JP5198384B2 - 半導体積層構造 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体積層構造に関し、特に、スピン軌道相互作用をスピン偏極した電子に及ぼす半導体積層構造に関する。
スピンを用いたスピンエレクトロニクスはその実用化が期待されている。スピンエレクトロニクスの分野において、例えば非特許文献1では、スピン軌道相互作用に起因する有効磁場を活用したスピン電界効果トランジスタが提案されている。また、例えば非特許文献2では、スピン軌道相互作用を用いスピン偏極した電子を選別するスピンフィルタが提案されている。スピン軌道相互作用を増大させる方法として、非特許文献3には、InGaAsとInAsとの界面におけるスピン軌道相互作用を用いることが記載されている。非特許文献4には、InPとInGaAsとの界面におけるスピン軌道相互作用を用いることが記載されている。
APPl. Phys. Lett. 56, pp665-667 (1990) Phys. Rev. B 72, 041308(R) (2005) Phys. Rev. Lett. Vol. 84, No. 26 pp6074-6077 (2000) Phys. Rev. B 71, 045328 (2005)
しかしながら、非特許文献3および非特許文献4では、半導体界面における伝導帯の不連続エネルギおよび価電子帯の不連続エネルギが十分考慮されていない。よって、十分なスピン軌道相互作用が得られていない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、スピン軌道相互作用を増大させることが可能な半導体積層構造を提供することを目的とする。
本発明は、第1半導体層と、前記第1半導体層上に設けられ、前記第1半導体層よりバンドギャップが小さく、伝導帯のエネルギが前記第1半導体層の伝導帯のエネルギより小さく、価電子帯のエネルギが前記第1半導体層の価電子帯のエネルギより大きい第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に形成され、スピン軌道相互作用に起因した有効磁場が生じる第1界面と、前記第1半導体層と前記第2半導体層とを挟み、前記第1界面にスピン偏極した電子を閉じ込め、伝導帯のエネルギが前記第1半導体層および前記第2半導体層の伝導帯のエネルギより大きい2つの障壁層と、を具備し、前記第1半導体層および前記第2半導体層の少なくとも一方の全てが4元以上の化合物半導体層であり、前記第1界面の伝導帯の不連続エネルギは前記第1界面の価電子帯の不連続エネルギより小さく、前記2つの障壁層のいずれか一方は前記第1半導体層に接している半導体積層構造である。本発明によれば、第1半導体層および第2半導体層の少なくとも一方を4元以上の化合物半導体層とすることにより、第1界面の伝導帯の不連続エネルギを第1界面の価電子帯の不連続エネルギより小さく設定することができる。よって、第1界面におけるスピン軌道相互作用に起因した有効磁場を大きくすることができ、かつ第1界面における電子分布を大きくすることができる。これにより、スピン軌道相互作用を増大させることができる。
上記構成において、前記第1半導体層はInGaAsP層であり、前記第2半導体層はInGaAs層である構成とすることができる。この構成によれば、第1半導体層と第2半導体層とを格子整合に近い状態にすることができる。
上記構成において、前記第1半導体層はInGaAsP層であり、前記第2半導体層はInGaAs層であり、前記障壁層はInAlAsである構成とすることができる。これにより、第1半導体層と第2半導体層と障壁層とを格子整合に近い状態にすることができる。
上記構成において、前記第1半導体層は(In0.53Ga0.47As)(InP)(1−X)である構成とすることができる。この構成によれば、第1半導体層をInPに格子整合させることができる。
上記構成において、前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層より大きなバンドギャップを有し、伝導帯のエネルギが前記第2半導体層の伝導帯のエネルギより大きく、価電子帯のエネルギが前記第2半導体層の価電子帯のエネルギより小さい第3半導体層と、前記第2半導体層と前記第3半導体層との間に形成された第2界面と、を具備する構成とすることができる。この構成によれば、第1界面における電子分布をさらに増大させることができる。
上記構成において、前記第2界面の伝導帯の不連続エネルギは前記第1界面の伝導帯の不連続エネルギより大きく、前記第2界面の価電子帯の不連続エネルギは前記第1界面の価電子帯の不連続エネルギより小さい構成とすることができる。この構成によれば、第1界面の電子分布を大きくし、かつ第2界面におけるスピン軌道相互作用を弱くすることができる。
上記構成において、前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層より大きなバンドギャップを有する第3半導体層と、前記第2半導体層と前記第3半導体層との間に形成された第2界面と、を具備し、前記第2半導体層は(In0.52Al0.48As)(In0.53Ga0.47As)(1−Y)である構成とすることができる。この構成によれば、第3半導体層をInPに格子整合させることができる。
上記構成において、前記InGaAs層のIn組成比は0.53以上である構成とすることができる。この構成によれば、スピン軌道相互作用を増大させることができる。
本発明によれば、第1半導体層および第2半導体層の少なくとも一方を4元以上の化合物半導体層とすることにより、第1界面の伝導帯の不連続エネルギを第1界面の価電子帯の不連続エネルギより小さく設定することができる。よって、第1界面におけるスピン軌道相互作用に起因した有効磁場を大きくすることができ、かつ第1界面における電子分布を大きくすることができる。これにより、スピン軌道相互作用を増大させることができる。
図1は、スピンフィルタ素子の上面模式図である。 図2は、図1のA−A断面模式図である。 図3(a)は、図2の上方向(Z方向)の距離に対するバンドエネルギを示す模式図である。図3(b)は、Z方向の距離に対する電子分布を示す模式図である。 図4(a)および図4(b)は、ゲート電極に電圧を印加した場合の、バンドエネルギと電子分布を示す図である。 図5(a)および図5(b)は、比較例1に係る半導体積層構造のバンドエネルギおよび電子分布を示す図である。 図6(a)および図6(b)は、比較例2に係る半導体積層構造のバンドエネルギおよび電子分布を示す図である。 図7(a)および図7(b)は、実施例1に係る半導体積層構造のバンドエネルギおよび電子分布を示す図である。 図8(a)および図8(b)は、実施例2に係る半導体積層構造のバンドエネルギおよび電子分布を示す図である。 図9は、実施例3に係る半導体積層構造を示す図である。 図10は、実施例3に係る半導体積層構造のバンドエネルギ(E−E)および規格化した電子の波動関数の大きさ|Ψ|を距離に対しシミュレーションした結果を示した図である。 図11は、スピン軌道相互作用の強さを示すパラメータαをキャリア密度に対しシミュレーションした結果である。 図12は、比較例3に係る半導体積層構造を示す図である。 図13は、比較例3に係る半導体積層構造のバンドエネルギ(E−E)および規格化した電子の波動関数の大きさ|Ψ|を距離に対しシミュレーションした結果を示した図である。 図14は、スピン軌道相互作用の強さを示すパラメータαをキャリア密度に対しシミュレーションした結果である。 図15は、比較例4に係る半導体積層構造を示す図である。 図16は、実施例3と比較例4に係る半導体積層構造のスピン軌道相互作用の強さを示すパラメータαをキャリア密度に対しシミュレーションした結果である。 図17は、実施例4に係る積層構造を示す図である。 図18(a)から図18(c)は、それぞれ、実施例3、サンプルAおよびサンプルBおけるキャリア濃度に対するパラメータαのシミュレーション結果を示した図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照に説明する。
まず、実施例1から実施例4に係る半導体積層構造が用いられる例として、スピンフィルタ素子を説明する。図1はスピンフィルタ素子100の上面模式図である。電子90および92が伝導する伝導路96の両側に電極80および82が設けられている。電子90は下向きにスピン偏極した電子である。電子92は上向きにスピン偏極した電子である。電極80と82とを用い、電子90および92の伝導方向に交差する方向(好ましくは垂直方向)に電界を印加する。スピン偏極した電子90および92はスピン軌道相互作用に起因した有効磁場の空間勾配により逆方向の力を受ける。スピン軌道相互作用に起因した有効磁場は、電子が走行することにより受ける磁場である。これにより、上向きにスピン偏極した電子92と下向きにスピン偏極した電子90とは異なる方向に伝導する。よって、伝導路98を分離することにより、上向きにスピン偏極した電子92と下向きにスピン偏極した電子90とを選別することができる。
図2は、図1のA−A断面模式図である。基板18に半導体積層構造10が形成されている。半導体積層構造10は障壁層22および24と、障壁層22および24に挟まれた井戸層20と、を備えている。半導体積層構造10は凸部状に設けられており、両側の側面に電極80および82が設けられている。電極80および82は、井戸層20、障壁層24の積層面方向に電界を印加する。障壁層24上にはゲート電極84が形成されている。
スピン軌道相互作用として、例えばラシュバスピン軌道相互作用を用いることができる。ラシュバスピン軌道相互作用に起因した有効磁場は、半導体積層構造10内の電界強度(特に価電子帯の電界強度)に依存する。このため、ゲート電極84に電圧を印加することにより、半導体積層構造10の縦方向の電界を変化させることができ、スピン軌道相互作用の大きさを変化させることができる。さらに、電極80および82との間に電圧を印加することにより、上述のように、スピン偏極した電子を選別することができる。ラシュバスピン軌道相互作用を用いるため、半導体積層構造10を構成する半導体は、閃亜鉛鉱型結晶構造を有することが好ましい。また、半導体積層構造10を構成する半導体は、3族と5族の化合物半導体であることが好ましい。また、半導体積層構造10を構成する半導体として、2族と6族の化合物半導体を用いることもできる。ラシュバスピン軌道相互作用を用いる場合、半導体積層構造は(001)面に積層され、スピン偏極した電子は[110]方向または[100]方向に走行することが好ましい。例えば半導体積層構造は(110)面に積層され、スピン偏極した電子は[001]方向または[1−10]方向に走行してもよい。また、これらの面および方向は、等価な面および方向を含む。これにより、ラシュバスピン軌道相互作用に起因した有効磁場により、スピン偏極した電子を歳差運動させることができる。
図3(a)は、図2の上方向(Z方向)の距離に対するバンドエネルギを示す模式図である。図3(b)は、Z方向の距離に対する電子分布を示す模式図である。伝導帯底のエネルギEc(以下、伝導帯のエネルギともいう)と価電子帯トップのエネルギEv(以下、価電子帯のエネルギともいう)を示している。井戸層20のバンドギャップは障壁層22および24より小さい。このため、電子は井戸層20内に分布する。
図4(a)および図4(b)は、ゲート電極84に電圧を印加した場合の、バンドエネルギと電子分布を示す図である。図4(a)のように、ゲート電極84に電圧を印加することにより、電界が生じ、スピン軌道相互作用に起因した有効磁場は大きくなる。領域58のような価電子帯が連続的に変化する領域より、領域56のように価電子帯が大きく変化する界面の方がスピン軌道相互作用に起因した有効磁場は大きくなる。しかしながら、図4(b)のように、障壁層22と井戸層20との界面における電子分布68は小さいため、スピン軌道相互作用に起因した有効磁場を受ける電子は少ない。
電子の受けるスピン軌道相互作用を増大させるためには、スピン軌道相互作用に起因した有効磁場が大きな領域の電子の存在確率を大きくすることが求められる。そこで、井戸層20内に第1半導体層と第2半導体層とを設ける。第2半導体層は第1半導体層上に設けられ、第1半導体層よりバンドギャップが小さい。これにより、第1半導体層と第2半導体層との間に形成された第1界面においてスピン軌道相互作用に起因した有効磁場が生じる。よって、強いスピン軌道相互作用を生成することができる。
図5(a)および図5(b)は、比較例1に係る半導体積層構造のバンドエネルギおよび電子分布を示す図である。図5(a)を参照し、井戸層20を第1半導体層12と第1半導体層12よりバンドギャップが小さい第2半導体層14とで形成する。第1半導体層12と第2半導体層とは第1界面32を形成する。比較例1では、第1界面32における伝導帯の不連続エネルギΔEc1は、第1界面32における価電子帯の不連続エネルギΔEv1より大きい(ΔEc1>ΔEv1)。例えば、非特許文献3のように、第1半導体層12としてIn0.75Ga0.25Asを、第2半導体層14としてInAsを用いる。この場合、ΔEc1は0.0914eV、ΔEv1は0.08164eVである。
図5(b)を参照し、第1半導体層12と第2半導体層14を挟む障壁層22および24により第1界面32にスピン偏極した電子を閉じ込めることができる。しかし、比較例1では、ΔEc1が大きいため、第1界面32における電子分布60を大きくすることが難しい。かつ、第1界面32のΔEv1が小さいため、第1界面32におけるスピン軌道相互作用に起因した有効磁場が弱い。これらのため、電子に寄与するスピン軌道相互作用は小さい。
図6(a)および図6(b)は、比較例2に係る半導体積層構造のバンドエネルギおよび電子分布を示す図である。図6(a)を参照し、比較例2では、例えば、非特許文献4のように、第1半導体層12としてInPを、第2半導体層14としてIn0.53Ga0.47Asを用いる。この場合、ΔEc1は0.221eV、ΔEv1は0.406eVである。ΔEv1が大きいため、第1界面32におけるスピン軌道相互作用に起因した有効磁場を強くすることができる。
図6(b)を参照し、しかしながら、ΔEc1も大きいため、第1界面32における電子分布60を大きくすることが難しい。よって、スピン軌道相互作用に起因した有効磁場の影響を受けるスピン偏極した電子は少ない。
図7(a)および図7(b)は、実施例1に係る半導体積層構造のバンドエネルギおよび電子分布を示す図である。図7(a)を参照し、実施例1では、ΔEc1をΔEv1より小さくする。さらにΔEv1を大きくする。例えば、第1半導体層12として(In0.53Ga0.47As)0.41(InP)0.59を用いる。第2半導体層14としてIn0.53Ga0.47Asを用いる。この場合、ΔEc1は0.2068eV、ΔEv1は0.333eVである。ΔEv1が大きいため、第1界面32におけるスピン軌道相互作用に起因した有効磁場を強くすることができる。
図7(b)を参照し、ΔEc1が小さいため、第1界面32における電子分布60を大きくすることができる。よって、スピン軌道相互作用に起因した有効磁場の影響を受けるスピン電極した電子密度を大きくすることができる。
このように、第1半導体層12と第2半導体層14との少なくとも一方を4元以上の化合物半導体層を用い形成する。これにより、ΔEc1とΔEv1とを任意に設定することができる。よって、ΔEc1をΔEv1より小さくし、ΔEv1を大きくすることができる。これにより、第1界面32におけるスピン軌道相互作用に起因した有効磁場を大きくすることができ、かつ第1界面32における電子分布を大きくすることができる。
障壁層22の伝導帯のエネルギEcを第1半導体層12の伝導帯のエネルギEcより高くする。また、障壁層22の伝導帯のエネルギEcを第2半導体層14の伝導帯のエネルギEcより高くする。つまり、2つの障壁層22および24の伝導帯のエネルギEcを第1半導体層12および第2半導体層14の伝導帯のエネルギEcより高くする。例えば、障壁層22および24のバンドギャップエネルギを第1半導体層12および第2半導体層14のバンドギャップエネルギより大きくする。これにより、電子をより井戸層20に閉じ込めることができ、第1界面32付近により電子を閉じ込めることができる。
第1半導体層12としてInGaAsPを用い、第2半導体層14としてInGaAsを用いることができる。これにより、第1半導体層12と第2半導体層14とを格子整合に近い状態にすることができる。また、障壁層22および24の少なくとも一方にInAlAsを用いることができる。これにより、障壁層22および24と第1半導体層12と第2半導体層14とを格子整合に近い状態にすることができる。
特に、In0.53Ga0.47AsはInPと格子整合している。よって、(In0.53Ga0.47As)(InP)(1−X)のXを0<X<1の範囲で任意に設定することにより、第1半導体層12をInPに格子整合させた状態で、ΔEc1およびΔEv1を任意に設定することができる。第2半導体層14としては、InPに格子整合したIn0.53Ga0.47Asを用いることが好ましい。しかしながら、スピン軌道相互作用を大きくするためにはハンドギャップが小さいことが好ましい。よって、よりInの組成比が大きいInGaAsを用いることができる。障壁層22および24の少なくとも一方としては、InPに格子整合したIn0.52Al0.48Asを用いることが好ましい。
第1半導体層12として4元以上の化合物半導体を用いる場合、例えばInGaAsSbを用いることができる。第2半導体層14として4元以上の化合物半導体を用いる場合、例えばInGaAsSbを用いることができる。このように、第1半導体層12および第2半導体層14の少なくとも一方に4元以上の化合物半導体を用いる場合、例えばGaAs、InAs、AlAs、GaP、InP、AlP、GaSb、InSb、AlSb、GaN、InNおよびAlNを含む化合物半導体を用いることができる。
図8(a)および図8(b)は、実施例2に係る半導体積層構造のバンドエネルギおよび電子分布を示す図である。図8(a)を参照し、実施例2では、第2半導体層14上に第3半導体層16が設けられている。第3半導体層16は第2半導体層より大きなバンドギャップを有する。第2半導体層14と第3半導体層16との間に第2界面34が形成されている。
図8(b)を参照し、第3半導体層16により、第1界面32における電子分布をさらに増大させることができる。
また、障壁層22の伝導帯のエネルギEcを第1半導体層12の伝導帯のエネルギEcより高くする。また、障壁層22の伝導帯のエネルギEcを第3半導体層16の伝導帯のエネルギEcより高くする。つまり、2つの障壁層22および24の伝導帯のエネルギEcを第1半導体層12、第2半導体層14および第3半導体層16の伝導帯のエネルギEcより高くする。例えば、障壁層22および24のバンドギャップエネルギを第1半導体層12、第2半導体層14および第3半導体層16のバンドギャップエネルギより大きくする。これにより、電子をより井戸層20に閉じ込めることができ、第1界面32付近により電子を閉じ込めることができる。
さらに、第2界面34の伝導帯の不連続エネルギΔEc2をΔEc1より大きくする。第2界面34の価電子帯の不連続エネルギΔEv2をΔEv1より小さくする。ΔEc2がΔEc1より大きいことにより、第1界面32の電子分布を大きくすることができる。ΔEv2がΔEv1より小さいことにより、第2界面34におけるスピン軌道相互作用に起因した有効磁場を弱くすることができる。第2界面34に生じるスピン軌道相互作用は第1界面32の生じるスピン軌道相互作用と反対となる。このため、第2界面34におけるスピン軌道相互作用に起因した有効磁場を弱くすることにより、全体としてのスピン軌道相互作用を大きくすることができる。
第3半導体層16を4元以上の化合物半導体とすることにより、ΔEc2およびΔEv2を自由に設定することができる。第2半導体層14としてInGaAsPを用い、第3半導体層16としてInGaAlAsを用いることができる。これにより、第2半導体層14と第3半導体層16とを格子整合に近い状態にすることができる。
例えば、第1半導体層12として(In0.53Ga0.47As)0.41(InP)0.59を用いる。第2半導体層14としてIn0.53Ga0.47Asを用いる。第3半導体層16として(In0.52Al0.48As)0.3(In0.53Ga0.47As)0.7を用いる。これにより、ΔEc1を0.2068eV、ΔEv1を0.333eV、ΔEc2を0.499eV、ΔEv2を0.1353eVとすることができる。In0.52Al0.48AsおよびIn0.53Ga0.47AsはInPと格子整合している。よって、(In0.52Al0.48As)(In0.53Ga0.47As)(1−Y)のYを0<Y<1の範囲で任意に設定することにより、第3半導体層16をInPに格子整合させた状態で、ΔEc2およびΔEv2を任意に設定することができる。第3半導体層16として4元以上の化合物半導体を用いる場合、例えばInGaAsSbを用いることができる。このように、第3半導体層16に4元以上の化合物半導体を用いる場合、例えばGaAs、InAs、AlAs、GaP、InP、AlP、GaSb、InSb、AlSb、GaN、InNおよびAlNを含む化合物半導体を用いることができる。
実施例3は、スピン軌道相互作用をシミュレーションした例である。図9は、実施例3に係る半導体積層構造を示す図である。基板18から順に、バッファ層26、障壁層22、第1半導体層12、第2半導体層14、第3半導体層16および障壁層24が積層されている。基板18は半絶縁性InP基板であり、(001)面を主面としている。バッファ層は、膜厚が200nmでアンドープのIn0.52Al0.48As層と、電子濃度が4×1018cm−3で膜厚が6nmのIn0.52Al0.48As層である。障壁層22は、膜厚が15nmでアンドープのIn0.52Al0.48As層である。第1半導体層12は膜厚が5nmでアンドープの(In0.53Ga0.47As)0.41(InP)0.59層である。第2半導体層14は、膜厚が10nmでアンドープのIn0.53Al0.47As層である。第3半導体層16は、膜厚が3nmでアンドープの(In0.52Al0.48As)0.3(In0.53Ga0.47As)0.7層である。障壁層24は、膜厚が25nmでアンドープのIn0.52Al0.48As層である。In0.53Al0.47As層およびIn0.53Ga0.47As層は、InPと格子整合するため、実施例3の半導体積層構造は、格子歪の少ない構造となる。
図10は、実施例3に係る半導体積層構造のバンドエネルギ(E−E)および規格化した電子の波動関数の規格化した大きさ|Ψ|を距離に対しシミュレーションした結果を示した図である。なおEはフェルミエネルギである。Ecは伝導帯の底のエネルギ、Evhはヘビーホールの価電子帯のトップのエネルギ、Evsはスピンスプリットした価電子帯のトップのエネルギを示している。電子の波動関数が第1半導体層12と第2半導体層14との第1界面32付近にピークを有している。
図11は、ラシュバスピン軌道相互作用の強さを示すパラメータαをキャリア密度に対しシミュレーションした結果である。2次元のキャリア密度は、障壁層24上に形成されたゲート電極に電圧を変化させることにより、変化するキャリア密度を示している。αF1〜αF3はそれぞれ、図10の価電子帯Evfの連続的な電界変化F1〜F3に起因するパラメータαを示している。αはαF1〜αF3の合計である。αI1〜αI2はそれぞれ、図10の第1界面32および第2界面34の価電子帯Evfの不連続I1およびI2に起因するパラメータαを示している。αはαI1〜αI3の合計である。αはほとんどがαI1であり、αはほとんどがαF1である。このように、スピン軌道相互作用は、ほとんどが、第2半導体層14の電界変化と、第1界面32の不連続な電界変化に起因する。また、連続的な電界起因のαと不連続な界面起因のαの合計αtotal内では、第1界面32に起因するαが大きい。
図12は、比較例3に係る半導体積層構造を示す図である。井戸層20が、井戸層28および29からなる。井戸層28は、膜厚が10nmのアンドープのIn0.53Ga0.47As層であり、井戸層29は、膜厚が2.5nmのアンドープのInP層である。その他の構造は実施例3と同じである。
図13は、比較例3に係る半導体積層構造のバンドエネルギ(E−E)および規格化した電子の波動関数の大きさ|Ψ|を距離に対しシミュレーションした結果を示した図である。障壁層22と井戸層28との界面36の電子分布は図10の第1界面32に比べ大きくない。
図14は、スピン軌道相互作用の強さを示すパラメータαをキャリア密度に対しシミュレーションした結果である。αF4は図13に示した井戸層28の連続的な電界変化F4に起因するαである。αI3およびαI4は、それぞれ図13に示した界面36および38の電界の不連続I3およびI4に起因したαである。界面36での電子分布が小さいため、全体のαtotalはほとんどがαF4に起因している。このため、αtotalは小さい。さらに、実施例3では、図11のように、キャリア密度を変化させることによりαtotalを−4×10−12eVmから−9×10−12eVmまで変化させることができる。一方、比較例3では、図14のように、キャリア密度を変化させてもαtotal.を−1×10−12eVmから−5×10−12eVmまでしか変化させることができない。
以上のように、実施例3は、比較例3に比べ第1界面32における電子分布を大きくできるため、第1界面32におけるパラメータαI1を大きくすることができる。これにより、全体としてのパラメータαtotalを大きくすることができる。
図15は、比較例4に係る半導体積層構造を示す図である。実施例3の図9と比較し、第1半導体層12aをInPとしている。その他の構造は実施例3と同じである。図16は、実施例3と比較例4に係る半導体積層構造のスピン軌道相互作用の強さを示すパラメータαをキャリア密度に対しシミュレーションした結果である。図16のように、実施例3は比較例4に比べαを大きくすることができる。これは、実施例3では第1半導体層12を4元化合物半導体としたため、ΔEv1を大きくしたまま、ΔEc1を小さくできたためである。これにより、第1界面32における電子分布を大きくすることができる。
実施例4は、第2半導体層のIn組成比を高くした例である。図17は、実施例4に係る半導体積層構造を示す図である。実施例4においては、第2半導体層14をIn0.8Ga0.2As層としている。サンプルAでは、第2半導体層14の膜厚は10nmであり、サンプルBでは、5nmである。その他の構造は実施例3と同じである。
図18(a)から図18(c)は、それぞれ、実施例3、実施例4のサンプルAおよびサンプルBおけるキャリア濃度に対するαのシミュレーション結果を示した図である。第2半導体層14の電界変化に起因したαF2、第1界面32での電界の不連続に起因したαI1および第2界面34での電界の不連続に起因したαI2を示している。
図18(a)と図18(b)との比較から、第2半導体層14のIn組成を大きくすることにより、αF2およびαI1を増大させることができる。よって、αtotalを増大させることができる。これは、In組成比を大きくすることによりバンドギャップエネルギが小さくなりスピン軌道相互作用が大きくなるためと考えられる。
図18(b)と図18(c)との比較から、第2半導体層14の膜厚を小さくすると、αF2は小さくなるがαI1が大きくなる。これにより、αtotalはサンプルAとサンプルBとで同程度とすることができる。
以上より、第2半導体層14をInGaAs層とする場合、In組成比はInPと格子整合する0.53以上が好ましい。とくに、0.6以上が好ましく、0.8以下が好ましい。また、第2半導体層14の膜厚は5nm以上10nm以下が好ましい。
実施例1から実施例4を用いる例としてスピンフィルタ素子について説明したが、その他のスピン軌道相互作用を用いたデバイスに実施例1から実施例4の半導体積層構造を用いることもできる。例えば、非特許文献1に示した電界効果トランジスタに実施例1から実施例4の半導体積層構造を用いることもできる。
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 井戸層
12 第1半導体層
14 第2半導体層
16 第3半導体層
22、24 障壁層
32 第1界面
34 第2界面

Claims (8)

  1. 第1半導体層と、
    前記第1半導体層上に設けられ、前記第1半導体層よりバンドギャップ小さく、伝導帯のエネルギが前記第1半導体層の伝導帯のエネルギより小さく、価電子帯のエネルギが前記第1半導体層の価電子帯のエネルギより大きい第2半導体層と、
    前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に形成され、スピン軌道相互作用に起因した有効磁場が生じる第1界面と、
    前記第1半導体層と前記第2半導体層とを挟み、前記第1界面にスピン偏極した電子を閉じ込め、伝導帯のエネルギが前記第1半導体層および前記第2半導体層の伝導帯のエネルギより大きい2つの障壁層と、
    を具備し、
    前記第1半導体層および前記第2半導体層の少なくとも一方の全てが4元以上の化合物半導体層であり、
    前記第1界面の伝導帯の不連続エネルギは前記第1界面の価電子帯の不連続エネルギより小さく、
    前記2つの障壁層のいずれか一方は前記第1半導体層に接している半導体積層構造。
  2. 前記第1半導体層はInGaAsP層であり、前記第2半導体層はInGaAs層である請求項記載の半導体積層構造。
  3. 前記第1半導体層はInGaAsP層であり、前記第2半導体層はInGaAs層であり、前記2つの障壁層はInAlAsである請求項1または2記載の半導体積層構造。
  4. 前記第1半導体層は(In0.53Ga0.47As)(InP)(1−X)である請求項記載の半導体積層構造。
  5. 前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層より大きなバンドギャップを有し、伝導帯のエネルギが前記第2半導体層の伝導帯のエネルギより大きく、価電子帯のエネルギが前記第2半導体層の価電子帯のエネルギより小さい第3半導体層と、
    前記第2半導体層と前記第3半導体層との間に形成された第2界面と、
    を具備する請求項1からのいずれか一項記載の半導体積層構造。
  6. 前記第2界面の伝導帯の不連続エネルギは前記第1界面の伝導帯の不連続エネルギより大きく、
    前記第2界面の価電子帯の不連続エネルギは前記第1界面の価電子帯の不連続エネルギより小さい請求項記載の半導体積層構造。
  7. 前記第2半導体層上に設けられ、前記第2半導体層より大きなバンドギャップを有する第3半導体層と、
    前記第2半導体層と前記第3半導体層との間に形成された第2界面と、
    を具備し、
    前記第3半導体層は(In0.52Al0.48As)(In0.53Ga0.47As)(1−Y)である請求項記載の半導体積層構造。
  8. 前記InGaAs層のIn組成比は0.53以上である請求項3、4およびのいずれか一項記載の半導体積層構造。
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