JP5205873B2 - 新規なジデオキシヌクレオシド誘導体 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なジデオキシヌクレオシド誘導体、及びこれを用いたアミダイト試薬、並びに該ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログに関する。
以下の本明細書の記載において、核酸塩基を示す場合のAはアデニン、Cはシトシン、Gはグアニン、Tはチミン、Uはウラシルを表す。また、「オリゴヌクレオチド」という場合、「ポリヌクレオチド」をも含む場合がある。
二本鎖RNAを細胞に導入すると、これと相補的な塩基配列を持ったmRNA(メッセンジャーRNA)が分解され、mRNAが不活化される現象(「RNA干渉」、RNA interference、「RNAi」と略される。)が起こることが知られている。この現象は以下のような機構で起こると考えられている。
すなわち、まず細胞に比較的長い2本鎖RNA(dsRNA)が導入されると、これがダイサー(Dicer)と呼ばれるRNaseIII様のヌクレアーゼによって21〜23塩基の大きさにまで分解され、siRNAを生じる。次いでその低分子のsiRNAが複数のタンパク質と結合してRISC(RNA induced silencing complex)と呼ばれる複合体を形成する。この複合体はsiRNAと同じ配列を持つmRNAを認識して結合し、siRNAの中央部でmRNAが切断される。この結果、当該遺伝子が不活化されると考えられている。
RNAi法(RNA干渉法)は、この現象を利用し、人工的に合成したRNAを細胞に導入することにより、特定の遺伝子の発現を抑制する方法であり、簡便でしかも強力な遺伝子機能阻害法として広く用いられている(Fire, A. et. al., Nature, 1998, vol.391, pp.806-811、Svobada, P. et al., Development, 2000, vol.127, pp.4147-4156、Elbashir, S. M., Lendeckel, W. and Tuschl, T., Genes and Dev., 2001, vol.15, pp.188-200、Zamore, P. D. et al., Cell, 2000, vo.101, pp.25-33、Bernstein, E. et al., Nature, 2001, vol.409, pp.363-366等)。
また、RNAi法は、後述するアンチセンス法と比較して、生体が本来持っている機構を使うため、効率よく低濃度で発現を抑制できる、毒性が低い、塩基配列による特異性が高い、実験が容易等の利点がある。また、細胞における内在性遺伝子のノックダウンにも幅広く利用されてきている。更に、異常な遺伝子のmRNAを特異的に分解することによる遺伝子治療への利用も期待されている。
しかし一方で、従来用いられているdsRNAやsiRNA等の低分子のRNAは、ヌクレアーゼ等の核酸分解酵素の働きで容易に分解されてしまうので、取扱いが難しいという問題がある。
一方、遺伝子の発現を制御する他の方法として、アンチセンス法という技術も知られている。
蛋白質を合成する(合成を指示する)mRNAの塩基配列をセンス配列といい、この配列に対して相補的な塩基配列をアンチセンスという。また、アンチセンスの塩基配列を持つ核酸をアンチセンス核酸という。
アンチセンス法とは、ある標的遺伝子から転写されたmRNAに対して相補的なアンチセンス核酸を細胞に投与し、mRNAと投与したアンチセンス核酸とで二本鎖を形成させ、標的遺伝子の発現のみを塩基配列特異的に抑制しようとする遺伝子発現制御法の1つである。アンチセンス核酸による標的遺伝子の阻害効果を調べることで、標的遺伝子の働きを知ることができる。
また、アンチセンス法は医薬品の分野にも応用することができる。例えば、アンチセンス核酸を、ある疾病発症の因子であるタンパク質の合成プロセスに関与するmRNAに結合させることで、当該遺伝子が機能することを遺伝子レベルで防ぐことが期待できる。そこで、アンチセンス核酸を用いることにより、疾患を引き起こす遺伝子の働きを抑える治療を行うことができると期待される。例えば、現在、ISIS Pharmaceuticals Inc.が米国FDAから認可を受けた、サイトメガロウイルス網膜炎を対象とするformivirsen等の医薬品が、この例の一つである。
アンチセンス核酸に求められる性質としては、標的RNAと安定な二本鎖を形成すること、mismatch塩基を含む配列に結合しない塩基配列認識能、ヌクレアーゼに対する耐性、細胞膜透過性などである。また、アンチセンス核酸を医薬品として用いるためには、特異的な塩基配列認識能、ヌクレアーゼ耐性、代謝性、細胞内移行性が重要である。
しかし、アンチセンス核酸として天然型のオリゴヌクレオチドを用いると、そのヌクレアーゼ耐性をはじめとする上述した如き求められる性質が満足されない等の問題がある。
そこで、天然型のオリゴヌクレオチドの欠点を克服し、またその他の性質も満足するようなオリゴヌクレオチドを得るために、今日までに、多くの核酸の修飾が試みられている。例えば、核酸塩基部位の修飾(N. Haginoya et al., Bioconjugate Chem., 1997, vol.8, pp.271-280.)、リボースの修飾(M. Aoyagi et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1996, vol.6, pp.1573-1576.)、リボース環自体の改変(A. Kakefuda et al., Tetrahedron, 1996, vol.52, pp.2863-2876.)、リン酸ジエステルへの修飾(M. Shimizu et al., 2006, vol.71, pp.4262-4269.)、リン酸ジエステル結合の改変(A. Waldner et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1994, vol.4, pp.405-408.)などである。これらを組み合わせることで、上記の如き性質を満たすアンチセンス核酸の多様化が期待できる。例えば、S. M. Gryaznov等は、5'-ホスホロアミダート(5'-phosphoramidate)型DNAを合成している(非特許文献1)が、このものはヌクレアーゼ等の核酸分解酵素に対して抵抗性であるが、標的mRNAに対する結合親和性が十分でない等の問題がある。S. Obika等は、標的mRNAに対する結合親和性の問題を解決するために、糖部の5'-位にアミノ基を導入し、2',4'-位を酸素原子を介して環化したヌクレオチドを含有する5'-amino-2',4'-bridged nucleic acid (BNA)を合成している(非特許文献2)。また、同じくS. Obika等は、5'-アミノ基と3'-位をメチレン基で架橋した5'-amino-3',5'-BNAを合成している(非特許文献3)。これらのBNAは、標的mRNAに対する結合親和性が高く、かつ、ヌクレアーゼ等の核酸分解酵素に対して抵抗性である。しかし、これらのBNAをsiRNAに導入した場合のタンパク抑制活性は報告されていない。
WO03/093472号公報 S. M. Gryaznov et al., Nucleic Acids Res., 1992, vol.20, pp.3403-3409 S. Obika, et.al., Chem. Commun., 2003, pp.2202-2203 S. Obika, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2005, vol.44, pp.1945-1947 A. M. Kawasaki et al., J. Med. Chem., 1993, vol.36, pp.831-841 S. Helmling et al., Nucleosides, Nucleotides & Nucleic Acids, 2003, vol.22, Nos.5-8, pp.1035-1038 J. Shi et al., Bioorg. Med. Chem., 2005, vol.13, pp.1641-1652 S. M. Gryaznov et al., Nucleic Acids Res., 1992, vol.20, pp.3403-3409
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、アンチセンス核酸の合成原料として好適な、新規なジデオキシヌクレオシド誘導体、並びに該ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入した、熱的に安定なオリゴヌクレオチドアナログを提供することをその課題とする。
本発明は、上記課題を解決する目的でなされたものであり、以下の構成よりなる。
(1)下記式[1]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基、Rは水素原子又は水酸基の保護基を表す。)
で表される5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体。
(2)下記式[6]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していていもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。)
で表される5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体を不溶性担体に結合させてなる、ジデオキシヌクレオシド−不溶性担体結合物。
(3)下記式[1]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していていもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基、Rは水素原子又は水酸基の保護基を表す。)
で表される5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログ。
すなわち本発明者等は、安定で、アンチセンス法やRNAi法にも利用できうる新しいオリゴヌクレオチドの合成を目指し、鋭意研究を行った。
核酸の二本鎖のらせん構造には主にA型とB型が存在し、一本鎖の状態では、立体配座にゆらぎがあるが、相補鎖とハイブリダイズすることで、A型、B型といった立体配座が固定される。A型らせん構造をとるには、糖部の立体配座がN型(3'-endo)に固定された核酸が必要である。また反対に、B型らせん構造をとるには、S型(2'-endo)に固定された核酸が必要である。DNA-DNA二本鎖はB型の傾向があり、RNA-RNA二本鎖はA型の傾向がある。また、RNA-DNA二本鎖の場合は、A型をとる。
本発明者等は、アンチセンス核酸の場合、標的がRNAであるので、アンチセンス核酸の立体配座をA型で固定すること、すなわちアンチセンス核酸を構成するヌクレオシドの糖部の立体配座をN型(3'-endo)に固定することで、アンチセンス核酸と相補鎖RNAとの二本鎖の安定性(結合親和性)が向上するのではと考えた。
そして、本発明者等は、DNAを構成するヌクレオシドの糖部の2'-位に電子吸引性の置換基を導入し糖部の立体配座をN型に固定すると、DNAと相補鎖との二本鎖を安定化する効果がある(非特許文献4)という知見から、5'-アミノ型ヌクレオシドの糖部の2'-位に電子吸引性のフッ素原子を導入すれば、ヌクレオシドの糖部の立体配座をN型に固定するのではないか、そして、固定することで、前記二本鎖の安定性が向上するのではないかと推測した。
糖部にフッ素原子を導入したヌクレオシド誘導体としては、これまでに2'-fluoro-L-uridine、2'-fluoro-L-cytidine phosphoramidite(非特許文献5, 特許文献1)、D- and L-2'-deoxy-2'-fluororibonucleoside(非特許文献6)等が知られている。
また、オリゴヌクレオチドのホスホジエステル結合をリン酸アミデート結合にすることで、二本鎖核酸のヌクレアーゼ耐性が向上するという報告がある(非特許文献7)。しかし、5'-リン酸アミデート結合を持つオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル結合のみを持つオリゴヌクレオチドと比較して、相補鎖との二本鎖の安定性(結合親和性)が低いという問題がある。
そこで、本発明者等は、上記の両方の修飾をオリゴヌクレオチドに導入することで、ヌクレアーゼ耐性をもち、さらに相補鎖との二本鎖の安定性(結合親和性)も満足するようなオリゴヌクレオチドが得られるのではないかと考え、更に鋭意研究の結果、糖部の5'-位に-NH-基を、2'-位にフッ素原子を導入した5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体を合成し、このジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログを、常法により合成した。そして、このオリゴヌクレオチドアナログと相補鎖DNA及び相補鎖RNAとの二本鎖核酸の安定性を測定した。すると、この5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログと相補鎖核酸との二本鎖核酸は、熱的に安定化されており、二本鎖の結合親和性も満足するものであること見出し、本発明を完成するに到った。更にこのオリゴヌクレオチドアナログは、リン酸アミデート結合を持つので、該オリゴヌクレオチドアナログ及びこれを用いて得られる二本鎖核酸は、ヌクレアーゼ耐性にも優れていることが期待される。
本発明の5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログは、熱的安定性に優れており、二本鎖とした場合の結合親和性も高い。また優れたヌクレアーゼ耐性を持つことも期待される。更にまた、本発明の5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体は核酸合成の際に用いられるアミダイト試薬として、また、このアミダイト試薬を固相に結合させることで核酸の固相合成法に用いられる出発物質として用いることができる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体は、下記式[1]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基、Rは水素原子又は水酸基の保護基を表す。)
で表される5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体である(以下、「本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体」と略記する。)。
式[1]において、R1で示される保護基を有していてもよい核酸塩基の核酸塩基としては、アデニン,グアニン,シトシン,チミン,ウラシルから選ばれる天然型の核酸塩基の他、1−メチルアデニン,1−メチルグアノシン,キサンチン,5−メチルシトシン,ジヒドロウラシル等の核酸塩基微量成分、6-メトキシプリン,2-アミノプリン,シュードイソシトシン等の人工核酸塩基等が挙げられる。
また、上記核酸塩基は、必要であれば核酸合成の際に通常用いられている自体公知の保護基で適宜保護されていてもよい。具体的には、例えばベンゾイル基、アセチル基等のアミノ基の保護基が挙げられるが、特に限定されない。
におけるアミノ基の保護基としては、通常この分野で用いられるヌクレオシド合成のためのアミノ基の保護基が挙げられ、具体的には例えば4-Methoxytriphenylmethyl (MMTr)基、4,4'-Dimethoxytriphenylmethyl (DMTr)基、Triphenylmethyl (Tr)基等が挙げられる。
における水酸基の保護基としては、通常この分野で用いられるヌクレオシド合成のための水酸基の保護基が挙げられ、具体的には例えば4,4'-Dimethoxytriphenylmethyl基、2-cyanoethoxyldiisopropylaminophosphinyl基、tert-Butyldimethylsilyl基等が挙げられる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体として、例えば下記式[2]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。)で表されるものが挙げられる。R1で表される保護基を有していてもよい核酸塩基の、保護基及び核酸塩基の具体例は前記したとおりである。
式[2]で表される化合物の具体例としては、5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシウリジン、5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシアデノシン、5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシグアノシン、5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシシチジン、5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシチミジン等が挙げられる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体の別の例としては、例えば下記式[3]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。)
で表されるものが挙げられる。R1で表される保護基を有していてもよい核酸塩基の保護基及び核酸塩基の具体例、及びRにおけるアミノ基の保護基の具体例は前記したとおりである。
式[3]で表される化合物の具体例としては、5'-amino -2'-fluoro-2',5'-dideoxy-5'-N-monomethoxytrityluridine、5'-amino -2'-fluoro-2',5'-dideoxy-5'-N-monomethoxytrityladenosine、5'-amino -2'-fluoro-2',5'-dideoxy-5'-N-monomethoxytritylguanosine、5'-amino -2'-fluoro-2',5'-dideoxy-5'-N-monomethoxytritylcytidine、5'-amino -2'-fluoro-2',5'-dideoxy-5'-N-monomethoxytritylthymidine等が挙げられる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体の更に別の例としては、例えば下記式[4]
Figure 0005205873

(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。2個のRはそれぞれ独立して炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。Rは炭素数1〜3の低級アルキレン基を表す。
で表されるものが挙げられる。
1で表される置換基を有していてもよい核酸塩基の置換基及び核酸塩基の具体例、及びRにおけるアミノ基の保護基の具体例は前記したとおりである。
で表される炭素数1〜5の低級アルキル基の具体例としては、例えばエチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
で表される炭素数1〜3の低級アルキレン基の具体例としては、例えばエチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体の更に別の例としては、例えば下記式[5]
Figure 0005205873

(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。i-Prはイソプロピル基を表す。)
で表されるものが挙げられる。R1で表される置換基を有していてもよい核酸塩基の置換基及び核酸塩基の具体例、及びRにおけるアミノ基の保護基の具体例は前記したとおりである。
式[4]で表される化合物及び式[5]で表される化合物は、核酸合成における、いわゆるアミダイト試薬として用いることができる。
式[5]で表される化合物の具体例としては、5'-amino -N-monomethoxytrityl -2',5'-dideoxy-2'-fluorouridine-3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite、5'-amino -N-monomethoxytrityl -2',5'-dideoxy-2'-fluoroadenosine-3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite、5'-amino -N-monomethoxytrityl -2',5'-dideoxy-2'-fluoroguanosine-3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite、5'-amino -N-monomethoxytrityl -2',5'-dideoxy-2'-fluorocytidine-3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite、5'-amino -N-monomethoxytrityl -2',5'-dideoxy-2'-fluorothymidine-3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite、等が挙げられる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体の合成方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
まず、原料となる核酸塩基を、炭酸ジフェニル((PhO)2CO)等の縮合剤を用いて塩基部のカルボニル基と糖部の2'水酸基を環化させて、2,2'-アンヒドロ-1-β-D-アラビノフラノシルヌクレオシドを得る。
次いで、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)等の触媒の存在下、4,4'-ジメトキシトリチルクロライド (DMTrCl)等のトリチル化剤と不活性ガス雰囲気下で反応させて2,2'-アンヒドロ-1-β-D-アラビノフラノシルヌクレオシドの3',5'-ヒドロキシル基をトリチル化し、2,2'-アンヒドロ-3',5'-di-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)- 1-β-D-アラビノフラノシルヌクレオシドを得る。
次いでこれにNaOH等の塩基を反応させて開環させ、3',5'-di-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)-ヌクレオシドを得る。
更に、不活性ガス雰囲気下、(dimethylamino)sulfur trifluoride(DAST)等のフッ素化剤を反応させて3',5'-ジ-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)-ヌクレオシドの糖部の2'-位をフッ素化させ、2'-デオキシ-3',5'-di-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)-2'-フルオロヌクレオシドを得る。
次いでこれに酢酸等の酸を反応させて糖部の3'-位を脱トリチル化させることで、2'-フルオロ-2',5'-ジデオキシヌクレオシドを得る。
不活性ガス雰囲気下、得られた2'-フルオロ-2',5'-ジデオキシヌクレオシドにアジ化ナトリウム、トリフェニルホスフィン((Ph)3P)、CBr4を用い、糖部の5'-ヒドロキシル基のブロモ化を経て、アジド化して、5'-アジド-2'-フルオロ-2',5'-ジデオキシヌクレオシドを得る。
得られた5'-アジド-2'-フルオロ-2',5'-ジデオキシヌクレオシドを、パラジウムカーボン(Pd-C)等の触媒存在下にH2雰囲気下で反応させることにより還元すると、本発明の下記式[2]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。)で表される5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシドが得られる。
次に、S. Obika et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2005, vol.44, pp.1944-1947等に記載された自体公知の方法により、式[2]で示される5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシドに、DMAP等の触媒の存在下、4-メトキシトリフェニルメチルクロライド(MMTrCl)等のトリチル化剤を反応させてトリチル化すると、本発明の下記式[3]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。)
で表される5'-アミノ-2'-フルオロ-2',5'-ジデオキシ-5'-N-モノエトキシトリチルヌクレオシドが得られる。
更に、得られた5'-アミノ-2'-フルオロ-2',5'-ジデオキシ-5'-N-モノメトキシトリチルヌクレオシドをジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)等の塩基の存在下、2-cyanoethyldiisopropylchloro-phosphoramidite(i-Pr2NP(Cl)OCE)等の亜リン酸化剤と反応させて亜リン酸化すれば、下記式[5]
Figure 0005205873

(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。i-Prはイソプロピル基を表す。)で表される、5'-アミノ-N-モノメトキシトリチル-2'-フルオロ-2',5'-ジデオキシヌクレオシド・アミダイトユニットが得られる。
次に、式[1]におけるR1がウラシルの場合を例にとって、本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体の合成方法を更に具体的に説明する。下記に、その合成スキームを記載する(合成スキームA)。
下記合成スキームAにおいて使用される略称の正式名は下記の通りである。
(Ph)2CO:炭酸ジフェニル
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMTrCl:4,4'-ジメトキシトリチルクロライド
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
MeOH:メタノール
DAST:(diethylamino)sulfur trifluoride
AcOH:酢酸
(Ph)3P:トリフェニルホスフィン
Pd/C:パラジウムカーボン
MMTrCl:4-Methoxytriphenylmethyl chloride
i-Pr2NP(Cl)OCE:2-cyanoethyldiisopropylchloro-phosphoramidite
i-Pr2Net:diisopropylethylamine
[反応スキームA]
Figure 0005205873
まず、材料のuridineを、縮合剤として炭酸ジフェニル((PhO)2CO)を用いて環化させて、2,2'-anhydro-1-β-D-arabinofuranosyluridine (1) (上記反応スキームAで(1)で示される化合物を表す。以下同じ)を得る。
次いで、触媒として4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下、4,4'-ジメトキシトリチルクロライド (DMTrCl)とAr雰囲気下で反応させて2,2'-anhydro-1-β-D-arabinofuranosyluridine (1)の3',5'-ヒドロキシル基をトリチル化し、2,2'-anhydro-3',5'-di-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-1-β-D-arabinofuranosyluridineを得る(図示せず)。
次いでこれにNaOH(40ml)を反応させて開環させて、3',5'-di-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-uridine (2)を得る。
更に、Ar雰囲気下、(diethylamino)sulfur trifluoride (DAST)を反応させて3',5'-di-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-uridine (2)の糖部の2'-位をフッ素化させ、2'-deoxy-3',5'-di-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-2'-fluorouridineを得る(図示せず)。
次いでこれに酢酸を反応させて、糖部の3'-位を脱トリチル化させることで、2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (3)を得る。
Ar雰囲気下、得られた2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (3)にアジ化ナトリウム、トリフェニルホスフィン((Ph)3P)、CBr4を共に反応させて、糖部の5'-ヒドロキシル基をアジド化して、5'-azide-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (4)を得る。
得られた5'-azide-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (4)にパラジウムカーボン(Pd-C)触媒の存在下にH2雰囲気下で反応させることにより還元すれば、目的の5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (5)が得られる。
次に、得られた5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (5)に、DMAPの存在下、4-Methoxytriphenylmethyl chloride (MMTrCl)を反応させてトリチル化し、5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxy-5'-N-monomethoxytrityluridine (6)を得る。
更に、得られた5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxy-5'-N-monomethoxytrityluridineをジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下、2-cyanoethyldiisopropylchloro-phosphoramidite(i-Pr2NP(Cl)OCE)と反応させて亜リン酸化すれば、亜リン酸基を有する5'-amino-N-monomethoxytrityl-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine -3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite (7)が得られる。
本発明のジデオキシヌクレオシド−不溶性担体結合物に用いられる不溶性担体としては、この分野で一般に広く用いられているものであれば、特に限定されないが、例えばポリスチレン、ガラスビーズ等が挙げられる。特に、多孔性の粉末状ガラスビーズであるCPG(controlled pore glass)が、一般によく用いられる。
本発明のジデオキシヌクレオシド−不溶性担体結合物の具体例としては、例えば、CPGの表面に、本発明のヌクレオシド誘導体、すなわち下記式[1]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基、R2は水素原子又は水酸基の保護基を表す。)
で表される5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体が、その5単糖の3'-O-部分が、コハク酸等の有機分子のスペーサーを介してエステル型で結合しているものが挙げられる。
即ち、本発明のジデオキシヌクレオシド−不溶性担体結合物は、不溶性担体に、要すれば適当なスペーサーを介して、下記式[6]
Figure 0005205873
(式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。)
で表される5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体が結合したものである。式[6]において、R1で表される置換基を有していてもよい核酸塩基の置換基及び核酸塩基の具体例、及びRにおけるアミノ基の保護基の具体例は前記したとおりである。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体を不溶性担体に結合させたジデオキシヌクレオシド−不溶性担体結合物は、自体公知の核酸の固相合成法に用いられる出発物質として用いることができる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体を不溶性担体(例えばCPG)に結合させる方法としては、例えばR. Kierzek et al., Biochemistry, 1986, vol.25, pp.7840-7846等に記載された、自体公知の方法が挙げられる。
また、本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体は、オリゴヌクレオチドアナログを製造するための原料として用いることもできる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログを製造するには、原料に本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体を用いる以外は、自体公知の化学合成法により合成を行えばよい。例えば、DNAの合成に通常行われている、DNAシンセサイザーを用い、通常のホスホアミダイト法又は固相ホスホルアミダイト法(R. Kierzek et al., Biochemistry, 1986, vol.25, pp.7840-7846)にてオリゴヌクレオチドアナログを合成し、陰イオン交換カラムクロマトグラフィーを用いる常法により精製すれば、目的とする本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログを得ることができる。
また、本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログを含有する二本鎖核酸(DNA/DNA、DNA/RNA、RNA/RNA)は、通常この分野で行われている自体公知の方法により合成すればよい。また市販のキットを用いても得ることができる。
本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体は、前記したように糖部の2'-位にフッ素原子を導入して、糖部立体配座をN型にしているので、該ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログを用いた二本鎖核酸は、その二本鎖が熱的に安定化されており、結合親和性も満足するものである。また、本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体は、その糖部の5'-位に−NH−基を導入している。これにより、これを用いてオリゴヌクレオシドアナログを合成した場合、該ジデオキシヌクレオシド誘導体由来のヌクレオチドはリン酸アミデート結合で、前のヌクレオチドに結合することになる。そのため、該ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログは、該ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入した部分のホスホジエステル結合がリン酸アミデート結合になっている。このことから、このオリゴヌクレオチドアナログを用いた二本鎖核酸は、ヌクレアーゼ耐性が向上することが期待される。
更に、以上の特長を持つため、この本発明のジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログは、アンチセンス法における優れたアンチセンス核酸として、また、これを用いて得られた二本鎖核酸(DNA/DNA、DNA/RNA、RNA/RNA)は、RNAi法に於けるsiRNA又はdsRNAとして用いることができる。更に、医薬品分野への応用も期待できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。
(1)実験機器
各実施例及び比較例において、以下の実験機器を用いた。
DNA合成およびRNA 合成は、3400 DNA Synthesizer (Applied Biosystems 社製、核酸合成機)を用いて行った。
NMRスペクトルの測定は、JEOL JNM AL400 spectrometer(日本電子データム(株) 社製)を用いて行った。
(2)各実施例及び比較例において、以下の試薬を用いた。
Uridine:SIGMA社製
Thymidine:SIGMA社製
パラジウムカーボン:ナカライテスク(株)社製
4-メトキシトリフェニルメチルクロライド:東京化成工業(株)社製
ジイソプロピルエチルアミン:和光純薬工業(株)社製
炭酸ジフェニル、ジクロロメタン(脱水)、ピリジン、:和光純薬工業(株)製
N,N-ジメチルホルムアミド、水酸化ナトリウム、パラジウムカーボン(Pd-C)、無水酢酸:ナカライテスク(株)製
クロロホルム:(株)トクヤマ製
単離精製用クロロホルム:ALDRICH社製、クロロホルム-d,99.8 atom % D
酢酸エチル、n-ヘキサン、メタノール:三協化学工業(株)製
4-ジメチルアミノピリジン:東京化成工業(株)製
4,4'-ジメトキシトリチルクロライド、(diethylamino) sulfur trifluoride:SIGMA- ALDRICH Corp.社製
テトラヒドロフラン:関東化学(株)製
シリカゲルカラムクロマトグラフィー:関東化学(株)製のシリカゲル60N(球状、中性)
2-cyanoethyldiisopropylchloro-phosphoramidite:Lancaster社製
(3)各実施例及び比較例において、下記の略号を使用した。
(PhO)2CO:炭酸ジフェニル
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
MeOH:メタノール
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
DMTrCl:4,4'-ジメトキシトリチルクロライド
THF:テトラヒドロフラン
DAST:(diethylamino)sulfur trifluoride
(Ph)3P:トリフェニルホスフィン
Pd-C:パラジウムカーボン
MMTrCl:4-メトキシトリフェニルメチルクロライド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
i-Pr2NP(Cl)OCE:2-cyanoethyldiisopropylchloro-phosphoramidite
i-Pr2Net:diisopropylethylamine
実施例1.5'-amino-2'-deoxy-2'-fluoriuridine amidite unitの合成
(i)2,2'-anhydro-1-β-D-arabinofuranosyluridine(1)(前記反応スキームAにおける(1)の化合物を意味する。以下同じ。)の合成
uridine(5.00g)、(PhO)2CO(5.7g)をDMF(17ml)に溶解させ、NaHCO3(120mg)を加え、130℃で4時間反応させた後、反応を停止した。クロロホルム(30 ml)で3回洗浄し、水層を溶媒留去した。残渣をMeOH(400 ml)に溶解させて再結晶を行い、化合物(1)の白色結晶を得た (収量3.58 g, 15.84 mmol, 77%)。
1H NMR(400MHz)(DMSO) δ:3.16-3.28 (m, 2H, 5'-H ), 4.06 (s, 3'-H),4.37 (d, 1H, 4'-H), 4.98 (t, 1H, J=4.80Hz, 3'-OH), 5.18 (d, 1H, J=6.00Hz, 2'-H), 5.83 (d, 1H, J=7.20Hz, 5-H), 5.87 (d, 1H, J=4.40Hz, 5'-OH), 6.29 (d, 1H, J=6.00Hz, 1'-H), 7.83 (d, 1H, J=7.20Hz, 6-H)。
(ii)2,2'-anhydro-3',5'-di-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-1-β-D-arabinofuranosyluridineの合成
上記(i)で得られた化合物(1) (3g)、DMAP(0.4 g)、をピリジン(68 ml)に溶解させた後、DMTrCl(13.76 g)を加え、アルゴン(Ar)雰囲気下で撹拌した。144 時間後、sat. NaHCO3(sat.:飽和水溶液、以下同じ)を加えて反応を停止した。酢酸エチルで希釈して、H2O(200 ml)で3回、sat. NaHCO3 (200 ml)で1回、sat. NaCl (200 ml)で1回ずつ抽出、洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒留去した。残渣を酢酸エチル(15 ml)に溶解させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜0:1)で単離精製を行った。溶媒留去することにより白色結晶を得た。
(iii)3',5'-di-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-uridine (2)の合成
上記(ii)で得られた白色結晶残渣をTHF (150 ml)に溶解させて、1N NaOH (40 ml)を滴下し、オイルバス95℃で3 時間反応させた後、酢酸エチル(80 ml)で希釈し、H2O(120 ml)で3回、sat NaHCO3(120 ml)で1回、sat NaCl(120 ml)で1回ずつ抽出、洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒留去した。残渣を酢酸エチル(15 ml)に溶解させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1〜0:1)で単離精製を行った。溶媒留去することにより化合物(2)の白色結晶を得た(収量 10.7 g, 43.1 mmol, 95%)。
1H NMR(400MHz)(CDCl3) δ: 3.51 (dd, 1H, J=14.40Hz, 5'-H), 3.33 (d, 1H, J=9.28Hz, 2'-OH), 3.43 (dd, 1H, J=13.44Hz, 5'-H), 3.66 (dd, 1H, J=12.2Hz, 2'-H), 3.93 (s, 1H, 3'-H), 4.04 (s, 1H, 4'-H), 5.58 (dd, J=10.28Hz, 5-H), 6.09 (d, J=2.96, 1'-H), 7.14-7.35 (m, 26H, DMTr), 7.61 (d, J=8.32Hz, 6-H), 8.35 (s,1H, 5-NH)。
(iv)2'-deoxy-3',5'-di-O-(4,4'-dimethoxytrityl)-2'-fluorouridineの合成
Ar雰囲気下、上記(iii)で得られた化合物(2)をCHCN(185 ml)に溶解後、DMF(14 ml)を加えた。ここに冷氷下でDAST(14 ml)を滴下して反応を開始した。24 時間後、冷氷下でsat NaHCO3 (180 ml)を加えて、反応を停止させた。反応液を酢酸エチルで希釈して、H2O(180 ml)で3回、sat NaHCO3(180 ml)で1回、sat NaCl(180 ml)で1回ずつで抽出、洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒留去して、残渣を得た。
(v) 2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (3)の合成
上記(iv)で得られた残渣をMeOHに溶解させ、80% 酢酸 (100 ml) を加え、80 ℃で6時間撹拌させた後、反応液を濃縮し、H2O(150 ml)に溶解させた。次いで、CHCl3(150 ml)で3回で抽出、洗浄を行い、水層を溶媒留去した。残渣をクロロホルム(15 ml)に溶解させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0〜7:1) で単離精製を行った。溶媒留去することにより化合物(3)の白色結晶を得た(収量 1.68 g, 6.8 mmol, 58 %)。
1H NMR(400MHz)(DMSO) δ:3.57 (dd, 2H, 5'-H), 3.75(dd, J=8.00Hz, 3'-H),3.85-3.87 (m, 1H, 4'-H), 4.09-4.18 (m, 1H, 5-H), 4.94-5.09 (dq, 1H, 2'-H), 5.61 (dd, 1H, 5'-OH), 5.89 (dd, 1H, 1'-H), 7.90 (d, 1H, J=8.08Hz, 6-H), 11.38 (s, 1H, 3-NH)。
(vi) 5'-azide-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (4)の合成
Ar雰囲気下、上記(v)で得られた化合物(3)を(600 mg)、(Ph)3P (908 mg)、NaN3 (793 mg)をDMF(12ml)に溶解後、CBr4(972mg)を加え、オイルバス85℃で反応させ、48時間後反応を停止した。反応産物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0〜19:1)で単離精製を行った。溶媒留去することにより化合物(4)の白色結晶を得た(収量 0.48 g, 1.8 mmol, 73 %)。
1H NMR(400MHz)(DMSO) δ:3.52 (dd, 1H, 5'-H),3.73 (dd, 1H, 5'-H), 3.91-3.95(m, 1H, 3'-H), 4.17-4.28 (m, 1H, 4'-H), 5.19 (dq, 1H, 2'-H), 5.65 (d, 1H, J=8.00Hz, 3'-OH), 5.73 (d, 1H, J=6.4, 5-H), 5.85 (dd, 1H, 1'-H), 7.66 (d,1H, J=8.4, 6-H), 11.43 (s, 1H, 3-NH)。
(vii)5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine (5)の合成
上記(vi)で得られた化合物(4) (507 mg)をMeOH(10ml)に溶解させて、Pd-C(123 mg)を加え、H2雰囲気下で反応させた。15時間後、反応物をセライト濾過することによりPd-Cを取りのぞき、更に溶媒留去することで、化合物(5)の白色結晶を得た(収量 0.39 mg, 1.6 mmol, 85 %)。
1H NMR(400MHz)(DMSO) δ:2.82 (ddd,2H , J=3.60Hz J=3.20Hz J=4.80Hz J=5.20Hz ,5'-H), 3.76 (m, 1H, 3'-H), 4.11 (ddd, 1H, J=7.20Hz J=7.20Hz J=7.20 Hz J=7.20Hz, 4'-H), 5.06 (ddd, 1H, J=2.00Hz J=2.00Hz J=2.40Hz J=2.00Hz, 2'-H), 5.60(d,1H, J=8.00, 5-H), 5.86 (dd,1H, J=2.00Hz J=2.00Hz, 1'-H), 7.91 (d, 1H, J=8.00, 6-H)。
(viii)5'-amino -2'-fluoro-2',5'-dideoxy-5'-N-monomethoxytrityluridine (6)の合成
上記(vii)で得られた化合物(5) (555 mg)をpyridine (12 ml)に溶解させて、MMTrCl(1 g)、DMAP(28 mg)を加えて、反応させた。210時間後、酢酸エチル(40 ml)で希釈し、H2O(40 ml)で3回、sat NaHCO3(40 ml)で1回、sat NaCl(40 ml)で1回ずつ抽出、洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒留去した。残渣を酢酸エチル(5 ml)に溶解させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1〜0:1)で単離精製を行い、白色結晶(6)を得た(収量 0.69 g, 1.3 mmol, 59 %)。
1H NMR(400MHz)(DMSO) δ:2.43-2.70 (ddd, 2H, J=3.40Hz J=3.40Hz J=6.08Hz J=6.08Hz, 5'-H), 4.06 (m, 1H, 3'-H), 5.10 (ddd,1H, 2'-H), 5.69 (d,1H, J=8.04Hz, 5-H), 5.79 (dd, 1H ,1'-H), 6.80-7.46 (17H, m, MMTr)。
(ix) 5'-amino-N-monomethoxytrityl-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine -3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite (7)の合成
上記(viii)で得られた化合物(6) (400 mg)を、ジクロロメタン (脱水、3.9 ml)に溶解させ、DIPEA(0.41 ml)を加えて攪拌し、次いでi-Pr2NP(Cl)OCEを滴下した(0.26 ml)。1時間後、酢酸エチル(30 ml)で希釈し、H2O(40 ml)で3回、sat NaHCO3(40 ml)で1回、sat NaCl(40 ml)で1回ずつ抽出、洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒留去した。残渣を酢酸エチル(5 ml)に溶解させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で単離精製を行い、化合物(7)の白色泡状結晶を得た(収量 0.51 mg, 0.70 mol, 91 %)。
31P NMR(400MHz)(DMSO) δ:(151.14,151.58)
比較例1.5'-aminothymidine amidite unit の合成
5'-aminothymidine amidite unit の合成スキームを下記(合成スキームB)に示す。下記合成スキームB中の各略号の正式名称は、前記したとおりである。この方法で得られるヌクレオシド誘導体及びアミダイトユニットは、糖部分の2'-位がフッ素化されていないものである。
[合成スキームB]
Figure 0005205873
(i)5'-azidethymidine (8)(上記合成スキームBで(8)で示される化合物。以下同じ。)の合成
Thymidine (3 g)、(Ph)3P (4.6 g)をDMF (62 ml)に溶解させて、CBr3(4.9 g)を加えて撹拌させた。4時間後、NaN3 (4.0 g)を加えてオイルバス60 ℃で反応させた。23時間後、エバポレーターにより濃縮した。濃縮物をクロロホルム(15 ml)に溶解後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=1:0〜9:1)で単離精製を行った。溶媒留去することにより化合物(8)の白色結晶を得た(収量 2.26 g, 8.46 mmol, 68 %)。
1H NMR(400MHz)(DMSO) δ:1.78 (3H, s, 5-CH3), 2.05-2.28 (2H, m, 2'-H), 3.54-3.55 (2H, m, 5'-H), 3.82-3.83 (1H, m, 3'-OH), 4.18 (1H, m, 4'-H), 5.40-5.41 (1H, m, 3'-H), 6.20 (1H, t, J=7.00Hz, 1'-H), 7.48 (1H, s, 6-H), 11.3 (1H, s, 3-NH)。
(ii)5'-aminothymidine (9)の合成
上記(i)で得られた化合物(8)を(2.26 g)をメタノール(84 ml)に溶解させて、Pd-Cを(558 mg)加え、H2雰囲気下で反応させた。13時間後、セライト濾過することによりPd-Cを取りのぞき、溶媒留去することで、化合物(9)の白色結晶を得た(収量 2.02 g, 8.35 mmol, 99 %)。
1H NMR(400MHz)(DMSO) δ:1.77 (s, 3H, 5-CH3), 1.99-2.15 (m, 1H, 2'-H), 2.71 (d, 1H, J=5.6Hz, 5'-H), 3.15 (s, 1H, 3'-OH), 3.63 (m, 1H, 4'-H), 4.16-4.19 (m, 1H, 3'-H), 6.27 (t, 1H, 1'-H), 7.64 (s, 1H, 6-H)。
(iii)5'-amino-5'-N--monomethoxytritylthymidine (10)の合成
上記(ii)で得られた化合物(9)(400 mg)をpyridine(8.7ml)に溶解させて、MMTrCl (709mg)、DMAP (20 mg)を加えて、反応させた。48時間後、酢酸エチル(30 ml)で希釈し、H2O(30 ml)で3回、sat NaHCO3(30 ml)で1回、sat NaCl(30 ml)で1回ずつ抽出、洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒留去した。残渣をクロロホルム(5 ml)に溶解させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール=1:0〜23:2)で単離精製を行い、化合物(10)の白色結晶を得た (収量 715 mg, 1.39 mmol, 84 %)。
1H NMR(400MHz)(DMSO) δ:1.84 (s, 3H, 5-CH3), 2.05-2.15 (m, 1H, 2'-H), 2.33-2.60 (m, 1H, 5'-H), 3.97-3.99 (m, 1H, 3'-OH), 3.62 (q, 1H, 4'-H), 4.31-4.33 (m, 1H, 3'-H), 6.80-7.46 (m, 17H, MMTr), 8.43 (s, 1H, 6-H)。
(iv)5'-amino-N-monomethoxytritylthymidine-3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite (11)の合成
上記(iii)で得られた化合物(10)(295 mg)を、ジクロロメタン (脱水用、2.87 ml)に溶解させ、DIPEA(0.3 ml)を加えて攪拌し、i-Pr2NP(Cl)OCE(0.19 ml)を滴下した。1時間後、酢酸エチル(20 ml)で希釈し、H2O(20 ml)で3回、sat NaHCO3(20 ml)で1回、sat NaCl(20 ml)で1回ずつ抽出、洗浄を行い、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒留去した。残渣を酢酸エチル(5 ml)に溶解させた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で単離精製を行い、化合物(11)の白色泡状結晶を得た(収量 357 mg, 0.752 mmol, 87 %)。
31P NMR(400MHz)(DMSO) δ(149.58 , 149.83)。
実施例2.固相ホスホルアミダイト法によるオリゴヌクレオチドの合成
下記の方法で、本発明の5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridineを導入したオリゴヌクレオチドアナログを合成した。
まず、材料として実施例1で合成した5'-amino-N-monomethoxytrityl-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridine -3'-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite (7)と、市販のdA-CE phosphoramidite [化学名:(5'-Dimethoxytrityl-N-benzoyl-2'-deoxyAdenosine,3'-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite)]、dG-CE phosphoramidite [化学名:5'-Dimethoxytrityl-N-isobutyryl-2'-deoxyGuanosine,3'-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite](いずれもGlen research Corp.製)を用いた。また出発物質として3'-dA-CPG (CPGはControlled Pore Glassを意味する。Glen research Corp.製)、1μmolを column に充填したものを用い、オリゴヌクレオチドアナログを合成した。合成機器として3400 DNA Synthesizer (Applied Biosystems 社製、核酸合成機)を用いた。
得られた2種のオリゴヌクレオチドアナログについて、AXIMA(島津社製)を用い、MALDI TOF/MASで構造の確認を行った。
得られた2種のオリゴヌクレオチドアナログをUNF-1及びUNF-2と名付けた。UNF-1の塩基配列(配列番号1)、UND-2の塩基配列(配列番号2)、それぞれの分子量の理論値(calculated)及び実測値(observed)を表1に示す。表1において、塩基配列中、5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridineの導入された位置を「UNF」で示す。
Figure 0005205873
比較例2.
実施例1で合成した5'-amino-N-monomethoxytrityl-2’-fluoro-2’,5’-dideoxy -uridine -3’-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite (7)の代わりに、比較例1で合成した5’-amino-N-monomethoxytritylthymidine-3’-O-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite (11)を材料として用いる以外は実施例2と同様の方法で、5’-aminothymidineを導入した2種類のオリゴヌクレオチドアナログを合成した。
得られた2種類のオリゴヌクレオチドアナログをTN-1及びTN-2と名付けた。また、実施例2と同様に、MALDI TOF/MASで構造の確認を行った。TN-1の塩基配列(配列番号3)及びTN-2の塩基配列(配列番号4)、それぞれの分子量の理論値(calculated)及び実測値(observed)を表1に併せて示す。表1において、塩基配列中、5’-aminothymidineの導入位置を「TN」で示す。
また、材料として市販のdT-CE phosphoramidite [化学名:5'-Dimethoxytrityl-2'-deoxyThymidine,3'-[(2-cyanoethyl)-(N,N-diisopropyl)]-phosphoramidite]、dA-CE phosphoramidite、dG-CE phosphoramidite
(いずれもGlen research Corp.製)を用い、また出発物質として3'-dA-CPG の充填された3'-dA-CPG 500 1μmol column (Glen research Corp.製)を用い、実施例2と同様の方法でオリゴヌクレオチドを合成し、天然のヌクレオシドのみから成るオリゴヌクレオチドを得た。得られた2種類のオリゴヌクレオチドをT-1 (control)及びT-2 (control)と名付けた。また、実施例2と同様に、MALDI TOF/MASで構造の確認を行った。T-1 (control)の塩基配列(配列番号5)、及びT-2 (control)の塩基配列(配列番号6)を、表1に併せて示す。
実施例3.Tm値(融解温度)の測定 (DNA/DNA match duplex)
(i)相補的なオリゴヌクレオチドの合成
材料として市販のdT-CE phosphoramidite、dA-CE phosphoramidite (いずれもGlen research Corp.製)を用い、また出発物質として3'-dT-CPG (Glen research Corp.製)1μmolを columnに充填し、実施例2と同様の方法で、実施例2で合成したUNF-1とUNF-2それぞれに相補的なオリゴヌクレオチドを合成した。UNF-1に相補的なオリゴヌクレオチドの塩基配列(配列番号7)と、UNF-2に相補的なオリゴヌクレオチドの塩基配列(配列番号8)を、下記表2に示す。
Figure 0005205873
(ii)熱的安定性試験
次いで、実施例2で合成したUNF-1、UNF-2及び得られた表2に記載のこれらに相補的なオリゴヌクレオチドを材料として二本鎖DNA /DNAを常法(R. Kierzek et al., Biochemistry, 1986, vol.25, pp.7840-7846)により得た。
得られた二本鎖DNA/DNAを用いて、常法による熱的安定性試験を行った。
すなわち、窒素雰囲気下において、10mm 8連セル中で、温度可変装置を備えたUV-2450 SPECTROPHOTOMETER ( SHIMADZU 社製) を用い、オリゴヌクレオチドが3μMになるように、リン酸ナトリウム緩衝液10 mM、塩化ナトリウム100 mM(pH 7.0)を加え調整し、1分間あたり0.5 ℃の割合で20℃から90℃まで上昇させ、260nmに於ける吸光度を測定した。
結果を図1に示す。
図1において、●はUNF-1を用いた二本鎖DNA/DNAについて得られた結果を、○はUNF-2を用いた二本鎖DNA/DNAについて得られた結果をそれぞれ示す。
また、図1の結果から得られた各二本鎖DNA/DNAのTm値及び△Tm値を表3に示す。
Figure 0005205873
比較例3.Tm値の測定 (DNA/DNA match duplex)
実施例3と同様の方法により、比較例2で合成したTN-1とそれに相補的な配列番号7で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドとの二本鎖DNA/DNA、及びTN-2とそれに相補的な配列番号8で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドとの二本鎖DNA/DNAを合成し、得られた二本鎖の熱的安定性を実施例3と同様の方法により調べた。結果を図1に併せて示す。
図1において、■はTN-1を用いた二本鎖DNA/DNAについて得られた結果を、□はTN-2を用いた二本鎖DNA/DNAについて得られた結果をそれぞれ示す。
また、図1の結果から得られた各二本鎖DNA/DNAのTm値及び△Tm値を表3に併せて示す。
また、実施例3と同様の方法により、比較例2で合成したT-1 (control)とそれに相補的な配列番号7で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドとの二本鎖DNA、及びT-2 (control)とそれに相補的な配列番号8で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドとの二本鎖DNAを合成し、得られた二本鎖の熱的安定性を実施例3と同様の方法により調べた。結果を図1に併せて示す。
図1において、▲はT-1 (control)を用いた二本鎖DNA/DNAについて得られた結果を、△はT-2 (Control)を用いた二本鎖DNA/DNAについて得られた結果をそれぞれ示す。
また、図1の結果から得られた各二本鎖DNA/DNAのTm値を表3に併せて示す。
図1及び表3の結果から明らかな如く、本発明の5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridineを導入したオリゴヌクレオチドアナログ(UNF-1及びUNF-2)を含む二本鎖DNA/DNAのTm値は、天然型のヌクレオシドのみから成るオリゴヌクレオチド(T-1 (control)及びT-2 (control))を含む二本鎖DNA/DNAのTm値と同等であり、二本鎖核酸の熱的安定性が互いに同等であることが判る。これに対し、糖部分の2'-位がフッ素化されていない5'-aminothymidine を導入したオリゴヌクレオチドアナログ(TN-1及びTN-2)を含む二本鎖DNA/DNAのTm値は、天然型のヌクレオシドのみから成るオリゴヌクレオチド(T-1 (control)及びT-2 (control))を含む二本鎖DNA/DNAのTm値より低いことから、熱的安定性が低いことが判る。
実施例4.Tm値の測定 (DNA/RNA match duplex)
(i)相補的なオリゴヌクレオチドの合成
市販のrA-CE phosphoramidite, rU-CE phosphoramidite, rC-CE phosphoramiditeを用い、また出発物質として3'-dU-CPG (いずれもGlen research Corp.製)を用い、実施例2と同様の方法で、実施例2で合成したUNF-1及びUNF-2それぞれに相補的なオリゴヌクレオチドを合成した。
得られた、UNF-1に相補的なオリゴヌクレオチドの塩基配列(配列番号9)と、UNF-2に相補的なオリゴヌクレオチドの塩基配列(配列番号10)を、下記表4に示す。
Figure 0005205873
(ii)熱的安定性試験
次いで、実施例2で合成したUNF-1、UNF-2及び上記で得られた表4に記載のこれらに相補的なオリゴヌクレオチドを材料として二本鎖DNA/RNAを常法(R. Kierzek et al., Biochemistry, 1986, vol.25, pp.7840-7846)により得た。
得られた二本鎖DNA/RNAを用い、実施例3と同様の方法で熱的安定性試験を行った。
結果を図2に示す。
図2において、●はUNF-1を用いた二本鎖DNA/RNAについて得られた結果を、○はUNF-2を用いた二本鎖DNA/RNAについて得られた結果をそれぞれ示す。
また、図2の結果から得られた各二本鎖DNA/RNAのTm値及び△Tmを表5に示す。
Figure 0005205873
比較例4.Tm値の測定 (DNA/RNA match duplex)
実施例4と同様の方法により、比較例2で合成したTN-1とそれに相補的な配列番号9で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドとの二本鎖DNA/RNA、及びTN-2とそれに相補的な配列番号10で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドとの二本鎖DNA/RNAを合成し、得られた二本鎖の熱的安定性を実施例4と同様の方法により調べた。結果を図2に併せて示す。
図2において、■はTN-1を用いた二本鎖DNA/RNAについて得られた結果を、□はTN-2を用いた二本鎖DNA/RNA/について得られた結果をそれぞれ示す。
また、図2の結果から得られた各二本鎖DNA/RNAのTm値及び△Tm値を表5に併せて示す。
また、比較例2で合成したT-1 (control)とそれに相補的な配列番号9で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドとの二本鎖DNA/RNA、及びT-2 (control)とそれに相補的な配列番号10で表される塩基配列のオリゴヌクレオチドとの二本鎖DNA/RNAを合成し、得られた二本鎖の熱的安定性を実施例4と同様の方法により調べた。結果を図2に併せて示す。
図2において、▲はT-1 (control)を用いた二本鎖DNA/RNAについて得られた結果を、△はT-2 (Control)を用いた二本鎖DNA/RNAについて得られた結果をそれぞれ示す。
また、図2の結果から得られた各二本鎖DNA/RNAのTm値を表5に併せて示す。
図2及び表5の結果から明らかな如く、本発明の5'-amino-2'-fluoro-2',5'-dideoxyuridineを導入したオリゴヌクレオチドアナログ(UNF-1及びUNF-2)を含む二本鎖DNA/RNAのTm値は、天然型のヌクレオシドのみから成るオリゴヌクレオチド(T-1 (control)及びT-2 (control))を含む二本鎖DNA/DNAのTm値と同等であり、二本鎖核酸の熱的安定性が互いに同等であることが判る。これに対し、糖部分の2'-位がフッ素化されていない5'-aminothymidine を導入したオリゴヌクレオチドアナログ(TN-1及びTN-2)を含む二本鎖DNA/RNAのTm値は、天然型のヌクレオシドのみから成るオリゴヌクレオチド(T-1 (control)及びT-2 (control))を含む二本鎖DNA/DNAのTm値より低いことから、熱的安定性が低いことが判る。
また、表3及び表5の結果から、UNFを一つ含むUNF-1よりも、UNFを二つ含むUNF-2の方が、Tm値が増加していることがわかる。このことから、オリゴヌクレオチド中の、本発明のジデオキヌクレオチド誘導体の導入数を増やすことによって、さらに二本鎖核酸が安定化することが期待される。
本発明の5'−アミノ−2'−フルオロ−2',5'−ジデオキシヌクレオシド誘導体は、核酸合成におけるホスホアミダイト試薬として、また該ジデオキシヌクレオシド誘導体を固相に結合させることで核酸の固相合成法に用いられる出発物質として用いることができる。また、該誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログは、熱的安定性に優れ、また優れたヌクレアーゼ耐性を持つことも期待される。そのため、該オリゴヌクレオチドアナログはアンチセンス法において使用する、ヌクレアーゼ耐性を持つ優れたアンチセンス核酸として用いることができる。また、RNAi法において細胞に導入するdsRNA及びsiRNAとして用いることができる。更に、標的遺伝子をノックアウトする方法において用いられるアンチセンスオリゴヌクレオチドアナログとしても用いられ得る。更にまた、医薬品分野への使用や、遺伝子多型解析用のプローブとしても期待される。
実施例3で得られた、二本鎖DNA/DNAについて熱安定性試験を行って得られた結果、および比較例3で得られた、二本鎖DNA/DNAについて熱安定性試験を行って得られた結果である。 実施例4で得られた、二本鎖DNA/RNAについて熱安定性試験を行って得られた結果、及び比較例4で得られた、二本鎖DNA/RNAについて熱安定性試験を行って得られた結果である。
符号の説明
図1において、▲はT-1 (control)を用いた二本鎖DNA/DNAについてられた結果を、△はT-2 (Control)を用いた二本鎖DNA/DNAについてられた結果を、●はUNF-1を用いた二本鎖DNA/DNAについてられた結果を、○はUNF-2を用いた二本鎖DNA/DNAについてられた結果を、■はTN-1を用いた二本鎖DNA/DNAについて得られた結果を、□はTN-2を用いた二本鎖DNA/DNAについて得られた結果をそれぞれ示す。
図2において、▲はT-1 (control)を用いた二本鎖DNA/RNAについてられた結果を、△はT-2 (Control)を用いた二本鎖DNA/RNAについてられた結果を、●はUNF-1を用いた二本鎖DNA/RNAについてられた結果を、○はUNF-2を用いた二本鎖DNA/RNAについてられた結果を、■はTN-1を用いた二本鎖DNA/RNAについて得られた結果を、□はTN-2を用いた二本鎖DNA/RNA/について得られた結果をそれぞれ示す。

Claims (5)

  1. 下記式[1]
    Figure 0005205873
    (式中、R1は保護基を有していてもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基、Rは水素原子水酸基の保護基,又は2−シアノエトキシル ジイソプロピル アミノホスフィニル基を表す。)
    で表される5’−アミノ−2’−フルオロ−2’,5’−ジデオキシヌクレオシド誘導体。
  2. 式[1]で表される5’−アミノ−2’−フルオロ−2’,5’−ジデオキシヌクレオシド誘導体が、下記式[3]
    Figure 0005205873
    (式中、R1は保護基を有していていもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。)
    で表されるものである、請求項1に記載の誘導体。
  3. 式[1]で表される5’−アミノ−2’−フルオロ−2’,5’−ジデオキシヌクレオシド誘導体が、下記式[5]
    Figure 0005205873

    (式中、R1は保護基を有していていもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。i−Prはイソプロピル基を表す。)で表されるものである、請求項1に記載の誘導体。
  4. 下記式[6]
    Figure 0005205873
    (式中、R1は保護基を有していていもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基を表す。)
    で表される5’−アミノ−2’−フルオロ−2’,5’−ジデオキシヌクレオシド誘導体を不溶性担体に結合させてなる、ジデオキシヌクレオシド−不溶性担体結合物。
  5. 下記式[1]
    Figure 0005205873
    (式中、R1は保護基を有していていもよい核酸塩基を表す。Rは水素原子又はアミノ基の保護基、Rは水素原子水酸基の保護基,又は2−シアノエトキシル ジイソプロピル アミノホスフィニル基を表す。)
    で表される5’−アミノ−2’−フルオロ−2’,5’−ジデオキシヌクレオシド誘導体を導入したオリゴヌクレオチドアナログ。
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