JP5196581B2 - 球体の回転検出装置及び方法 - Google Patents

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Description

回転をともなって飛翔する球体の推定回転速度及び回転方向を算出して表示する球体の回転検出装置及び方法に関する。
野球、ソフトボール、バレーボール、サッカー、テニスなどの球技においては、競技者の競技の質を科学的に分析するうえでボールの回転が重要なファクターとなっている。
例えば、野球においては、投手の役割は大きく、投手の出来が勝敗に大きく左右することは知られている。
アマチュア、プロを問わず投手を評価する場合、いわゆる球速、制球力、球の切れのよしあしなどで評価される場合が多いが、球の切れは定量的に把握されていない。この球切れは、投球時のボールの単位時間当たりの回転数(回転速度)や回転方向に依存していると考えられる。また、スポーツ医学的な見地からは、怪我をしない正しいフォームで投球しているときの球種に応じた単位時間当たりの回転数や回転方向に関するデータと、無理なフォームで投げたときのデータと比較することにより、監督やコーチが投手の肩や肘に対する負荷を矯正する必要性を説くうえでも望ましい。
単位時間当たりの回転数の計測としてはハイスピードカメラによりボールを撮像して回転数を計測する方法もあるが、装置がおおがかりになり、画像処理にコストや時間がかかる。
また、ゴルフボールの表面に他と反射率の異なるマークを付し、空中に打ち上げられたゴルフボールの反射光量を検出することで回転数を検出する回転数測定装置も提案されている(特許文献1参照)。
また、回転軸が重力方向にない状態で回転する回転体に装着され、回転体の回転接線方向の加速度が検出されて、回転体の角速度や回転数を検出する回転数検出装置も提案されている(特許文献2参照)。
或いは、ボールの球種を判別するため、ボール内の仮想正四面体の頂点部に無線タグ回路素子を内蔵させておき、野球場のフィールド外に設けられた方位角アンテナで検出された仮想正四面体の頂点座標から重心の座標を算出する。これらのデータは、ボールが投球されてから補給されるまでの間サンプリングされメモリに記憶され、姿勢解析並びに運動解析が行なわれて球種の判定が行なわれるようになっている(特許文献3参照)。
特開平9−68539号公報 特開2009−42196号公報 特開2007−80102号公報
しかしながら、特許文献1のようにボールの回転数を光学的に検出する方法では、投光部よりボールに光照射して得られる反射光を検出する必要があるため、装置構成が大がかりになるうえに、投光領域が限られている場合には、球種によっては投光領域においてボールがほとんど回転しないものがあるため、単位時間当たりの回転数が計測できない場合も想定される。
また、特許文献2のように加速度センサにより回転体の接線方向加速度を測定して測定の原理から回転数を検出することも可能である。しかしながら、投手が投げるボールは、例えば1秒間に40回転するストレート系の高速回転する球種もあれば、フォークボールやナックルボールのようにほとんど回転しない低速回転の球種も様々である。よって、加速度センサの位置が僅かにずれただけでも、重力加速度の変動が大きく作用するため、測定誤差が生じやすい。
また、特許文献3のようなボール内の仮想正四面体の頂点部に無線タグ回路素子を内蔵させることが難しい。また、無線タグ回路素子により検出するデータ量が多く、姿勢解析や運動解析を行なうために複雑な演算処理を伴うため、装置コストも高くなるという課題があった。
投手が捕手に向けてボールを投げると、投球後にボールに作用するのは並進運動による空気抵抗力、回転によって生じるマグナス力、重力が作用する。このボールの進行方向をX軸、Y軸を鉛直方向とする絶対座標系でボールに作用する加速度を加速度センサにより計測し、X´−Y´方向の合成加速度を求めると、ボールの回転に同期して加速度の向きも変わっていくため、図8に示すような正弦波信号として計測される。このとき、加速度センサがボールの重心よりずれた位置に組み付けられたことに起因する遠心力による加速度(一定値)が重畳される。このように加速度センサの取付半径が大きいと、オフセット信号の値が大きくなるため、測定レンジの大きい加速度センサを用いる必要がある。しかしながら、オフセット信号の値に比べて本来計測すべき正弦波信号の振幅が相対的に小さくなるため、かかる振幅がノイズとして埋もれて計測し難くなる。
以下に述べる課題を解決するための手段の目的とするところは、遠心力による加速度の影響を受けずに簡単な構成で回転をともなって飛翔する球体の回転速度及び回転方向を推定できる球体の回転計測装置及び方法を提供することにある。
前記課題を解決するための代表的な手段は、回転を伴って飛翔する球体と、該球体の重心若しくは重心近傍に設けられX軸,Y軸,Z軸の3軸の加速度を検出する加速度検出部と、該加速度検出部により検出された3軸の加速度信号を増幅して無線送信する送信機とを備えた加速度検出装置と、前記送信機より無線送信された飛翔中の前記球体に作用した加速度信号を受信機にて受信してアナログ‐デジタル変換して加速度データとして出力する受信回路と、前記受信回路から出力された加速度データを記憶するとともに前記球体が飛翔中の3軸方向の加速度信号を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸の加速度信号の周波数ピーク値から推定される球体の回転速度を算出し、前記抽出された3軸方向の加速度信号座標から推定される回転軸位置を算出する演算処理部とを備えた信号処理装置と、前記演算処理部で算出された球体の回転速度の推定値並びに回転軸を中心とする回転方向を画面表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする。
上述した重心近傍は、重心を中心とする微小半径エリアを指し示すものとする。即ち、加速度検出部の加速度センサ自体が基板の中心部に実装されているとは限らないため、センサ自体の誤差や球体の重心に配置される際の組み付けによる誤差が現実には発生していることを考慮している。
また、前記演算処理部は、球体が飛翔開始から飛翔終了までの間の所定時間内の加速度データから各データの平均値を除いたX,Y,Z軸方向の加速度成分を抽出し、高速フーリエ変換処理、更には窓処理を行って、3軸の加速度成分の最大周波数を求めることにより球体の推定回転速度が算出されることを特徴とする。
また、前記演算処理部は、前記球体の回転方向は、抽出された3軸の加速度データの座標から推定される回転軸を中心とした回転方向を推定することを特徴とする。
他の装置構成としては、回転を伴って飛翔する球体と、該球体の重心若しくは重心近傍に設けられX軸,Y軸,Z軸の3軸の加速度を検出する加速度検出部と、該加速度検出部により飛翔開始から飛翔終了するまでの間に検出された3軸の加速度信号を記憶する記憶部と、を備えた加速度検出装置と、前記記憶部に記憶された加速度信号を取り込んでアナログ‐デジタル変換して加速度データとして出力する信号変換部と、前記信号変換部から出力された加速度データを記憶するとともに前記球体が飛翔中の3軸方向の加速度信号を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸の加速度信号の周波数ピーク値から推定される球体の回転速度を算出し、前記抽出された3軸方向の加速度信号座標から推定される回転軸位置を算出する演算処理部とを備えた信号処理装置と、前記演算処理部で算出された球体の回転速度の推定値並びに回転軸を中心とする回転方向を画面表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする。
また、球体の回転計測方法においては、回転を伴って飛翔する球体の飛翔開始から飛翔終了までに当該球体に発生する加速度を、前記球体の重心若しくは重心近傍に設けられたX軸,Y軸,Z軸の3軸方向の加速度検出部にて検出し、当該3軸方向の加速度信号を増幅して送信機より無線送信するステップと、前記3軸方向の加速度信号を受信機にて受信してアナログ‐デジタル変換して得られた3軸方向の加速度データを信号処理装置に記憶するステップと、前記信号処理装置の演算処理部が、前記3軸方向の加速度データから前記球体が飛翔中の3軸方向の加速度成分を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸方向の周波数ピーク値から球体の推定回転速度を算出するステップと、前記加速度信号の周波数より推測される球体の推定回転速度並びに3軸の加速度データの座標から推定される回転軸を中心とする回転方向を表示装置に画面表示するステップと、を含むことを特徴とする。
他の方法としては、回転を伴って飛翔する球体の飛翔開始から飛翔終了までに当該球体に発生する加速度を、前記球体の重心若しくは重心近傍に設けられたX軸,Y軸,Z軸の3軸方向の加速度検出部にて検出し、記憶部に記憶するステップと、前記記憶部に記憶された3軸方向の加速度信号を取り込んでアナログ‐デジタル変換して得られた3軸方向の加速度データを信号処理装置に記憶するステップと、前記信号処理装置の演算処理部が、前記3軸方向の加速度データから前記球体が飛翔中の3軸方向の加速度成分を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸方向の周波数ピーク値から球体の推定回転速度を算出するステップと、前記加速度信号の周波数より推測される球体の推定回転速度並びに抽出された3軸の加速度信号座標から推定される回転軸を中心とする回転方向を表示装置に画面表示するステップと、を含むことを特徴とする。
上記球体の回転計測装置及び方法によれば、加速度検出部は球体の重心若しくは重心近傍に設けられているので、当該球体が回転を伴って飛翔すると、X軸,Y軸,Z軸の3軸の加速度データが加速度検出部により検出され、検出された加速度データが送信機より無線送信される。この加速度データには、遠心力による加速度の影響を可及的に小さくして専ら空気抵抗力やマグナス力により検出される加速度データを収集することができる。尚、加速度検出部は球体の重心に配置するのが望ましいが、遠心力の影響を受けないようにするためには、センサ誤差や組み付け誤差を考慮すると重心近傍の微小半径エリアに設ける必要がある。
また、演算処理部は、加速度データから球体が飛翔中の3軸方向の加速度信号を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸の加速度信号の周波数ピーク値から推定される球体の回転速度を算出し、抽出された3軸方向の加速度信号座標から回転軸位置を推定する。これにより、簡易な方法で空気抵抗力やマグナス力による球体の回転速度や回転方向が推定できる。
また、表示装置は、演算処理部で算出された球体の回転速度の推定値並びに回転軸を中心とする回転方向を画面表示するので、球の切れのよさを定量的にしかも視覚的に把握することができる。
演算処理部は、球体が飛翔開始から飛翔終了までの間の飛翔時間内の加速度データを取り出して加速度の値が著しく大きくなる飛翔開始時と飛翔終了時を除くことで、測定の精度を高めることができ、各データの平均値を除いたX,Y,Z軸方向の加速度成分を抽出することで、オフセットの影響を小さくすることができる。
また、高速フーリエ変換処理、更にはハミング窓等を用いた窓処理を行って、3軸の加速度成分の周波数ピーク値(最大周波数)を求めることにより、簡易な構成で球体の推定回転速度が算出される。
また、演算処理部は、演算処理部は、球体の回転方向は、抽出された3軸の加速度データの座標から推定される回転軸を中心とした回転方向を推定するので、球体の回転速度とともに球種に応じた回転方向も含めたデータ分析をおこなって、球種に応じた回転特性や球の切れのよさを検証することができる。
ボールの回転計測装置のブロック構成図である。 軟式野球用ボールの断面図である。 ボールの回転方向とボール作用する加速度の力学的解析図である。 投球から捕球までのボールに作用する全加速度データを示すグラフ図である。 全加速度データから抽出された加速度データのグラフ図である。 128(=27)点でFFT(高速フーリエ変換)を行なった後の周波数分布を示すグラフ図である。 X軸,Y軸の加速度成分を合成した合成加速度を示すグラフ図である。 ボールに発生するX´―Y´座標系の合成加速度の波形説明図である。
先ず、球体の回転計測装置のブロック構成について説明する。
以下では、球体として軟式野球用のボール1を例示して説明するものとし、投手がボール1を投げて捕手が捕球するまでにボール1の単位時間当たりの回転数若しくは回転速度及び回転方向を計測する場合について説明する。
図1において、加速度検出装置(センサ回路部)2は、回転を伴って飛翔するボール1(図2参照)と、該ボール1の重心O若しくは重心近傍に設けられX軸,Y軸,Z軸の3軸の加速度を検出する3軸加速度センサ(加速度検出部)3と、該3軸加速度センサ3により検出された3軸の加速度信号を増幅する増幅回路や増幅された加速度信号を無線送信する送信機4を備えている。
尚、重心近傍は、重心Oを中心とする微小半径エリアを指し示すものとする。即ち、3軸加速度センサ3が基板の中心部に実装されているとは限らないため、センサ自体の誤差やボール1の重心Oに配置される際の組み付けによる誤差が現実には発生していることを考慮している。
図2において、ボール1は、異なるゴム材1a,1bが2層に積層されて球体に成形されている。このボール1の中空部に発泡材1cが埋め込まれその重心Oをくり抜いて3軸加速度センサ3が埋設されている。このボール1は、軟式野球用のボール1についての一例であって、競技が異なればボールの構造も異なるため他の組み付け構造であってもよい。
受信回路部5は、送信機4より無線送信された飛翔中のボール1に作用した加速度信号を受信する受信機6と、受信機6が受信した加速度信号(アナログ信号)をアナログ‐デジタル変換して加速度データとして出力するA/D変換器7を備えている。
信号処理装置8は、A/D変換器7から出力された加速度データを記憶媒体(メモリ、ハードディスク等)に記憶する。信号処理装置8としては、パーソナルコンピュータ(PC)やDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。
信号処理装置8は演算処理部9(例えばCPU,MPUなど)を備え、演算処理部9は加速度データからボール1が飛翔中の3軸方向の加速度信号を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸の加速度信号の周波数ピーク値から推定される単位時間当たりの回転数又は回転速度を算出し、抽出された3軸方向の加速度信号座標から回転軸位置を推定する。
表示装置10は信号処理装置8の演算処理部9で算出されたボール1の単位時間当たりの回転数又は回転速度の推定値並びに回転軸を中心とする回転方向を画面表示する。表示装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)に接続される液晶ディスプレイなどが用いられる。また、受信回路部5は、信号処理装置8に外部接続されていてもよいが、信号処理装置8に内蔵されてアンテナにより受信する構成でもよい。
また、演算処理部9は、ボール1が投球開始(飛翔開始)から捕球される(飛翔終了)までの間の所定飛翔時間内の加速度データを取り出して信号処理するので、加速度の値が著しく大きくなる飛翔開始時と飛翔終了時を除くことで、測定の精度を高めることができ、各データの平均値を除いたX,Y,Z軸方向の加速度成分を抽出することで、オフセットの影響を小さくすることができる。
演算処理部9は、上記所定飛翔時間内の加速度データを高速フーリエ変換(FFT)処理、更には窓処理を行って、3軸の加速度成分の最大周波数を求めることにより、簡易な構成でボール1の推定回転速度(単位時間当たりの回転数)が算出される。
また、演算処理部9は、抽出された3軸の加速度データの座標から推定される回転軸ベクトルの方向を演算し、当該回転軸ベクトルを中心とした回転方向を推定する。これにより、回転数若しくは回転速度とともに球種に応じた回転方向も含めたデータ分析をおこなって、球種に応じた回転特性や球の切れのよさを検証することができる。
以下では、本実施形態の球体の回転計測装置及び方法を用いてボール1の単位時間当たりの回転数(回転速度)を計測した実験結果について、図3の力学的解析図、図4乃至図7のデータ図を参照しながら説明する。
実験では、ボール1として、軟式野球用B級マルエスボール(ダイワマルエス株式会社製)を用い、3軸加速度センサ3として、日立金属株式会社製のワイヤレス3軸加速度センサ評価キッドを用いた。3軸加速度センサ3は図2に示すように、ボール1を2分割して中空部に発泡材1cを詰めて重心Oへ組み込んだ。センサ回路部2からは0.005[s]間隔で加速度信号が信号処理装置8へ送信される。投球実験は、投手と捕手が7[m]程度の距離をとって投球を行なった。このとき、ボール1の球種はストレートを意識して投球した。
図3の力学的解析図に示すように、ボール1はω方向に回転子ながらX´方向に進み、−Y´方向に落下している。このとき、ボール1に作用する加速度は重力加速度g、並進運動の空気抵抗力により加速度aair,マグナス力による加速度amagのX−Y成分が各々作用する。
このとき、図4に示す加速度信号のグラフ図に示すように、送信機4から受信機ボール1にはX軸方向(投球方向)及びY軸方向(鉛直方向)の加速度成分が一定のオフセット量をもつ正弦波信号として計測され、Z軸方向の加速度成分の計測値はほぼ0となっている。これによりボール1の回転軸がZ軸方向であることが推定される。
次に周波数解析(FFT)を行なう前提として、ボールが空中で回転しながら進む間の加速度データを抽出する。このとき、投球直後及び捕球時の加速度は著しく大きくなることから投球時から0.1[s]経過後から捕球時前0.1[s]までの加速度データを抽出した。抽出された加速度データを図5に示す。3軸加速度信号は108点のデータ測定点を有するが、測定点を128点(=2)に増やしてFFT(高速フーリエ変換)処理を適用するため不足分に0を20点分代入して周波数解析をおこなった。尚、FFT処理は、オフセット信号の影響を小さくするため加速度信号の平均値を除いた脈動する加速度信号に対して行ない、ハミング窓を用いた窓処理をおこなった。
FFT処理を行った結果を図6に示す。図6において、3軸方向の加速度がピーク値となる周波数[fx,fy,fz]は[8.980,8.980, 1.5625][Hz]となった。Z軸の周波数成分は回転軸であるためX軸,Y軸の周波数成分に比べて低い値となっている。X軸,Y軸ともに同じ周波数が検出されており、回転数に対応していることが確認できた。
次に、計測結果について検証する。FFTによって求められたX軸,Y軸の周波数成分8.98[Hz]即ち回転速度8.98[rps]と、加速度センサ位置から力学的に考察により求められる加速度を比較する。
先ず、実験で得られた加速度は、図4中のX,Y軸加速度を合成した大きさとなり、これを図7に示す。この信号のオフセット量(平均値)が求める加速度となるため、おおよそ0.8[G]であることがわかる。
次に、力学的考察により加速度を算出するために、図3のO‐O´の距離rが必要になるが、事前の測定よりこの距離rは3軸加速度センサ3の配置からr=0.0025[m]であった。FFTの結果からω=2π/T=2πf=2π×8.98=56.39[rad/s]
よって、加速度aはa=rωで求められ、
a=0.0025×(56.39)=7.95[m/s]=0.81[G]となる。
このように、実験により求めた加速度と力学的考察により求めた加速度を比較すると概ね一致することが確認できた。これにより、ボール1の重心Oに内蔵した3軸加速度センサ3により計測された加速度信号を計測して周波数解析により得られた周波数ピーク値は、ボール1の単位時間当たりの回転数(回転速度)を示していることが判明した。
尚、3軸加速度センサ3のボール1の重心Oへの組み付け許容範囲について説明する。この3軸加速度センサの組み付け許容範囲は、最大測定値により異なる。例えば、ボールの最大回転数が40[rps]の場合(プロ野球選手の最大回転数を想定)、センサの重心Oからの取り付け半径が1cmとすると遠心加速度は64.5[G]、取り付け半径が2cmとなると遠心加速度が129[G]となり、これらがバイアス信号として測定される。
既存の3軸加速度センサの測定範囲は、最大測定値が±25[G](米国crossbow社製)、最大測定値が±100[G](マイクロストーン社製)が知られている。3軸加速度センサの取付位置が半径1cm以内であれば、最大測定値が±100[G](マイクロストーン社製)を用いれば加速度を測定可能である。しかしながら、ボールの回転によって脈動する加速度成分の振幅は±0.05[G]〜0.01[G]レベルである。したがって、±100[G]のセンサでは、1/10000〜1/100000の信号を扱う必要が生じる。±1/100000の分解能を得るためには、18bit以上のA/D変換器が必要となる。しかしながら、精度のよい既存のA/D変換器でも16bitであり、装置構成が難しくなる。その結果、演算精度が不十分となるため推定される回転速度の精度も低くなり、回転方向の計測はできない。
よって、3軸加速度センサ3はボール1の重心Oにおくのが理想であるが、仮に誤差が生じても半径1cm未満、より好ましくは半径5mm以内の微小半径エリアに設けることが望ましい。
以上説明したように、実施形態に説明した球体の回転計測装置及び方法を用いれば、球体が回転を伴って飛翔すると、X軸,Y軸,Z軸の3軸の加速度信号が加速度検出装置(センサ回路部)2により時々刻々検出され、検出された加速度信号は送信機4より無線送信される。この加速度データには、遠心力による加速度の影響を可及的に小さくして専ら空気抵抗力やマグナス力により検出される加速度信号を収集することができる。
また、信号処理装置8において加速度信号を受信しA/D変換して得られた加速度データは、演算処理部9においてボール1が飛翔中の3軸方向の加速度信号を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸の加速度信号の周波数ピーク値から推定されるボール1の回転速度(単位時間当たりの回転数)を算出し、抽出された3軸方向の加速度信号座標から回転軸位置を推定する。これにより、簡易な構成で空気抵抗力やマグナス力によるボール1に作用する加速度の周波数を測定することでボール1の単位時間当たりの回転数(回転速度)が推定できる。
また、演算処理部9は、球体の回転方向は、抽出された3軸の加速度データの座標から推定される回転軸ベクトルの方向を演算し、当該回転軸ベクトルを中心とした回転方向を推定して表示装置10に表示するので、回転速度とともに球種に応じた回転方向も含めたデータ分析をおこなって、球種に応じた回転特性や球の切れのよさを検証することができる。
次に球体の回転計測装置及び方法の他例について説明する。
回転計測装置の概略構成は、前述した装置構成と同様であり、異なる点を中心に説明する。ボール1にデータ記憶装置(記憶部)を内蔵しておき、加速度センサ3により飛翔開始から飛翔終了するまでの間に検出された3軸の加速度信号をデータ記憶装置に記憶するようにしてもよい。データ記憶装置としては、例えばフラッシュメモリ等が用いられる。上記データ記憶装置に記憶されたデータは、増幅されて一括して送信機4により信号処理装置8へ無線送信されてもよいし、或いは接続端子を設けて有線送信により信号処理装置8へ取り込んでもよい。有線通信による場合には、送信機4と受信機6の無線通信可能な範囲にとらわれずに、任意の距離で飛翔中の球体の回転計測を行なうことができる。
上記データ記憶装置に記憶された3軸方向の加速度信号を取り込んで信号変換部でアナログ‐デジタル変換して得られた3軸方向の加速度データは、信号処理装置8に記憶される。また、信号処理装置8の演算処理部9は、3軸方向の加速度データからボール1が飛翔中の3軸方向の加速度成分を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸方向の周波数ピーク値から球体の推定回転速度を算出する点や、加速度信号の周波数より推測される球体の推定回転速度並びに抽出された3軸方向の加速度信号座標から推定される回転軸を中心とする回転方向を表示装置に画面表示する点は前述した実施形態と同様である。
以上の実施形態は軟式野球のボールの回転計測について説明したが、公式野球のボールや、ソフトボール、バレーボール、サッカー、テニスなどの他の球技に使用される球体の回転計測に応用することも可能である。
1 ボール
1a,1b ゴム材
1c 発泡材
2 加速度検出装置(センサ回路部)
3 3軸加速度センサ
4 送信機
5 受信回路部
6 受信機
7 A/D変換器
8 信号処理装置
9 演算処理部
10 表示装置

Claims (6)

  1. 回転を伴って飛翔する球体と、該球体の重心若しくは重心近傍に設けられX軸,Y軸,Z軸の3軸の加速度を検出する加速度検出部と、該加速度検出部により検出された3軸の加速度信号を増幅して無線送信する送信機とを備えた加速度検出装置と、
    前記送信機より無線送信された飛翔中の前記球体に作用した加速度信号を受信機にて受信してアナログ‐デジタル変換して加速度データとして出力する受信回路と、前記受信回路から出力された加速度データを記憶するとともに前記球体が飛翔中の3軸方向の加速度信号を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸の加速度信号の周波数ピーク値から推定される球体の回転速度を算出し、前記抽出された3軸方向の加速度信号座標から推定される回転軸位置を算出する演算処理部とを備えた信号処理装置と、
    前記演算処理部で算出された球体の回転速度の推定値並びに回転軸を中心とする回転方向を画面表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする球体の回転計測装置。
  2. 前記演算処理部は、球体が飛翔開始から飛翔終了までの間の所定時間内の加速度データから各データの平均値を除いたX,Y,Z軸方向の加速度成分を抽出し、高速フーリエ変換処理、更には窓処理を行って、3軸の加速度成分の最大周波数を求めることにより球体の推定回転速度が算出される請求項1記載の球体の回転計測装置。
  3. 前記演算処理部は、前記球体の回転方向は、抽出された3軸の加速度データの座標から推定される回転軸を中心とした回転方向を推定する請求項1に記載の球体の回転計測装置。
  4. 回転を伴って飛翔する球体の飛翔開始から飛翔終了までに当該球体に発生する加速度を、前記球体の重心若しくは重心近傍に設けられたX軸,Y軸,Z軸の3軸方向の加速度検出部にて検出し、当該3軸方向の加速度信号を増幅して送信機より無線送信するステップと、
    前記3軸方向の加速度信号を受信機にて受信してアナログ‐デジタル変換して得られた3軸方向の加速度データを信号処理装置に記憶するステップと、
    前記信号処理装置の演算処理部が、前記3軸方向の加速度データから前記球体が飛翔中の3軸方向の加速度成分を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸方向の周波数ピーク値から球体の推定回転速度を算出するステップと、
    前記加速度信号の周波数より推測される球体の推定回転速度並びに抽出された3軸方向の加速度信号座標から推定される回転軸を中心とする回転方向を表示装置に画面表示するステップと、を含むことを特徴とする球体の回転計測方法。
  5. 回転を伴って飛翔する球体と、該球体の重心若しくは重心近傍に設けられX軸,Y軸,Z軸の3軸の加速度を検出する加速度検出部と、該加速度検出部により飛翔開始から飛翔終了するまでの間に検出された3軸の加速度信号を記憶する記憶部と、を備えた加速度検出装置と、
    前記記憶部に記憶された加速度信号を取り込んでアナログ‐デジタル変換して加速度データとして出力する信号変換部と、前記信号変換部から出力された加速度データを記憶するとともに前記球体が飛翔中の3軸方向の加速度信号を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸の加速度信号の周波数ピーク値から推定される球体の回転速度を算出し、前記抽出された3軸方向の加速度信号座標から推定される回転軸位置を算出する演算処理部とを備えた信号処理装置と、
    前記演算処理部で算出された球体の回転速度の推定値並びに回転軸を中心とする回転方向を画面表示する表示装置と、を備えたことを特徴とする球体の回転計測装置。
  6. 回転を伴って飛翔する球体の飛翔開始から飛翔終了までに当該球体に発生する加速度を、前記球体の重心若しくは重心近傍に設けられたX軸,Y軸,Z軸の3軸方向の加速度検出部にて検出し、検出された3軸の加速度信号を記憶部に記憶するステップと、
    前記記憶部に記憶された3軸方向の加速度信号を取り込んでアナログ‐デジタル変換して得られた3軸方向の加速度データを信号処理装置に記憶するステップと、
    前記信号処理装置の演算処理部が、前記3軸方向の加速度データから前記球体が飛翔中の3軸方向の加速度成分を抽出し、周波数解析処理を行って得られた3軸方向の周波数ピーク値から球体の推定回転速度を算出するステップと、
    前記加速度信号の周波数より推測される球体の推定回転速度並びに抽出されて3軸方向の加速度信号座標から推定される回転軸を中心とする回転方向を表示装置に画面表示するステップと、を含むことを特徴とする球体の回転計測方法。
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