JP5205786B2 - 金属光沢性を有する印刷用インク組成物、その製造方法及びそれを用いた塗膜 - Google Patents
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Description
例えば、銀コロイドに銀の変色防止剤を含有させるとともに、レーザー回折散乱法によるメジアン径が0.04μm以下であるインク組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法では、変色は防止できるものの密着性、又は分散安定性を確保するために、各種の添加剤が必要であり、組成が複雑で製造時の管理も複雑となる。
本発明の金属光沢性を有する印刷用インク組成物は、金属微粒子と溶剤とから構成される金属微粒子分散液からなる、金属光沢性を有する印刷用インク組成物であって、前記金属微粒子は、その粒径が100nm以下であり、その表面を水溶性高分子とヒドロキシカルボン酸とで被覆され、かつ該水溶性高分子と該ヒドロキシカルボン酸の含有量が、それぞれ金属微粒子に対し1.5〜15質量%と0.5質量%以上であり、一方、前記溶剤は、多価アルコール及び/又は極性溶媒であることを特徴とする。これによって、本発明の印刷用インク組成物を用いて光沢紙などに印刷することで、長期に渡って安定した金属光沢と優れた密着性を有する乾燥膜からなる印刷面が得られる。
上記ヒドロキシカルボン酸としては、特に限定されるものではなく、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸などが挙げられるが、金属微粒子、特に銅微粒子への吸着性が高いクエン酸が好ましい。
すなわち、水溶性高分子の含有量、即ち金属微粒子に対する被覆量が、金属微粒子に対し15質量%を超えると、インク組成の粘度が高くなり過ぎるため、インクの吐出安定性が低下して良好な印刷が達成できない恐れがある。一方、水溶性高分子の含有量が金属微粒子に対し1.5質量%未満では、インク組成物中での金属微粒子の分散安定性が不十分で、長期保存が困難になりインクの吐出安定性が低下して良好な印刷が達成できない。さらに、印刷面の密着性にも劣る恐れがある。
すなわち、ヒドロキシカルボン酸の含有量が5質量%未満では、耐酸化性が劣り、空気との界面に酸化により変色、例えば銅微粒子の場合には黒青色への変色が生じる。一方、ヒドロキシカルボン酸の含有量が40質量%を超えると、インク組成物の粘度の増大により、インクジェット方式での印刷などに用いた場合に、インクの吐出安定性が低下して良好な印刷が達成できない恐れがある。
すなわち、金属微粒子の含有量が2質量未満では、良好な金属光沢を呈する印刷面を達成出来ない恐れがある。一方、金属微粒子の含有量が50質量%を超えると、乾燥による目詰まりや粘度の増大により、インクジェット方式での印刷などに用いた場合に、インクの吐出安定性が低下して良好な印刷が達成できない恐れがある。
(イ)前記金属微粒子分散液にヒドロキシカルボン酸を添加し、遊離した水溶性高分子を限外ろ過により排出した後、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコール及び/又は極性溶媒を添加して金属微粒子分散液を得る。
(ロ)前記金属微粒子分散液にヒドロキシカルボン酸を含む多価アルコール及び/又は極性溶媒で希釈し、次いで限外ろ過により濃縮して金属微粒子分散液を得る。
ここで、水溶性高分子で被覆された金属微粒子の水溶性高分子の一部は、ヒドロキシカルボン酸により置換され、遊離される。後者の方法では、金属微粒子の水溶性高分子とヒドロキシカルボン酸の含有量(被覆量)が所定の値になるように、必要により、希釈と濃縮を繰り返し行うことができる。
[銅微粒子分散液の製造方法]
銅の酸化物、水酸化物又は塩を、多価アルコール中で加熱還元して銅微粒子を得る方法であって、核生成のために貴金属イオンを添加すると共に、水溶性高分子を分散剤及び還元反応制御剤として添加して、貴金属を含有する累積95%粒径が100nm以下の銅微粒子を得ることを特徴とする。ここで、前記貴金属イオンとして、パラジウムイオン又は銀イオンが用いられる。また、前記アミン系有機化合物として、側鎖あるいは主鎖にアミノ基又はイミノ基をもつ水溶性高分子が用いられる。
これによって、多価アルコール中に分散された水溶性高分子で被覆された銅微粒子が得られる。
上記ヒドロキシカルボン酸としては、特に限定されるものではなく、例えば、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸などが挙げられるが、金属微粒子、特に銅微粒子への吸着性が高いクエン酸が好ましい。
[銅微粒子分散液(A)の製造方法]
銅微粒子を合成する銅原料として亜酸化銅(Cu2O)(日進ケムコ(株)製)、Pdイオンとして塩化パラジウムアンモン(住友金属鉱山(株)製)にアンモニア水を加えて溶解したPd溶液、溶媒としてエチレングリコール(EG)(日本触媒(株)製)、分散剤として分子量10、000のポリビニルピロリドン(PVP)(東京化成工業(株)製)と分子量1、800のポリエチレンイミン(PEI)(アイスピー・ジャパン(株)製)、及び変色防止剤として無水クエン酸(和光純薬工業製、試薬)を用いた。
まず、溶媒であるエチレングリコール(EG)1.0リットルに、Cu2O粉110gと、ポリビニルピロリドン(PVP)40g、及びポリエチレンイミン(PEI)0.7gを加えて、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し、次いで加熱し、さらにPd量で0.3gに当たるPd溶液を加えて、150℃で1時間保持して銅微粒子を還元析出させた。これのより、濃赤色のエチレングリコール中に分散した銅含有量が15質量%である銅微粒子分散液(A)を得た。得られた微粒子をSEMで観察したところ、凝集のない単分散性の微粒子であった。また、粒径測定を行ったところ、平均粒径は39.8nmであり、標準偏差σ/平均粒径は22%であった。また、X線回折法により銅相のみが検出され、金属状態の銅微粒子であることが確認できた。
銅微粒子を合成する銅原料として亜酸化銅(Cu2O)(日進ケムコ(株)製)、Pdイオンとして塩化パラジウムアンモン(住友金属鉱山(株)製)にアンモニア水を加えて溶解したPd溶液、溶媒としてエチレングリコール(EG)(日本触媒(株)製)、分散剤として分子量40、000のポリビニルピロリドン(PVP)(東京化成工業(株)製)と分子量1、800のポリエチレンイミン(PEI)(アイスピー・ジャパン(株)製)、及び変色防止剤として無水クエン酸(和光純薬工業製、試薬)を用いた。
まず、溶媒であるエチレングリコール(EG)1.0リットルに、Cu2O粉110gと、ポリビニルピロリドン(PVP)40g、及びポリエチレンイミン(PEI)0.7gを加えて、窒素ガスを吹き込みながら撹拌し、次いで加熱し、さらにPd量で0.3gに当たるPd溶液を加えて、150℃で1時間保持して銅微粒子を還元析出させた。これのより、濃赤色のエチレングリコール中に分散した銅含有量が15質量%である銅微粒子分散液(B)を得た。得られた微粒子をSEMで観察したところ、凝集のない単分散性の微粒子であった。また、粒径測定を行ったところ、平均粒径は70.2nmであり、標準偏差σ/平均粒径は21%であった。また、X線回折法により銅相のみが検出され、金属状態の銅微粒子であることが確認できた。
[インク組成物及び塗膜の評価方法]
(1)クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定:インク組成物を、真空中80℃で4時間乾燥させた後に、窒素雰囲気中で600℃までの熱重量分析を行った。ここで、200℃から300℃にかけての重量減少は、ヒドロキシカルボン酸の分解によるものであり、また300℃から600℃にかけての重量減少はポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子によるものである。この熱重量分析の結果から、インク組成物中の銅微粒子を被覆するヒドロキシカルボン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)を決定した。
(2)インク組成物の印刷性の評価:市販のインクジェットプリンタを用いて、インクジェット用フォト光沢紙に印刷を行い、印刷性の評価を行った。印刷性は下記の評価基準で確認した。
[印刷性の評価基準]
◎:目詰まりなく印刷できる。
○:僅かに目詰まりの兆候が認められるが、印刷できる。
△:なんとか印刷できるが、目詰まりする。
×:目詰まりが激しく何とか一度は印刷できる。
[分散安定性]
◎:調整直後と変わらず良好な分散状態である。
○:僅かに変化が認められるが問題ない分散状態である。
△:液面に凝集物が認められる。
×:銅粒子が凝集し、沈降する。
[耐酸化性]
◎:調整直後から殆ど変化なし。
○:僅かに変色があるが問題なし。
△:明らかに変色が認められる。
×:銅がインク中に溶出し激しく変色する
[塗膜の密着性]
◎:10回擦過しても印刷面に変化はなかった。
○:10回擦過すると僅かに変化が見られたが問題ない。
△:5回擦過では問題はない。
×:1回擦過で印刷面が剥がれた。
[耐変色性]
○:印刷直後と変わらず良好な金属光沢を呈した。
×:変色が認められる。
−:銅微粒子による発色が不十分で印刷直後から金属光沢が得られない。
上記銅微粒子分散液(A)1.0リットルを、クエン酸を1.0質量%含有する水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)で2倍に希釈し、クロスフロー方式の限外ろ過により約200mLになるまで濃縮した。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
銅微粒子分散液(A)200mLを用いて、実施例1と同様の条件で濃縮した後、さらに、濃縮液をクエン酸を1.0質量%含有する水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)で10倍に希釈し、クロスフロー方式の限外ろ過により約200mLになるまで濃縮した。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
銅微粒子分散液(A)200mLを用いて、実施例1と同様の条件で濃縮した後、さらに、濃縮液をクエン酸を1.0質量%含有する水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)で10倍に希釈し、クロスフロー方式の限外ろ過により約200mLになるまで濃縮した。この希釈と濃縮の操作を全部で3回繰り返して得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
なお、実施例3は、参考例である。
クエン酸の代わりにリンゴ酸を用いたこと以外は、実施例3(参考例)と同様にしてインク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
なお、実施例4は、参考例である。
上記銅微粒子分散液(B)1.0リットル用いて、実施例1と同様の条件で濃縮した。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
クエン酸を1.0質量%含有する水とエチレングリコールの混合液の代わりに、水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインク組成物を得た。得られたインク組成物は、銅微粒子が、水に酸化溶出し、黄色に変色し耐酸化性に欠けるインク組成物であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
希釈と濃縮の繰り返しを全部で8回としたこと以外は、実施例3と同様にしてインク組成物を得た。得られたインク組成物は、銅微粒子が沈降凝集し分散安定性に欠けるものであった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
希釈と濃縮の繰り返しを全部で10回としたこと以外は、実施例3と同様にしてインク組成物を得た。得られたインク組成物は、銅微粒子が沈降凝集し分散安定性に欠けるものであった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例2で得られたインク組成物に、ポリビニルピロリドンを銅に対し4.0質量%添加してインク組成物を得た。得られたインク組成物の分散安定性は、比較例2と比較して改善することはなかった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例2で得られたインク組成物に、ポリエチレンイミンを銅に対し1.0質量%添加してインク組成物を得た。得られたインク組成物の分散安定性は、比較例2と比較して改善することはなかった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
比較例2で得られたインク組成物に、ポリビニルピロリドンを銅に対し4.0質量%、及びポリエチレンイミンを銅に対し1.0質量%添加してインク組成物を得た。得られたインク組成物の分散安定性は、比較例2と比較して改善することはなかった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表1に示す。
実施例2で得られた銅濃度が30.2質量%のインク組成物に、水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)を加えて、銅濃度が5.0質量%になるように調整して、インク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例2にて得られた銅濃度が30.2質量%のインク組成物に、水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)とクエン酸を銅に対し2.0質量%添加し、銅濃度が5.0質量%になるように調整して、インク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例2にて得られた銅濃度が30.2質量%のインク組成物に、水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)とクエン酸を銅に対し5.0質量%添加し、銅濃度が5.0質量%になるように調整して、インク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例2にて得られた銅濃度が30.2質量%のインク組成物に、水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)とクエン酸を銅に対し30.0質量%添加し、銅濃度が5.0質量%になるように調整して、インク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例2にて得られた銅濃度が30.2質量%のインク組成物に、水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)とクエン酸を銅に対し5.0質量%添加し、銅濃度が1.0質量%になるように調整して、インク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表3に示す。
なお、実施例10は、参考例である。
実施例2にて得られた銅濃度が30.2質量%のインク組成物に、水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)とクエン酸を銅に対し5.0質量%添加し、銅濃度が2.0質量%になるように調整して、インク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例2にて得られた銅濃度が30.2質量%のインク組成物に、水とエチレングリコールの混合液(質量比で、水:エチレングリコール=8:1)とクエン酸を銅に対し5.0質量%添加し、銅濃度が10.0質量%になるように調整して、インク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表3に示す。
実施例2にて得られた銅濃度が30.2質量%のインク組成物を、クロスフロー方式の限外ろ過により濃縮し、銅濃度が50.3質量%のインク組成物を調整し、さらに得られたインク組成物にクエン酸を銅に対し5.0質量%添加し、銅濃度49.8質量%に調整して、インク組成物を得た。得られたインク組成物は、沈降のない良好な分散液であった。また、得られたインク組成物を用いて、上記[インク組成物及び塗膜の評価方法]により、クエン酸と水溶性高分子の含有量(被覆量)の測定と、インク組成物の印刷性、分散安定性及び耐酸化性、並びに印刷面の密着性及び耐変色性の評価を行なった。結果を表3に示す。
なお、実施例13は、参考例である。
Claims (8)
- 金属微粒子と溶剤とから構成される金属微粒子分散液からなる、意匠性を必要とする被印刷体の紙面に金属光沢性を付与する印刷用インク組成物であって、
前記金属微粒子は、その粒径が100nm以下であり、その表面を水溶性高分子とヒドロキシカルボン酸とで被覆され、かつ該水溶性高分子と該ヒドロキシカルボン酸の含有量が、それぞれ金属微粒子に対し3.7〜15質量%と0.5質量%以上、また、前記金属微粒子の含有量が、組成物の全量に対し、2〜30.2質量%であり、一方、前記溶剤は、多価アルコール及び/又は極性溶媒であることを特徴とする印刷用インク組成物。 - 前記水溶性高分子は、ポリビニルピロリドンとポリエチレンイミンとを含むことを特徴とする請求項1に記載の印刷用インク組成物。
- 前記溶剤は、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコール及び/又は極性溶媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷用インク組成物。
- 前記ヒドロキシカルボン酸の含有量は、金属微粒子に対し5〜40質量%であることを特徴とする請求項3に記載の印刷用インク組成物。
- 前記ヒドロキシカルボン酸がクエン酸であり、多価アルコールがエチレングリコールであり、及び極性溶媒が水であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷用インク組成物。
- 前記金属微粒子は、銅微粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷用インク組成物。
- 粒径が100nm以下で、水溶性高分子で被覆された金属微粒子が多価アルコール中に分散された金属微粒子分散液を用いて、該金属微粒子分散液にヒドロキシカルボン酸を添加し、遊離した水溶性高分子を限外ろ過により排出した後、ヒドロキシカルボン酸と多価アルコール及び/又は極性溶媒を添加して金属微粒子分散液を得る、或いは、該金属微粒子分散液にヒドロキシカルボン酸を含む多価アルコール及び/又は極性溶媒で希釈し、次いで限外ろ過により濃縮して金属微粒子分散液を得ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印刷用インク組成物の製造方法。
- 請求項1〜6に記載の意匠性を必要とする被印刷体の紙面に金属光沢性を付与する印刷用インク組成物を用い、乾燥させてなる、水溶性高分子とヒドロキシカルボン酸を含有する金属微粒子から構成される金属光沢を有する塗膜。
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