(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面を参照して具体的に説明する。本実施形態に係る改質装置は定置用、産業用または車両用の燃料電池システムに適用される。図1は改質装置1の全体概念を示す。図2および図3は改質装置1の主要部を示す。図1に示すように、改質装置1は、燃焼室20を形成する改質部2と、燃焼室20に挿入され改質部2を加熱する燃焼部25と、蒸発部50と、シフト部60と、CO酸化部53とをもつ。燃焼部25には、燃焼用燃料(または燃料電池のアノードから排出されたアノードオフガス)および燃焼用空気が供給される。改質部2は、鉛直方向に沿った中心軸線P1をもつ筒形状をなしており、改質用燃料(改質用燃料原料)を水蒸気により改質させ、水素を主要成分とする(例えば30モル%以上)改質ガスを生成する。改質用燃料がメタンを含む場合には、下記の(1)式に基づく。
図2に示すように、改質部2は、外通路21と、外通路21に対して内側となるように同軸的に形成された内通路22と、外通路21の上部と内通路22の上部とを繋ぐ折返通路23とを有する。内通路22および外通路21は第2耐火層47で仕切られている。外通路21の下部は改質部2の入口2iとされている。内通路22の下部は改質部2の出口2pとされている。外通路21および内通路22には、改質触媒を担持した触媒担体20aが収容されている。触媒担体20aは粒状とされている。
図2に示すように、改質部2の外周側には、筒形状をなす第1耐火層41が設けられている。第1耐火層41は、改質部2に同軸的な周壁層41aと、改質部2の上部を覆う天井層41cとを有する。天井層41cには中間蓋42が取り付けられている。第1耐火層41の内周面および外周面は、燃焼室20に連通する筒形状をなす第1燃焼通路43および第2燃焼通路44を同軸的にそれぞれ形成する。第2燃焼通路44は、外部に連通する燃焼排ガス通路45に連通する。更に第1耐火層41で区画される第2燃焼通路44の外周側には、改質水を蒸発させる蒸発部50が同軸的に形成されている。蒸発部50は、空間幅が狭いリング形状または筒形状の空間で形成されている。蒸発部50の下部には、改質水を供給する水入口50iが形成されている。水搬送源としてのポンプ50mが駆動すると、水入口50iから蒸発部50に改質水(原料水)が供給される。蒸発部50の上部には、改質水を加熱して生成した水蒸気を吐出する水蒸気出口50pが形成されている。このため蒸発部50において水および水蒸気は上向きに流れる。但し、蒸発部50において水および水蒸気を下向きに流すことにしても良い。液相状の水である改質水を蒸発部50に供給する水搬送源として機能するポンプ50mが設けられている。制御部100はマイコンおよびメモリを有しており、ポンプ50m、バルブなどを制御する。
蒸発部50の外周側には、筒形状をなす第3耐火層48を介して、筒形状をなすCO酸化部53が同軸的に隣設されている。第3耐火層48は、CO酸化部53の熱が蒸発部50に伝達されることを抑制し、CO酸化部53の温度を確保するのに有効である。CO酸化部53の下部には、後述する混合室に連通する入口53iが形成されている。CO酸化部53の上部には、燃料電池のアノードに連通する出口53pが形成されている。
図1に示すように、燃焼室20で燃焼された燃焼ガスは、第1燃焼通路43を下降し,第2燃焼通路44を上昇して流れ、燃焼排ガス通路45から外部に向けて排出される。蒸発部50は第2燃焼通路44を流れる燃焼ガスにより加熱される。
更に、図1に示すように、改質装置1は、改質部2の下方に配置された熱交換部54と、熱交換部54の下方に配置されたシフト部60と、シフト部60と熱交換部54との間に配置された電気式のヒータをもつ暖機部55(起動時に使用)とを備えている。ここで、改質部2の下流(下方)に熱交換部54が設けられている。熱交換部54の下流(下方)にシフト部60が設けられている。熱交換部54は、互いに熱交換可能な第1熱交換通路54aおよび第2熱交換通路54cを有する。熱交換部54は、燃料原料としての改質用燃料(例えば炭化水素系ガス)を供給する原料入口54iと、蒸発部50で生成された水蒸気が供給される水蒸気入口54kとを有する。
シフト部60は、下記の(2)式に基づいて、水蒸気(H2O)を利用するシフト反応を促進させ、改質ガスに含まれているCOを低減させる。COシフト部60は、シフト反応を促進させるシフト触媒を有する触媒担体60aを有する。シフト触媒は例えば銅−亜鉛系触媒が採用されるが、これに限定されるものではない。触媒担体60aは粒状をなす。シフト部60は、改質ガスを流す改質ガス通路を形成する改質ガス通路形成部材61を有する。改質ガス通路形成部材61は、内側の第1シフト通路61f(上流領域)を形成する内筒62と、外側の第2シフト通路61s(下流領域)を形成するように内筒62に対して同軸的に配置された外筒63と、内筒62の先端部(下端部)側に設けられた円形状をなす第1多孔板64と、内筒62の基端部(上端部)側に設けられたリング形状をなす第2多孔板65と、外筒63の下面開口および内筒62の下面開口を閉鎖する閉鎖板66とを有する。第1シフト通路61fおよび第2シフト通路61sは、内筒62で仕切られているため、内筒62は仕切部材として機能する。第1シフト通路61fおよび第2シフト通路61sには、シフト触媒を担持する触媒担体60aが収容されている。
第1多孔板64および閉鎖板66は折返通路67を形成し、第1シフト通路61fの改質ガスを矢印E方向にUターンさせて第2シフト通路61sに流す。第1多孔板64は多数の通孔を有しており、ガス通過性を確保しつつ、シフト触媒を担持する触媒担体60aが落下することを抑制する。第2多孔板65は多数の通孔を有しており、ガス通過性を確保しつつ、シフト触媒を担持する触媒担体60aが飛散することを抑制する。外筒63には、酸素を含む空気(酸素含有ガス)が供給される空気通路70(酸素含有ガス通路)を形成する第1形成部材71(酸素含有ガス通路形成部材)が設けられている。
CO酸化部53は、シフト部60の下流に配置されており、シフト部60で浄化された改質ガスに含まれているCOを下記の式(3)に基づいて、酸化させて低減させる酸化反応を促進させるものである。このためCO酸化部53は、酸化反応を促進させる酸化触媒を有する触媒担体53aを有する。触媒担体53aは粒状とされている。酸化触媒は例えばルテニウム系、白金系、白金−ルテニウム系等の貴金属触媒が採用されるが、これに限定されるものではない。
式(1)…CH4+H2O→3H2+CO(吸熱反応)
式(2)…CO+H2O→H2+CO2(発熱反応)
式(3)…CO+1/2O2→CO2(発熱反応)
次に改質装置1を作動させるときについて図1を参照して説明する。この場合、燃焼用空気を燃焼部25に供給すると共に、燃焼用燃料を燃焼部25に供給する。これにより燃焼部25が着火され、燃焼室20において燃料火炎25cが生成される。燃焼用燃料としては気体燃料でも、液体燃料でも、粉化燃料でも良い。具体的には、炭化水素系燃料、アルコール系燃料が採用できる。例えば、炭化水素系の都市ガス、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が採用できる。燃焼部25により改質部2が改質反応に適するように高温(例えば400〜900℃)に加熱される。改質部2と共に蒸発部50、シフト部60およびCO酸化部53も加熱される。
改質部2が適温領域にされたら、改質水(改質反応前の水)が蒸発部50の水入口50iに供給される。改質水は蒸発部50において加熱されて水蒸気化される。生成された水蒸気は、蒸発部50を上昇し、蒸発部50の水蒸気出口50pから水蒸気通路75を経て熱交換部54の水蒸気入口54kを介して合流域56に到達する。これに対して、改質用燃料(燃料原料)は熱交換部54の原料入口54iから熱交換部54の合流域56に供給される。これにより合流域56において、改質用燃料と水蒸気とが合流して混合される。改質用燃料としては気体燃料でも、液体燃料でも良い。具体的には、炭化水素系燃料、アルコール系燃料が採用できる。例えば、炭化水素系の都市ガス、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が採用できる。
合流した混合流体が熱交換部54の低温側の第1熱交換通路54aを流れて改質部2の外通路21の入口2iに至る。このとき改質部2の内通路22の出口2pから吐出された高温の改質ガスは、熱交換部54の第2熱交換通路54cを流れる。このため相対的に高温の改質ガスと、改質ガスよりも相対的に低温の混合流体とは互いに熱交換される。従って、改質反応前の混合流体が予熱される。予熱された混合流体は改質部2の外通路21に流入して矢印A方向(図2参照)に流れ、折返通路23をUターンして内通路22に流入して矢印B方向(図2参照)に流れる。このとき水蒸気および改質用燃料が混合した混合流体は、上記した(1)に示す改質反応により、水素リッチ(20モル%以上)な改質ガスとなる。この改質ガスは一酸化炭素を含む可能性がある。
更に、改質反応を経た高温の改質ガスは、改質部2の内通路22の出口2pから熱交換部54に矢印C方向(図2参照)に流入する。即ち、高温の改質ガスは、熱交換部54の高温側の第2熱交換通路54cを通過することにより、低温側の第1熱交換通路54aの混合流体を加熱する。更に、改質ガスは、暖機部55を経て、シフト部60の入口60iからシフト部60の第1シフト通路61fに矢印D方向に流入する。シフト部60においては、上記した式(2)に示すように、水蒸気を利用したシフト反応が行われる。これにより改質ガスに含まれている一酸化炭素(有害ガス)の濃度が低減される。
更に、シフト部60において一酸化炭素の濃度が低減された改質ガスは、シフト部60から折返通路67を矢印E,G方向(図4参照)に流れ、第2多孔板65を通過し、混合室に至る。更に、改質ガスは混合室を流れ、混合室の出口81pから通路85を矢印H,I方向(図2参照)に流れ、入口53iからCO酸化部53内に流入する。CO酸化部53の酸化反応室53sにおいては、改質ガスは矢印J方向(上向き,図2参照)に流れる。CO酸化部53において、上記した式(3)に示すように、酸素を利用した酸化反応(CO+1/2O2→CO2)が行われる。この結果、改質ガスに含まれているCOが浄化されて更に低減される。このように浄化された改質ガスは、CO酸化部53の出口53pからアノードガスとして、燃料電池の燃料極(アノード)に供給される。カソードガスとして機能する空気は、燃料電池の酸化剤極(カソード)に供給される。これにより燃料電池において発電反応が発生し、電気エネルギが生成される。アノードガスの発電反応後のオフガス(燃料電池のアノードから排出されたガス)は、発電反応が行われなかった水素を含む。このためオフガスは燃焼部25に供給されて燃焼され、燃焼部25の熱源となる。なお、改質装置1の全体は、断熱材料で形成された外殻状をなす被覆層200(図1参照)で被覆されている。被覆層200は、保温性を高めるともに、外方に対する断熱性を高める。
更に本実施形態の改質装置1について、図2を参照して説明を加える。改質装置1は、内周から外周に向かうにつれて、第1筒91、第2筒92、第3筒93、第4筒94、第5筒95、第6筒96、第7筒97、第8筒98および第9筒99を中心軸線P1に対して同軸的に有する。各筒91〜99は円筒形状をなしており、金属(例えばステンレス鋼)で形成されている。ここで、改質部2は、第1筒91と、第2筒92と、第3筒93と、第4筒94とを同軸的に配置している。第1筒91は有底形状をなしており、底部91cと、底部91cに溶接または取付具で固定された下向きに突出する係合ピン91eとを有する。
図3に示すように、第1筒91の外周面と第2筒92の内周面とで、改質用の触媒担体20aが収容されている筒形状をなす内通路22(ガス通路,触媒通路)が形成されている。第3筒93の外周面と第4筒94の内周面とで、改質用の触媒担体20aが収容されている筒形状をなす外通路21(ガス通路,触媒通路)が形成されている。第4筒94の外周面と第1耐火層41の内周面とで、リング形状または筒形状をなす第1燃焼通路43が形成されている。第5筒95の内周面は第1耐火層41を被覆している。第5筒95の外周面と第6筒96の内周面とで、リング形状をなす第2燃焼通路44が形成されている。第6筒96の上面開口は主蓋49で閉鎖されている。第6筒96の外周面と第7筒97の内周面とで、リング形状または筒形状の空間で形成された蒸発部50が形成されている。第7筒97の外周面と第8筒98の内周面とで、筒形状をなす第3耐火層48が被覆されている。第8筒98の外周面と第9筒99の内周面とで、筒形状をなすCO酸化部53が形成されている。
図2に示すように、各筒の下方には金属製の主固定部86が配置されている。但し主固定部86は耐火物製としても良い。主固定部86は、改質部2の外通路21に連通する第1連通孔86fと、改質部2の内通路22に連通する第2連通孔86sとを有する。第3筒93の下端部、第4筒94の下端部、第6筒96の下端部は、金属製の主固定部86に溶接等で固定されている。第1筒91の上端部と第4筒94の上端部とには、リング形状の蓋88が溶接等で接合されている。
改質部2の外通路21の下部には、ガス通過性をもつ第1多孔板110が配置されている。第1多孔板110は中心軸線P1に対して同軸的なリング形状をなしており、厚み方向に貫通する多数の通孔110mを有する金属製のパンチングメタルまたは網部材で形成されている。第1多孔板110は、外通路21に収容されている触媒担体20aが落下することを抑制する。主固定部86には副固定部87が載せられている。副固定部87は耐火材または金属で形成されている。副固定部87と主固定部86とは、改質ガスを通過させるためにガス通過性をもつ主多孔板150が保持されている。主多孔板150は円形状をなしており、改質ガスを通過させるために、厚み方向に貫通する多数の通孔150mを有するパンチングメタルまたは網部材で形成されている。第1筒91の係合ピン91eは、主多孔板150の係合孔150eに挿入されて係合している。これにより組付時において第1筒91の位置決め精度が確保され、第1筒91の同軸性が確保され易くなる。故に、内通路22の通路幅をこれの周方向において均一化させるのに貢献できる。このため内通路22における触媒反応のムラが低減され、改質反応を良好になし得る。
図2および図3に示すように、CO酸化部53のうち下部には、ガス通過性をもつ第2多孔板120が保持されている。CO酸化部53のうち上部には、ガス通過性をもつ第3多孔板130が保持されている。第2多孔板120および第3多孔板130は、中心軸線P1に対して同軸的なリング形状をなしており、厚み方向に貫通すると共に分散された多数の通孔120m,130mを有するパンチングメタルまたは網部材で形成されている。第2多孔板120は、CO酸化部53の触媒担体53aが落下することを抑制する。第3多孔板130は、CO酸化部53の触媒担体53aに対してガス通過性を確保しつつ蓋をしている。また、製造から輸送を経て改質装置1を設置するまでの間において、改質装置1が傾き、CO酸化部53の触媒担体53aが落下したりこぼれたりすることを抑制する役目を果たす。
CO酸化部53は、第2多孔板120の下方にリング形状をなす下部空間53dと、第2多孔板120の上方にリング形状をなす上部空間53uとを有する。
図2および図3に示すように、第2燃焼通路44には応答性促進部材として機能する伝熱フィン46が挿入されている。第6筒96の下部には、径内方向に突出する突起96a(係合体)が形成されている。突起96aは、第6筒96の周方向において間隔を隔てて断続的に複数個設けられている。突起96aは、第5筒95と第6筒96との同軸性を高めるのに貢献できる。更に、伝熱フィン46の落下は突起96aにより抑制されている。改質装置1の組付時に、改質装置1を構成する部品が上下逆に配置されることがある。このような場合であっても、中間蓋42のフランジ部42fにより伝熱フィン46の落下が抑制される。
本実施形態によれば、図1および図4に示すように、混合室を有する冷却部80がシフト部60に隣設されている。混合室は、シフト部60の第1シフト通路61f(上流領域)の入口60iに隣設されつつ、シフト部60の第2シフト領域60s(下流領域)の出口60pに隣設されている。換言すると、混合室は、シフト部60の上流領域および下流領域の双方に隣設されている。混合室には、空気(大気)を供給する空気通路70の入口70iが連通する。ここで、シフト反応は、上記した式(2)(CO+H2O→H2+CO2)に基づき、発熱を伴う。改質装置1の運転条件、触媒担体20a,53a,60aの触媒の種類等によっても相違するが、入口60iは一般的には150〜300℃の範囲、殊に180〜220℃の範囲となる。改質装置1の運転時において、シフト部60が必要以上に過剰に高温化されると、上記した発熱を伴うシフト反応に基づくCO濃度を低減させる効果が発現されにくくなる傾向がある。殊に、改質部2で改質された改質ガスが熱交換部54を介してシフト部60に供給されるため、シフト部60は高温となりがちである。触媒担体53aの触媒の活性温度域よりも高くなり、触媒の活性が過剰に低下することもある。
この点について本実施形態によれば、図1に示すように、空気が供給されることにより冷却機能を果たす混合室は、シフト部60に隣設されている。このため、改質装置1の運転中において、発熱を伴うシフト反応を行うシフト部60を、混合室の空気(大気)により積極的に冷却させることができ、シフト部60におけるCO低減効果が良好に得られる。このようにCO酸化部53に供給される前の空気でシフト部60を冷却させることができるため、専用の冷却機構を廃止でき、コストダウンが可能となる。混合室の空気の温度はシフト部60の常用温度域よりも低いものであり、例えば、シフト触媒の活性温度域の最低値(例えば150程度)にできる。
殊に本実施形態によれば、空気が供給される混合室は、シフト部60の第1シフト通路61f(上流領域)のうち入口60iと、シフト部60の第2シフト通路61と(下流領域)のうち出口60pの双方に隣設されている。このため、発熱を伴うシフト反応を行うシフト部60の入口60iおよび出口60pの双方を、空気(大気)により積極的に冷却させることができる。殊に、シフト部60の上流領域を積極的に冷却させることは有効である。なかでも上流領域の入口60iを積極的に冷却させることは有効である。その理由としては、改質部2から熱交換部54を経た直後の改質ガス(CO濃度が高い)が入口60iからシフト部60の第1シフト通路61f(上流領域)に供給されるため、当該上流領域、殊に入口60iを冷却させることは有効である。
混合室の中心軸線は、中心軸線P1と同軸である。混合室は、中心軸線P1の回りを1周するリング形状または筒形状の空間をなしており、シフト部60(殊に入口60i)に対して同軸的とされている。このためシフト部60(殊に入口60i)を冷却させる冷却面積を増加させるのに有利である。
更に説明を加える。混合室には、改質部2で生成された一酸化炭素を含む可能性がある改質ガス(シフト部60を流れ且つCO酸化部53に供給される前の改質ガス)と、空気通路70の入口70iから空気(酸素含有ガス)とが供給されて混合される。従って、混合室は、改質ガスと空気とをCO酸化部53の上流において混合させる混合室として機能することができる。改質ガス通路としての第2シフト通路61sは、混合室の軸線(中心軸線P1)に対して延設された通路を形成している。従って、第2シフト通路61s(改質ガス通路)は、第2シフト通路61sが延設されている方向に沿って、つまり矢印G方向(上向き)に沿って、改質ガスを流す。
これに対して図4に示すように、酸素含有ガス通路として機能する空気通路70は、空気(酸素含有ガス)を混合室の中心軸線P1に対して直角方向に沿って径内方向(矢印R方向)に向けて流す。ここで、図4に示すように、混合室の内周側には方向変換部82が設けられている。方向変換部82は、第2シフト通路61sから供給される改質ガスと、空気とを互いに衝突させるように案内する機能を有する。具体的には、中心軸線P1を通る断面(図1および図4)において、方向変換部82は、中心軸線P1の回りを1周するように設けられており、中心軸線P1に対してほぼ直状に傾斜されている傾斜面82aを有する。中心軸線P1と平行な方向に対する傾斜面82aの傾斜角θ1は、20〜80度の範囲内、30〜60度の範囲内、あるいは、35〜55度の範囲内とすることができる。
図4に示すように、方向変換部82は、冷却通路(改質部2)の中心軸線P1に対して傾斜されている。方向変換部82は、重力方向の下方に向かうにつれて縮径するように傾斜している。すなわち方向変換部82は、上方に向かうにつれて拡径するように傾斜している。空気が混合室に供給されていないとき、方向変換部82は、第2シフト通路61sを矢印G方向(中心軸線P1に沿った方向)に流れる改質ガスを、混合室において径外方向(矢印S方向)に指向させる。更に、改質ガスが流れていないとき、方向変換部82は、空気通路70は、矢印R方向に流れる空気を混合室において混合室の軸線(中心軸線P1)が延設されている方向(図4に示す矢印T方向)に指向させる。この結果、混合室において、改質ガスと空気とを互いに対向させて衝突させるように、方向変換部82は改質ガスおよび空気を案内させる。このため、混合室において改質ガスおよび空気同士が衝突流となり易い。故に、混合室において乱流化が進行し、混合室における改質ガスおよび空気同士の混合性を高めることができる。
本実施形態によれば、方向変換部82は、内筒62の基端部62bを径外方向に円錐形状に拡径加工させることにより形成されている。この場合、拡径加工の際に、加工硬化による方向変換部82の強度増加を期待できる。上記したように方向変換部82は内筒62の一部分で形成されているため、別部品を必要とせず、部品の点数を低減できる。上記した内筒62は、シフト部60と冷却部80とを仕切る仕切部材として機能する。混合室は、シフト部60と冷却部80とを仕切る内筒62(仕切部材)を用いて形成されている。この場合、内筒62(仕切部材)を介してシフト部60および冷却部80は隣設されている。
図5は、混合状態を平面から視認する概念形態を模式的に示す。図5に示すように、混合室に供給された改質ガスは、方向変換部82により径外方向(矢印S方向)に指向する。これに対して、空気通路70の入口70iから混合室に供給される空気は、径内方向(矢印R方向)に向かい、更に方向変換部82に当たると、矢印T方向(図4参照)に指向する。このため、殊に空気通路70の入口70i付近においては、空気と改質ガスとの対向流としての衝突度が高くなる。これにより混合室における乱流化が促進される。故に、混合室における空気と改質ガスとの均一混合性が増加する。殊に空気通路70の入口70i付近においては、上記した均一混合性が増加する。
ここで、空気通路70の入口70iは、混合室において出口81pから最も遠い位置に設けられている。空気通路70の入口70iから混合室に供給された空気は、混合室の周方向に沿って流れ、混合室の出口81pから吐出される。上記したように空気と改質ガスとの混合室における混合性が向上すれば、空気を含む改質ガスが入口53iからCO酸化部53に供給されたとき、CO酸化部53におけるCO酸化反応を良好に実施することができる。ここで、反応を促進させるためには、均一に混合させることが重要である。上記した混合室に方向変換部82を形成する構成を採用すれば、混合室における水素と酸素との均一混合性が向上される。
なお、図5によれば、空気通路70の入口70iが単数である形態を示す。更に、空気通路70の入口70iが混合室の周方向において複数個設けられている形態でも良い。この場合、空気と改質ガスとの均一混合性が更に増加する。図4から理解できるように、シフト部60の入口60iにおいて、外周側を流れる改質ガスが方向変換部82の傾斜面82cに当たると、改質ガスは矢印KA方向(図4参照)に中心軸線P1に向けて指向するように案内される。更に本実施形態によれば、図5に示すように、混合室は中心軸線P1の回りにリング形状または筒形状に延設されている。故に、混合室自体を流れる通路距離(入口70iから出口81pまでの通路距離)が確保される。故に、混合室において空気と改質ガスとを混合させる混合距離を確保でき、空気と改質ガスとの混合性を更に向上させるのに有利となる。
加えて本実施形態によれば、図1に示すように、シフト部60に隣設されている冷却部80の混合室の出口81pからCO酸化部53の入口53iまで通路85が延設されている。すなわち冷却部80の混合室はCO酸化部53の上流に配置されており、混合室とCO酸化部53とを繋ぐ通路85の通路距離が存在している。また出口81pにより径が絞られ圧損が高くなるため、更に、ガス混合性が向上する。このため、空気を含む改質ガスが通路85を流れるとき、改質ガスと空気とを通路85(CO酸化部53の上流の配管)において拡散などで更に混合させることができ、混合性を更に一層高めることを期待できる。よってCO酸化部53における酸化反応性を一層向上させるのに有利となる。
更に本実施形態によれば、前述したように、図4に示すように、シフト部60は、シフト触媒を担持する触媒担体60aを収容すると共に改質ガスを流す第1シフト通路61fを形成する内筒62と、シフト触媒を担持する触媒担体60aを収容すると共に改質ガスを流す第2シフト通路61sを形成する外筒63と、内筒62の先端部62cに対向するように内筒62および外筒63の軸直角方向に沿って配置された第1多孔板64とを有する。第1多孔板64は厚み方向に貫通する通孔をもつ。図4に示すように、隙間幅を有する微小隙間68が内筒62の先端部62cと第1多孔板64との間に形成されている。これにより内筒62の軸線方向に沿った熱膨張が大きいときであっても、内筒62の先端部62cが第1多孔板64が過剰に衝突しないようにされている。従って第1多孔板64、内筒62の薄肉化を図りつつ、これらの長寿命化および耐久性が確保される。殊に、多数の通孔をもつ第1多孔板64の変形が抑制される。
さて、図2は本実施形態の特徴を示す。図2に示すように、第1筐体として機能する第7筒97は、蒸発室51(流体通路)を形成する蒸発部50を構成しており、ステンレス鋼、炭素鋼等の合金鋼に代表される金属(伝熱材料)で形成されている。蒸発部50は、前述したように、蒸発室51に原料を供給する水入口50iをもつ。水入口50iは蒸発室51の下端51dに形成されている。すなわち、水入口50iは蒸発室51の上端51uよりも下端51dに近くなるように配置されている。
図6に示すように、第1温度センサ810の第1温度検知部811は信号線813を有しており、蒸発室51内に進入されておらず、蒸発室51を形成する第7筒97自体の温度を検知するように、第7筒97の外壁面側に第1取付具850により着脱可能に取り付けられている。このため第1温度センサ810の第1温度検知部811自体には、蒸発室51を流れる液相状の水、水に含まれる異物等が溜まるおそれが抑制される。このため第1温度センサ810の第1温度検知部811が液相状の水、異物等の温度を誤検知することが抑えられる。更に第1温度検知部811が、水蒸気を含むガスにより酸化劣化することが抑制される。従って、第1温度センサ810の第1温度検知部811の検知精度の信頼性の向上を高めると共に、第1温度センサ810の第1温度検知部811における耐久性の向上および長寿命化に有利となる。
ここで、水入口50iから蒸発室51に供給される液相状の原料水は、一般的には、蒸発室51における水蒸気の温度よりも低い。このため、第1温度センサ810の第1温度検知部811は、液相状の原料水の温度の影響を受けないことが好ましい。この場合、蒸発室51の下端51dから蒸発室51の上端51uまでの高さにおいて、第1温度センサ810の第1温度検知部811は、第7筒97において、蒸発室51の下端51dよりも蒸発室51の上端51uに近くなるように配置されている。この結果、改質装置1の高さ方向において、水入口50iから第1温度センサ810の第1温度検知部811をできるだけ遠ざけている。従って、水入口50iから蒸発室51に供給された液相状の原料水の影響を第1温度センサ810の第1温度検知部811が受けることが抑制され、第1温度センサ810の第1温度検知部811で計測する温度の信頼性を高めるのに有利である。なお、蒸発室51の下端51dから蒸発室51の上端51uまでの高さ寸法を100(図6に示すH1)として相対表示すると、第1温度センサ810の第1温度検知部811は、蒸発室51の下端51uから60〜100の範囲内、70〜100の範囲内、80〜100の範囲内、90〜100の範囲内に配置されていることが好ましい。
更に図2に示すように、改質装置1の周方向において、第1温度センサ810の第1温度検知部811は水入口50iと反対側に位置しており、水入口50iから遠ざけられている。
更に、第7筒97のうち第1温度検知部811を取り付ける壁部分97mは、鉛直方向に沿っている。従って、仮に、液相状の原料水が第7筒97の壁部分97mの内壁面に付着したとしても、その液相状の水を重力により速やかに流下させることができる。よって、第1温度センサ810の第1温度検知部811が第7筒97の外壁面側に設けられているときであっても、第1温度センサ810の第1温度検知部811で計測する温度の信頼性を高めるのに有利である。更に、万一、第1温度センサ810が故障したしても、第1温度センサ810の交換も容易である。
本実施形態によれば、図6に示すように第2筐体として機能する第9筒99(筐体)は、酸化反応室53s(流体通路)を形成するCO酸化部53を構成しており、ステンレス鋼、炭素鋼等の合金鋼に代表される金属(伝熱材料)で形成されている。CO酸化部53は、酸化反応室53sに空気(酸素含有ガス)と改質ガスとが混合した混合ガスを供給する入口53i(酸素入口)をもつ。入口53iはCO酸化部53の下端側に形成されている。ここで、第2温度センサ820の第2温度検知部821は信号線823を有しており、酸化反応室53s内に進入されておらず、酸化反応室53sを形成する第9筐体99の温度を検知するように、第9筒99の外壁面側に第2取付具850により取り付けられている。この結果、第2温度センサ820の第2温度検知部821自体には、酸化反応室53sを流れる異物(例えば触媒担体滓)等が溜まるおそれが抑制される。このため第2温度センサ820の第2温度検知部821が異物等の温度を誤検知することが抑えられる。更に第2温度検知部821が異物等により損傷されることが抑制される。従って、第2温度センサ820の第2温度検知部821の検知精度の信頼性の向上を高めると共に、第2温度センサ820の第2温度検知部821における耐久性の向上および長寿命化に有利となる。
更に、第2温度センサ820の第2温度検知部821は、CO酸化部53内の水素を主要成分とする改質ガスに非接触である。このため第2温度検知部821が水素脆化することが抑えられており、第2温度検知部821の耐久性の向上、長寿命化を図り得る。更に、万一、第2温度センサ820が故障したとしても、第2温度センサ820の交換が容易である。
空気(酸素含有ガス)は、改質ガスと共に入口53iからCO酸化部53の酸化反応室53sに供給される。このため酸化反応室53sのうち入口53i付近(上流領域)において、酸化反応が進行し易い。酸化反応は発熱を伴う。このため酸化反応室53sにおいては下流領域よりも上流領域が高温となり易い。ここで、酸化反応室53sの温度としては、低めに計測されるよりも、高めに計測された方が酸化反応室53sの酸化反応を把握する計測温度として好ましい。そこで上記した場合では、第2温度センサ820の第2温度検知部821が酸化反応室53sにおいて下流領域よりも上流領域に配置されている。
図6に示す第2多孔板120は複数の通孔120mを分散させて有しており、CO酸化部53の酸化反応室53sの上流に設けられており、触媒担体53aを支持するばかりか、酸化反応室53sに流入する改質ガスの拡散を促進させる拡散促進部材として機能することができる。この場合、第2多孔板120は、第9筒99(筐体)のうち取付具850が設けられている壁部分99mの上流に位置している。このように第2多孔板120の複数の通孔120mは、酸化反応室53sに流入する改質ガスの拡散を促進させる。これにより酸化反応室53sにおける酸化反応が場所的に分散化される。故に、酸化反応室53sにおける局部的な酸化反応(発熱反応)が抑制される。この場合、CO酸化部53の熱が均一に第2温度センサ820の第2温度検知部821に伝達され易くなる。故に、第2温度センサ820の第2温度検知部821が第9筒99の外壁面側に設けられているにもかかわらず、第2温度センサ820の第2温度検知部821による温度検知の信頼性を向上させることができる。
また、改質装置1の外部の温度が外乱などにより急激に変動すると、第1温度センサ810の第1温度検知部811の検知精度、第2温度センサ820の第2温度検知部821の検知精度は低下するおそれがある。この点について本実施形態によれば、上記した第1温度センサ810の第1温度検知部811と、第2温度センサ820の第2温度検知部821とは、被覆層200で覆われている。このため第1温度検知部811および第2温度検知部821が改質装置1の外部の温度の外乱の影響を受けることが抑制されている。従って第1温度検知部811および第2温度検知部821の検知精度の信頼性が高められている。
なお、本実施形態によれば、蒸発室51から第7筒体97を介して第1温度検知部811に至るまでの伝熱遅れ、伝熱ロス等が存在するおそれがある。このため第1温度検知部811で計測した計測温度と蒸発室51内の実温度とは厳密には一致するものではないが、その差は微小値である。このため、制御モードにおいてそれを前提としておけば、第1温度検知部811で計測した計測温度を蒸発室51の実温度として認定しても実用上の支障はない。更に、第1温度検知部811で計測した計測温度を補正して補正温度とし、その補正温度を蒸発室51内の実温度として制御モードにおいて採用しても良い。同様に第2温度検知部821で計測した計測温度を補正して補正温度とし、その補正温度をCO酸化部53の実温度として制御モードにおいて採用しても良い。
(実施形態2)
図7および図8は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。金属製の取付具850は、第7筒97(または第9筒99)の外壁面に溶接などで突設され第7筒97(または第9筒99)から伝熱されるボルトで形成された突部852と、突部852に取り付けられ第1温度検知部811が伝熱可能に挿入される挿入孔853を有する圧着可能な圧着部854(接合部)をもつ接合部材855と、圧着部854をもつ接合部材855を突部852に着脱可能に取り付ける第1締結要素として機能する第1ナット856と、第1ナット856の緩みを抑制する第2締結要素として機能する第2ナット857とを有する。接合部材855の挿入孔853は突部852に嵌合されている。第1ナット856の雌ねじおよび第2ナット857の雌ねじは、突部852の雄ねじに螺合して、接合部材855を締結させる。圧着部854をもつ接合部材855、第1ナット856および第2ナット857は、伝熱性が良好な金属、例えばステンレス鋼や炭素鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、チタン合金、銅合金等で形成されている。圧着部854の挿入孔853に第1温度センサ810の第1温度検知部811(第2温度センサ820の第2温度検知部821)が挿入された状態で、圧着部854は工具等により塑性変形される。このため、第1温度検知部811(第2温度検知部821)が圧着部854に伝熱可能に取り付けられる。なお,図7および図8において、WAは第7筒97(筐体)から第1温度検知部811(または第2温度検知部821)までの伝熱経路を示す。第1温度検知部811は信号線813をもつ。第2温度検知部821は信号線823をもつ。
(実施形態3)
図9は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。図9に示すように、接合部として機能する圧着部854の挿入孔853の断面形状は六角形状(多角形状)とされている。第1温度検知部811の断面形状は円形状とされている。この場合、挿入孔853の内壁面と第1温度検知部811の外壁面とは複数箇所で接触する。このため伝熱経路WAは複数となる。第1温度検知部811は複数の伝熱経路WAから伝熱されるため、検知精度の信頼性が向上できる。第2温度検知部821についても同様である。
(実施形態4)
図10は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。図10に示すように、筐体として機能する第7筒97は、流体通路である蒸発室51から退避する方向に退避室51eを有する。取付具850は、第7筒97のうち退避室51eを形成する壁部分97mに設けられている。壁部分97mに第1取付具850が溶接などにより固定状態に突設されている。壁部分97mは、第1取付具850の取付性、取付作業性、接触面積の確保、伝熱性等を考慮すると、平坦であることが好ましい。なお第1温度センサ810の第1温度検知部811は、退避室51eにより蒸発室51から退避しているため、蒸発室51に供給される液相状の原料水の温度の影響を受けにくくなる。
(実施形態5)
図11は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。図示しないものの、蒸発室51を形成する第7筒97の温度を計測する第1温度センサ810の第1温度検知部811、酸化反応室53sを形成する第9筒99の温度を計測する第2温度センサ820の第2温度検知部821が設けられている。
更に図11に示すように、改質ガスに含まれている一酸化炭素を水分子と反応させるシフト反応により低減させるシフト部60が外筒63(第3筐体)により形成されている。外筒63は伝熱性が良好な金属、例えばステンレス鋼や炭素鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、チタン合金等で形成されている。
この場合、第3温度センサ830aの第3温度検知部831aは、シフト反応室である第2シフト通路61sの入口付近を流れる改質ガスの温度を計測できる。第3温度センサ830bの第3温度検知部831bは、シフト部60における折返通路67を流れる改質ガスの温度を計測できる。第3温度センサ830cの第3温度検知部831cは、シフト反応室である第2シフト通路61sの出口付近を流れる改質ガスの温度を計測できる。
図11から理解できるように、第3温度センサ830dの第3温度検知部831dは、シフト部60に関連する混合室81の出口81p付近を流れる改質ガスの温度を計測できる。第3温度検知部831eは、シフト部60の入口60i付近を流れる改質ガスの温度を計測できる。このようにシフト部60を形成する第3筐体としての外筒63の外壁面側に第3温度センサ830a〜第3温度センサ830eを適宜設けることができる。このため、第3温度センサ830a〜第3温度センサ830eを外筒63(第3筐体)にこれの厚み方向に貫通させずとも良い。故に、第3温度センサ830a〜第3温度センサ830eを設ける位置の選択の自由度を高めることができる。なお、第3温度センサ830a〜第3温度センサ830eが故障した時においても、これらを容易に交換できる。
図11に示すガス通過性をもつ第1多孔板64は複数の通孔64mを分散させて有する。第2多孔板65は複数の通孔65mを分散させて有する。第1多孔板64および第2多孔板65は、第2シフト反応室61sにおける改質ガスの拡散を促進させる拡散促進部材として機能することができる。これによりシフト部60におけるシフト反応が場所的に分散化され、局部的なシフト反応(発熱反応)が抑制される。この場合、シフト部60で発生する熱が第3温度センサ830a〜830eの第3温度検知部831a〜831eに平均的に伝達され易くなる。従って、第3温度検知部831a〜831eが外壁63の外壁面側に取付具850により取り付けられているにもかかわらず、温度検知の信頼性を向上させるのに有利である。
(実施形態6)
図12は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。被覆層200は断熱材料で形成されており、全体として筒形状をなす。図示しないものの、上記した第1温度センサ810の第1温度検知部811と、第2温度センサ820の第2温度検知部821とは、被覆層200で覆われている。更に第3温度センサ830の第3温度検知部831も被覆層200で覆われている。このため改質装置1の外部の温度の外乱の影響を受けることが抑制されている。従って第1温度検知部811および第2温度検知部821の検知精度の信頼性が高められている。
被覆層200は、横方向(矢印X5方向)において複数個(2個)に分割された第1被覆層210と第2被覆層220とで形成されている。第1被覆層210および第2被覆層220は、それぞれ水平断面でC形状をなしており、バンド281,282により接合され、全体として筒形状を形成する。第1被覆層210は、鉛直方向に沿って延設された端面211を有する。第2被覆層220は、鉛直方向に沿って延設された端面221を有する。端面211および端面221は互いに対面して接合される。
端面211にはC形状の凹部213が複数個形成されている。端面221にはC形状の凹部223が複数個形成されている。第1被覆層210と第2被覆層220とが一体に組み付けられると、凹部213,223は、それぞれ嵌合孔251〜255を形成する。ここで、嵌合孔251は、燃料電池に向かう改質ガスの出口53pの配管に嵌合する。嵌合孔252は、蒸発部に水を供給する水入口50iの配管に嵌合する。嵌合孔253は、改質部に燃料原料を供給する原料入口54iの配管に嵌合する。嵌合孔254は、混合室に空気(冷却兼用酸化用空気)を供給する入口70iの第1形成部材71の配管にそれぞれ嵌合する。嵌合孔255は、燃焼用空気または燃焼用燃料の配管に嵌合する。
図12に示すように、第1被覆層210および第2被覆層220のうちの一方または双方には、厚み方向に圧縮可能な寸法誤差吸収用のシート状の断熱材250が貼り合わされている。凹部213の内面,凹部223の内面にも、断熱材250が貼り合わされている。このため寸法公差の影響等を回避しつつ、第1被覆層210および第2被覆層220が精度良く接合され、被覆層200の気密性が向上する。
(実施形態7)
図13は実施形態7を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。CO酸化部53の酸化反応室53sにおいて、第2温度センサ820の第2温度検知部821に対向するように応答性促進部材825が設けられている。CO酸化部53の酸化反応室53sの熱は、応答性促進部材825を介して第9筒99に伝達され、ひいては第2温度検知部821に伝達される。このため酸化反応室53sに収容される酸化触媒の触媒担体53aがアルミナ等の多孔質のセラミックスであり、伝熱性が高くない場合であっても、酸化反応室53sの温度変化に対する応答性を高めることができる。故に、第2温度センサ820の第2温度検知部821が第9筒99の外壁面側に取り付けられているにもかかわらず、第2温度センサ820の第2温度検知部821による計測の信頼性を高めることができる。応答性促進部材825は、ガス通気性を高める複数の通孔825mをもつ。なお、応答性促進部材825の母材は、炭素鋼、ステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、銅合金等の伝熱材料が挙げられる。
(実施形態8)
図14は実施形態8を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。第1温度センサ810の第1温度検知部811で計測した計測温度と、蒸発室51内の実温度とは、正確に一致することが好ましい。しかし、蒸発部50の蒸発室51から第7筒体97を介して第1温度検知部811に至るまでの伝熱遅れ、伝熱ロス等が存在する。従って、第1温度検知部811で計測した計測温度と蒸発室51内の実温度とは、必ずしも正確に一致するものではないおそれがある。そこで本実施形態によれば、制御部100は、第1温度センサ810の第1温度検知部811で計測した計測温度TAを補正する補正処理を実施する。
図14に示すように、制御部100は、第1温度センサ810の第1温度検知部811で計測した計測温度TAを読み込む(ステップS102)。現在が昇温過程か降温過程か、それとも温度変化なしの状態か否か判定する(ステップS104)。温度状態が昇温過程であれば、昇温変化率Vhを演算で求める(ステップS106)。この場合、Vh=昇温度/単位時間に基づく。単位時間は例えば1秒以下にできる。そして、昇温変化率Vhと第1所定値V1とを比較する(ステップS108)。昇温変化率Vhが第1所定値V1よりも小さいとき(Vh<V1)には、蒸発室51の昇温速度は過剰ではなく、蒸発室51の温度変化に対して計測温度TAの追従性が高いと推定される。従って、計測温度TAに対して補正値α1を加算して高温側に補正して補正温度TCとする(ステップS110)。また、計測温度TAの昇温変化率Vhが第1所定値V1以上のとき(V1≦Vh)には、蒸発室51の昇温速度が速く、蒸発室51の温度変化に対して計測温度TAの追従性が低いと推定される。この場合、計測温度TAよりも蒸発室51の実温度は高いと推定される。そこで、制御部100は、温度変化に対して計測温度TAに対して補正値α1,α2を加算するように昇温側(高温側)に補正して補正温度TCとする(ステップS112)。このように計測温度TAに対して昇温方向への補正値を増加させて補正温度TCとする。補正値α1,α2とは、単なる加算の他に、補正温度TCが計測温度TAよりも高温となるように、1を超える補正係数を計測温度TAに乗算しても良い。
またステップS104における判定の結果、温度状態が降温過程であれば、降温変化率Vcを演算で求める(ステップS146)。この場合、Vc=降温度/単位時間に基づく。そして、降温変化率Vcと第2所定値V2とを比較する(ステップS148)。降温変化率Vcが第2所定値V2よりも小さいとき(Vc<V2)には、蒸発室51の降温速度は過剰ではなく、蒸発室51の温度変化に対して計測温度TAは追従性が高いと推定される。従って、計測温度TAに対して補正値β1を減算するように降温側(低温側)に補正して補正温度TCとする(ステップS150)。また、降温変化率Vcが第2所定値V2以上であるとき(V2≦Vc)には、蒸発室51の降温速度が速く、蒸発室51の温度変化に対して計測温度TAの追従性が低いと推定される。この場合、実際に計測した計測温度TAよりも蒸発室51の実温度は低いと推定される。そこで、計測温度TAに対して補正値β1,β2を減算するように降温側に補正して補正温度TCとする(ステップS152)。このように計測温度TAに対して降温方向への補正値を増加させて補正温度TCとする。なお補正値β1,β1とは、単なる加算の他に、補正温度TCが計測温度TAよりも低温となるように、1未満の補正係数を計測温度TAに乗算しても良い。ステップS104における判定の結果、温度状態が昇温過程でも降温過程でもなければ、計測温度TAに補正値α0(微小値)を加算して補正温度TCとしても良い(ステップS160)。上記した各補正値は改質装置1の種類に応じて実験的に求めることが好ましい。
(実施形態9)
図15は実施形態9を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。図15に示すように、蒸発室51を形成する金属製の筒体として機能する第7筒97は、蒸発室51に向けて突出する方向に突出部97wを有する。蒸発室51を流れる気相状または液相状の水は、突出部97wに接触する頻度が高まる。第1温度センサ810の取付具850は、第7筒97のうち突出部97wに溶接、ろう付けまたは螺子止めなどにより固定されている。よって第1温度センサ810の第1温度検知部811の検知精度が確保される。突出部97wは、第7筒97において部分的に突出していても良いし、第7筒97の周方向に延設されていても良い。突出部97wのうち第1取付具850を取り付ける壁部分は、第1取付具850の取付性、取付作業性、接触面積確保、伝熱性等を考慮すると、平坦であることが好ましい。この突出部は、改質ガスが流れるCO酸化部53の酸化反応室53sに向けて突出するように形成されていても良いし、あるいは、改質ガスが流れるシフト部60のシフト通路61f,61sに向けて突出するように形成されていても良い。改質ガスが突出部に接触する頻度が高くなるため、温度検知が良好となる。
(その他)
上記した各実施形態をいずれか一の実施形態に併用させることもできる。上記した実施形態1では、温度センサ810,820の温度検知部811,821の双方が筐体97,99の外壁面側に取り付けられているが、これに限らず、温度センサ810,820の温度検知部811,821のうちのいずれか一方のみとしても良い。
改質ガスを方向変換部82に当てて混合室において径外方向に向けて方向変換させているが、これに限らず、改質ガスを方向変換部に当てて冷却通路において径内方向に向けて方向変換させ、空気と衝突させることにしても良い。この場合、空気を径外方向に指向するように混合室に供給する。混合室には空気を供給させているが、これに限らず、純酸素ガスを供給させることにしても良い。酸素濃度を濃縮させた酸素富化ガスを供給させることにしても良い。方向変換部82は、重力方向の下方に向かうにつれて縮径するように傾斜しているが、これに限らず、重力方向の上方に向かうにつれて縮径するように傾斜している構造とすることもできる。この場合、下向きに流れる改質ガスが方向変換部に当たり、方向変換される。
実施形態1では、改質部2は内通路21および外通路22の双方を有するが、これに限らず、いずれか一方のみとしても良い。蒸発部50は改質部2と一体的であるが、これに限らず、蒸発部50は改質部2から分離されていても良い。シフト部60が改質部2に一体的に連設されているが、これに限らず、シフト部60は改質部2から分離されていても良い。場合によっては、シフト部60を廃止しても良い。断機部55は必要に応じて設ければ良い。改質部2がシフト部60の上方に配置されているが、これに限らず、改質部2がCOシフト部60の下方または横方に配置されていても良い。改質部2の上側に燃焼部25が配置されているが、改質部2の下部側に配置されても良い。場合によっては、第1耐火層41,第2耐火層47,第3耐火層48を廃止しても良い。
実施形態1では、改質部2、CO酸化部53および蒸発部50が同軸的に配置されているが、同軸でなくても良く、非同軸タイプでも良い。各触媒は上記したものに限定されるものではない。上記した改質触媒を担持する触媒担体20a、シフト触媒を担持する触媒担体60a、酸化触媒を担持する触媒担体53aは、粒状とされているが、これに限らず、モノリス構造体としても良い。実施形態1では、混合室にはシフト触媒を担持する触媒担体60aが収容されていないが、場合によっては、収容しても良い。
CO酸化部53に代えてメタネーション反応部としても良い。メタネーション反応部は、改質ガスに含まれている一酸化炭素を水素と反応させてメタンを形成させるメタネーション反応により一酸化炭素を低減させる。
被覆層200、伝熱フィン46、突起96a、係合ピン91eは、必要に応じて設ければ良い。上記した第1筒91〜第9筒99等に使用されるステンレス鋼はSUS310S、SUS304等のオーステナイト系のステンレス鋼、または、SUS444等のフェライト系のステンレス鋼等が例示される。改質装置1に用いられる配管はSUS304等のオーステナイト系のステンレス鋼が例示される。本発明は上記した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した記載から次の技術的思想も把握される。
(付記項1)改質運転において改質用燃料原料から改質ガスを生成する改質部と、改質運転において使用される改質運転用流体が通過する流体通路を形成する内壁面および前記内壁面に背向する外壁面をもつ伝熱材料を基材とする筐体と、
温度を検知する温度検知部を有する温度センサと、前記温度センサの前記温度検知部が前記筐体の前記外壁面の温度を検知するように、前記温度センサの前記温度検知部を前記筐体の前記外壁面側に取り付ける取付具と、前記温度センサの前記温度検知部で計測した計測温度に対して補正して補正温度とする制御部とを具備しており、前記制御部は、前記温度センサの前記温度検知部で計測した計測温度の昇温変化率が所定値よりも大きいとき、計測温度を昇温方向へ補正することを特徴とする燃料電池用改質装置。
(付記項2)改質運転において改質用燃料原料から改質ガスを生成する改質部と、改質運転において使用される改質運転用流体が通過する流体通路を形成する内壁面および前記内壁面に背向する外壁面をもつ伝熱材料を基材とする筐体と、
温度を検知する温度検知部を有する温度センサと、前記温度センサの前記温度検知部が前記筐体の前記外壁面の温度を検知するように、前記温度センサの前記温度検知部を前記筐体の前記外壁面側に取り付ける取付具と、前記温度センサの前記温度検知部で計測した計測温度に対して補正して補正温度とする制御部とを具備しており、前記制御部は、前記温度センサの前記温度検知部で計測した計測温度の降温変化率が所定値よりも大きいとき、計測温度を降温方向へ補正することを特徴とする燃料電池用改質装置。
(付記項3)燃料電池システムの発電運転において運転用流体が通過する流体通路を形成する伝熱材料を基材とする筐体と、温度を検知する温度検知部を有する温度センサと、前記温度センサの前記温度検知部が前記筐体の温度を検知するように、前記温度センサの前記温度検知部を前記筐体に伝熱可能に前記筐体の外壁面側に取り付ける取付具とを具備することを特徴とする燃料電池発電システム用の温度検知装置。筐体は、流体通路に向けて突出する突出部を有することができる。突出部に温度センサの温度検知部または取付具を固定することが好ましい。流体通路の流体が突出部に当たる頻度が高くなるため、温度検知精度が確保される。
1は改質装置、2は改質部、20は燃焼室、21は外通路、22は内通路、25は燃焼部、41は第1耐火層、43は第1燃焼通路、44は第2燃焼通路、46は伝熱フィン、50は蒸発部、51は蒸発室、50mはポンプ(水搬送源)、53はCO酸化部、54は熱交換部、60はシフト部、61は改質ガス通路形成部材、61fは第1シフト通路、61sは第2シフト通路、62は内筒、63は外筒、70は空気通路、71は第1形成部材、75は水蒸気通路、80は冷却部、81は冷却通路、82は方向変換部、100は制御部、110は第1多孔板、120は第2多孔板、150は主多孔板、810は第1温度センサ、811は第1温度検知部、820は第2温度センサ、821は第2温度検知部、830は第3温度センサ、831は第3温度検知部、850は取付具、852は突部、853は挿入孔、854は圧着部、855は接合部材、97は第7筒(筐体)、99は第9筒(筐体)を示す。