JP5209409B2 - ガス吸着材料に吸着されたガス吸着量の算出方法 - Google Patents

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本発明は、容量法(シーベルト法)を用いてガス吸着材料に吸着されたガス吸着量を算出する方法に関する。
水素吸蔵合金は、多量の水素ガスを金属中に吸蔵するという特性を有している。この水素吸蔵合金の水素ガス吸蔵特性を評価する方法の一つとして、容量法(シーベルト法)により算出される圧力−組成等温線(PCT線)によるものが知られている(非特許文献1参照)。
即ち、このPCT線は、水素吸蔵材料が収容されている試料容器に、断続的に水素ガスを繰り返し供給し、供給毎に気体の状態方程式を用いて水素ガスの吸蔵量を算出し、算出値を圧力に対してプロットすることにより得られる。
具体的には、所定の測定装置内に取り付けられた試料容器内に水素吸蔵材料を収容し、この試料容器内に少量の水素ガスを導入してバルブを閉じ、吸蔵反応が収束した後、圧力と温度を測定し、この計測値から気体の状態方程式を用いて水素吸蔵量を算出する。所定の圧力に達するまで、水素ガスの導入及び圧力と温度の計測、水素吸蔵量の算出を繰り返し、これらの計測値及び算出された水素吸蔵量の値からPCT線を作成することとなるわけである。尚、水素ガスの放出量を算出するときには、上記とは逆に、試料容器から断続的に繰り返し排気を行い、排気毎に水素吸蔵量を算出し、この値から水素ガス放出量を求めることができる。
日本工業規格JIS H 7201
ところで、上記のようなPCT線による水素ガス吸蔵特性の評価は、気体の状態方程式を利用しているので、これと全く同じようにしてガス吸着材料の特性評価を行うことができるはずである。しかしながら、本発明者等の研究によると、ガス吸着材料について、水素吸蔵材料と同様にして吸着したガス量の算出を行った場合には、正確なガス吸着量を算出することができないことが判った。例えば、図3は、活性炭に吸着した水素ガス量を算出し、この結果に基づいて作成されたPCT線図を示すものであるが(後述する比較例参照)、この線図では、高圧部でガス吸着量が低下している。即ち、高圧部でのガス吸着量の低下は原理的にありえず、これは、明らかに計算上のズレが生じていることを物語っている。
従って、本発明の目的は、ガス吸着材料に吸着されたガス吸着量を、容量法を利用して精度よく算出する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記で算出されたガス吸着量を用いて、ガス吸着材料の吸着特性を示す圧力−ガス吸着重量等温線を作成する方法を提供することにある。
本発明者等は、前述した非特許文献1に記載された容積法に準拠して、ガス吸着材料に吸着したガス吸着量(重量)を測定したときに生じる理論上のズレについて検討した結果、このようなズレは、水素吸蔵合金における水素吸蔵とガス吸着材料における吸着のメカニズムの相違によるものであると推定し、このような推定に基づき、ガス吸着材料のガス吸着量を算出するときには、気体状態方程式を適用する際の試料容積のフリー空間容積の値を、ガス吸着材料に吸着したガスの容積を考慮して決定することにより、理論上のズレを回避し、精度よくガス吸着量を算出し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、ガス吸着材料が収容された試料容器内に、断続的に複数回に分けてガスを供給或いは排気し、ガス供給乃至排気毎の圧力及び温度から気体の状態方程式を用いて、各供給乃至排気毎にガス吸着材料に吸着されたガス吸着重量を算出する方法において、
前記試料容器のフリー空間容積として、該試料容器の内容積からガス吸着材料容積及び該ガス吸着材料に吸着された、ガスの沸点温度での液体密度を用いて算出されるガス吸着容積を減じた値を用いて気体の状態方程式を適用してガス吸着重量を算出することを特徴とする方法が提供される。
上記の算出方法においては、
(1)n回目のガス供給乃至排気を行ってガス吸着重量を算出するに際し、(n−1)回目のガス供給乃至排気により算出されたガス吸着重量の値から算出されたガス吸着容積を用いること
(2)前記ガスとして水素ガスを用いること、
が好適である。
本発明によれば、また、試料容器を所定の温度に維持しながら上記の方法を実施してガス吸着重量を算出し、この結果に基づいてガス吸着材料の圧力−ガス吸着重量等温線を作成する方法が提供される。
本発明においては、試料容器内のフリー空間容積(Vr)を、下記式:
Vr=Vc−Vs−Vad
式中、Vcは、試料容器の内容積であり、
Vsは、試料容器内に収容されたガス吸着材料の容積であり、
Vadは、ガス吸着材料に吸着されたガス(吸着質)の容積である、
により決定される値を用いて気体状態方程式を適用する点に重要な特徴を有している。即ち、水素吸蔵合金の水素吸蔵量を算出するに際しては、吸蔵される水素は、反応等により水素吸蔵合金の内部に入り込んで行くため、試料容器内のフリー空間容積は一定であるとして計算が行われていた。しかしながら、ガス吸着材料に吸着されたガスは、その表面に存在しているため、この容積を考慮せずに計算を行っていくと、ガスの吸着容量は、実際の値よりも小さく算出されてしまい、理論上のズレを生じてしまうのである。しかるに、本発明にしたがい、ガス吸着材料の容積(Vs)と共に、該吸着材に吸着されたガスの容積(Vad)を試料容器の内容積(Vc)から減じた値を試料容器内のフリー空間容積(Vr)として、気体の状態方程式を適用することにより、正確なガス吸着量(吸着重量)を算出し、この結果に基づいて、ガス吸着材料の圧力−ガス吸着重量等温線を作成することが可能となる。例えば、後述する実施例により作成されたガス吸着材料(活性炭)に水素ガスを吸着させたときの圧力−ガス吸着重量等温線(PCT線)を示す図2によれば、高圧部での吸着量の落ち込みがなく、正確にガス吸着重量が算出されていることが判る。
また、本発明において、ガス吸着材料に吸着されたガスの容積(吸着ガス容積)は、吸着されたガスは分子の自由度を失っていることから、該ガスの沸点温度での液体密度を用いて算出することが好適である。
本発明の方法は、活性炭、シリカ、ゼオライト等の多孔質粉末や、カーボンナノチューブなどのガス吸着特性の決定に効果的に利用することができる。また、吸着させるガス種は、水素ガスが最も好適であるが、窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、ヘリウム、メタン、アンモニア、アミン、硫化水素、ハロゲンガスなど、吸着材料の特性に応じた種々のガスを用いることができる。
本発明の算出方法を実施するための装置としては、例えば水素吸蔵合金の水素吸蔵量の測定に使用されている装置をそのまま適用することができる。このような装置の概略構造の一例を図1に示した。
図1において、この装置にはガス導入側にバルブI、ガス排出側にバルブIが備えられ、その間の配管1にはリザーバータンク2が設けられており、この配管1には、さらに、バルブI及び配管4を介して、ガス吸着材料が収容された試料容器5が装着される。かかる装置において、配管1とリザーバータンク2とを合わせて測定系3とし、その内リザーバータンク2は測定系3の容積調整用に使用する。リザーバータンク2は、適宜、配管1とバルブを介して設けられていてもよく、このバルブを閉じることによって、配管1と切り離し、測定系3を配管1のみとすることもできる。
また、試料容器5は外部から熱媒体を用いて温度調節され、例えば、液体窒素などにより極低温に保持されることができるようになっており、一方測定系3は室温付近に保持されるように構成されている。
さらに、図示されていないが、この装置には、温度計及び圧力計が取り付けられており、所定の部位の温度及び圧力を測定し得るようになっている。
上記の装置を用いてのガス吸着量の算出は、基本的にはJIS H7201に準拠して行われる。
尚、以下のガス吸着量の算出にあたっては、測定系3の容積をVd、配管4の容積をVh、及び試料容器5のフリー空間容積をVrとする。
また、以下の算出に先立って、導入側のバルブIを閉じ、排出側バルブI及びバルブIを開放しての真空排気を行い、試料容器5内に収容されているガス吸着材料のガス吸着量をゼロに調整しておく。この時、適宜、外部から加熱することもできる。
<プロセス(a)>
まず、バルブIおよび排出側バルブIを閉じる。次いで、バルブIからガスを導入し、適当量だけ圧を増大させた後、バルブIを閉じてから、導入圧Pda及び測定系3の温度Tdaを測定する。
このときの測定系3内でのガスのモル数は、気体の状態方程式から以下の通りとなる。
nda=(Pda・Vd)/(zda・R・Tda)
式中、ndaは、測定系3内でのガスモル数であり、
Rはガス定数であり、
zdaは、その圧力、温度下でのガス圧縮係数である。
<プロセス(b)>
この後、バルブIを開放し、平衡圧Prb、測定系3の温度Tdb、配管4の温度Thb及び試料容器5の温度Trbを測定する。このときの各部位でのガスのモル数は、気体の状態方程式から以下の通りとなる。
ndb=(Prb・Vd)/(zdb・R・Tdb)
nhb=(Prb・Vh)/(zhb・R・Thb)
nrb=(Prb・Vr)/(zrb・R・Trb)
式中、ndbは、測定系3内でのガスモル数であり、
nhbは、配管4内でのガスモル数であり、
nrbは、試料容器5のフリー空間内でのガスモル数であり、
zdb、zhb及びzrbは、それぞれ、平衡圧Prb、各温度下でのガス圧
縮係数である。
<プロセス(c)>
そして、またプロセス(a)を繰り返す。測定された導入圧Pdcと測定系3の温度Tdcとを用いて、測定系3のガスのモル数は気体の状態方程式から以下の通りとなる。
ndc=(Pdc・Vd)/(zdc・R・Tdc)
式中、ndcは、測定系3内でのガスモル数であり、
zdcは、その圧力、温度下でのガス圧縮係数である。
<プロセス(d)>
さらに、またプロセス(b)を繰り返す。測定された平衡圧Prd、測定系3の温度Tdd、配管4の温度Thd及び試料容器5の温度Trdとを用いて、各部位でのガスのモル数は気体の状態方程式から以下の通りとなる。
ndd=(Prd・Vd)/(zdd・R・Tdd)
nhd=(Prd・Vh)/(zhd・R・Thd)
nrd=(Prd・Vr)/(zrd・R・Trd)
式中、nddは、測定系3内でのガスモル数であり、
nhdは、配管4内でのガスモル数であり、
nrdは、試料容器5のフリー空間内でのガスモル数であり、
zdd、zhd及びzrdは、それぞれ、平衡圧Prd、各温度下でのガス圧
縮係数である。
ところで、プロセス(d)でガスを試料容器5内へ導入する前に装置内に存在するガスの総モル数ntは、下記式:
nt=ndc+nhb+nrb
で表される。
一方、プロセス(d)でガスを試料容器5内へ導入した後の装置内に存在するガスの総モル数nt’は、下記式:
nt’=ndd+nhd+nrd
で表される。
しかるに、プロセス(d)で試料容器5内にガスを導入することにより、ガス吸着材料に吸着したガス重量は、ガス導入前後の総モル数の差に相当するので、このときのガス吸着量を、吸着材料の単位重量当りの重量割合Δwで示すと、Δwは下記式で表される。
Δw=[M(nt−nt’)/X]・100
ここで、X(g)は吸着材料重量(ガスを吸着していない状態での重量)を表す。
従って、例えば水素ガス(M=2.016)を用いた場合の吸着重量割合(Δw(wt%))は、前述した気体の状態方程式から、下記式(1)で表されることとなる。
Figure 0005209409
…(1)
このようにしてガス吸着重量割合Δw(wt%)を算出し、再び、バルブIを閉じてガスを供給し、プロセス(c)及び(d)を繰り返して行い、その都度、ガス吸着重量割合Δw(wt%)を算出する。かくして得られたガス吸着重量割合の累積値w(wt%)を、平衡圧Pr’に対してプロットしていくことにより、この吸着材料の所定のガスに対する圧力−ガス吸着重量等温線(PCT線)が求められることとなる。
上記のようなガス吸着量の算出にあたっては、測定系3の容積Vd及び配管4の容積Vhが必要となるが、この値は、JIS H7201に記載された方法に準拠すれば算出される。
測定系3の容積Vdを算出するには、例えば、容積既知の配管付き容器(容積v)を使用し、配管4と試料容器5の代わりに、この容器を図1の装置に取り付ける。容積既知配管付き容器内を予め真空排気してバルブIを閉じ、測定系3を不活性ガスで圧力pにしてバルブIを開放し、容積既知配管付き容器内に不活性ガスが拡散したときの圧力をpとすると、
Vd=p(v+Vd) …(2)
が成り立つ。この式から測定系3の容積Vdが算出される。
また、本発明では、後述する方法によって試料容器5のフリー空間容積Vrを設定するが、このために、試料容器5の内容積Vcおよび配管4の内容積Vhを決定することも必要である。この内容積VcおよびVhの値も、上記の測定系3の容積Vdと同様の方法で算出することができる。即ち、試料容器5の代わりに容積既知の容器(容積vc)を装置に取り付ければ、測定系3の容積Vdが既に算出済みであるので配管4の内容積Vhの値が算出される。最後に、VdとVhが既知になれば同様にして試料容器5の内容積Vcもまた算出される。
さらに、上記の例では、非理想気体を例にとっているため、ガス圧縮係数zを用いているが、理想気体を用いるときには、ガス圧縮係数zは、全て1とすればよい。
尚、非理想気体において、下記のガス圧縮係数zは、高温・高圧の場合以外にも低温・高圧の場合でも1から大きくずれる。例えば、水素ガスについては、圧縮係数zは、下記式:
z=1+p(A+BT−1+CT−2+DT−3+ET−4
式中、pは圧力(MPa)であり、
Tは温度であり、
Aは、4.93482×10−5
Bは、2.04036
Cは、8.1534×10+1
Dは、−6.5561×10+4
Eは、4.56516×10+6である。
で近似されるので、この式により圧縮係数を算出して使用することができる。測定した温度及び圧力から、ガス圧縮係数zが1で近似されるような場合には、圧縮係数zを無視することができる。
また、上記の例は、初めに低圧でガスを導入し、徐々にガスを導入してガスを吸着材料に吸着させていく場合を例にとったが、ガスの脱着量を算出するには、始めにプロセス(a)において高圧でガスを導入するか、若しくはプロセス(d)を繰り返し圧力を高めてガスを吸着させた後、少しずつ排気を行ってガスを脱着させていくことにより、上記と同様にしてガス吸着量を算出していくことにより、脱着時での圧力−ガス吸着重量等温線(PCT線)を求めればよい。
ところで、本発明においては、上述したようにガス吸着重量割合Δw(wt%)を算出するにあたって、試料容器のフリー空間容積Vrを、吸着材料に吸着したガスの容積で補正することが必要である。既に述べたように、この吸着ガス容積で補正せずに算出を行うと、ガス吸着量が少なく算出され、理論上のズレを生じてしまうからである。
このような吸着ガス容積による試料容器のフリー空間容積Vrの補正は、ガス吸着材料に吸着されたガスの吸着容積を、該ガスが液体状態で存在しているとして取り扱うことが好ましい。吸着材料に吸着されているガスは、自由度を有していないためである。具体的には、以下のようにして試料容器のフリー空間容積Vrを算出して、繰り返してガスの吸着重量の算出が行われる。
尚、以下に示す式での記号の意味は、次の通りである。
試料容器の内容積:Vc(cm
吸着材料密度(ガスを吸着していない状態での密度):ρ(g/cm
吸着材料重量(ガスを吸着していない状態での重量):X(g)
吸着したガスの沸点温度での液体密度:ρ(g/cm
(水素ガスの液体密度は、0.0708g/cmである。)
n回目の測定で算出される吸着材料に吸着したガスの累積重量:W(g)
先ず、1回目の測定に際しては、測定前の吸着材料へのガス吸着量はゼロとしてよいので、このときの試料空間容積Vr(Vr)は、以下の式で表される。
Vr=Vc−X/ρ=Vc−X/ρ
(このときの吸着材料の密度ρは、ガスを吸着していない状態での密度ρである。)
この試料空間容積Vr(Vr)を用いて前述した式(1)からガス吸着重量割合Δw(wt%)算出され、その値に吸着材料重量X(g)を掛け合わせることでガス吸着重量W(g)が得られる。
2回目の測定に際しては、吸着材料にWのガスが吸着しているので、このときの吸着材料の密度ρは、下記式で表される。
ρ=(X+W)/[(X/ρ)+(W/ρ)]
従って、このときの試料容器のフリー空間容積Vr(Vr)は、以下の式で表されることとなる。
Vr=Vc−(X+W)/ρ
=Vc−[(X/ρ)+(W/ρ)]
従って、2回目の測定でガス吸着量ΔWが算出され、このときのガス累積重量Wが下記式:
=W+ΔW
により算出されることとなる。
以下、同様にして繰り返しガスの累積重量を前述した式により算出していき、n回目の吸着材料の密度ρ及び試料容器のフリー空間容積Vr(Vr)は、以下の式で表されることとなる。
ρ=(X+Wn−1)/[(X/ρ)+(Wn−1/ρ)]
Vr=Vc−(X+Wn−1)/ρ
=Vc−[(X/ρ)+(Wn−1/ρ)]
従って、n回目でのガス吸着量ΔWは、n−1回目までの測定で算出された吸着材料に吸着したガスの累積重量Wn−1を用いて計算されることとなる。
ガスの脱着量の算出も同様にして行えばよい。
以上のような試料容器のフリー空間容積Vr及び吸着材料の密度ρの算出方法をまとめると、以下の表1の通りとなる。
Figure 0005209409
本発明では、以上のようにして試料容器のフリー空間容積を算出し、これを気体の状態方程式に適用することによりガス吸着重量を正確に算出することができ、理論上のズレがなく、圧力−ガス吸着重量(PCT線)を得ることができる。
このような本発明は、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等の多孔質粉末からなる吸着材料の吸着特性を決定するために有効に利用され、吸着するガス種としては、水素ガスが好適であるが、その他、窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、ヘリウム、メタン、アンモニア、アミン、硫化水素、ハロゲンガスなどにも適用できる。
本発明を次の例で説明する。
<実施例1>
鈴木商館製PCT測定装置を用いて、活性炭の水素ガス吸着特性を測定した。
試料の活性炭には市販の高純度活性炭であるクラレケミカル製クラレコールRP−20(以下、RP−20)を使用した。
前述したように圧力−ガス吸着重量等温線を算出するには試料の密度が必要となるので、乾式自動密度計(マイクロメリティクス製アキュピック1330)によって、Heガスを使用し25℃におけるRP−20の密度(以下、He密度)を測定した。その結果、He密度1.97g/cmの値が得られた。また、ガス吸着式比表面積・細孔分布測定装置(マイクロメリティクス製ASAP2010)を用いて、窒素ガス吸着による比表面積を測定したところ、BET法比表面積は2015m/gであった。
水素ガス吸着測定に供する前処理として、RP−20を真空乾燥器にて0.1kPa、200℃で10時間、減圧乾燥した。室温まで下がった後、高純度アルゴンガスにて大気圧へ戻し、速やかに0.52gを精秤してPCT測定装置用試料容器に投入した。さらに、該試料容器を外部から200℃に加熱し、2時間真空乾燥した。
室温に戻した後、該試料容器をPCT測定装置へ装着し、今度は外部から液体窒素にて冷却しながら、30分以上放置し試料容器内のRP−20を−196℃まで十分に冷却した。この冷却状態を維持しつつ、減圧状態から水素ガスを試料容器内に最高到達圧力10MPaまで断続的に複数回に分けて供給し、各回毎に圧力変化が収束した時の平衡圧と温度とを測定した。その後、今後は水素ガスを試料容器内から減圧状態まで断続的に複数回に分けて排気し、同じく各回毎に圧力変化が収束した時の平衡圧と温度とを測定した。尚、PCT測定装置はPCT測定システムソフトウェアがインストゥールされたパソコンによって自動制御された。
各測定回毎の圧力値と温度値から、表1に示した試料容器のフリー空間容積を式(1)へ反映させて水素ガス吸着重量割合を算出した。測定された平衡圧と算出された累積の水素ガス吸着重量割合とから圧力−ガス吸着重量等温線を作成し、図2に示した。
<比較例1>
実施例1において測定された各測定回毎の圧力値と温度値から、RP−20に吸着された水素ガスの容積を考慮せず、即ち、
Vr=Vc−Vs
のように試料容器内のフリー空間容積は一定であるとして、水素ガス吸着重量割合を算出した。そして、実施例と同様に測定された平衡圧と算出された累積の水素ガス吸着重量割合とから圧力−ガス吸着重量等温線を作成し、図3に示した。
本発明方法を実施するために使用される装置の概略構造を示す図。 実施例により得られた圧力−ガス吸着重量等温線を示す図。 比較例により得られた圧力−ガス吸着重量等温線を示す図。
符号の説明
1:配管
2:リザーバータンク
3:測定系
4:配管
5:試料容器

Claims (4)

  1. ガス吸着材料が収容された試料容器内に、断続的に複数回に分けてガスを供給或いは排気し、ガス供給乃至排気毎の圧力及び温度から気体の状態方程式を用いて、各供給乃至排気毎にガス吸着材料に吸着されたガス吸着重量を算出する方法において、
    前記試料容器のフリー空間容積として、該試料容器の内容積からガス吸着材料容積及び該ガス吸着材料に吸着された、ガスの沸点温度での液体密度を用いて算出されるガス吸着容積を減じた値を用いて気体の状態方程式を適用してガス吸着重量を算出することを特徴とする方法。
  2. n回目のガス供給乃至排気を行ってガス吸着重量を算出するに際し、(n−1)回目の水素ガス供給乃至ガス排気により算出されたガス吸着重量の値から算出されたガス吸着容積を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 前記ガスとして水素ガスを用いる請求項1または2の何れかに記載の方法。
  4. 試料容器を所定の温度に維持しながら請求項1の方法を実施してガス吸着重量を算出し、この結果に基づいてガス吸着材料の圧力−ガス吸着重量等温線を作成する方法。
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