図1〜図5は、本発明を採用したスロット機(スロットマシン)の収容ケースの1実施例を示したもので、そのうち図5は、組み上げられた収容ケース10内に遊技装置をほぼ組み込んだ状態を斜視図として示し、図1〜図4はさらに各部の詳細、ないしは組み立て構造を詳細に示したものである。
ここでは説明の便宜上、図5の遊技装置をほぼ組み込んだ状態から説明する。図5において、スロット機の収容ケース10は互いに向き合って組み付けられる2枚の側面板101、101を有し、その間に狭み込まれるように装着された底面板103、およびこの底面板103と向き合って組み付けられる天面板102からなる複数の板部材の組み付けによってほぼ矩形状の箱型に構成され、さらに、これら各部材101〜103から構成された枠体の背面に組み付けられる背面板104を含む。
なお、側面板101、101は、通常、設置時に鉛直方向にほぼ沿うような姿勢で組み付けられるものをいう。また、側面板101、101とともにほぼ矩形の構造体を構成する底面板103および天面板102は、側面板101、101とほぼ直交するような姿勢で、本実施例では側面板101、101にそれぞれ端面を挟持されるように組み付けられる。
側面板101、101、天面板102、底面板103、背面板104などの材質としては、木材、特にベニヤ(合板)やMDFなどの集成材を用いることができるが、材質はこのような木材に限定されず、たとえば樹脂などの材質であってもよい。
側面板101、101の形状は任意であるが、本実施例の場合、底面部分に、他の部材よりも比較的大型のホッパ(払出装置)13、を収容するために、下部の奥行きが上部のそれよりも大きく形成され、上部の天面板102との組み付け部位から下部に向かう側面板101、101の前縁上部は図示のように傾斜した形状となっている。左右の側面板101、101には、設置や運搬などの際の便を考慮して、取手などとして機能する凹部101a(左側は不図示)が設けられている。
本実施例の遊技機は、スロット機であり、側面板101、101の前縁上部の傾斜した範囲にほぼ相当する上部には、リール機構11を内蔵する。リール機構11の詳細な構成は周知のスロット機と同様のものでよく、ここでは詳細な説明は省略するが、リール機構11にはモータなどの駆動源により駆動され、抽選制御の結果に応じて定まる特定の図柄の組合せを表示するための3つのリールが含まれる。
また、収容ケース10の上部のリール機構11の占める空間以外のスペース、あるいは他の任意の空間には制御基板、電源装置などの構成部材を収容する。図5では、リール機構11の他に、制御基板14、遊技中に演出音などを発生するためのスピーカー12、上述のホッパ(払出装置)13などが収容ケース10内部に収容される。なお、これら制御基板14やホッパ(払出装置)13などの構造は、公知のスロット機と同様に構成すればよいから、ここではこれら公知の部材については詳細な説明を省略する。
本実施例の基本構成では、左右の側面板101、101の間に天面板102および底面板103を挟持するように組み付け、後述の(溝とホゾなどによる)嵌合構造、あるいは木ダボなどの嵌合構造を用いて、収容ケースを構成する点にまず特徴がある。このような基本構成によれば、内部に構成部材を組み込んでかなり重量が重くなった遊技機においても、例えば設置や運搬時に遊技機を持ち上げる際に生じる縦方向への力に対する収容ケースの強度を向上することができる(例えば、底面板上に側面板を立設するような構成では、縦方向への力に対してはそれほど大きな強度を得ることができない)。
さらに、本実施例は、底面板103の下面が左右の側面板101、101の下端面よりも突出する構成となっている点に特徴があり、このような構造により、底面板103の下面は、遊技機(収容ケース)の設置面に接して収容ケース10、したがって遊技機全体の重量を支えるよう機能する。一般に、内部に各構成部材を収容した状態で、この種の遊技機は数10kgの総重量となる場合が多い。
また、天面板102は、底面板103とともに左右の側面板101、101の間に挟持されるように後述の嵌合構造を介して左右の側面板101、101と結合され、ほぼ矩形の枠体構造を成す。
天面板102は収容ケース10の上部を塞ぎ、また、収容ケース10の剛性を保持する部材の1つとして機能する。さらに、天面板102は、図8および図9などで後述するような製造工程の一部においては、コンベヤのローラなどと接触して搬送方向のガイドを受けるガイド面としても機能する。
背面板104は、さらに上記の側面板101、101、天面板102、底面板103から成るほぼ矩形の枠体構造の背面から、あるいはこの枠体構造内側に接着などの手法で固定され、これによりさらに収容ケース10全体の剛性がより堅固に保たれる。
左右の側面板101、101の間に天面板102および底面板103を挟持するように組み付け、後述の(溝とホゾなどによる)嵌合構造、あるいは木ダボなどの嵌合構造を用いて、収容ケースを構成する場合には、内部に遊技に必要となる装置を収容することで重くなった遊技機においても、例えば設置や運搬時に遊技機を持ち上げる際に生じる縦方向への力に対する収容ケースの強度を向上することができる、という利点がある。
さて、上記のように、左右の側面板101、101の間に天面板102および底面板103を挟持するように組み付ける、特に後述の(溝とホゾなどによる)嵌合構造、あるいは木ダボなどの嵌合構造を介して左右の側面板101、101と結合する場合、後述の図6や図7などに示す従来構造では、本実施例の構造と対比して詳述するように、障害物などとの接触により側面板101、101と、底面板103の結合、あるいは天面板102の結合が外れてしまうことがある。
本実施例では、この問題に鑑み、天面板102の上面、および、底面板103の底面(設置面との接触面)を側面板101、101の上下の端面よりも突出した高い、および低い位置になるよう構成するが、この構造により、側面板101、101の上端面よりも突出することになる天面板102の左右の端面に切欠部1021、1021を、また、同じく側面板101、101の下端面よりも突出することになる底面板103の左右の端面には、切欠部1031、1031(図5では左側不図示を設ける。さらに、左右の側面板101、101の上下端の角部にも、同様に、切欠部1011、1012を形成する。
このように、天面板102、底面板103、左右の側面板101、101の端部(角部)に切欠部1021、1021、1031、1031、あるいは、切欠部1011、1012を設ける点は、本実施例の別の大きな特徴である。
本実施例の切欠部1021、1021、1031、1031、あるいは、切欠部1011、1012は、天面板102、底面板103、側面板101の端部の角を切削などにより落とし、斜面として形成したものである。このような構成により、後述のように、遊技機の設置や製造工程において、収容ケースを運搬、搬送する際に、設置面や、収容ケースの上方などにある障害物と収容ケースの角部がぶつかった場合に、その衝撃、特に収容ケースの横方向から加えられる力を切欠部1021、1021、1031、1031、あるいは、切欠部1011、1012の斜面で分散させることにより、天面板102、底面板103、側面板101の該当部分が破損したり分解したりする可能性を低減し、結果として収容ケース10の強度を向上させることができる。
なお、天面板102の上面を左右の側面板101、101より突出させること、また、その端部に切欠部1021を設ける、すなわち、底面板103と同様の構成を採用することにより、収容ケースを製造、収納、運搬、遊技店内のディスプレイの都合に倒置するような必要があり、天面板102が接地する場合にも上記の収容ケースの破損や分解の可能性を低減し、結果として収容ケース10の強度を向上させることができる。
なお、本実施例では、収容ケース10の天面板102、底面板103、側面板101の左右の上端ないし下端に切欠部1021、1021、1031、1031、切欠部1011、1012を設ける構成を示したが、天面板102、底面板103、側面板101の前後の上端ないし下端にも同様の切欠部を設けるようにしてもよい。
以下、図1〜図4を参照して、上記構造の細部につき、さらに詳細に説明する。図1および図2は、左右の側面板101、101と、底面板103の結合構造を示したものである。図1は、左右の側面板101、101と底面板103をダボ30、30によって結合した状態における正面図を、また、図2は同状態における側面板101、101と底面板103の底面図である。
図1に示すように、底面板103は、左右の側面板101、101とダボ30、30を介して(あるいはさらに図3に示すような他の嵌合構造を介して)結合されるが、このとき、底面板103の底面が左右の側面板101、101の下端よりも突出するような位置で側面板101、101と結合する。このような構造は、例えば底面板103と左右の側面板101、101が接する組み付け部20、20の接合面積を必要な強度に応じて確保し、それに必要な厚みよりも底面板103の厚みを大きく取ることによって可能となる。
底面板103と左右の側面板101、101が接する組み付け部20、20は、必要であれば接着剤などを併用することができ、このような接着構造によってより強固に底面板103と左右の側面板101、101を結合することができるが、もしそのような対策によって、逆に組み付け部20、20の接合面積を小さく取ることができれば、図1のように底面板103の底面を左右の側面板101、101の下端よりもより大きく突出させることができる。
また、底面板103の左右の端面、特に左右の側面板101、101の下端よりも突出している部分には、傾斜した斜面をなす切欠部1031、1031を設ける。さらに、左右の側面板101、101の下端の角部にも、傾斜した斜面をなす切欠部1012を形成する。これら切欠部1021、1021、1031、1031は、後述のように遊技機の設置面などに障害物がある場合に、障害物との接触により生じる応力を分散させ、収容ケースの組み付け部の破損を防止するためのものである。以上のような構造により、収容ケースの設置面と直接接触するのは、底面板103の切欠部1031、1031よりも内側の部分(図2の中央の矩形で示された内側の部分)となる。
図1および図2では、底面板103と左右の側面板101、101の組み付け構造を示したが、天面板102と左右の側面板101、101の組み付け構造についても同様で、図3〜図5に示すように、天面板102の上面を左右の側面板101、101の上端よりも突出させる構造とする。
特に、天面板102の左右の端面、左右の側面板101、101の上端よりも突出している部分には、傾斜した斜面をなす切欠部1021、1021を設ける。さらに、左右の側面板101、101の上端の角部にも、傾斜した斜面をなす切欠部1011を形成する。これら切欠部1011、1011、1021、1021は、後述のように設置面などに障害物がある場合に、障害物との接触により生じる応力を分散させ、収容ケースの組み付け部の破損を防止するためのものである。
なお、図1に示したように、本実施例では、側面板101、101の(水平になった)下端が、底面板103の切欠部1031、1031の斜面の始まる位置と一致している。しかしながら、本実施例の要点は、底面板103の底部が側面板101、101の下端より突出していればよく、この条件さえ満足していれば、例えば上記の底面板103の切欠部1031、1031の斜面の始まる位置よりも下方にあっても構わない。また、側面板101、101の下端は水平部分として残してあるが、このような細部の形状は任意であり、当業者が設計事項として任意に選択すればよい(後述の図12、図13の構成を参照)。また、上記の各切欠部はテーパ、面取り等の角を滑らかにして衝突の際の衝撃を緩和する加工であればどのような手法で形成してもよい。
図3は、分解斜視図として天面板102、左右の側面板101、101、底面板103、および背面板104から成る収容ケース10の組み立て構造を、図4は図3の各部材を組み上げた状態を示している。
図3の例では、左右の側面板101、101と、天面板102、および底面板103、との結合に、上述のダボ30を用いるとともに、溝とホゾによる嵌合構造を併用している。左右の側面板101、101の上部および下部内側にはダボ受け部1014、1014と、凹溝1013、1013を設けている(右側不図示)。
また、天面板102の左右の端部には、対応する位置にダボ受け部1024、1024(左側不図示)と、凸部(ホゾ)1023、1023を設け、また、底面板103の左右の端部には、対応する位置にダボ受け部1034、1034(左側不図示)と、凸部(ホゾ)1033、1033を設けている。
これら、側面板101、101のダボ受け部1014、1014…と、天面板102のダボ受け部1024、1024の間、および底面板103のダボ受け部1034、1034の間にダボ(30)を嵌合させること、また、側面板101、101の凹溝1013、1013…に天面板102の凸部1023、1023、底面板103の凸部1033、1033を係合させることにより、側面板101、101、天面板102、底面板103から成る矩形の枠体構造を強固に形成することができる。
本実施例では、上記のようにダボ(30)と、ダボ受け部1014、凸部(ホゾ)1033と凹溝1013、などを用いた嵌合構造を採用している。すなわち、側面板101、101、天面板102、底面板103のような収容ケースの構成部材を成型して形成した凹部とこの構成部材と結合される他の構成部材を成型して形成した凸部の嵌合構造、あるいは、結合される2つの構成部材の凹部をダボ(30)のような他の結合子を介して結合する嵌合構造を用いている。一般にこのような凹部−凸部による嵌合構造は、単に2枚の板状の構成部材を接合、接着するような構造に比して強固に構成部材どうしを結合することができる。
ただし、後述するようにこのような嵌合構造では障害物の当接や接触による衝撃によって、嵌合構造の凹部−凸部による嵌合が外れ、収容ケースが破損する危険性もある。本実施例の構成は、このような危険性を低減できるように考慮されている。
背面板104は、さらに側面板101、101、天面板102、底面板103から成る
ほぼ矩形の枠体構造の背面から、あるいはこの枠体構造内側に接着などの手法で固定される。なお、背面板104には、放熱などの目的で、所定形状のルーバー穴104aを設けてある。
図4は、図3のような組み立て構造において、上述のダボ30(不図示)とダボ受け部1014、凹部1013、凸部1023、1033…の嵌合構造を用い、側面板101、101、天面板102、底面板103、および背面板104から成る構造体を組み上げた状態を示している。この図4の状態から、さらにる収容ケース内部にリール機構11、スピーカー12、ホッパー13などの構成部材を組み込んだ状態が前述の図5の状態である。
以下、上述の如く、底面板103、天面板102の下面、上面を、左右の側面板101、101の端面よりそれぞれ突出させ、さらに底面板103、天面板102の突出した端部に切欠部1031、1021を、また側面板101、101の端部に切欠部1011、1012を設けた本実施例の構成における利点、および作用について説明する。
まず、従来の遊技機の収容ケースの構造に対する利点につき説明する。図6、図7は、それぞれ図1および図2に対応し、従来の遊技機の収容ケースの構造を示した正面図および底面図である。なお、図6、図7では、上述の本実施例の収容ケースの構成部材と同一ないし類似の部材には同一符号を付し、その詳細な構造については説明を省略するものとする。
図6、図7の従来構造では、底面板103の下面は左右の側面板101、101の端面と面一であり、側面板101、101の端面からは突出していない。このため、底面板103、天面板102には切欠部はなく、側面板101、101の端部に移動時の障害物との接触や当接による応力を分散させる切欠部1012のみが設けられている。なお、図6、図7では収容ケースの底部の構造のみを示しているが、上部の天面板102廻りの構造についても左右の側面板101、101の端面から天面板102は突出していないものとする。
底面板103と左右の側面板101、101は、ダボ30(あるいはさらに図4に示したような溝、ホゾによる嵌合構造)を介して組み付け部20、20において結合される。
図6、図7に明らかなように、この従来構成では、底面板103と左右の側面板101、101の接合部である組み付け部20、20は、底面板103が側面板101、101の端面から突出していないために、収容ケースの底面に露出している。
このため、図6、図7に示すような従来構造では、図10(A)〜(D)に示すように、設置面に障害物300があり、このような設置面の上を収容ケース(遊技機)をひきずったりした場合に、底面板103と側面板101の接合部である組み付け部20、20を破損する危険性があった。底面板103と側面板101の接合部である組み付け部20、20がぴったりと接合され、強固に接合面が接着されるなどしていればこのような危険は低くなる。しかし、集成材や合板などから成る底面板103と側面板101は如何に精度良く加工をしても経年変化などによってズレが生じる場合があり、例えば組み付け部20でそのズレが生じてしまうと移動時に障害物が組み付け部20に喰い込んで、組み付け部が外れてしまう危険性があった。
ここで障害物300は遊技店の床面の段差や、床面に落ちている物品などであり、収容ケース(遊技機)の設置時には、このように収容ケース(遊技機)をひきずって移動したりするような状況はそれほど珍しいものではない。
図10(A)〜(D)は、従来の収容ケースの底面板103と左右の側面板101が図の右側から左側に向かって障害物300のある床面をひきずられていく様子を示したもので、まず、図10(A)は収容ケースの底面板103と左右の側面板101が障害物300に差しかかる直前の状態を示している。
さらに収容ケースがひきずられて、底面板103と左右の側面板101が左方に移動し図10(B)のように障害物300に差しかかると、側面板101の下端に切欠部1012が設けられているために、障害物300によって、側面板101の角部が破損することが回避されはするが、同時に障害物300が切欠部1012の斜面に沿って切欠部1012の下部に入り込もうとする。
そして、図10(C)のように、障害物300が切欠部1012の下部に入り込んでしまい、障害物300が、収容ケースの底面に露出している組み付け部20の位置に差しかかると、接合面であり、他の部位より強度の弱い組み付け部20に喰い込み、この部分にひっかかってしまう可能性がある。
これによって、さらに左方に収容ケースを移動させようとすると、図示のように、ダボ30による嵌合が外れてしまい、甚だしい場合は図10(D)に示すように組み付け部20における底面板103と側面板101の結合が完全に外れてしまう恐れがある。
これに対して、上述の本実施例の収容ケースでは、図11(A)〜(D)に示すように、障害物300のある床面をひきずった場合にも、収容ケースの破損を生じにくくなっている。これは、上述のように、底面板103の下面を左右の側面板101、101の端面よりそれぞれ突出させる構成とし、かつ、底面板103の突出した端部に切欠部1031を、また側面板101の端部に切欠部1012を設けた構成としているためである。
図11(A)〜(D)は、図10(A)〜(D)と同様に、収容ケースの底面板103と左右の側面板101が図の右側から左側に向かって障害物300のある床面をひきずられていく様子を示したものである。このうち、図11(A)は収容ケースの底面板103と左右の側面板101が障害物300に差しかかる直前の状態を示している。
収容ケースがひきずられて、底面板103と左右の側面板101が左方に移動し、障害物300に差しかかると、底面板103が側面板101よりも突出しており、底面板103と側面板101を接合している組み付け部20が収容ケースの底面に露出していないため、図11(B)のように障害物300は組み付け部20の部分を通り過ぎる。
そして、障害物300が底面板103の端面に設けられた切欠部1031の斜面に当接すると、切欠部1031の斜面に沿うように障害物300の上に底面板103が乗り上げ、さらに図11(C)のように、完全に底面板103の下部に入り込み、さらに図11(D)のように底面板103は障害物300の上を進むことになる。
図11(B)〜図11(D)を上述の図10(B)〜図10(D)と比較して明らかなように、本実施例では底面板103が側面板101より突出しており、底面板103と側面板101を接合する組み付け部20が収容ケースの底面に露出していないため、強度的な弱点である組み付け部20に床面の障害物300が直接接触することがなく、障害物300の高さが同じであれば図10に示したように障害物300が底面板103と側面板101を接合する組み付け部20に喰い込んで組み付け部20を破損する可能性は極めて低くなる。
以上の通り、本実施例によれば、図11(C)、(D)のように底面板103の下に障害物300が入り込んだ状態でさらに収容ケースをひきずっても、底面板103の底面を多少傷つける可能性はあるが、障害物300によって収容ケースの構成部材の結合が損なわれる可能性はほとんどない。
なお、近年、遊技機の収容ケースは、回収後に内部の遊技装置等の付け替えを行い、再度使われることが多くなっている。このように遊技機の収容ケースをリサイクル、再使用するためには収容ケースの強度を充分高めておく必要があるが、本実施例におけるように収容ケースの破損、分解や損傷の可能性を低減できる構成を採用することによって、遊技機の収容ケースのリサイクル効率を向上できる可能性があり、資源節約に役立ち、ひいては遊技機のメーカーや遊技店の必要コストを低減できる、という効果を期待することができる。
本実施例の収容ケースの構造は、たとえば、図8〜図9に示すような遊技機の製造工程において、収容ケース10がコンベヤ上を搬送されるような状況において、搬送をスムーズに行え、また、収容ケース10各部の構成部材の破損や損傷を未然に防ぐ効果を期待できる。
図8(A)、(B)は遊技機の製造プラントの作業ラインにおいて、収容ケース10を搬送するコンベヤの構成の一例を示している。図8(A)、(B)において、コンベヤは搬送される収容ケース10、10…の上下をそれぞれガイドする上ローラコンベヤ203、および下ローラコンベヤ202から構成される。
例えば、遊技機を組み立てる作業ラインでは、収容ケース内に構成部材を組み付ける従業員が作業しやすいように、遊技機の収容ケース10の前面の開口を作業者側に向けた状態で筐体はラインを流されていく。
作業ラインは、上ローラコンベヤ203、および下ローラコンベヤ202から構成され、収容ケース10は上下をこれらローラコンベヤ203、202のローラに支えられた状態でローラの回転によって作業サインを流れていく。
上ローラコンベヤ203は、多数のローラ2032、2032…をその両側のフレーム2031に回動自在に支持した構成を、下ローラコンベヤ202は、同様に多数のローラ2022、2022…をその両側のフレーム2021に回動自在に支持した構成を有している。下ローラコンベヤ202は、プラントの床面などに対して支柱201、201…により、例えば作業者に都合の良い高さとなるよう支持され、また、上ローラコンベヤ203は、不図示の支持手段によって、上下のローラコンベヤ203、203の距離が収容ケース10、10…の全高よりもわずかに大きくなるような間隔となるようにプラントの天井などに対して支持される。
図9は、図8(A)、(B)に示したようなローラコンベヤ202上を収容ケースが搬送される際の様子を示したものである。ローラコンベヤ202には、ローラ2022、2022…がフレーム2021によって同一の高さの位置に回動自在に多数、支持されており、その配置間隔は底面板103の搬送方向に関する長さよりも充分小さいものとする。これによって、底面板103は、同時に複数のローラ2022と接触して図9の右(または左)方向に搬送される。
前述の通り、収容ケース10は、上下のローラコンベヤ203、202の間をガイドされ、ローラ2032、2022の回転によって作業ラインを進むが、特に下側のローラ2022、2022…の中間部のローラが無い領域と収容ケース10の位置関係によっては、収容ケース10が傾き、収容ケース10の端部とローラ2022が強くぶつかる場合がある。そして、従来の収容ケースでは、組み付け部(20)が接地面(収容ケースの底面)に露出しているため、ライン上での移動のたびにローラと衝突して組み付け部(20)が損傷したり、甚だしい場合には組み付け部(20)が外れたりすることがあった。
しかしながら、本実施例においては、図9に示すように、底面板103を上述のように側面板101、101の端部より突出させた構成とし、さらに底面板103の端面、および側面板101の端面に切欠部1031、1012をそれぞれ設けておくことにより、たとえ無理な姿勢で収容ケースとローラ2022とが当接することがあっても、直接、底面板103と側面板101の接合部である組み付け部20がローラ2022と触れることがなく、収容ケースの組み付けが破損する事故を未然に防止することができる。
また、斜面形状の切欠部1031、1012を設けておくことにより、ローラ2022をこの切欠部1031、あるいはさらに切欠部1012を介して逃がし、スムーズに底面板103の下部に入り込ませることができるから、底面板103や側面板101を損傷することなく、安全確実に収容ケース10を作業ライン上で搬送することが可能となる。
なお、図8および図9では、収容ケース下部の底面板103と側面板101の結合構造における利点を主に説明したが、本実施例では上述のように収容ケース上部の天面板102と側面板101の結合部位においても天面板102がそれを挟持するよう配置された側面板101よりも突出するように構成してあり、また、天面板102の端面、および側面板101の端面に切欠部1021、1011をそれぞれ設けておくことにより、上ローラコンベヤ203との関係においても、上述と同様の利点が得られるのはいうまでもない。
図13に、上述の収容ケースの構造のさらに異なる変形例を示す。図13(A)、(B)は、それぞれ図1および図2の正面図および底面図に対応し、本実施例における収容ケースの側面板と底面板の結合構造を示している。本実施例では、実施例1と同一ないし相当する部材については、実施例1の100番台および1000番台の参照符号に対して、500番台および5000番台の参照符号を用いている。
図13(A)に示すように、本実施例でも、底面板503の底面が左右の側面板501、501の端面よりも突出するように側面板501、501によって挟持されるよう組み付けられるとともに、側面板501、501の端面に切欠部5012、5012を、また底面板503の左右の端面に切欠部5031、5031を設ける構造であるのは同じであるが、本実施例では、底面板503の切欠部5031と、側面板501の切欠部5012、すなわち隣接して複数の板部材に設けられる切欠部が連続する1つの連続した曲面をなすように構成されている点に特徴がある。
このような構成によれば、上述の実施例における効果に加え、底面板503の切欠部5031と、側面板501の切欠部5012が連続した曲面をなすように構成されているために、両者の切欠部の間に段差が存在せず、このため、収容ケースを床面でひきずるなどして、より大きな障害物が当接した場合でも、よりスムーズにその障害物を逃がす底面板503下部に逃がすことができ、底面板503や側面板501の端面の破損や損傷を防止することができる。
底面板503と側面板501を接合する組み付け部20は、底面板503の接地面(収容ケースの底面)に直接露出していないために、従来のように組み付け部20に障害物がひっかかったり喰い込んだりして、組み付け部20の結合が損傷したり破損したりするのを防止できる、という効果については、上述実施例同様である。
また、切欠部4031と4012を連続的な曲面から一体的に構成したことにより遊技機全体のデザイン性を大きく向上させることができる。
なお、切欠部4031と4012が連続した曲面をなすように構成するには、底面板403の端部上面をL字型に切り欠いておき、その部分で底面板403と側面板401と接合した後、底面板403と側面板401の角部を曲面に成型する、などの手法を採用することができる。
<作用効果>
以上に示した各実施例の構成をより抽象的にとらえ、その効果を要約して示すと次の通りとなる。上記実施例中の部材との対応は主にかっこ書きで示す。
左右の側面板(101、101)の間に、天面板(102)、および底面板(403)を挟持するように配置し、天面板および底面板と、左右の側面板が相互に嵌合構造を介して結合されて成る構成を有する遊技機の収容ケース(10)において、底面板の底面が左右の側面板の下端面よりも突出し、かつ、底面板の左右の側面板の下端面よりも突出した端部に切欠部(1031)を設けた構成を採用することにより、底面板と、左右の側面板との組み付け部(20)が接地面に露出しないようにでき、天面板、底面板、左右の側面板などの破損や、組み付け部の分解などを確実に防止でき、障害物との衝突などにより外部から力が加えられた場合にも欠切部によって組み付け部にかかる力を分散させることで組み付け部の外れや抜け落ちを防止できる。また、収容ケースの損傷や破損の確率を低減できるため、リサイクル性の向上等によって遊技機自体のコストダウンが可能となることがある。
さらに、天面板(102)の上面が、左右の側面板(101、101)の上端面に対して突出し、かつ天面板(102)の左右の側面板の上端面よりも突出した端部に切欠部(1021)を設けた構成を採用することにより、収容ケースの破損の可能性を低減し、結果として収容ケース(10)の強度を向上させることができることがある。
また、左右の側面板(101、101)の側面から、該側面板の下端面と上端面の一方または両方に向かって伸びる切欠部(1011、1012)を設けた構成を採用することにより、この部分に収容ケースの横方向から加えられる力を分散させることができ、組み付け部にかかる力を低減することができることがある。
また、天面板(102)、底面板(103)、左右の側面板(101、101)の角部に切欠部(1021、1021、1031、1031、1011、1012)を設けるにあたって、これら切欠部は、板部材の角を適当な手法で切削(例えばジグゾーや各種の鋸盤で切削)することにより容易に形成することができることがある。
また、欠切部(1021、1021、1031、1031、1011、1012)を曲面とする構成によれば、収容ケース(10)に、障害物との衝突により加えられる力を分散し、天面板(102)、底面板(103)、左右の側面板(101、101)などの破損や、組み付け部(20)の分解などを確実に防止できることがある。
また、欠切部(1021、1021、1031、1031、1011、1012)は、隣接して複数の板部材に設けられる場合、これらを連続する1つの曲面ないし平面を構成するよう形成することにより、収容ケースの段差部分を無くす、あるいは減らすことができ、筐体移動時等に障害物に引っかかり、組み付け部が外れることを防止できることがある。
また、左右の側面板(101、101)と、天面板(102)または底面板(103)を相互に結合する嵌合構造には、一方に差し込み可能な突部と、もう一方に前記突部を受け入れ可能な形状の凹溝とを備えたいわゆるホゾ/溝(みぞ)のような嵌合構造(凸部1033と凹溝1013など)、あるいは、相互に結合される板材とは独立した結合子(ダボ(30))を用いる嵌合構造を用いることができる。このような嵌合構造を用いる、あるいはさらに必要であれば接着などの手法を併用することにより、堅固に収容ケースを構成することができる。特に、左右の側面板(101、101)の間に天面板(102)および底面板(103)を挟持するように組みつけ、上記のような嵌合構造を介して結合する構造を用いることにより、設置や運搬時に遊技機を持ち上げる際に生じる縦方向への力に対する収容ケースの強度を向上することができることがある。