JP2011196814A - 光沢感評価装置及び光沢感評価方法 - Google Patents

光沢感評価装置及び光沢感評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】試料の光沢について、主観的な光沢感と相関の高い評価が可能な光沢感評価装置及び光沢感評価方法を提供する。また、主観的な光沢感を光沢感評価値として、拡散反射、鏡面反射、表面粗さの成分に分離して、取得することが可能な光沢感評価装置及び光沢感評価方法を提供する。
【解決手段】光沢画像として、反射モデルにより算出された拡散反射輝度と鏡面反射輝度を含む画像を生成する手段と、該画像を投影装置3に入力して、参照試料1に投影する手段と、該画像を投影中、少なくとも拡散反射輝度か鏡面反射輝度の一方を変化させ、光沢感評価画像として、該試料の光沢と投影により付与される該参照試料の光沢とが同等であると認識する画像を取得する手段と、該試料の光沢感を光沢感評価値として、該光沢感評価画像を構成する成分に分離して取得する手段とを有する光沢感評価装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、試料の光沢について、主観的な光沢感と相関の高い評価が可能な光沢感評価装置及び光沢感評価方法に関するものである。また、主観的な光沢感を画像として取得し、さらに光沢感評価値として、拡散反射、鏡面反射、表面粗さの成分に分離して、取得することが可能な光沢感評価装置及び光沢感評価方法に関するものである。
ここでいう試料とは、紙、PET、RC紙(写真用支持体などの樹脂ラミネート紙)、木、プラスチック、コンクリート、布、皮、金属などの反射画像を形成できる支持体を総称する。また、この試料にインキを部分的に、または全面に塗布した印刷物にも適用できる。ここでは試料として紙を例に説明する。
紙に入射した光は表面で反射され、内部で散乱、反射され、また、入射光の一部は吸収される。このような光の反射、散乱は、紙に発生する物理的現象である。
紙の表面で起きる鏡面反射は、画質や質感といった見た目に強い影響を与える。ここでいう鏡面反射とは、試料表面の法線方向から各々反対側に等しい角度で入射と受光を行う光の反射を指し、正反射とも呼ばれる。また、光沢とは、主として反射光の強さによって定められる視知覚の属性である。
紙の光沢に関して、定量的な測定値で評価する試みが従来から行われてきた。本発明に関係する従来の主な測定方法を次に示す。しかしながら、これらの測定値と主観的な光沢感(以下、光沢感と表記する場合あり)とは相関が低くなるケースが知られている。
鏡面光沢を測定する方法として、JIS Z8741鏡面光沢度−測定方法(非特許文献1)、JIS P8142紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法(非特許文献2)などが知られている。これらは、試料表面に対し、規定された入射角で平行光を入射し、正反射方向の反射光量を受光器で検出し、検出した反射光量を標準面(可視波長全域にわたって屈折率が1.567のガラス表面)に於いて同様の条件で検出された反射光量によって規準化したものを鏡面光沢度とする測定方法である。しかしながら、人間は鏡面反射光量だけでなく、鏡面反射近傍の空間的な反射光量分布を加味して光沢感を評価しているため、これらで求めた定量的な測定値と主観的な光沢感とは相関が低くなるケースがある。
像鮮明度を測定する方法として、JIS K7374プラスチック−像鮮明度の求め方(非特許文献3)が知られている。像鮮明度は、反射光の場合に於いて写像性とも呼ばれる。この測定方法は、試料の鏡面反射光特性の空間周波数成分を求めるものである。また、この測定方法は光源としてスリット像を用い、光源スリットの結像を受光器で測定する際に、結像面に光学クシを通過させた後の通過した光量を測定している。そして、この方法も上記の多くの光沢度計と同様に、測定される値は、クシを通過したこの反射光の総量を1つの測定値として測定しており、鏡面反射光量分布は測定できない。
変角光度を測定する装置として、変角光度計が知られている。変角光度は、入射角と受光角を任意に変えて反射光量を測定する測定方法である。例えば、ある入射角に対し、受光角を等しくした場合は鏡面反射となり、そのプラスマイナス何度かに受光角度を変えて反射光量を各々測定し、変角光度が得られる。さらに、光の入射方向に対し試料面が傾く場合の角度をここでは偏角と表記する。この偏角光度の測定も知られている。これら、鏡面反射近傍の変角光度や偏角光度を測定するには、各角度条件の測定を複数回繰り返すことが必要となる。
拡散反射は、例えば、試料面法線に対する光の入射角45度に対して試料面法線方向、つまり受光角0度の変角光度で評価されることが多い。一般に、紙のような拡散反射を起こす試料では、鏡面反射は入射角度と受光角度が試料面法線に対して各々反対側に等しい角度の前後数度で強く起こっている。それ以外の受光角度では、ほとんど均等な拡散反射光が得られる。拡散反射光の測定は鏡面反射光を除いて行うため、拡散反射光の測定方法では鏡面反射光は測定できない。
拡散反射光に関連する測定値として白色度がある。白色度は、鏡面反射光を除く反射光の総量を測定して算出される。また、印刷物の濃度計や色彩計も拡散反射光の量を測定する方法であり、鏡面反射光の測定や評価には用いられない。
従来技術で測定できる鏡面光沢の指標としては上記の光沢度、像鮮明度、変角光度、偏角光度がある。また、対比光沢度のように、鏡面反射光と拡散反射光の比で表す指標などの複合的な測定値がある。
JIS Z8741鏡面光沢度−測定方法 JIS P8142紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法 JIS K7374プラスチック−像鮮明度の求め方
紙の光沢は、例えば上記のような測定値で評価している。しかしながら、これらの測定値と主観的な光沢感とは相関が低くなるケースがあり、複数の試料の光沢を比較して、評価する場合に於いて、主観的な光沢感の差異をうまく評価できないケースがある。特に、光沢度は、光沢の高い領域に於いて、主観的な光沢感の差異を評価できないケースが知られている。一方、像鮮明度は、光沢の低い領域に於いて、主観的な光沢感の差異を評価できないケースが知られている。
本発明の目的は、試料の光沢について、主観的な光沢感と相関の高い評価が可能な光沢感評価装置及び光沢感評価方法を提供することである。また、主観的な光沢感を画像として取得し、さらに光沢感評価値として、拡散反射、鏡面反射、表面粗さの成分に分離して、取得することが可能な光沢感評価装置及び光沢感評価方法を提供することである。
本発明者は、上記に鑑み、鋭意研究した結果、本発明の光沢感評価装置及び光沢感評価方法を発明するに至った。
すなわち、(1)試料の光沢を表現した画像(以下、光沢画像と表記する)として、反射モデルにより算出された拡散反射輝度と鏡面反射輝度を含む画像を生成する手段と、該画像を投影装置に入力して、参照試料に投影する手段とを有する光沢感評価装置である。
(2)上記参照試料が、上記試料と同時比較し得る位置に設置されている上記(1)記載の光沢感評価装置である。
(3)上記参照試料と上記試料が着脱可能に設置されている上記(2)記載の光沢感評価装置である。
(4)光沢画像として、反射モデルにより算出された拡散反射輝度と鏡面反射輝度を含む画像を生成し、該画像を投影装置に入力して、参照試料に投影することを特徴とする光沢感評価方法である。
(5)上記試料の光沢と投影により付与される上記参照試料の光沢とを比較し、少なくとも拡散反射輝度か鏡面反射輝度の一方を変更することを特徴とする上記(4)記載の光沢感評価方法である。
(6)光沢感評価画像として、上記試料の光沢と投影により付与される上記参照試料の光沢とが同等であると認識する画像を取得し、該試料の光沢感を光沢感評価値として、該光沢感評価画像を構成する成分に分離して取得することを特徴とする上記(5)記載の光沢感評価方法である。
(7)上記光沢感評価画像を構成する成分が、拡散反射、鏡面反射、表面粗さのうちの少なくとも1つである上記(6)記載の光沢感評価方法である。
本発明の光沢感評価装置及び光沢感評価方法によれば、反射モデルにより算出された拡散反射輝度と鏡面反射輝度を含む画像を試料に投影することで、試料の表面に光沢を再現することが可能である。
また、本発明の光沢感評価装置及び光沢感評価方法によれば、試料の光沢について、主観的な光沢感と相関の高い評価を実施することが可能であり、主観的な光沢感を画像として取得し、さらに光沢感評価値として、拡散反射、鏡面反射、表面粗さの成分に分離して取得することが可能である。これにより、複数の試料の光沢を比較して、評価する場合に於いて、主観的な光沢感の差異を光沢感評価値で評価することが可能である。また、主観的な光沢感の差異に対して、その原因を拡散反射輝度か鏡面反射輝度の何れかに係る因子、例えば、拡散反射、鏡面反射、表面粗さの成分に求めて、これらと製造条件(因子)との対比から、試料を光沢調整して製造することも可能である。
また、本発明の光沢感評価装置及び光沢感評価方法から取得できる画像に基づいて、主観的な光沢感を1つの測定値として導き出すことも可能である。
光源方向、視点方向などのベクトルの向きを示す図。 半円筒状の試料表面の鏡面反射輝度をTorrance−Sparrowモデル、拡散反射輝度をLambertモデルに基づいて、レンダリングした画像を示す図。 本発明における画像を投影する工程を示す概略図。 本発明における光沢感評価装置及び光沢感評価方法を示す概略図。
本発明の実施形態を、(光沢画像を生成する工程)、(画像を投影する工程)、(投影による光沢を観察する工程)、(光沢感評価画像を取得する工程)、(光沢感評価値を取得する工程)に分けて説明する。
(光沢画像を生成する工程)
本発明では、光沢画像はコンピュータグラフィックス(以下、CGと表記する)によって生成され、画像中の光沢は反射モデルに基づき算出される反射輝度で表現される。ここで、反射モデルとは、試料表面の反射特性を物理的、幾何学的な法則に基づいてモデル化したもので、物理現象を忠実にモデル化したタイプから、低計算コストを重視したタイプまで、用途に応じて様々なものが開発されている。
本発明では、反射モデルとして、試料表面における反射を鏡面反射と拡散反射で表現できると仮定した2色性反射モデルを用いる。2色性反射モデルは今日でも非常に多くの反射モデルの基礎となっている。
本発明では、鏡面反射のモデルとして、CGの分野で広く知られているTorrance−Sparrowモデルを例に説明する。図1に示すように、光源方向ベクトルをL、視線方向ベクトルをV、また試料面での法線ベクトルをNとすると、Torrance−Sparrowモデルにおける鏡面反射輝度は数1によって表される。ここで、「・」はベクトル内積、上部に「−」のある文字はベクトルを表す。
数1について、Iは鏡面反射輝度、Kは鏡面反射成分、Dはマイクロファセット分布関数、Gは幾何減衰係数、Fはフレネル係数を表す。本発明におけるCG処理では、Iは0〜1.00の実数値に変換して表現される。IはKの値を0〜1.00の実数値で変化させ、調整することが可能である。また、IはR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のデータを持つ。Dは試料表面を構成する微小面(マイクロファセット)の向きを表す分布関数である。Torrance−Sparrowモデルでは、この分布関数をGauss分布であると仮定することが多い。Gauss分布を用いるとDは数2で表される。
ここで、ln(2)は2の自然対数、αは光源方向ベクトルLと視線方向ベクトルVとの中間を示す中間点ベクトルをHとしたときの、法線ベクトルNと中間点ベクトルHとのなす角、σはマイクロファセットの傾きの標準偏差を表す。Dは試料表面の粗さを表す指標となり、σが小さいと法線ベクトルNとマイクロファセットの法線との変化が少なく、鋭い鏡面反射光となる。逆に、σが大きいと法線からの変化が大きくなり、拡がりを持った鏡面反射光となる。本発明ではσを表面粗さ成分とし、0〜1.00の実数値で変化させる。Gはマイクロファセットによる遮蔽や陰影などによる光の減衰を表し、数3で表される。数3のminは括弧内の数値を比較して、最小値を取り出す処理を示す。
また、Fは反射光自体の減衰を表すが、Torrance−Sparrowモデルが鏡面反射を表すため、F=1と近似する。本発明では、IはKとσを任意に調整した後、数1、数2、数3を用いて算出される。
上記のように鏡面反射のモデルとして、Torrance−Sparrowモデルを説明したが、本発明では鏡面反射のモデルをこれに限定するものではなく、他のモデル、例えば、Cook−Torranceモデル、Phongモデルなどを用いても良い。
次に、拡散反射のモデルとして、数4に示すLambertモデルを例に説明する。Lambertモデルは、試料表面に於ける拡散反射を記述したモデルとして、長年にわたりCGの分野にて用いられている。
数4について、Iは拡散反射輝度、Kは拡散反射成分を表す。θは法線ベクトルNと光源方向ベクトルLのなす角である。本発明におけるCG処理では、Iは0〜1.00の実数値に変換して表現される。IはKの値を0〜1.00の実数値で変化させ、調整することが可能である。また、IはR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のデータを持つ。本発明では、IはKを任意に調整した後、数4を用いて算出される。
上記のように拡散反射のモデルとして、Lambertモデルを説明したが、本発明では拡散反射のモデルをこれに限定するものではなく、他のモデル、例えば、Oren−Nayerモデルを用いても良い。
また、本発明では光沢画像を生成するためにコンピュータ上でモデリング及びレンダリングと呼ばれる処理を行う。モデリングとは試料の形状を生成することで、各頂点の座標、また、境界線、面を表現する方程式のパラメータを決める処理である。本発明では、モデリングソフトを用いて、試料の形状を生成する。また、試料の光沢を表現するために、モデリング後にレンダリングを行う。レンダリングとは、数値データとして与えられた物体に関する情報を計算によって画像化することで、視点と光源の位置、光源の種類、反射特性、試料の形状や頂点の座標、材質などを考慮し、陰面消去や陰影付けなどを行って画像を生成する。レンダリングの手法としてはレイトレーシング、ラジオシティ法などがあるが、本発明では何ら制限されるものではない。
本発明では、モデリングにより、試料の形状を生成し、上記のような鏡面反射モデル、拡散反射モデルに基づいて、レンダリングを行うことで、拡散反射輝度と鏡面反射輝度を含む光沢画像を生成する。また、画像中の試料の反射輝度は拡散反射輝度と鏡面反射輝度の和で算出する。図2は半円筒状の試料表面の鏡面反射輝度をTorrance−Sparrowモデル、拡散反射輝度をLambertモデルに基づいて、レンダリングした画像であり、試料の左端から中央部にかけて、鏡面光沢が表現されているのがわかる。また、試料の上端と下端に陰影が表現されているのがわかる。
(画像を投影する工程)
図3は、上記で生成した光沢画像を投影する工程を示す概略図である。半円筒状の参照試料1、光沢画像を生成する処理コンピュータ2、光沢画像を出力する投影装置3、観察者の視点4が示されている。
処理コンピュータ2では、光源の位置、観察者の視点位置などがキーボードの操作などで指定され、上記のような反射モデルに基づいたレンダリングを行うことで、観察者の視点4における光沢画像が生成される。生成された光沢画像は投影装置3に入力され、参照試料1の表面に投影される。
この結果、この実施形態によれば、参照試料1の表面に光沢を再現することが可能であり、例えば、参照試料1に無光沢紙として上質紙を設置した場合でも、投影により、あたかもグロスコート紙のような光沢を再現することが可能である。
(投影による光沢を観察する工程)
図4は、本発明における光沢感評価装置及び光沢感評価方法を示す概略図である。参照試料1の上部に評価用試料として、参照試料1と同一形状である試料5を設置している。ここで、参照試料1と試料5は観察条件を等しくするために、同時比較し得る位置に設置される。また、参照試料1と試料5は共に着脱可能である。この実施形態によれば、光沢画像を投影中、実験者6は投影により付与される参照試料1の光沢と試料5の光沢とを同時比較して、観察することが可能である。また、参照試料1及び試料5を交換し、様々な試料間で光沢を観察することが可能である。
本発明に用いる試料5は何ら制限されるものではない。また、参照試料1についても、何ら制限されるものではないが、光沢感の評価範囲を広く設定したい場合は、参照試料1として光沢の低い試料を用いることが好ましい。また、光源の位置、観察者の視点、参照試料1と試料5の形状については、何ら制限されるものではない。また、参照試料1と試料5の設置箇所については、何ら制限されるものではないが、観察条件を等しくするため、互いに近傍に設置することが好ましい。
本発明では、試料5に対して、投影装置3から照明光として所定輝度画像が投影される。また、本発明は投影装置3以外の光源の影響を最小限にするために暗室で実施することが好ましい。
また、投影装置3は、限界放射輝度を有するので、投影する光沢画像の最大輝度が限界放射輝度を超えている場合には、観察者の視点4から見た参照試料1の輝度不足分を完全に補うことができないことになる。このような場合、参照試料1の輝度不足分を補う代わりに、試料5の所定輝度画像を調整する場合がある。
投影装置3における限界放射輝度を考慮して、参照試料1、試料5に対する投影輝度を調整するものであるから、結果として、参照試料1、試料5に対する投影輝度が低下する場合もあり得る。しかしながら、参照試料1と試料5の光沢感やコントラストが保存され、しかも、絶対的な輝度ではなくて相対的な輝度で光沢を感じるという視覚特性を人間が有することから、実用上十分な評価結果が得られる。
(光沢感評価画像を取得する工程)
図4の実験者7は光沢画像を投影中、処理コンピュータ2のキーボード操作で光沢画像を構成する拡散反射輝度と鏡面反射輝度を調整し、参照試料1に再現される光沢を任意に制御することが可能である。
図4の実験者6は光沢画像を投影中、固定された観察位置から、参照試料1の光沢と試料5の光沢とを同時比較することが可能である。このとき、実験者6は両試料の光沢が同等であると認識するまで、拡散反射輝度と鏡面反射輝度を変更するよう、実験者7に指示する。
拡散反射輝度と鏡面反射輝度の変更は、例えば、上記のLambertモデル中のK、Torrance−Sparrowモデル中のK、σの各成分を調整して行う。調整手順は何ら制限するものではないが、先ず、Kについて、0〜1.00の実数値で変化させる。Kは試料表面における拡散反射色を示し、参照試料1の拡散反射色が試料5のそれと等しくなるように調整する。次いで、Kについて、0〜1.00の実数値で変化させる。Kは鏡面反射色を示し、参照試料1の鏡面反射色が試料5のそれと等しくなるように調整する。次いで、σについて、0〜1.00の実数値で変化させ、鏡面反射光の拡がりを調整する。σが小さいと鋭い鏡面反射光、σが大きいと拡がりを持った鏡面反射光となる。参照試料1の鏡面反射光の拡がりが試料5のそれと等しくなるように調整する。K、K、σを調整後、再度、参照試料1と試料5の光沢とを同時比較し、光沢感に差異があれば、適宜、K、K、σの調整を行う。
実験者6は参照試料1と試料5の光沢が同等であると認識した時点でK、K、σの成分の変更を止めるよう、実験者7に指示する。このとき参照試料1に投影した光沢画像を試料5の光沢感評価画像として取得する。この結果、この実施形態によれば、試料の光沢について、主観的な光沢感と相関の高い評価が可能であり、主観的な光沢感を画像として取得することが可能である。
(光沢感評価値を取得する工程)
上記光沢感評価画像はK、K、σの成分で構成され、試料5の光沢感を光沢感評価値として、K、K、σに分離して、取得することが可能である。続けて別の試料を評価する場合、試料5を取り外し、同一箇所に評価用試料を新たに設置し、上記の実施形態に従って、光沢感の評価を実施する。
この結果、この実施形態によれば、複数の試料の光沢を比較して、評価する場合に於いて、主観的な光沢感と相関の高い評価が可能であり、主観的な光沢感の差異を光沢感評価値で評価することが可能である。また、主観的な光沢感の差異に対して、その原因を拡散反射輝度か鏡面反射輝度の何れかに係る因子、例えば、K、K、σに求めて、これらと製造条件(因子)との対比から、試料を光沢調整して製造することも可能である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
図4を用いて、実施例を説明する。参照試料1、試料5は同一形状の半円筒物体であり、表面にそれぞれ上質紙(無光沢紙)、評価用試料を貼り付ける。参照試料1の上部に試料5を設置する。処理コンピュータ2は市販のパーソナルコンピュータであるが、光沢画像生成のための演算を高速で処理するため、グラフィックス描画に特化したハードウェアであるGraphic Processing Unit(GPU)を利用する。投影装置3は高コントラストな画像再現が可能なDLP型プロジェクタU4−232H(Plus社)を用いる。また、評価用試料の設置面と投影装置3のレンズ面が平行、投影装置3の高さが参照試料1と試料5の中間点になるよう調整する。投影装置3と観察者の視点4は参照試料1、試料5に対し、各々20度の鏡面反射の位置関係になるよう調整する。また、光沢画像を生成するために、モデリングは3GCDソフトウェアであるMetasequoiaを用い、レンダリングはCGライブラリであるMicrosoft DirectX内で処理する。このとき、鏡面反射輝度の算出にはTorrance−Sparrowモデルを用いる。また、拡散反射輝度の算出はLambertモデルで上記数4のcosθを1とし、単に陰影なしの拡散反射色のみ表現した。生成した光沢画像は投影装置3から参照試料1に投影する。また、試料5には照明光としてRGB=(100、100、100)の輝度画像を投影する。また、評価は投影装置3以外の光源の影響を最小限にするために暗室で実施する。以上の観察条件、装置に基づき、本発明による光沢感評価を実施した。
(測定実施例)
主観的な光沢感の異なる代表的な試料の評価結果を以下に示す。また、従来技術の評価方法による結果を合わせ示し、本発明の効果を示す。
試料5として(a)写真用インクジェット用紙、(b)グロス(高光沢)タイプの印刷用コート紙1、(c)グロス(高光沢)タイプの印刷用コート紙2、(d)マット(低光沢)タイプの印刷用コート紙、(e)上質紙(無光沢紙)の5種類の試料の評価結果を示す。
試料(a)はポリエチレンを紙にラミネートしたRC紙をベースとしたインクジェット用紙であり、写真印画紙とほぼ同じ光沢を持つ紙である。以下、RCグロスIJ紙と表記し、(a)で識別し、評価結果を表1に示す。
試料(b)は、印刷用コート紙でグロス(高光沢)タイプである。これは顔料を塗布し光沢を上げるためにカレンダ処理した印刷用紙である。ポスターや女性月刊誌の写真ページに使用される光沢の高い紙である。以下、グロスコート紙1と表記し、(b)で識別し、評価結果を表1に示す。
試料(c)は印刷用コート紙でグロス(高光沢)タイプであり、JISによる鏡面光沢度と像鮮明度が(b)と同程度であるが、主観的な光沢感が異なる印刷用コート紙である。以下、グロスコート紙2と表記し、(c)で識別し、評価結果を表1に示す。
試料(d)は、印刷用コート紙でマット(低光沢)タイプである。これは顔料を塗布しているが、光沢があまりでないように処理した印刷用紙である。文字の多いページや光沢の少ない写真ページに使用される光沢の低い紙である。以下、マットコート紙と表記し、(d)で識別し、評価結果を表1に示す。
試料(e)は、上質紙であり、印刷用紙の代表品種で汎用性に富み、書籍、教科書、ポスター、商業印刷、一般印刷などに使用される。本評価装置では無光沢紙として用いる。また、試料(e)は参照試料1と同一試料である。従って、試料(e)を評価する際、同一の上質紙を上下に設置して、評価することになる。以下、(e)で識別し、評価結果を表1に示す。
本発明の光沢感評価装置及び光沢感評価方法に基づき、製作した評価装置で(a)〜(e)の光沢を評価し、各試料の光沢感を画像として取得し、さらに光沢感評価値として、K、K、σに分離して、取得した。また、観察者は7名、評価は各試料2回、(a)〜(e)の評価順はランダムに行い、K、K、σは中央値5名の平均値を使用した。
また、上記の試料(a)〜(e)に対して、主観評価実験を行い、主観的な光沢感を尺度法により数値化した。観察者は7名(中央値5名の平均値を使用)、RCグロスIJ紙を最大値として100、上質紙を5として、数値化した。
(評価比較例1)
JIS P8142に則り、上記の試料(a)〜(e)の光沢度を測定した。光沢度計は、株式会社村上色彩技術研究所製GM−26PROを使用した。
(評価比較例2)
JIS K7374に則り、上記の試料(a)〜(e)の像鮮明度を測定した。測定機は、スガ試験器株式会社製写像性測定器ICM−1DPを使用した。光学クシ幅は2mmで測定した。
(評価値一覧)
以上の評価結果をまとめて示す。
上記の試料(a)〜(e)間での主観的な光沢感は明らかに異なり、その大小関係は多数の人間に於いても変わることはなかった。主観的な光沢感の高い順に、RCグロスIJ紙、グロスコート紙1、グロスコート紙2、マットコート紙、上質紙である。
本発明の光沢感評価装置及び光沢感評価方法により、上記の試料(a)〜(e)の光沢について、主観的な光沢感と同等であると認識する光沢感評価画像を取得した。そして、その光沢感評価画像の情報に基づいて、主観的な光沢感を光沢感評価値として、K、K、σに分離して、取得した。上記のようにK、K、σはそれぞれ、拡散反射、鏡面反射、表面粗さ成分を表す。この結果、主観的な光沢感の高い試料は、Kが高く、σが低い傾向にあることがわかる。(a)〜(e)の間で、これらの数値の逆転は見られない。また、表1の上質紙のσの値は、Kが0で、σによる鏡面反射の拡がりがないため、1.00とした。また、グロスコート紙1とグロスコート紙2は主観的な光沢感に差異を感じるが、従来の測定方法である光沢度、像鮮明度では、同程度の数値であり、うまく説明できない。しかしながら、本発明によれば、グロスコート紙1の方がグロスコート紙2より、σの値が小さいことがわかり、主観的な光沢感の差異を数値で表現することができた。また、RCグロスIJ紙は他の試料に比べ、Kが高い。尚、これらは一例であり、本発明によれば、複数の試料の光沢を比較して、評価する場合に於いて、主観的な光沢感と相関の高い評価が可能であり、主観的な光沢感の差異を該光沢感評価値で比較して、評価することが可能である。
従来技術による測定値は、光沢度では、RCグロスIJ紙とグロスコート紙1及びグロスコート紙2の間で主観的な光沢感と数値的に逆転している。像鮮明度では、マットコート紙及び上質紙とグロスコート紙1及びグロスコート紙2の間で主観的な光沢感と数値的に逆転している。また、グロスコート紙1とグロスコート紙2を比較しても、主観的な光沢感に差異を感じるにもかかわらず、光沢度、像鮮明度の値は同程度である。このように、これら従来技術による光沢度や像鮮明度では、主観的な光沢感の差異をうまく評価できないケースがあることが知られている。
本発明の光沢感評価装置及び光沢感評価方法によれば、反射モデルにより算出された拡散反射輝度と鏡面反射輝度を含む画像を試料に投影することで、試料の表面に光沢を再現することが可能である。また、試料の光沢について、主観的な光沢感と相関の高い評価を実施することが可能であり、主観的な光沢感を画像として取得し、さらに光沢感評価値として、拡散反射、鏡面反射、表面粗さの成分に分離して取得することが可能である。これにより、複数の試料の光沢を比較して、評価する場合に於いて、主観的な光沢感の差異を該光沢感評価値で評価することが可能である。また、主観的な光沢感の差異に対して、その原因を拡散反射輝度か鏡面反射輝度の何れかに係る因子、例えば、拡散反射、鏡面反射、表面粗さの成分に求めて、これらと製造条件(因子)との対比から、試料を光沢調整して製造することも可能である。
1 参照試料
2 処理コンピュータ
3 投影装置
4 観察者の視点
5 試料
6、7 実験者

Claims (7)

  1. 光沢画像として、反射モデルにより算出された拡散反射輝度と鏡面反射輝度を含む画像を生成する手段と、該画像を投影装置に入力して、参照試料に投影する手段とを有する光沢感評価装置。
  2. 上記参照試料が、上記試料と同時比較し得る位置に設置されている請求項1記載の光沢感評価装置。
  3. 上記参照試料と上記試料が着脱可能に設置されている請求項2記載の光沢感評価装置。
  4. 光沢画像として、反射モデルにより算出された拡散反射輝度と鏡面反射輝度を含む画像を生成し、該画像を投影装置に入力して、参照試料に投影することを特徴とする光沢感評価方法。
  5. 上記試料の光沢と投影により付与される上記参照試料の光沢とを比較し、少なくとも拡散反射輝度か鏡面反射輝度の一方を変更することを特徴とする請求項4記載の光沢感評価方法。
  6. 光沢感評価画像として、上記試料の光沢と投影により付与される上記参照試料の光沢とが同等であると認識する画像を取得し、該試料の光沢感を光沢感評価値として、該光沢感評価画像を構成する成分に分離して取得することを特徴とする請求項5記載の光沢感評価方法。
  7. 上記光沢感評価画像を構成する成分が、拡散反射、鏡面反射、表面粗さのうちの少なくとも1つである請求項6記載の光沢感評価方法。
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