JP5196696B2 - 過酸化物化合物を用いたオキシランの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、触媒及び溶媒の存在下におけるオレフィン及び過酸化物化合物の反応によりオキシランを製造する反応に関する。特に本発明は、TS-1を含む触媒の存在下における過酸化水素を用いたプロピレン(または塩化アリル)のエポキシ化によるプロピレンオキシド(またはエピクロロヒドリン)の製造に関する。
TS-1の存在下におけるプロピレン及び過酸化水素の反応によりプロピレンオキシドを製造することは公知である。例えば、特許第US-A-5 849 937号においては、そのような方法は連続して配置されている複数個の反応器中で実施される。この公知の方法においては、一連の反応器の各々に新たな過酸化水素を供給する。
本出願人は、各反応器に新たな過酸化水素を供給する場合には、実質的に副生成物を形成することなく使用した過酸化水素を全て変換することはできない、したがって最高収率は得られないことを見いだした。
本発明は、副生成物の形成はわずかであるが、反応速度を低下させることなく、導入された過酸化水素を100%変換しうる新規方法を提供することによりこの欠点を克服した。
【0002】
このため、本発明は、その各々が触媒の一部を含む連続して配置されている2個以上の反応器中で、触媒及び溶媒の存在下においてオレフィンを過酸化物化合物と反応させることによりオキシランを製造する方法であって、オレフィンの第一の部分、溶媒及び全ての過酸化物化合物を第一の反応器に導入し、オキシランの第一の部分を形成するためにその中でオレフィンの第一の部分のエポキシ化を実施し、形成されたオキシランの第一の部分、溶媒、消費されていない過酸化物化合物及びことによると変換されていないオレフィンを含む中間物をこの反応器から除去し、中間物及びオレフィンの別の部分を次の反応器に導入し、オキシランの別の部分を形成するためにその中で第一の反応器から得られた消費されていない過酸化物化合物を用いてオレフィンのその他の部分のエポキシ化を実施し、このようにして得られたオキシランのその他の部分を回収するオキシランの製造方法に関する。
【0003】
本発明の極めて重要な特徴の一は、過酸化物化合物は第一の反応器に導入するだけであるということである。したがって、1個以上の次の反応器には新たな過酸化物化合物を供給せず、その前の反応器から得られる中間物中に存在し、かつこのその前の反応器中で消費されなかった過酸化物化合物のみが供給される。一般的には、水も過酸化物化合物とともに第一の反応器に導入される。1個以上の次の反応器に過酸化物化合物が添加されないという事実が、過酸化物化合物の総量が同一でも各反応器に新たな過酸化化合物を供給する方法と比較して反応速度を低下させることなく、使用した過酸化物化合物の総量の100%を消費することを可能にする。
【0004】
本発明による方法においては、1つの反応器の中に少なくとも2の連続した反応ゾーンが配置されている場合を除いて、連続して配置され相互に連結している2個以上のエポキシ化反応器を含むプラントを使用する。よってこれらの反応器は別々の反応器である。各反応器にオレフィンを供給する。過酸化物化合物及び溶媒は第一の反応器に導入するだけである。各反応器は、その反応器から移動しない触媒の一部を含む。触媒が固定層の形で存在する場合には、一般的には触媒を反応器中に保持するように対策を講じる必要はない。触媒が粒子の形で存在する場合には、少なくともその一部は液体流または機械的攪拌または気体により流動化された形である。液体流を使用する場合には、動いている触媒粒子を停止させるように流動層の上に降下ゾーンを含むこと及び/または反応器の出口にフィルターを含むことが薦められる。
もちろん、プラントは2個以上の連続して接続している反応器を含みうる。この場合には、一連の反応器のうちの第一の反応器には、オレフィン、過酸化物化合物及び溶媒を供給し、その後の反応器の各々には、オレフィン及び先行する反応器から得られる中間物を供給する。好ましくは、連続した3個の反応器を使用する。
本発明による方法においては、一般的には、第一の反応器で使用した過酸化物化合物の総量の少なくとも50%が第一の反応器中で消費される。少なくとも70%が第一の反応器で消費される場合に最高の収率が得られる。通常、第一の反応器では99%以下、好ましくは85%以下が消費される。残りはその後の1個以上の反応器で消費される。
【0005】
本発明による方法においては、好ましくは、同一寸法の反応器が使用される。このことは、プラントの作動を中断せずにある反応器中の失活した触媒を新たなまたは再生された触媒と置換する場合に、反応器の役割の交換を可能にする(いわゆる“円形コンベア”作動)。
本発明による方法の第一の実施態様は、本特許願と同一日に出願される、“粒子状触媒の存在下におけるオキシランの製造方法”という発明の名称の本出願人の特許願(その内容は参考として導入されている)に開示されているように、少なくともその一部が流動化された形である粒子状触媒を使用する方法である。この場合には、第一の反応器を離れる中間物がその次の反応器に導入される前に通過するフィルターを含むことが薦められる。この実施態様は、エポキシ化反応媒体中での触媒の均質な分散、良好な熱交換、したがって反応熱の容易な制御が得られる。
本発明による方法の第二の実施態様においては、その次の反応器に入る媒体を、その次の反応器に導入する前にまず減圧する。この実施態様は、特にエポキシ化が加圧下または気体状化合物の存在下で実施される場合に適する。この気体状化合物はオレフィン自体(例えばプロピレン)でもいいし、本出願人による特許出願公開第WO 99/48883号に開示されているような、オキシランを連行して反応器から除去するようにエポキシ化反応媒体に導入される不活性ガスでもよい。
【0006】
本発明による方法の第三の実施態様においては、その次の反応器に入る媒体から、その次の反応器に導入する前にまず形成されたオキシランを分離する。この実施態様の目的は、形成されたオキシランの加水分解またはアルコール分解(溶媒としてメタノールを使用する場合にはメタノール分解)による副生成物の形成を防ぐために、オキシランを形成後できるだけ速くエポキシ化反応媒体から分離することである。したがってこの実施態様は高選択性を導く利点を有する。分離処理は、好ましくは、本特許願と同一日に出願される、“オキシランを反応媒体から分離することを含むオキシランの製造方法”という発明の名称の本出願人の特許願(その内容は参考として導入されている)に開示されているように、蒸留である。
【0007】
本発明による方法の好ましい一実施態様は図1に図解的に示されている。このこのましい実施態様においては、第一の反応器(1)は、好ましくは流動層(2)として触媒の一部を含む。反応器(1)には、パイプ(3)及びパイプ(4)によりオレフィンの第一の部分、パイプ(5)及びパイプ(4)により過酸化物化合物、及び、以下に記載するプラントの別の部分から得られるパイプ(4)により溶媒が供給される。第一の反応器においては、オレフィンの第一の部分が触媒の存在下で過酸化物化合物と反応してオキシランの第一の部分を形成する。パイプ(6)により反応器(1)を離れる中間物は、溶媒、オキシランの第一の部分、消費されていない過酸化物化合物及び変換されていないオレフィンを含む。この中間物はフィルター(7)を通過し、パイプ(8)により圧力を下げる容器(9)に搬送される。次いで中間物はパイプ(10)により蒸留塔(11)に搬送される。オキシラン及び変換されていないオレフィンの混合物はこの蒸留塔(11)の上部で回収される。この混合物はパイプ(12)により、オキシランを変換されていないオレフィンと分離する冷却器(13)に搬送される。変換されていないオレフィンはパイプ(14)、(3)及び(4)により反応器(1)に再循環される。オキシランの第一の部分は、パイプ(15)により最終製品として回収される。溶媒、反応器(1)で消費されていない過酸化物化合物及びことによると変換されていないオレフィンの一部を含む中間物は蒸留塔(11)の底部で回収される。その一部が任意にパイプ(30)により反応器(1)に再循環されうるこの中間物は、パイプ(16)により、好ましくは流動層(18)の形で触媒の別の部分を含む第二の反応器(17)に輸送される。第二の反応器(17)にはパイプ(19)によりオレフィンの第二の部分が供給される。第二の反応器(17)においては、オレフィンの第二の部分が触媒(18)の存在下で第一の反応器から得られる消費されていない過酸化物化合物と反応してオキシランの第二の部分を形成する。第二の反応器(17)の条件は、好ましくは第一の反応器から得られる過酸化物化合物の全てが消費されるような条件である。したがって、パイプ(20)により反応器(17)を離れる中間物は、溶媒、オキシランの第二の部分及び変換されていないオレフィンを含む。この中間物はフィルター(21)を通過し、パイプ(22)により圧力を下げる容器(23)に搬送される。次いで中間物はパイプ(24)により第二の蒸留塔(25)に輸送される。オキシランの第二の部分及び変換されていないオレフィンの混合物はこの蒸留塔(25)の上部で回収される。この混合物はパイプ(26)により、オキシランを変換されていないオレフィンと分離する冷却器(27)に搬送される。変換されていないオレフィンはパイプ(28)、(14)、(3)及び(4)により反応器(1)に再循環される。オキシランの第二の部分は、パイプ(29)により最終製品として回収される。溶媒は、蒸留塔(25)の底部で回収され、パイプ(4)により第一の反応器(1)に再循環され、そしてパイプ (31) を介して水性の流出液が排出される。
【0008】
本発明による方法に使用される触媒は、一般的には活性成分としてゼオライト、特にチタンゼオライトを含む。“チタンゼオライト”という用語は、ゼオライトタイプの微孔質結晶構造を有するシリカを含む固体であって、その中のいくつかの珪素原子がチタン原子に置換されている固体を示すことを意図する。チタンゼオライトは、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、MCM-41またはZSM-48タイプの結晶構造を有するのが有利である。それはまたβゼオライトタイプの、好ましくはアルミニウムを含まない結晶構造を有しうる。約950〜960cm-1に赤外吸収バンドを有するゼオライトが使用するのに適する。シリカライトタイプのチタンゼオライトが好ましい。式xTiO2(1-x)SiO2(式中、xは0.0001〜0.5、好ましくは0.001〜0.05である。)に対応するものが高性能を示す。TS-1という名称で知られるこのタイプの物質は、ゼオライトZSM-5の構造と同様な微孔質結晶ゼオライト構造を有する。
本発明による方法に使用される触媒は、本出願人による特許出願公開第WO 99/28029号に開示されているような押出により、または本出願人による特許出願公開第WO 99/24164号に開示されているようなスプレー方法により得られる粒子の形であるのが有利である。これらの2つの特許出願内容は本明細書に参考として導入されている。
【0009】
本発明による方法に使用される溶媒は、線状または分枝鎖状の飽和脂肪族アルコールから選択されうる。アルコール溶媒は、一般的には10個以下の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む。言及しうる例は、メタノール及びエタノールである。メタノールが好ましい。
第一の反応器中で使用される溶媒の量は、一般的には第一の反応器中に存在する液体反応媒体の25質量%以上、特に40質量%以上、例えば50質量%以上である。この量は、通常99質量%以下、特に95質量%以下である。
本発明による方法において使用されるオレフィン及び過酸化物化合物の量間のモル比は、一般的には0.1以上、特に0.2以上、好ましくは0.5以上である。このモル比は、通常100以下、特に50以下、好ましくは25以下である。
本発明による方法は連続式でもバッチ式でもよい。
【0010】
本発明による方法においては、連続して実施する場合には、過酸化物化合物は、一般的には第一の反応器中の触媒1g及び1時間当たり第一の反応器中に0.005モル以上、特に0.01モル以上使用される。過酸化物化合物の量は、通常25モル以下、特に10モル以下である。0.03モル以上2.5モル以下の過酸化物化合物の量が好ましい。
本発明による方法においては、過酸化物化合物は水溶液の形で使用されるのが有利である。一般的には、水溶液は2質量%以上、特に5質量%以上の過酸化物化合物を含む。通常、それは90質量%以下、特に70質量%以下の過酸化物化合物を含む。
【0011】
オレフィン及び過酸化物化合物間の反応温度は10〜125℃である。本出願人による特許願第EP 99/08703号に開示されている有利な一変法においては、触媒の穏やかな失活を克服するために反応温度は35℃より高温である。温度は40℃以上でもよく、好ましくは45℃以上である。50℃以上の温度が特に好ましい。反応温度は好ましくは100℃未満である。
本発明による方法においては、オレフィン及び過酸化物化合物間の反応は大気圧下で起こりうる。それは加圧下でも起こりうる。この圧力は一般的には40バール以下である。実際には20バールの圧力が適する。
本発明による方法において使用されうる過酸化物化合物は、活性酸素を放出してエポキシ化を遂行しうるペルオキシド官能基(-OOH)を1個以上含む過酸化物化合物である。無機過酸化物化合物が良好な結果をもたらす。過酸化水素及びエポキシ化反応の条件下で過酸化水素を製造しうる過酸化物化合物が使用するのに適する。過酸化水素が好ましい。
【0012】
過酸化水素を使用する場合には、本発明による方法においては、そのままの形の過酸化水素水溶液、すなわち精製されていない形の過酸化水素水溶液を使用するのが有利である。例えば、1種以上のアルキルアントラヒドロキノンの酸化(“自動酸化AO法”として公知の方法)により得られる混合物を実質的に純粋な水で単に抽出することにより得られる溶液を、その後洗浄及び/または精製処理することなく使用しうる。これらの過酸化水素粗水溶液は、一般的にはTOC(総有機炭素濃度)として表される有機不純物を0.001〜10g/l含みうる。それは、通常金属カチオン(例えばナトリウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属)及びアニオン(例えばホスフェート及びニトレート)を0.01〜10g/lの濃度で含みうる。
本発明の方法の別の変法においては、メタノールの存在下で酸素及び水素を用いて直接合成することにより製造された過酸化水素溶液を使用しうる。
本発明による方法により調製しうるオキシランは、以下の一般式に対応する基を含む有機化合物である。
【0013】
【化1】
【0014】
オキシランは、一般的には2乃至10個の炭素原子、好ましくは3乃至6個の炭素原子を含む。本発明による方法により有利に調製しうるオキシランは1,2-エポキシプロパン及び1,2-エポキシ-3-クロロプロパンである。好ましいオキシランは1,2-エポキシプロパンである。
本発明による方法に使用するのに適するオレフィンは、一般的には2乃至10個の炭素原子、好ましくは3乃至6個の炭素原子を含む。プロピレン、ブチレン及び塩化アリルが使用するのに適する。プロピレン及び塩化アリルが好ましい。プロピレンが特に好ましい。
本発明による方法においては、液体相のpHを追跡するのが有利であることがわかる。例えば、本出願人による特許願第WO 99/48882号(その内容は本特許願に参考として導入されている)において推薦されているように、塩基(水酸化ナトリウム)をエポキシ化媒体に添加することにより、オレフィン及び過酸化物化合物間の反応中の液相のpHを4.8〜6.5に保持するのが有利である。
【0015】
オレフィン及び過酸化物化合物間の反応は、本出願人による特許願第WO EP 99/08703号(その内容は本特許願に参考として導入されている)に開示されているように、塩化ナトリウムのような塩の存在下で実施しうる。この塩は、1つの反応器のみ(例えば、第一の反応器)に導入されてもよいし、複数の反応器に導入されてもよい。
1種以上のアルカンで希釈された形でオレフィンを導入するのが有利である。例えば、オレフィン及び少なくとも10体積%(特に20%、例えば30%)の1種以上のアルカンを含む流体をエポキシ化反応器に導入しうる。例えば、プロピレンの場合には、再循環された変換されていないプロピレンを反応器に導入するときに、10体積%以上のプロパンと混合しうる。完全にはプロパンが不在ではないプロピレン源もありうる。
次の実施例は本発明を説明するものであって、その範囲を限定するものではない。
例1及び2は、アスペン テクノロジー社からのアスペンプラス(登録商標、 ASPEN PLUS )プロブラムを使用して、その文献に記載され入手できる実験方法及び液 - 気平衡に基づいて決定された反応の動的パラメータの助けにより、計算されたものである。
例1(比較例)
この例では、プロピレンオキシドの合成を連続した2つの反応器で実施し、第1の反応器で作られたプロピレンオキシドの中間分離を精留カラムで行う。 H 2 O 2 の半分を第1の反応器に供給し、残りの半分を第2の反応器に供給する。
1100 kmol/ 時間の水とともに 326.5 kmol/ 時間の過酸化水素を2つの同じ画分に分け、各画分が 163.25 kmol/ 時間の過酸化水素及び 550 kmol/ 時間の水を含む。最初の画分を 1500 kmol/ 時間のメタノール、 250 kmol/ 時間のプロピレン及び精留カラムの底部からリサイクルされた画分と、すべてのプロピレンが反応温度で溶解するのに十分な圧力下で混合する。該反応混合物を70℃で、 600kg の触媒を含む組織的な反応器に連続的に導入する。該反応器を適切な冷却システムによって70℃に維持する。
反応器の流出物を、理論段数 50 を含む精留カラム(コンデンサー及びボイラーを含む)へ運搬し;供給を 10 番目の理論段数で行い(コンデンサーから始まる);カラムは絶対圧 1.1 バールで流れ(カラムの上部の圧);カラムの上部の温度を40℃に維持し(蒸留液は部分的に蒸発し);モル還流度を1に設定し;蒸留の総流量を 600 kmol/ 時間に設定する。
カラムの底部から抜き出された混合物は、プロピレンオキシドが枯渇していて、2つの画分に分けられ、最初の1つは該混合物の 90 容量%を含み、第1の反応器の供給物にリサイクルされ;第2は精留カラムの底部から得られた混合物の残りを含み、 200 kmol/ 時間のプロピレンと該プロピレンが反応温度で完全に溶解するのに十分な圧力下で混合し、 820 kg の触媒を含む第2の組織的な反応器へ70℃で連続的に導入し、適切な冷却システムによって70℃に維持する。
第2の反応器からの流出物は、 24.5 kmol/ 時間の未反応の過酸化水素、 209.4 kmol/ 時間のプロピレンオキシド及び 87.7 kmol/ 時間の副生成物(主にメトキシプロパノール及びプロパンジオール)を含み;カラムの流出物は 56.2 kmol/ 時間のプロピレンオキシドを含み; C3 の収率は 64.1 %で、過酸化水素の転換率は 92.4 %である。
例2(本発明による)
この例では、プロピレンオキシドの合成を連続した2つの反応器で実施し、第1の反応器で作られたプロピレンオキシドの中間分離を行う。
1100 kmol/ 時間の水とともに 326.5 kmol/ 時間の過酸化水素を 1500 kmol/ 時間のメタノール、 250 kmol/ 時間のプロピレン及び精留カラムの底部からリサイクルされた画分と、すべてのプロピレンが反応温度で溶解するのに十分な圧力下で混合する。該反応混合物を70℃で、 600kg の触媒を含む組織的な反応器に連続的に導入する。該反応器を適切な冷却システムによって70℃に維持する。
反応器の流出物を、理論段数 50 を含む精留カラム(コンデンサー及びボイラーを含む)へ運搬し;供給を 10 番目の理論段数で行い(コンデンサーから始まる);カラムは絶対圧 1.1 バールで流れ(カラムの上部の圧);カラムの上部の温度を40℃に維持し(蒸留液は部分的に蒸発し);モル還流度を1に設定し;蒸留の総流量を 600 kmol/ 時間に設定する。
カラムの底部から抜き出された混合物は、プロピレンオキシドが枯渇していて、2つの画分に分けられ、最初の1つは該混合物の 90 容量%を含み、第1の反応器の供給物にリサイクルされ;第2は精留カラムの底部から得られた混合物の残りを含み、 200 kmol/ 時間のプロピレンと該プロピレンが反応温度で完全に溶解するのに十分な圧力下で混合し、 820 kg の触媒を含む第2の組織的な反応器へ70℃で連続的に導入し、適切な冷却システムによって70℃に維持する。
第2の反応器からの流出物は、 1.9 kmol/ 時間の未変換の過酸化水素、 256.5 kmol/ 時間のプロピレンオキシド及び 62.2 kmol/ 時間の副生成物(主にメトキシプロパノール及びプロパンジオール)を含み;カラムの流出物は 88.4 kmol/ 時間のプロピレンオキシドを含み; C3 の収率は 78.6 %で、過酸化水素の転換率は 99.4 %である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による方法の好ましい一実施態様を図解的に示した図である。
Claims (9)
- 連続して配置されている2個以上の反応器でその各々が触媒の一部を含む反応器中で、触媒及び溶媒の存在下においてオレフィンを過酸化物化合物と反応させることによりオキシランを製造する方法であって、オレフィンの第一の部分、溶媒及び全ての過酸化物化合物を第一の反応器に導入し、その中でオレフィンの第一の部分のエポキシ化を実施してオキシランの第一の部分を形成し、形成されたオキシランの第一の部分、溶媒、消費されていない過酸化物化合物及び場合によると変換されていないオレフィンを含む中間物をこの反応器から除去し、この中間物及びオレフィンの別の部分を次の反応器に導入し、その中で第一の反応器から得られた消費されていない過酸化物化合物を用いてオレフィンの該別の部分のエポキシ化を実施してオキシランの別の部分を形成し、前記第一の反応器中で使用される過酸化物化合物の総量の50乃至99%が第一の反応器中で消費され、残りはその後の1個以上の反応器で消費され、このようにして得られたオキシランを回収するオキシランの製造方法。
- 全ての反応器の寸法が同一である請求項1記載の方法。
- 前記触媒が粒子の形で各反応器中に存在し、少なくともその一部が流動化されている請求項1又は2記載の方法。
- 前記第一の反応器を離れる中間物がその次の反応器に導入される前にフィルターを通過する請求項3記載の方法。
- 前記次の反応器に入る中間物が次の反応器に導入される前に圧力を下げられる請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
- 前記次の反応器に入る中間物が次の反応器に導入される前に形成されたオキシランを分離する処理を受ける請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
- 前記分離処理が蒸留である請求項6記載の方法。
- 前記オキシランがエピクロロヒドリンであり、前記オレフィンが塩化アリルであり、前記過酸化物化合物が過酸化水素であり、前記溶媒がメタノールでありかつ前記触媒がTS−1を含む請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
- 前記オキシランがプロピレンオキシドであり、前記オレフィンがプロピレンであり、前記過酸化物化合物が過酸化水素であり、前記溶媒がメタノールでありかつ前記触媒がTS−1を含む請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
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