JP5198091B2 - 燃料電池用改質装置 - Google Patents

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Description

発明は、改質部、シフト部およびCO酸化部を有する燃料電池用改質装置に関する。
特許文献1には、改質用燃料原料から改質ガスを生成する改質部と、改質部で生成された改質ガスに含まれる有害ガスをシフト反応により低減させるシフト部と、シフト部から吐出された改質ガスに含まれる有害ガスを酸素と反応させる酸化反応により低減させるCO酸化部とを有する燃料電池用改質装置が開示されている。このものによれば、シフト部の全体にわたり、複数本のガス通路がシフト部の軸長方向に平行に並設されている。そしてシフト部およびCO酸化部を暖機させるときには、高温の燃焼ガスをシフト部のガス通路およびCO酸化部に直列に流すことにしている。更にシフト部およびCO酸化部を冷却させるときには、空気をシフト部のガス通路およびCO酸化部に直列に供給させることにしている。そして、シフト部およびCO酸化部を冷却させた空気は、CO酸化部における酸化反応に使用されることはなく、切替弁の切替作用により、大気に放出されるか、あるいは、改質部の燃焼部に供給され、燃焼部における燃焼に使用される。ここで、改質装置の運転中に、シフト部におけるシフト反応は発熱を伴うため、シフト部は必要以上に高温領域となり易い。このため改質装置の運転中においてシフト部を冷却させることは有効である。
また、特許文献2には、改質部、シフト部およびCO酸化部を、筒状の筐体内にこれの軸長方向に沿って直列に配置させ、CO酸化部の直上流において改質ガスに空気を混合させる改質装置が開示されている。CO酸化部の直上流において改質ガスに混合される空気は、シフト部で予熱されるものではない。
特開2004−189510号公報 特開2001−172003号公報
上記した特許文献に係る技術によれば、シフト部における過剰高温化の抑制と、CO酸化部に供給される酸素含有ガスの予熱とを併せて行うことができるものではない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、シフト部における過剰高温化の抑制と、CO酸化部に供給される酸素含有ガスの予熱とを併せて行うことができる燃料電池用改質装置を提供することを課題とする。
本発明に係る燃料電池用改質装置は、(i)改質用燃料原料から改質ガスを生成する改質部と、(ii)改質部で生成された改質ガスに含まれる有害ガスをシフト反応により低減させるシフト部と、(iii)シフト部の下流に配置され改質部で生成された改質ガスに含まれる有害ガスを酸化反応により低減させるCO酸化部と、(iv)シフト部に隣設され、CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスが供給される冷却通路をもち、CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスでシフト部を冷却させる冷却部とを具備することを特徴とする。
改質部は、改質用燃料原料から改質ガスを生成する。改質ガスは、燃料電池の燃料極における発電反応に寄与する活物質(例えば水素)を含む(例えば10モル%以上含む)ガスである。改質ガスは一酸化炭素等の有害ガスを含む可能性がある。そこでシフト部およびCO酸化部において改質ガスから一酸化炭素等の有害ガスを除去する。シフト部は、改質部で生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素等の有害ガスをシフト反応により低減させる。CO酸化部は、シフト部の下流に配置されており、改質部で生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素等の有害ガスを酸素と反応させる酸化反応により低減させる。ここで、シフト部が過剰に高温になると、シフト反応が制約されるため、一酸化炭素等の有害ガスの濃度を低下させるには限界がある。
冷却部はシフト部に隣設されており、CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスが供給される冷却通路をもつ。CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスが冷却通路に供給されると、酸素含有ガスによりシフト部が冷却される。更に、CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスをシフト部で予熱させることができる。よってCO酸化部における酸化反応が良好になし得る。酸素含有ガスは空気でもよく、酸素を富化した酸素富化ガスでも良く、純酸素ガスでも良い。
本発明に係る燃料電池用改質装置は、好ましくは、次の態様を含むことができる。
・好ましくは、シフト部の通路長の中間点よりも上流を上流領域とするとき、冷却部は、シフト部の上流領域の少なくとも一部(例えば入口付近)を冷却させる態様が採用できる。シフト部の上流領域ではシフト部の下流領域よりも、有害ガスの濃度が高い。このためシフト部の上流領域が必要以上に過剰高温化されると、上流領域におけるシフト反応が制限され、シフト部における有害ガス濃度を低減させる効果が低下し易い。そこで、シフト部の上流領域が冷却部の冷却通路の酸素含有ガスにより良好に冷却されると、上流領域におけるシフト反応が良好となり、有害ガス濃度を低減させる効果が良好に維持される。シフト部の通路長の全体の距離を100と相対表示するとき、通路長の中間点は入口を起点として30〜70で表される範囲における途中点を意味する。シフト部の通路長の全体の距離を100と相対表示するとき、入口付近は、入口を起点として0〜20で表される距離における領域を意味する。また、シフト部の通路長の中間点よりも下流を下流領域とするとき、前記冷却部は、シフト部の下流領域の少なくとも一部を冷却させる態様が採用できる。この場合、シフト部の下流領域の過剰高温化が抑制される。
・好ましくは、冷却媒体は、CO酸化部における酸化反応で使用される酸素を含む酸素含有ガスである態様が採用できる。この場合、冷却部の冷却通路は、シフト部から吐出された改質ガスに酸素含有ガスを混合させた混合ガスを形成すると共に混合ガスをCO酸化部に供給する態様が採用できる。
・好ましくは、改質装置は、液相状の水を水蒸気化する蒸発部と、液相状の水を蒸発部に供給する水搬送源と、シフト部に設けられシフト部の温度を測定する温度センサと、温度センサの信号が入力され温度センサで測定されたシフト部の温度が所定値よりも高いとき、蒸発部に供給する水の流量を増加させる水量増加制御を実行する制御部とを具備する態様が採用できる。シフト部の温度が所定値よりも高いとき、制御部は水量増加制御を実行する、水量増加制御は、冷却通路に酸素含有ガスを供給する操作と併せてあるいは独立して実施することができる。これによりシフト部の過剰高温化が一層抑制される。
・冷却通路は、シフト部を冷却すると共にCO酸化部に繋がる第1冷却通路と、シフト部を冷却すると共にCO酸化部に繋がらない第2冷却通路とを有する態様が挙げられる。第1冷却通路を流れる酸素含有ガスはCO酸化部に供給され、CO酸化部における酸化反応に使用される。第2冷却通路を流れる酸素含有ガスはシフト部を冷却させるものの、CO酸化部には供給されない。CO酸化部に供給させる酸素含有ガスの単位時間当たりの流量を制限させつつ、シフト部を更に冷却させたいときには、第2冷却通路を流れる酸素含有ガスの単位時間あたりの流量を増加させれば良い。
・好ましくは、酸素含有ガスを冷却通路に供給する酸素含有ガス通路が設けられている態様が採用できる。この場合、酸素含有ガス通路は、冷却通路に酸素含有ガスを供給することによりCO酸化部に供給する第1酸素含有ガス通路と、冷却通路を迂回しつつ酸素含有ガスをCO酸化部に供給する第2酸素含有ガス通路とを有する態様が採用できる。起動時のようにシフト部が低温のときには、制御部は、第1酸素含有ガス通路に供給する酸素含有ガスの単位時間当たりの流量を低下させつつ、第2酸素含有ガス通路に供給する酸素含有ガスの単位時間当たりの流量を増加させることができる。これによりシフト部の立ち上がりを早期化できる。
・好ましくは、冷却部の冷却通路は、改質ガスおよび酸素含有ガスのうちの少なくとも一方の乱流化を促進させることにより、冷却通路における改質ガスおよび酸素含有ガスの混合性を高める乱流化要素を有する態様が挙げられる。改質ガスおよび酸素含有ガスの混合性が高められるため、CO酸化部における酸化反応が良好となる。
・好ましくは、冷却通路には方向変換部が設けられている態様が採用できる。方向変換部は、酸素含有ガスおよび改質ガスのうちの少なくとも一方を、他方に対して衝突させるように方向変換させる。これにより冷却通路における乱流化が進行し、改質ガスおよび酸素含有ガスの混合性が高められる。方向変換部は、改質ガスを酸素含有ガスに対して衝突させるように方向変換させる形態でも良いし、あるいは、酸素含有ガス通路から供給される酸素含有ガスを改質ガスに対して衝突させるように方向変換させる形態でも良い。『衝突』は、正面衝突および側方衝突を含む。上記した方向変換部としては、改質ガスおよび酸素含有ガスの流れ方向に対して傾斜している傾斜部が採用できる。
・好ましくは、冷却通路は、冷却面積を増加させる凹凸構造を有する態様が採用できる。凹凸構造は、蛇腹構造、複数の突起を有する構造、複数の凹部を有する構造のうちの少なくとも一つが挙げられる。
本発明によれば、改質装置の運転中において、CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスを冷却通路に供給することより、シフト部を積極的に冷却させる。この結果、シフト部における過剰高温化を抑制できる効果が得られる。更に、CO酸化部に供給される酸素含有ガスを予熱できる効果が併せて得られる。このようにCO酸化部に供給される前の酸素含有ガスでシフト部を冷却できるため、専用の冷却機構を廃止でき、コストダウンが可能となる。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面を参照して具体的に説明する。本実施形態に係る改質装置は定置用、産業用または車両用の燃料電池システムに適用される。図1は改質装置1の全体概念を示す。図2および図3は改質装置1の主要部を示す。図1に示すように、改質装置1は、燃焼室20を形成する改質部2と、燃焼室20に挿入され改質部2を加熱する燃焼部25と、蒸発部50と、シフト部60と、CO酸化部53とをもつ。燃焼部25には、燃焼用燃料(または燃料電池のアノードから排出されたアノードオフガス)および燃焼用空気が供給される。改質部2は、鉛直方向に沿った中心軸線P1をもつ筒形状をなしており、改質用燃料(改質用燃料原料)を水蒸気により改質させ、水素を主要成分とする(例えば30モル%以上)改質ガスを生成する。改質用燃料がメタンを含む場合には、下記の(1)式に基づく。
図2に示すように、改質部2は、外通路21と、外通路21に対して内側となるように同軸的に形成された内通路22と、外通路21の上部と内通路22の上部とを繋ぐ折返通路23とを有する。内通路22および外通路21は第2断熱層47で仕切られている。外通路21の下部は改質部2の入口2iとされている。内通路22の下部は改質部2の出口2pとされている。外通路21および内通路22には、改質触媒を担持した触媒担体20aが収容されている。触媒担体20aは粒状とされている。
図2に示すように、改質部2の外周側には、筒形状をなす第1断熱層41が設けられている。第1断熱層41は、改質部2に同軸的な周壁層41aと、改質部2の上部を覆う天井層41cとを有する。天井層41cには中間蓋42が取り付けられている。第1断熱層41の内周面および外周面は、燃焼室20に連通する筒形状をなす第1燃焼通路43および第2燃焼通路44を同軸的にそれぞれ形成する。第2燃焼通路44は、外部に連通する燃焼排ガス通路45に連通する。更に第1断熱層41で区画される第2燃焼通路44の外周側には、改質水を蒸発させる蒸発部50が同軸的に形成されている。蒸発部50は、空間幅が狭いリング形状または筒形状の空間で形成されている。蒸発部50の下部には、改質水を供給する水入口50iが形成されている。蒸発部50の上部には、改質水を加熱して生成した水蒸気を吐出する水蒸気出口50pが形成されている。このため蒸発部50において水および水蒸気は上向きに流れる。但し、蒸発部50において水および水蒸気を下向きに流すことにしても良い。液相状の水である改質水を蒸発部50に供給する水搬送源として機能するポンプ50mが設けられている。シフト部60の入口60iの温度を測定する温度センサ60sがシフト部60に設けられている。温度センサ60sの信号が入力される制御部100が設けられている。制御部100はポンプ50m、バルブなどを制御する。
蒸発部50の外周側には、筒形状をなす第3断熱層48を介して、筒形状をなすCO酸化部53が同軸的に隣設されている。第3断熱層48は、CO酸化部53の熱が蒸発部50に伝達されることを抑制し、CO酸化部53の温度を確保するのに有効である。CO酸化部53の下部には、後述する冷却通路81に連通する入口53iが形成されている。CO酸化部53の上部には、燃料電池のアノードに連通する出口53pが形成されている。
図1に示すように、燃焼室20で燃焼された燃焼ガスは、第1燃焼通路43を下降し,第2燃焼通路44を上昇して流れ、燃焼排ガス通路45から外部に向けて排出される。蒸発部50は第2燃焼通路44を流れる燃焼ガスにより加熱される。
更に、図1に示すように、改質装置1は、改質部2の下方に配置された熱交換部54と、熱交換部54の下方に配置されたシフト部60と、シフト部60と熱交換部54との間に配置された電気式のヒータをもつ暖機部55(起動時に使用)とを備えている。ここで、改質部2の下流(下方)に熱交換部54が設けられている。熱交換部54の下流(下方)にシフト部60が設けられている。熱交換部54は、互いに熱交換可能な第1熱交換通路54aおよび第2熱交換通路54cを有する。熱交換部54は、燃料原料としての改質用燃料(例えば炭化水素系ガス)を供給する原料入口54iと、蒸発部50で生成された水蒸気が供給される水蒸気入口54kとを有する。
シフト部60は、下記の(2)式に基づいて、水蒸気(HO)を利用するシフト反応を促進させ、改質ガスに含まれているCOを低減させる。COシフト部60は、シフト反応を促進させるシフト触媒を有する触媒担体60aを有する。シフト触媒は例えば銅−亜鉛系触媒が採用されるが、これに限定されるものではない。触媒担体60aは粒状をなす。シフト部60は、改質ガスを流す改質ガス通路を形成する改質ガス通路形成部材61を有する。改質ガス通路形成部材61は、内側の第1シフト通路61f(上流領域)を形成する内筒62と、外側の第2シフト通路61s(下流領域)を形成するように内筒62に対して同軸的に配置された外筒63と、内筒62の先端部(下端部)側に設けられた円形状をなす第1ガス通過板64と、内筒62の基端部(上端部)側に設けられたリング形状をなす第2ガス通過板65と、外筒63の下面開口および内筒62の下面開口を閉鎖する閉鎖板66とを有する。第1シフト通路61fおよび第2シフト通路61sは、内筒62で仕切られているため、内筒62は仕切部材として機能する。第1シフト通路61fおよび第2シフト通路61sには、シフト触媒を担持する触媒担体60aが収容されている。
第1ガス通過板64および閉鎖板66は折返通路67を形成し、第1シフト通路61fの改質ガスを矢印E方向にUターンさせて第2シフト通路61sに流す。第1ガス通過板64は多数の通孔を有しており、ガス通過性を確保しつつ、シフト触媒を担持する触媒担体60aが落下することを抑制する。第2ガス通過板65は多数の通孔を有しており、ガス通過性を確保しつつ、シフト触媒を担持する触媒担体60aが飛散することを抑制する。外筒63には、酸素を含む空気(酸素含有ガス)が供給される空気通路70(酸素含有ガス通路)を形成する第1形成部材71(酸素含有ガス通路形成部材)が設けられている。
CO酸化部53は、シフト部60の下流に配置されており、シフト部60で浄化された改質ガスに含まれているCOを下記の式(3)に基づいて、酸化させて低減させる酸化反応を促進させるものである。このためCO酸化部53は、酸化反応を促進させる酸化触媒を有する触媒担体53aを有する。触媒担体53aは粒状とされている。酸化触媒は例えばルテニウム系、白金系、白金−ルテニウム系等の貴金属触媒が採用されるが、これに限定されるものではない。
式(1)…CH+HO→3H+CO(吸熱反応)
式(2)…CO+HO→H+CO(発熱反応)
式(3)…CO+1/2O→CO(発熱反応)
次に改質装置1を作動させるときについて図1を参照して説明する。この場合、燃焼用空気を燃焼部25に供給すると共に、燃焼用燃料を燃焼部25に供給する。これにより燃焼部25が着火され、燃焼室20において燃料火炎25cが生成される。燃焼用燃料としては気体燃料でも、液体燃料でも、粉化燃料でも良い。具体的には、炭化水素系燃料、アルコール系燃料が採用できる。例えば、炭化水素系の都市ガス、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が採用できる。燃焼部25により改質部2が改質反応に適するように高温(例えば400〜900℃)に加熱される。改質部2と共に蒸発部50、シフト部60およびCO酸化部53も加熱される。改質用燃料としては気体燃料でも、液体燃料でも良い。具体的には、炭化水素系燃料、アルコール系燃料が採用できる。例えば、炭化水素系の都市ガス、LPG、灯油、メタノール、ジメチルエーテル、ガソリン、バイオガス等が採用できる。
改質部2が適温領域にされたら、改質水(改質反応前の水)が蒸発部50の水入口50iに供給される。改質水は蒸発部50において加熱されて水蒸気化される。生成された水蒸気は、蒸発部50を上昇し、蒸発部50の水蒸気出口50pから水蒸気通路75を経て熱交換部54の水蒸気入口54kを介して合流域56に到達する。これに対して、改質用燃料(燃料原料)は熱交換部54の原料入口54iから熱交換部54の合流域56に供給される。これにより合流域56において、改質用燃料と水蒸気とが合流して混合される。合流した混合流体が熱交換部54の低温側の第1熱交換通路54aを流れて改質部2の外通路21の入口2iに至る。このとき改質部2の内通路22の出口2pから吐出された高温の改質ガスは、熱交換部54の第2熱交換通路54cを流れる。このため相対的に高温の改質ガスと、改質ガスよりも相対的に低温の混合流体とは互いに熱交換される。従って、改質反応前の混合流体が予熱される。混合流体は改質部2の外通路21に流入して矢印A方向(図2参照)に流れ、折返通路23をUターンして内通路22に流入して矢印B方向(図2参照)に流れる。このとき水蒸気および改質用燃料が混合した混合流体は、上記した(1)に示す改質反応により、水素リッチ(20モル%以上)な改質ガスとなる。この改質ガスは一酸化炭素を含む可能性がある。
更に、改質反応を経た高温の改質ガスは、改質部2の内通路22の出口2pから熱交換部54に矢印C方向(図2参照)に流入する。即ち、高温の改質ガスは、熱交換部54の高温側の第2熱交換通路54cを通過することにより、低温側の第1熱交換通路54aの混合流体を加熱する。更に、改質ガスは、暖機部55を経て、シフト部60の入口60iからシフト部60の第1シフト通路61fに矢印D方向に流入する。シフト部60においては、上記した式(2)に示すように、水蒸気を利用したシフト反応が行われる。これにより改質ガスに含まれている一酸化炭素(有害ガス)が低減され、改質ガスは浄化される。改質ガスの流れは燃焼ガスの流れに対向する対向流とされている。これにより改質ガスの加熱効率を高めることができる。
更に、シフト部60において浄化された改質ガスは、シフト部60から折返通路67を矢印E,G方向(図4参照)に流れ、第2ガス通過板65を通過し、冷却通路81に至る。更に、改質ガスは冷却通路81を流れ、冷却通路81の出口81pから通路85を矢印H,I方向(図2参照)に流れ、入口53iからCO酸化部53内に流入する。CO酸化部53においては、改質ガスは矢印J方向(上向き,図2参照)に流れる。CO酸化部53において、上記した式(3)に示すように、酸素を利用した酸化反応(CO+1/2O→CO)が行われる。この結果、改質ガスに含まれているCOが浄化されて更に低減される。このように浄化された改質ガスは、CO酸化部53の出口53pからアノードガスとして、燃料電池の燃料極(アノード)に供給される。カソードガスとして機能する空気は、燃料電池の酸化剤極(カソード)に供給される。これにより燃料電池において発電反応が発生し、電気エネルギが生成される。アノードガスの発電反応後のオフガス(燃料電池のアノードから排出されたガス)は、発電反応が行われなかった水素を含むことがある。このためオフガスは燃焼部25に供給されて燃焼され、燃焼部25の熱源となる。なお、改質装置1の全体は、断熱材料で形成された外殻状をなす被覆層200(図1参照)で被覆されている。被覆層200は、保温性を高めるともに、外方に対する断熱性を高める。
更に本実施形態の改質装置1について、図2を参照して説明を加える。改質装置1は、内周から外周に向かうにつれて、第1筒91、第2筒92、第3筒93、第4筒94、第5筒95、第6筒96、第7筒97、第8筒98および第9筒99を中心軸線P1に対して同軸的に有する。各筒91〜99はほぼ円筒形状をなしており、金属(例えばステンレス鋼)で形成されている。ここで、改質部2は、第1筒91と、第2筒92と、第3筒93と、第4筒94とを同軸的に配置している。第1筒91は有底形状をなしており、底部91cと、底部91cに溶接または取付具で固定された下向きに突出する係合ピン91eとを有する。
図3に示すように、第1筒91の外周面と第2筒92の内周面とで、改質用の触媒担体20aが収容されている筒形状をなす内通路22(ガス通路,触媒通路)が形成されている。第3筒93の外周面と第4筒94の内周面とで、改質用の触媒担体20aが収容されている筒形状をなす外通路21(ガス通路,触媒通路)が形成されている。第4筒94の外周面と第1断熱層41の内周面とで、リング形状または筒形状をなす第1燃焼通路43が形成されている。第5筒95の内周面は第1断熱層41を被覆している。第5筒95の外周面と第6筒96の内周面とで、リング形状をなす第2燃焼通路44が形成されている。第6筒96の上面開口は主蓋49で閉鎖されている。第6筒96の外周面と第7筒97の内周面とで、リング形状または筒形状の空間で形成された蒸発部50が形成されている。第7筒97の外周面と第8筒98の内周面とで、筒形状をなす第3断熱層48が被覆されている。第8筒98の外周面と第9筒99の内周面とで、筒形状をなすCO酸化部53が形成されている。
図2に示すように、各筒の下方には金属製の主基体86が配置されている。但し主基体86はセラミックス製としても良い。主基体86は、改質部2の外通路21に連通する第1連通孔86fと、改質部2の内通路22に連通する第2連通孔86sとを有する。第3筒93の下端部、第4筒94の下端部、第6筒96の下端部は、金属製の主基体86に溶接等で固定されている。第1筒91の上端部と第4筒94の上端部とには、リング形状の蓋88が溶接等で接合されている。
改質部2の外通路21の下部には、ガス通過性をもつ第1ガス通過部材110が配置されている。第1ガス通過部材110は中心軸線P1に対して同軸的なリング形状をなしており、厚み方向に貫通する多数の通孔110mを有する金属製のパンチングメタルまたは網部材で形成されている。第1ガス通過部材110は、外通路21に収容されている触媒担体20aが落下することを抑制する。主基体86には副基体87が載せられている。副基体87は耐火材または金属で形成されている。副基体87と主基体86とは、改質ガスを通過させるためにガス通過性をもつ主ガス通過部材150が保持されている。主ガス通過部材150は円形状をなしており、改質ガスを通過させるために、厚み方向に貫通する多数の通孔150mを有するパンチングメタルまたは網部材で形成されている。第1筒91の係合ピン91eは、主ガス通過部材150の係合孔150eに挿入されて係合している。これにより組付時において第1筒91の位置決め精度が確保され、第1筒91の同軸性が確保され易くなる。故に、内通路22の通路幅をこれの周方向において均一化させるのに貢献できる。このため内通路22における触媒反応のムラが低減され、改質反応を良好になし得る。係合ピン91eからの伝熱により係合ピン91e付近、すなわち改質部20の出口2p付近の触媒担体20aを高温にでき、改質反応に適する。
図2および図3に示すように、CO酸化部53のうち下部には、ガス通過性をもつ第2ガス通過部材120が保持されている。CO酸化部53のうち上部には、ガス通過性をもつ第3ガス通過部材130が保持されている。第2ガス通過部材120および第3ガス通過部材130は、中心軸線P1に対して同軸的なリング形状をなしており、厚み方向に貫通する多数の通孔120m,130mを有するパンチングメタルまたは網部材で形成されている。パンチングメタルまたは網部材に限定されるものではない。第2ガス通過部材120は、CO酸化部53の触媒担体53aが落下することを抑制する。第3ガス通過部材130は、CO酸化部53の触媒担体53aに対してガス通過性を確保しつつ蓋をしている。CO酸化部53においては、第2ガス通過部材120の下方にリング形状をなす下部空間53dが形成されていると共に、第2ガス通過部材120の上方にリング形状をなす上部空間53uが形成されている。
図2および図3に示すように、第2燃焼通路44には伝熱部材として機能する伝熱フィン46が挿入されている。第6筒96の下部には、径内方向に突出する突起96a(係合体)が形成されている。突起96aは、第6筒96の周方向において間隔を隔てて断続的に複数個設けられている。突起96aは、第5筒95と第6筒96との同軸性を高めるのに貢献できる。更に、伝熱フィン46の落下は突起96aにより抑制されている。改質装置1の組付時に、改質装置1を構成する部品が上下逆に配置されることがある。このような場合であっても、中間蓋42のフランジ部42fにより伝熱フィン46の落下が抑制される。
さて本実施形態によれば、図1および図4に示すように、冷却通路81を有する冷却部80がシフト部60に隣設されている。冷却通路81は、シフト部60の第1シフト通路61f(上流領域)の入口60iに隣設されつつ、シフト部60の第2シフト領域61s(下流領域)の出口60pに隣設されている。換言すると、冷却通路81は、シフト部60の上流領域および下流領域の双方に隣設されている。冷却通路81には、空気(大気)を供給する空気通路70の入口70iが連通する。
ここで、シフト反応は、上記した式(2)(CO+HO→H+CO)に基づき、発熱を伴う。改質装置1の運転条件、触媒担体20a,53a,60aの触媒の種類等によっても相違するが、入口60iは一般的には150〜250℃の範囲、殊に170〜220℃の範囲となる。改質装置1の運転時において、シフト部60が必要以上に過剰に高温化されると、上記した発熱を伴うシフト反応に基づくCO濃度を低減させる効果が発現されにくくなる傾向がある。殊に、改質部2で改質された改質ガスが熱交換部54を介してシフト部60に供給されるため、シフト部60は高温となりがちである。触媒担体53aの触媒の活性温度域よりも高くなり、触媒の活性が過剰に低下することもある。断熱性を有する被覆層200でシフト部60が包囲されているため、なおさらである。
この点について本実施形態によれば、図1に示すように、空気が供給されることにより冷却機能を果たす冷却通路81は、シフト部60に隣設されている。このため、改質装置1の運転中において、発熱を伴うシフト反応を行うシフト部60を、冷却通路81の空気(大気)により積極的に冷却させることができ、シフト部60におけるCO低減効果が良好に得られる。このようにCO酸化部53に供給される前の空気でシフト部60を冷却させることができるため、専用の冷却機構を廃止でき、コストダウンが可能となる。冷却通路81の空気の温度はシフト部60の常用温度域よりも低いものであり、例えば常温にできる。
殊に本実施形態によれば、空気が供給される冷却通路81は、シフト部60の第1シフト通路61f(上流領域)のうち入口60iと、シフト部60の第2シフト通路61s(下流領域)のうち出口60pの双方に隣設されている。このため、発熱を伴うシフト反応を行うシフト部60の入口60iおよび出口60pの双方を、空気(大気)により積極的に冷却させることができる。殊に、シフト部60の上流領域を積極的に冷却させることは有効である。なかでも上流領域の入口60iを積極的に冷却させることは有効である。その理由としては、改質部2から熱交換部54を経た直後の改質ガス(CO濃度が高い)が入口60iからシフト部60の第1シフト通路61f(上流領域)に供給されるため、当該上流領域、殊に入口60iを冷却させることは有効である。
冷却通路81の中心軸線は、中心軸線P1と同軸である。冷却通路81は、中心軸線P1の回りを1周するリング形状または筒形状の空間をなしており、シフト部60(殊に入口60i)に対して同軸的とされている。このためシフト部60(殊に入口60i)を冷却させる冷却面積を増加させるのに有利である。
なお、シフト部60の入口60iと出口60pとの間の中間領域を空気で冷却させることも考えられる。しかしこの場合、シフト部60の入口60iと出口60pとの間の中間領域に空気を供給させる必要があり、このため空気が供給される冷却通路をシフト部の中間領域に埋設しなければならず、構造が複雑となり易い。
更に説明を加える。冷却通路81には、改質部2で生成された一酸化炭素を含む可能性がある改質ガス(シフト部60を流れ且つCO酸化部53に供給される前の改質ガス)と、空気通路70の入口70iから空気(酸素含有ガス)とが供給されて混合される。従って、冷却通路81は、改質ガスと空気とをCO酸化部53の上流において混合させる混合室として機能することができる。改質ガス通路としての第2シフト通路61sは、冷却通路81の軸線(中心軸線P1)に対して延設された通路を形成している。従って、第2シフト通路61s(改質ガス通路)は、第2シフト通路61sが延設されている方向に沿って、つまり矢印G方向(上向き)に沿って、改質ガスを流す。
これに対して図4に示すように、酸素含有ガス通路として機能する空気通路70は、空気(酸素含有ガス)を冷却通路81の中心軸線P1に対して直角方向に沿って径内方向(矢印R方向)に向けて流す。ここで、図4に示すように、冷却通路81の内周側には方向変換部82が設けられている。方向変換部82は、第2シフト通路61sから供給される改質ガスと、空気とを互いに衝突させるように案内する機能を有する。具体的には、中心軸線P1を通る断面(図1および図4)において、方向変換部82は、中心軸線P1の回りを1周するように設けられており、中心軸線P1に対してほぼ直状(断面直線状)に傾斜されている傾斜面82aを有する。中心軸線P1と平行な方向に対する傾斜面82aの傾斜角θ1は、20〜80度の範囲内、30〜60度の範囲内、あるいは、35〜55度の範囲内とすることができる。
図4に示すように、方向変換部82は、冷却通路(改質部2)の中心軸線P1に対して傾斜されている。方向変換部82は、重力方向の下方に向かうにつれて縮径するように傾斜している。すなわち方向変換部82は、上方に向かうにつれて拡径するように傾斜している。空気が冷却通路81に供給されていないとき、方向変換部82は、第2シフト通路61sを矢印G方向(中心軸線P1に沿った方向)に流れる改質ガスを、冷却通路81において径外方向(矢印S方向)に指向させる。更に、改質ガスが流れていないとき、方向変換部82は、空気通路70は、矢印R方向に流れる空気を冷却通路81において冷却通路81の軸線(中心軸線P1)が延設されている方向(図4に示す矢印T方向)に指向させる。この結果、冷却通路81において、改質ガスと空気とを互いに対向させて衝突させるように、方向変換部82は改質ガスおよび空気を案内させる。このため、冷却通路81において改質ガスおよび空気同士が衝突流となり易い。故に、冷却通路81において乱流化が進行し、冷却通路81における改質ガスおよび空気同士の混合性を高めることができる。
本実施形態によれば、方向変換部82は、内筒62の基端部62bを径外方向に円錐形状に拡径加工させることにより形成されている。上記したように方向変換部82は内筒62の一部分で形成されているため、別部品を必要とせず、部品の点数を低減できる。上記した内筒62は、シフト部60の第1シフト通路61fと冷却部80とを仕切る仕切部材として機能する。冷却通路81は、シフト部60の第1シフト通路61fと冷却部80とを仕切る内筒62(仕切部材)を用いて形成されている。この場合、内筒62(仕切部材)を介してシフト部60の第1シフト通路61fおよび冷却部80は隣設されている。
図6は、混合状態を平面から視認する概念形態を模式的に示す。図6に示すように、冷却通路81に供給された改質ガスは、方向変換部82により径外方向(矢印S方向)に指向する。これに対して、空気通路70の入口70iから冷却通路81に供給される空気は、径内方向(矢印R方向)に向かい、更に方向変換部82に当たると、矢印T方向(図4参照)に指向する。このため、殊に空気通路70の入口70i付近においては、空気と改質ガスとの対向流としての衝突度が高くなる。これにより冷却通路81における乱流化が促進される。故に、冷却通路81における空気と改質ガスとの均一混合性が増加する。殊に空気通路70の入口70i付近においては、上記した均一混合性が増加する。
ここで、空気通路70の入口70iは、冷却通路81において出口81pから最も遠い位置に設けられている。空気通路70の入口70iから冷却通路81に供給された空気は、冷却通路81の周方向に沿って流れ、冷却通路81の出口81pから吐出される。上記したように空気と改質ガスとの冷却通路81における混合性が向上すれば、空気を含む改質ガスが入口53iからCO酸化部53に供給されたとき、CO酸化部53におけるCO酸化反応を良好に実施することができる。ここで、改質ガス(シフト部通過後のガス)量に対して混合する空気の量が圧倒的に少ないので、両者を均一に混合させにくい。また改質ガスの主要成分は水素であり、空気の主要成分は酸素および窒素であり、比重がかなり異なり、改質ガスと空気とを均一に混合させにくい。両者の反応を促進させるためには、均一に混合させることが重要である。上記した冷却通路81に方向変換部82を形成する構成を採用すれば、冷却通路81における水素と酸素との均一混合性が向上される。
なお、図6によれば、空気通路70の入口70iが単数である形態を示す。更に図7に示すように、空気通路70の入口70iが冷却通路81の周方向において複数個設けられている形態でも良い。この場合、空気と改質ガスとの均一混合性が更に増加する。図4から理解できるように、シフト部60の入口60iにおいて、外周側を流れる改質ガスが方向変換部82の傾斜面82cに当たると、改質ガスは矢印KA方向(図4参照)に中心軸線P1に向けて指向するように案内される。
更に本実施形態によれば、図6に示すように、冷却通路81は中心軸線P1の回りにリング形状または筒形状に延設されている。故に、冷却通路81自体を流れる通路距離(入口70iから出口81pまでの通路距離)が確保される。故に、冷却通路81において空気と改質ガスとを混合させる混合距離を確保でき、空気と改質ガスとを混合性を更に向上させるのに有利となる。
加えて本実施形態によれば、図1に示すように、シフト部60に隣設されている冷却部80の冷却通路81の出口81pからCO酸化部53の入口53iまで延設されている通路85が延設されている。すなわち冷却部80の冷却通路81はCO酸化部53の上流に配置されており、冷却通路81とCO酸化部53とを繋ぐ通路85の通路距離が存在している。このため、空気を含む改質ガスが通路85を流れるとき、改質ガスと空気とを通路85(CO酸化部53の上流の配管)において拡散などで更に混合させることができ、混合性を更に一層高めることを期待できる。よってCO酸化部53における酸化反応性を一層向上させるのに有利となる。
更に本実施形態によれば、前述したように、図4に示すように、シフト部60は、シフト触媒を担持する触媒担体60aを収容すると共に改質ガスを流す第1シフト通路61fを形成する内筒62と、シフト触媒を担持する触媒担体60aを収容すると共に改質ガスを流す第2シフト通路61sを形成する外筒63と、内筒62の先端部62cに対向するように内筒62および外筒63の軸直角方向に沿って配置された第1ガス通過板64とを有する。第1ガス通過板64は厚み方向に貫通する通孔64mをもつ。
図5に示すように、隙間幅K1を有する微小隙間68が内筒62の先端部62cと第1ガス通過板64との間に形成されている。これにより内筒62の軸線方向に沿った熱膨張が大きいときであっても、内筒62の先端部62cが第1ガス通過板64が過剰に衝突しないようにされている。従って第1ガス通過板64、内筒62の薄肉化を図りつつ、これらの長寿命化および耐久性が確保される。殊に、多数の通孔64mをもつ第1ガス通過板64の変形が抑制される。
(実施形態2)
図8は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。冷却通路81において、入口70iから出口81pにかけて、複数のピン状をなす突起81mが突設されている。空気および改質ガスが冷却通路81の出口81pに向けて周方向に流れるにあたり、突起81mに当たり、ガス速度によっては、カルマン渦を生成させることを期待できる。この場合、突起81mは、乱流化促進要素として機能することができる。この場合、均一混合性を向上させる。本実施形態においても、CO酸化部53に供給される前の空気を冷却通路81に供給することより、シフト部60の上流領域、殊に入口60iを冷却させる。この結果、シフト部60における過剰高温化を抑制できる。殊にシフト部60の上流領域、殊に入口60iにおける過剰高温化を抑制できる。更に、CO酸化部53に供給される空気を予熱でき、CO酸化部53における酸化反応を促進させるのに有利となる。
(実施形態3)
図9は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。但し、内筒62の基端部62bには、断面で波状をなす蛇腹部(凹凸構造)で形成された方向変換部82Bが形成されている。断面で、蛇腹部は凹凸構造をなしており、互いに異なる向きに傾斜する傾斜面82u,82vを形成するように山部および谷部をもつ。山部および谷部は改質部の中心軸線回りで延設されている。このような蛇腹部は冷却面積を増加させ、冷却通路81の冷却能力を高めるのに有利である。更に、空気通路70から空気は、冷却通路81の径内方向(矢印R方向)に向けて流れる。空気は、冷却通路81において方向変換部82Bに当たると、方向変換され、乱流化が促進される。改質ガスも同様である。これにより冷却通路81における改質ガスと空気との混合性が向上する。方向変換部82Bは、空気の乱流化を促進させる乱流化促進要素として機能することができる。本実施形態においても、CO酸化部53に供給される前の空気を冷却通路81に供給することより、シフト部60の上流領域、殊に入口60iを冷却させることができる。この結果、シフト部60における過剰高温化を抑制できる。殊にシフト部60の上流領域、殊に入口60iにおける過剰高温化を抑制できる。更に、CO酸化部53に供給される空気を予熱でき、CO酸化部53における酸化反応を促進させるのに有利となる。
(実施形態4)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示し、図1を準用する。温度センサ60sは、シフト部60の入口60i側の温度を測定する。温度センサ60sで測定されたシフト部60の入口60i付近の温度が所定値よりも高いとき、制御部100は、蒸発部50に供給する改質水(液相)の流量を増加させる指令をポンプ50mに出力し、水量増加制御を実行する。これによりシフト部60に供給される改質ガスに含まれる水蒸気量が増加し、気化熱が増加するため、シフト部60の入口60i側の過剰高温化が抑制される。よって、シフト部60におけるシフト反応が良好に確保される。所定値は改質装置1の種類に応じて適宜選択する。
(実施形態5)
図10は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。冷却通路81は、第2ガス通過板65および内筒62の基端部62bにより、断面で四角リング形状をなす空間として形成されている。本実施形態においても、改質装置1の運転中において、冷却通路81はシフト部60に隣設されている。そして、CO酸化部53に供給される前の空気(大気)を冷却通路81に供給する。これにより改質ガスと空気とをCO酸化部53の上流において混合させることができる。この結果、シフト部60の上流領域である第1シフト通路61fを空気で積極的に冷却させることができる。殊に、入口60iおよび出口60pの双方を冷却させることができる。この結果、シフト部60における過剰高温化を抑制できる。更に、CO酸化部53に供給される前の空気を冷却通路81で予熱でき、CO酸化部53における酸化反応を促進させるのに有利となる。
(実施形態6)
図11は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。冷却通路81は、リング形状をなす第1冷却通路81fとリング形状をなす第2冷却通路81sとで形成されている。冷却通路81f,81sは、リング形状をなす仕切部材81xで互いに非連通状態に仕切られている。第1冷却通路81fは、シフト部60の上流領域である第1シフト通路61fを冷却すると共に、CO酸化部53に連通する。第2冷却通路81sは、シフト部60の第1シフト通路61fの入口60iを冷却すると共に、CO酸化部53に非連通である。図11に示すように、空気通路70は、第1冷却通路81fに連通する第1空気通路70fと、第2冷却通路81sに連通する第2空気通路70sと、第1冷却通路81fを流れる空気の流量を調整する流量調整要素として機能する第1調整弁70mと、第2冷却通路81sを流れる空気の流量を調整する流量調整要素として機能する第2調整弁70nとを有する。
図11から理解できるように、第1冷却通路81fを流れる空気は、シフト部60の第1シフト通路61fを冷却することにより予熱され、その後、出口81pおよび通路85を介してCO酸化部53に供給され、CO酸化部53における酸化反応に使用される。これに対して、第2冷却通路81sを流れる空気は、シフト部60の入口60iを冷却させるものの、CO酸化部53には供給されず、大気または燃焼部25に放出される。ここで、シフト部60の入口60iを更に冷却させたいときには、制御部100は第2調整弁70nを制御し、第2冷却通路81sを流れる空気の単位時間あたりの流量を増加させれば良い。CO酸化部53に供給する空気の流量を増加させるときには、制御部100は第1調整弁70mを制御し、第1空気通路70fに供給する空気流量を増加すれば良い。
(実施形態7)
図12は実施形態7を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。冷却部80Eの冷却通路81Eは冷却専用であり、改質装置1の筐体内においてシフト部60の入口60iに隣設されている。冷却通路81Eは、シフト部60に対して仕切板810で気密に仕切られている。冷却通路81Eには触媒担体60aは収容されていない。冷却用の空気は冷却通路81Eに供給され、シフト部60を冷却させ、その後、大気または燃焼部25に供給される。シフト部60におけるシフト反応を経た改質ガスは、冷却通路81Eにおいて空気と混合されず、出口81pから通路85を介してCO酸化部53に供給される。なお、CO酸化部53には図略の空気通路から酸化用の空気が供給される。
(実施形態8)
図13は実施形態8を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。図13に示すように、酸素含有ガス通路として機能できる空気通路70は、入口70iを介して冷却通路81を介してCO酸化部53に連通する第1空気通路70f(第1酸素含有ガス通路)と、第1冷却通路81を迂回すると共にCO酸化部53に連通する第2空気通路70s(第2酸素含有ガス通路)と、第1空気通路70fおよび第2空気通路70sに分配する空気の流量を調整する三方弁で形成された流量調整要素として機能する調整弁70vとを有する。
図13から理解できるように、第1空気通路70fを流れる空気は、冷却通路81を流れ、シフト部60の入口60iを冷却することにより予熱され、その後、出口81pおよび通路85を介してCO酸化部53に供給され、CO酸化部53における酸化反応に使用される。これに対して、第2空気通路70sを流れる空気は、シフト部60を迂回し、CO酸化部53に供給される。ここで、起動時等のようにシフト部60が適温領域よりも低温であるときには、制御部100は調整弁70vを制御し、第2空気通路70sを流れる空気の流量を増加させると共に、第1空気通路70fを流れる空気の流量を減少させるかゼロとする。起動時におけるシフト部60の立ち上がり性が向上する。
(実施形態9)
図14は実施形態9を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果を示す。被覆層200は断熱材料で形成されており、全体として筒形状をなす。被覆層200は、横方向(矢印X5方向)において複数個(2個)に分割された第1被覆層210と第2被覆層220とで形成されている。第1被覆層210および第2被覆層220は、それぞれ水平断面でC形状をなしており、バンド281,282により接合され、全体として筒形状を形成する。第1被覆層210は、鉛直方向に沿って延設された端面211を有する。第2被覆層220は、鉛直方向に沿って延設された端面221を有する。端面211および端面221は互いに対面して接合される。
端面211にはC形状の凹部213が複数個形成されている。端面221にはC形状の凹部223が複数個形成されている。第1被覆層210と第2被覆層220とが一体に組み付けられると、凹部213,223は、それぞれ嵌合孔251〜255を形成する。ここで、嵌合孔251は、燃料電池に向かう改質ガスの出口53pの配管に嵌合する。嵌合孔252は、蒸発部に水を供給する水入口50iの配管に嵌合する。嵌合孔253は、改質部に燃料原料を供給する原料入口54iの配管に嵌合する。嵌合孔254は、冷却通路81に空気(冷却兼用酸化用空気)を供給する入口70iの第1形成部材71の配管にそれぞれ嵌合する。嵌合孔255は、燃焼用空気または燃焼用燃料の配管に嵌合する。
図14に示すように、第1被覆層210および第2被覆層220のうちの一方または双方には、厚み方向に圧縮可能な寸法誤差吸収用のシート状の断熱材250が貼り合わされている。凹部213の内面,凹部223の内面にも、断熱材250が貼り合わされている。このため寸法公差の影響等を回避しつつ、第1被覆層210および第2被覆層220が精度良く接合され、被覆層200の気密性が向上する。
(その他)
上記した実施形態1では、改質ガスを方向変換部82に当てて冷却通路81において径外方向に向けて方向変換させているが、これに限らず、改質ガスを方向変換部に当てて冷却通路において径内方向に向けて方向変換させ、空気と衝突させることにしても良い。この場合、空気を径外方向に指向するように冷却通路81に供給する。冷却通路81には空気を供給させているが、これに限らず、純酸素ガスを供給させることにしても良い。酸素濃度を濃縮させた酸素富化ガスを供給させることにしても良い。方向変換部82は、重力方向の下方に向かうにつれて縮径するように傾斜しているが、これに限らず、重力方向の上方に向かうにつれて縮径するように傾斜している構造とすることもできる。この場合、下向きに流れる改質ガスが方向変換部に当たり、方向変換される。
実施形態1では、改質部2は内通路21および外通路22の双方を有するが、これに限らず、いずれか一方のみとしても良い。蒸発部50は改質部2と一体的であるが、これに限らず、蒸発部50は改質部2から分離されていても良い。シフト部60が改質部2に一体的に連設されているが、これに限らず、シフト部60は改質部2から分離されていても良い。場合によっては、シフト部60を廃止しても良い。暖機部55は必要に応じて設ければ良い。改質部2がシフト部60の上方に配置されているが、これに限らず、改質部2がCOシフト部60の下方または横方に配置されていても良い。改質部2の上側に燃焼部25が配置されているが、改質部2の下部側に配置されても良い。場合によっては、第1断熱層41,第2断熱層47,第3断熱層48を廃止しても良い。
実施形態1では、改質部2、CO酸化部53および蒸発部50が同軸的に配置されているが、同軸でなくても良く、非同軸タイプでも良い。各触媒は上記したものに限定されるものではない。上記した改質触媒を担持する触媒担体20a、シフト触媒を担持する触媒担体60a、酸化触媒を担持する触媒担体53aは、粒状とされているが、これに限らず、モノリス構造体としても良い。実施形態1では、冷却通路81にはシフト触媒を担持する触媒担体60aが収容されていないが、場合によっては、収容しても良い。
被覆層200、伝熱フィン46、突起96a、係合ピン91eは、必要に応じて設ければ良い。上記した第1筒91〜第9筒99等に使用されるステンレス鋼はSUS310、SUS304、NCA−1(日新製鋼株式会社,アルミニウム含有の高温酸化用のステンレス鋼)等が例示される。改質装置1に用いられる配管はSUS316Lが例示される。本発明は上記した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。上記した記載から次の技術的思想も把握される。
(付記項1)改質用燃料原料から改質ガスを生成する改質部と、改質部で生成された改質ガスに含まれる有害ガスをシフト反応により低減させるシフト部と、シフト部の下流に配置され改質部で生成された改質ガスに含まれる有害ガスを酸化反応により低減させるCO酸化部と、シフト部を有する筐体は、CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスと改質ガスとを混合させる混合室を有することを特徴とする燃料電池用改質装置。
(付記項2)改質用燃料原料から改質ガスを生成する改質部と、前記改質部で生成された改質ガスに含まれる有害ガスをシフト反応により低減させるシフト部と、前記シフト部の下流に配置され前記改質部で生成された改質ガスに含まれる有害ガスを酸化反応により低減させるCO酸化部と、前記改質部、前記シフト部、前記CO酸化部の外側を被覆させる断熱材料を基材とする被覆層とを具備することを特徴とする燃料電池用改質装置。改質部、シフト部およびCO酸化部の保温性が向上する。
(付記項3)改質用燃料原料から改質ガスを生成する改質部と、前記改質部で生成された前記改質ガスに含まれる有害ガスをシフト反応により低減させるシフト部と、前記シフト部の下流に配置され前記改質部で生成された前記改質ガスに含まれる有害ガスを酸素と反応させる酸化反応により低減させるCO酸化部と、前記CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスが供給される冷却通路をもち、前記CO酸化部に供給される前の前記酸素含有ガスで前記シフト部を冷却させる冷却部とを具備することを特徴とする燃料電池用改質装置。
本発明は燃料電池システムに使用される改質装置に利用することができる。
実施形態1に係り、改質装置を示す断面図である。 実施形態1に係り、改質装置の改質部付近を示す断面図である。 実施形態1に係り、改質装置の改質部付近を拡大して示す断面図である。 実施形態1に係り、改質装置の冷却通路に隣設するCOシフト部付近を拡大して示す断面図である。 実施形態1に係り、COシフト部の内筒の先端部付近を拡大して示す断面図である。 空気通路の入口が単数設けられているとき、冷却通路における流れ形態を模式的に示す平面図である。 空気通路の入口が複数設けられているとき、冷却通路における流れ形態を模式的に示す平面図である。 実施形態2に係り、空気通路の入口が単数設けられているとき、冷却通路における流れ形態を模式的に示す平面図である。 実施形態3に係り、冷却通路付近を模式的に示す断面図である。 実施形態5に係り、冷却通路およびシフト部付近を断面図である。 実施形態6に係り、冷却通路およびシフト部付近を断面図である。 実施形態7に係り、冷却通路およびシフト部付近を断面図である。 実施形態8に係り、冷却通路およびシフト部付近を断面図である。 実施形態9に係り、改質装置に被着されている被覆層を示す側面図である。
符号の説明
1は改質装置、2は改質部、20は燃焼室、21は外通路、22は内通路、25は燃焼部、41は第1断熱層、43は第1燃焼通路、44は第2燃焼通路、46は伝熱フィン、50は蒸発部、50mはポンプ(水搬送源)、53はCO酸化部、54は熱交換部、60はシフト部、60sは温度センサ、61は改質ガス通路形成部材、61fは第1シフト通路(上流領域,改質ガス通路)、61sは第2シフト通路(下流領域,改質ガス通路)、62は内筒、63は外筒、64は第1ガス通過板、65は第2ガス通過板、66は閉鎖板、70は空気通路(酸素含有ガス通路)、71は第1形成部材(酸素含有ガス通路形成部材)、75は水蒸気通路、80は冷却部、81は冷却通路、82は方向変換部、100は制御部、110は第1ガス通過部材、120は第2ガス通過部材、150は主ガス通過部材を示す。

Claims (7)

  1. 改質用燃料原料から改質ガスを生成する改質部と、
    前記改質部で生成された前記改質ガスに含まれる有害ガスをシフト反応により低減させるシフト部と、
    前記シフト部の下流に配置され前記改質部で生成された前記改質ガスに含まれる有害ガスを酸素と反応させる酸化反応により低減させるCO酸化部と、
    前記シフト部に隣設され、前記CO酸化部に供給される前の酸素含有ガスが供給される冷却通路をもち、前記CO酸化部に供給される前の前記酸素含有ガスで前記シフト部を冷却させる冷却部とを具備し、
    前記冷却部は、前記シフト部の通路長の中間点よりも上流を上流領域とするとき、前記シフト部の該上流領域の少なくとも一部に隣設され、
    前記冷却通路と連通し、前記シフト部の通路長方向に対して垂直方向に前記酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス通路を具備することを特徴とする燃料電池用改質装置。
  2. 前記冷却部の前記冷却通路は、前記シフト部から吐出された前記改質ガスに前記酸素含有ガスを混合させた混合ガスを形成すると共に前記混合ガスを前記CO酸化部に供給することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用改質装置。
  3. 前記冷却通路は、前記改質ガスおよび前記酸素含有ガスのうちの少なくとも一方の乱流化を促進させることにより、前記改質ガスおよび前記酸素含有ガスの混合性を高める乱流化要素を有することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用改質装置。
  4. 前記冷却通路は、冷却面積を増加させる凹凸構造を有することを特徴とする請求項1〜3のうちの一項に記載の燃料電池用改質装置。
  5. 液相状の水を水蒸気化する蒸発部と、液相状の水を前記蒸発部に供給する水搬送源と、前記シフト部に設けられ前記シフト部の温度を測定する温度センサと、前記温度センサの信号が入力され前記温度センサで測定された前記シフト部の温度が所定値よりも高いとき、前記蒸発部に供給する水の流量を増加させる水量増加制御を実行する制御部とを具備することを特徴とする請求項1〜4のうちの一項に記載の燃料電池用改質装置。
  6. 前記冷却通路は、前記シフト部を冷却すると共に前記CO酸化部に繋がる第1冷却通路と、前記シフト部を冷却すると共に前記CO酸化部に繋がらない第2冷却通路とを有することを特徴とする請求項1〜5のうちの一項に記載の燃料電池用改質装置。
  7. 前記酸素含有ガスを前記冷却通路に供給する酸素含有ガス通路が設けられており、前記酸素含有ガス通路は、前記冷却通路に酸素含有ガスを供給することにより前記CO酸化部に供給する第1酸素含有ガス通路と、前記冷却通路を迂回しつつ前記酸素含有ガスを前記CO酸化部に供給する第2酸素含有ガス通路とを有することを特徴とする請求項1〜6のうちの一項に記載の燃料電池用改質装置。
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