JP5202590B2 - ルータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、第1のネットワークから、該第1のネットワークとは異なるネットワークに通信パケットを転送するルータ装置に関する。
近年、ネットワーク技術の発展により、モバイルコンピューティングが普及しており、ルータ装置についても、手軽に持ち運べるコンパクトな製品が開発されている。かかるルータ装置では、例えば、二次電池を電源として利用するタイプのものを考えることができる。
しかしながら、かかる二次電池を利用するルータ装置においては、二次電池の利用に起因する課題が生じていた。例えば、一定基準以下に電池電圧が降下した場合、二次電池の出力電圧がルータ装置の動作電圧の前後で振れるような状況下では、短時間の間に動作電圧を上回ったり、下回ったりすることで、電源ON/OFFを繰り返す状況が発生する可能性があった。あるいは、ルータ装置が備える記憶装置にファームウェアを書き込むような場合、書込み途中で電池電圧が低下して電源がOFFとなると、ファームウェアを修復できずに当該装置を使用できない状態が発生する可能性があった。
特開2008−288800号公報
上述の問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、電池電源を利用するルータ装置において、電池電圧の低下による不具合を抑制することである。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]第1のネットワークから、該第1のネットワークとは異なるネットワークに通信パケットを転送するルータ装置であって、
前記ルータ装置が動作するための電源となる電池を接続して、該接続した電池から前記ルータ装置への電源の供給を受ける電池接続部と、
前記電池の出力電圧を検出する検出部と、
前記検出した出力電圧の大きさの状態を表示する表示部と、
前記検出した出力電圧が第1の閾値よりも小さくなった場合に、前記電池からの電源供給を以後停止させる電源停止部と
を備えたルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、電池の出力電圧を検知し、その大きさの状態を表示するので、ユーザは、電池の出力状態を把握して、電池残量に応じた操作を行うことができる。つまり、動作途中の電圧低下によって不具合が生じる可能性のある操作を避けることができる。また、かかるルータ装置は、電池の出力電圧が第1の閾値よりも小さくなると、電源供給を以後停止させるので、電池の残量が僅かであるときに、設定情報やファームウェアの書き換えなどを開始して、当該動作の途中でルータ装置の電源が切れることを抑制することができる。また、一度、電源供給が停止されると、以後、電源供給は停止されたままとなるので、電池の出力電圧がルータ装置の駆動電圧の前後を推移するような場合であっても、ルータ装置の電源のON/OFFが頻繁に切り替わることがない。
[適用例2]更に、前記検出した出力電圧が第2の閾値以上である場合にのみ、前記ルータ装置が備える記憶媒体への該ルータ装置に関する設定情報の書き込みを許可する設定情報書込許可部を備えた適用例1記載のルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、電池の出力電圧が第2の閾値以上である場合にのみ、設定情報の書き込みを行えるので、電池の残量が僅かである状態で設定情報の書込みを開始し、書込み途中でルータ装置の電源が切れることを抑制することができる。
[適用例3]更に、ACアダプタへ接続し、該接続したACアダプタから電源の供給を受ける接続手段を備えた適用例1または適用例2記載のルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、ACアダプタから電源供給を受けることもできるので、電池の残量が僅かとなっても、ルータ装置を確実に動作させることができる。
[適用例4]適用例3記載のルータ装置であって、更に、前記ACアダプタから前記ルータ装置に電源が供給されている場合にのみ、前記ルータ装置が備える記憶媒体へのファームウェアの書き込みを許可するファームウェア書込許可部を備えたルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、ACアダプタからの電源供給を受けている場合にのみ、ファームウェアの書き込みを行えるので、比較的長時間を要するファームウェアの書込み動作においても、書込み途中でルータ装置の電源が切れて不具合が生じることを確実に回避することができる。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか記載のルータ装置であって、前記電源停止部は、ソフトウェアを用いて、前記電源供給の停止を実現させ、更に、前記検出した出力電圧が第3の閾値よりも小さくなった場合に、ハードウェアを用いて、前記電池からの電源供給を以後停止させる電源停止回路を備えたルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、電池の出力が第3の閾値よりも低下すると、ハードウェアを用いて電源供給を以後停止させることができるので、ソフトウェアが暴走したような場合でも、確実に電源供給を停止させることができる。
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれか記載のルータ装置であって、前記電源停止部が前記電源供給を停止させた場合には、ユーザが前記ルータ装置に対して所定の手動動作を行うことでのみ、前記電源供給が復帰するルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、ユーザが手動操作を行わなければ、電源復帰しないので、二次電池の出力電圧が第1の閾値の前後で振れる場合であっても、電源ON/OFFを繰り返すことがない。
[適用例7]前記表示部は、発光装置を前記出力電圧の大きさに応じた色で発光させて前記表示を行う適用例1ないし適用例6のいずれか記載のルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、色分け表示で出力電源の大きさを表示するので、簡単な構成で分かりやすい表示を行うことができる。
[適用例8]更に、前記検出部により検出する出力電圧のキャリブレーションを行うキャリブレーション部を備えた適用例1ないし適用例7のいずれか記載のルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、出力電圧のキャリブレーションを行えるので、電圧の検出精度を向上させて、精度良く上述の電源供給制御を行うことができる。
[適用例9]第1のネットワークから、該第1のネットワークとは異なるネットワークに通信パケットを転送するルータ装置であって、通常用ファームウェアと、予備用ファームウェアとを記憶した記憶部と、前記通常用ファームウェアまたは前記予備用ファームウェアを起動させる起動部と、前記起動部が前記通常用ファームウェアを起動可能か判断する判断部とを備え、前記起動部は、前記通常用ファームウェアが起動可能な場合には、該通常用ファームウェアを起動させ、前記通常用ファームウェアが起動できない場合には前記予備用ファームウェアを起動させるルータ装置。
かかる構成のルータ装置は、通常用ファームウェアと予備用ファームウェアとを記憶しているので、通常用ファームウェアの書き換え途中でルータ装置の動作が異常終了するなどして、通常用ファームウェアに不具合が生じても、予備用ファームウェアを起動させて、ルータ装置を正常に動作させることができる。
ルータ装置20の概略構成示す説明図である。 ルータ装置20の電源としての二次電池の放電容量と電池電圧との関係の具体例を示す説明図である。 ルータ装置20における動作制限処理の流れを示すフローチャートである。 ルータ装置20におけるファームウェア起動処理の流れを示すフローチャートである。 ルータ装置20におけるファームウェア書き換え処理の流れを示すフローチャートである。
A.実施例:
本発明の実施例について説明する。
A−1.装置構成:
本発明の実施例としてのルータ装置20の概略構成を図1に示す。ルータ装置20は、第1のネットワークから、それとは異なる第2のネットワークに通信パケットを転送するルータ装置である。ルータ装置20は、CPU30、フラッシュROM40、RAM48、電源制御回路50、電源・残量LED61、LAN側インタフェース71、WAN側インタフェース72を備えており、それぞれが内部バスで接続されている。
CPU30は、フラッシュROM40に記憶されたファームウェアやプログラムをRAM48に展開して実行することで、ルータ装置20の動作全体を制御する。また、CPU30は、表示部31、電源停止部32、設定情報書込許可部33、ファームウェア書込許可部34、キャリブレーション部35、起動部36、判断部37としても機能する。これらの機能の詳細については、後述する。
フラッシュROM40は、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であり、ブートローダ41、第1ファームウェア43、第2ファームウェア44が記憶されている。ブートローダ41は、ルータ装置20の電源ON時に最初に読み込まれ実行されるプログラムであり、第1ファームウェア43または第2ファームウェア44を起動させる。第1ファームウェア43は、通常時に用いられる、ルータ装置20の各種ハードウェアを制御するためのプログラムである。第2ファームウェア44は、第1ファームウェア43が正常に起動できないときに、第1ファームウェア43に代えて用いられる予備用のプログラムである。第2ファームウェア44は、第1ファームウェア43の書き換え動作を可能とする最小限のプログラムであり、通信パケットの転送動作など、ルータ装置20の動作全般を行うものではない。
電源制御回路50は、ルータ装置20への電源供給を制御するための回路であり、電源インタフェース51、フューズ52、電池ボックス53、スイッチ54、イネーブル回路55、コンバータ回路56、電源検出回路57、電池電圧検出用アナログ−デジタル変換回路(ADC)58を備えている。
電源インタフェース51は、商用電源より交流電力を入力し、直流電力を出力するAC−DCアダプタを接続して、直流電源の供給を受けるためのインタフェースであり、本実施例では、5Vの直流電源の供給を受ける。電池ボックス53は、二次電池を収納して、当該二次電池から電源の供給を受ける。本実施例においては、電池ボックス53に収納する二次電池として、定格1.2Vのニッケル・水素蓄電池4本(合計4.8V)を用いた。要するに、本実施例では、ルータ装置20は、電源として二次電池を用いることもできるし、商用電源を用いることもできるのである。なお、本実施例では、かかる二次電池として、三洋電機製のエネループ(登録商標)を採用した。
スイッチ54は、ユーザが手動で、ルータ装置20の電源のON/OFFを切り替えるスライドスイッチである。イネーブル回路55は、電源インタフェース51または電池ボックス53からフューズ52及びスイッチ54を介して供給される電源のCPU30への供給状態を制御する回路であり、電源IC、ラッチ、電界効果トランジスタを備えている。イネーブル回路55は、CPU30から所定の信号を受けると、ラッチを叩き、ラッチ出力に基づいて電源ICが電界効果トランジスタをOFFにして、コンバータ回路56への電源供給を停止する。また、イネーブル回路55は、入力電圧の検知回路を備えており、検知した電圧が閾値よりも小さくなった場合には、所定の信号をラッチに出力し、同様に、電源供給を停止する回路構成となっている。コンバータ回路56は、DC/DCコンバータであり、本実施例では、入力される電圧を、ルータ装置20の駆動電圧である3.3Vに変換してCPU30に出力する。
電源検出回路57は、電源インタフェース51を介した電源の供給の有無を検出し、その結果をCPU30に出力する回路である。電池電圧検出用ADC58は、電池ボックス53に収納された二次電池のアナログ出力電圧をデジタル変換してCPU30に出力する回路である。本実施例では、電池電圧検出用ADC58は、8ビット分解能を有している。また、ユーザ操作によりキャリブレーションモードを立ち上げると、CPU30は、キャリブレーション部35の処理として、電池電圧検出用ADC58の検出電圧のキャリブレーションを行うことが可能である。具体的には、例えば、電池電圧検出用ADC58は、CPU30からの信号に基づいて、電池電圧検出用ADC58が備える基準電圧発生回路から与えられる既知の入力電圧に対する検出電圧を検出して、オフセットとゲインの補正値を算出し、電池電圧検出用ADC58が備える記憶媒体に記憶する。そして、以降、電池電圧検出用ADC58は、記憶された補正値を基に、検出値を補正して出力する。なお、かかるキャリブレーションは、工場出荷時に行ってもよい。また、電池電圧検出用ADC58は、CPU30に含まれる構成としてもよい。
電源・残量LED61は、電池電圧検出用ADC58で検出した電圧に基づいて、二次電池の出力電圧の大きさを表示するLEDであり、本実施例では、緑色、オレンジ、赤色の3色での点灯が可能である。
LAN側インタフェース71は、ローカルエリアネットワーク(LAN)と接続するためのインタフェースであり、本実施例では、通信規格IEEE802.11b/g対応の無線LANポートである。WAN側インタフェース72は、ワイドエリアネットワーク(WAN)と接続するためのインタフェースであり、本実施例では、PHS通信カード用のスロットである。
A−2.二次電池の特性:
ルータ装置20の電源として用いる本実施例の二次電池の特性について、図2を用いて説明する。図2は、二次電池(定格1.2V)及びマンガン乾電池(定格1.5V)について、放電容量と電池電圧との関係の具体例を示す説明図である。図示する特性は、25℃で500mAの連続放電を行ったものである。マンガン乾電池の電池電圧は、特性曲線CV2に示すように、使用開始直後から放電容量が大きくなるに従って概ね一定の勾配で電池電圧が低下し、放電容量が1000mAhに達する前に1.0Vまで低下する。
一方、二次電池の電池電圧は、特性曲線C1に示すように、使用直後は低下が見られるものの、概ね定格電圧(1.2V)まで低下すると、放電容量が大きくなっても、ほぼ定格電圧のまま推移し、放電容量が2000mAh付近になった時点で、急激に1.0Vまで低下する。このように、二次電池では、一次電池と比べて、電池電圧が一定量使用した時点から出力の低下速度が大きくなるのである。
A−3.動作制限処理:
ルータ装置20の動作制限処理について図3を用いて説明する。ここでの動作制限処理とは、ルータ装置20の電源の状態に応じて、ルータ装置20における種々の動作を制限する処理である。この処理は、ルータ装置20の通常動作であるパケット転送処理と並行して実行される処理である。本実施例においては、動作制限処理は、ユーザが、電源インタフェース51にAC−DCアダプタを接続するか、あるいは、電池ボックス53に二次電池を収納して、スイッチ54をONにすることで、CPU30が所定の初期設定処理を開始し、当該初期設定処理が終了した時点で開始される。
動作制限処理が開始されると、CPU30は、ルータ装置20の電源の種類を判断する(ステップS100)。本実施例では、電源インタフェース51にAC−DCアダプタが接続されると共に、電池ボックス53に二次電池が収納された場合には、AC−DCアダプタの電源を優先する構成としており、電源検出回路57でAC−DCアダプタからの電源供給が検知された場合には、ルータ装置20の電源はAC−DCアダプタであると判断し、AC−DCアダプタからの電源供給が検知されない場合には、ルータ装置20の電源は電池電源であると判断する。
その結果、ルータ装置20の電源がAC−DCアダプタであれば、CPU30は、ファームウェア書込許可部34の処理として、フラッシュROM40へのファームウェアの書込み処理と設定情報の書込み処理とを許可し(ステップS120)、処理を終了する。設定情報とは、ルータ装置20の動作に関する種々の設定情報であり、例えば、IPアドレス、SSID、フィルタリング設定などである。かかる許可状態となることによって、ユーザは、例えば、LAN側インタフェース71を介してルータ装置20に接続されたパーソナルコンピュータから、WEBブラウザを用いて、フラッシュROM40に記憶された第1ファームウェア43を書き換えて更新することが可能となる。また、ユーザは、例えば、上述のWEBブラウザを用いて、フラッシュROM40に記憶された設定情報を更新することが可能となる。
一方、ルータ装置20の電源が電池電源であれば、CPU30は、ファームウェア書込許可部34の処理として、フラッシュROM40へのファームウェアの書込み処理を禁止する(ステップS110)。このように、電池電源での動作において書き込み処理を禁止するのは、ファームウェアの書込み動作は、比較的長時間を要する動作であり、ファームウェアの書込み動作中に電池電圧が低下して書き込み動作が途中で停止してしまうと、ファームウェアの修復ができずに、以後、ルータ装置20を動作できなくなる恐れがあるからである。
ファームウェアの書込みを禁止すると、CPU30は、電池電圧検出用ADC58から出力される検出電圧Vが閾値Th2以上であるか否かを判断する(ステップS130)。閾値Th2は、請求項の第2の閾値に該当する。
その結果、検出電圧Vが閾値Th2以上であれば(ステップS130:YES)、CPU30は、設定情報書込許可部33の処理として、フラッシュROM40への設定情報の書込みを許可する(ステップS140)。なお、このように、電池電源であっても、所定以上の電圧が検出されていれば、設定情報の書込みを許可するのは、設定情報の書込みは、ファームウェアの書込みと比べて短時間で実行可能であるため、電池電圧がルータ装置20の駆動電圧以下まで低下する前に、書込み動作を完了できるからである。
一方、検出電圧Vが閾値Th2未満であれば(ステップS130:NO)、CPU30は、設定情報書込許可部33の処理として、設定情報の書込みを禁止する(ステップS150)。このように、所定電圧未満で設定情報の書き込み処理を禁止するのは、設定情報の書込み動作中に電池電圧が低下して書き込み動作が途中で停止してしまうと、設定データが不正データと判断され、設定を初期化して再設定を行うなどの措置が必要となるからである。
なお、本実施例では、閾値Th2は4.5Vで設定したが、このように設定したのは、本実施例の二次電池は、出力電圧が1.12V(4本では4.48V)付近になると、出力電圧の低下速度が大きくなり始めるからである。かかる閾値は、設定情報の書き込みに必要な時間、二次電池の特性(例えば、出力電圧の低下特性や電圧のふらつき特性など)、二次電池の使用本数、閾値とルータ装置20の駆動電圧との差分の大きさなどを考慮して、確実に設定情報の書き込みを完了できる値で適宜設定することが望ましい。
こうして、設定情報の書込みの制限を設定すると、CPU30は、検出電圧Vが閾値Th1(閾値Th2>閾値Th1)以上であるか否かを判断する(ステップS160)。閾値Th1は、請求項の第1の閾値に該当する。
その結果、検出電圧Vが閾値Th1以上であれば(ステップS160:YES)、CPU30は、表示部31の処理として、検出電圧Vの大きさの状態を、検出電圧Vに応じた色で電源・残量LED61を点灯させることで表示し(ステップS180)、処理を終了する。本実施例では、検出電圧が4.8V以上で緑色、4.5V以上4.8V未満でオレンジ、4.2V以上4.5V未満で赤色に電源・残量LED61を点灯させるものとした。なお、検出電圧Vの大きさの状態の表示方法は、適宜設定すればよく、例えば、2色表示や4色表示であってもよいし、複数のLEDのON/OFFで表示してもよいし、液晶パネルなどで検出値や検出値から予測される電池残量を表示してもよい。
一方、検出電圧Vが閾値Th1未満であれば(ステップS160:NO)、CPU30は、電源停止部32の処理として、イネーブル回路55に所定の信号を送出して、コンバータ回路56への電源供給を以後停止させる(ステップS170)。こうして、電源供給が停止されると、動作制限処理は終了となる。かかる動作制限処理は、所定の時間間隔ごとに繰返し実行される。
なお、本実施例では、閾値Th1は4.2Vで設定したが、このように設定したのは、本実施例の二次電池は、出力電圧が1.05V(4本では4.2V)付近になると、出力電圧の低下速度が極めて大きくなるからである。かかる閾値Th1は、閾値Th2と同様に、種々の条件を考慮して、二次電池の出力がルータ装置20の動作電圧を一時的であっても下回ることがない値で適宜設定することが望ましい。
上述のようにステップS170で電源供給が停止されると、ルータ装置20では、以後は、ユーザが手動でスイッチ54を一旦OFFにし、その後、ONにしなければ、電源供給は再開されない。本実施例においては、イネーブル回路55は、当該OFF/ON操作により入力されるスイッチ54のリセット信号を受信することで、ラッチ及び電源ICを介して、電界効果トランジスタをONにして、電源供給を開始できるのである。
なお、電源供給を復帰させるための構成は、上述の例に限らず、例えば、ルータ装置20が電源復帰用のリセットボタンを備え、ユーザが当該ボタンを押し下げることで復帰できる構成としてもよい。要するに、ユーザの手動操作によってのみ、電源復帰できる構成が望ましいのである。かかる構成とすれば、ユーザが手動操作を行わない限り、電源復帰することがないので、二次電池の出力電圧が閾値Th1の前後で振れる場合であっても、電源ON/OFFを繰り返すことがないからである。また、ユーザの意に反してルータ装置20が再起動することがなく、信頼性が高いからである。また、ユーザは、二次電池の交換やルータ装置20へのAC−DCアダプタの接続を行い、スイッチ54のOFF/ON動作を行うだけで、ルータ装置20を起動し直すことができるので、利便性が高い。
また、上述したように、イネーブル回路55は、検知した電圧が閾値よりも小さくなった場合には、ハードウェアを用いて、CPU30への電源の供給を停止する。本実施例では、当該閾値Th3は3.5Vとした。閾値Th3は、請求項の第3の閾値に該当する。なお、閾値Th3は、上述した閾値Th1よりも小さく、ルータ装置20の駆動電圧よりも大きな値で設定すればよい。このような構成とすることで、例えば、ソフトウェアが暴走するなどして、CPU30がルータ装置20の動作を制御できない状態になっても、すなわち、上記ステップS170において電源供給を停止できない状態であっても、検出電圧Vの低下に応じて電源供給を以後停止することができる。
A−4.ファームウェア起動処理:
ルータ装置20のファームウェア起動処理について図4を用いて説明する。ここでのファームウェア起動処理とは、ルータ装置20がLAN側及びWAN側とのコネクションを確立した上で行う通信パケットの転送処理や、上述した動作制限処理を行うためのシステム初期化処理の最初の処理として行われる。本実施例においては、ファームウェア起動処理は、ユーザがスイッチ54をONにすることで開始される。
ファームウェア起動処理が開始されると、まず、CPU30は、フラッシュROM40に記憶されたブートローダ41を読み込んで起動する(ステップS200)。そして、ブートローダ41が起動すると、CPU30は、ブートローダ41による判断部37の処理として、フラッシュROM40の所定の領域に確保されたフラグビットを読み込み(ステップS210)、フラグが値「1」であるか否かを判断する(ステップS220)。かかるフラグは、通常用の第1ファームウェア43が起動可能であるか否かを表すものであり、本実施例では、フラグが値「1」であれば、第1ファームウェア43が起動可能な状態であることを示している。かかるフラグビットは、デフォルトでは値「1」に設定されており、後述するファームウェア書き換え処理において書き換えられる可能性がある。フラグビットの書き換え方法については、後述する。
その結果、フラグが値「1」であれば(ステップS220:YES)、第1ファームウェア43が起動可能であることから、CPU30は、ブートローダ41による起動部36の処理として、第1ファームウェア43を読み込んで起動する(ステップS230)。こうして、第1ファームウェア43が起動すると、ルータ装置20の通信パケット転送処理や上述の動作制限処理が実行可能となる。
一方、フラグが値「0」であれば(ステップS220:NO)、第1ファームウェア43は起動可能な状態にないことから、CPU30は、ブートローダ41による起動部36の処理として、通常用の第1ファームウェア43に代えて、予備用の第2ファームウェア44を読み込んで起動する(ステップS240)。こうして、第2ファームウェア44が起動すると、ルータ装置20は、ルーティング動作は行えないが、第1ファームウェア43の書き換え動作は行える状態となる。したがって、ユーザ操作に基づいて、CPU30が、後述するファームウェア書き換え処理によって第1ファームウェア43の書き換えを正常に行えば、フラグが値「1」に戻り(詳細は後述)、以後、第1ファームウェア43が起動可能な状態となる。
上述のフラグビットの書き換えは、第1ファームウェア43の書き換え処理が行われる際に行われる。以下、フラグビットの書き換え方法について、第1ファームウェア43の書き換え処理として説明する。本実施例においては、第1ファームウェア43の書き換え処理は、ユーザが、LAN側インタフェース71を介してルータ装置20に接続されたパーソナルコンピュータから、WEBブラウザを用いて、ファームウェア書き換え指示操作を行うことで開始される。
第1ファームウェア43の書き換え処理が開始されると、図5に示すように、CPU30は、WEBブラウザを介して与えられる書き換え指示を受け付けて(ステップS300)、第1ファームウェア43の書込みが許可状態であるか否かを判断する(ステップS310)。かかる許可状態は、上述の動作制限処理におけるステップS120で設定される。
その結果、許可状態でなければ(ステップS310:NO)、すなわち、ルータ装置20の電源が電池電源であれば、ファームウェアの書込みを行うことができないので、CPU30は処理を終了する。
一方、許可状態であれば(ステップS310:YES)、すなわち、ルータ装置20の電源がAC−DCアダプタであれば、CPU30は、フラグビットを値「0」に書き換える(ステップS320)。そして、CPU30は、ファームウェアの書き換えを行って(ステップS330)、当該書き換えが正常に終了すると、フラグビットを値「1」に戻し(ステップS340)、処理を終了する。
なお、ファームウェアの書き換え途中で、AC−DCアダプタが電源インタフェース51から外れてしまったり、停電になったりして、ステップS330のファームウェア書き換えが正常に終了しなかった場合には、フラグビットは値「0」のままとなるので、次回のファームウェア起動処理においては、CPU30は第2ファームウェア44を起動させる(ステップS240)こととなる。そして、第2ファームウェア44を起動させると、上述したようにファームウェア書き換え処理を行えるので、ユーザ操作に基づいてCPU30が第1ファームウェア43を正常に書き換えれば、上記ステップS340により、フラグは値「1」に戻ることとなる。
かかる構成のルータ装置20は、電池電圧検出用ADC58を用いて電池ボックス53に収納された二次電池の出力電圧を検出し、検出電圧Vの値に応じた色で電源・残量LED61を点灯させて、検出電圧Vの大きさの状態を表示するので、ユーザは、二次電池の出力状態を把握して、電池残量に応じた操作を行うことができる。例えば、ユーザは、二次電池の残量が少なくなったことを確認した時点で、設定情報の書込み等の動作を避けることができ、その結果、当該動作の途中でルータ装置20の電源が切れることを避けることができる。また、ルータ装置20は、検出電圧Vが閾値Th1よりも小さくなるとイネーブル回路55に所定の信号を送出して、CPU30への電源供給を以後停止させるので、電池の残量が僅かであるときに、設定情報の書き換え動作などを開始して、当該動作の途中でルータ装置20の電源が切れることを抑制することができる。また、一旦、検出電圧Vが閾値Th1よりも小さくなると、以後、電源供給は停止されたままとなるので、電池の出力電圧がルータ装置20の駆動電圧の前後を推移するような場合であっても、ルータ装置の電源のON/OFFが頻繁に切り替わることがない。
また、ルータ装置20は、検出電圧Vが閾値Th2以上である場合にのみ、設定情報の書き込みを行えるので、すなわち、電池残量が僅かである時は、当該書込みを禁止するので、書込み途中でルータ装置20の電源が切れて不具合が生じることを抑制することができる。
また、ルータ装置20は、電源インタフェース51を介して、AC−DCアダプタから電源供給を受けることもできるので、電池の残量が僅かとなっても、ルータ装置を確実に動作させることができるので、商用電源を利用できる環境であれば、ルータ装置20の動作途中でルータ装置20の電源が切れて不具合が生じることを回避することができる。
また、ルータ装置20は、AC−DCアダプタからの電源供給を受けている場合にのみ、ファームウェアの書き込みを行えるので、比較的長時間を要するファームウェアの書込みにおいても、書込み途中でルータ装置20の電源が切れて不具合が生じることを確実に回避することができる。
なお、上述したルータ装置20の作用効果は、実施例に示したように、ルータ装置20の電源として、一定量使用した時点から電池電圧の低下速度が大きくなる特性を有する二次電池を使用する場合には、特に顕著なものとなる。
また、ルータ装置20は、検出電圧Vが閾値Th3よりも低下すると、イネーブル回路55によってハード的に電源供給を以後停止させることができるので、ソフトウェアが暴走したような場合でも、確実に電源供給を停止させることができる。
また、ルータ装置20は、検出電圧Vのキャリブレーションを行えるので、検出電圧Vの検出精度を向上させて、精度良く上述の電源供給制御を行うことができる。
また、ルータ装置20は、ファームウェア書き換え処理において、フラグビットを値「0」にした上で、ファームウェアの書き換えを行い、正常に書き換えが終了すると、フラグビットを値「1」に戻す。また、ルータ装置20は、ファームウェア起動処理において、フラグビットが値「1」の場合には、通常用の第1ファームウェア43を、フラグビットが値「0」の場合には、予備用の第2ファームウェア44を起動させる。そして、第1ファームウェア43の更新中にAC−DCアダプタが外れるなどして、第1ファームウェア43の更新が途中で中断され、第1ファームウェア43を修復できないような場合でも、第2ファームウェア44を起動させて、第1ファームウェア43の書き込みを行い、フラグビットを値「1」に戻すことができるので、次回のファームウェア起動処理では第1ファームウェア43を起動させて、ルータ装置20を正常動作させる状態にすることができる。
また、第2ファームウェア44は、ファームウェアの書き換え処理という最低限の機能を実現するものであるから、第2ファームウェア44が第1ファームウェア43と同等の機能を実現する場合と比べて、有限であるフラッシュROM40の容量を効率的に活用し、あるいは、フラッシュROM40の容量を小さくすることができる。ただし、第2ファームウェア44は、第1ファームウェア43と同等の機能を実現するものであってもよい。これらの構成は、ルータ装置のファームウェアの書き換え処理が正常に完了しなかった場合に、以後、ルータ装置を正常に動作できなくなる恐れがあるという課題を解決することができる。
B.変形例:
B−1.変形例1:
本実施例においては、ルータ装置20の電源として、電池電源と商用電源の両方を利用可能な構成としたが、電池電源のみを用いる構成としてもよい。また、電池電源は、実施例に示したニッケル・水素蓄電池に限らず、リチウムイオン二次電池などの種々の二次電池を用いることができる。もとより、電池電源は二次電池に限らず、種々の一次電池、燃料電池などを用いてもよい。また、商用電源についても、AC−DCアダプタから供給を受ける構成に限らず、例えば、ルータ装置20がUSBインタフェースなどを備え、商用電源の供給を受ける情報処理装置等を介して、バスパワー電源の供給を受ける構成としてもよい。
B−2.変形例2:
上述の実施形態においては、ルータ装置20は、検出電圧Vが所定値未満となった場合には、即座に、各種動作制限を行う構成としたが、動作制限を行うタイミングは、このような構成に限るものではない。例えば、検出電圧Vが所定値未満となった場合に、CPU30が、動作フラグを確認するなどしてルータ装置20の動作状況を取得し、設定情報等の書込み途中であれば、当該動作が終了した後に動作制限を行ってもよい。あるいは、検出電圧Vが所定値未満であることを検知してから所定時間経過後に動作制限を行う構成としてもよい。こうすれば、例えば、書込み動作の最終段階において検出電圧Vが所定値未満になるような場合でも、当該書込み動作を正常に終了してから動作制限を行うことができる。
B−3.変形例3:
上述の実施形態においては、第2ファームウェア44は、フラッシュROM40に格納するものとしたが、書き換え不可能なROMなどに格納してもよい。こうすれば、ユーザが誤って第2ファームウェア44を書き換えることができないので、第2ファームウェア44の予備用ファームウェアとしての機能を確実に確保することができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を脱しない範囲において、種々なる態様で実施できることは勿論である。例えば、上述の実施例や変形例に示した構成の一部のみを適宜組み合わせてもよい。
20…ルータ装置
30…CPU
31…表示部
32…電源停止部
33…設定情報書込許可部
34…ファームウェア書込許可部
35…キャリブレーション部
36…起動部
37…判断部
40…フラッシュROM
41…ブートローダ
43…第1ファームウェア
44…第2ファームウェア
48…RAM
50…電源制御回路
51…電源インタフェース
52…フューズ
53…電池ボックス
54…スイッチ
55…イネーブル回路
56…コンバータ回路
57…電源検出回路
58…電池電圧検出用ADC
61…電源・残量LED
71…LAN側インタフェース
72…WAN側インタフェース

Claims (2)

  1. 第1のネットワークから、該第1のネットワークとは異なるネットワークに通信パケットを転送するルータ装置であって、
    通常用ファームウェアと、予備用ファームウェアとを記憶した記憶部と、
    前記通常用ファームウェアまたは前記予備用ファームウェアを起動させる起動部と、
    前記起動部が前記通常用ファームウェアを起動可能か判断する判断部と、
    前記通常用ファームウェアと前記予備用ファームウェアとの少なくとも一方の書き込み動作の状況を取得する取得部と、
    前記ルータ装置の電源となる電池の出力電圧が閾値よりも小さくなった場合に、前記書き込み動作の期間の経過後に、前記電池からの電源供給を以後停止させる電源停止部とを備え、
    前記起動部は、前記通常用ファームウェアが起動可能な場合には、該通常用ファームウェアを起動させ、前記通常用ファームウェアが起動できない場合には、前記予備用ファームウェアを起動させる
    ルータ装置。
  2. 前記電源停止部が前記電源供給を停止させた場合には、ユーザが前記ルータ装置に対して所定の手動動作を行うことでのみ、前記電源供給が復帰する請求項1記載のルータ装置。
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