賞が発生しないため、第1特別図柄の変動表示が行われるごとに第1特別図柄作動記憶数は1個ずつ減少していく(3個→2個→1個→0個)。
〔変動パターン〕
図14中(G):通常(非当選時)変動において、第1特別図柄の変動時間は変動パターンに基づいて決定されている(図11中のステップS2406)。また、非当選時の変動時間は、その変動開始時における作動記憶数に応じて短縮される場合がある。この例では、変動開始時の作動記憶数が4個及び3個である場合、それぞれ変動時間が短縮(例えば2秒〜4秒程度)されている。なお、変動開始時の作動記憶数が2個である場合、その変動時間は例えば12秒程度に設定されている。また、初期状態の変動から4回先の変動は大当りリーチ変動となっており、この場合、変動時間は通常変動に比較してさらに長く(例えば150秒程度)に設定されている。
〔先判定演出コマンド〕
図14中(H):先判定演出コマンドは、上記のように取得時演出判定処理(図9)において生成され、演出制御出力処理(図6中のステップS119)において送信される。このとき先判定演出コマンドには、そのときの抽選結果及び当選種別を表す特別図柄判定値が含まれる他、リーチ変動パターンに該当するか否かを表すリーチ変動パターン判定値が含まれている。
〔先判定演出の契機〕
この例では、初期状態での変動中に発生した上始動入賞口26への入賞に基づき、「当選」を表す先判定演出コマンドが演出制御装置124(演出制御CPU126)に送信されたことで先判定演出を実行する契機が発生している。この場合の先判定演出は、記憶順でみて4個目の作動記憶を対象として実行されるものであり、当該4個目の作動記憶が消費されるまでの期間(特定期間)を利用して、例えば以下のように複数回の変動に跨って連続的に進行する演出が行われる。
〔先判定演出例〕
図15は、4回の変動に跨って実行される先判定演出の例を示す連続図である。なお、図15中(i)〜(iv)は、それぞれが1回ごとの変動で表示される演出画像の例を示しており、これらは1回の変動中に連続して発生するものではない。以下、具体的に説明する。
〔変動1回目:第1段階〕
図15中(i):先判定演出の契機が発生した後、1回目の変動表示演出において、例えば背景画像中の女性キャラクターがそれまでリラックスムードであったところ、ふと何かに気付くような素振りを見せる演出が行われる。また、このとき作動記憶が1個消費されるため、マーカM1の表示数は1個減少している(4個→3個)。なお、下始動入賞口28bへの入賞が発生しないことから、ここではマーカM2の表示数(0個)に変化はない。また図示していないが、この後は左演出図柄、右演出図柄、中演出図柄の順にスクロール表示が停止し、はずれ目による結果表示演出が行われる(例えば図12中(E)に類似した態様)。なお、これ以降の変動についても同様とする。
〔変動2回目:第2段階〕
図15中(ii):次の2回目の変動表示演出において、例えば画面の左側から別のキャラクター(ここでは「提灯お化け」)の画像が出現する演出が行われる。ここでも同様に、このとき作動記憶が1個消費されるため、マーカM1の表示数は1個減少している(3個→2個)。また同様に、下始動入賞口28bへの入賞は発生しないことから、ここではマーカM2の表示数(0個)に変化はない(これ以降の変動についても同様とする。)。
〔変動3回目:第3段階〕
図15中(iii):次の3回目の変動表示演出において、例えば女性キャラクターが驚いて逃げ出し、画面の右側へ消え去っていく演出が行われるとともに、合わせて前回の変動時に出現した「提灯お化け」のキャラクターが女性キャラクターを追いかけていく演出が行われる。また作動記憶が1個消費されるため、マーカM1の表示数は1個減少している(2個→1個)。
〔変動4目:第4段階〕
図15中(iv):4回目の変動表示では、先判定演出を実行する契機となった作動記憶が消費される。このため先判定演出は、この4回目の変動で全ての予定が進行を終え、その内容が完結する。また、この作動記憶についての先判定結果は当選(大当り)であるため、この変動では大当りリーチ変動演出が行われる。この例では、4回目の変動表示演出中において、例えば女性キャラクターが「お化け退治に出発する」というストーリー性のある内容のリーチ演出が行われる。ここでは最後の作動記憶が消費されるため、マーカM1の表示数は1個減少して0個となっている。
この後はリーチ演出において、例えば画面上で数字が消えていく演出が行われる(図13中(G)に類似した態様)とともに、女性キャラクターが「提灯お化け」や他の妖怪キャラクターと戦って退治する演出が行われる。例えばこの後、女性キャラクターは手にした団扇を武器に代え、数字の「2」,「3」,「4」,「5」に化けた妖怪達を次々となぎ倒していく。そして、最後に数字の「6」に化けた「提灯お化け」のキャラクターを女性キャラクターが退治することにより、数字の「7」が残って大当りになるという演出が行われる。
〔先判定演出のまとめ〕
このような先判定演出は、単に大当り時の変動1回分だけの演出で完結することなく、その3回前の変動から4回目の変動に跨って段階的に内容が変化していく進行態様を有している。このため、遊技者に対して見応えのある演出を提供することができるとともに、複数回の変動を跨いで演出が継続していくことから、変動回数が進めば進むほど、「この先には何が待っているのか」といった期待感を維持することができる。
また上記のように先判定演出は、第1特別図柄について行われる複数回の変動(例えば4回分)に跨った進行態様(スケジュール)を予め設定した上で、その後、実際に変動回数を重ねるごとに、設定した進行態様に基づいて演出の内容を変化させていくものである。ただし、本実施形態では第1特別図柄よりも第2特別図柄の作動記憶を優先的に消費して変動を行う制御プログラムを採用していることから、先判定演出の進行途中で新たに下始動入賞口28bへの入賞が発生した場合、次の変動では第2特別図柄が変動対象となり、その場合は上記の先判定演出の進行状況にも影響が生じることとなる。
〔先判定演出の進行状況変化〕
図16は、先判定演出の進行状況の変化を各種の状態とともに示したタイミングチャートである。なお、ここでは図14に示す状況と同様に、第1図柄について4個目の作動記憶を対象として先判定演出の契機が発生した場合を想定している。
〔下始動入賞口スイッチ〕
図16中(A):例えば先判定演出の契機が発生後、2回目の変動中に下始動入賞口28bへの入賞が発生したことにより、下始動入賞口スイッチ82の入賞検出信号が発生(ON)している。
〔第2特別図柄作動記憶数〕
図16中(B):下始動入賞口スイッチ82の入賞検出信号の発生を受け、第2特別図柄作動記憶数が初期状態の0個から1個に増加する。
〔第2特別図柄表示装置〕
図16中(C):第2特別図柄について作動記憶がある場合、第1特別図柄よりも第2特別図柄の変動が優先されるため、この例では第1特別図柄の確定停止後(確定停止時間経過後)、第2特別図柄表示装置35による変動表示が開始されることになる。
〔第1特別図柄作動記憶数〕
図16中(E):図14と同様に、初期状態において第1特別図柄の作動記憶数が3個であった場合を想定すると、4個目の作動記憶が増加してから2回分の変動を経て、作動記憶数は2個に減少している。
〔第1特別図柄表示装置〕
図16中(F):上記のように、4個目の作動記憶が増加してから2回分の変動を経た後、第2特別図柄の変動が優先されている。この間、第1特別図柄の変動は待ち状態(保留)となる。この後、第2特別図柄の変動が停止すると(確定停止時間経過後)、その時点で第2特別図柄の作動記憶数は0個になっているため、次に第1特別図柄の変動表示(先判定演出中の3回目)が開始される。
図16中(A):この例では、3回目の変動中に下始動入賞口28bへの入賞が発生した場合を想定しており、それによって下始動入賞口スイッチ82の入賞検出信号が発生(ON)している。
図16中(B),(C):その結果、再び第2特別図柄の作動記憶数は0個から1個に増加するため、第1特別図柄の変動停止後(確定停止時間経過後)、また第2特別図柄の変動が開始されることになる。
図16中(F):これにより、第1特別図柄の変動表示は再び待ち(保留)となり、第2特別図柄の変動停止後(確定停止時間経過後)、ようやく4回目の変動が開始されることになる。
以上のように、先判定演出中の進行途中で下始動入賞口28bへの入賞が発生すると、その間に第2特別図柄の変動表示が割り込んでくることになる。このため先判定演出について予め設定した進行態様(図15)に影響が生じることになるが、本実施形態では以下の派生演出を付加的に実行することで、先判定演出の流れ(連続性)を崩さない工夫がなされている。以下、この点について説明する。
〔派生演出付加例〕
図17は、先判定演出の途中で派生演出を付加して実行した場合の例を示す連続図である。なお、図17中(A),(B),(E)は、それぞれが別々の変動で表示される演出画像の例を示しているが、図17中(C),(D)は同じ1回の変動内で表示される演出画像の例を示し、また図17中(F),(G)も別の同じ1回の変動内で表示される演出画像の例を示している。そして図17中(H),(I)は、同じ1回のリーチ変動内で表示される演出画像の例を示している。
〔先判定演出の進行態様〕
図17中(A),(B),(E),(H):これら左側の縦列に示されている演出画像は、上述した先判定演出の進行態様と同じである。なお、ここでは図17中(H)にリーチ演出の続きとなる演出画像例が示されている。
〔付加演出の進行態様〕
図17中(C),(D):これら右側の縦列に示されている演出画像は、先判定演出の進行態様に付加された派生演出の例である。派生演出は、付加された先判定演出の進行態様に続けて内容が変化するものとなっている。以下、演出の進行に沿って説明する。
〔第1特別図柄変動1回目:第1段階〕
図17中(A):先判定演出の契機が発生した後、1回目の変動表示演出中において、例えば背景画像中の女性キャラクターがそれまでリラックスムードであったところ、ふと何かに気付くような素振りを見せる演出が行われる。なお、この演出は図15中(i)
に示される演出例と同じである。ただし、ここでは変動に消費された作動記憶を下向きの矢印(図中「↓」)で表している(以下でも同様とする。)。
〔第1特別図柄変動2回目:第2段階〕
図17中(B):次の2回目の変動表示演出中において、画面の左側から「提灯お化け」のキャラクター画像が出現する演出が行われる。なお、この演出もまた図15中(ii)に示される演出例と同じである。ただし、ここでは第1特別図柄の変動表示中に下始動入賞口28bへの入賞が発生したことにより、マーカM2の表示数が0個から1個へ増加している。
〔第2特別図柄変動時:第2段階の派生〕
図17中(C):次の変動表示は第2特別図柄の変動に対応したものであり、第1特別図柄の変動ではない。このため、元々の進行態様に沿って先判定演出を継続するのではなく、ここでは派生演出が付加的に実行されている。この派生演出では、例えば先の変動表示演出中に出現した「提灯お化け」のキャラクターが舌をぺろりと出し、女性キャラクターを脅かすような素振りを見せる様子が表現されている。なお、このとき第2特別図柄の作動記憶が消費されたことで、マーカM2において表示が1個減少している(1個→0個)。
〔第2特別図柄変動時:第2段階の派生続き〕
図17中(D):同じ第2特別図柄の変動表示演出において、次の先判定演出の進行態様とつながりのある派生演出が実行される。すなわち、この派生演出では、例えば「提灯お化け」のキャラクターがさらに舌を長く突き出すとともに、驚いた女性キャラクターが逃げ出して画面の右側へ消え去る様子が表現されている。
〔期待度の示唆〕
加えて本実施形態では、単に先判定演出から派生した内容を付加するだけでなく、派生演出において当選の可能性(期待度、信頼度等)を示唆する態様が付加されている。この派生演出例では、例えば「提灯お化け」の出す舌の形態(色、柄、長さ、大きさ等)によって先判定演出の期待度を示唆することができる。
より具体的には、舌の色や柄が一般的な「赤色無地」の場合は期待度が通常程度であり、これが「ピンク色無地」になると期待度が通常より高く、そして「金色」や「虎柄」になると期待度が最高に達するというものとなっている。つまり、先判定演出の契機となった第1特別図柄の4個目の作動記憶について、先判定演出コマンドに基づいて「当選」が事前に判明している場合、比較的高い選択比率(例えば80%以上)で上記の「金色」や「虎柄」を選択して派生演出が実行される。これに対し、先判定演出コマンドに基づいて「非当選」が事前に判明していれば、比較的高い選択比率(例えば80%以上)で上記の「赤色無地」を選択し、派生演出が実行されることになる。これにより、派生演出を用いて先判定演出の期待度(当選の可能性の度合)を遊技者に示唆することができる。この他にも、例えば舌の長さや大きさ等によって期待度を表してもよい。
〔第1特別図柄変動3回目:第3段階〕
図17中(E):次の変動は第1特別図柄の変動(3回目)であり、このため先判定演出の内容は第3段階に進行する。この変動表示演出において、「提灯お化け」のキャラクターが女性キャラクターを追いかけていく演出が行われる。なお、この演出は図15中(iii)に示される演出例と同じであるが、このとき先の派生演出(図17中(D))で既に女性キャラクターが逃げ出す演出が行われているため、これまでの演出の進行態様には特に矛盾が生じることなく、円滑な先判定演出の流れが維持されている。そして、ここでもまた、第1特別図柄の変動表示中に下始動入賞口28bへの入賞が発生したことにより、マーカM2の表示数が0個から1個へ増加している。
〔第2特別図柄変動時:第3段階の派生〕
図17中(F):この場合、やはり次の変動表示は第2特別図柄の変動に対応したものであり、第1特別図柄の変動ではない。このため、元々の進行態様に沿って先判定演出を継続するのではなく、ここでも別の派生演出が付加的に実行されている。この派生演出では、例えば女性キャラクターを追いかけていった「提灯お化け」のキャラクターが中央に出現し、正面に向かって舌をぺろりと出す様子が表現されている。なお、このとき第2特別図柄の作動記憶が消費されたことで、マーカM2において表示が1個減少している(1個→0個)。
〔第2特別図柄変動時:第3段階の派生続き〕
図17中(G):先と同じ第2特別図柄の変動表示演出において、例えば「提灯お化け」のキャラクターがさらに舌を大きく突き出す様子が表現されている。ここでもまた、「提灯お化け」の突き出す舌の形態(色、柄、長さ、大きさ等)により、先判定演出の期待度を示唆することができる。このときの派生演出では、例えば舌の大きさが期待度の高さを表しており、画面上でより大きく舌が表示される程、先判定演出の期待度が高いことを意味している。この他に、ここでも舌の色や柄で期待度を表してもよい。
〔第1特別図柄変動4目:第4段階〕
図17中(H),(I):次の変動は第1特別図柄の変動(4回目)であり、先判定演出の内容は最終の第4段階に進行する。4回目の変動表示では、先判定演出を実行する契機となった作動記憶が消費されるため、先判定演出はこの4回目の変動で全ての予定が進行を終了し、その内容が完結する。なお、この演出は図15中(iv)に示される演出例と同じであるが、このとき先の派生演出(図17中(F),(G))で既に「提灯お化け」のキャラクターが正面を向いて対峙する演出が行われているため、最後に女性キャラクターが「お化け退治に出発する」というストーリー性に矛盾を生じることなく、先判定演出の連続性が維持されている。
〔演出制御処理〕
次に、以上の演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。
図18は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。この演出制御処理は、例えば図示しないリセットスタート(メイン)処理とは別にタイマ割込処理(割込管理処理)の中で実行される。演出制御CPU126は、リセットスタート処理の実行中に所定の割込周期(例えば、数ミリ秒周期)でタイマ割込を発生させ、タイマ割込処理を実行する。
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば特図先判定演出コマンド(事前のリーチ変動パターン判定値を含む)、特図別作動記憶数コマンド、始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、図柄停止時コマンド、状態指定コマンド、ラウンド数コマンド、エラー通知コマンド等がある。
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や結果表示演出の内容を制御したり、可変入賞装置30の開閉動作時の演出内容を制御したりする。なお、演出図柄管理処理の内容については別の図面を参照しながらさらに後述する。
ステップS404:表示出力処理では、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して演出内容の基本的な制御情報(例えば、第1特別図柄及び第2特別図柄それぞれの作動記憶数、変動演出パターン番号、予告演出番号、モード番号等)を指示する。これにより、演出表示制御装置144(表示制御CPU146及びVDP152)は指示された演出内容に基づいて液晶表示器42による表示動作を制御する(各種の演出実行手段としての機能を果たす。)。
ステップS406:ランプ駆動処理では、演出制御CPU126はランプ駆動回路132に対して制御信号を出力する。これを受けてランプ駆動回路132は、制御信号に基づいて各種ランプ46〜52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
ステップS408:次の音響駆動処理では、演出制御CPU126は音響駆動回路134に対して演出内容(例えば変動表示演出中やリーチ演出中、モード移行演出中、大当り演出中のBGM、音声データ等)を指示する。これにより、スピーカ54,55,56から演出内容に応じた音が出力される。
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば予告選択に用いられる乱数や通常の背景チェンジ抽選用いられる乱数等がある。
ステップS412:その他の処理では、例えば演出用に可動体がある場合、演出制御CPU126は可動体の駆動用ICに対して制御信号を出力する。特に図示していないが、可動体は例えばソレノイドやステッピングモータ等の駆動源によって動作し、液晶表示器42による画像の表示と同期して、又は単独で演出を行うものである。これらソレノイドやステッピングモータ等の駆動源は、例えば図4中のパネル電飾基板138に接続することができる。
以上の演出制御処理を通じて、演出制御CPU126はパチンコ機1における演出内容を統括的に制御することができる。次に、演出制御処理の中で実行される演出図柄管理処理の内容について説明する。
〔演出図柄管理処理〕
図19は、演出図柄管理処理の手順例を示すフローチャートである。演出図柄管理処理は、実行選択処理(ステップS500)、演出図柄変動前処理(ステップS502)、演出図柄変動中処理(ステップS504)、演出図柄停止表示中処理(ステップS506)及び可変入賞装置作動時処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出図柄管理処理の基本的な流れを説明する。
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502〜ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また戻り先のアドレスとして演出図柄管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ変動表示演出を開始していない状況であれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動前処理(ステップS502)を選択する。一方、既に演出図柄変動前処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として演出図柄変動中処理(ステップS504)を選択し、演出図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として演出図柄停止表示中処理(ステップS506)を選択する。また可変入賞装置作動時処理(ステップS508)は、主制御CPU72において可変入賞装置管理処理(図10中のステップS5000)が選択された場合にのみジャンプ先として選択される。この場合、ステップS502〜ステップS506は実行されない。
ステップS502:演出図柄変動前処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出を開始するための条件を整える作業を行う。その他にも演出制御CPU126は、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態である場合のデモ演出の制御も行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
ステップS504:演出図柄変動中処理では、演出制御CPU126は必要に応じて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に指示する制御情報を生成する。例えば、演出図柄を用いた変動表示演出を実行中に演出切替ボタン45を用いた演出を行う場合、遊技者による演出ボタンの操作の有無を演出制御CPU126が監視するとともに、その結果に応じた演出内容(ボタン演出)の制御情報を表示制御CPU146に対して指示する。
ステップS506:演出図柄停止表示中処理では、演出制御CPU126は内部抽選の結果に応じた態様で演出図柄や動画像を用いた結果表示演出の内容を制御する。すなわち、演出制御CPU126は演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して変動表示演出の終了と結果表示演出の実行を指示する。これを受けて演出表示制御装置144(表示制御CPU146)は、実際に液晶表示器42の表示画面内でそれまで実行していた変動表示演出を終了させ、結果表示演出を実行する。これにより、特別図柄の停止表示に略同期して結果表示演出が実行され、遊技者に対して内部抽選の結果を演出的に教示(開示、告知、報知等)することができる(図柄演出実行手段)。
ステップS508:可変入賞装置作動時処理では、演出制御CPU126は小当り中又は大当り中の演出内容を制御する。例えば15ラウンドの大当りの場合、演出制御CPU126は液晶表示器42に表示する演出内容として15ラウンド大当り中に専用の演出パターンを選択し、これを演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。また演出制御CPU126は、15ラウンド大当り中の遊技の進行状況(例えば、ラウンドの進行状況)に合わせて演出パターンを選択すると、これらを適宜、演出表示制御装置144(表示制御CPU146)に対して指示する。これにより、液晶表示器42の表示画面では15ラウンド大当り中に専用の演出画像が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
あるいは、「2ラウンド大当り」に該当していた場合、演出制御CPU126は上記の通常変動演出(例えば図23の演出例)を実行させる制御を行う。また「小当り」の場合、同じく演出制御CPU126は通常変動演出と同様の演出を実行させる制御を行う。
〔演出図柄変動前処理〕
図20は、上記の演出図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。演出制御CPU126は、この処理において上述した先判定演出や派生演出に関する設定を行うことができる。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS600:演出制御CPU126は、主制御CPU72からデモ演出用コマンドを受信したか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、デモ演出用コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、デモ演出用コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS602を実行する。
ステップS602:演出制御CPU126は、デモ選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126はデモ演出パターンを選択する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理の末尾のアドレスに復帰する。そして演出制御CPU126はそのまま演出制御処理に復帰し、続く表示出力処理(図18中のステップS404)、ランプ駆動処理(図18中のステップS406)においてデモ演出パターンに基づいてデモ演出の内容を制御する。
一方、ステップS600においてデモ演出用コマンドが保存されていないことを確認すると(No)、演出制御CPU126は次にステップS604を実行する。
ステップS604:演出制御CPU126は、先判定演出フラグに値(01H)がセットされているか否かを確認する。先判定演出フラグは、これ以降の手順で演出制御CPU126がRAM130のフラグ領域にセットするものであり、初期状態ではリセットされている。初期状態やリセット後に演出図柄変動前処理を実行すると、先判定演出フラグに値がセットされていないため(No)、次に演出制御CPU126はステップS606に進む。
ステップS606:演出制御CPU126は、先判定演出設定処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は第1特別図柄の作動記憶数や先判定演出コマンドに基づき、上記の先判定演出を実行するか否かの抽選を行う。なお、具体的な処理の内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
そして先判定演出処理から復帰すると、演出制御CPU126は次にステップS608以降の手順を実行する。
これに対し、先判定演出フラグがセットされている場合(先判定演出の契機発生後)は以下の手順が実行される。
すなわち演出制御CPU126は、先のステップS604で先判定演出フラグがセットされていることを確認すると(ステップS604:Yes)、ステップS620に進む。
ステップS620:この場合、演出制御CPU126は第2特別図柄作動記憶数を取得する。
ステップS622:そして演出制御CPU126は、取得した第2特別図柄作動記憶数が0より大きいか否かを確認する。このとき、第2特別図柄作動記憶数が1個以上であれば(Yes)、演出制御CPU126はステップS624を実行する。
ステップS624:この場合、演出制御CPU126は先判定演出派生処理を実行する。この処理は、上述した派生演出のパターンを選択するためのものである。なお、具体的な処理の内容については、別のフローチャートを用いてさらに後述する。
先判定演出派生処理から復帰すると、演出制御CPU126は次にステップS608を実行する。これに対し、第2特別図柄作動記憶数が0であれば(ステップS622:No)、演出制御CPU126は特に先判定演出派生処理を実行することなくステップS608に進む。
ステップS608:演出制御CPU126は、今回の変動がはずれ(非当選)であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、非当選時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS616を実行する。逆に、非当選時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、演出制御CPU126はステップS610を実行する。なお、今回の変動がはずれか否かの確認は、抽選結果コマンドの他に変動パターンコマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドがはずれ通常変動又ははずれリーチ変動に該当していれば、今回の変動がはずれであると判定することができる(ただし、2ラウンド大当り時の非リーチ変動パターンは除く。)。
ステップS610:抽選結果コマンドが非当選(はずれ)以外であれば(ステップS608:No)、次に演出制御CPU126は、今回の変動が大当たりであるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、大当り時の抽選結果コマンドが保存されているか否かを確認する。その結果、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていることを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS614を実行する。逆に、大当り時の抽選結果コマンドが保存されていないことを確認した場合(No)、残るは小当り時の抽選結果コマンドだけであるので、この場合、演出制御CPU126はステップS612を実行する。なお、今回の変動が大当たりであるか否かの確認もまた、変動パターンコマンドに基づいて行うことも可能である。すなわち、今回の変動パターンコマンドが大当り変動(2ラウンド大当り時の非リーチ変動パターンを含む)に該当していれば、今回の変動が大当りであると判定することができる。
ステップS612:演出制御CPU126は、小当り時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「C0H00H」〜「D0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。演出パターン番号は、変動パターンコマンドと対になって予め用意されており、演出制御CPU126は図示しない演出パターン選択テーブルを参照して、そのときの変動パターンコマンドに対応した演出パターン番号を選択することができる。
また演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチの種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様等を決定する。なお、ここで決定される演出図柄の種類は、全て「小当り時の図柄の組み合わせ」に該当するものとなっている。
以上の手順は「小当り」に該当した場合であるが、15ラウンド大当り又は2ラウンド大当りに該当した場合、演出制御CPU126はステップS610で「大当り」であることを確認する(Yes)。この場合、演出制御CPU126はステップS614を実行する。
ステップS614:演出制御CPU126は、大当り時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「E0H00H」〜「F0H7FH」)に基づいて、そのときの演出パターン番号を決定する。ここで決定される演出図柄の種類は、上記の「大当りの組み合わせ」を構成するものの他に「2ラウンド大当り時の通常はずれ目」を構成するものも含まれる。なお2ラウンド大当り時の通常はずれ目は、例えば「1−2−3」や「3−5−7」のような規則性のある数字の組み合わせ(いわゆるチャンス当選目)としてもよい。また、大当り時演出パターン選択処理の中では、さらに大当り時停止図柄別に処理を分岐させてもよい。
また、非当選時の場合は以下の手順が実行される。すなわち、演出制御CPU126はステップS608ではずれであることを確認すると(Yes)、次にステップS616を実行する。
ステップS616:演出制御CPU126は、はずれ時演出パターン選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は主制御CPU72から受信した変動パターンコマンド(例えば、「A0H00H」〜「A6H7FH」)に基づいて、はずれ時の演出パターン番号を決定する。はずれ時の演出パターン番号は、「はずれ通常変動」や「時短はずれ変動」、「はずれリーチ変動」等に分類されており、さらに「はずれリーチ変動」には細かいリーチ変動パターンが規定されている。なお、演出制御CPU126がいずれの演出パターン番号を選択するかは、主制御CPU72から送信された変動パターンコマンドによって決まる。
はずれ時の演出パターン番号を選択すると、演出制御CPU126は図示しない演出テーブルを参照し、そのときの変動演出パターン番号に対応する演出図柄の変動スケジュール(変動時間やリーチ発生の有無、リーチ発生の場合はリーチ種類とリーチ発生タイミング)、停止表示の態様(例えば「7」−「2」−「8」等)を決定する。
以上の処理は、先判定演出を実行していない場合のものであり、この場合は毎回の変動ごとに演出パターンが選択されている。これに対し先判定演出の実行中は、予め設定された進行態様に基づいて段階的な演出パターンが選択されることになる。なお、この点については別のフローチャートを用いてさらに後述する。
以上のステップS612,ステップS614,ステップS616のいずれかの処理を実行すると、演出制御CPU126は次にステップS618を実行する。
ステップS618:演出制御CPU126は、予告選択処理を実行する。この処理では、演出制御CPU126は今回の変動表示演出中に実行するべき予告演出の内容を抽選によって選択する。予告演出の内容は、例えば内部抽選の結果(当選又は非当選)や現在の内部状態(通常状態、高確率状態、時間短縮状態)に基づいて決定される。予告演出は、変動表示演出中にリーチ状態が発生する可能性を遊技者に予告したり、最終的に大当りになる可能性があることを予告したりするものである。したがって、非当選時には予告演出の選択比率は低く設定されているが、当選時には遊技者の期待感を高めるため、予告演出の選択比率は比較的高く設定されている。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄管理処理(末尾アドレス)に復帰する。
〔先判定演出設定処理〕
図21は、先判定演出設定処理の手順例を示すフローチャートである。この処理では、上記のように未だ先判定演出フラグをセットしていない状態で、先判定演出を実行するか否かの抽選が行われている。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS700:ここで演出制御CPU126は、第1特別図柄作動記憶数を取得する。なお、ここで取得される値は、上始動入賞口26への入賞発生に伴ってリアルタイムに増加した最新の作動記憶数である。
ステップS702:そして演出制御CPU126は、取得した第1特別図柄作動記憶数が0より大きいか否かを確認する。このとき作動記憶数が0個であれば(No)、演出制御CPU126は以降の手順を実行することなく、演出図柄変動前処理に復帰する。これに対し、作動記憶数が1個以上である場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS704以降の手順に進む。
ステップS704:この場合、演出制御CPU126は第1特別図柄先判定結果情報を取得する。ここでいう先判定結果情報には、上述した先判定演出コマンドに基づく事前の抽選結果や、リーチ変動パターン判定値が含まれる。また、複数の作動記憶がある場合、このステップS704において全ての先判定結果情報を取得するものとする。
ステップS706:次に演出制御CPU126は、取得した先判定結果情報に基づいて先判定演出抽選を行う。先判定演出抽選は、例えば図示しない先判定演出抽選テーブルを用いて行うことができる。先判定演出抽選テーブルは、例えばその時点での(1)作動記憶数、(2)全ての作動記憶についての抽選結果、(3)全ての作動記憶についてのリーチ変動パターン判定値を引数として、これら引数から先判定演出の有無(する/しない)を振り分けるものである。
先判定演出抽選を行う場合の振り分け比率は、例えば(1)の作動記憶数が多い場合ほど高く、また(2)の抽選結果に「当選」が含まれる場合ほど高く、そして(3)のリーチ変動パターン判定値に「リーチ変動」が含まれる場合ほど高く設定されている。このため、例えば(1)作動記憶数が4個あり、(2)4個目の作動記憶が「当選」に該当する場合は高い比率で「先判定演出あり」に振り分けられる。また、例えば(1)作動記憶数が4個あり、(2)4個全ての作動記憶が「非当選」に該当する場合であっても、(3)4個目の作動記憶に「リーチ変動」が含まれる場合は高い比率で「先判定演出あり」に振り分けられる。逆に、例えば(1)作動記憶数が1個だけであり、(2)その作動記憶が「非当選」に該当し、(3)「リーチ変動」に該当しない場合は高い比率で「先判定演出なし」に振り分けられる。また確率的には希であるが、例えば(1)作動記憶数が複数個あっても、(2)全ての作動記憶が「当選」に該当する場合は高い比率で「先判定演出なし」に振り分けられる。
ステップS708:いずれにしても演出制御CPU126は、先判定演出抽選で「先判定演出なし」に振り分けられた場合(No)、ここで先判定演出設定処理を終了し、演出図柄変動前処理に復帰する。これに対し、「先判定演出あり」に振り分けられた場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS710に進む。
ステップS710:この場合、演出制御CPU126は作動記憶数別の演出振り分けテーブルを選択する。なお演出振り分けテーブルは、例えばROM128のテーブル格納領域に記憶されている。
ステップS712:次に演出制御CPU126は、選択した演出振り分けテーブルに基づき、先判定演出パラメータを設定する。
ステップS714:そして演出制御CPU126は、先判定演出フラグに値(01H)をセットする。また演出制御CPU126は、先判定演出カウンタの値をセットする。先判定演出カウンタの値は、先判定演出を実行する変動回数に基づいてセットされる。例えば、今回の演出振り分け結果から4回分の変動を利用して先判定演出を実行する場合、先判定演出カウンタの値は「4」にセットされる。また、今回の演出振り分け結果から3回分の変動を利用して先判定演出を実行する場合、先判定演出カウンタの値は「3」にセットされる。同様に、今回の演出振り分け結果から2回分の変動を利用して先判定演出を実行する場合、先判定演出カウンタの値は「2」にセットされる。そして、今回の演出振り分け結果から1回分の変動を利用して先判定演出を実行する場合、先判定演出カウンタの値は「1」にセットされる。以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄変動前処理に復帰する。
〔作動記憶数別演出振り分けテーブルの例〕
図22は、作動記憶数4個時先判定演出振り分けテーブルの構成例を示す図である。このテーブルは、先のステップS710において、第1特別図柄作動記憶数が4個である場合に選択されるものである。ここでは図示していないが、このよう演出振り分けテーブルは、作動記憶数1個〜3個についてもそれぞれ別途用意されている。
図22に示される演出振り分けテーブルは、作動記憶4個目に対応する先判定演出コマンド(非当選時のリーチ変動パターン判定値を含む)に対し、それぞれ先判定演出の進行パターンとして「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」の振り分け比率を規定したものである。テーブル中の数値は、振り分け比率の分母を例えば「251」としたときの分子(振り分け値)に相当する。
〔通常変動に対する演出振り分け〕
例えば、4個目の作動記憶に対応する先判定演出コマンドが「非当選」を表すものであり、かつ、リーチ変動パターン判定値が「リーチ変動」を表すものでない場合、振り分け比率100%(=251分の251)で「第4パターン」が選択される。その他の「第1パターン」〜「第3パターン」、「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」については、いずれもテーブル中に振り分け値が設定されていないため(=0)、これらが選択されることはない。
〔リーチ変動に対する演出振り分け〕
また、4個目の作動記憶に対応する先判定演出コマンドが「非当選」を表すものであるが、リーチ変動パターン判定値が「リーチ変動」を表すものであった場合、「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。ただし、この場合も「第2特定パターン」については振り分け値が設定されていないため(=0)、これが選択されることはない。
〔非確変当りに対する演出振り分け〕
あるいは、4個目の作動記憶に対応する先判定演出コマンドが「非確変大当り」を表すものである場合、「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」の全てについて、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。
〔確変当りに対する演出振り分け〕
同様に、4個目の作動記憶に対応する先判定演出コマンドが「確変大当り」を表すものである場合、「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」の全てについて、それぞれテーブル中に設定された比率で選択される。なお、ここでは振り分け比率が「非確変当り」の場合と共通に設定されているが、互いに異なっていてもよい。
〔2ラウンド当りに対する演出振り分け〕
そして、4個目の作動記憶に対応する先判定演出コマンドが「2ラウンド当り」を表すものである場合、「第2パターン」〜「第5パターン」については、それぞれテーブル中に設定された比率で選択されるが、この場合、「第1特定パターン」及び「第2特定パターン」については振り分け値が設定されていないため(=0)、これらが選択されることはない。
なお、「第1パターン」〜「第5パターン」、「第1特定パターン」、「第2特定パターン」は、いずれもメインの演出画像については上述した変動4回分の先判定演出の進行態様(図15)を規定したものであるが、さらに演出図柄に関して以下のパターンを含むものとなっている。
演出図柄に関する「第1パターン」の進行態様は、例えば以下の内容で規定される。
(1)第1段階(変動1回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(2)第2段階(変動2回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(3)第3段階(変動3回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(4)第4段階(変動4回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
なお「図柄アニメーション予告」は、通常は演出図柄中に静止画として表示されているキャラクターがアニメーション的な動き(例えば、瞬きをする、表情を変化させる等)を行う演出である。
演出図柄に関する「第2パターン」の進行態様は、例えば以下の内容で規定される。
(1)第1段階(変動1回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(2)第2段階(変動2回目)・・・特になし。
(3)第3段階(変動3回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(4)第4段階(変動4回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
演出図柄に関する「第3パターン」の進行態様は、例えば以下の内容で規定される。
(1)第1段階(変動1回目)・・・特になし。
(2)第2段階(変動2回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(3)第3段階(変動3回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(4)第4段階(変動4回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
演出図柄に関する「第4パターン」の進行態様は、例えば以下の内容で規定される。
(1)第1段階(変動1回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(2)第2段階(変動2回目)・・・特になし。
(3)第3段階(変動3回目)・・・特になし。
(4)第4段階(変動4回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
演出図柄に関する「第5パターン」の進行態様は、例えば以下の内容で規定される。
(1)第1段階(変動1回目)・・・特になし。
(2)第2段階(変動2回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(3)第3段階(変動3回目)・・・特になし。
(4)第4段階(変動4回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
演出図柄に関する「第1特定パターン」の進行態様は、例えば以下の内容で規定される。
(1)第1段階(変動1回目)・・・変動開始時に祭り背景画像にチェンジする。
(2)第2段階(変動2回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(3)第3段階(変動3回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(4)第4段階(変動4回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
なお「背景画像のチェンジ」は、上記のように演出図柄の背景として表示されている画像の種類を変化させる演出であり、例えば「夕方の風景」から「お祭りの風景」に変化するものを挙げることができる。
演出図柄に関する「第2特定パターン」の進行態様は、例えば以下の内容で規定される。
(1)第1段階(変動1回目)・・・変動開始時に盆踊り背景画像にチェンジする。
(2)第2段階(変動2回目)・・・変動開始時に祭り背景画像にチェンジする。
(3)第3段階(変動3回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
(4)第4段階(変動4回目)・・・変動開始時に図柄アニメーション予告を実行。
いずれにしても、演出制御CPU126がいずれかの進行パターンを選択することで、先判定演出中の変動4回分について、メインの女性キャラクターを用いた画像演出の進行態様とともに、演出図柄に関する進行態様が予め設定されることになる。
〔先判定演出派生処理〕
次に図23は、先判定演出派生処理の手順例を示すフローチャートである。この処理では、先判定演出の実行中に第2特別図柄の作動記憶が追加された場合、それまでの先判定演出の進行態様に応じて派生演出のパターンを選択する処理が行われる。以下、手順例に沿って説明する。
ステップS800:ここでは先ず、演出制御CPU126は先判定演出カウンタの値が「1」であるか否かを確認する。例えば4回分の変動を利用して先判定演出を実行する場合、先判定演出カウンタの値は最初「4」にセットされているが、その最初回(1回目)の変動において先判定演出カウンタの値は1減算されるため、ステップS800の判定時に先判定演出カウンタの値は常に「3」以下である。この場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS802に進む。なお、先判定演出カウンタの減算についてはさらに後述する。
ステップS802:続いて演出制御CPU126は、先判定演出カウンタの値が「2」であるか否かを確認する。上記のように先判定演出カウンタの値が「3」であった場合(No)、演出制御CPU126はさらにステップS804に進む。
ステップS804:演出制御CPU126は、ストーリーA1派生パターン選択処理を実行する。この処理では、例えば先判定演出の変動1回目(第1段階)から派生して行われる演出パターンが選択される。
あるいは、ステップS802で先判定演出カウンタの値が「2」であった場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS810を実行する。
ステップS810:演出制御CPU126は、ストーリーA2派生パターン選択処理を実行する。この処理では、例えば先判定演出の変動2回目(第2段階)から派生して行われる演出パターンが選択される。
また、ステップS800で先判定演出カウンタの値が「1」であった場合(Yes)、演出制御CPU126はステップS812を実行する。
ステップS812:この場合、演出制御CPU126はストーリーA3派生パターン選択処理を実行する。この処理では、例えば先判定演出の変動3回目(第3段階)から派生して行われる演出パターンが選択される。
ステップS806:上述したストーリーA1〜A3派生パターン選択処理のいずれかに続き、演出制御CPU126は期待度示唆パターン選択処理を実行する。この処理では、そのとき選択した派生演出パターンにおいて期待度の示唆を行うための演出パターンが選択される。上述した例(図17)では、「提灯お化け」のキャラクターの舌に関する色や柄、大きさ、長さ等のパターンがここで選択されることになる。
ステップS808:そして演出制御CPU126は、派生演出カウンタの値をセットする。派生演出カウンタの値は、第2特別図柄の作動記憶数に対応してセットされる。例えば、作動記憶数が2個である場合、派生演出カウンタの値は「2」にセットされ、作動記憶数が1個であった場合、派生演出カウンタの値は「1」にセットされる。以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出図柄変動前処理に復帰する。
〔派生パターンの系統〕
図24は、先判定演出の進行態様と派生パターンとの関係性を示した系統図である。以下、具体的に説明する。
図24の左側の縦列に示される「ストーリーA1」〜「ストーリーA4」の各ブロックは、例えば先判定演出の第1段階〜第4段階の内容に対応している。先判定演出には「ストーリーA1」〜「ストーリーA4」の順に進行態様が規定されており、このとき先判定演出の内容は「ストーリーA1」〜「ストーリーA4」の順に段階を追って変化していくものとなっている(例えば、図15中(i)〜(iv))。
これに対し、図24中の上段に示される「派生パターンB11」〜「派生パターンB13」・・・の各ブロックは、「ストーリーA1」から派生して付加的に実行される派生演出のパターンを示している。また、これら「派生パターンB11」〜「派生パターンB13」・・・には、左側から右側の順に進行態様が規定されており、派生演出の内容は「派生パターンB11」〜「派生パターンB13」・・・の順に変化していくものとなっている。なお「派生パターンB12」は、「派生パターンB11」による派生演出の実行中に第2特別図柄の作動記憶数が新たに増加した場合や、優先消化後も記憶が途切れなかった場合、次に続く派生演出として選択されるものである。また「派生パターンB13」は、既に「派生パターンB12」による派生演出の実行中に第2特別図柄の作動記憶数が新たに増加した場合や、優先消化後も記憶が途切れなかった場合、次に続く派生演出として選択されるものである(これ以降も同様。)。
ただし、「派生パターンB11」〜「派生パターンB13」・・・は、必ず次の「ストーリーA2」につながる連続性を有しており、「派生パターンB11」〜「派生パターンB13」・・・から「ストーリーA2」への連続性には演出上で矛盾が生じないものとなっている。
以下同様に、図24中の中段に示される「派生パターンB21」〜「派生パターンB23」・・・の各ブロックは、「ストーリーA2」から派生して付加的に実行される派生演出のパターンを示している。また、これら「派生パターンB21」〜「派生パターンB23」・・・にもまた、左側から右側の順に進行態様が規定されており、派生演出の内容は「派生パターンB21」〜「派生パターンB23」・・・の順に変化していくものとなっている。なお「派生パターンB22」は、既に「派生パターンB21」による派生演出の実行中に第2特別図柄の作動記憶数が新たに増加した場合や、優先消化後も記憶が途切れなかった場合、次に続く派生演出として選択されるものである。また「派生パターンB23」は、既に「派生パターンB22」による派生演出の実行中に第2特別図柄の作動記憶数が新たに増加した場合や、優先消化後も記憶が途切れなかった場合、次に続く派生演出として選択されるものである(これ以降も同様。)。
ただし、ここでも「派生パターンB21」〜「派生パターンB23」・・・は、必ず次の「ストーリーA3」につながる連続性を有しており、「派生パターンB21」〜「派生パターンB23」・・・から「ストーリーA3」への連続性には演出上で矛盾が生じないものとなっている(例えば、図17中(D)→(E))。
そして、図24中の下段に示される「派生パターンB31」〜「派生パターンB33」・・・の各ブロックは、「ストーリーA3」から派生して付加的に実行される派生演出のパターンを示している。また、これら「派生パターンB31」〜「派生パターンB33」・・・には、左側から右側の順に進行態様が規定されており、派生演出の内容は「派生パターンB31」〜「派生パターンB33」・・・の順に変化していくものとなっている。なお「派生パターンB32」は、既に「派生パターンB31」による派生演出の実行中に第2特別図柄の作動記憶数が新たに増加した場合や、優先消化後も記憶が途切れなかった場合、次に続く派生演出として選択されるものである。また「派生パターンB33」は、既に「派生パターンB32」による派生演出の実行中に第2特別図柄の作動記憶数が新たに増加した場合や、優先消化後も記憶が途切れなかった場合、次に続く派生演出として選択されるものである(これ以降も同様。)。
そして、ここでも「派生パターンB31」〜「派生パターンB33」・・・は、必ず最後の「ストーリーA4」につながる連続性を有しており、「派生パターンB31」〜「派生パターンB33」・・・から「ストーリーA4」への連続性には演出上で矛盾が生じないものとなっている(例えば、図17中(G)→(H))。
また、全ての「派生パターンB11」〜「派生パターンB33」には、それぞれ期待度示唆パターンがセットで含まれている。なお期待度示唆パターンは、既に説明したとおり派生演出を用いて当選の期待度を示唆する際の演出パターンを規定したものである(例えば、舌の色、柄、大きさ、長さ等)。
〔はずれ時演出パターン選択処理〕
図25は、はずれ時演出パターン選択処理の手順例を示すフローチャートである。この処理では、演出制御CPU126は先判定演出の実行中はその進行態様に基づいて先判定演出パターンを選択し、特に先判定演出の実行中でなければ、毎回のはずれ変動について演出パターンを選択する。以下、手順例に沿って説明する。
〔先判定演出中でない場合〕
先ず、先判定演出の実行中ではない場合の処理について説明する。
ステップS900:演出制御CPU126は、派生演出カウンタに値(>0)がセットされているか否かを確認する。特に先判定演出を実行中でなければ、当然に派生演出カウンタの値もセットされていない(=0)。したがってこの場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS902に進む。
ステップS902:次に演出制御CPU126は、先判定演出カウンタに値(>0)がセットされているか否かを確認する。同じく先判定演出を実行中でなければ、先判定演出カウンタの値はセットされていない(=0)。したがってこの場合(No)、演出制御CPU126は次にステップS910に進む。
ステップS910:この場合、演出制御CPU126は通常時背景チェンジ予告抽選を実行する。例えば、演出制御CPU126は図示しない予告抽選テーブルを参照し、そのときの演出用乱数値に基づいて背景チェンジ予告抽選を実行する(例えば、確率100分の1程度)。
ステップS912:特にステップS910の演出抽選で当選しなかった場合(No)、演出制御CPU126はステップS916に進む。
ステップS916:この場合、演出制御CPU126は、はずれ変動演出パターンを選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない変動演出パターン抽選テーブルを参照し、そのときの演出用乱数に基づいてはずれ変動演出パターン番号を選択する。
一方、ステップS910の演出抽選で当選した場合(ステップS912:Yes)、演出制御CPU126はステップS914に進む。
ステップS914:この場合、演出制御CPU126は、背景チェンジ予告パターンを選択する。例えば、演出制御CPU126は図示しない背景チェンジ予告パターン抽選テーブルを参照し、そのときの演出用乱数に基づいて背景チェンジ予告パターン番号を選択する。これにより、背景画像が例えば「夕涼み画像」から「昼画像」に変化したり、「朝画像」に変化したりする。
〔先判定演出を実行中である場合〕
次に、先判定演出の実行中である場合の処理について説明する。
ステップS900:演出制御CPU126は、派生演出カウンタに値(>0)がセットされているか否かを確認する。先判定演出を実行中であっても、第2特別図柄の作動記憶数が0個のままである場合(図20中のステップS622:No)、先判定演出派生処理は実行されない。この場合、派生演出カウンタの値もセットされていない(=0)ので(No)、演出制御CPU126は次にステップS902に進む。
ステップS902:次に演出制御CPU126は、先判定演出カウンタに値(>0)がセットされているか否かを確認する。ここでは先判定演出を実行中であるため、先判定演出カウンタの値がセットされている。したがってこの場合(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS904に進む。
〔変動1回目の場合〕
ステップS904:演出制御CPU126は、先判定演出パターン選択処理を実行する。この処理では、現在の先判定演出カウンタの値「4」〜「1」に基づいて、今回の変動演出中に実行する画像演出のパターンを選択する。例えば、変動4回分の先判定演出において、今回の変動が1回目(第1段階)である場合、先判定演出カウンタの値は「4」にセットされている。この場合、演出制御CPU126は上記の「ストーリーA1」に対応する画像演出のパターンを選択する。
ステップS906:次に演出制御CPU126は、先判定演出カウンタの値を1減算する。これにより、先判定演出カウンタの値は「3」となる。
ステップS907:そして演出制御CPU126は、減算の結果として先判定演出カウンタの値が「0」になったか否かを確認する。未だ先判定演出カウンタの値が「0」でないため(No)、演出制御CPU126はここで演出図柄変動前処理(図20)に復帰する。
これにより、今回のはずれ変動演出に関して、先判定演出の1回目(第1段階)に対応した内容の画像演出(例えば図15中(i))が実行されることになる。
〔変動2回目の場合〕
次に、変動2回目の処理について説明する。この場合も、ステップS900で特に派生演出カウンタの値がセットされていなければ(No)、次のステップS902で先判定演出カウンタの値がセットされていることを確認した後(Yes)、演出制御CPU126はステップS904を実行する。
ステップS904:今回の変動が2回目(第2段階)である場合、先判定演出カウンタの値は1減算されて「3」となっている。この場合、演出制御CPU126は上記の「ストーリーA2」に対応する画像演出のパターンを選択する。
ステップS906:さらに演出制御CPU126は、先判定演出カウンタの値を1減算する。これにより、先判定演出カウンタの値は「2」となる。
ステップS907:そして演出制御CPU126は、減算の結果として先判定演出カウンタの値が「0」になったか否かを確認する。この時点でも未だ先判定演出カウンタの値が「0」でないため(No)、演出制御CPU126はここで演出図柄変動前処理(図20)に復帰する。
これにより、今回(2回目)のはずれ変動演出に関して、先判定演出の2回目(第2段階)に対応した内容の画像演出(例えば図15中(ii))が実行されることになる。
〔下始動入賞口への入賞発生時〕
例えば、2回目の先判定演出を実行中に下始動入賞口28aへの入賞が発生すると、第2特別図柄の作動記憶数が1個に増加する。この場合、先の演出図柄変動前処理において作動記憶数が1以上であるため(図20中のステップS622:Yes)、演出制御CPU126は先判定演出派生処理(図23)を実行する。
このとき、派生演出カウンタに値(例えば「1」)がセットされているため(図23中のステップS808)、演出制御CPU126はステップS900(Yes判定)からステップS909に進む。
ステップS909:この場合、既にストーリーA2派生パターン選択処理(図23中のステップS810)において演出パターンを選択済みであるため、演出制御CPU126は派生演出カウンタを1減算し、そのまま演出図柄変動前処理(図20)に復帰する。なお、このとき派生演出カウンタの値は「0」となる。
これにより、今回(第2特別図柄の変動1回目)のはずれ変動演出に関して、先判定演出の2回目(第2段階)から派生した内容の派生演出(例えば図17中(C),(D))が実行されることになる。
〔変動3回目の場合〕
この後、第1特別図柄の変動3回目において、ステップS900では既に派生演出カウンタの値が「0」となっている(No)。この場合、演出制御CPU126は次のステップS902で先判定演出カウンタの値がセットされていることを確認した後(Yes)、ステップS904を実行する。
ステップS904:そして、今回の変動が3回目(第3段階)である場合、先判定演出カウンタの値は1減算されて「2」となっている。この場合、演出制御CPU126は上記の「ストーリーA3」に対応する画像演出のパターンを選択する。
ステップS906:さらに演出制御CPU126は、先判定演出カウンタの値を1減算する。これにより、先判定演出カウンタの値は「1」となる。
ステップS907:そして演出制御CPU126は、減算の結果として先判定演出カウンタの値が「0」になったか否かを確認する。この時点でも未だ先判定演出カウンタの値が「0」でないため(No)、演出制御CPU126はここで演出図柄変動前処理(図20)に復帰する。
これにより、今回(3回目)のはずれ変動演出に関して、先判定演出の3回目(第3段階)に対応した内容の画像演出(例えば図15中(iii))が実行されることになる。
〔下始動入賞口への入賞発生時〕
さらに、例えば3回目の先判定演出を実行中に下始動入賞口28aへの入賞が発生すると、第2特別図柄の作動記憶数が1個に増加する。この場合、先の演出図柄変動前処理において作動記憶数が1以上であるため(図20中のステップS622:Yes)、演出制御CPU126は先判定演出派生処理(図23)を実行する。
このとき、派生演出カウンタに値(例えば「1」)がセットされているため(図23中のステップS808)、演出制御CPU126はステップS900(Yes判定)からステップS909に進む。
ステップS909:またこの場合、既にストーリーA3派生パターン選択処理(図23中のステップS812)において演出パターンを選択済みであるため、演出制御CPU126は派生演出カウンタを1減算し、そのまま演出図柄変動前処理(図20)に復帰する。なお、このとき派生演出カウンタの値は「0」となる。
これにより、今回(第2特別図柄の変動1回目)のはずれ変動演出に関して、先判定演出の3回目(第3段階)から派生した内容の派生演出(例えば図17中(F),(G))が実行されることになる。
〔変動4回目の場合〕
この後、第1特別図柄の変動4回目において、ステップS900では既に派生演出カウンタの値が「0」となっている(No)。この場合、演出制御CPU126は次のステップS902で先判定演出カウンタの値がセットされていることを確認した後(Yes)、ステップS904を実行する。
ステップS904:そして、今回の変動が4回目(第4段階)である場合、先判定演出カウンタの値は1減算されて「1」となっている。この場合、演出制御CPU126は上記の「ストーリーA4」に対応する画像演出のパターンを選択する。なお、ここで選択した「ストーリーA4」に対応する画像演出のパターンは、以降の大当り時演出パターン選択処理(図20中のステップS614)において上書きされる。
ステップS906:さらに演出制御CPU126は、先判定演出カウンタの値を1減算する。これにより、先判定演出カウンタの値は「0」となる。
ステップS907:そして演出制御CPU126は、減算の結果として先判定演出カウンタの値が「0」になったか否かを確認する。この時点で先判定演出カウンタの値は「0」になっているため(Yes)、演出制御CPU126は次にステップS908を実行する。
ステップS908:ここで演出制御CPU126は、先判定演出フラグをリセットすると、演出図柄変動前処理(図20)に復帰する。
これにより、今回(4回目)の大当りリーチ変動演出に関して、先判定演出の4回目(第4段階)に対応した内容の画像演出(例えば図15中(iv))が実行されることになる。
〔演出制御のまとめ〕
以上のように本実施形態の演出制御例によれば、第1特別図柄の作動記憶数がある程度たまった状況で先判定演出の抽選を行い、「先判定演出あり」の振り分けが決定した場合、次回の変動から先判定演出を開始することができる。
そして、特に下始動入賞口28aへの入賞が発生しなければ、そのまま4回の変動期間を利用して連続的なストーリー性のある先判定演出が流れるように実行されるため(例えば図15)、変動回数を重ねるごとに遊技者に当選への期待感を再確認させることができる。
また、途中で下始動入賞口28aへの入賞が発生しても、派生演出を付加的に実行することで(例えば図17)、その間、先判定演出のストーリー性に矛盾を生じることなく、最後までスムーズに変動を跨いで演出を完結させることができる。さらに、派生演出には期待度を示唆する内容が含まれているため、そこで遊技者には別の演出的価値を提供し、さらなる興趣性の向上を図ることができる。
また、先判定演出中にその期待度を知り得る手段として下始動入賞口28aへの入賞が条件となっていることから、たとえ先判定演出が開始されたとしても、期待度を知ることへの要求が下始動入賞口28aへの入賞を発生させることへのインセンティブとして働く。このため、先判定演出の途中でも遊技者に下始動入賞口28aへの入賞を発生させるという別の目的を与え、遊技意欲の維持に寄与することができる。
なお上述した一実施形態において、全ての「派生パターンB11」〜「派生パターンB33」・・・についてはずれリーチ演出が含まれていてもよい。例えば、第2特別図柄の変動がはずれリーチ変動に該当した場合であっても、そのリーチ変動演出の派生パターンとして「ストーリーA1」〜「ストーリーA3」には矛盾しない内容のリーチ変動演出パターンが選択される。この場合、当該はずれリーチ変動の終了後に先判定演出に復帰しても、ストーリー性に矛盾を生じることなく先判定演出を実行することができる。
一実施形態では、先判定演出の内容にストーリー性を持たせているが、先判定演出は単に見た目上で連続性のある内容であればよい。例えば、変動1回目から4回目までの間に画面上でカウントダウン表示が行われるものでもよいし、物体が移動する過程を連続的に表す内容(例えば飛行機の離着陸、車や電車、ジェットコースター等の乗り物の走行)であってもよい。また、花火等に接続された導火線が次第に燃えていき、最後に点火されるような内容であってもよい。
また一実施形態では、先判定演出設定処理や先判定演出派生処理を演出図柄変動前処理の中で実行しているが、これら先判定演出設定処理や先判定演出派生処理を別のタイマ割り込み処理で実行してもよい。
また、各種の演出例であげた画像はあくまで一例であり、これらは適宜に変形することができる。その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能であることはいうまでもない。