JP5205879B2 - プランジャポンプ - Google Patents

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この発明は、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、或いはスタビリティコントロール装置の油圧源として使用するプランジャポンプの改良に関する。具体的には、組み付け誤差等により加わる偏荷重に拘らず、外輪軌道と各ニードルの転動面との転がり接触部の面圧の上昇を抑え、これら各面の転がり疲れ寿命を向上させるべく発明したものである。
ABSやTCS等の作動時には、ブレーキペダルの操作(踏み込み)と関係なく、車輪に付設したホイルシリンダに圧油を供給し、1乃至複数の車輪に制動力を発揮させる。この際にホイルシリンダに供給する圧油として、走行用エンジン又は電動モータにより駆動するプランジャポンプから吐出し、アキュムレータに貯溜しておいたものを使用する。この様な場合に使用するプランジャポンプとして特許文献1には、図4に示した様な構造のものが記載されている。
このプランジャポンプ1は、1対の転がり軸受2、2によりハウジング3内に支持したカム軸4を、モータ5により回転駆動する様にしている。このカム軸4の中間部で上記両転がり軸受2、2の間部分には、このカム軸4の回転中心に対し偏心したカム面6を設けている。このカム面6の外周面は、このカム軸4の中心軸に対し偏心した中心軸を有する円筒状である。又、このカム面6の周囲に円筒状の外輪7を、このカム面6と同心に配置し、これらカム面6と外輪7の内周面との間に複数本のニードル8、8を設けている。更に、この外輪7の外周面に、プランジャ9、9の基端面を突き当てている。これら各プランジャ9、9は、それぞれリターンスプリング10、10により、上記カム面6に向かう方向の弾力を付与されている。上記モータ5により上記カム軸4を回転させると、上記各プランジャ9、9が、上記カム面6の偏心運動と上記各リターンスプリング10、10の弾力とにより、シリンダ筒11、11内で往復移動し、圧油を吐出する。
上述の様な特許文献1に記載されたプランジャポンプ1の場合、上記外輪7として、金属材料に削り出し加工を施して成る、所謂ソリッド形のものを備えている。これに対して特許文献2〜6には、金属板を曲げ成形する事により得られる、シェルと呼ばれる外輪を備えた構造が記載されている。シェル形の外輪を備えたラジアルニードル軸受を使用する事は、プランジャポンプの高容量化と低コスト化とを両立させる面から有利である。図5は、特許文献2に記載されたプランジャポンプを示している。シェル形ラジアルニードル軸受12は、金属板を曲げ成形する事により得られる、シェルと呼ばれる外輪7aの内径側に、複数本のニードル8、8を転動自在に配置して成る。この外輪7aは、軸受鋼、肌焼鋼等の硬質の鉄系合金製の板材に、深絞り加工、バーリング加工等の塑性加工を施す事により造られたもので、円筒状部13と、この円筒状部13の軸方向両端部に径方向内方に向いた状態で形成された1対の鍔部14a、14bとを備える。尚、図5に示した構造は、カム軸4aに対しカム面6aを設ける為に、このカム軸4aに偏心リング15を外嵌固定している。
上述の様な外輪7aを備えたシェル形ラジアルニードル軸受12は、図4に示す様な、削り出しの外輪7を備えた、所謂ソリッド形のラジアルニードル軸受に比べて、外輪7aの低コスト化と同時に薄肉化を図れる。そして、薄肉化を図れる分、同じ条件下(設置空間の径方向及び軸方向の寸法が同じ)であれば、各ニードル8、8の外径及び軸方向寸法を大きくできて、ラジアルニードル軸受の負荷容量を大きくできる。
但し、上述した様な従来構造の場合、外輪7、7aがソリッド形であるかシェル形であるかを問わず、プランジャポンプの低コスト化と耐久性確保とを両立させる面からは、次の様な点で、改良の余地がある。即ち、プランジャポンプを設計する上では、各プランジャ9、9の中心を、ラジアルニードル軸受を構成する各ニードル8、8の軸方向中心上に位置させる。この理由は、上記各プランジャ9、9から上記外輪7、7aに加わるラジアル荷重の作用点を上記各ニードル8、8の軸方向中央部に位置させる事で、これら各ニードル8、8の転動面と、上記外輪7、7aの内周面である外輪軌道16、16a及びカム面6、6aとの転がり接触部の面圧を、軸方向全長に亙り均一にする為である。
ところが、プランジャポンプの構成各部材の寸法精度上、或いは組み付け精度上の問題から、上記各プランジャ9、9の中心と上記各ニードル8、8の軸方向中心とを厳密に一致させられない可能性がある。そして、これら両中心同士が不一致になると、上記各ニードル8、8の転動面と、上記外輪軌道16、16a及び上記カム面6、6aとの転がり接触部の面圧が、軸方向全長に亙り不均一になる。例えば、図6の(A)に示す様に、ラジアルニードル軸受12の径方向反対側に設けた1対のプランジャ9、9が、所定位置(設計通りの位置)からこのラジアルニードル軸受12の軸方向に関して反対側にずれた場合、上記外輪7aに対し、図6の(A)で時計方向のモーメントが加わる。この結果、図6の(A)の上部に記載したニードル8に関しては、このニードル8の右端部で、転動面と上記外輪軌道16a及び上記カム面6aとの転がり接触部の面圧が過大になる(当該部分にエッジロードが加わる)。又、図6の(A)の下部に記載したニードル8に関しては、このニードル8の左端部で、転がり接触部の面圧が過大になる。この様な原因での面圧の上昇は、外輪7、7aがソリッド形であるか、シェル形であるかを問わずに生じ得る。
又、シェル形の外輪7aは、ソリッド形の外輪7に比べて剛性が低い為、図6の(B)に示す様に、各プランジャ9、9が、所定位置からラジアルニードル軸受12の軸方向に関して同じ側にずれた場合でも、転がり接触部の面圧が過大になる場合がある。即ち、剛性が低いシェル形の外輪7aのうちで各ニードル8、8の軸方向中央部から外れた部分の外周面に、上記各プランジャ9、9の基端面からラジアル荷重が加わると、上記外輪7aが弾性変形しつつ、上記各ニードル8、8の軸方向一端部{図6の(B)の右端部}を押圧する。この結果、これら各ニードル8、8の軸方向一端部で、転動面と外輪軌道16a及びカム面6aとの転がり接触部の面圧が過大になる。
何れの態様で転がり接触部の面圧が上昇するにしても、上昇した場合には、上記各ニードル8、8の転動面と、上記外輪軌道16、16aと、上記カム面6、6aとの何れか又は複数の面の転がり疲れ寿命が低下し、上記ラジアルニードル軸受12、延いては、このラジアルニードル軸受12を組み込んだプランジャポンプの耐久性が損なわれる為、好ましくない。勿論、プランジャポンプの構成各部材の寸法精度、及び、これら各部材の組み付け精度を高め、上記各プランジャ9、9の中心と上記各ニードル8、8の軸方向中心とを厳密に一致させれば、上記何れの態様も生じる事がなくなり、転がり接触部の面圧上昇を抑えられる。但し、上記各部材の加工、組み付けが、何れも面倒になり、プランジャポンプの製造コストが嵩む原因になる為、上記各精度を極端に高くする事は好ましくない。
特開2005−240654号公報 特開2000−73938号公報 特開2000−356191号公報 特表2003−502603号公報 米国特許第5230275号明細書 米国特許第6550971号明細書
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、各ニードルの転動面と外輪軌道及びカム面との転がり接触部の面圧の上昇を抑え、これら各面の転がり疲れ寿命を向上させられるプランジャポンプを、構成各部品の寸法精度や組み付け精度を極端に高くする必要なく、低コストで実現すべく発明したものである。
本発明のプランジャポンプは、カム軸と、このカム軸の外周面に設けた、このカム軸の回転中心に対し偏心した、断面円形のカム面と、このカム面の周囲にこのカム面と同心に配置した円筒状の外輪と、この外輪の内周面である外輪軌道とこのカム面との間に転動自在に設けられた複数本のニードルと、上記外輪の外周面に基端面を突き当てたプランジャとを備える。尚、上記カム面は、上記カム軸と一体の部分に形成する事により構成しても、或いは、外周面をカム面とした別体の偏心リングをカム軸に外嵌固定する事により構成しても、何れでも良い。
特に、本発明のプランジャポンプに於いては、上記カム面をクラウニング形状としている。このクラウニング形状は、軸方向中間部が最も上記各ニードルの転動面に対し突出し、軸方向両端部に向かうに従って漸次これら各ニードルの転動面から遠ざかる方向に傾斜した、断面凸円弧状である。具体的には、軸方向全長に亙り単一の曲率半径を有する単一凸曲面(フルクラウニング形状)、或いは、曲率半径が大きい(∞、即ち、母線形状が直線である円筒面を含む)軸方向中間部と、曲率半径が小さい軸方向両端部とを滑らかに連続させた複合曲面(パーシャルクラウニング形状)を採用できる。尚、上記各ニードルの転動面がクラウニング形状であるか否かは問わない。
又、本発明の場合には、上記各ニードルを転動自在に保持する為の保持器を備える。この保持器は、軸方向両端部に互いに平行に配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、円周方向に関して互いに間隔をあけた状態で互いに平行に(軸方向に)配置され、それぞれの両端部を上記両リム部に結合した複数本の柱部とを備え、円周方向に隣り合う柱部とこれら両リム部とによりそれぞれの四周を囲まれた部分を、上記各ニードルを保持する為のポケットとしたものである。そして、上記両リム部の内周面のうちで軸方向内端縁部と、上記カム面のクラウニング形状部分との係合に基づき、上記保持器の径方向に関する位置決めを図る。
又、本発明を実施する場合に使用する上記外輪は、ソリッド形であるかシェル形であるかを問わないが、請求項2に記載した発明の様にシェル形、即ち、金属板を曲げ形成する事により造られ、円筒状部の軸方向両端部に径方向内方に向いた1対の鍔部を設けて成るものとする事が有効である。
上述の様に構成する本発明によれば、各ニードルの転動面と外輪軌道及びカム面との転がり接触部の面圧の上昇を抑え、これら各面の転がり疲れ寿命を向上させられるプランジャポンプを実現できる。
即ち、本発明のプランジャポンプの場合には、各プランジャから外輪の外周面に加わるラジアル荷重の作用線が、各ニードルの軸方向中心からずれた場合、クラウニング形状としたカム面とこれら各ニードルの転動面との転がり接触部を軸方向にずらせつつ、このカム面を設けたカム軸の中心軸と上記各ニードルの中心軸とが非平行になる。上記両面同士の転がり接触部の面圧は、上記クラウニング形状の存在に基づき、この転がり接触部の軸方向端部に向かうに従って漸減する。この結果、上記各ニードルの転動面と外輪軌道及び上記カム面との転がり接触部の面圧が、エッジロードに基づいて過大になる事を防止し、これら転動面や外輪軌道、カム面の転がり疲れ寿命を確保できる。
尚、外輪の内周面である外輪軌道と上記各ニードルの転動面との転がり接触部に関しては、次の様な理由で、エッジロードの発生を抑えられる。即ち、上記外輪の外周面にプランジャから偏荷重が加わると、上記各ニードルが、上記カム面のクラウニング形状に基づいて傾斜する。そして、上記外輪が、これら各ニードルに追従して傾斜し、これら各ニードルの転動面の軸方向端部と上記外輪軌道の軸方向端部とが特に強く当接し合う事がなくなり、耐久性低下に結び付く様なエッジロードの発生を抑えられる。従って、上記カム面のみクラウニング形状とし、上記転動面及び上記外輪軌道を何れも円筒面とした構造でも、従来構造に比べて耐久性向上を図れる。勿論、上記外輪の内周面に関してもクラウニング形状とすれば、上記外輪軌道と上記各ニードルの転動面との転がり接触部でのエッジロードの発生をより有効に防止できる。
更に、本発明の場合には、カム面をクラウニング形状にすると共に、このクラウニング形状部分と1対のリム部との係合により保持器の径方向位置決めを図っているので、次の様な効果を得られる。先ず第一に、プランジャポンプの組立時に、各ニードルの軸方向端部とカム面の端縁との衝合を防止できる。即ち、上記クラウニング形状に基づき、このカム面の軸方向端部の外径を、上記各ニードルの内接円の直径よりも明らかに小さくできる。この為、例えば上記カム面を備えた偏心リングを上記各ニードルの内径側に挿入する際に、この偏心リングの軸方向端縁とこれら各ニードルの軸方向端部とを衝合しにくくして、挿入作業を容易に行なえる。又、挿入作業に伴ってこれら端縁と端部とが強く衝合し、衝合に伴って欠け落ちた金属片等がグリース等の潤滑剤中に混入する事を防止して、この面からも、プランジャポンプの耐久性向上を図れる。
又、保持器の径方向に関する位置決めを図る為、1対のリム部の内周面のうちで軸方向内端縁部と上記クラウニング形状部分とを係合させているので、動力ロスを少なく抑え、しかも運転音を低く抑えられるプランジャポンプを実現できる。即ち、各ニードルを保持器により転動自在に保持する事で、円周方向に隣り合うニードルの転動面同士の擦れ合いを防止して、ラジアルニードル軸受の回転抵抗(動トルク)を低減できる。又、上記保持器の径方向への変位を抑えて、この保持器の振動を抑制し、この振動に基づく騒音の発生を抑えられる。しかも、上記両リム部と上記カム面とが近接対向する部分の面積(擦れ合い面積)は、上記クラウニング形状の存在に基づいて狭く抑えられるので、この部分に存在する潤滑剤の粘性抵抗による上記ラジアルニードル軸受の回転抵抗を低減できる。これらにより、動力ロスを少なく抑え、しかも運転音を低く抑えられる。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本発明の特徴は、プランジャが外輪の外周面の一部で、各ニードルの軸方向中央から外れた部分を押圧する場合にも、ラジアルニードル軸受内部の転がり接触部にエッジロードが加わらない様にする点にある。プランジャポンプの構造に関しては、前述の特許文献1〜6に記載された構造等、従来から知られている構造と同様であるから説明を省略し、以下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
本例の場合には、偏心リング15aの外周面であるカム面6bを、図1に誇張して示す様なクラウニング形状としている。これに対して、各ニードル8、8の転動面には、特にクラウニングを施さず、軸方向両端部外周縁の面取り部を除き、単なる円筒面としている。又、外輪7aの内周面に形成した外輪軌道16aに関しても、軸方向両端部の湾曲部を除き、単なる円筒面としている。又、上記外輪7aは、金属板を曲げ形成する事により造られ、円筒状部13の軸方向両端部に径方向内方に向いた1対の鍔部14a、14bを設けて成る、シェル形である。特に、本例の構造の場合には、上記カム面6bをクラウニング形状とし、このカム面6bの外径を、軸方向中間部で最も大きく、軸方向両端部に向かうに従って漸減させている。即ち、上記カム面6bを、軸方向全長に亙り単一の曲率半径を有する単一凸曲面としている。この様なカム面6bを有する上記偏心リング15aは、別途カム軸に外嵌固定する事で、プランジャポンプを構成する。尚、上記カム面6bをクラウニング形状に加工する作業は、上記偏心リング15aに、カム軸4a(図5〜6参照)を内嵌する為の偏心孔を形成した後に行なう事が、この偏心孔と上記カム面6bとの精度を確保する面等から好ましい。
又、保持器17により、上記各ニードル8、8を転動自在に保持している。この保持器17は、所謂篭形保持器と呼ばれるもので、摩擦係数が低く、しかも耐油性を有する合成樹脂を射出成形する事により一体に形成して成り、1対のリム部18、18と、複数本の柱部19、19とを備える。これら両リム部18、18は、同径の円環状で、軸方向に離隔した状態で、互いに同心且つ平行に設けられている。又、上記各柱部19、19は、円周方向に関して互いに間隔をあけた状態で互いに平行に配置され、それぞれの両端部を上記両リム部18、18に結合している。そして、円周方向に隣り合う柱部19、19とこれら両リム部18、18とによりそれぞれの四周を囲まれた部分を、上記各ニードル8、8を転動自在に保持する為のポケット20、20としている。
本例の場合、上記保持器17の径方向に関する位置決めを、上記両リム部18、18の内周面と上記カム面6bとの係合により図るべく、これら両リム部18、18の内径を、このカム面6bの外径との関係で規制している。本例の場合、これら両リム部18、18の内周面を、軸方向に関して内径が変化しない円筒面(或いは、軸方向両端部に向かうに従って内径が漸次大きくなる方向に傾斜した部分円すい状凹面)としている。従って、これら両リム部18、18の内周面と上記カム面6bとの距離は、これら両リム部18、18の内周面の軸方向内端縁部(上記保持器17の軸方向中央寄りの端縁部)で最も短く、軸方向外側に向かう程漸次長くなる。そこで、上記両リム部18、18の内径を、上記カム面6bのうちでこれら両リム部18、18の内周面の軸方向内端縁部が径方向に対向する部分の外径よりも僅かに大きくしている。従って、上記保持器17の径方向位置は、上記両リム部18、18の内周面のうちで軸方向内端縁部と、上記カム面6bのクラウニング形状部分との係合に基づき規制される(保持器17が回転に伴って径方向に振れ回る事はない)。尚、上記両リム部18、18の内径が上記カム面6bの最大直径よりも小さくなる場合でも、その差は、何れかのリム部18の内径を弾性的に広げつつ、このリム部18を上記カム面6bの最大直径部分を乗り越えさせられる程度に抑える。
上述の様に構成する本例の構造によれば、製造コストを抑えつつ、上記各ニードル8、8の転動面と、前記外輪軌道16a及び上記カム面6bとの転がり接触部の面圧の上昇を抑え、これら各面の転がり疲れ寿命を向上させられる。
即ち、前記外輪7aの中心軸と前記偏心リング15aの中心軸とが多少非平行になっても、上記各ニードル8、8の転動面と、上記カム面6b及び上記外輪軌道16aとの転がり接触部で、早期剥離等の耐久性低下に結び付く損傷が発生する事はない。この点に就いて、図2を参照しつつ説明する。
先ず、図2の(A)に示す様に、ラジアルニードル軸受の径方向反対側に設けた1対のプランジャ9、9が、所定位置からこのラジアルニードル軸受の軸方向に関して反対側にずれた場合、上記外輪7aに対し、図2の(A)で時計方向のモーメントが加わる。この状態では、上記外輪7aの中心軸と上記カム面6bの中心軸とが非平行になるが、このカム面6bがクラウニング形状である事により、上記各ニードル8、8の転動面とこのカム面6bとが、これら各ニードル8、8の軸方向中間部で転がり接触したままの状態に保たれる。上記各ニードル8、8の転動面の軸方向端部と上記カム面6bとが転がり接触し、当該部分にエッジロードが加わる事はない。この場合に、上記各ニードル8、8は、上記外輪7aに倣って傾斜し、これら各ニードル8、8の中心軸は、上記外輪7aの中心軸と平行なままの状態に保たれる。この為、これら各ニードル8、8の転動面と上記外輪軌道16aとは、これら各ニードル8、8の転動面の軸方向全長に亙りほぼ均一に転がり接触する。従って、これら各ニードル8、8の転動面と上記外輪軌道16aとの転がり接触部に関しても、エッジロードが加わる事はない。
又、図2の(B)に示す様に、各プランジャ9、9が、所定位置からラジアルニードル軸受の軸方向に関して同じ側にずれ、上記外輪7aが弾性変形しつつ、上記各ニードル8、8の軸方向一端部{図2の(B)の左端部}を押圧した場合でも、これら各ニードル8、8が外輪軌道16aに倣って傾斜しつつ、それぞれの転動面の軸方向中間部とカム面6bとを転がり接触させる。従って、上記図2の(B)に示した状態でも、上記各ニードル8、8の転動面と外輪軌道16a及びカム面6bとの転がり接触部にエッジロードに基づく過大面圧が作用する事はない。
この為、プランジャポンプの構成各部材の寸法精度、及び、これら各部材の組み付け精度を極端に高くしなくても、上記各ニードル8、8の転動面と、上記外輪軌道16aと、上記カム面6bとの転がり疲れ寿命を確保して、上記ラジアルニードル軸受、延いては、このラジアルニードル軸受を組み込んだプランジャポンプの耐久性を確保できる。
又、本例の構造の場合には、上記カム面6bをクラウニング形状にすると共に、このクラウニング形状部分と前記1対のリム部18、18との係合により前記保持器17の径方向位置決めを図っている為、プランジャポンプの組立作業の容易化と、耐久性向上と、運転音の低減と、効率の向上とを図れる。
このうちの組立作業の容易化及び耐久性向上は、上記プランジャポンプの組立時に、上記各ニードル8、8の軸方向端部と上記カム面6bの軸方向端縁との衝合を防止する事で図れる。即ち、上記クラウニング形状に基づき、このカム面6bの軸方向端部の外径を、上記各ニードル8、8の内接円の直径よりも明らかに小さくできる。この為、上記カム面6bを備えた偏心リング15aを上記各ニードル8、8の内径側に挿入する際に、この偏心リング15aの軸方向端縁とこれら各ニードル8、8の軸方向端部とを衝合しにくくして、挿入作業を容易に行なえる。又、挿入作業に伴ってこれら端縁と端部とが強く衝合し、衝合に伴って欠け落ちた金属片等がグリース等の潤滑剤中に混入する事を防止できる。プランジャポンプを構成するラジアルニードル軸受の潤滑は、カム機構部分に封入したグリースにより行ない、このグリースは長期間に亙って入れ換わる事がない為、このグリース中に硬い異物が混入すると、上記カム機構部分の耐久性が損なわれる。これに対して本例の構造の場合には、上記組立作業時に、この様な耐久性低下の原因になる硬い異物が、上記グリース中に混入する事を防止できて、プランジャポンプの耐久性向上を図れる。
又、上記運転音の低減及び効率の向上は、前記保持器17の径方向に関する位置決めを、1対のリム部18、18の内周面のうちで軸方向内端縁部と上記カム面6bのクラウニング形状部分との係合により図る事で得られる。即ち、上記各ニードル8、8を上記保持器17により転動自在に保持する事で、円周方向に隣り合うニードル8、8の転動面同士の擦れ合いを防止して、ラジアルニードル軸受の回転抵抗(動トルク)を低減できる。又、上記保持器17の径方向への変位を抑えて、上記ラジアルニードル軸受を高速で運転した状態でもこの保持器17の振動を抑制し、この振動に基づく騒音の発生を抑えられる。しかも、上記両リム部18、18と上記カム面6bとが近接対向する部分の面積(擦れ合い面積)は、上記クラウニング形状の存在に基づいて狭く抑えられるので、この部分に存在するグリースの粘性抵抗(グリースの膜に作用する剪断抵抗)による上記ラジアルニードル軸受の回転抵抗を低減できる。これらにより、動力ロスを少なく抑え、しかも運転音を低く抑えられる。
[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1、2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、偏心リング15aの外周面であるカム面6bをクラウニング形状にすると共に、各ニードル8a、8aの転動面もクラウニング形状としている。この様な本例の構造の場合には、これら各ニードル8a、8aの転動面と、外輪軌道16a及び上記カム面6bとの転がり接触部の面圧の上昇を、より効果的に抑えて、これら各面の転がり疲れ寿命を向上させられる。
本発明のプランジャポンプ及びプランジャポンプ用ラジアルニードル軸受はABSやTCS等を制御する為の圧油供給用に限らず、各種機械装置用のプランジャポンプに適用できる。
又、カム軸のうちでカム面を設けた部分は、他の部分と一体であっても良いし、別体のカム(偏心リング)を回転軸に外嵌固定しても良い。外嵌固定の為の構造は、締り嵌め(焼き嵌め、冷やし嵌め等を含む)であっても、キー係合、スプライン係合等であっても良い。
本発明の実施の形態の第1例を示す、プランジャポンプを構成するカムとラジアルニードル軸受とを組み合わせた状態を示す部分断面図。 この第1例の構造で、各ニードルの中心に対しプランジャの中心が偏った状態の2例を示す部分断面図。 本発明の実施の形態の第2例を示す部分断面図。 従来から知られているプランジャポンプの第1例を示す断面図。 同第2例を示す部分断面図。 この第2例の構造で、各ニードルの中心に対しプランジャの中心が偏った状態の2例を示す部分断面図。
1 プランジャポンプ
2 転がり軸受
3 ハウジング
4、4a カム軸
5 モータ
6、6a、6b カム面
7、7a、7b 外輪
8、8a ニードル
9 プランジャ
10 リターンスプリング
11 シリンダ筒
12 シェル形ラジアルニードル軸受
13 円筒状部
14a、14b 鍔部
15、15a 偏心リング
16、16a 外輪軌道
17 保持器
18 リム部
19 柱部
20 ポケット

Claims (2)

  1. カム軸と、このカム軸の外周面に設けた、このカム軸の回転中心に対し偏心した、断面円形のカム面と、このカム面の周囲にこのカム面と同心に配置した円筒状の外輪と、この外輪の内周面である外輪軌道とこのカム面との間に転動自在に設けられた複数本のニードルと、上記外輪の外周面に基端面を突き当てたプランジャとを備えたプランジャポンプに於いて、上記カム面が、軸方向中間部が最も上記各ニードルの転動面に対し突出し、軸方向両端部に向かうに従って漸次これら各ニードルの転動面から遠ざかる方向に傾斜した、断面凸円弧状であるクラウニング形状であり、これら各ニードルを転動自在に保持する為の保持器を備え、この保持器は、軸方向両端部に互いに平行に配置された、それぞれが円環状である1対のリム部と、円周方向に関して互いに間隔をあけた状態で互いに平行に配置され、それぞれの両端部を上記両リム部に結合した複数本の柱部とを備え、円周方向に隣り合う柱部とこれら両リム部とによりそれぞれの四周を囲まれた部分を上記各ニードルを保持する為のポケットとしたものであり、上記両リム部の内周面のうちで軸方向内端縁部と、上記カム面のクラウニング形状部分との係合に基づき、上記保持器の径方向に関する位置決めを図っている事を特徴とするプランジャポンプ。
  2. 外輪が、金属板を曲げ形成する事により造られ、円筒状部の軸方向両端部に径方向内方に向いた1対の鍔部を設けて成るものである、請求項1に記載したプランジャポンプ。
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