JP5204723B2 - 点像の鏡面反射光分布測定方法および測定装置 - Google Patents

点像の鏡面反射光分布測定方法および測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、紙やプラスチック等の画質・質感に影響を与える、試料の鏡面反射光沢の特性を評価するための点像の鏡面反射光分布測定方法および測定装置に関するものである。また、試料の変角光度および偏角光度を簡易に短時間で測定する方法および装置に関するものである。
ここでいう試料とは、紙、PET、RC紙(写真用支持体等の樹脂ラミネート紙)、木、プラスチック、コンクリート、布、皮、金属等の、反射画像を形成できる支持体を総称する。また、この試料にインキを部分的に、または全面に、塗布した印刷物にも適用できる。さらにこの技術は人間の皮膚や粘膜の測定にも適用可能である。ここでは試料として紙を、印刷物として紙のオフセット印刷物を例に説明する。
紙に入射した光は表面で反射され、内部で散乱、反射され、また、入射光の一部は吸収される。このような光の反射、散乱は、紙に発生する物理的現象である。特にグロスコート紙や写真用インクジェット用紙のような光沢の高い紙において、紙の表面で起きる鏡面反射は、人間が感じる光沢として、画質や質感といった見た目に強い影響を与える。
ここでいう鏡面反射とは、試料表面の法線方向から各々反対側に同じ角度で入射と受光を行う光の反射を指し、正反射とも呼ばれる。また、光沢とは、主として反射光の強さによって定められる視知覚の属性である。
主観的な光沢感を定量的な測定値で評価する試みが従来から行われてきた。本発明に関係する従来の主な測定値と測定方法を次に示す。しかし、これらの測定値・測定方法では人間が感じる主観的な光沢感の違いを評価できないケースが多く、新しい測定方法・評価方法が要望されている。
鏡面光沢を測定する方法として、JIS Z8741鏡面光沢度−測定方法(非特許文献1)、JIS P8142紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法、およびこのP8142(平行光方式)(非特許文献2)等が知られている。平行光方式の測定方法は、試料面への入射光線に平行光を用い、鏡面反射を受光しコリメータレンズで結像して光量を測定する。しかし、本発明とは異なり、光源は点像でなく、本発明に比較すると明らかに大きな「光源の開口」を有し、測定側も「受光器開口」を持つ。さらに、測定される値は、この反射光の総量として測定される。測定結果は、1つの測定値、ここでは光沢度、として算出される。一般にこれら鏡面光沢を測定する方法の受光器は、フォトセル、光電管等の光の強さを電気信号に変える光電変換を行うものが用いられる。これらは反射光量を総量として測定する方法であり、光量分布を測定しない。
写像性(像鮮明度)を測定する方法として、JIS K7374プラスチック−像鮮明度の測定方法(非特許文献3)が知られている。像鮮明度は、反射光の場合に写像性とも呼ばれる。この測定方法は、試料の鏡面反射光の空間周波数成分を求めるものである。この測定方法は、本発明とは異なり、光源としてスリット像を用いている。また、光源スリットの結像を受光器で測定する際に、結像面に光学くしを通過させた後の通過した光量を測定している。そして、この方法も上記の多くの光沢度計と同様に、測定される値は、クシを通過したこの反射光の総量を1つの測定値として測定しており、鏡面反射光量分布は測定できない。また、スリット像での測定方法はスリットを横断する方向の特性を測定する。後述するように、鏡面反射光の分布は方向に依存するため、写像性(像鮮明度)の測定方法では、試料の鏡面反射光の空間周波数成分においてもスリットを横断する方向の情報しか得られない。
変角光度を測定する装置として、変角光度計が知られている。変角光度は、入射角と受光角を任意に変えて反射光量を測定する測定方法である。例えば、ある入射角に対し、受光角を等しくした場合は鏡面反射となり、そのプラスマイナス何度かに受光角度を変えて反射光量を各々測定し、変角光度が得られる。さらに、光の入射方向に対し試料面が左右に傾く場合の角度をここでは偏角と表記する。この偏角光度の測定も知られている。これら、鏡面反射近傍の変角光度や偏角光度を測定するには、各角度条件毎の測定を複数回繰り返すことが必要となる。
拡散反射は、例えば、試料面法線に対する光の入射角45度に対して試料面法線方向、つまり受光角0度の変角光度で評価されることが多い。一般に、紙のような拡散反射を起こす試料では、鏡面反射は入射角度と受光角度が試料面法線に対して各々反対側に等しい角度の前後数度で強く起こっている。それ以外の受光角度ではほとんど均等な拡散反射光が得られる。拡散反射光の測定は鏡面反射光を除いて行うため、拡散反射光の測定方法では鏡面反射光は測定できない。
拡散反射光に関連する測定値として白色度がある。白色度は、鏡面反射光を除く反射光の総量を測定して算出される。また、印刷物の濃度計や色彩計も拡散反射光の量を測定する方法であり、鏡面反射光の測定や評価には用いられない。
拡散反射のMTFを測定する方法(特許文献1)は、サイン波像を基材に投影し、この像の反射光量分布を測定し、測定した反射光量分布のモジュレーションから拡散反射のMTFを測定する方法である。この方法は拡散反射を目的としているが、投影と測定の位置関係を鏡面反射の条件にすることで、鏡面反射のMTFを測定することができる。この方法はサイン波像を試料面上で結像するように投影する。また、反射光量測定装置は試料面上の投影したサイン波像を測定する。投影も測定も試料面に焦点を合わせた光学系(結像系)である。投影には平行光を用いることもできるが、これはまず平行光を生成し、その平行光の光路上にサイン波像チャートを設置することでサイン波像を試料に投影する方法であり、結局、試料面上にサイン波像が像として投影され測定される。この場合でも測定は試料面に焦点を合わせた光学系(結像系)である。
従来技術で測定できる鏡面光沢の指標としては上記の、光沢度、写像性(像鮮明度)、変角光度・偏角光度、がある。また、対比光沢度のように、鏡面反射光と拡散反射光の比で表す指標などの複合的な評価値がある。
紙の光沢は、例えば上記の測定値で評価している。しかし、人間の主観的な光沢感が異なる試料の違いをうまく評価できないケースが存在することが知られている。特に、光沢度は光沢感の高いケースでその差を評価できないケースが知られており、一方、写像性(像鮮明度)は光沢の低い紙のような試料の光沢感の違いを評価できないケースが多い。
特許第3665176号拡散反射のMTFを測定する方法
JIS Z8741鏡面光沢度−測定方法 JIS P8142紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法(平行光方式) JIS K7374プラスチック−像鮮明度の測定方法
本発明の目的は、従来の測定方法では得られなかった光沢特性を評価できる測定方法を提供することである。このために、点像の鏡面反射光分布の測定方法および測定装置を提供するものである。本発明により変角光度および偏角光度の新しい測定方法および測定装置を提供するものである。
本発明者は上記に鑑み鋭意研究した結果、本発明の点像の鏡面反射光分布測定方法を発明するに至った。
すなわち、(1)点像を光源としてコリメータレンズにより平行光を生成する工程と、その平行光を試料に入射する工程と、試料に入射した平行光の鏡面反射光を受光し、コリメータレンズにより結像させ点像に戻す工程と、結像した点像の光量分布を測定する工程とを含む点像の鏡面反射光分布測定方法であって、測定された該結像点像の光量分布から該試料の変角光度および偏角光度を算出する工程を含むことを特徴とする点像の鏡面反射光分布測定方法である。
)点像を光源としてコリメータレンズにより平行光を生成する手段と、その平行光を試料に入射する手段と、試料に入射した該平行光の鏡面反射光を受光し、コリメータレンズにより結像させ点像に戻す手段と、結像した点像の光量分布を測定する手段とを含む点像の鏡面反射光分布測定装置であって、測定された該結像点像の光量分布から該試料の変角光度および偏角光度を算出する手段を含むことを特徴とする点像の鏡面反射光分布測定装置である。
本発明により、点像の鏡面反射光分布が測定できると、試料の客観的な鏡面反射光特性が評価でき、人間が感じる主観的な光沢感を評価する多くの指標を算出することができる。
本発明の点像の鏡面反射光分布から算出できる試料の客観的な反射光特性として、(1)点拡がり関数(PSF:Point Spread Function)、(2)変角光度・偏角光度、(3)鏡面反射光ウィーナースペクトル、(4)鏡面反射光の最大値、(5)拡散反射光値、(6)鏡面反射光分布の半値幅、等が挙げられる。さらに演算による推定として、(7)光沢度、(8)白色度、(9)写像性(像鮮明度)、(10)変調伝達関数(MTF:Modulation Transfer Function)、が挙げられる。
このように、本発明の点像の鏡面反射光分布測定方法は、1回の測定で試料の鏡面反射光および光沢に関する多くの物理的測定値と光沢の評価値を導き出すことができる。
これにより、測定の効率を上げることができる。
点像の鏡面反射光分布から、人間が感じる主観的な光沢感を評価する指標を新たに導き出すこともできる。
本発明の点像の鏡面反射光分布測定方法は、人間の皮膚や粘膜の鏡面反射光分布特性を測定することが可能であり、医療や化粧品の開発において有用な情報を得ることを可能とする。
点像の鏡面反射光量分布測定方法の全体概略図 入射装置の構成図 受光装置の構成図 入射装置のチャートホルダの構成図 黒色ガラス板の点像の鏡面反射光量分布の測定結果 RCグロスIJ紙の点像の鏡面反射光量分布の測定結果 グロスコート紙の点像の鏡面反射光量分布の測定結果 マットコート紙の点像の鏡面反射光量分布の測定結果 変角光度成分および偏角光度成分の測定面上の位置の測定結果 変角光度成分および偏角光度成分の測定面上の位置の計算結果
以下、本発明の点像の鏡面反射光分布測定方法および装置を、図面を使って説明する。本発明の点像の鏡面反射光分布を測定する装置は、例えば、図1の様に構成される。図1は、測定する試料2の面の法線に対して、各々反対側に等しい角度で鏡面反射の関係となるように、入射装置1と受光装置3を設置するものである。試料2の法線方向を0度とすると、例えば、入射装置1は75度、受光装置3も法線の反対側に同じ角度に設定される。この角度は任意に設定できるが、紙の光沢度測定に準拠するためには、入射装置1は75度、受光装置3は法線の反対側に75度の位置関係が好ましい。また、プラスチックの光沢度測定に準拠するためには、入射装置1は60度、受光装置3は法線の反対側に60度の位置関係が好ましい。さらに、高光沢の試料を測定するためには、入射装置1は45度、受光装置3は法線の反対側に45度の位置関係が好ましい。
入射装置1は、例えば図2に示すように光源11、点像チャート4、および点像チャート4を支持するチャートホルダ12、そして点像を光源として平行光を生成するコリメータレンズ13、およびその他複数のレンズで構成することができる。
点像チャート4は、例えば図4に示すように点像チャート4、および点像チャート4を支持するチャートホルダ12で構成することができる。点像チャート4は、例えば金属板に孔を開けて作成することができる。また、ガラス板に金属蒸着し、点像のみ光を透過させるように作成することができる。
点像チャート4の点像の直径は、光沢の低い紙で500μm以下、光沢の高い紙の測定では100μm以下が望ましい。プラスチックのような鏡面性の高い試料では必要に応じて点像の直径を小さくする必要がある。
図2に示した入射装置1は、セットした点像チャート4をコリメータレンズ13で平行光とし、この平行光を試料2に入射させる。
試料2は、図1に示すようにサンプルベッド21上にセットされる。サンプルベッド21は試料2が透明であったり、薄いために透けたりする場合に、光を反射しないように加工されていることが望ましく、黒塗装で製作したり、試料2に接する面にライトトラップや黒のビロード等を設けることが望ましい。
受光装置3は、例えば図3に示すように試料2に入射した平行光の鏡面反射光を受光し、コリメータレンズ31で結像させる。結像した点像の光量分布をカメラレンズ群32で受光センサ33に結像させ光量分布を測定する。受光センサ33はCCDセンサや撮像管の様なアレイ型のセンサを用いてこの光量分布を2次元(面、画像)のデータとして取り込む。受光センサ33は装置としてCCDカメラを用いることができる。
また、受光センサ33はフォトセルや光電管等を用いた微小面積の点のデータを測定する光量測定器を用いる場合には、光量分布を測定するために測定位置を変えて測定する。例えば、測定位置を変える方法としては、プログラムで自動的に「微小面積の点のデータを測定する光量測定器」を可動させることができるXYステージを用いる。
測定した点像の鏡面反射光量分布は、試料の鏡面反射の点拡がり関数(PSF)である。測定装置のレンズ(光学系)や受光センサの特性(伝達関数や歪み、非線形性)により精度は異なるため、補正することが望ましい。また、点像自身に大きさや歪みがあるため、目的の精度により補正することが望ましい。
測定した点像の鏡面反射光量分布から変角光度・偏角光度を求めることができる。本発明の測定方法は、試料2に点像を直接に入射しているのではなく、コリメータレンズ13で平行光にして入射している。この平行光の大きさは光源とした点像の大きさより十分に大きい。例えば、平行光の光束の直径を5mmにすると、点像の直径100μmに対して約50倍となる。この平行光は、入射した試料2の各位置で反射する。鏡面性の高い鏡や黒色ガラス板を試料とすると、どの位置でも表面(法線)が等しい向きのため、鏡面反射方向も等しく、測定される結像点像はほぼ元の点像となり、その位置は測定面の中心となる。紙のように表面に微小な凹凸がある試料では、各位置の微小面が各々異なる法線角度を持っていると考えると、各微小面の法線が試料面全体の法線とは各々異なり、各微小面での鏡面反射光の方向(角度)も異なる。このため、紙のように表面が均一な鏡面ではない試料では、測定される結像点像は拡がりを持った分布となる。
本発明の測定方法および測定装置では、試料面が(法線が)0.5度傾くと、元の法線から見て1度変角(偏角)した場合の反射光が測定される。この変角(偏角)反射光は、測定面の中心からその角度に相当した分だけずれた位置で測定される。このように試料面の変角光度成分・偏角光度成分が測定面上の所与の位置に現れる。事前に変角・偏角毎の測定面上の位置を求めておくことで、測定された点像の鏡面反射光量分布から変角光度・偏角光度を求めることができる。
試料面の変角光度成分・偏角光度成分が測定面上のどの位置に対応するかは、実験または計算により求めることができる。実験的には、本発明の測定方法および測定装置で、試料面を(法線を)目的の角度だけ傾け、結像点像の位置を測定する。鏡面性の高い鏡や黒色ガラス板を試料とすると、測定される結像点像はほぼ元の点像となるため、その位置の測定は容易である。均一な試料であっても変角・偏角が大きくなると測定範囲やレンズの影響で、測定される光量は減少するため、黒色ガラス等の基準とする試料での、その測定位置の反射光量を測定しておきこれを用いて補正することができる。
計算的に求めるには、本測定方法および装置において、試料面上から受光する変角および偏角反射光が結像する測定面上の位置を計算で求める。これは、主に受光装置のコリメータレンズの焦点距離から計算で求めることができる。このため、変角光度計を用いて試料の変角光度および偏角光度を測定し、変角光度成分・偏角光度成分の測定面上の所与の位置に割り当てることで、本発明の測定方法および装置の点像の鏡面反射光分布を得ることも可能である。
本発明の測定方法および装置の点像の鏡面反射光分布は、鏡面反射光の点拡がり関数として利用できるものであり、単体の変角光度および偏角光度とは異なる。また、本発明の測定方法および装置の点像の鏡面反射光分布は、入射角度、受光角度が法線に対して共に0度でない場合には、変角成分・偏角成分が測定される位置は均等な分布にはならない。特に、入射角度、受光角度が法線に対して大きい鏡面反射条件の場合には、変角成分・偏角成分が測定される位置は変角に対して大きく、偏角では小さくなる。このため、例えば図9、図10に示すように、75度鏡面反射の測定では、試料の変角成分・偏角成分が等しく分布している場合でも測定される点像の鏡面反射光分布は、入射光方向(変角方向)に広く、左右方向(偏角方向)に狭い分布となる。
測定される点像の鏡面反射光量分布は、鏡面反射光の点拡がり関数である。鏡面反射光の点拡がり関数をフーリエ変換することで、鏡面反射光の変調伝達関数(MTF)が得られる。
ここまで試料として紙を例に発明の実施の形態を示したが、この他に、本発明の方法は人間の皮膚や粘膜の測定に適用することが可能である。人間の皮膚や粘膜を測定することで、医療や診断、化粧品の開発に活用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
入射装置1、サンプルベッド21、受光装置3は、中央精機株式会社の光学部品を組み合わせ、一部新たに設計して製作した。入射装置1と受光装置3の位置関係は試料面法線方向に対し各々75度の鏡面反射条件とした。サンプルベッド21は上下方向に移動可能である。この機構により、セットした紙サンプル、試料2、の厚さに合わせてサンプルベッド21を上下させる。試料2をセットし、点像の平行光を入射し、受光した鏡面反射光をコリメータレンズ31で結像させ、この光量分布をCCDカメラで測定し、点像の鏡面反射光量分布を得た。
入射装置1の構成を図2を用いて説明する。光源11はLEDランプを用い、光ファイバーを経由して入射装置1の所定の位置に設置した。チャートホルダ12にセットした点像チャート4の点像を光源として平行光となるようにコリメータレンズ13を設置し作製した。光源11の明るさは調整可能である。ここでは点像として直径100μmの孔を開けた薄金属板を点像として用いた。直径50μm、直径25μmの点像も用意した。光源11と点像の間に集光レンズを設置した。
受光装置3の構成を図3を用いて説明する。カメラ(受光センサ33)は、Apogee社製CCDカメラU260を用いた。入射した平行光の鏡面反射光をコリメータレンズ31で結像させ、この結像面をCCDカメラで測定できるように作製した。用いたCCDカメラは512画素×512画素の16bit階調であり、測定した画像(光量分布)は図示しないコンピュータに転送されるようになっている。検出信号は、事前に光学反射濃度が既知のチャート、今回はKODAK社グレイスケールを使用し、検出信号と反射濃度の関係から光量に換算した。この結果、検出信号は光量とほぼ線形な比例関係が得られたため、以下、光量として検出信号値で表記する。最小値が0、最大値が65535である。
(測定実施例)
主観的光沢感の異なる代表的試料の測定結果を以下に示す。また、従来技術の測定方法による測定結果を合わせ示し、本発明の効果を示す。
試料として3種類の紙と標準とした黒色ガラス板、合わせて4試料の測定結果を示す。
試料aは、写真用インクジェット用紙でグロス(光沢)タイプである。これはポリエチレンを紙にラミネートしたRC紙をベースとしたインクジェット用紙であり、光沢の写真印画紙とほぼ同じ光沢感のある紙である。以下、RCグロスIJ紙と表記し、aで識別し、測定結果を図6に示す。
試料bは、印刷用コート紙でグロス(光沢)タイプである。これは顔料を塗布し光沢を上げるためにカレンダ処理した印刷用紙である。ポスターや女性月刊誌の写真ページに使用される光沢のある紙である。以下、グロスコート紙と表記し、bで識別し、測定結果を図7に示す。
試料cは、印刷用コート紙でマット(無光沢)タイプである。これは顔料を塗布しているが光沢があまりでないように処理した印刷用紙である。文字の多いページや光沢の少ない写真ページに使用される光沢の少ない紙である。以下、マットコート紙と表記し、cで識別し、測定結果を図8に示す。
標準とした黒色ガラス板は、屈折率1.567の黒色ガラスで表面は鏡面である。以下、黒色ガラス板と表記し、rで識別し、測定結果を図5に示す。
本発明の測定方法および測定装置に基づき製作した測定機で上記試料を測定した。各試料の点像の鏡面反射光量分布を図5から図8に示す。
図5から図8は3次元グラフで表示した図である。x軸(図の左右)は0〜500で光線方向左右の位置である。y軸(図の奥行)は0〜500で光線方向の位置である。z軸(図の上下)は光量値(センサの検出信号値)であり、図5が0〜60000、図6から図8が0〜6000、つまり図5のみz軸が10倍である。これは、黒色ガラス板の鏡面反射光量の最大値が他の試料に比較して極端に高いためである。測定光量は黒色ガラス板が約60000になるようにまず調整し、その入射光量の条件で他の試料を測定した。
各試料は、主観的な光沢感が明らかに異なる。主観的な光沢感の高い試料から順に、黒色ガラス板>RCグロスIJ紙>グロスコート紙>マットコート紙である。主観的な光沢値の数量化は順位法として標準とした黒色ガラス板を5点、以下4、3、2、とした。
本発明の測定方法による測定結果、点像の鏡面反射光量分布(図5)は、これら試料の主観的光沢感と良く一致する傾向にあることがわかる。以下従来技術と比較するために数値化する必要があるため、ここでは鏡面反射光量分布の最大値と、半値幅の逆数を指標として示す。半値幅は分布の最大値の半値における分布の幅である。ここでは入射光線方向の幅の測定ピクセル数とした。半値幅の逆数、1/半値幅、を指標としたのは、鏡面反射光が拡がらない方が光沢感が高いと考えられるからである。なお、これらは一例であり、本発明の点像の鏡面反射光量分布からは既に述べたものを含め多くの評価が可能である。
(測定比較例1)
JIS P8142に則り、上記試料の光沢度を測定した。光沢度計は、株式会社村上色彩技術研究所製GM−26PROを使用した。75度で測定した。
(測定比較例2)
JIS K7374に則り、上記試料の像鮮明度(写像性)を測定した。測定機は、スガ試験器株式会社製写像性測定器ICM−1DPを使用した。45度、2mmクシで測定した。
(評価値一覧)
以上の評価値をまとめて示す。
Figure 0005204723
図5に黒色ガラス板の点像の鏡面反射光量分布を示す。図6から図8に試料a〜cの点像の鏡面反射光量分布を示す。紙試料に比較して、点像の鏡面反射光量分布は拡がらず元の点像チャートをほぼ再現し、かつ強い反射をしていることがわかる。
主観的光沢感は高い順に、黒色ガラス板>RCグロスIJ紙>グロスコート紙>マットコート紙であった。主観的評価であるが、これら試料の主観的光沢感は明らかに異なり、その大小関係は多数の観察者においても変わることはなかった。黒色ガラス板は測定した結像点像がほぼチャート点像そのものであり、点像が拡がらず光量の最大値が高い。グロスコート紙は、測定した結像点像が拡がっており、光量の最大値も下がる。マットコート紙は測定した結像点像がかなり拡がっており、光量の最大値もかなり低い。RCグロスIJ紙は黒色ガラス板とグロスコート紙の中間であった。本発明の測定から求めた光沢評価値は、最大値を用いても、半値幅の逆数を用いても、主観的な光沢感にあった傾向を示した。
従来技術の評価値は、光沢度では、高光沢のRCグロスIJ紙とグロスコート紙が主観的な光沢感と数値的に逆転している。写像性では、低光沢のマットコート紙とグロスコート紙が主観的な光沢感と数値的に逆転している。これら従来技術の評価方法の、光沢度や写像性では、このように光沢感がうまく評価できないケースがあることが知られている。
(測定実施例2)
変角光度および偏角光度は測定結果の物理的解釈の違いであり、測定方法は同じであり、図5〜図8のグラフから読み取ることができる。試料面の変角光度成分・偏角光度成分が測定面上のどの位置に対応するかは、実験による方法または計算による方法により求めることができる。
本発明の測定方法および測定装置では、試料面が(法線が)1度傾くと、元の鏡面反射条件から見て2度変角(偏角)した反射光が測定される。この変角(偏角)反射光は、測定面の中心からその角度に相当した分だけずれた位置で測定される。
試料面の変角光度成分・偏角光度成分が測定面上のどの位置に対応するかを、実験により求めた。本測定装置において、鏡面性の高い黒色ガラス板を試料として、試料面の法線を+−1度ずつ、つまり変角と偏角を+−2度ずつ傾け、結像点像の位置を測定した。鏡面性の高い黒色ガラス板を試料とすると、測定される結像点像はほぼ元の点像となるため、その位置の測定は容易であった。図9に測定結果を示す。計算による求めた結果を図10に示す。
図9、図10は、図5〜図8と同じ測定面であり、x軸(図の左右)は0〜500(測定は511まで)で光線方向左右の位置である。y軸は0〜500(測定は511まで)で入射光方向の位置である。なお、y軸の0は入射装置側から見て上であり、500が下である。測定データの位置を座標(x,y)と表すと、中央が(256,256)である。偏角0度、変角0度の結像点像は座標(256,256)の位置で測定された。変角は、入射装置側から見て試料面の中心を軸に奥が1度下がる(手前が1度上がる)ように傾いた場合を、変角の+2度、プラスと表し、手前が1度下がる(奥が1度上がる)ように傾いた場合を、変角の−2度、マイナス、と表すと、変角が増加(+)すると測定位置は測定面上を下方向に移動する。変角を±2度ずつ変化させた測定点を図示した。
角は、入射装置側から見て試料面の中心を軸に右が1度上がる(左が1度下がる)ように傾いた場合を、偏角の+2度、プラスと表し、右が1度下がる(左が1度上がる)ように傾いた場合を、偏角の−2度、マイナスと表すと、偏角が増加(+)すると測定位置は測定面上を左方向に移動する。偏角を±2度ずつ変化させた測定点を図示した。
変角および偏角反射光が結像する測定面上の位置は、主に受光装置のコリメータレンズの焦点距離から計算で求めることができる。図10に計算的に求めた結果を示す。実験的に求めた結果とほとんど一致している。
変角および偏角反射光が結像する測定面上の位置は、測定面上で均等ではないことがわかった。例えば、75度の鏡面反射条件では、同じ角度の変化でも、変角(y軸)に対して座標の移動量が大きく、偏角(x軸)で小さい。図6〜図8の紙サンプルの測定結果でも、x軸方向に対して圧縮された分布が測定されている。
このように、変角および偏角反射光が結像する測定面上の位置が得られたため、図6から図8に示した点像の鏡面反射光分布から変角反射光度および偏角反射光度を求めた。例えば、図9を用いれば、座標(294,141)の測定値から偏角−4度、変角−4度の変角反射光度および偏角反射光度を得た。実際には1点ではなくその位置を中心としたある領域から求めることが望ましい。また、変角光度計の代用として用いるためには、事前に補正や換算係数を求めておくことが必要である。
さらに、試料の変角光度および偏角光度を、変角光度計(株式会社村上色彩技術研究所、GCMS−4)で測定した。変角光度成分・偏角光度成分の光度を測定面上の所与の位置に割り当てることで、本発明の測定方法および装置の点像の鏡面反射光分布を得た。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明はこの実施例には限定されず、種々変形可能である。
本発明により、試料の点像の鏡面反射光量分布を求めるための簡易で精度の高い測定方法および測定装置が提供される。この測定方法により、鏡面反射の、点拡がり関数、変角光度および偏角光度、を測定することが可能となり、印刷用紙やインキ、印刷方式の開発において有用な情報を得ることを可能とする。
1 入射装置
2 試料
3 受光装置
4 点像チャート
11 光源
12 チャートホルダ
13 コリメータレンズ
21 サンプルベッド
31 コリメータレンズ
32 カメラレンズ群
33 受光センサ

Claims (2)

  1. 点像を光源としてコリメータレンズにより平行光を生成する工程と;該平行光を試料に入射する工程と;該試料に入射した該平行光の鏡面反射光を受光し、コリメータレンズにより結像させ点像に戻す工程と;該結像点像の光量分布を測定する工程と;を含む点像の鏡面反射光分布測定方法であって、測定された該結像点像の光量分布から該試料の変角光度および偏角光度を算出する工程を含むことを特徴とする点像の鏡面反射光分布測定方法
  2. 点像を光源としてコリメータレンズにより平行光を生成する手段と;該平行光を試料に入射する手段と;該試料に入射した該平行光の鏡面反射光を受光し、コリメータレンズにより結像させ点像に戻す手段と;該結像点像の光量分布を測定する手段と;を含む点像の鏡面反射光分布測定装置であって、測定された該結像点像の光量分布から該試料の変角光度および偏角光度を算出する手段を含むことを特徴とする点像の鏡面反射光分布測定装置
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