JP5213022B2 - ベリリウム銅、このベリリウム銅を製造するベリリウム銅製造方法及びベリリウム銅製造装置 - Google Patents

ベリリウム銅、このベリリウム銅を製造するベリリウム銅製造方法及びベリリウム銅製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、BeとCuとを少なくとも含み、塑性歪みが加えられたベリリウム銅、このベリリウム銅を製造するベリリウム銅製造方法及びベリリウム銅製造装置に関する。
従来、高強度ばね材や導電材料等として、ベリリウム(Be)を含む析出型銅合金(以下、ベリリウム銅)が一般的に広く用いられている。
ベリリウム銅は、鍛造加工、圧延加工及びプレス加工等(以下、鍛造加工等)によって冷間(常温)で加工されると、加工硬化が著しく進んでしまうため、1回の鍛造加工等によってベリリウム銅を所望の寸法に加工することが困難である。
従って、一般的に、ベリリウム銅は、鍛造加工等によって熱間(高温)で加工される(例えば、特許第2088889号公報(請求項1、図1等))。
具体的には、ベリリウム銅は、特定の加工温度(600℃〜800℃)、特定の加工速度(3.3×10−5S−1〜1×10S−1)及び特定の加工歪量(0.20以上)等の加工条件の下で加工され、均一で微細な結晶粒がベリリウム銅に形成される。
しかしながら、従来技術では、ベリリウム銅を熱間(高温)で加工することによって動的再結晶が生じることを利用して結晶粒を微細化するため、ベリリウム銅の結晶粒を30μm程度までしか微細化することができなかった。
ここで、ベリリウム銅に相当の歪みを加えることが可能であれば、HPT(High Pressure Torsion)法、ECAE(Equal Channel Angular Extrusion)法及び繰り返し重ね接合圧延(ARB;Accumulative Roll Bonding)法などによって微細な結晶粒が得られる可能性があるが、工業的には適していなかった。
なお、HPT法とは、小さな円盤状の試験片に大きな圧力を加えながら、ねじり変形によって大きなせん断変形を加える方法である。また、ECAE法とは、断面積が一定であり、屈曲部を有するダイス内に、材料を繰り返して通すことによって屈曲部で単純せん断変形を加える方法である。
具体的には、HPT法では、円盤状の試験片の中心からの距離(半径方向の位置)に応じて歪み量が異なるため、均一な結晶粒が得られない。ECAE法では、ダイスの寿命が短いため、大量生産に適していない。また、ECAE法では、工業的な規模で大型構造材を連続生産することにも適していない。ARB法では、加工硬化が大きいため、1パス毎に大圧下で加工することが困難であった。また、ARB法では、Be等の活性元素が酸化膜を形成することによって接合が妨げられてしまう。
また、特許文献1に記載の方法では、ベリリウム銅が熱間(高温)で加工されるため、ベリリウム銅に酸化スケールが生じ、生じた酸化スケールを除去する作業が必要となる。
ここで、ベリリウム銅に酸化スケールが生じず、かつ、ベリリウム銅の時効硬化が進まないような特定の加工温度及び特定の加工時間(例えば、温度=300℃、時間=30分以内)でベリリウム銅を加工する方法も考えられるが、加工時間や加工温度を厳密に管理しながら、ベリリウム銅を加工しなければならないため、この方法を実現することは難しい。
本発明の第1の特徴は、BeとCuとを少なくとも含むベリリウム銅が、平均粒径が2μm以下である結晶粒を有し、かつ、Cuから析出するBeを少なくとも含む析出相を有することを要旨とする。
かかる特徴によれば、ベリリウム銅の結晶粒の平均粒径が2μm以下であることにより、ベリリウム銅の強度や曲げ性が向上する。すなわち、ベリリウム銅の信頼性が向上する。
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴において、ベリリウム銅が、Cu100−(a+b)BeaCob(0.4%≦a≦2.0%、0.15%≦b≦2.8%、a+b≦3.5%)の重量比、又は、Cu100−(c+d)BecNid(0.05%≦C≦0.6%、1.0%≦d≦2.4%、c+d≦3.0%)の重量比で構成されることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴において、前記ベリリウム銅が、前記Cuに前記Beが固溶する温度域である固溶温度域で前記ベリリウム銅を所定の固溶保持時間に亘って保持した後に、前記Beが前記Cuに固溶した状態のままとなる冷却速度で前記ベリリウム銅を冷却し、前記Beが析出しない温度域である加工温度域で、前記固溶化工程で冷却された前記ベリリウム銅に塑性歪みを複数回に分けて加え、前記Beが析出する温度域である析出温度域で、前記加工工程で前記塑性歪みが加えられた前記ベリリウム銅を所定の時効硬化時間に亘って保持することによって形成されることを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、前記結晶粒の前記平均粒径が、結晶方位解析方法によって算出された粒径であり、前記結晶粒方位解析方法が、SEM/EBSP(Scanning Electron Microscope/Electron Back Scatter Diffraction Pattern)法を用いて結晶方位解析を行い、方位差θが2°より大きい境界を結晶粒界として計数して結晶粒径分布を求めるステップと、全計数の平均方位差θが15°以上であることを確認ステップと、前記結晶粒径分布から前記平均粒径を算出するステップとを含むことを要旨とする。
本発明の第5の特徴は、BeとCuとを少なくとも含むベリリウム銅を製造するベリリウム銅製造方法が、CuにBeが固溶する温度域である固溶温度域でベリリウム銅を所定の固溶保持時間に亘って保持した後に、BeがCuに固溶した状態のままとなる冷却速度でベリリウム銅を冷却する固溶化工程と、Beが析出しない温度域である加工温度域で、固溶化工程で冷却されたベリリウム銅に塑性歪みを複数回に分けて加える加工工程と、Beが析出する温度域である析出温度域で、加工工程で塑性歪みが加えられたベリリウム銅を所定の時効硬化時間に亘って保持する時効硬化工程とを含むことを要旨とする。
かかる特徴によれば、Beが析出しない加工温度域で塑性歪みをベリリウム銅に加えることにより、酸化スケールが生じることを抑制することができる。
また、塑性歪みをベリリウム銅に複数回に分けて加えることにより、加工温度や加工時間を厳密に管理することなく、ベリリウム銅に加えられる塑性歪みの量(累積歪み量)を増加させて、均一で微細な結晶粒を有するベリリウム銅を製造することができる。
さらに、時効硬化工程が行われる前にベリリウム銅に塑性歪みを加えることにより、加工硬化が進むことに伴って塑性歪みを加えることが困難になることを回避することができる。
本発明の第6の特徴は、本発明の第5の特徴において、ベリリウム銅が、Cu100−(a+b)BeaCob(0.4%≦a≦2.0%、0.15%≦b≦2.8%、a+b≦3.5%)の重量比、又は、Cu100−(c+d)BecNid(0.05%≦c≦0.6%、1.0%≦d≦2.4%、c+d≦3.0%)の重量比で構成されることを要旨とする。
本発明の第7の特徴は、本発明の第5の特徴又は第6の特徴において、固溶温度域が、700℃〜1000℃の範囲であり、所定の固溶保持時間が、1時間〜24時間の範囲内であり、加工温度域が、0℃〜200℃の範囲内であり、析出温度域が、200℃〜550℃の範囲内であり、所定の時効硬化時間が、1時間〜24時間の範囲内であることを要旨とする。
本発明の第8の特徴は、本発明の第5の特徴乃至第7の特徴において、加工工程で塑性歪みが加えられるベリリウム銅が、互いに直交する3つの軸方向に延びる辺を有する直方体であり、加工工程が、それぞれの軸方向から順にベリリウム銅に加圧して、ベリリウム銅に塑性歪みを加える工程であることを要旨とする。
本発明の第9の特徴は、本発明の第8の特徴において、軸方向に延びる辺の長さの比が1:e:f(1.2≦e≦1.3、1.45≦f≦1.55)であり、加工工程において、ベリリウム銅に1回の加圧で加えられる塑性歪みの量が、0.3〜0.7の範囲内であることを要旨とする。
本発明の第10の特徴は、本発明の第8の特徴又は第9の特徴において、加工工程が、ベリリウム銅に加えられた塑性歪みの累積値が4以上となるまで、それぞれの軸方向から順にベリリウム銅に加圧する工程であることを要旨とする。
本発明の第11の特徴は、BeとCuとを少なくとも含むベリリウム銅を製造するベリリウム銅製造装置が、前記Cuに前記Beが固溶した矩形銅合金が配置される配置面を有する台座部と、前記台座部の前記配置面上に配置された前記矩形銅合金を加熱するヒータ部と、前記台座部の前記配置面に対向して設けられており、前記台座部の前記配置面上に配置された前記矩形銅合金に圧力を加える加圧部とを備え、前記ヒータ部が、前記Beが析出しない温度域である加工温度域で前記矩形銅合金の環境温度を保持し、前記加圧部が、前記加工温度域で前記矩形銅合金に塑性歪みを複数回に分けて加えることを要旨とする。
図1は、本発明の一実施形態に係る鍛造装置100の概観を示す図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る鍛造装置100の機能を示すブロック図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金200を示す図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るベリリウム銅の製造方法を示すフロー図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金と矩形純銅との比較結果を示す図である(その1)。 図6は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金と矩形純銅との比較結果を示す図である(その2)。 図7は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金を光学顕微鏡で組織観察した結果を示す図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金をSEM/EBSP法で組織観察した結果を示す図である(その1)。 図9は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金の平均粒径と累積歪み量との関係を示す図である。 図10は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金をSEM/EBSP法で組織観察した結果を示す図である(その2)。 図11は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金の評価結果を示す図である(その1)。 図12は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金の評価結果を示す図である(その2)。
(実施形態)
(本発明の一実施形態に係る製造装置の概観)
以下において、本発明の一実施形態に係る製造装置(鍛造装置)の概観について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る鍛造装置100の構成を示す図である。
鍛造装置100は、少量のBeとCuとを少なくとも含み、矩形の形状を有する矩形銅合金に圧力を加えることによって、矩形銅合金に塑性歪みを加える装置である。なお、矩形銅合金の詳細については後述する(図3を参照)
ここで、鍛造装置100は、固溶化処理が行われた銅合金を加工する。ここで、固溶化処理とは、固溶温度域(700℃〜1000℃の範囲内)で所定の固溶保持時間(1時間〜24時間)に亘って、少量のBeとCuとを少なくとも含む銅合金を加熱保持した後に、水焼入れ等によって冷却速度が−100℃s−1以上(好ましくは、−200℃s−1以上)となるように、銅合金を冷却する処理である。すなわち、鍛造装置100は、Cuのマトリクス中にBe(又は、Be化合物)が固溶し、結晶粒に転位が生じていない矩形銅合金を加工する。
図1に示すように、鍛造装置100は、基部110と、台座部120と、1対の支柱部130(支柱部130a及び支柱部130b)と、1対のヒータ部140(ヒータ部140a及びヒータ部140b)と、1対の伸縮部150(伸縮部150a及び伸縮部150b)と、加圧部160とを有する。
基部110は、台座部120、支柱部130a及び支柱部130bを支持する。台座部120は、柱状の形状を有し、基部110上に設けられる。また、台座部120は、鍛造装置100によって加工される矩形銅合金200を支持する。
支柱部130a及び支柱部130bは、柱状の形状を有し、基部110上に設けられる。また、支柱部130aは、伸縮部150aを上下方向に伸縮させる構造(例えば、油圧等によって伸縮させる構造)を有する。同様に、支柱部130bは、伸縮部150bを上下方向に伸縮させる構造を有する。
ヒータ部140aは、支柱部130aの側面に設けられ、矩形銅合金200に熱を加える複数の熱源(熱源141a〜熱源145a)を有する。同様に、ヒータ部140bは、支柱部130bの側面に設けられ、矩形銅合金200に熱を加える複数の熱源(熱源141b〜熱源145b)を有する
伸縮部150a及び伸縮部150bは、加圧部160を支持し、上下方向に伸縮する。加圧部160は、矩形銅合金200に圧力を加え、矩形銅合金200を歪ませる。
(本発明の一実施形態に係る製造装置の概観)
以下において、本発明の一実施形態に係る鍛造装置100の機能について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る鍛造装置100の機能を示すブロック図である。
図2に示すように、鍛造装置100は、上述したヒータ部140、伸縮部150及び加圧部160に加えて、制御部170を有する。
制御部170は、ヒータ部140及び伸縮部150を制御する。具体的には、制御部170は、鍛造装置100の内部温度(矩形銅合金200の環境温度)が0℃〜200℃となるようにヒータ部140を制御する。また、制御部170は、矩形銅合金200に加えられる塑性歪みの速度(以下、歪み速度)が1×10−3−1〜1×10+1−1(好ましくは、1×10−2−1〜1×10+1−1)となるように伸縮部150を伸縮させる。
(本発明の一実施形態に係るベリリウム銅の構成)
以下において、本発明の一実施形態に係る加工対象(ベリリウム銅)について、図面を参照しながら説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金200を示す図である。
図3に示すように、矩形銅合金200は、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向に沿って延びる辺を有する直方体(矩形銅合金)である。また、3つの軸方向に沿って延びる辺の長さの比(X辺:Y辺:Z辺)は、1:e:f(但し、1.2<e<1.3、1.45<f<1.55)である。なお、各辺の長さの比(X辺:Y辺:Z辺)は、1:1.22:1.5(すなわち、e=1.22、f=1.5)であることが好ましい。
また、矩形銅合金200は、(1)Cu100−(a+b)BeCo(0.4%≦a≦2.0%、0.15%≦b≦2.8%、a+b≦3.5%)の重量比、又は、(2)Cu100−(c+d)BeNi(0.05%≦c≦0.6%、1.0%≦d≦2.4%、c+d≦3.0%)の重量比で構成される。
ここで、矩形銅合金200の重量比を(1)の組合せとして理由は、以下の通りである。Beの重量比を0.4%以上とした理由は、Be及びCuおよび/またはBe及びCoによって構成される析出相によって強度の向上を図るためであり、Beの重量比を2.0%以下とした理由は、Be及びCoによって構成される析出相の粗大化を抑制することによって強度の向上を図るためである。また、Coの重量比を0.15%以上とした理由は、Coを添加することによって強度向上を図るためであり、Coの重量比を2.8%以下とした理由は、Be及びCoによって構成される析出相の粗大化を抑制するためである。
一方、矩形銅合金200の重量比を(2)の組合せとして理由は、材料のコストを削減するために、Beよりも安価なNiを加えて、Beの重量比を減らすためである。
具体的には、Beの重量比を0.05%以上とした理由は、Be及びNiによって構成される析出相によって強度の向上を図るためであり、Beの重量比を0.6%以下とした理由は、Beの重量比を減らすことによるコストの削減効果を十分に得るためである。また、Niの重量比を1.0%以上とした理由は、Niを添加することによって強度向上を図るためであり、Niの重量比を2.4%以下とした理由は、Cuのマトリクス中に含まれるNiによる導電率の低下や融点の上昇を抑制するためである。
(本発明の一実施形態に係るベリリウム銅の製造方法)
以下において、本発明の一実施形態に係るベリリウム銅の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の一実施形態に係るベリリウム銅の製造方法を示すフロー図である。
図4に示すように、ステップ10において、均質化処理によってCuのマトリクス中にBe(又は、Be化合物)を固溶させ、結晶粒に転位が生じていない銅合金を生成する。
具体的には、Cu100−(a+b)BeCo(0.4%≦a≦2.0%、0.15%≦b≦2.8%、a+b≦3.5%)の重量比、又は、Cu100−(c+d)BeNi(0.05%≦c≦0.6%、1.0%≦d≦2.4%、c+d≦3.0%)の重量比で構成される銅合金を高周波溶解炉で溶解することによって、φ200mmの鋳塊を作成する。また、作成した鋳塊を固溶温度域(700℃〜1000℃の範囲内)で所定の保持時間(1時間〜24時間)に亘って加熱保持することによって、鋳造時に非平衡的に生成する偏析などの後工程に悪影響を及ぼす不均一な組織を除去し均質化する。
ステップ11において、少量のBeを含む銅合金は、鍛造処理によって板状の形状(例えば、13mm×450mm×400mm)を有する板状銅合金に加工される。また、板状銅合金の表面に形成された酸化皮膜は、切削によって除去される。さらに、板状銅合金から、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向に沿って延びる辺を有する直方体である矩形銅合金200を切り出す。また、矩形銅合金200が有する各辺の長さの比(X辺:Y辺:Z辺)は、1:e:f(但し、1.2<e<1.3、1.45<f<1.55)である。
ステップ12において、固溶化処理によってCuのマトリクス中にBe(又は、Be化合物)を固溶させる。具体的には、矩形銅合金200は、固溶温度域(700℃〜1000℃の範囲内)で所定の固溶保持時間(1時間〜24時間)に亘って加熱保持されることによって、Cuのマトリクス中にBe(又は、Be化合物)を固溶させる。また、この矩形銅合金200は、水焼入れ等によって冷却速度が−100℃s−1以上(好ましくは、−200℃s−1以上)で冷却されることによって、Be(又は、Be化合物)が析出することなく、過飽和個溶体となる。
ステップ13において、矩形銅合金200には、上述した鍛造装置100によってZ軸方向から圧力が加えられる。ここで、矩形銅合金200に加えられる塑性歪みの歪み速度は、1×10−3−1〜1×10+1−1(好ましくは、1×10−2−1〜1×10+1−1)の範囲内であり、矩形銅合金200に加えられる塑性歪みの量(歪み量;ε)は、0.3〜0.7の範囲内である。また、矩形銅合金200は、加工温度域(0℃〜200℃の範囲内)で加工される。
ステップ14において、矩形銅合金200には、上述した鍛造装置100によってY軸方向から圧力が加えられる。ここで、矩形銅合金200に加えられる塑性歪みの歪み速度は、1×10−3−1〜1×10+1−1(好ましくは、1×10−2−1〜1×10+1−1)の範囲内であり、矩形銅合金200に加えられる塑性歪みの量(歪み量;ε)は、0.3〜0.7の範囲内である。また、矩形銅合金200は、加工温度域(0℃〜200℃の範囲内)で加工される。
ステップ15において、矩形銅合金200には、上述した鍛造装置100によってX軸方向から圧力が加えられる。ここで、矩形銅合金200に加えられる塑性歪みの歪み速度は、1×10−3−1〜1×10+1−1(好ましくは、1×10−2−1〜1×10+1−1)の範囲内であり、矩形銅合金200に加えられる塑性歪みの量(歪み量;ε)は、0.3〜0.7の範囲内である。また、矩形銅合金200は、加工温度域(0℃〜200℃の範囲内)で加工される。
すなわち、ステップ13〜ステップ15では、矩形銅合金200が有する辺のうち、最も長い辺に対応する軸方向から圧力が加えられ、矩形銅合金200が有する各辺の比は、1:e:fに保たれる。
ステップ16において、作業者は、矩形銅合金200に圧力が加えられた回数(加圧回数)が所定回数(例えば、15回)に達しているか否かを判定する。また、加圧回数が所定加圧回数に達している場合には、ステップ17の処理が行われ、加圧回数が所定の加圧回数に達していない場合には、ステップ13〜ステップ15の処理が再び行われる。
なお、本実施形態において、加圧回数とは、各軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向のいずれか一方から矩形銅合金200に圧力が加えられると、1回としてカウントアップされる回数である。また、所定の加圧回数とは、矩形銅合金200に加えられる塑性歪み量の累積値(累積歪み量;εtotal)が4以上となる回数である。
また、本実施形態において、Z軸方向、Y軸方向及びZ軸方向から矩形銅合金200に圧力が加えられた後に、加圧回数が所定の加圧回数に達しているか否かを判定するが、これに限定されるものではなく、矩形銅合金200に圧力が加えられる度に加圧回数が所定の加圧回数に達しているか否かを判定してもよい。
ステップ17において、矩形銅合金200には、時効硬化処理が施され、Be(又は、Be化合物)によって構成される析出相が形成される。具体的には、矩形銅合金200に含まれるBe(又は、Be化合物)は、析出温度域(200℃〜550℃の範囲内)で矩形銅合金200が所定の時効硬化時間(1時間〜24時間)に亘って保持されることによって析出硬化する。
(作用及び効果)
本発明の一実施形態に係るベリリウム銅の製造方法によれば、Beが析出しない加工温度域で塑性歪みをベリリウム銅に加えることにより、酸化スケールが生じることを抑制することができる。
また、塑性歪みを複数回に分けてベリリウム銅(矩形銅合金200)に加えることにより、加工温度や加工時間を厳密に管理することなく、ベリリウム銅に加えられる塑性歪みの量(累積歪み量)を増加させて、均一で微細な結晶粒(平均粒径≦2μm)を有するベリリウム銅を製造することができる。
具体的には、加工温度域(0℃〜200℃の範囲内)で、1回の加圧で加えられる歪み量が0.3〜0.7の範囲内となるように、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向から矩形銅合金に圧力を加えるため、厳密に管理された加工温度(例えば、300℃)及び加工時間(例えば、30分以内)で加工しなくても、累積歪み量を増加させることができる。
すなわち、加工温度域に幅があり、加工温度域が従来よりも低いため、中間温度脆性によって矩形銅合金が破損する可能性、矩形銅合金の時効硬化が進む可能性等を抑制しながら、均一で微細な結晶粒(平均粒径≦2μm)を有するベリリウム銅を製造することができる。
さらに、時効硬化処理が施される前に矩形銅合金200に塑性歪みを加えることにより、加工硬化が進むことに伴って塑性歪みを加えることが困難になることを回避することができる。
ここで、平均粒径≦2μmとは、以下の測定方法により測定された平均粒径をいう。
(1)SEM/EBSP(Scanning Electron Microscope/Electron Back Scatter Diffraction Pattern)法を用いて結晶方位解析を行い、方位差θが2°より大きい境界を結晶粒界として計数して結晶粒径分布を求める
(2)全計数の平均方位差θが15°以上であることを確認する
(3)結晶粒径分布から平均粒径を算出する
なお、一般的に、方位差θが0°≦θ<4°の境界を持つ亜結晶だけで構成される組織は結晶粒として計数しない。しかしながら、本実施形態では、観察結果は、超微細化していく過程で任意の瞬間を捉えたものであるため、方位差θが0°≦θ<4°の境界を持つ亜結晶だけで構成される組織も、この瞬間の全体組織を構成する一部であると考えられる。従って、平均方位差が15°以上である組織を結晶粒として計数する。
(実施例)
以下において、本発明の一実施形態に係るベリリウム銅の評価結果について、図面を参照しながら説明する。
具体的には、本発明の一実施形態に係るベリリウム銅として、Cu97.77Be0.35Ni1.88の重量比(%)で構成される矩形銅合金を用いた。また、矩形銅合金は、互いに直交する3つの軸方向に延びる辺を有する直方体であり、矩形銅合金が有する各辺の長さの比(X辺:Y辺:Z辺)は1:1.22:1.5である。
また、本発明の一実施形態に係るベリリウム銅の比較材として、Cuが99%以上の重量比で含まれる矩形純銅を用いた。また、矩形純銅は、上述した矩形銅合金と同様のサイズを有する。
矩形銅合金については、固溶化処理によって、Cuのマトリクス中にBe及びNiを予め固溶させた。具体的には、矩形銅合金を石英管内に真空封入して、石英管に真空封入された矩形銅合金を950℃で24時間に亘って加熱保持した後に、水焼入れを行った。その結果、矩形銅合金の結晶粒の平均粒径は、約160μmとなった。
一方、矩形純銅については、500℃で30分間に亘って矩形純銅を真空炉内で加熱保持した後に徐冷する焼きなましを行った。その結果、矩形純銅の結晶粒の平均粒径は、約70μmとなった。
また、矩形銅合金については、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向から鍛造装置100を用いて加工温度(27℃)で圧力を加えることによって塑性歪みを加えた。具体的には、矩形銅合金には、3.0×10−3−1の歪み速度で塑性歪みを加え、1回の加圧による歪み量が0.4となるように塑性歪みを加えた。
さらに、矩形銅合金については、各軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向から圧力を加えてから2s以内に水焼入れを行った後に研磨し、研磨した後に、加工温度(27℃)で15min〜18minに亘って矩形銅合金を加熱保持して、各軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向から再び圧力を加えて矩形銅合金に塑性歪みを加えた。また、塑性歪みの累積値(累積歪み量;εtotal)が6となるまで、この一連の作業を繰り返して、加工硬化の経過測定、硬度測定、光学顕微鏡による組織観察、及び、SEM/EBSP(Scanning Electron Microscope/Electron Back Scatter Diffraction Pattern)法による組織観察を行った。
以下において、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の加工硬化と矩形純銅(Cu)の加工硬化との比較結果について、図面を参照しながら説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の加工硬化と矩形純銅(Cu)の加工硬化との比較結果を示す図である。
図5に示すように、矩形純銅(Cu、加工温度=27℃)については、累積歪み量が0から1となるまで真応力が急激に増加し(加工硬化が進み)、累積歪み量が1から2となるまで真応力が緩やかに増加した。また、累積歪み量が2以上となると、真応力が一定となった。
一方、矩形銅合金(Cu−Be−Ni)については、累積歪み量が0から1.5となるまで真応力が急激に増加し(加工硬化が進み)、累積歪み量が2以上になっても、真応力が緩やかに増加し続けた。
また、加工温度が27℃である場合に、矩形純銅(Cu)の定常変形応力は、380MPaであったのに対して、矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の定常変形応力は、500MPaを超えていた。
以下において、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の硬度と矩形純銅(Cu)の硬度との比較結果について、図面を参照しながら説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の硬度と矩形純銅(Cu)の硬度との比較結果を示す図である。
図6に示すように、ビッカース強度と累積歪み量との関係は、図5に示した真応力と累積歪み量との関係と類似する傾向を示した。
具体的には、矩形純銅(Cu、加工温度=27℃)については、累積歪み量が0から1となるまでビッカース強度が急激に増加し(加工硬化が進み)、累積歪み量が1から2となるまでビッカース強度が緩やかに増加した。また、累積歪み量が2以上となると、ビッカース強度が一定となった。
一方、矩形銅合金(Cu−Be−Ni)については、累積歪み量が0から1.5となるまでビッカース強度が急激に増加し(加工硬化が進み)、累積歪み量が2以上になっても、ビッカース強度が緩やかに増加し続けた。
以下において、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の結晶粒について、図面を参照しながら説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の結晶粒を光学顕微鏡で組織観察した結果を示す図である。また、図8は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の結晶粒をSEM/EBSP法で組織観察した結果を示す図である。
なお、図7及び図8は、累積歪み量(εtotal)が0.4、1.2、4.8及び6.0である場合に、矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の結晶粒を組織観察した結果を示している。
ここで、光学顕微鏡で組織観察した矩形銅合金のサンプルは、矩形銅合金に圧力が最後に加えられた軸方向と平行な面で矩形銅合金を切断し、エミリー紙研磨、バフ研磨及び電解研磨によって矩形銅合金の切断面を鏡面状に仕上げた後に、電解腐食(電解研磨液:リン酸=50%+蒸留水=50%)を行った。
一方、SEM/EBSP法で組織観察した矩形銅合金のサンプルは、矩形銅合金に圧力が最後に加えられた軸方向と平行な面で矩形銅合金を切断し、エミリー紙研磨、バフ研磨及び電解研磨(電解研磨液:メタノール=198ml+リン酸=135ml)を矩形銅合金の切断面に施した。
図7(a)に示すように、累積歪み量(εtotal)が0.4である場合には、初期に生成された結晶粒(以下、初期結晶粒)内に変形帯が現れだす。図7(b)に示すように、累積歪み量(εtotal)が1.2である場合には、初期結晶粒内に生じる変形帯の密度が高くなった。図7(c)に示すように、累積歪み量(εtotal)が4.8である場合には、初期結晶粒内の全域に亘って変形帯が生じ、初期結晶粒を判別することができなくなった。すなわち、微細な粒状組織(平均粒径≦2μm)が初期結晶粒の全域に亘って生じた。図7(d)に示すように、累積歪み量(εtotal)が6.0である場合には、初期結晶粒内に生じる変形帯の密度がさらに高くなった。
図8(a)に示すように、累積歪み量(εtotal)が0.4である場合には、初期結晶粒内に転移境界が方位差0°〜15°で生じた。図8(b)に示すように、初期結晶粒内に転移境界が方位差0°〜15°で生じ、初期結晶粒の境界近傍に微細な粒状組織が生じた。図8(c)に示すように、累積歪み量(εtotal)が4.8である場合には、初期結晶粒内の全域に亘って転移境界が方位差0°〜15°で生じ、微細な粒状組織(平均粒径≦2μm)が初期結晶粒の全域に亘って生じた。この段階で、転移境界の方位差が0°〜15°である大傾角粒界がほとんど見られなくなった。図8(d)に示すように、累積歪み量(εtotal)が6である場合には、累積歪み量(εtotal)が4.8である場合と同様に、初期結晶粒内の全域に亘って転移境界が方位差0°〜15°で生じ、微細な粒状組織(平均粒径≦2μm)が初期結晶粒の全域に亘って生じた。
以下において、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の平均粒径と累積歪み量との関係について、図面を参照しながら説明する。図9は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の平均粒径と累積歪み量との関係を示す図である。図10は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の結晶粒をSEM/EBSP法で組織観察した結果を示す図である。
図9に示すように、累積歪み量(Σε)が増えるに従って、矩形銅合金の結晶粒の平均粒径が小さくなっていることが確認された。また、塑性歪みを矩形銅合金に加えることによって生じた結晶粒(新結晶粒)の粒径については、ほとんど変化が見られなかった。さらに、累積歪み量(Σε)が増えるに従って、矩形銅合金で新結晶粒が占める比率が高くなっていることが確認された。
また、矩形銅合金の結晶粒の平均粒径は、累積歪み量(Σε)が4以上である場合に、2μm以下となることが確認された。
図10に示すように、上述した図8と同様に、累積歪み量(Σε)が4.8以上である場合に、初期結晶粒内の全域に亘って新結晶粒界が方位差0°〜15°で生じ、微細な粒状組織(平均粒径≦2μm)が初期結晶粒の全域に亘って生じることが確認された。
以下において、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の時効硬化について、図面を参照しながら説明する。図11及び図12は、本発明の一実施形態に係る矩形銅合金(Cu−Be−Ni)の時効硬化を示す図である。
図11に示すように、450℃で時効硬化処理が行われた場合には、矩形銅合金(Cu−Be−Ni)のビッカース強度は、時効硬化時間が約1時間となった時点で最大(2,800MPa)となった。一方、315℃で時効硬化処理が行われた場合には、矩形銅合金(Cu−Be−Ni)のビッカース強度は、時効硬化時間が約20時間となった時点で2,400MPa)を超えた。
また、図12に示すように、累積歪み量が4.8である矩形銅合金(Cu−Be−Ni)のビッカース強度は、累積歪み量が0.4である矩形銅合金(Cu−Be−Ni)のビッカース強度よりも高い値を示した。
(変更例)
上述した実施形態では、互いに直交する3つの軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向から圧力を加える圧延加工を行うことによって、矩形銅合金(Cu−Be−Ni)に塑性歪みが加えられるが、これに限定されるものではなく、その他の塑性加工(例えば、押出し加工)を複数回に分けて行うことによって、矩形銅合金(Cu−Be−Ni)に塑性歪みが加えられてもよい。

Claims (8)

  1. Cu 100-(c+d) Be c Ni d (0.05%≦c≦0.6%、1.0%≦d≦2.4%、c+d≦3.0%)の質量比で構成されるベリリウム銅であって、
    平均粒径が2μm以下である結晶粒を有し、かつ、前記Cuから析出する前記Beを少なくとも含む析出相を有することを特徴とするベリリウム銅。
  2. 前記ベリリウム銅は、
    前記Cuに前記Beが固溶する温度域である固溶温度域で前記ベリリウム銅を所定の固溶保持時間に亘って保持した後に、前記Beが前記Cuに固溶した状態のままとなる冷却速度で前記ベリリウム銅を冷却し、
    前記Beが析出しない温度域である加工温度域で、前記固溶化工程で冷却された前記ベリリウム銅に塑性歪みを複数回に分けて加え、
    前記Beが析出する温度域である析出温度域で、前記加工工程で前記塑性歪みが加えられた前記ベリリウム銅を所定の時効硬化時間に亘って保持することによって形成されることを特徴とする請求項1に記載のベリリウム銅。
  3. 前記結晶粒の前記平均粒径は、結晶方位解析方法によって算出された粒径であり、
    前記結晶粒方位解析方法は、
    SEM/EBSP(Scanning Electron Microscope/Electron Back Scatter Diffraction Pattern)法を用いて結晶方位解析を行い、方位差θが2°より大きい境界を結晶粒界として計数して結晶粒径分布を求めるステップと、
    全計数の平均方位差θが15°以上であることを確認するステップと、
    前記結晶粒径分布から前記平均粒径を算出するステップとを含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベリリウム銅。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のベリリウム銅を製造するベリリウム銅製造方法であって、
    前記Cuに前記Beが固溶する温度域である固溶温度域で前記ベリリウム銅を所定の固溶保持時間に亘って保持した後に、前記Beが前記Cuに固溶した状態のままとなる冷却速度で前記ベリリウム銅を冷却する固溶化工程と、
    前記Beが析出しない温度域である加工温度域で、前記固溶化工程で冷却された前記ベリリウム銅に塑性歪みを複数回に分けて加える加工工程と、
    前記Beが析出する温度域である析出温度域で、前記加工工程で前記塑性歪みが加えられた前記ベリリウム銅を所定の時効硬化時間に亘って保持する時効硬化工程とを含み、
    前記加工工程で前記塑性歪みが加えられる前記ベリリウム銅は、互いに直交する3つの軸方向に延びる辺を有する直方体であり、
    前記加工工程は、それぞれの前記軸方向から順に前記ベリリウム銅に圧力を加えて、前記ベリリウム銅に前記塑性歪みを加える工程であることを特徴とするベリリウム銅製造方法。
  5. 前記固溶温度域は、700℃〜1000℃の範囲であり、
    前記所定の固溶保持時間は、1時間〜24時間の範囲内であり、
    前記加工温度域は、0℃〜200℃の範囲内であり、
    前記析出温度域は、200℃〜550℃の範囲内であり、
    前記所定の時効硬化時間は、1時間〜24時間の範囲内であることを特徴とする請求項に記載のベリリウム銅製造方法。
  6. 前記加工工程で前記塑性歪みが加えられる前記ベリリウム銅は、互いに直交する3つの軸方向に延びる辺の長さが1:e:f(1.2≦e≦1.3、1.45≦f≦1.55)となる直方体であり、
    前記加工工程において、前記ベリリウム銅に1回の加圧で加えられる前記塑性歪みの量は、0.3〜0.7の範囲内であることを特徴とする請求項4又は5に記載のベリリウム銅製造方法。
  7. 前記加工工程は、前記ベリリウム銅に加えられた前記塑性歪みの累積値が4以上となるまで、それぞれの前記軸方向から順に前記ベリリウム銅に圧力を加える工程であることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載のベリリウム銅製造方法。
  8. 請求項乃至のいずれかに記載の製造方法に用いられ、BeとCuとを少なくとも含むベリリウム銅を製造するベリリウム銅製造装置であって、
    前記Cuに前記Beが固溶した矩形銅合金が配置される配置面を有する台座部と、
    前記台座部の前記配置面上に配置された前記矩形銅合金を加熱するヒータ部と、
    前記台座部の前記配置面に対向して設けられており、前記台座部の前記配置面上に配置された前記矩形銅合金に圧力を加える加圧部とを備え、
    前記ヒータ部は、前記Beが析出しない温度域である加工温度域で前記矩形銅合金の環境温度を保持し、
    前記加圧部は、前記加工温度域で前記矩形銅合金に塑性歪みを複数回に分けて加えることを特徴とするベリリウム銅製造装置。
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