JP5197437B2 - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体及び画像形成装置に関する。特に、押圧によって現像ローラに撓みが生じた場合であっても、形成画像における白抜けの発生を効果的に抑制できる電子写真感光体及び画像形成装置に関する。
従来、複写機やプリンタ等の電子写真法を用いた画像形成装置においては、円筒状の電子写真感光体と、同様に円筒状の現像ローラと、を平行に配設して、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにて現像している。
一方、電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力(接触現像の場合)、またはギャップ(非接触現像の場合)は、様々な要因によって変化しやすく、一定の間隔を保持することが困難であるという問題が見られる。
さらに、かかる圧接力、またはギャップが過度に不均一になると、現像ローラから電子写真感光体へのトナーの移動が不均一となり、結果として白抜け等の画像不良が生じやすくなる。
そこで、かかる問題を解決すべく、基体の両端縁に肉厚の凸部を設けた電子写真感光体が開示されている(例えば、特許文献1)。
すなわち、基体の両端縁に肉厚の凸部を設けることで、基体の両端にフランジを挿入する際に、基体の両端縁が外側に膨らむことを抑制することができ、ひいては、かかる基体の膨らみに起因したギャップの変化が生じにくい電子写真感光体が開示されている。
また、電子写真感光体と、クリーニングブレードと、の当接圧を均一にすることを目的としたものではあるが、電子写真感光体の外径が、母線方向中心近傍から長手方向の両端部に向かって漸減した電子写真感光体が開示されている(特許文献2)。
特開平10−48904号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2000−98642号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1及び2に開示されている電子写真感光体は、現像ローラの撓みを全く考慮していないことから、電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを安定的に保持することが困難であるという問題が見られた。
すなわち、特許文献1及び2では、現像ローラの中央部が押圧部材によって、電子写真感光体側に押し出される態様で撓む場合があることについて、何ら考慮していないことから、電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを安定的に保持することが困難であった。
具体的には、特許文献1の場合、電子写真感光体における感光層形成領域の表面形状が平坦なままであり、特許文献2に至っては、逆に現像ローラ側に凸部を有している。
したがって、電子写真感光体の両端部において、電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力が過度に小さくなるか、またはギャップが過度に大きくなり、ひいては当該部分にトナーが現像されにくくなって、形成画像において白抜けが生じやすくなるという問題が見られた。
そこで、本発明者等は、鋭意検討した結果、電子写真感光体の表面形状を所定の形状とすることによって、押圧により現像ローラに撓みが生じた場合であっても、電子写真感光体と、現像ローラと、の圧接力、または電子写真感光体と、現像ローラと、の間におけるギャップを安定的に保持できることを見出した。
その結果、押圧により現像ローラに撓みが生じた場合であっても、形成画像における白抜けの発生を効果的に抑制できることを見出すに至った。
すなわち、本発明の目的は、押圧によって現像ローラに撓みが生じた場合であっても、形成画像における白抜けの発生を効果的に抑制できる電子写真感光体及び画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば、円筒状の基体の周囲に感光層を備えた電子写真感光体であって、電子写真感光体の軸線方向断面における感光層の表面形状を示す輪郭線が、感光層の両端部を結ぶ仮想直線よりも軸線側に湾曲した凹部を有し、感光層の表面形状を示す曲線における勾配が、感光層の端部と、凹部の最下点と、の間において変化し、勾配の転換点が、感光層の端部と、凹部の最下点と、における中点に位置し、かつ、感光層の端部における電子写真感光体の外径をA(mm)とし、凹部の最下点における電子写真感光体の外径をB(mm)とした場合に、A及びBが、下記関係式(1)を満足することを特徴とする電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
2(μm)<A−B<50(μm) (1)
すなわち、感光層の表面形状を示す輪郭線が、感光層の両端部を結ぶ仮想直線よりも軸線側に湾曲した凹部を有することにより、押圧によって現像ローラに撓みが生じた場合であっても、接触現像、非接触現像の別にかかわりなく、電子写真感光体の端部と、現像ローラの端部と、の間における圧接力が過度に小さくなったり、ギャップが過度に大きくなったりすることを安定的に抑制することができる。
また、凹部をこのように構成することにより、現像ローラの撓みに対し、電子写真感光体の表面が効果的に追従し、安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを保持することができる。
これにより、形成画像における電子写真感光体の端部に対応する箇所での白抜けの発生を、効果的に抑制することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層の端部側における勾配が、凹部の最下点側における勾配よりも緩勾配であることが好ましい。
このように構成することにより、より安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを保持することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層の表面形状を示す輪郭線全体が、感光層の両端部を結ぶ仮想直線よりも軸線側に位置することが好ましい。
このように構成することにより、現像ローラの撓みに対し、電子写真感光体の表面が効果的に追従し、安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを保持することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層の端部と、凹部の最下点と、の中点における電子写真感光体の外径をC(mm)とした場合に、B及びCが、下記関係式(2)を満足することが好ましい。
2(μm)<C−B<40(μm) (2)
このように構成することにより、現像ローラの撓みに対し、電子写真感光体の表面がより効果的に追従し、さらに安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを保持することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、Aを20〜40mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、所定の凹部を均一に形成することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層の端部に対応した位置における基体の外径をa(mm)とし、凹部の最下点に対応した位置における基体の外径をb(mm)とした場合に、a及びbが、下記関係式(3)を満足することが好ましい。
2(μm)<a−b<50(μm) (3)
このように構成することにより、感光層の膜厚を調節することなく、所定の凹部を形成することができる。
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、基体が切削により得られてなることが好ましい。
このように構成することにより、所定の凹部を、均一かつ容易に形成することができる。
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの電子写真感光体を搭載してなる画像形成装置である。
すなわち、所定の凹部を有した電子写真感光体を搭載していることから、押圧によって現像ローラに撓みが生じた場合であっても、電子写真感光体の端部と、現像ローラの端部と、の間における圧接力が過度に小さくなったり、ギャップが過度に大きくなったりすることを安定的に抑制し、これに起因した形成画像における白抜けの発生を、効果的に抑制することができる。
図1は、本発明の電子写真感光体の構成を説明するために供する図である。 図2は、現像ローラにおける撓みの発生機構を説明するために供する図である。 図3(a)〜(b)は、本発明の電子写真感光体の効果を説明するために供する図である。 図4(a)〜(b)は、本発明の電子写真感光体の構成を説明するために供する別の図である。 図5は、本発明の電子写真感光体の構成を説明するために供するさらに別の図である。 図6は、本発明の画像形成装置を説明するために供する図である。 図7は、ギャップ規制用コロを用いた態様を説明するために供する図である。 図8は、実施例における電子写真感光体の表面形状を示す図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、円筒状の基体の周囲に感光層を備えた電子写真感光体であって、電子写真感光体の軸線方向断面における感光層の表面形状を示す輪郭線が、感光層の両端部を結ぶ仮想直線よりも軸線側に湾曲した凹部を有有し、感光層の表面形状を示す曲線における勾配が、感光層の端部と、凹部の最下点と、の間において変化し、勾配の転換点が、感光層の端部と、凹部の最下点と、における中点に位置し、かつ、感光層の端部における電子写真感光体の外径をA(mm)とし、凹部の最下点における電子写真感光体の外径をB(mm)とした場合に、A及びBが、後述する関係式(1)を満足することを特徴とする電子写真感光体である。
以下、本発明の第1の実施形態としての電子写真感光体について、各構成要件ごとに、それぞれ具体的に説明する。
1.形状
本発明の電子写真感光体は、図1に示すように、円筒状の基体22の周囲に感光層14を備えた電子写真感光体41であって、電子写真感光体41の軸線方向断面、すなわち図1に示すような軸線を含む断面における感光層14の表面形状を示す輪郭線4(図中、太線にて示す。)が、感光層14の両端部6(図中、白抜き丸にて示す。)を結ぶ仮想直線10よりも軸線2の側に湾曲した凹部12を有することを特徴とする。
この理由は、感光層の表面形状を示す輪郭線が、感光層の両端部を結ぶ仮想直線よりも軸線側に湾曲した凹部を有することにより、押圧によって現像ローラに撓みが生じた場合であっても、接触現像、非接触現像の別にかかわりなく、電子写真感光体の端部と、現像ローラの端部と、の間における圧接力が過度に小さくなったり、ギャップが過度に大きくなったりすることを安定的に抑制することができるためである。
そして、これにより、形成画像における電子写真感光体の端部に対応する箇所での白抜けの発生を、効果的に抑制することができるためである。
なお、本発明における「感光層の両端部」は、基体上に形成された感光層の軸線方向における両方の端部を意味する。
一方、フランジの先端が、基体における感光層が形成されている領域に該当する部分にまで圧入されているときは、当該フランジにより基体及び感光層が膨らんだ部分を避けた箇所を、「感光層の両端部」とする。
すなわち、その場合の「感光層の両端部」は、当該フランジの先端から軸線方向中心に向かって、例えば、5〜20mmの範囲内において規定した所定位置を意味する。
より具体的に説明すると、電子写真感光体及び現像装置の概略図である図2に示すように、一般に、現像ローラ40には、現像ローラ40に対してトナーを供給するための供給ローラ48a、48bや、現像ローラ40上のトナーを摩擦帯電させながら薄層化するための薄層ブレード49等が押圧される場合が多い。
そのような場合、図3(a)〜(b)に示すように、現像ローラ40には、上述した押圧による力Fがかかり、その中央部が電子写真感光体41´、41側に押し出される態様で、撓みが生じやすくなる。
かかる撓みは、現像ローラ40の芯材あるいは軸部材を、強度が弱い材質によって構成した場合や、その軸径が小さい場合に、特に生じやすくなることが確認されている。
一方、現像ローラ40と平行に配設された電子写真感光体41´、41は、帯電特性や感度特性等の諸特性において、厳密な均一性が要求される精密部材である。
したがって、アルミニウム素管等の所定の強度を有する部材を基体22´、22として用いており、基本的に撓みが生じるようなことはない。
その結果、図3(a)に示すように、非接触現像の場合には、電子写真感光体41´と、現像ローラ40と、の間におけるギャップが、電子写真感光体41´の中央部では比較的小さくなる一方で、電子写真感光体41´の端部では比較的大きくなってしまう。
そして、ギャップが比較的大きい電子写真感光体41´の端部では、現像ローラ40からのトナーの移動が不十分となって、結果として白抜け等の画像不良が生じやすくなる。
また、図示しないものの、接触現像の場合には、電子写真感光体と、現像ローラと、の間の圧接力が、電子写真感光体の中央部では比較的大きくなる一方で、電子写真感光体の端部では比較的小さくなってしまう。
その結果として、非接触現像の場合と同様に、電子写真感光体の端部において白抜け等の画像不良が生じやすくなる。
なお、以下においては、図示する便宜上、主に非接触現像の場合を例に挙げて説明する。
この点、本発明の電子写真感光体であれば、所定の形状を有していることから、図3(b)に示すように、押圧による力Fによって現像ローラ40に撓みが生じた場合であっても、電子写真感光体41と、現像ローラ40と、の間におけるギャップに、電子写真感光体41の中央部と端部とで過度に差異がでないように制御することができる。
したがって、本発明の電子写真感光体であれば、形成画像における電子写真感光体の端部に対応する箇所での白抜けの発生を、効果的に抑制することができることとなる。
また、図4(a)に示すように、感光層14の表面形状を示す輪郭線4における勾配が、感光層14の端部6と、凹部の最下点8と、の間において変化することを特徴とし、感光層14の端部側における勾配24が、凹部の最下点側における勾配25よりも緩勾配であることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、より安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを保持することができるためである。
すなわち、図4(b)に示すように、現像ローラ40の両端は、軸受けによって位置決めされているため、両端部よりも中央部における撓みが大きくなるが、凹部の最下点側における勾配と、感光層の端部側における勾配と、が同一である場合、感光層14の両端側における現像ローラ40と、電子写真感光体41aと、の間の圧接力が過度に大きくなったり、ギャップが過度に小さくなったりする場合があるためである。
また、急勾配及び緩勾配を上述したように設ける場合、図4(a)に示すように、勾配の転換点が、感光層の端部6(図中、白抜き丸にて示す。凹部の最下点8及び中点16も同様。)と、凹部の最下点8と、における中点16、あるいは中点16の近傍に位置することを特徴とする
この理由は、このように構成することにより、さらに安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間の圧接力、またはギャップを保持することができるためである。
すなわち、上述したように、現像ローラの両端は、軸受けによって位置決めされているため、両端部よりも中央部における撓みが大きくなるところ、勾配の転換点が、中点16、あるいは中点16に近傍の位置であれば、電子写真感光体41aの形状と、撓んだ現像ローラ40の形状と、をより安定的に対応させることができるためである。
なお、感光層の端部と、凹部の最下点と、における中点近傍とは、より具体的には中点から0〜50mmの距離の範囲内であることが好ましく、0〜30mmの距離の範囲内であることがより好ましい。
また、図1に示すように、感光層14の表面形状を示す輪郭線4の全体が、感光層14の両端部6を結ぶ仮想直線10の軸線2側に位置することが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、現像ローラの撓みに対し、電子写真感光体の表面が効果的に追従し、安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを保持することができるためである。
また、図5に示すように、感光層14の端部6における電子写真感光体の外径をA(mm)とし、凹部の最下点8における電子写真感光体の外径をB(mm)とした場合に、A及びBが、下記関係式(1)を満足することを特徴とする。
2(μm)<A−B<50(μm) (1)
この理由は、感光層の端部における外径と、凹部の最下点における外径と、の差をかかる範囲とすることにより、現像ローラの撓みに対し、電子写真感光体の表面が効果的に追従し、安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを保持することができるためである。
すなわち、(A−B)の値が2μm未満の値となると、凹部が過度に浅くなり、電子写真感光体の端部における、電子写真感光体と、現像ローラと、の圧接力が過度に小さくなったり、電子写真感光体の端部におけるギャップが過度に大きくなったりする場合があるためである。一方、(A−B)の値が50μmを超えた値となると、凹部が過度に深くなり、電子写真感光体の端部における、電子写真感光体と、現像ローラと、の圧接力が過度に大きくなったり、電子写真感光体の中央部におけるギャップが過度に小さくなったりする場合があるためである。
したがって、感光層の端部における電子写真感光体の外径をAとし、凹部の最下点における電子写真感光体の外径をBとした場合に、A及びBが、下記関係式(1´)を満足することがより好ましく、下記関係式(1´´)を満足することがさらに好ましい。
3(μm)<A−B<40(μm) (1´)
4(μm)<A−B<15(μm) (1´´)
また、Aを20〜40mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の端部における電子写真感光体の外径をかかる範囲とすることにより、所定の凹部を均一に形成することができるためである。
したがって、Aを23〜35mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、図5における電子写真感光体の軸方向における感光層14が形成されている部分の長さL2としては、使用する基体の長さによるが、一般に200〜350mmの範囲内の値とすることが好ましく、210〜300mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、図5に示すように、感光層14の端部6と、凹部の最下点8と、の中点16における電子写真感光体の外径をC(mm)とした場合に、B及びCが、下記関係式(2)を満足することが好ましい。
2(μm)<C−B<40(μm) (2)
この理由は、感光層の端部と、凹部の最下点と、の中点における外径と、凹部の最下点における外径と、の差をかかる範囲とすることにより、現像ローラの撓みに対し、電子写真感光体の表面がより効果的に追従し、さらに安定的に電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを保持することができるためである。
すなわち、(C−B)の値が2μm未満の値となると、凹部の最下点近傍が過度に緩勾配となって、現像ローラの撓みに追従することが困難となる場合があるためである。一方、(C−B)の値が40μmを超えた値となると、凹部の最下点近傍が過度に急勾配となって、電子写真感光体の表面を現像ローラの撓みに追従させることが困難となる場合があるためである。
したがって、感光層の端部と、凹部の最下点と、の中点における電子写真感光体の外径をCとした場合に、B及びCが、下記関係式(2´)を満足することがより好ましく、下記関係式(2´´)を満足することがさらに好ましい。
3(μm)<C−B<30(μm) (2´)
3(μm)<C−B<10(μm) (2´´)
2.基体
本発明における基体の構成材料としては、種々の材料を使用することができる。
例えば、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよく、また、使用に際して、充分な機械的強度を有していればよい。
また、図5に示すように、感光層14の端部6に対応した位置における基体22の外径をa(mm)とし、凹部の最下点8に対応した位置における基体22の外径をb(mm)とした場合に、a及びbが、下記関係式(3)を満足することが好ましい。
2(μm)<a−b<50(μm) (3)
この理由は、感光層の端部に対応した位置における基体の外径と、凹部の最下点に対応した位置における基体の外径と、の差をかかる範囲とすることにより、感光層の膜厚を調節することなく、所定の凹部を形成することができるためである。
すなわち、図1等に示すように、基体22の形状を所定の形状とすることにより、当該基体上に均一な膜厚の感光層を形成するだけで、所定の凹部を有した電子写真感光体を得ることができるためである。
したがって、感光層の端部に対応した位置における基体の外径をaとし、凹部の最下点に対応した位置における基体の外径をbとした場合に、a及びbが、下記関係式(3´)を満足することがより好ましく、下記関係式(3´´)を満足することがさらに好ましい。
5(μm)<a−b<40(μm) (3´)
5(μm)<a−b<30(μm) (3´´)
また、同様の観点から、図5に示すように、感光層14の端部6と、凹部の最下点8と、の中点16に対応した位置における基体22の外径をc(mm)とした場合に、b及びcが、下記関係式(4)を満足することが好ましく、下記関係式(4´)を満足することがより好ましい。
3(μm)<c−b<25(μm) (4)
5(μm)<c−b<20(μm) (4´)
なお、基体の厚さL3は、0.1〜5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.3〜2mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、基体の軸方向の長さL4は、230〜500mmの範囲内の値とすることが好ましく、240〜380mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、基体が切削により得られてなることが好ましい。
この理由は、切削であれば、基体に対して、所定の凹部を、均一かつ容易に形成することができるためである。
かかる基体の切削方法としては、まず、基体をダイヤモンドバイトが固定してある旋盤に対して固定した後、回転させつつ適宜、基体の軸方向及び周方向に移動させながら、ダイヤモンドバイトに接触させて、切削を行うことが好ましい。
3.感光層
また、感光層としては、特に限定されるものではなく、アモルファスシリコン感光層等の無機感光層であってもよく、有機感光材料を樹脂中に分散させた単層型または積層型の有機感光層であってもよい。
また、感光層の組成についても、特に限定されるものではなく、従来公知の組成とすることができる。
なお、感光層の膜厚についても、特に限定されるものではないが、所定の電気特性を確保する観点から、例えば、アモルファスシリコン感光層であれば、15〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、20〜35μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、単層型の有機感光層であれば、20〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、25〜40μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、積層型の有機感光層であれば、15〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、20〜40μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の電子写真感光体を搭載してなる画像形成装置である。
以下、第1の実施形態において記載した内容と異なる点を中心に、第2の実施形態について具体的に説明する。
本発明の画像形成装置としては、例えば、図6に示すようなタンデム方式の画像形成装置30を好適に使用することができる。かかる画像形成装置30は、中間転写ベルト51を備えている。また、中間転写ベルト51の上側には、マゼンタ用現像ユニット37M、シアン用現像ユニット37C、イエロー用現像ユニット37Y、及びブラック用現像ユニット37Kが、それぞれ中間転写ベルト51の移動方向に沿って配置されている。
また、現像ローラ40に対面して、それぞれ電子写真感光体41が配置されている。また、これら電子写真感光体41の周囲には、それぞれ電子写真感光体41の表面を帯電させるための帯電手段75及び電子写真感光体41表面に静電潜像を形成するための露光手段76等が配置されている。
したがって、各色に対応した電子写真感光体41上に形成された静電潜像は、各色に対応した現像ローラ40によってそれぞれ現像されることとなる。
また、中間転写ベルト51上に、順次、各色現像剤像を転写するための一次転写手段56が、中間転写ベルト51を介してそれぞれの電子写真感光体41の反対側に配置されている。
また、中間転写ベルト51の移動方向における最下流部には、中間転写ベルト51上に形成された現像剤像を、記録媒体上に転写するための二次転写手段52が配置されている。
さらに、図中左下には、記録媒体上に転写された現像剤像を、記録媒体に対して定着させるための定着手段34が配置されている。
ここで、現像ローラ40による電子写真感光体41上に形成された静電潜像の現像について、より具体的に説明する。
すなわち、図2に示すように、電子写真感光体41上に形成された静電潜像に基づき、現像手段44の開口部に配設された現像ローラ40によりトナーを付着させて現像し、電子写真感光体41の表面にトナー像を形成する。
このとき、現像手段44の開口部に配設された現像ローラ40には、第1の供給ローラ48a及び第2の供給ローラ48b、並びに薄層ブレード49等からの押圧による力がかかることとなる。
その結果、現像ローラ40は、電子写真感光体41側に押し出される態様で撓むこととなるため、一般の電子写真感光体では、電子写真感光体41と、現像ローラ40と、の間における圧接力、またはギャップを安定的に保持することが困難となる。
この点、本発明の画像形成装置に搭載されている電子写真感光体は、第1の実施形態において説明した所定の凹部を有した電子写真感光体であることから、このような場合であっても、電子写真感光体の端部と、現像ローラの端部と、の間における圧接力、またはギャップが過度に大きくなることを安定的に抑制することができる。そして、形成画像における白抜けの発生を、効果的に抑制することができる。
なお、電子写真感光体と、現像ローラと、の間におけるギャップの距離は、従来公知の距離と同様にすることができる。
また、かかるギャップをより安定的に保持すべく、図7に示すように、電子写真感光体41と、現像ローラ40との間に、回転可能なギャップ規制用コロ50を介させることも好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
1.電子写真感光体の製造
(1)基体の切削
まず、外径30mm、軸方向の長さ254mm、厚さ0.75mmのアルミニウム合金からなる基体を用意した。
次いで、基体をダイヤモンドバイトが固定してある旋盤に対して固定した後、回転させつつ適宜、基体の軸方向及び周方向に移動させながら、ダイヤモンドバイトに接触させて、切削を行った。
(2)基体の外径の測定
次いで、基体の外径を測定した。
すなわち、切削によって得られた基体の一方の端部から20mmの位置の外径をa1(mm)、72.5mmの位置の外径をc1(mm)、125mmの位置の外径をb(mm)、177.5mmの位置の外径をc2(mm)、230mmの位置の外径をa2(mm)として、それぞれキーエンス(株)製、LS−5040Rを用いて測定した。また、測定した値から、a1−b(μm)、c1−b(μm)、c2−b(μm)、a2−b(μm)を算出した。得られた結果を表1に示す。
(3)感光層の形成
次いで、得られた基体上に、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、結着樹脂及び有機溶剤からなる単層型感光層用塗布液を塗布し、膜厚30μmの単層型感光層を形成した。
なお、感光層は、基体の端部からの未塗布幅が両端共に5.5mmとなるように、形成した。
(4)フランジの圧入
次いで、感光層が形成された基体の両端に、それぞれ基体の両端部から10mmの深さまで、フランジを圧入して、電子写真感光体を得た。
(5)電子写真感光体の外径の測定
次いで、電子写真感光体の外径を測定した。
すなわち、基体において、a1、c1、b、c2及びa2を測定した位置における電子写真感光体の外径を、それぞれA1(mm)、C1(mm)、B(mm)、C2(mm)及びA2(mm)として、基体の場合と同様に測定した。また、測定した値から、A1−B(μm)、C1−B(μm)、C2−B(μm)、A2−B(μm)を算出した。得られた結果を表1に示す。
2.白抜け発生の評価
次いで、得られた電子写真感光体を用いて画像形成を行った場合における白抜けの発生を評価した。
すなわち、得られた電子写真感光体を、プリンタ(京セラミタ(株)製、FS−C5016N改造機)に搭載し、接触現像にてグレー画像を形成した。次いで、得られたグレー画像における白抜けの発生を目視にて確認し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、このとき用いた現像ローラの軸部材としては、SUS製のものを用いた。
その結果、現像ローラの中央部が、電子写真感光体側に、50μm撓んでいることが確認された。
◎:白抜けが全く確認されなかった。
○:電子写真感光体の両端部に相当する位置に、わずかな白抜けが発生したが、実用上問題ない範囲であった。
×:電子写真感光体の両端部に相当する位置に、明らかな白抜けが発生した。
[実施例2〜6及び比較例1〜3]
実施例2〜6及び比較例1〜3では、基体を切削する際に、切削具合を変えて、基体の表面形状を変え、ひいては感光層の表面形状を変えたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
また、実施例2、5及び比較例1で製造した電子写真感光体の表面状態を、図8において、それぞれ特性曲線A〜Cとして示す。
Figure 0005197437
本発明に係る電子写真感光体及び画像形成装置によれば、電子写真感光体の表面形状を所定の形状とすることによって、押圧により現像ローラに撓みが生じた場合であっても、電子写真感光体と、現像ローラと、の間における圧接力、またはギャップを安定的に保持できるようになった。
その結果、そのような場合であっても、形成画像における白抜けの発生を効果的に抑制できるようになった。
したがって、本発明に係る電子写真感光体及び画像形成装置は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における高品質化に著しく寄与することが期待される。
2:軸線、4:感光層の表面形状を示す輪郭線、6:感光層の端部、8:凹部の最下点、12:凹部、13:凸部、10:仮想直線、14:感光層、16:感光層の端部と、凹部の最下点と、における中点、22:基体、24:感光層の端部側における勾配、25:凹部の最下点側における勾配、30:カラー画像形成装置、34:定着手段、40:現像手段、41:電子写真感光体、48:供給ローラ、49:薄層ブレード、50:ギャップ規制用コロ、56:転写手段、61:給紙カセット、75:帯電手段、76:露光手段

Claims (8)

  1. 円筒状の基体の周囲に感光層を備えた電子写真感光体であって、
    前記電子写真感光体の軸線方向断面における感光層の表面形状を示す輪郭線が、感光層の両端部を結ぶ仮想直線よりも前記軸線側に湾曲した凹部を有し、
    前記感光層の表面形状を示す曲線における勾配が、感光層の端部と、凹部の最下点と、の間において変化し、
    前記勾配の転換点が、前記感光層の端部と、前記凹部の最下点と、における中点に位置し、かつ、
    前記感光層の端部における電子写真感光体の外径をA(mm)とし、前記凹部の最下点における電子写真感光体の外径をB(mm)とした場合に、前記A及びBが、下記関係式(1)を満足することを特徴とする電子写真感光体。
    2(μm)<A−B<50(μm) (1)
  2. 前記感光層の端部側における勾配が、凹部の最下点側における勾配よりも緩勾配であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層の表面形状を示す曲線の全体が、感光層の両端部を結ぶ仮想直線の下方に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層の端部と、前記凹部の最下点と、の中点における電子写真感光体の外径をC(mm)とした場合に、前記B及びCが、下記関係式(2)を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
    2(μm)<C−B<40(μm) (2)
  5. 前記Aを20〜40mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記感光層の端部に対応した位置における基体の外径をa(mm)とし、前記凹部の最下点に対応した位置における基体の外径をb(mm)とした場合に、前記a及びbが、下記関係式(3)を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
    2(μm)<a−b<50(μm) (3)
  7. 前記基体が、切削により得られてなる請求項1〜のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜のいずれかの電子写真感光体を搭載してなる画像形成装置。
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