以下、本発明に係る発光装置及びその製造方法、該発光装置を備えた電子機器について、実施形態を示して詳しく説明する。ここでは、本発明に係る発光装置を表示装置に適用した場合について説明する。
<第1の実施形態>
(表示装置)
図1は、本発明に係る発光装置を表示装置に適用した場合の表示パネル(発光パネル)の第1の実施形態を示す概略平面図である。図2は、本実施形態に係る表示装置(表示パネル)を示す概略断面図である。ここで、図2(a)は、図1における表示パネルのIIA−IIA線(本明細書においては図1中に示したローマ数字の「2」に対応する記号として便宜的に「II」を用いる)に沿った断面を示す概略断面図であり、図2(b)は、図1における表示パネルのIIB−IIB線に沿った断面を示す概略断面図であり、図2(c)は、図1における表示パネルのIIC−IIC線に沿った断面を示す概略断面図である。なお、図1に示す平面図においては、説明の都合上、表示パネル(基板)の一面側(有機EL素子の形成面側)から見た場合の、各画素に設けられる画素電極と、各画素の形成領域(EL素子形成領域)を画定する隔壁(バンク)との配置関係のみを示し、その上層に設けられる対向電極や保護絶縁膜の表記を省略した。また、図1に示す平面図においては、隔壁の配置及びその構造を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
図1、図2(a)〜(c)に示すように、本実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル(発光パネル)10Aは、ガラス等の絶縁性の基板11の一面側(図1の紙面手前側)に設定された画素アレイ領域Rpxに、発光素子である有機EL素子OELを備えた複数の画素PIXが、行方向(図1の左右方向)及び列方向(図1の上下方向)に配列されている。
また、表示パネル10Aは、図1、図2(a)〜(c)に示すように、基板11の一面側から突出し、略矩形の複数の開口部13aが設けられた格子状の隔壁(バンク)13により、基板11の一面側に配列された各画素PIXの有機EL素子OELの形成領域(以下、「EL素子形成領域」と記す)Relが画定される。ここで、格子状の平面パターンを有する隔壁13は、上記のEL素子形成領域Relを個別の領域として画定する役割に加え、当該隔壁13が形成される境界領域に、有機EL素子OELを発光駆動するための回路素子(薄膜トランジスタ等)や配線層を配置して、表示パネル10Aの開口率を確保するという役割も有している。尚、隔壁13は、有機EL素子OELを発光駆動するための回路素子や配線層を配置して、表示パネル10Aの開口率を確保するための第一隔壁と、EL素子形成領域Relを個別の領域として画定するための第二隔壁と、の二層構造からなるものでもよい。
各画素PIXのEL素子形成領域Relには、図2(a)、(b)に示すように、画素電極(例えばアノード電極)12と、有機EL層14(例えば正孔輸送層14a及び電子輸送性発光層14b;発光機能層)と、対向電極(例えばカソード電極)16と、が積層された有機EL素子OELが設けられている。ここで、有機EL層14(正孔輸送層14a及び電子輸送性発光層14b)は、後述する表示パネルの製造方法において説明するように、ノズルコーティング法により所定のインク(液体)を列方向に配列された各画素PIXのEL素子形成領域Relに連続的に塗布することにより形成される。また、対向電極16は、各画素PIXの有機EL層14を介して各画素電極12に共通して対向するように、単一の平面電極(べた電極)により形成されている。
そして、本実施形態に係る表示パネル10Aにおいては、図1、図2(a)、(c)に示すように、列方向に配列された画素PIX間の境界領域に形成された隔壁13上に、各々独立した液体制御部15が設けられている。液体制御部15は、境界領域となる隔壁13上の略中央に配置され、かつ、液体制御部15間のピッチが等間隔になるように設けられている。また、液体制御部15の幅は、隔壁13の開口部13aから露出する画素電極12の幅寸法(厳密には、後述する表示装置の製造方法において、列方向に連続的に塗布されるインクの幅)よりも小さくなるように設けられている。また、液体制御部15の平面形状は、図1に示したような正方形に限定されるものではなく、長方形や菱形、円形等であってもよい。また、隔壁13上面からの突出形状(断面形状)についても、図2(a)、(c)に示したような正方形の他、長方形や台形、三角形等であってもよいし、針状に細く突出しているものであってもよい。ここで、液体制御部15は、上述した隔壁13と同じ材質、例えば感光性の樹脂材料等により形成される。
なお、図2(a)〜(c)において、17は保護絶縁膜又は封止樹脂層である。また、表示パネル10Aは、保護絶縁膜(又は封止樹脂層)17上に、封止基板(図示を省略)がさらに設けられているものであってもよい。また、本実施形態においては、便宜的に、基板11上に有機EL素子OELの画素電極12が直接形成された素子構造を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明に係る表示パネル(発光パネル)10Aは、基板11上に絶縁膜を介して画素電極12が形成された素子構造を有するものであってもよい(後述する第2実施形態参照)。
また、表示パネル(発光パネル)10Aは、アクティブマトリクス駆動型であってもよいし、単純マトリクス(パッシブマトリクス)駆動型であってもよい。表示パネル10Aがアクティブマトリクス駆動型の場合には、例えば、基板11上に有機EL素子OELを発光駆動するための回路素子(薄膜トランジスタやキャパシタ等)や配線層が形成され、これらを被覆する層間絶縁膜や平坦化膜上に、画素電極12が形成された素子構造を有するものであってもよい。
さらに、表示パネル10Aに設けられる有機EL素子OELは、ボトムエミッション型の発光構造を有するものであってもよいし、トップエミッション型の発光構造を有するものであってもよい。有機EL素子OELがボトムエミッション型の発光構造を有する場合、有機EL層14で発光した光は、画素電極12及び基板11を介して、基板11の他面側(図2の下方)に出射される。また、有機EL素子OELがトップエミッション型の発光構造を有する場合、有機EL層14で発光した光は、対向電極16及び保護絶縁膜(又は封止樹脂層)17を介して、基板11の一面側(図2の上方)に出射される。
(表示装置の製造方法)
次に、本実施形態に係る表示装置(表示パネル)の製造方法について説明する。ここでは、表示パネル10Aに形成される有機EL素子OELがボトムエミッション型の発光構造を有する場合について説明する。
図3〜図5は、本実施形態に係る表示装置(表示パネル)の製造方法の一例を示す工程断面図である。ここで、図3は、図1に示した表示パネル10AのIIA−IIA線に沿った断面における工程断面図である。図4は、図1に示した表示パネル10AのIIB−IIB線に沿った断面における工程断面図である。図5は、図1に示した表示パネル10AのIIC−IIC線に沿った断面における工程断面図である。
図6は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法(有機EL層の成膜工程)の具体例を示す基板平面図である。なお、図6においては、便宜的に、特定の列の画素に対応する領域に対してのみ、有機溶液を塗布する場合について示す。また、図6に示す平面図においては、隔壁と液体制御部の配置関係、並びに、有機溶液の塗布状態(塗布領域)を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
本実施形態に係る表示パネル(発光パネル)10Aの製造方法、まず、図3(a)、図4(a)、図5(a)に示すように、ガラス基板等からなる絶縁性の基板11の一面側(図面上面側)であって、各画素PIXの有機EL素子OELの形成領域(EL素子形成領域)Relに、画素電極(例えばアノード電極)12を形成する。ここで、画素電極12は、例えば錫ドープ酸化インジウム(Indium Thin Oxide;ITO)や亜鉛ドープ酸化インジウム等の透明電極材料を用いて形成される。
次いで、隣接して配列される画素PIX(EL素子形成領域Rel)との境界領域に、隔壁(バンク)13を形成する。具体的には、隔壁13は、基板11上に例えば感光性の樹脂材料等からなる樹脂層を形成した後、露光、現像処理を施すことにより形成される。ここで、隔壁13は、図3(a)、図4(a)、図5(a)に示すように、基板11の表面から連続的に突出した断面形状を有している。また、隔壁13は、図1に示したように、各画素PIXの画素電極12の上面が露出するように、複数の開口部13aが格子状に配列された平面形状を有している。なお、隔壁13の高さは、後述する有機溶液の塗布工程において、塗布される有機溶液の量や特性、隔壁13表面の撥液性の度合い等に基づいて設定されるが、例えば1〜5μm程度の高さに設定される。尚、隔壁13は、有機EL素子OELを発光駆動するための回路素子や配線層を配置して、表示パネル10Aの開口率を確保するための第一隔壁と、EL素子形成領域Relを個別の領域として画定するための第二隔壁と、の二層構造であってもよい。この場合、まず、回路素子や配線層を覆うように、第一隔壁を成膜する。なお、第一隔壁は、プラズマCVDによって窒化シリコン等を成膜したものである。この第一隔壁をフォトリソグラフィーでパターニングすることで画素電極12の上面が露出するように、複数の開口部13aを形成する。次いで、ポリイミド等の感光性樹脂を堆積後、露光してEL素子形成領域Relを個別の領域として画定するための第二隔壁を形成する。
次いで、上記隔壁13のうち、表示パネル10Aの列方向に配列される画素PIX(EL素子形成領域Rel)間の境界領域の隔壁13上に、各々独立した液体制御部15を形成する。具体的には、液体制御部15は、隔壁13と同様に、基板11上に例えば感光性の樹脂材料等からなる樹脂層を形成した後、露光、現像処理を施すことにより形成される。なお、液体制御部15は、隔壁13に密着して形成することができ、かつ、後述する撥液化処理において、隔壁と同様に表面が撥液化する材質であれば、他の材料を適用するものであってもよい。また、液体制御部15の高さは、後述する有機溶液の塗布工程において、塗布される有機溶液の量や特性、液体制御部15表面の撥液性の度合い等に基づいて適宜設定されるが、例えば1〜5μm程度の高さに設定される。
次いで、上記画素電極12、隔壁13及び液体制御部15が形成された基板11を、純水やアルコールにより洗浄した後、例えば酸素プラズマ処理やUVオゾン処理等を施すことにより、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極12の表面を親液化処理する。これにより、画素電極12の表面が、少なくとも後述する有機EL層14(例えば正孔輸送層14a及び電子輸送性発光層14b)を形成する際に塗布される有機溶液(インク)14xに対して親液化する。
次いで、基板11を例えば四フッ化炭素CF4等のフッ化ガスによるプラズマ処理を行うことにより、隔壁13及び液体制御部15の表面が撥水、撥油性を示し、塗布される有機溶液14xに対して撥液化する。尚、隔壁13が、第一隔壁と第二隔壁をもつ二層構造である場合、上層である第二隔壁のみを撥液化しても良い。隔壁13及び液体制御部15を感光性ポリイミドで形成した場合、四フッ化炭素CF4によるプラズマ処理を行うことにより、ポリイミド表面の接触角は、有機溶液の溶剤として用いる水の場合で100°程度、キシレンで50°程度の数値を示し、隔壁13及び液体制御部15は良好に撥液化される。ここで、フッ化ガスによるプラズマ処理を用いた撥液化処理においては、酸化膜や窒化膜とは反応しないので、EL素子形成領域Rel内に露出する、ITO等の金属酸化物からなる画素電極12の表面は撥液化しない。したがって、画素電極12の表面は、上述した親液化処理(酸素プラズマ処理やUVオゾン処理)により付与された親液性を保持する。
なお、本実施形態において使用する「撥液性」とは、後述する正孔輸送層14aとなる正孔輸送材料を含む有機溶液14xや、電子輸送性発光層14bとなる電子輸送性発光材料を含む有機溶液、もしくは、これらの溶液に用いる有機溶媒を基板11上等に滴下して、接触角の測定を行った場合に、当該接触角が50°以上になる状態と規定する。また、「撥液性」に対する「親液性」とは、本実施形態においては、上記接触角が40°以下になる状態と規定する。
次いで、基板11に配列される複数の画素PIXのEL素子形成領域Relに対してノズルコーティング法を用いて有機溶液を塗布して有機EL層14(正孔輸送層14a及び電子輸送性発光層14b)を成膜する。具体的には、図3(c)、図4(c)、図5(c)、図6(a)に示すように、ノズルコート成膜装置(図示を省略)のノズルヘッド101を基板11の列方向(図3(c)の左右方向、図6(a)の上下方向;矢印Xm方向)に走査させつつ、該ノズルヘッド101から正孔輸送材料を含む有機溶液(インク)14xを連続的に吐出して基板11に塗布する。ここで、有機溶液14xとしては、例えばポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸水溶液(PEDOT/PSS;導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェンPEDOTと、ドーパントであるポリスチレンスルホン酸PSSを水系溶媒に分散させた分散液)を用いることができる。これにより、図6(a)に示すように、基板11の列方向に配列された複数の画素PIXの各EL素子形成領域Relを含む帯状の領域に、正孔輸送材料を含む有機溶液14xが塗布される。
このような特定の列の画素PIX(EL素子形成領域Rel)に対して有機溶液14xを塗布する処理を、全ての列について繰り返すことにより、基板11上の全ての画素PIXのEL素子形成領域Relに有機溶液14xが塗布される。
次いで、全ての画素PIXのEL素子形成領域Relに有機溶液14xが塗布された基板11を、図示を省略した乾燥処理室内で例えば100℃以上の温度条件で加熱処理する。これにより、有機溶液14xの溶媒を気化させて、図3(c)、図4(c)、図6(b)に示すように、隔壁13に形成された各開口部13aに露出する各画素PIXの画素電極12上に有機高分子系の正孔輸送材料を定着させて、正孔輸送層14aを形成する。
次いで、上述した正孔輸送層14aの成膜工程と同様に、ノズルコート成膜装置のノズルヘッド101を基板11の列方向に走査させつつ、該ノズルヘッド101から電子輸送性発光材料を含む有機溶液(インク)を連続的に吐出して基板11に塗布する。ここで、有機溶液としては、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)又は緑(G)又は青(B)色の発光材料を、適宜水系溶媒或いはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解または分散した0.1wt%〜5wt%の溶液を用いることができる。これにより、基板11の列方向に配列された複数の画素PIXの各EL素子形成領域Relを含む帯状の領域に、電子輸送性発光材料を含む有機溶液が塗布される。
そして、全ての列の画素PIXのEL素子形成領域Relに当該有機溶液が塗布された基板11を加熱処理して、有機溶液の溶媒を気化させることにより、図3(d)、図4(d)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Rel(画素電極12上)に形成された正孔輸送層14a上に、電子輸送性発光層14bを形成する。これにより、各画素PIXの画素電極12上に、正孔輸送層14a及び電子輸送性発光層14bからなる有機EL層14が形成される。
ここで、本実施形態に係る有機EL層14の成膜方法(すなわち、上述した有機溶液14xを塗布した後、加熱乾燥して有機EL層14を成膜する一連の処理工程)と、基板11の隔壁13上に設けられた液体制御部15との関係について、さらに詳しく説明する。
図7〜図9は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法(有機EL層の成膜工程)の要部具体例を示す工程断面図である。ここで、図7は、図6(a)に示す基板11のVIID−VIID線(本明細書においては図6(a)中に示したローマ数字の「7」に対応する記号として便宜的に「VII」を用いる)に沿った断面における工程断面図である。図8は、図6(a)に示す基板11のVIIIE−VIIIE線(本明細書においてはローマ数字の「8」に対応する記号として便宜的に「VIII」を用いる)に沿った断面における工程断面図である。図9は、図6(a)に示す基板11のIXF−IXF線(本明細書においてはローマ数字の「9」に対応する記号として便宜的に「IX」を用いる)に沿った断面における工程断面図である。
本実施形態に係る有機EL層14の成膜工程においては、図3(b)、図6(a)に示したように、基板11上に配列される各画素PIXのEL素子形成領域Relに沿って、ノズルヘッド101を列方向(図面上下方向;図中矢印Xm)に走査しつつ、有機溶液14xを連続的に吐出する。これにより、各画素PIXのEL素子形成領域Rel、及び、列方向の画素PIX相互の境界領域に設けられた隔壁13上に有機溶液14xが連続的に塗布される。
ここで、上述したように、各画素PIXのEL素子形成領域Relに露出する画素電極12の表面は親液性を有するのに対して、隔壁13及び液体制御部15の表面は撥液性を有している。そのため、ノズルヘッド101から吐出された有機溶液14xは、親液性を有する各画素電極12上では馴染んで拡がる。一方、撥液性を有する隔壁13及び液体制御部15に接する部分でははじかれる挙動を示す。これにより、有機溶液14xの塗布直後においては、図7(a)、図8(a)、図9(a)に示すように、列方向のEL素子形成領域Rel間の隔壁13及び液体制御部15上にも有機溶液14xがつながって連続的に滞留する。
その後、図7(b)、図8(b)、図9(b)に示すように、境界領域の隔壁13の略中央から突出し、撥液性を有する液体制御部15を境界として、有機溶液14xの表面張力が略均等に分断されることにより、隔壁13上に滞留していた有機溶液14xが列方向(図7の左右方向)に隣接する各EL素子形成領域Relに略均等に二分されて流れ込む。ここで、列方向の各隔壁13上に設けられる液体制御部15が均等なピッチ(間隔)で配置されていることにより、隣接する各EL素子形成領域Relに流れ込む有機溶液14xの量が略均一化されるので、図7(c)、図8(c)、図9(c)に示すように、最終的に各画素PIXのEL素子形成領域Rel間の隔壁13上から有機溶液14xが退くとともに、各EL素子形成領域Rel内に滞留する有機溶液14xの量が略均一になる。
このような状態で、基板11を減圧下にて加熱処理して、有機溶液14xを乾燥させ、有機溶液14xの溶媒を気化させることにより、図6(b)、図7(d)、図8(d)、図9(d)に示すように、隔壁13により囲まれた各EL素子形成領域Rel内にのみ、正孔輸送材料又は電子輸送性発光材料が薄膜状に定着し、画素電極12上に膜質及び膜厚が均一な正孔輸送層14a又は電子輸送性発光層14bが成膜される。
次いで、図3(e)、図4(e)、図5(e)に示すように、基板11上に単一の平面電極(べた電極)からなる対向電極(例えばカソード電極)16を形成する。ここで、対向電極16は、少なくとも表示パネル10Aの画素アレイ領域Rpxに対応する形状及び大きさを有し、上述した正孔輸送層14a及び電子輸送性発光層14bからなる有機EL層14を介して、各画素PIXの画素電極12に共通に対向するように形成される。その後、図2(a)〜(c)に示したように、対向電極16を含む基板11上に、保護絶縁膜(又は封止樹脂層)17を形成する。これにより、図1、図2に示したように、有機EL素子OELを備えた画素PIXが基板11上に2次元配列された表示パネル10Aが完成する。
このように、本実施形態に係る表示パネル(発光パネル)10A及びその製造方法(有機EL層14の成膜工程)においては、ノズルヘッド101の走査方向(この場合は列方向)に隣接する画素PIX間の境界領域の略中央に突出して設けられた液体制御部15により、塗布された有機溶液(インク)14xの表面張力が均等に分断されて、当該走査方向に隣接する画素PIXのEL素子形成領域Relに均等に流れ込むので、各EL素子形成領域Relに滞留する有機溶液14xの量が略均一になる。
したがって、本実施形態によれば、ノズルコーティング法(又はノズルプリンティング法)を用いた高い製造効率で、各画素の画素電極上に略均一な膜質及び膜厚を有する有機EL層(例えば正孔輸送層及び電子輸送性発光層)を形成することができる。このような有機EL層を有する有機EL素子(発光素子)においては、有機EL層の膜質や膜厚のばらつきに起因する、発光輝度や開口率のばらつき、素子寿命の劣化を抑制することができるので、発光特性に優れ、表示品質が良好な表示パネル(発光パネル)を量産化することができる。
(作用効果の検証)
次に、上述したようなパネル構造を有する表示パネルとその製造方法(有機EL層の成膜方法)を用いた場合の作用効果について、さらに詳しく説明する。ここでは、まず、比較対象として本実施形態に示した液体制御部15を有していない表示パネルについて説明し、その後、本実施形態における作用効果の優位性について説明する。
図10は、比較対象となる表示パネルの一例を示す概略構成図である。ここで、図10(a)は、比較対象となる表示パネルの平面図であり、図10(b)は、図10(a)における表示パネルのXG−XG線(本明細書においてはローマ数字の「10」に対応する記号として便宜的に「X」を用いる)に沿った断面を示す概略断面図である。なお、図10(a)に示す平面図においては、各画素に設けられる画素電極と隔壁との配置関係を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
図11は、比較対象となる表示パネルの製造方法(有機EL層の成膜工程)の一例を示す工程断面図である。ここで、図11は、図10に示す表示パネルのXG−XG線に沿った断面における工程断面図である。なお、図10、図11において、上述した実施形態と同等の構成については、同一又は同等の符号を付して示す。
ここでは、上述した本発明が解決しようとする課題において言及したように、格子状の平面パターンを有する隔壁を設けた基板に対して、本実施形態に示したような画素間の境界領域に液体制御部を設けることなく、ノズルコーティング法により直接有機溶液を塗布して有機EL層を成膜する場合を、比較対象とする。
比較対象となる表示パネル10Pは、具体的には、図10(a)、(b)に示すように、基板11上に2次元配列される各画素PIXの境界領域に、格子状の隔壁13が設けられた構成を有している。すなわち、比較対象に係る表示パネル10Pは、上述した実施形態に示したような、隔壁13上から突出する液体制御部を有していない。
そして、このような構造を有する基板11において、図10(a)、図11(a)に示すように、特定の列の画素PIXのEL素子形成領域Relに沿って、ノズルヘッド101を列方向(図10(a)の上下方向;矢印Xm)に走査しつつ、有機溶液14xを吐出する。これにより、当該列の各EL素子形成領域Rel及びそれらの境界領域の隔壁13上に有機溶液14xが塗布される。
ここで、上述した表示パネルの製造方法に示した場合と同様に、各画素PIXのEL素子形成領域Relに露出する画素電極12の表面は親液性を有し、一方、隔壁13の表面は撥液性を有している。そのため、ノズルヘッド101から吐出された有機溶液14xは、親液性を有する各画素電極12上では馴染んで拡がる一方、撥液性(撥水、撥油性)を有する隔壁13に接する部分では弾かれる挙動を示す。
特に、正孔注入層を形成するための有機溶液として、正孔輸送材料であるPEDOT/PSSを、水やエタノール、エチレングリコール等の水系溶媒に溶解又は分散させた強酸性の水系インクを用いる場合や、電子輸送性発光層を形成するための有機溶液として、電子輸送性発光材料であるポリフェニレンビニレン系ポリマーやポリフルオレン系ポリマー等の共役系高分子を、水やテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン、トルエン等の芳香族系の有機溶媒に溶解又は分散させた水系インク或いは有機溶剤系インクを用いる場合には、当該有機溶液は、撥液性を有する隔壁13表面では非常に良く弾かれる。これにより、隔壁13上に滞留していた有機溶液14xは、図11(b)、(c)に示すように、隔壁13上から隣接する各EL素子形成領域Rel方向に流れ込む。このとき、隔壁13上から隣接するEL素子形成領域Relに不均一に流れ込むため、各画素PIXのEL素子形成領域Relに滞留する有機溶液14xの量にばらつきが生じる。なお、隔壁13表面の撥液性が十分でない場合には、隔壁13上に塗布された有機溶液14xが、そのまま滞留(残留)して、本来EL素子形成領域Relに流れ込んで滞留するはずの有機溶液14xの量が変化する場合もある。
このような状態で、基板11を加熱処理して溶媒を気化させ、有機溶液14xを乾燥させると、隔壁13により囲まれた各EL素子形成領域Rel内において、図11(d)に示すように、各画素電極12上に正孔輸送材料又は電子輸送性発光材料が薄膜状に定着する。このとき、上述したように、各EL素子形成領域Rel内に滞留する有機溶液14xの量にばらつきがあるため、成膜される正孔輸送層14a又は電子輸送性発光層14bの膜質や膜厚が不均一になるという問題を有している。
これに対して、本実施形態による表示パネル及び有機EL層の成膜方法においては、基板11上に塗布された有機溶液14xは、隔壁13上に突出して形成された、撥液性を有する液体制御部15により、その表面張力が均等に分断されて、隣接する画素PIXのEL素子形成領域Relに略均等に流れ込む。また、このとき、本実施形態では、隣接する画素PIX間の境界領域に設けられた隔壁13上に、塗布された有機溶液14xがそのまま滞留(残留)する現象は観測されなかった。
したがって、本実施形態によれば、各EL素子形成領域Relに滞留する有機溶液14xの量を略均一にすることができるので、各画素PIXの画素電極12上に略均一な膜質及び膜厚を有する有機EL層14(例えば正孔輸送層及び電子輸送性発光層)を形成することができる。そして、このような有機EL層を有する有機EL素子(発光素子)が配列された表示パネル(発光パネル)によれば、発光輝度や開口率のばらつき、素子寿命の劣化を抑制して、良好な表示品質を実現することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る発光装置(表示装置)の第2の実施形態について説明する。
(表示装置)
図12は、第2の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル(発光パネル)を示す概略構成図である。ここで、図12(a)は、本実施形態に係る表示パネルの平面図であり、図12(b)は、図12(a)における表示パネルのXIIH−XIIH線(本明細書においてはローマ数字の「12」に対応する記号として便宜的に「XII」を用いる)に沿った断面を示す概略断面図である。なお、図10(a)に示す平面図においては、各画素に設けられる画素電極と隔壁及び液体制御部との配置関係を明瞭にするために、便宜的にハッチングを施して示した。
上述した第1の実施形態においては、表示パネル10A(基板11)に配列される列方向の画素PIX(EL素子形成領域Rel)間の隔壁13上に、隔壁13と同一の材質からなる、各々独立した液体制御部15を設けた構成について説明した。第2の実施形態においては、隔壁13上に突出する液体制御部が、導電性材料により形成され、かつ、当該隔壁13を貫通して、隔壁13の下層に配設された給電ライン(カソードライン)に接続された構成を有している。
第2の実施形態に係る表示装置に適用される表示パネル(発光パネル)10Bは、図12(a)、(b)に示すように、基板11の一面側(図12(a)の紙面手前側、図12(b)の上面側)に設けられた絶縁膜(又はゲート絶縁膜)19上に、上述した第1の実施形態と同様に、複数の開口部13aが設けられた格子状の隔壁13が形成されている。尚、上述した第1の実施形態と同様に、隔壁13は二層構造であっても良い。そして、各開口部13a(すなわちEL素子形成領域Rel)には、画素電極(アノード電極)12と、有機EL層14と、対向電極(カソード電極)16と、が積層された有機EL素子OELが設けられている。
そして、本実施形態に係る表示パネル10Bにおいては、図12(a)、(b)に示すように、列方向に配列された画素PIX間の境界領域に形成された隔壁13上に突出するように、各々独立した液体制御部18が設けられている。液体制御部18は、上述した第1の実施形態と同様に、境界領域となる隔壁13上の略中央に配置され、かつ、液体制御部18間のピッチが等間隔になるように設けられている。
特に、本実施形態に適用される液体制御部18は、例えば金属等の導電性材料により形成されている。そして、液体制御部18は、図12(b)に示すように、隔壁13上に所定の高さで突出するとともに、当該隔壁13を貫通して、隔壁13の下層に配設された特定の配線(例えば給電ラインLc)に接続されている。これにより、液体制御部18は、隔壁13上で有機EL層14上に形成される対向電極(カソード電極)16に電気的に接続されるとともに、隔壁13の下層において、給電ライン(カソードライン)Lcに電気的に接続される。すなわち、液体制御部18は、上述した第1の実施形態に示したように、塗布された有機溶液14xの表面張力を均等に分断する機能に加え、対向電極16と給電ラインLcとを接続するコンタクト電極としての機能を有している。ここで、液体制御部18と給電ラインLcとの接続箇所を、便宜的に接続点18xとして図12(b)に表記する。
なお、本実施形態においては、図12(a)に示すように、基板11の一端側の縁辺部に、後述する選択ラインLs、電源電圧ライン(アノードライン)La、給電ラインLc及びデータラインLd(図13、図14参照)を介して、画素アレイ領域Rpxに配列される各画素PIXに、所定の制御信号や駆動電圧を供給するための接続端子21が設けられている。
ここで、このようなパネル構造を有する表示パネル10Bに適用可能な画素と基板の配線構造の具体例について図面を参照して説明する。
図13は、本実施形態に係る表示パネルに適用される画素の一例を示す等価回路図である。なお、図13に示す画素PIXの回路構成は、有機EL素子を備えた画素に適用される一例を示すものに過ぎず、他の回路構成を有するものであってもよいことはいうまでもない。また、図14は、本実施形態に係る表示パネルに適用される配線構造の一例を示す概略平面図である。なお、図14に示す平面図においては、各画素に設けられる画素電極と各配線層及び接続端子との配置関係のみを示し、相互の接続状態については表記を省略した。また、図14においては、図12(b)に示した断面構造において、絶縁膜(ゲート絶縁膜)19の上層側に配設される配線(選択ラインLs、電源電圧ラインLa、給電ラインLc)を実線で示し、絶縁膜19の下層側に配設される配線(データラインLd)を破線で示す。
図13に示すように、本実施形態に係る表示パネル10Bに適用される画素PIXは、発光素子である有機EL素子OELと、該有機EL素子OELを駆動するための発光駆動回路DCと、を備えている。
発光駆動回路DCは、例えば、トランジスタ(選択トランジスタ)Tr11と、トランジスタ(駆動トランジスタ)Tr12と、キャパシタCsと、を備えている。トランジスタTr11は、ゲート端子が選択ラインLsに接続され、ドレイン端子がデータラインLdに接続され、ソース端子が接点N11に接続されている。トランジスタTr12は、ゲート端子が接点N11に接続され、ドレイン端子が電源電圧ライン(アノードライン)Laに接続され、ソース端子が接点N12に接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子(接点N11)及びソース端子(接点N12)間に接続されている。また、有機EL素子OELは、アノードが上記発光駆動回路DCの接点N12に接続され、カソードが接点N13を介して給電ライン(カソードライン)Lcに接続されている。ここで、接点N13は、上述した表示パネル10Bの断面構造(図12(b))における液体制御部18と給電ラインLcとの接続点18xに対応する。
ここで、トランジスタTr11、Tr12は、いずれもnチャネル型の薄膜トランジスタが適用されている。また、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート・ソース間に形成される寄生容量であり、該ゲート・ソース間に付加的に補助容量が設けられているものであってもよい。
なお、図13に示した画素PIXにおいて、選択ラインLsは、図示を省略した選択ドライバに接続され、所定のタイミングで画素PIXを選択状態に設定するための選択電圧Sselが印加される。また、データラインLdは、図示を省略したデータドライバに接続され、画素PIXの選択状態に同期するタイミングで画像データに応じた階調信号(データ電圧)Vpixが印加される。また、電源電圧ラインLaは、所定の高電位電源に接続され、トランジスタTr12により有機EL素子OELのアノードに画像データに応じた発光駆動電流を流すために、有機EL素子OELのカソードに印加される基準電圧Vssより電位の高い供給電圧Vddが印加される。給電ラインLcは、所定の低電位電源(基準電圧Vss;例えば接地電位Vgnd)に接続されている。
このような回路構成を有する複数の画素PIXが、基板11上に2次元配列された表示パネル10Bにおける配線構造は、例えば図14に示すように、列方向に配列された各画素PIXの画素電極12間の領域(境界領域)に、基板11の行方向(図面左右方向)に、各々、選択ラインLsと電源電圧ライン(アノードライン)Laと給電ライン(カソードライン)Lcとが平行に配設されている。また、行方向に配列された各画素PIXの画素電極12間の領域(境界領域)には、基板11の列方向(図面上下方向)に、データラインLdが配設されている。各配線は、各々、基板11の縁辺部に配列された接続端子21に個別に接続されている。
そして、図12(a)、(b)、図14に示すように、列方向に配列された各画素PIX(画素電極12)間の境界領域の隔壁13を貫通して設けられた各液体制御部18が接続点18xにおいて、行方向に配設された給電ライン(カソードライン)Lcに電気的に接続されている。給電ラインLcは接続端子21を介して、図示を省略した外部の電源に接続されている。これにより、対向電極(カソード電極)16には、給電ラインLc及び液体制御部18を介して、基準電圧Vssが印加される。
(表示装置の製造方法)
次に、本実施形態に係る表示装置(表示パネル)の製造方法について説明する。
図15は、本実施形態に係る表示パネルの製造方法の一例を示す工程断面図である。ここで、図15は、図12(a)に示した基板11のXIIH−XIIH線に沿った断面における工程断面図である。なお、図15において、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一又は同等の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
第2の実施形態に係る表示パネル10Bの製造方法は、まず、図15(a)に示すように、基板11の一面側に、図13に示した画素PIXの発光駆動回路DC及び配線を形成する。具体的には、基板11上にゲートメタルを形成した後、これをパターニングして、少なくとも発光駆動回路DCのトランジスタTr11、Tr12のゲート電極及びデータラインLdを形成する(いずれも図示を省略)。
次いで、基板11上にゲート絶縁膜となる絶縁膜19を形成した後、上記ゲート電極に対応する領域に半導体層やソース電極、ドレイン電極等を形成する。このとき、ソース、ドレイン電極を形成するために基板11上に形成されたソース、ドレインメタルを用いて、選択ラインLs、電源電圧ライン(アノードライン)La、給電ライン(カソードライン)Lcが同時に形成される。また、図12、図14に示すように、基板11上に配列される各画素PIXのEL素子形成領域Relには有機EL素子OELのアノード電極となる画素電極12が形成される。ここで、発光駆動回路DCの各トランジスタTr11、Tr12や配線は、各画素PIXのEL素子形成領域Rel間の境界領域に形成される。
次いで、図15(b)に示すように、無電界銅メッキ法を用いて、基板11に形成された給電ラインLc上に、当該基板11表面に対して垂直に突出する導電性の液体制御部18を形成する。ここで、液体制御部18は、図14に示したように、列方向に配列される画素PIXのEL素子形成領域Rel(画素電極12)間の境界領域において、上記給電ラインLcに接続される(接続点18x)。
次いで、基板11上に感光性の樹脂材料を厚く形成した後、これをフォトリソグラフィー法によりパターニングして、図15(c)に示すように、各画素PIXのEL素子形成領域Relに形成された画素電極12が露出する開口部13aを有する隔壁13を形成する。尚、上述した第1の実施形態と同様に、隔壁13は二層構造であっても良い。ここで、隔壁13となる感光性樹脂材料の厚みは、上述した液体制御部18の上部が所定の寸法だけ露出するように設定する。これにより、各画素PIX間の境界領域は、液体制御部18の上部が露出するのみで、発光駆動回路DCのトランジスタTr11、Tr12や各配線が隔壁13により被覆される。
次いで、基板11を純水やアルコールにより洗浄した後、例えば酸素プラズマ処理やUVオゾン処理等を施すことにより、各EL素子形成領域Relに露出する画素電極12の表面を、後述する有機溶液に対して親液化処理する。次いで、基板11を例えばフッ素系トリアジンジチオール誘導体の水溶液に浸漬処理することにより、隔壁13から突出する導電性の液体制御部18の表面を、後述する有機溶液に対して撥液化する。この撥液化処理においては、EL素子形成領域Rel内に露出する画素電極12の表面は撥液化せず、上述した親液化処理により付与された親液性を保持する。
次いで、上述した第1の実施形態に示した場合と同様に、ノズルコーティング法を用いて、各画素PIXのEL素子形成領域Rel内に、正孔輸送材料又は電子輸送性発光材料を含む有機溶液を塗布し、これを乾燥処理することにより、図15(d)に示すように、各画素PIXの画素電極12上に正孔輸送層14a及び電子輸送性発光層14bからなる有機EL層14を形成する。
このとき、上述した第1の実施形態と同様に、基板11上に塗布された有機溶液は、隔壁13上に突出して形成された、撥液性を有する液体制御部18により、その表面張力が均等に分断されて、隔壁13上に滞留(残留)することなく、列方向に隣接する画素PIXのEL素子形成領域Relに略均等に流れ込む。したがって、各EL素子形成領域Relに滞留する有機溶液の量が略均一に制御されるので、各画素PIXの画素電極12上に略均一な膜質及び膜厚を有する有機EL層14が形成される。
次いで、図15(e)に示すように、基板11上に単一の平面電極(べた電極)からなり、有機EL素子OELのカソード電極となる対向電極16を蒸着により形成する。ここで、対向電極16は、各画素PIXのEL素子形成領域Relだけでなく、各画素PIX間の境界領域の隔壁13上にも形成される。これにより、対向電極(カソード電極)16は、隔壁13から突出する導電性の液体制御部18に電気的に接続されるので、対向電極16は当該液体制御部18を介して、隔壁13の下層に形成された給電ライン(カソードライン)Lcに電気的に接続される。
その後、対向電極16を含む基板11上に、保護絶縁膜(又は封止樹脂層)17を形成する。これにより、図12(a)、(b)に示したように、有機EL素子OELを備えた画素PIXが基板11上に2次元配列された表示パネル10Bが完成する。
このように、本実施形態に係る表示パネルにおいては、各列の画素PIX間の隔壁13上に突出する液体制御部18が導電性を有するとともに、隔壁13を貫通した構成を有している。これにより、各画素PIXの有機EL素子OELに共通して設けられた対向電極(カソード電極)16が、導電性の液体制御部18を介して、隔壁13の下層に配設された給電ライン(カソードライン)Lcに電気的に接続された構成を有している。したがって、給電ラインLcに印加された基準電圧Vssが、各有機EL素子OELの対向電極(カソード電極)16に略均一に印加されるので、比較的大型の表示パネルであっても、各画素(有機EL素子)の発光輝度のばらつきを抑制することができ、優れた表示品質を実現することができる。
また、本実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様に、各画素PIXの有機EL層を、ノズルコーティング法を用いて略均一な膜質及び膜厚になるように成膜することができるので、発光輝度や開口率のばらつき、素子寿命の劣化を抑制して、表示品質に優れた表示パネル(発光パネル)を高い製造効率で量産することができる。
なお、上述したように、本発明に係る表示装置(表示パネル)及びその製造方法においては、基板11上への有機溶液14xの塗布時に、各画素PIX(EL素子形成領域Rel)間の境界領域に設けられた隔壁13上に塗布された有機溶液14xを、撥液性を有する液体制御部15、18により分流して、隣接する画素PIXのEL素子形成領域Relに均等に流れ込むようにすることを特徴としている(図7(b)参照)。一方、上述した各実施形態においては、図1や図12(a)に示したように、有機溶液14xが塗布される列方向の、基板11(又は画素アレイ領域Rpx)の両端部で、画素PIX間の境界領域になっていない隔壁13上に液体制御部15、18が配置されている。そのため、当該基板11の両端部においては、塗布された有機溶液14xの挙動(流れ方)が、画素アレイ領域Rpx内部の、画素PIX(EL素子形成領域Rel)が隣接して配置されている領域とは異なる可能性がある。
具体的には、基板11の両端部においては、液体制御部15、18が設けられた隔壁13の一方側にのみEL素子形成領域Relが配置されることになるため、EL素子形成領域Relに流れ込む有機溶液14xの量が、基板11の両端部以外のEL素子形成領域Relとは同等にならず、膜質及び膜厚が均一にならない場合がある。そこで、このような場合には、実質的に画像表示に寄与する画素アレイ領域Rpxの外方の基板上に、有機溶液14xを均等に流し込むためのダミー画素(又は、ダミーのEL素子形成領域)を配置した構成を有するものであってもよい。これによれば、上述した各実施形態に示した有機EL層の成膜工程を適用した場合であっても、画素アレイ領域Rpxの端部に配置される画素PIXの有機EL層の膜質及び膜厚を均一化することができる。
<第3の実施形態>
次に、上述した第1及び第2の実施形態に係る表示パネル(発光パネル)を適用した電子機器について、第3の実施形態として図面を参照して説明する。上述した有機EL素子OELからなる発光素子を各画素PIXに備える表示パネル10A又は10Bは、例えばデジタルカメラやモバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話等、種々の電子機器に適用できるものである。
図16は、本実施形態に係るデジタルカメラの構成を示す斜視図であり、図17は、本実施形態に係るモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図であり、図18は、本実施形態に係る携帯電話の構成を示す図である。
図16において、デジタルカメラ200は、概略、本体部201と、レンズ部202と、操作部203と、上述した各実施形態に示した表示パネル10A又は10Bを備える表示部204と、シャッターボタン205とを備えている。これによれば、表示部204において、表示パネル10A又は10Bの各画素の発光素子が画像データに応じた適切な輝度階調で発光動作するので、良好かつ均質な画像表示を実現することができる。
また、図17において、パーソナルコンピュータ210は、概略、本体部211と、キーボード212と、上述した各実施形態に示した表示パネル10A又は10Bを備える表示部213とを備えている。この場合においても、表示部213において、表示パネル10A又は10Bの各画素の発光素子が画像データに応じた適切な輝度階調で発光動作するので、良好かつ均質な画像表示を実現することができる。
また、図18において、携帯電話220は、概略、操作部221と、受話口222と、送話口223と、上述した各実施形態に示した表示パネル10A又は10Bを備える表示部224とを備えている。この場合においても、表示部224において、表示パネル10A又は10Bの各画素の発光素子が画像データに応じた適切な輝度階調で発光動作するので、良好かつ均質な画像表示を実現することができる。
なお、上述した各実施形態においては、本発明を有機EL素子OELからなる発光素子を各画素PIXに有する表示パネル10A、10Bに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、本発明は、例えば有機EL素子OELからなる発光素子を有する複数の画素PIXが一方向に配列された発光素子アレイを備え、感光体ドラムに画像データに応じて発光素子アレイから出射した光を照射して露光する露光装置に適用するものであってもよい。この場合においても、発光素子アレイの各画素の発光素子を画像データに応じた適切な輝度で発光動作させることができるので、良好な露光状態を実現することができる。
また、上述した各実施形態においては、有機EL素子OELの素子構造として、有機EL層14が正孔輸送層14a及び電子輸送性発光層14bからなる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明に適用される有機EL素子OELは、有機EL層14が例えば正孔輸送兼電子輸送性発光層のみからなる素子構造を有するものでもよく、あるいは、正孔輸送性発光層及び電子輸送層からなるものでもよく、また、これらの層の間に適宜電荷輸送層が介在するものでもよく、さらに、その他の電荷輸送層の組合せを有するものであってもよい。
また、上述した各実施形態においては、ノズルヘッド101を基板11の列方向に走査させつつ液体を塗布する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ノズルヘッド101を固定して、基板11を載置したステージを基板の列方向に走査させつつ液体を塗布するものであってもよい。
また、上述した各実施形態においては、液体制御部15は、境界領域となる隔壁13上の略中央に配置すると説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、液体制御部15間のピッチが等間隔になるように設けられていれば1つの液体制御部上から列方向に隣り合う画素に流れ込むインク量の比がそれぞれ一定になるので、各EL素子形成領域Relに滞留する有機溶液14xの量を略均一にすることができ、各画素PIXの画素電極12上に略均一な膜質及び膜厚を有する有機EL層14を形成することができるという効果を奏し得る。
また、上述した各実施形態においては、単一の平面電極である対向電極16を形成する際、液体制御部15上で段切れが起こってしまうことが考えられる。しかし、液体制御部15はインクを連続的に塗布する方向と直交する画素PIX間には設けられておらず、且つ、インクを連続的に塗布する方向の画素PIX間にのみ独立して形成されているものであるため、対向電極16が液体制御部15上で部分的に段切れてしまったとしても、その他大部分では段切れすることがないので、表示品質を損ねることがない。