JP2008292595A - 現像ローラ、現像装置、および画像形成装置 - Google Patents

現像ローラ、現像装置、および画像形成装置 Download PDF

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淳一 鈴木
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Abstract

【課題】トナーを小粒径化しても、現像ローラから感光体へのトナーの飛翔性を優れたものとすることができる現像ローラ、また、この現像ローラを備える現像装置、さらに、この現像装置を備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明の現像ローラは、円筒状または円柱状をなす基材302と、基材302の外周面上に形成され、金属303aと、互いに種類の異なる複数種の微粒子303bとを含んで構成された表層303とを有し、表層303の基材302とは反対側の面には、接触面積を低減しつつトナーTを担持し得るように微粒子303bによる微細な凹凸が形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、現像ローラ、現像装置、および画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用するプリンタ、複写機、ファクシミリ装置などの画像形成装置は、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程などの一連の画像形成プロセスによって、紙などの記録媒体上に、トナーからなる画像を形成する。
このような画像形成装置には、感光体上の静電的な潜像をトナー像として可視化する現像装置が備えられている。かかる現像装置は、トナーを担持する現像ローラ(現像剤担持体)を有し、現像ローラから感光体へトナーを付与することにより、感光体上の潜像をトナー像として可視化する。ここで、一般に、現像ローラは感光体に近接しており、現像ローラと感光体との間に電界を印加することにより、現像ローラから感光体へトナーを飛翔・付与する。
従来、かかる現像装置に備えられる現像ローラとしては、その外周面をブラスト処理などにより粗面化して、凹凸を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。これにより、現像ローラ上にトナーを確実に担持させることができる。また、かかる現像ローラには、最表層としてニッケルメッキ層が形成されている。
ところで、近年、印刷画像の高解像度化に伴い、粒径4μm以下(特に3μm以下)の小粒径トナーを用いることが提案されている。
現像ローラに対するトナーの付着力としては、主に、鏡像力などの静電気的力によるものと、ファンデルワールス力などの非静電気的力によるものとがある。前述したような小粒径のトナーを単に特許文献1にかかる現像ローラに用いると、現像ローラの外周面の凹凸の表面粗さに対しトナー粒径が極めて小さくなるため、現像ローラに対するトナーの接触面積が増大し、現像ローラに対するトナーの付着力は、ファンデルワールス力によるものが支配的になってしまう。そのため、現像ローラ上に担持されたトナーの感光体への飛翔性を電界(バイアス)強度により制御することが困難となってしまう。
特開平5−46012号公報
本発明の目的は、トナーを小粒径化しても、現像ローラから感光体へのトナーの飛翔性を優れたものとすることができる現像ローラ、また、この現像ローラを備える現像装置、さらに、この現像装置を備える画像形成装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の現像ローラは、円筒状または円柱状をなす基材と、
前記基材の外周面上に形成され、金属と、互いに種類の異なる2種以上の微粒子とを含んで構成された表層とを有し、
前記微粒子は、接触面積を低減しつつトナーを担持し得る微細な凹凸を前記表層の前記基材とは反対側の面に形成するように、前記表層中に分散していることを特徴とする。
これにより、現像ローラは接触面積を低減しつつトナーを担持することができる。そのため、トナーと現像ローラとの間のファンデルワールス力を低減することができる。
また、表層が互いに種類の異なる2種以上の微粒子を含んで構成されているため、2種以上の微粒子を適宜選択することで、現像ローラや表層に必要な様々な要素(例えば機械的強度)を満足させながら、現像ローラ上でのトナーの帯電性を向上させることができる。
これらのことから、トナーを小粒径化しても、現像ローラと感光体との間にバイアスを印加してトナーの挙動を容易に制御することができる。
本発明の現像ローラでは、前記2種以上の微粒子は、金属酸化物を主材料として構成された無機微粒子と、潤滑性を有する潤滑微粒子とを含有することが好ましい。
これにより、無機微粒子が金属酸化物を主として構成されていて比抵抗の大きいものであるため、表層の比抵抗を抑えることができる。そのため、現像ローラ上のトナーを帯電しやすくすることができる。
これに加えて、潤滑微粒子がトナーに対し潤滑性を有しているため、表層上でトナーが転がりやすく、現像ローラ上でのトナーの帯電性を向上させることができる。
これらのことから、トナーを小粒径化しても、現像ローラと感光体との間にバイアスを印加してトナーの挙動を容易に制御することができる。特に、無機微粒子が表層中に含まれているため、表層の機械的強度を優れたものとすることができる。その結果、現像ローラの耐久性を向上させ、前述した効果を長期に亘り発揮させることができる。
本発明の現像ローラでは、前記潤滑微粒子は、炭化物またはフッ化物を主材料として構成されていることが好ましい。
炭化物やフッ化物はトナーに対し優れた潤滑性を有している。したがって、炭化物またはフッ化物を主材料として構成された潤滑微粒子を用いることで、現像ローラ上でのトナーの帯電性を効果的に向上させることができる。
本発明の現像ローラでは、前記表層は、メッキ層であることが好ましい。
これにより、金属および微粒子を含むメッキ材を用いて基材の外周面にメッキ処理を行うことで比較的簡単かつ確実に、表層を形成することができる。
本発明の現像ローラでは、前記無機微粒子および前記潤滑微粒子の全体の平均粒径は、前記トナーの平均粒径以下であることが好ましい。
これにより、微粒子による微細な凹凸の凹部にトナーが入り込むのを防止し、トナーと表層との接触面積をより確実に低減することができる。
本発明の現像ローラでは、前記無機微粒子および前記潤滑微粒子の全体の平均粒径をd1とし、前記トナーの平均粒径をd2としたときに、
d1/d2が1/10以下であることが好ましい。
これにより、トナーと表層との接触面積をさらに確実に低減することができる。
本発明の現像ローラでは、前記トナーの平均粒径は、3μm以下であることが好ましい。
このような小粒径のトナーを用いても、トナーの挙動を容易に制御することができる。
本発明の現像ローラでは、前記無機微粒子の平均粒径は、前記潤滑微粒子の平均粒径にほぼ等しいことが好ましい。
これにより、金属および微粒子を含むメッキ材を用いて基材の外周面にメッキ処理を行うことで比較的簡単かつ確実に、表層を形成することができる。
本発明の現像ローラでは、前記表層中における前記無機微粒子および前記潤滑微粒子の合計の含有量は、20〜70vol%であることが好ましい。
これにより、微粒子による凹凸の凸部同士の間の距離をトナー粒径に対し最適化して、表層とトナーとの接触面積を効果的に低減することができる。
本発明の現像ローラでは、前記表層中の前記金属は、Ni−P合金であることが好ましい。
これにより、表層上のトナーの帯電性を向上させることができる。また、Ni−P合金は比較的硬質であるため、現像ローラの耐久性を向上させることもできる。
本発明の現像ローラでは、互いに平行に形成された複数の第1の溝と、該各第1の溝に交差するとともに、互いに平行に形成された複数の第2の溝とで構成された凹凸部が外周面に形成されていることが好ましい。
これにより、トナーを表層上に担持させやすくして、現像特性を向上させることができる。また、このように複数の第1の溝および複数の第2の溝で構成された凹凸部は、その凸部の先端部における幅が比較的広いため、現像ローラの耐久性を向上させることができる。
本発明の現像ローラでは、前記各第1の溝の幅、および、前記各第2の溝の幅は、それぞれ、前記トナーの平均粒径よりも大きいことが好ましい。
これにより、複数の第1の溝および複数の第2の溝で構成された凹凸部の凹部内にトナーを保持することができる。そのため、トナーを表層上により確実に担持させて、現像特性を向上させることができる。
本発明の現像装置は、潜像を担持する潜像担持体に近接して設けられ、トナーを担持する現像ローラを有し、前記現像ローラから前記潜像担持体へトナーを付与することにより、前記潜像をトナー像として可視化するものであり、
前記現像ローラは、
円筒状または円柱状をなす基材と、
前記基材の外周面上に形成され、金属と、互いに種類の異なる2種以上の微粒子とを含んで構成された表層とを有し、
前記微粒子は、接触面積を低減しつつトナーを担持し得る微細な凹凸を前記表層の前記基材とは反対側の面に形成するように、前記表層中に分散していることを特徴とする。
これにより、優れた現像特性を有する現像装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置は、潜像を担持する潜像担持体に近接して設けられ、トナーを担持する現像ローラを有し、前記現像ローラから前記潜像担持体へトナーを付与することにより、前記潜像をトナー像として可視化する現像装置を備え、記録媒体に前記トナー像を転写・定着させて画像を形成するものであり、
前記現像ローラは、
円筒状または円柱状をなす基材と、
前記基材の外周面上に形成され、金属と、互いに種類の異なる2種以上の微粒子とを含んで構成された表層とを有し、
前記微粒子は、接触面積を低減しつつトナーを担持し得る微細な凹凸を前記表層の前記基材とは反対側の面に形成するように、前記表層中に分散していることを特徴とする。
これにより、高解像度で高品位な画像を得ることができる。
以下、本発明の現像ローラ、現像装置、および画像形成装置の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
<画像形成装置>
図1は、本発明にかかる画像形成装置の1実施形態を示す概略構成の模式的断面図である。
図1に示す本実施形態の画像形成装置10は、主として露光・現像・転写・定着を含む一連の画像形成プロセスによって画像を記録媒体に記録する電子写真方式を採用するプリンタである。
このような画像形成装置10は、図1に示すように、静電的な潜像を担持し図示矢印方向に回転する感光体20を有し、その回転方向に沿って順次、帯電ユニット30、露光ユニット40、現像ユニット50、一次転写ローラ60、クリーニングユニット75が配設されている。
また、画像形成装置10は、図1にて下部に、紙などの記録媒体Pを収容する給紙トレイ82が設けられ、その給紙トレイ82に対して記録媒体Pの搬送方向下流に、二次転写ローラ80、定着装置90が記録媒体Pの搬送方向に沿って順次配設されている。また、画像形成装置10には、記録媒体の両面に画像を形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転させて二次転写ローラ80へ帰還させるための搬送部88が設けられている。
感光体20は、円筒状の導電性基材(図示せず)と、その外周面に形成された感光層(図示せず)とを有し、その軸線まわりに図1中矢印方向に回転可能となっている。
帯電ユニット30は、コロナ帯電などにより感光体20の表面を一様に帯電するための装置である。
露光ユニット40は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受けこれに応じて、一様に帯電された感光体20上に、レーザを照射することによって、静電的な潜像を形成する装置である。
現像ユニット50は、ブラック現像装置51と、マゼンタ現像装置52と、シアン現像装置53と、イエロー現像装置54との4つの現像装置を有し、これらの現像装置を感光体20上の潜像に対応して選択的に用いて、前記潜像をトナー像(現像剤像)として可視化する装置である。この装置では、現像剤として、ブラック現像装置51はブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置52はマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置53はシアン(C)トナー、イエロー現像装置54はイエロー(Y)トナーを用いて現像を行う。
本実施形態におけるYMCK現像ユニット50は、前述の4つの現像装置51、52、53、54を選択的に感光体20に対向するように、回転可能となっている。具体的には、このYMCK現像ユニット50は、軸50aを中心として回転可能な保持体55の4つの保持部55a、55b、55c、55dにそれぞれ4つの現像装置51、52、53、54が保持されており、保持体55の回転により、4つの現像装置51、52、53、54が相対位置関係を維持したまま、感光体20に選択的に対向するようになっている。各現像装置51、52、53、54は、本発明の現像ローラを備えるものである。なお、各現像装置51、52、53、54については、後に詳述する。
中間転写体61は、エンドレスベルト状の中間転写ベルト70を有し、この中間転写ベルト70は、一次転写ローラ60、従動ローラ72、駆動ローラ71で張架されており、駆動ローラ71の回転により、図1に示す矢印方向に、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
一次転写ローラ60は、感光体20に形成された単色のトナー像を中間転写ベルト70に転写するための装置である。
中間転写ベルト70上には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのうちの少なくとも1色のトナー像が担持され、例えばフルカラー画像の形成時に、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。本実施形態では、駆動ローラ71が、後述する二次転写ローラ80のバックアップローラとしても機能する。また、一次転写ローラ60、駆動ローラ71、従動ローラ72は、基体73によって支持されている。
二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70上に形成された単色やフルカラーなどのトナー像を、紙、フィルム、布等の記録媒体Pに転写するための装置である。
定着装置90は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体Pを加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体Pに融着させて永久像として定着させるための装置である。
クリーニングユニット75は、一次転写ローラ60と帯電ユニット30との間で感光体20の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ローラ60によって中間転写ベルト70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
搬送部88は、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを挟持搬送する搬送ローラ対88A、88Bと、搬送ローラ対88A、88Bによって搬送される記録媒体Pを表裏反転しつつレジローラ86へ向け案内する搬送路88Cとを備えている。これにより、記録媒体の両面に画像形成する場合に、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させる。
次に、このように構成された画像形成装置10の動作を説明する。
まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光体20、現像ユニット50に設けられた現像ローラ(図示せず)、および中間転写ベルト70が回転を開始する。そして、感光体20は、回転しながら、帯電ユニット30により順次帯電される。
感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が前記領域に形成される。
感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。このとき、YMCK現像ユニット50は、イエロー現像装置54が、前記現像位置にて感光体20と対向している。
感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置(すなわち、感光体20と一次転写ローラ60との対向部)に至り、一次転写ローラ60によって、中間転写ベルト70に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ60には、トナーの帯電極性とは逆の極性の一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。なお、この間、二次転写ローラ80は、中間転写ベルト70から離間している。
前述の処理と同様の処理が、第2色目、第3色目および第4色目について繰り返して実行されることにより、各画像信号に対応した各色のトナー像が、中間転写ベルト70に重なり合って転写される。これにより、中間転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。
一方、記録媒体Pは、給紙トレイ82から、給紙ローラ84、レジローラ86によって二次転写ローラ80へ搬送される。
中間転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト70の回転に伴って二次転写位置(すなわち、二次転写ローラ80と駆動ローラ71との間)に至り、二次転写ローラ80によって記録媒体Pに転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ80は中間転写ベルト70に押圧されるとともに二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。
記録媒体Pに転写されたフルカラートナー像は、定着装置90によって加熱および加圧されて記録媒体Pに融着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対87によって画像形成装置10の外部へ排出される。
一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75のクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75内の残存トナー回収部に回収される。
記録媒体の両面に画像形成する場合には、定着装置90によって一方の面に定着処理された記録媒体Pを一旦排紙ローラ対87により挟持した後に、排紙ローラ対87を反転駆動するとともに、搬送ローラ対88A、88Bを駆動して、当該記録媒体Pを搬送路88Cを通じて表裏反転して二次転写ローラ80へ帰還させ、前述と同様の動作により、記録媒体Pの他方の面に画像を形成する。
<現像装置>
次に、現像ユニット50の現像装置51、52、53、54を詳細に説明する。なお、現像装置51、52、53、54は、使用するトナーが異なるが、それ以外は同様の構成であるため、以下、図2に基づいて、イエロー現像装置54を代表的に説明する。
図2は、本発明の現像装置の概略構成を示す模式的断面図である。
図2に示すイエロー現像装置54は、現像剤たるトナーT(イエロートナー)を収容するハウジング540と、現像剤担持体たる現像ローラ510と、この現像ローラ510にトナーTを供給するトナー供給ローラ550と、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制する規制ブレード560とを有している。
ハウジング540は、その内部空間として形成された収容部530内にトナーTを収容する。ハウジング540では、収容部530の下部に形成された開口およびその近傍において、トナー供給ローラ550および現像ローラ510が互いに圧接回転するように支持されている。また、ハウジング540には、規制ブレード560が取り付けられていて、これが現像ローラ510に圧接している。さらに、ハウジング540には、前記開口におけるハウジング540と現像ローラ510との間からのトナーの漏れを防止するためのシール部材520が取り付けられている。
現像ローラ510は、その外周面にトナーTを担持しつつ、現像ローラ510と感光体20との対向部である現像位置(以下、単に「現像位置」という)へトナーTを搬送するものである。また、現像ローラ510は、円筒状をなし、その軸線まわりに回転可能となっている。本実施形態では、現像ローラ510は、感光体20の回転方向と逆の方向に回転する。なお、現像ローラ510については、後に詳述する。
また、本実施形態では、イエロー現像装置54による現像時に、現像ローラ510と感光体20とが微小間隙をもって、非接触状態で対向する。そして、現像ローラ510と感光体20との間に交番電界を印加することにより、トナーTを現像ローラ510上から感光体20へ飛翔させて付与し、感光体20上の潜像が現像される。
トナー供給ローラ550は、収容部530に収容されたトナーTを現像ローラ510に供給する。このトナー供給ローラ550は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ510に圧接している。本実施形態では、トナー供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向と逆の方向に回転する。なお、トナー供給ローラ550は、収容部530に収容されたトナーTを現像ローラ510に供給する機能を有するだけでなく、現像後に現像ローラ510に残存しているトナーTを現像ローラ510から剥ぎ取る機能をも有している。
規制ブレード560は、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制するとともに、その規制時に、摩擦帯電により、現像ローラ510に担持されたトナーTに電荷を付与する。この規制ブレード560は、現像ローラ510の回転方向にて現像位置の上流側のシール部材としても機能している。
この規制ブレード560は、現像ローラ510の軸方向に沿って当接される当接部材としてのゴム部560aと、このゴム部560aを支持する支持部材としてのゴム支持部560bとを有している。ゴム部560aは、シリコンゴム、ウレタンゴム等を主材料として構成され、ゴム支持部560bは、ゴム部560aを現像ローラ510側に付勢する機能も有するため、リン青銅、ステンレス等のバネ性(弾性)を有するシート状の薄板が用いられる。ゴム支持部560bは、その一端がブレード支持板金562に固定されている。ブレード支持板金562は、ハウジング540に取り付けられ、シール部材520もハウジング540に取り付けられる。さらに現像ローラ510が取り付けられた状態で、ゴム部560aは、ゴム支持部560bの撓みによる弾性力によって、現像ローラ510に押しつけられている。
また、本実施形態では、規制ブレード560の現像ローラ510側とは逆側には、ブレード裏部材570が設けられ、ゴム支持部560bとハウジング540との間にトナーTが入り込むことを防止するとともに、ゴム部560aを現像ローラ510へ押圧して、ゴム部560aを現像ローラ510に押しつけている。
本実施形態では、規制ブレード560の自由端部、すなわち、ブレード支持板金562に支持されている側とは逆側の端部は、その端縁で現像ローラ510に接触せずに、端縁から若干離れた部位で現像ローラ510に接触している。また、規制ブレード560は、その先端が現像ローラ510の回転方向の上流側に向くように配置されており、いわゆるカウンタ当接している。
<現像ローラ>
ここで、図3および図4に基づき、本発明の現像ローラの一例である現像ローラ510を詳細に説明する。
図3は、図2に示す現像装置に備えられた現像ローラの概略構成を示す平面図、図4は、図3に示す現像ローラの外周面近傍の拡大断面図である。なお、図3では、説明の便宜上、第1の溝21および第2の溝22を模式的に示している。また、図4は、図3のA−A線での断面を示している。
図3に示す現像ローラ510は、円筒状の本体300と、この本体300の両端から突出する軸部310とを有している。
本体300の外周面301には、図3に示すように、トナーを担持するための凹凸部2が形成されている。このような凹凸部2が外周面301(後述する表層303の基材302とは反対側の面)に形成されていると、トナーTを外周面301(表層303)上に担持させやすくして、現像特性を向上させることができる。
この凹凸部2は、互いにほぼ平行な複数の第1の溝21と、この第1の溝21に交差(本実施形態ではほぼ直交)するとともに、互いにほぼ平行な複数の第2の溝22とで構成されている。すなわち、外周面301には、複数の第1の溝21と複数の第2の溝22とが互いに直交し、格子角90°のあやめ状(格子状)をなすように形成されている。そして、互いに隣接する1対の第1の溝21と、互いに隣接する1対の第2の溝22とで囲まれた領域には、平面視にて略四角形状をなす凸部23が形成されている。
図3に示すように、第1の溝21は、外周面301に沿って螺旋状をなすように形成されている。言い換えすれば、第1の溝21は、外周面301の周方向に対して傾斜する方向に延在している。
また、図4に示すように、第1の溝21は、その横断面形状が台形をなしている。なお、第2の溝22の構成は、前述したように延在方向が異なる以外は、第1の溝21の構成と同様である。
このような凹凸部2は規則的かつ均一であるため、現像ローラ510上に均一かつ最適な量のトナーTを担持させることができ、また、現像ローラ510の外周面でのトナーの転動性(転がりやすさ)も均一なものとすることができる。その結果、トナーの局所的な帯電不良や搬送不良を防止して、優れた現像特性を発揮させることができる。
また、ブラスト処理により得られたものと異なり、このような凹凸部2は、その凸部23の先端の幅が比較的太いため、優れた機械的強度を有する。特に、凹凸部2は、後述するように型を用いた転写(転造)のような処理によって得られるものであるため、押圧された部分の強度が向上し、切削加工のような処理で得られたものと比しても、優れた機械的強度を有する。このような凹凸部2を有する現像ローラ510は、前述したような規制ブレード560やトナー供給ローラ550などの摺動を受けていても、優れた耐久性を発揮することができる。したがって、このような現像ローラ510は、乾式一成分非磁性トナーを用いる現像装置に好適に用いることができる。また、凹凸部2の凸部の先端の幅が比較的太いと、磨耗しても形状変化が少ないので、磨耗により現像特性が急激に低下することも防止して、長期にわたり優れた現像特性を発揮することができる。
また、各第1の溝21および各第2の溝22のそれぞれの深さをDとし、トナーT(現像剤)の平均粒径をdとしたとき、D/dは、0.5〜2であるのが好ましく、0.9〜1.3であるのがより好ましい。これにより、得られる現像ローラ510は、その凹凸部2にトナーTを均一かつ最適な量で担持することができる。これに対し、D/dが前記下限値未満であると、凹凸部2の形状などによっては、凹凸部2の凸部に引っ掛かりにくく、トナーの転動性が悪化し、帯電不良を生じやすくなる。一方、D/dが前記上限値を超えると、凹凸部の形状などによっては、溝内(凹凸部2の凹部内)のトナーが現像ローラ510および規制ブレード560のいずれにも接触せずに帯電不良を生じる場合がある。
ここで、各第1の溝21の幅、および、各第2の溝22の幅は、それぞれ、トナーの平均粒径よりも大きくなっている。これにより、複数の第1の溝21および複数の第2の溝22で構成された凹凸部2の凹部内にトナーを保持することができる。そのため、トナーを外周面301(表層303)上により確実に担持させて、現像特性を向上させることができる。
また、各第1の溝21および/または各第2の溝22の幅をWとし、トナーT(現像剤)の平均粒径をdとしたとき、W/dは、2〜20であるのが好ましく、W/dは、4〜10であるのがより好ましい。これにより、得られる現像ローラ510は、その凹凸部2にトナーT(現像剤)を均一かつ最適な量で担持することができる。これに対し、W/dが前記下限値未満であると、凹凸部2の形状などによっては、トナーが溝内に入り込まず転動性が悪化し帯電不良を生じたり、トナーが溝内に入っても溝内に滞留してフィルミングを生じる傾向となる。一方、W/dが前記上限値を超えると、凹凸部2の形状などによっては、現像ローラ510に担持されるトナー量が少なく搬送不良を生じたり、トナーが凹凸部2の凸部に接触する機会が少なくなり転動性が悪化し、帯電不良を生じる場合がある。
また、本体300の外径(直径)は、特に限定されないが、例えば、10〜30mmであるのが好ましく、15〜25mmであるのがより好ましい。
このような本体300の外周面(外周面301)は、図4に示すように、円筒状または円柱状をなす基材302と、基材302の外周面上に形成された表層303とで構成されている。
基材302は、アルミニウム、ステンレス、鉄等のような金属材料を主材料として構成されている。そして、このような基材302の外周面を覆うように、表層303が形成されている。
表層303は、金属(金属マトリクス)303aと、微粒子(分散粒子)303bとを含んで構成されている。言い換えすれば、表層303は、金属303aに、微粒子(分散粒子)303bが分散して構成されている。
これにより、表層303の基材302とは反対側の面(すなわち本体300の外周面301)には、図4に示すように、接触面積を低減しつつトナーTを担持し得るように微粒子(互いに種類の異なる複数種類の分散粒子)303bによる微細な凹凸が形成されている。すなわち、微粒子303bは、接触面積を低減しつつトナーTを担持し得る微細な凹凸を表層303の基材302とは反対側の面に形成するように、表層303中に分散している。
これにより、現像ローラ510は接触面積を低減しつつトナーTを担持することができる。そのため、トナーTと現像ローラとの間のファンデルワールス力を低減することができる。その結果、I:現像ローラ510に対するトナーTの付着力は、ファンデルワールス力によるものが支配的にならずに、静電気力によるものの割合を大きくすることができる。
特に、本実施形態では、微粒子303bが、互いに種類の異なる2種の微粒子で構成されている。より具体的には、微粒子303bは、金属酸化物を主材料として構成された無機微粒子303b1と、潤滑性を有する潤滑微粒子303b2とで構成されている。
これにより、無機微粒子303b1が金属酸化物を主として構成されていて比抵抗の大きいものであるため、表層303の比抵抗を抑えることができる。そのため、II:現像ローラ510上のトナーを帯電しやすくすることができる。
これに加えて、潤滑微粒子303b2がトナーTに対し潤滑性を有しているため、表層303上でトナーTが転がりやすくなる。そのため、III:現像ローラ510上のトナーを帯電しやすくすることができる。
前述したようなI〜IIIにより、トナーTを平均粒径4μm以下に小粒径化しても、現像ローラ510と感光体20との間にバイアスを印加してトナーTの挙動を容易に制御することができる。すなわち、前述したように構成された現像ローラ510を用いることで、現像ローラ510から感光体20へのトナーTの飛翔性を優れたものとし、平均粒径4μm以下の小粒径のトナーの性能を効果的に発揮させて、高画質化・高解像度化を図ることができる。
特に、無機微粒子303b1が表層303中に含まれているため、表層303の機械的強度を優れたものとすることができる。その結果、現像ローラ510の耐久性を向上させ、前述した効果を長期に亘り発揮させることができる。
なお、前述した無機微粒子303b1および潤滑微粒子303b2に限らず、これらに代えて、他の互いに種類の異なる2種以上の微粒子を用いることができる。そして、2種以上の微粒子を適宜選択することで、現像ローラ510や表層303に必要な様々な要素(例えば機械的強度)を満足させながら、現像ローラ510上でのトナーの帯電性を向上させることができる。ここで、微粒子の種類とは、微粒子の構成材料、粒径、形状などを言う。
このような表層303は、前述したように金属303aおよび微粒子303bを含んで構成されていれば、特に限定されないが、後に詳述するように、無電解メッキや電気メッキ等によるメッキ層として形成するのが好ましい。これにより、後述するように、比較的簡単かつ確実に表層303を形成することができる。
また、微粒子303bの平均粒径、すなわち無機微粒子303b1および潤滑微粒子303b2の全体の平均粒径は、前述したようにトナーTと表層303との接触面積を低減することができるものであれば特に限定されないが、本実施形態では、トナーTの平均粒径以下である。これにより、微粒子303bによる微細な凹凸の凹部にトナーTが入り込むのを防止し、トナーTと表層303との接触面積をより確実に低減することができる。
特に、微粒子303bの平均粒径(無機微粒子303b1および潤滑微粒子303b2の全体の平均粒径)をd1とし、トナーTの平均粒径をd2としたときに、d1/d2が1/10以下であるのが好ましい。これにより、トナーTと表層303との接触面積をさらに確実に低減することができる。
より具体的には、トナーTの平均粒径が3μm以下の小粒径であっても、微粒子303bの平均粒径を1/3μm以下とすることにより、トナーTの挙動を容易に制御することができる。
また、無機微粒子303b1の平均粒径は、潤滑微粒子303b2の平均粒径にほぼ等しいのが好ましい。これにより、金属303aおよび微粒子303bを含むメッキ材を用いて基材302の外周面にメッキ処理を行うことで比較的簡単かつ確実に、表層303を形成することができる。また、無機微粒子303b1および潤滑微粒子303b2がそれぞれ均一分散した表層303を簡単かつ確実に得ることができる。また、無機微粒子303b1による微細な凹凸の凸部の高さと、潤滑微粒子303b2による微細な凹凸の凸部の高さを揃えて、無機微粒子303b1および潤滑微粒子303b2のそれぞれの特性を効果的に発揮させることができる。
また、表層303中における微粒子303bの含有量、すなわち表層303中における無機微粒子303b1および潤滑微粒子303b2の合計の含有量は、20〜70vol%であるのが好ましく、30〜50vol%であるのがより好ましい。これにより、微粒子303bによる凹凸の凸部同士の間の距離をトナー粒径に対し最適化して、表層303とトナーTとの接触面積を効果的に低減することができる。また、このような含有量とすることで、表層303をメッキ層として形成する場合、用いる分散メッキ液の安定性を良好なものとしつつ、表層303の微粒子303bによる凹凸の表面粗さを最適化することができる。
これに対し、表層303中における微粒子303bの含有量が前記下限値未満であると、微粒子303bの粒径や形状などによっては、微粒子303bによる微細な凹凸の凹部が大きくなって、トナーTと表層303との接触面積を低減するのが難しい場合がある。一方、表層303中における微粒子303bの含有量が前記上限値を超えると、微粒子303bの構成材料などによっては、表層303の機械的強度の低下を招いたり、表層303の成膜(メッキ)が難しくなったりする場合がある。
また、表層303中において、無機微粒子303b1の含有量と、潤滑微粒子303b2の含有量との比率は、これらの微粒子の構成材料、形状、粒径などに応じて設定され、特に限定されない。
また、表層303中の金属303aの構成材料は、特に限定されないが、基材302よりも硬質な金属が好適に用いられ、Niまたはこれを含む合金を用いるのが好ましく、特に、Ni−P合金を用いるのが好ましい。金属303aの構成材料としてNi−P合金を用いると、表層303上のトナーTの帯電性を向上させることができる。また、Ni−P合金は比較的硬質であるため、現像ローラ510の耐久性を向上させることもできる。
また、無機微粒子303b1の構成材料(金属酸化物)としては、特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、二酸化モリブデン、二酸化珪素、酸化タングステン、二酸化チタンなどの各種金属酸化物(酸化物系セラミックス材料)を用いることができる。特に、このような金属酸化物の中でも、無機微粒子303b1の構成材料として用いる金属酸化物としては、表層303の金属303aを構成する金属よりも比抵抗の大きいもの(電気伝導度の比較的小さいもの)が好適に用いられる。
また、潤滑微粒子303b2の構成材料としては、トナーTに対し潤滑性を有するものであれば特に限定されず、例えば、黒鉛、フッ化黒鉛等の炭化物、また、PTFE、FEP、TFE、フッ化黒鉛等のフッ化物、さらに、二硫化モリブデン、窒化ホウ素等を用いることができる。中でも、潤滑微粒子303b2の構成材料としては、炭化物またはフッ化物を用いるのが好ましい。炭化物やフッ化物はトナーに対し優れた潤滑性を有している。したがって、炭化物またはフッ化物を主材料として構成された潤滑微粒子303b2を用いることで、現像ローラ510上でのトナーTの帯電性を効果的に向上させることができる。
本実施形態では、無機微粒子303b1および潤滑微粒子303b2は、それぞれ、略球形をなしている。これにより、トナーTに対する表層303の潤滑性を良好なものとし、トナーTの帯電性を向上させることができる。なお、無機微粒子303b1および潤滑微粒子303b2のそれぞれの形状は、前述したものに限定されない。
また、このような表層303の厚さは、特に限定されないが、微粒子303bの平均粒径以上であるのが好ましい。これにより、表層303に微粒子303bを確実に固定させつつ、表層303の基材302と反対側の面に微粒子303bによる微細な凹凸を形成することができる。
<現像ローラの製造方法>
次に、図5ないし図8に基づいて、前述した現像ローラ510の製造方法の一例を説明する。
図5は、本発明の実施形態にかかる現像剤ローラの製造方法を説明するための図、図6は、図5に示す製造方法における転造工程に用いる転造装置を示す模式的斜視図、図7は、図6に示す転造装置の平面図、図8は、図6に示す転造装置の作用を説明するための図である。
現像ローラ510の製造方法は、[1]現像ローラ510となるべき円筒状の基材を用意する工程と、[2]この基材の外周面に転造加工を施して基材302を得る工程と、[3]基材302の外周面上に分散メッキ材を用いたメッキ処理を施して表層303を形成する工程とを有する。
以下、各工程を順次詳細に説明する。
[1]基材を用意する工程
まず、図5(a)に示すように、現像ローラ510となるべき円筒状の基材300Aを用意する。
この基材300Aは、前述した現像ローラ510の基材302となるべきものであり、アルミニウム、ステンレス、鉄等のような金属材料を主材料として構成されている。より具体的には、基材300Aの構成材料としては、STKM、STK、SGPなどの鉄系材料や、A6063、A5056などのアルミ系材料が好適に用いられる。これにより、後述する製造工程において、凹凸部2(凹凸部2A)を容易かつ確実に形成することができる。
また、この基材300Aの外径は、特に限定されないが、10〜30mmであるのが好ましく、15〜25mmであるのがより好ましい。
また、基材300Aの厚さは、特に限定されないが、0.2〜3mmであるのが好ましく、0.5〜3mmであるのが好ましい。
このような基材300Aの軸線方向での端部における内周部を、図5(b)に示すように、切削加工などにより例えば厚さ0.5〜1mm程度除去して、薄肉化し、軸部310となるべき軸部材310Aを圧入するための圧入部304を形成する。
これにより、圧入部304の寸法精度が優れたものなり、基材300Aに軸部材310Aを簡単に圧入することができるとともに、接着剤や溶接などを用いなくても、その圧入後に軸部材310Aを基材300Aに強固に固定することができる。
そして、図5(c)に示すように、基材300Aの圧入部304に軸部材310Aを圧入する。これにより、軸部材310Aが基材300Aに固定される。
基材300Aに対する軸部材310Aの固定方法としては、軸部材310Aを基材300Aの圧入部304に圧入するのみでもよいし、接着剤や溶接を用いてもよい。
その後、基材300Aの軸線と、軸部材310Aのうちの基材300Aの端面から突出した部分の軸線とが一致するように、基材300Aの外周面と軸部材310Aの前記突出した部分の外周面とを研削する。これにより、図5(d)に示すように、基材300Aの両端から突出する軸部310が形成される。
この研削方法としては、特に限定されないが、例えば、センタレス研磨を好適に用いることができる。
また、研削後の基材300Aおよび軸部310において、外径精度を±10〜±50μmとするのが好ましく、また、ふれを10〜50μmとするのが好ましく、さらに、表面粗さを0.5〜1μmとするのが好ましい。これらにより、得られる現像ローラ510の寸法精度をより優れたものとすることができる。
なお、圧入部304の形成や、軸部材310Aの圧入は、後述する工程[2]の後に行ってもよい。また、圧入部304の形成や、基材300Aおよび軸部材310Aの外周面の研削を省略することもできる。
[2]基材302の作製する工程
次に、図5(e)に示すように、基材300Aの外周面に、前述した凹凸部2の形成のための凹凸部2Aを形成して、基材302を得る。
以下、凹凸部2の形成について、図6ないし図8に基づいて、詳細に説明する。
凹凸部2Aの形成に際しては、例えば、図6および図7に示すような転造装置200を用いる。
図6および図7に示す転造装置200は、前述した工程[1]で得られた基材300Aをその下方から支持する基台210と、基台210上の基材300Aをその両側から押圧する第1の型220および第2の型230(1対の転造用ダイス)とを有している。
かかる転造装置200にあっては、第1の型220および第2の型230に対し基台210上の基材300Aをその軸線方向に相対的に移動させながら、基材300Aの外周面に第1の型220および第2の型230をそれぞれ押圧させることにより、凹凸部2Aを形成する。
第1の型220および第2の型230は、それぞれ、円板状(短い円柱状)をなし、その軸線まわりに回転可能となっている。なお、第1の型220および第2の型230は、それぞれ、円筒状をなすものであってもよい。
また、第1の型220には、図7に示すように、形成すべき複数の第1の溝21Aの形状に対応した形状をなす複数の凸条(凸部)221が形成されている。一方、第2の型230には、形成すべき複数の第2の溝22Aの形状に対応した形状をなす複数の凸条(凸部)231が形成されている。
このような第1の型220および第2の型230の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、基材300Aよりも硬質な材料であるのが好ましく、具体的には、SKD、SKH、SLDなどを好適に用いることができる。
また、凸条221同士のピッチおよび凸条231同士のピッチ(図7に示すp1)としては、特に限定されないが、50〜150μmであるのが好ましく、50〜100μmであるのがより好ましい。
前述したように、凹凸部2は、互いに平行に形成された多数の第1の溝21と、第1の溝21に交差するとともに、互いに平行に形成された多数の第2の溝22とで構成されている。これに対応して、凹凸部2Aは、互いに平行に形成された多数の第1の溝21Aと、第1の溝21Aに交差するとともに、互いに平行に形成された多数の第2の溝22Aとで構成されている。したがって、第1の型220および第2の型230として前述したような比較的単純な形状の型を用いて、規則的かつ均一な凹凸部2Aを簡単に形成することができる。
また、第1の溝21Aの形成と第2の溝22Aの形成とは、別々の型を用いて行うので、それぞれの型に互いに平行な複数の凸条を設けるだけですみ、型の形状を簡単なものとし、また、型を安価なものとすることができる。
本実施形態では、第1の型220の凸条221同士間のピッチp1は、第1の溝21A(第1の溝21)同士間のピッチに等しくなっている。これと同様に、第2の型230の凸条231同士間のピッチp2は、第2の溝22A(第2の溝22)同士間のピッチに等しくなっている。
このような第1の型220および第2の型230は、それぞれ、その板面が基材300Aの軸線に直角な方向に対し若干傾斜するように配設されている。
このような第1の型220および第2の型230を基材300Aをその両側から押圧しつつ互いに逆方向に回転すると、図6中矢印で示すように、基材300Aがその軸線方向に搬送されながら、第1の型220および第2の型230による加工(すなわち転造)が行われる。
その際、図8(a)に示すような基材300Aの外周面に対し、第1の型220の凸条221を押圧することにより、図8(b)に示すように、複数の第1の溝21に対応する複数の第1の溝(第1の凹部)21Aが形成される。なお、第1の溝21Aの形成と第2の溝22Aの形成とは、ほぼ同様であるため、その説明を省略する。
[3]表層303を形成する工程
前述したようにして型を用いて凹凸部2Aを形成した後に、その表面に、メッキ処理を施して、図8(c)に示すように、表層303を形成する。これにより、図5(f)に示すように、本体300が得られる。
このようなメッキ処理の方法としては、特に限定されないが、無電解メッキ、電気メッキなどを好適に用いることができる。この場合、メッキ金属(すなわち、金属303aを構成する金属)のメッキ液に微粒子303bを分散懸濁させ、微粒子303bをメッキ金属と共析させることによって、表層303を形成する。
特に、かかるメッキ処理の方法として無電解メッキを用いると、均一な膜厚でかつ優れた密着性を有する表層303を形成することができるとともに、簡単且つ確実に、得られる表層303中に微粒子303bを均一に共析、分散させることができる。特に、無電解メッキは、金属303aを構成する金属としてNi−P合金を用いる場合に適している。
また、メッキの厚さは、2〜10μm程度であるのが好ましい。
以上のようにして現像ローラ510を製造することができる。
このような現像ローラ510およびこれを備える現像装置や画像形成装置は、小粒径のトナーを用いても、優れた現像特性および耐久性を発揮することができる。
以上、本発明の現像ローラ、現像装置、および画像形成装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。また、現像ローラ、現像装置、および画像形成装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
前述した実施形態では、現像ローラの基材が円筒状をなすものについて説明したが、基材が円柱状をなしていてもよい。
また、現像ローラの外周面に形成される凹凸部の形状は、前述した実施形態のものに限定されず、現像剤を担持する機能を有するものであれば、任意である。例えば、前述した実施形態では第1の溝21と第2の溝22とがほぼ直交していたが、これに限定されず、鋭角または鈍角をもってこれらが交差するように形成されていてもよい。また、現像ローラの外周面に形成される凹凸部は、前述したような転造によるものに限らず、ブラスト処理によるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の溝21Aと第2の溝22Aとを別々の型を用いて形成したが、1つの型に第1の溝21Aおよび第2の溝22Aの形成のための凹凸パターンを形成してもよい。この場合、例えば、第1の型220または第2の型230のうちの一方の型の外周面に前記凹凸パターンを形成し、他方の型の外周面を平坦面としてもよいし、両方の型に前記凹凸パターンを形成してもよい。
また、前述した実施形態では、円板状(短い円柱状)の型を用いて、基材300Aを軸線方向に移動させながら、凹凸部2の形成を行ったが、基材300Aの凹凸部2形成予定部位の軸線方向での長さとほぼ同じ長さの円柱状の型を用い、基材300Aを軸線方向に移動せずに、凹凸部2の形成を行ってもよい。
また、凹凸部2の形成に用いる型は、前述したような円板状または円筒状のものに限定させず、板状などの他の形状のものであってもよい。
次に、本発明の具体的な実施例を説明する。
《現像ローラの作成》
(実施例1)
次のようにして現像ローラを作成した。
まず、STKM製の円筒状の基材を用意した。ここで、基材として、長さ300mm、外径18mm、厚さ3mmのものを用いた。
そして、基材の軸線方向での端部における内周部を、切削加工により厚さ1mm程度除去して薄肉化し、基材の両端部のそれぞれにSTKM製の円柱状部材を圧入した。ここで、円柱状部材として、長さ50mm、外径14mmのものを用い、基材の端面から30mm程度露出するように円柱状部材を基材の各端部に圧入した。
その後、基材の軸線と円柱部材の軸線とを一致させるように、基材および1対の円柱状部材とからなる構造体をセンタレス研磨により研削した。
次に、SKD製のダイスを用いて基材の外周面に複数の第1の溝および複数の第2の溝のための凹凸加工を施した後に、厚さ3μmの無電解メッキにより表層(メッキ層)を形成して、あやめ状に溝が形成された凹凸部を形成した。ここで、メッキ後の第1の溝および第2の溝は、それぞれ、ピッチ60μm、格子角90°、溝深さ3μmであった。また、無電解メッキには、Ni−P合金のメッキ液に、粒径0.3μmのAlの無機微粒子および粒径0.3μmのPTFEの潤滑微粒子を分散したものを用い、得られた表層中の無機微粒子の含有率は、20vol%であり、得られた表層中の潤滑微粒子の含有率は、20vol%であった。
以上のようにして現像ローラを作成した。
(実施例2)
メッキ前の凹凸加工をブラスト処理により行った以外は、前述した実施例1と同様にして現像ローラを作成した。ここで、メッキ処理後の現像ローラの表面粗さRzは、3.2μmであった。
(比較例1)
無電解メッキにNi−P合金のメッキ液(無機微粒子および潤滑微粒子の添加を省略したもの)を用い、Ni−P合金からなる表層を形成した以外は、前述した実施例1と同様にして現像ローラを作成した。
(比較例2)
無電解メッキにNi−P合金のメッキ液(無機微粒子および潤滑微粒子の添加を省略したもの)を用い、Ni−P合金からなる表層を形成した以外は、前述した実施例2と同様にして現像ローラを作成した。
《評価》
各実施例および各比較例の現像ローラをプリンタ(エプソン社製、LP−9000C)に組み込み、印字率50%の画像を記録紙(富士ゼロックス社製、上質紙 J紙)上にプリントし、初期と20万枚印字時とのそれぞれについて、トナー帯電量および現像効率の測定を行うとともに印字状態を観察し、下記に示すようにして印字状態および耐久性の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
Figure 2008292595
<印字状態>
○:現像履歴の発生なし。
×:現像履歴の発生あり。
<耐久性>
◎:20万枚印字後でも、初期とほとんど変わらない性能(トナー帯電量、現像効率、印字状態)を維持している。
○:20万枚印字後に、初期と比べて性能(トナー帯電量、現像効率、印字状態)の低下が認められる。
×:20万枚印字後に、初期と比べて性能(トナー帯電量、現像効率、印字状態)の低下が認められ、印字不良を生じている。
なお、かかる評価では、平均粒径3μmで、単分散、球形のトナーを用いた。また、各実施例および各比較例の評価では、現像ローラのトナー搬送量が0.3mg/cmとなるように調整した。また、現像ローラに印加するバイアス(現像バイアス)の直流成分を−200Vとした。
表1から明らかなように、本発明にかかる各実施例では、初期と20万枚印字後のいずれにおいても、高品位の画像を得ることができた。これは、表層に無機微粒子および潤滑微粒子がそれぞれ分散されているため、トナーの帯電性が良好となるとともに、トナーと現像ローラ間のファンデルワールス力が低減されて、トナーの飛翔性(現像効率)が向上したことによるものと考えられる。また、実施例2では、20万枚印字後でも、極めて高品位な画像を得ることができた。
これに対し、比較例では、トナーの帯電性および飛翔性(現像効率)が十分でなく、初期においても、現像履歴が発生しており、各実施例よりも劣っていた。
本発明の実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す模式的断面図である。 図1に示す画像形成装置に備えられた現像装置の概略構成を示す模式的断面図である。 図2に示す現像装置に備えられた現像ローラの概略構成を示す平面図である。 図3に示す現像ローラの外周面近傍の拡大断面図である。 図3に示す現像ローラの製造方法を説明するための図である。 図5に示す製造方法における転造工程に用いる転造装置を示す模式的斜視図である。 図6に示す転造装置の平面図である。 図6に示す転造装置の作用を説明するための図である。
符号の説明
10……画像形成装置 2、2A……凹凸部 21、21A……第1の溝 22、22A……第2の溝 23……凸部 20……感光体 30……帯電ユニット 200……転造装置 210……基台 220……第1の型 221……凸条 230……第2の型 231……凸条 300……本体 300A……基材 301……外周面 302……基材 303……表層 303a……金属 303b……微粒子 304……圧入部 310……軸部 310A……軸部材 40……露光ユニット 50……現像ユニット 50a……軸 51……ブラック現像装置 52……マゼンタ現像装置 53……シアン現像装置 54……イエロー現像装置 55……保持体 55a〜55d……保持部 510……現像ローラ 520……シール部材 530……収容部 540……ハウジング 550……トナー供給ローラ 560……規制ブレード 560a……ゴム部 560b……ゴム支持部 562……ブレード支持板金 570……ブレード裏部材 60……一次転写ローラ 61……中間転写体 70……中間転写ベルト 71……駆動ローラ 72……従動ローラ 73……基体 75……クリーニングユニット 76……クリーニングブレード 80……二次転写ローラ 82……給紙トレイ 84……給紙ローラ 86……レジローラ 87……排紙ローラ対 88……搬送部 88A、88B……搬送ローラ対 88C……搬送路 90……定着装置 p1、p2……ピッチ P……記録媒体 T……トナー

Claims (14)

  1. 円筒状または円柱状をなす基材と、
    前記基材の外周面上に形成され、金属と、互いに種類の異なる2種以上の微粒子とを含んで構成された表層とを有し、
    前記微粒子は、接触面積を低減しつつトナーを担持し得る微細な凹凸を前記表層の前記基材とは反対側の面に形成するように、前記表層中に分散していることを特徴とする現像ローラ。
  2. 前記2種以上の微粒子は、金属酸化物を主材料として構成された無機微粒子と、潤滑性を有する潤滑微粒子とを含有する請求項1に記載の現像ローラ。
  3. 前記潤滑微粒子は、炭化物またはフッ化物を主材料として構成されている請求項2に記載の現像ローラ。
  4. 前記表層は、メッキ層である請求項2または3に記載の現像ローラ。
  5. 前記無機微粒子および前記潤滑微粒子の全体の平均粒径は、前記トナーの平均粒径以下である請求項2ないし4のいずれかに記載の現像ローラ。
  6. 前記無機微粒子および前記潤滑微粒子の全体の平均粒径をd1とし、前記トナーの平均粒径をd2としたときに、
    d1/d2が1/10以下である請求項5に記載の現像ローラ。
  7. 前記トナーの平均粒径は、3μm以下である請求項5または6に記載の現像ローラ。
  8. 前記無機微粒子の平均粒径は、前記潤滑微粒子の平均粒径にほぼ等しい請求項2ないし7のいずれかに記載の現像ローラ。
  9. 前記表層中における前記無機微粒子および前記潤滑微粒子の合計の含有量は、20〜70vol%である請求項2ないし8のいずれかに記載の現像ローラ。
  10. 前記表層中の前記金属は、Ni−P合金である請求項2ないし9のいずれかに記載の現像ローラ。
  11. 互いに平行に形成された複数の第1の溝と、該各第1の溝に交差するとともに、互いに平行に形成された複数の第2の溝とで構成された凹凸部が外周面に形成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の現像ローラ。
  12. 前記各第1の溝の幅、および、前記各第2の溝の幅は、それぞれ、前記トナーの平均粒径よりも大きい請求項11に記載の現像ローラ。
  13. 潜像を担持する潜像担持体に近接して設けられ、トナーを担持する現像ローラを有し、前記現像ローラから前記潜像担持体へトナーを付与することにより、前記潜像をトナー像として可視化するものであり、
    前記現像ローラは、
    円筒状または円柱状をなす基材と、
    前記基材の外周面上に形成され、金属と、互いに種類の異なる2種以上の微粒子とを含んで構成された表層とを有し、
    前記微粒子は、接触面積を低減しつつトナーを担持し得る微細な凹凸を前記表層の前記基材とは反対側の面に形成するように、前記表層中に分散していることを特徴とする現像装置。
  14. 潜像を担持する潜像担持体に近接して設けられ、トナーを担持する現像ローラを有し、前記現像ローラから前記潜像担持体へトナーを付与することにより、前記潜像をトナー像として可視化する現像装置を備え、記録媒体に前記トナー像を転写・定着させて画像を形成するものであり、
    前記現像ローラは、
    円筒状または円柱状をなす基材と、
    前記基材の外周面上に形成され、金属と、互いに種類の異なる2種以上の微粒子とを含んで構成された表層とを有し、
    前記微粒子は、接触面積を低減しつつトナーを担持し得る微細な凹凸を前記表層の前記基材とは反対側の面に形成するように、前記表層中に分散していることを特徴とする画像形成装置。
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