図1は、従来のインバータ回路を使用したモータ駆動装置の一般的な構成を示す回路図である。
このモータ駆動装置は、整流回路11と、突入電流抑制回路12と、インバータ部14と、モータ制御回路15とを備える。更に、抵抗19、トランジスタ51、及びダイオード71を備えた、回生電力を該抵抗19により吸収するための回路(以下回生吸収抵抗回路と呼ぶ)16を備える。なお、以下、該抵抗19を回生用抵抗と呼ぶ。
外部からの交流電源入力10は、3相または単相の交流電源である。この交流電源入力10は、整流回路11により整流され、抵抗55、トランジスタ50、及びダイオード54を備えた突入電流抑制回路12を経て、平滑コンデンサ13を充電し、一旦直流電圧が作られる。
突入電流抑制回路12において、まず、電源投入時には、トランジスタ50はオフとされ、電源の経路に介在する抵抗55により、整流回路11からの突入電流が抑制される。この突入電流は、未充電の平滑コンデンサ13に流れ込む電流である。又、このような電源投入の後、平滑コンデンサ13の充電電流が小さくなった後、該トランジスタ50はオンとされて、この抵抗55は該トランジスタ50によりバイパスされ、電源電流は抑制されなくなる。なお、ダイオード54は、サージ電流吸収用である。
そして、この直流電圧は、6つのトランジスタ52及び6つのダイオード72を備え、モータ制御回路15により制御されるインバータ部14により、交流電圧に変換されてモータ20に供給され、モータ20は駆動される。このインバータ部14は、一般にPWMスイッチング方式が採用され、電力の損失を少しでも低く抑えようという努力がなされている。
又、このモータ駆動装置において、回生吸収抵抗回路16は、モータが減速する際、モータから発生する回生電力を吸収する回生吸収動作を行なう。
モータ20の運転においては、加速と減速が繰り返され、加速時のモータ20の駆動時には、モータ20へ電力を供給して駆動し(力行運転)、あるいは、減速時のモータ20の回生時には、モータ20から戻ってくる電力を吸収する(回生運転)。
モータ20は、回転数に比例した誘起電圧を発生し、回転数が高くなって、その誘起電圧が大きくなるほど、モータ20の回転の減速時に平滑コンデンサ13へ多くの電力を回生する、回生電流の平均値が大きくなる。
力行運転を行う場合は、急峻な加速を行うために大電流が必要とされ、インバータ部14の部分での消費電力も大きなものとなる。一方、回生運転を行う場合は、高速な回転から減速を行なうほどモータ20からの回生電流が大きくなることが知られており、モータ20からインバータ部14を介して平滑コンデンサ13へ回生電流が戻ってくる。その結果、平滑コンデンサ13の直流電圧が上昇していき、インバータ14のパワー素子の耐圧を超える心配があるため、何らかの回生吸収対策が必要となる。
そこで、一般的に行われる回生吸収対策として、回生吸収抵抗回路16を設けて、平滑コンデンサ13の直流電圧がインバータ14のパワー素子の耐圧に対して余裕のある適当なしきい値を超える場合には、トランジスタ51をオンにして、回生吸収用の抵抗19で電力を消費させることで、平滑コンデンサ13の直流電圧の上昇を防いでいる。なお、ダイオード71は、トランジスタ51がターンオフする際の、回生吸収用抵抗のインダクタンス成分等によるノイズを防ぐためのサージ吸収用であり、必要であれば設ける。
ここで、省電力化の要求が強まりつつある中、前記モータ20からの回生電力を回生吸収用抵抗19で無駄に電力消費させることなく、コンデンサに蓄えることで省電力化を図る工夫も行われている。
例えば、特許文献1の図1には、本願の図2に示される回路例のような、モータ駆動装置の回生電力吸収回路が開示されている。
図2は、従来のコンデンサで回生吸収するインバータ回路を使用した、モータ駆動装置の一般的な構成を示す回路図である。
この図2において、外部からの交流電源入力10は、整流回路11により整流され、力率改善用インダクタンス22を経て、平滑コンデンサ13を充電して、一旦直流電圧が作られる。そして、この直流電圧は、インバータ部14により交流電圧に変換され、モータ20を駆動する。
ここで、特許文献1では、更に、コンデンサ26、スイッチ25、及びダイオード27を備えた、回生電力を該コンデンサ26により吸収するための回路(以下回生吸収コンデンサ回路と呼ぶ)24を備える。なお、以下、該コンデンサ26を回生吸収用コンデンサと呼ぶ。又、図1の回生吸収抵抗回路16のように回生電力を抵抗により吸収する回路、上記の回生吸収コンデンサ回路24のように回生電力をコンデンサにより吸収する回路を回生吸収回路と総称する。
上記回生吸収コンデンサ回路24において、まず、力行運転時には、スイッチ25は、接点b側に切替えられ、力率改善用インダクタンス22側、又、平滑コンデンサ13のプラス(+)側と、コンデンサ26の一端とをオンとするように切り替える。これにより、平滑コンデンサ13側、又電源供給側からインバータ部14に直流電力が供給される。この際、コンデンサ26に電荷が蓄えられていると、この電荷の直流電力も、インバータ部14に供給される。
回生吸収コンデンサ回路24において、次に、モータの減速時、スイッチ25は、接点a側に切替えられ、インバータ部14の電力入出力のマイナス(−)端子と、コンデンサ26の一端とをオンとするように切り替える。これにより、モータが減速する際、モータから発生する回生電力は、該コンデンサ26に電荷として吸収される。又この電荷は、この後、上述のように、力行運転時には、インバータ部14に供給され、再利用されることになる。
このような特許文献1の例では、前述の図1の従来例のように、回生電力を回生用抵抗19で消費されているような電力損失がなく、省電力化の効果が期待できる。なお、ダイオード27は、該コンデンサ26の逆方向の充電を防止するものである。
以下、図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
以下に述べる各実施形態では、本発明は、特に図3に示す回生電力吸収回路17において適用されている。
この回生電力吸収回路17は、まず、モータ20の減速時の回生電力を電荷として蓄える、回生吸収用コンデンサ18を備えている。更に、該回生電力吸収回路17は、このように回生電力を電荷として回生吸収用コンデンサ18に蓄える回生充電回路32と、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられている電荷をモータ20の力行時に該モータ20側に供給するための力行放電回路36とにより構成される。この回生電力吸収回路は、小容量の回生吸収用コンデンサ18を備えると共に、少数の部品を追加する簡易な構成となっている。
本発明のこれら実施形態では、いずれも、前述の従来の問題点を考慮し、従来の回生電力吸収回路のように、大容量の回生吸収用コンデンサにモータ20の回生電力の全てを吸収することをせず、回生電力吸収回路17の、比較的小容量の回生吸収用コンデンサ18へモータ20の回生電力の一部を吸収し、この後の力行動作時にインバータ部14を介してモータ20へ放出して再利用することとし、図1又図2の一般的な構成の回生吸収回路と比べても、スペース、コスト面での負担が少ない回生吸収回路の構成を実現するものである。
図3は、本発明が適用された第1実施形態のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。
この第1実施形態は、本発明の最も簡単な構成であり、同図を用いて最も基本的な動作を記す。
交流電源入力10として、商用電源から交流の、例えばAC100V±15%、若しくは、AC200V±15%で、50Hz若しくは60Hzの三相又は単相の交流電圧が供給される。この交流電源入力10から供給される交流電流は、整流回路11によって全波整流され、必要に応じて突入電流抑制回路12(図1、図3)及び図示しないチョークコイルなどの力率補正回路(図2の符号22)を経て、平滑コンデンサ13により直流電圧が作られ、該直流電圧はインバータ部14に供給される。更に、インバータ部14は、モータ制御回路15によって制御されつつ、直流を交流に変換して、モータ20へ必要な電力を供給し、回転駆動する。
本実施形態では、まず、図1の従来例と同様、回生用抵抗19、トランジスタ51、及びダイオード71を備えた、回生電力を該回生用抵抗19により吸収するための回生吸収抵抗回路16を備える。
本実施形態は、更に、この回生吸収抵抗回路16に加えて、回生電力吸収回路17を備える。但し、該回生電力吸収回路17は、回生吸収抵抗回路16と一部素子が共用され、複合的に構成されている。
この回生電力吸収回路17は、まず回生吸収用コンデンサ18を備え、回生電力を該回生吸収用コンデンサ18に吸収する。更に、該回生電力吸収回路17は、回生充電回路32、及び力行放電回路36を備える。なお、該回生吸収用コンデンサ18は、本発明の要となる部品ということができる。
なお、回生吸収抵抗回路16及び回生電力吸収回路17について、又回生充電回路32及び力行放電回路36については、それぞれ互いに、一部の素子が共用されている。
まず、上記の回生充電回路32は、モータ20の減速時に回生電力を電荷として回生吸収用コンデンサ18に蓄えるための回路であり、ダイオード76と、抵抗77と、トランジスタ51とにより構成されている。モータ20の減速時に、該減速による回生電力の電荷を回生吸収用コンデンサ18に蓄える場合には、トランジスタ51のベースにH状態の信号が入力され、該トランジスタ51はオンとされる。すると、インバータ部14からの回生電力の電流は、インバータ部14のプラス(+)から流れ出て、回生吸収用コンデンサ18、ダイオード76、抵抗77、トランジスタ51の順に流れてから、インバータ部14に流入し、このような電流による電荷は回生吸収用コンデンサ18に蓄えられる。
なお、抵抗77は、トランジスタ51がオフからオンに切り替わった時の、突入電流を抑えるものである。この突入電流は、回生吸収用コンデンサ18に電荷が蓄えられていなと一瞬でも電流が大きくなるため、該抵抗77によってこれを抑える。
なお、モータ20のこの減速時においては、回生電力は、回生吸収抵抗回路16においても吸収される(回生吸収)。この回生吸収抵抗回路16は、図1の従来例と、構成も動作も基本的に同じである。例えば、平滑コンデンサ13の直流電圧が、インバータ105のパワー素子の耐圧に対して余裕のある適当な閾値を超える場合には、トランジスタ51をオンにする。又、該トランジスタ51がオンの状態で、平滑コンデンサ13の直流電圧が低下してゆき、該トランジスタ51がターンオン時より若干低い適当な閾値を下回った場合に、該トランジスタ51をオフするようにしてもよい。
回生電力吸収回路17において、次に、力行放電回路36は、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられている電荷を、モータ20の力行時に該モータ20側に供給するものであり、ダイオード75が該力行放電回路36の構成として用いられている。回生吸収用コンデンサ18に電荷が蓄えられていて、モータ20を回転駆動する力行時において、該回生吸収用コンデンサ18の電圧が、整流回路11が出力する直流の電圧以上であれば、回生吸収用コンデンサ18に電荷が、ダイオード75に順方向となる電流として流れ、モータ20の回転駆動に再利用される。ダイオード75は、一方方向にのみ電流を流すことで、回生吸収用コンデンサ18に蓄えた電荷を無駄に放出しないよう、放電を防ぐ役割を果たす。
なお、上述のように力行放電回路36により再利用される電力の電流は、回生吸収用コンデンサ18のプラス(+)から流れ出て、インバータ部14、ダイオード75を経由して、回生吸収用コンデンサ18のマイナス(−)に流れ込む。このような電流によって、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられた電荷は放出される。
なお、本実施形態では、回生吸収用コンデンサ18は、平滑コンデンサ13の役割の一部を負担すると考えることができる。従って、平滑コンデンサ13の容量の一部を移設して設けるものとしてもよく、該平滑コンデンサ13の容量を抑えることができる。これにより、コスト、スペース面での負担を抑えることができる。
以上のような回生電力吸収回路17において、モータ20のこの減速時に、前述したように、回生電力の電流は、まず回生吸収抵抗回路16の経路(回生吸収用抵抗の経路:図13の矢印B参考)に流れると共に、回生充電回路32の経路(回生吸収用コンデンサの経路:図13の矢印A1〜A3矢印参考)に流れる。このため、本発明を採用する場合、これら回生吸収抵抗経路及び回生吸収コンデンサ経路において、それぞれにどれだけの電流を流すかを決める必要がある。
減速回生時に生じる回生電力を可能な限り吸収できるようにする場合、例えば、回生吸収用コンデンサ18の容量を平滑コンデンサ13の5〜20%程度の容量値とし、負荷条件によって決まる回生吸収時間に合わせて決めるようにしてもよい。
又、抵抗77の抵抗値は、回生吸収用コンデンサ18の容量に応じて定めるようにする。該抵抗77の抵抗値は、回生吸収用コンデンサ18が未充電の状態でトランジスタ51がオンになった時に、ダイオード76やトランジスタ51に流れる電流の大きさが、該電流の経路にある部品の定格電流の範囲内となる、最小の抵抗値とする。但し、抵抗77の抵抗値が大きすぎると、回生吸収用コンデンサ18により回生電力を吸収し難くなる。
ここで、単に回生電力の全てをコンデンサで回収するだけなら、本発明のように回生吸収用コンデンサ18を配置せずとも、平滑コンデンサ13の値を必要なだけ大きくすればよい。しかしながら、スペースとコスト、電源投入時の突入電流の負担が増えること、力率を悪化させることなどを考慮すると容易には実現できない。仮に平滑コンデンサ13の値を、前記した回生吸収用コンデンサ18の容量に相当する分増やすとしても、それだけでは回生吸収回路で吸収しなければならない電流値は大幅には下げられないことが多く、本発明のように、回生吸収用コンデンサ18を中心として回生充電回路32を備え、且つ、回生用抵抗19を中心として回生吸収抵抗回路16を備え、併用して回生電力を吸収する構成は極めて有効であるといえる。
次に、図4は、本発明が適用された第2実施形態のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。
この第2実施形態は、前述の第1実施形態におけるダイオード76を、図4に示すように、ダイオード76及びトランジスタ78を組み合われたものに置き換えたものである。該トランジスタ78のエミッタ及びコレクタに対して、ダイオード76のアノード及びカソードが並列接続され構成されている。このような並列接続構成のものとして、ダイオードを内蔵したMOSFET又はIGBTを使用すると、デバイスの数が増えないので好都合である。
本実施形態では、回生電力吸収回路17において、前述の第1実施形態にはない、放出放電回路34を備えている。本実施形態の放出放電回路34は、回生用抵抗19、抵抗77、トランジスタ78により構成される。該放出放電回路34は、図中において、概ね破線34の範囲である。又、該放出放電回路34は、前述の事前放出放電あるいは放出放電を行うものである。つまり、該放出放電回路34は、回生吸収用コンデンサ18の電荷を放出させてその後に蓄えられる回生電力の電荷を多くする回路である。
該放出による電力は、前述の事前放出放電信号に従ってトランジスタ78をオンとすることにより、回生用抵抗19及び抵抗77で消費される。又、該放出の電流は、回生吸収用コンデンサ18のプラス(+)から流れ出て、回生用抵抗19、抵抗77、トランジスタ78を経て、回生吸収用コンデンサ18のマイナス(−)に流れ込む。
モータ20の減速時、回生吸収用コンデンサ18に蓄えることができる、該減速による回生電力の電荷の量には、該回生吸収用コンデンサ18の容量に従った限界がある。又、回生吸収用コンデンサ18に電荷が一杯になると、回生充電回路32による、該回生吸収用コンデンサ18への回生吸収ができなくなったり、不十分になったりする。
このため、本実施形態では、回生吸収動作が始まるタイミングの前に、外部から入力される事前放出放電信号に従って、放出放電回路34のトランジスタ78をオンとし、回生吸収用コンデンサ18に蓄えた電荷を放電させておく(放出放電と呼ぶ)。これにより、回生吸収用コンデンサ18に蓄えることが可能な、この後に、該減速による回生電力の電荷の量を増加することができ、回生充電回路32によるモータ20減速の回生吸収を効果的に行なうことができる。
なお、上述のような放出放電回路34は、本第2実施形態(図4)、後述する第4実施形態(図6)、第6実施形態(図8)が備えるものである。一方、前述の第1実施形態、又、後述する第3、第5実施形態では、いずれも該放出放電回路34は省かれている。
本実施形態では、前述の第1実施形態に比べて、放出放電回路34を備えることで、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられている電荷を能率よく放出放電することができる。回生吸収用コンデンサ18の電荷が多く放出されていると、回生充電回路32による回生吸収が効果的になる。例えば、モータ20が最高速度付近で動作していて減速動作を行った場合など、より大きな回生吸収電流を流したい時には有効な手段となる。
続いて、図5は、本発明が適用された第3実施形態のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。
本第3実施形態は、前述の図3に示す第1実施形態における突入電流抑制回路12を、図5に示すように、トランジスタ50と、ダイオード54及びダイオード80と、抵抗81とを組み合われたものに置き換え、又図3の抵抗77を省いたものである。これにより、本第3実施形態において、回生充電回路32、及び力行放電回路36は、それぞれ、図3に示す第1実施形態の回生充電回路32及び力行放電回路36に、図5の突入電流抑制回路12を構成として加えたものとなっている。なお、本第3実施形態の図5において、回生充電回路32又力行放電回路36の、破線及び符号による図示は混迷するため省略する。
本実施形態の突入電流抑制回路12は、図5に示すように、トランジスタ50のコレクタ及びエミッタに対して、ダイオード54のカソード及びアノードが並列になっている。又、この並列の構成に対して、直列接続された抵抗81及びダイオード80が、更に並列に接続されている。
又、本実施形態では、回生充電回路32は、図5において符号32−1の回路、及び突入電流抑制回路12により構成されている。即ち、回生充電回路32は、前述の第1実施形態の回生充電回路32に対して、ダイオード54及び抵抗81が加えられている。このため、回生充電回路32において、モータ20の減速時の回生吸収の際に、該減速による回生電力の電荷を回生吸収用コンデンサ18に蓄える際に流れる電流の経路に、抵抗81が挿入され、該抵抗81により、回生吸収の電流における突入電流を抑えることができる。該抵抗81は、交流電源入力10からの電源投入の際の突入電流を抑えるためのものであり、このような抵抗81を、上述の、回生吸収の突入電流の抑制にも用いることができる。なお、回生吸収の電流経路は、インバータ部14のプラス(+)から流れ出て、ダイオード54、抵抗81、回生吸収用コンデンサ18、ダイオード76、トランジスタ51を順に流れて、インバータ部14に流入するものである。
本実施形態では、このように2種類の突入電流を抑制するための、電力定格が大きくて大型となる抵抗を共用化することができ、コストやスペースの面で有利である。
次に、図6は、本発明が適用された第4実施形態のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。
本第4実施形態は、前述の図5に示す第3実施形態における突入電流抑制回路12のダイオード80を、図6に示すように抵抗82に置き換えたものである。更に、本第4実施形態は、前述の図5に示す第3実施形態におけるダイオード76を、図6に示すようにダイオード76及びトランジスタ78を組み合われたものに置き換えたものである。このダイオード76及びトランジスタ78を組み合われたものは、前述の第2実施形態と同様のものである。
あるいは、本第4実施形態は、前述の図4に示す第2実施形態における突入電流抑制回路12を、図6に示すように、トランジスタ50と、ダイオード54と、抵抗81及び抵抗82とを組み合われた突入電流抑制回路12に置き換えたものである。更に、前述の図4に示す第2実施形態における抵抗77を省いたものである。
これにより、本第4実施形態において、回生充電回路32、力行放電回路36、及び放出放電回路34は、それぞれ、第2実施形態の図4に示す回生充電回路32及び力行放電回路36及び放出放電回路34に、図6の突入電流抑制回路12を構成として含むようになっている。なお、本第4実施形態の図6において、回生充電回路32又力行放電回路36の、破線及び符号による図示は混迷するため省略する。
このような本第4実施形態では、前述の第3実施形態における突入電流抑制回路12において、図5に示すダイオード80を、図6に示すように抵抗82に置き換えているので、第4実施形態においてトランジスタ78がターンオンする際、該トランジスタ78のコレクタ部分で急峻に電圧が変化するために流れるおそれがあるスパイク電流を抑制することができる。
又、本第4実施形態では、前述の第2実施形態の抵抗77を省いているが、本第4実施形態の抵抗81や抵抗82が該抵抗77と同様の作用をすることになり、スパイク電流を抑制することができる。
続いて、図7は、本発明が適用された第5実施形態のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。
この第5実施形態は、前述の第3実施形態における突入電流抑制回路12を、整流回路11の出力のマイナス(−)端子側に設けたものであり、該第3実施形態と同様に動作することができる。
なお、本第5実施形態において、又次に述べる第6実施形態において、回生充電回路32又力行放電回路36の、破線及び符号による図示は混迷するため省略する。
次に、図8は、本発明が適用された第6実施形態のモータ駆動装置の構成を示す回路図である。
この第6実施形態は、前述の第5実施形態に対して、出力負荷回路35を備えたものであり、該出力負荷回路35を中心として放出放電回路34が構成されている。該出力負荷回路35は、ダイオード83及び84、抵抗82、トランジスタ87により構成されている。
本実施形態では、放出放電回路34において、このトランジスタ87は、前述の事前放出放電信号に従ってオンとすることで、回生吸収用コンデンサ18に蓄えた電荷を放出放電することができる。この時、回生吸収用コンデンサ18から流出する該電荷の電流は、ダイオード84、抵抗82、トランジスタ87、ダイオード80の順に流れ、回生吸収用コンデンサ18に流入する。
本実施形態では、前述の第2実施形態や第4実施形態と同様、放出放電回路34を備えることで、適宜、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられている電荷を能率よく放出することができる。又、回生吸収用コンデンサ18の電荷が多く放出されていると、回生充電回路32による回生吸収が効果的になる。
更に、本実施形態では、回生吸収用コンデンサ18のプラス(+)は、ダイオード75を介して、平滑コンデンサ13のプラス(+)や、整流回路11のプラス(+)端子に接続されている。又、回生吸収用コンデンサ18のマイナス(−)は、抵抗81やダイオード54やダイオード80を介して、平滑コンデンサ13のマイナス(−)や、整流回路11のマイナス(−)端子に接続されている。従って、平滑コンデンサ13の電荷や、インバータ部14からの回生電力を、例えば電源系統に復帰させるなどの回路を設ける場合には、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられた電荷の電力も復帰することができ、省電力化に貢献することができる。
上述のように、回生電力を電源系統に復帰させるようにすると、再利用可能な回生電力が増加し、省電力化に貢献することができる。又、このように復帰できる電力量は、平滑コンデンサ13の容量に従って増加させることができるが、該平滑コンデンサ13の容量には、回生吸収用コンデンサ18の容量を加えて、この回生電力の復帰に利用することができ、これにより擬似的に、該平滑コンデンサ13の容量を増加させることができる。このため、平滑コンデンサ13のコストを抑えつつ、電源系統に復帰できる電力量を増加することができ、この点でも、省電力化に貢献することができる。
ここで、図9は、これまでに述べた第1実施形態〜第6実施形態の動作を示すタイムチャートである。
この図9のタイムチャートにおいて、上から順に、図1の従来例のインバータ部14の電圧Vi0、該従来例の回生吸収抵抗回路16で回生吸収される電流I0、第1〜第6実施形態のインバータ部14の電圧Vi、これら実施形態の回生吸収用コンデンサ18で回生吸収される電流Ic、これら実施形態の回生吸収抵抗回路16で回生吸収される電流Irのタイムチャートとなっている。
ここで、インバータ部14の電圧Vi0、Viとは、インバータ部14のプラス(+)及びマイナス(−)の端子部分に対して入出力される直流の電圧であり、平滑コンデンサ13の電圧とも言うことができる。又、この図9において、中段のインバータ部14の電圧Viのグラフには、符号Aの一点鎖線により第1、第3、及び第5実施形態の回生吸収用コンデンサ18の電圧が、符号Bの二点鎖線により第2、第4、及び第6実施形態の回生吸収用コンデンサ18の電圧が示されている。
なお、上記の回生吸収される電流I0、Ic、Irとは、モータ20減速時にインバータ部14側から回生されて流れ込む電流である。
又、図9の中段以下に示される、電流Icのタイムチャートでは、符号Aの一点鎖線により第1、第3、及び第5実施形態が示され、符号Bの二点鎖線により第2、第4、及び第6実施形態が示されている。
図9において、時刻t1から時刻t2までが減速期間であり、時刻t1’において前述の事前放出放電信号が入力されている。時刻t3以降が加速期間であり、該加速期間において時刻t3’から、回生吸収で回生吸収用コンデンサ18に蓄えられていた電荷を、モータ20の加速に用いている。又、時刻t1以前、そして時刻t2から時刻t3までの期間は、減速も加速もしていない期間である。
まず、減速も加速もしていない期間では、従来例でも、これら実施形態でも、インバータ部14の電圧Vi0、Viは、整流回路11が出力する電圧となる。
そして、時刻t1から減速期間となり、インバータ部14の電圧Vi0、Viは、この時刻t1以降は上昇している。又、この減速期間において、回生吸収される電流I0、Ic、Irが流れると、インバータ部14の電圧Viは低下している。
回生吸収抵抗回路16のみで回生吸収する図1の従来例の電流I0に対して、本実施形態では、回生充電回路32により回生吸収用コンデンサ18へも、電流Icとして回生吸収しているため、本実施形態の回生吸収抵抗回路16で回生吸収される電流Irは全体的に小さくなっている。又、回生吸収用コンデンサ18へ回生吸収される電流Icは、電流が流れて電荷が回生吸収用コンデンサ18に蓄積されると減少している。
ここで、符号Aの一点鎖線の第1、第3、及び第5実施形態に比較して、符号Bの一点鎖線の第2、第4、及び第6実施形態では、回生吸収される電流Icが全体的に大きくなっている。
これは、第2、第4、及び第6実施形態では、第1、第3、及び第5実施形態にはない、放出放電回路34を備えていることによる。該放出放電回路34は、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられている電荷を、適宜、放出放電することで、後に該回生吸収用コンデンサ18に蓄えられる電荷を増加させることができる。例えば、図9では時刻t1’において、前述の事前放出放電信号が入力され、放出放電回路34は該信号により放出放電を行う。このため、上記のように、回生吸収される電流Icが全体的に大きくなる。
次に、時刻t3から時刻t4まで加速期間になると、従来例の場合も、これら実施形態の場合も、平滑コンデンサ13の電荷が減少するについて、インバータ部14の電圧Vi0、Viは、整流回路11が出力する電圧まで低下していく。又、この加速期間中において、時刻t3’から時刻t4までの期間は、本実施形態では、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられていた電荷を再利用するようにしている。
なお、図9において、斜線部分は、回生吸収される電荷、あるいは回生吸収されていた電荷で、上述のように再利用される電荷を示す。
次に、図10〜図15は、各動作状態における第4実施形態の要部の回路図である。
回路図については、これまでに述べた実施形態で最も複雑な第4実施形態のものの要部を示し、これにより、他の実施形態の動作も示すものとする。
これらの図において、図10は電源投入時の、図11は平滑コンデンサ13が充電完了時の、図12は回生吸収用コンデンサ18を放出放電させる時の、図13はモータ20減速時に回生吸収する時の、図14は回生吸収用コンデンサ18に蓄えられた電荷の電力も用いたモータ20の力行時の、図15は交流電源入力10からの電源の遮断後のコンデンサ電荷の放電時の、本発明の第1〜第6実施形態の動作を示す、いずれも第4実施形態を代表例としてその要部を示す回路図である。
まず、図10に示す電源投入時、トランジスタ50、51、78は、いずれもオフとなる。あるいは、トランジスタ50、51、はオフとなり、トランジスタ78はオンとなる。交流電源入力10からの電源が投入された瞬間、平滑コンデンサ13が未充電の状態であるので、突入電流が流れる。その突入電流の流れすぎを防ぐため、トランジスタ50はオフとなる。
この電源投入時、整流回路11のプラス(+)端子から流出した電流は、抵抗81、82、平滑コンデンサ13を順に経て、整流回路11のマイナス(−)端子に流入し、平滑コンデンサ13に充電が開始される。又、整流回路11のプラス(+)端子から流出した電流は、抵抗81、回生吸収用コンデンサ18、ダイオード76又はトランジスタ78、ダイオード71、平滑コンデンサ13を順に経て、整流回路11のマイナス(−)端子にも流入し、平滑コンデンサ13に充電が開始されると共に、回生吸収用コンデンサ18にも充電が開始される。なお、回生吸収用コンデンサ18が充電されても、平滑コンデンサ13が充電される電圧よりかなり低く、回生吸収時の回生吸収コンデンサ18の回生吸収量としては、ほとんど影響はない。
次に、図11に示す平滑コンデンサ13が充電完了時、平滑コンデンサ13の電圧が一定値以上に達すると、トランジスタ50をオンとし、トランジスタ51、78はオフとする。あるいは、交流電源入力10からの電源投入後、平滑コンデンサ13が充電完了状態であるので、突入電流が流れることがないため、トランジスタ50はオンとする。該トランジスタ50をオンとすることで、電力損失なく、インバータ部14に整流回路11から電力を供給することができる。このインバータ部14への電力供給の際、整流回路11のプラス(+)端子から流出した電流は、トランジスタ50、インバータ部14を順に経て、整流回路11のマイナス(−)端子に流入する。
続いて、回生吸収動作開始直前、図12に示す回生吸収用コンデンサ18を放出放電させる時、トランジスタ50、78をオンとし、トランジスタ51をオフとする。すると、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられた電荷による、該回生吸収用コンデンサ18から流出する電流は、並列接続の抵抗81及び抵抗82、回生用抵抗19、トランジスタ78を流れ、回生吸収用コンデンサ18に流入し、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられた電荷が放出され、この電力は、抵抗81、82、19で消費される。
次に、図13に示すモータ20減速時に回生吸収する時、トランジスタ50、51をオンとする。トランジスタ78はオンでもオフでもよい。すると、回生吸収抵抗回路16での回生吸収に加えて、回生充電回路32による回生吸収用コンデンサ18への回生吸収が行なわれる。まず、インバータ部14のプラス(+)端子から流出する電流は、並列接続の抵抗81及び抵抗82、回生吸収用コンデンサ18、ダイオード76、トランジスタ51を経て、インバータ部14のマイナス(−)端子に流入する。又、インバータ部14のプラス(+)端子から流出する電流は、回生用抵抗19、トランジスタ51を経て、インバータ部14のマイナス(−)端子に流入し、回生吸収抵抗回路16の回生吸収用抵抗19での回生吸収が行なわれる。ここで、回生吸収抵抗回路16で回生吸収された電流は、電力消費になり、回生吸収用コンデンサ18に回生吸収された電流は、同コンデンサを充電し電荷として蓄積される。この蓄えた電荷は、力行時に放出し、再利用することができる。回生用抵抗19の抵抗値が大きくして同抵抗の吸収電流値を少なくし、回生吸収用コンデンサ18へ流れ込む電流を大きく設定するならば、全体的な電力消費を抑えることができる場合があり、該回生用抵抗19の定格電力を小さくすることも可能である。
次には、図14に示す回生吸収用コンデンサ18に蓄えられた電荷の電力も用いたモータ20の力行時、トランジスタ50をオンとし、トランジスタ78、51をオフとする。すると、回生吸収用コンデンサ18から流出する電流は、並列接続の抵抗81及び抵抗82、インバータ部14、ダイオード75を経て回生吸収用コンデンサ18に流入し、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられた電荷による電力がインバータ部14において再利用され、モータ20を加速する電力として再利用される。
次に、図15は交流電源入力10からの電源の遮断後のコンデンサ電荷の放電時、トランジスタ50、51をオンとする。トランジスタ78はオンでもオフでもよい。すると、平滑コンデンサ13に蓄えられている電荷も、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられている電荷も放出することができる。
まず、平滑コンデンサ13については、該平滑コンデンサ13から流出した電流が回生用抵抗19及びトランジスタ51を経て平滑コンデンサ13に流入し、充電されていた電荷が放出される。又、回生吸収用コンデンサ18については、該回生吸収用コンデンサ18から流出する電流は、並列接続の抵抗81及び抵抗82、回生用抵抗19、トランジスタ51、ダイオード75を経て回生吸収用コンデンサ18に流入し、回生吸収用コンデンサ18に蓄えられた電荷は放出される。
電源遮断時には安全その他のために、平滑コンデンサ13や回生吸収用コンデンサ18の電荷は速やかに放電する必要があるが、本実施形態では特別な追加回路を設けずに、回生用抵抗19、抵抗81、82において、該電荷の電力を消費させることができる。従って、新たに放電抵抗を付加する必要がなく、スペースやコストの面で有利である。