JP5195709B2 - 熱交換器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
第2発明に係る熱交換器では、例えば、伝熱管の段方向の熱伝導を防止する場合、任意の隣接する伝熱管の間のフィンを切り離すように分離することが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱交換器の正面図である。図1において、熱交換器10は、クロスフィンタイプの熱交換器であり、伝熱フィン20と伝熱管30とを備えている。伝熱フィン20は、薄いアルミニウム製の平板であり、一枚の伝熱フィン20には複数の貫通孔が形成されている。伝熱管30は、伝熱フィン20の貫通孔に挿入される直管30aと、隣り合う直管30aの端部同士を連結する第1U字管30b及び第2U字管30cとから成る。
例えば、補助熱交換部10bで冷媒が過冷却状態となるとき、補助熱交換部10bの温度は主熱交換部10aより低いので、従来のように熱遮断が行われない場合、伝熱フィン20を通じて冷媒同士の熱交換が生じる。その結果、温度の高い領域にある冷媒は早くエンタルピーを失って、早く過冷却状態になる。また、過冷却域の冷媒は、温度の高い領域から熱を受け取るため、なかなか温度が下がらない。したがって、熱交換器10に占める過冷却の領域(温度の低い領域)が広くなり、熱交換器10の温度が低下し、性能も低下する。しかし、本実施形態の熱交換器10では、主熱交換部10aと補助熱交換部10bと分離されているので、確実な熱遮断が行われ、熱交換器10の性能が向上する。
通常、熱交換器の両端には、積み重ねられた伝熱フィン群を挟むように管板が配置されており、本実施形態も同様に管板が配置されている。図3(a)は主熱交換部と補助熱交換部とが引き離される前の熱交換器の部分側面図であり、(b)は主熱交換部と補助熱交換部とが引き離された後の熱交換器の部分側面図である。図3(a)において、管板40は、熱交換器10の主熱交換部10aと補助熱交換部10bとに対応するように、予め、第1管板41と第2管板42とに分割されており、主熱交換部10aと補助熱交換部10b,10cとが引き離されるときに、第1管板41及び第2管板42も引き離される。
図4は、空調室内機の断面図である。図4において、本体100の外郭は、グリル100aと前面パネル100bと背面板100cとで構成されている。本体100の内部には、フレーム11、室内熱交換器110、クロスフローファン13、及びフィルタ102が配置されている。
室内熱交換器110は、クロスフローファン13の円周面に対向して配置されており、クロスフローファン13の前方、上方および後方を取り囲むように取り付けられている。また、室内熱交換器110は、前方主熱交換部110a、前方補助熱交換部110b、後方主熱交換部110c、後方補助熱交換部110dの4つの部分に分割されている。
図5は、室内熱交換器の側面図である。図5において、前方管板140は、前方主熱交換部110aに対応する第1前方管板141と、前方補助熱交換部110bに対応する第2前方管板142との分割されている。また、伝熱フィン120の第2切り込み122は、第1前方管板141と第2前方管板142とが配置されている状態で伝熱フィン120に入れられるので、切り込み用の刃が進入できるように、第1前方管板141及び第2前方管板142の双方またはいずれか一方にスリット140aが設けられている。
図6は、切り込みによって分割されている室内熱交換器を使用した空調機の暖房能力と分割されていない室内熱交換器を使用した空調機の暖房能力とを示すグラフである。図6において、縦軸は暖房能力を示し、横軸は熱交換器出口温度を示す。図6に示すように、切り込みによって分割されている室内熱交換器を使用した空調機は、熱交換器出口温度が低い領域で、暖房能力が向上している。
本実施形態では、拡管加工後の第2切り込み22によって熱交換器10が主熱交換部10aと補助熱交換部10b,10cとに分割される。これが、仮に、第2切り込み22も第1切り込み21と同様に、拡管加工前の伝熱フィン20単体の段階で入れられたならば、分割された伝熱フィン20の取り扱いが煩雑になり、別個の熱交換器を組み合わせて熱交換器群を成すことと同様の製造コストとなる。
(1)
熱交換器10では、伝熱フィン20は、第1切り込み21と、その第1切り込み21と交わる第2切り込み22とによって完全に分割されている。第1切り込み21は拡管加工前に入れられ、第2切り込み22は拡管加工後に入れられる。拡管加工後の第2切り込み22によって、熱交換器10が主熱交換部10aと補助熱交換部10b,10cとに分割されるので、両者間の熱の移動が遮断され熱交換性能の低下が抑制される。また、別個の熱交換器を組み合わせて主熱交換部10aと補助熱交換部10b,10cを成すよりも、小型で低コストである。
また、第2切り込み22が入れられた後、主熱交換部10aと補助熱交換部10b,10cとが引き離されるので、両者の端面同士が接触することは防止される。
また、管板40は、伝熱フィン20の第1切り込み21および第2切り込み22に対応する位置で分割されているので、主熱交換部10aと補助熱交換部10b,10cとが引き離されるときに追従して引き離される。つまり、管板40は、主熱交換部10aと補助熱交換部10b,10cとの引き離しを阻害しない。
図7(a)は、第1変形例に係る、拡管加工前の熱交換器の断面図であり、(b)は拡管加工後の熱交換器の断面図であり、(c)は部分的に分割された熱交換器の断面図である。先ず、図7(a)において、伝熱フィン20には、予め第1切り込み21が入れられている。伝熱管30は、層状に重ねられた伝熱フィン20を貫通するように挿入されている。
図8(a)は、第2変形例に係る、拡管加工前の熱交換器の断面図であり、(b)は拡管加工後の熱交換器の断面図であり、(c)は部分的に分割された熱交換器の断面図である。先ず、図8(a)において、伝熱フィン20には、予め第1切り込み21が入れられている。第1切り込み21は、中間部、および終端から分岐するように短い切り込みを伴っており、先端には穴23があけられている。伝熱管30は、層状に重ねられた伝熱フィン20を貫通するように挿入されている。
図9(a)は、第3変形例に係る、拡管加工前の熱交換器の断面図であり、(b)は拡管加工後の熱交換器の断面図であり、(c)は部分的に分割された熱交換器の断面図である。先ず、図9(a)において、伝熱フィン20には、予め複数の第1切り込み21が、それぞれ隙間21aを保って部分的に重なるように入れられている。伝熱管30は、層状に重ねられた伝熱フィン20を貫通するように挿入されている。
図10(a)は、第4変形例に係る、拡管加工前の熱交換器の断面図であり、(b)は拡管加工後の熱交換器の断面図であり、(c)は部分的に分割された熱交換器の断面図である。先ず、図10(a)において、伝熱フィン20には、予め第1切り込み21が入れられている。また、第1切り込み21の側方から第1切り込み21に近接する切り抜き24が形成されている。伝熱管30は、層状に重ねられた伝熱フィン20を貫通するように挿入されている。
図11(a)は、第5変形例に係る、拡管加工前の熱交換器の断面図であり、(b)は拡管加工後の熱交換器の断面図であり、(c)は部分的に分割された熱交換器の断面図である。先ず、図11(a)において、伝熱フィン20には、予め複数の第1切り込み21が、それぞれ隙間を保って部分的に重なるように入れられている。また、伝熱フィン20には、空気との熱交換を促進するためのスリット25が、第2切り込み22が入れられる予定の場所を避けるように設けられている。伝熱管30は、層状に重ねられた伝熱フィン20を貫通するように挿入されている。
上記実施形態、第1〜第5変形例における第1切り込み21及び第2切り込み22は、細い切り抜きで代替されてもよい。
20 伝熱フィン
21 第1切り込み
21a 隙間
22 第2切り込み
23 穴
24 切り抜き
25 スリット
30 伝熱管
40 管板
Claims (11)
- 所定の間隔で層状に重ねられた複数の伝熱フィン(20)と、前記伝熱フィン(20)を貫通する複数の伝熱管(30)と、層状に重ねられた複数の前記伝熱フィン(20)の両端に配置される一対の管板(40)とを備え、前記伝熱管(30)の拡管加工によって前記伝熱フィン(20)と前記伝熱管(30)とが密着している熱交換器であって、
前記伝熱フィン(20)は、第1切り込み(21)と前記第1切り込み(21)と交わる第2切り込み(22)とによってほぼ又は完全に第1熱交換部(10a)用の伝熱フィンと第2熱交換部(10b)用の伝熱フィンとに分割されており、
前記第1熱交換部(10a)用の伝熱フィンと前記第2熱交換部(10b)用の伝熱フィンとは、少なくとも、それぞれの長手方向に平行な端面同士が接触することを防止する隙間を有するように離され、
前記管板(40)は、前記伝熱フィン(20)の第1切り込み(21)及び第2切り込み(22)に対応する位置で分割されており、
分割された前記管板(40)は、前記第1熱交換部(10a)用の伝熱フィンと前記第2熱交換部(10b)用の伝熱フィンとが離されるときに、追従して離され、
分割された前記管板(40)は、第1部分(41)と第2部分(42)とを含み、
前記第1部分(41)及び前記第2部分(42)それぞれにはネジ穴(41b,42a)が設けられ、
前記第1部分(41)及び前記第2部分(42)それぞれの前記ネジ穴(41b,42a)が合わせられネジ止めされることによって、前記第1熱交換部(10a)用の伝熱フィンと前記第2熱交換部(10b)用の伝熱フィンとが固定される、
熱交換器(10)。 - 前記伝熱フィン(20)には、複数の前記第2切り込み(22)が、1つの前記第1切り込み(21)と交わるように入れられる、
請求項1に記載の熱交換器(10)。 - 前記伝熱フィン(20)には、前記第2切り込み(22)が入れられる前に、前記第1切り込み(21)と前記第2切り込み(22)とが交わる予定位置に所定サイズの穴(23)があけられている、
請求項1に記載の熱交換器(10)。 - 前記伝熱フィン(20)には、複数の前記第1切り込み(21)が隙間(21a)を保って部分的に重なるように入れられており、
前記第2切り込み(22)は、前記隙間(21a)を切断するように入れられる、
請求項1に記載の熱交換器(10)。 - 前記第1切り込み(21)は前記拡管加工前に入れられ、前記第2切り込み(22)は前記拡管加工後に入れられる、
請求項1に記載の熱交換器(10)。 - 前記伝熱フィン(20)には、前記拡管加工前に前記第1切り込み(21)の側方から前記第1切り込み(21)に近接する切り抜き(24)が形成されており、
前記拡管加工後に前記切り抜き(24)と前記第1切り込み(21)との間に前記第2切り込み(22)が入れられる、
請求項5に記載の熱交換器(10)。 - 前記第1熱交換部(10a)用の伝熱フィンおよび前記第2熱交換部(10b)用の伝熱フィンの少なくとも1つが傾くように離される、
請求項1に記載の熱交換器(10)。 - 前記伝熱フィン(20)には、前記拡管加工前に、空気との熱交換を促進するためのスリット(25)が、前記第2切り込み(22)が入れられる予定の場所を避けて設けられている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱交換器(10)。 - 前記第1切り込み(21)が、切り抜きで代替されている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の熱交換器(10)。 - 前記第1部分(41)と前記第2部分(42)とがネジ止めされるときにネジ締め方向へ所定角度以上回転することを防止する回転防止部(41c)が、前記第1部分(41)及び前記第2部分(42)のいずれか一方に設けられている、
請求項1に記載の熱交換器(10)。 - 請求項1に記載の熱交換器、の製造方法であって、
前記伝熱フィン(20)は、第1切り込み(21)と前記第1切り込み(21)と交わる第2切り込み(22)とによってほぼ又は完全に分割されており、
前記第1切り込み(21)は前記拡管加工前に入れられ、前記第2切り込み(22)は前記拡管加工後に入れられる、
熱交換器(10)の製造方法。
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